日本国の人口減少,高齢化,単身世帯の比率増大という動向の先に展望できる「この国の姿」は「衰退と消滅」

 少子高齢化が加速的に進行する日本社会のなかで,ひたすら没論理に『家族の絆』を求める「明治風の旧民法的な半封建主義・家父長制観」の『家・家族像』を,いまだに信じられる(?)「自民党極右・観念論者たち」の立場は,21世紀の日本社会においては非現実的な「認識状態」であり,現状のごとき日本の窮状の改革に対してなんの役にも立たない。

 

 「生産年齢人口,ピークの95年比13.9%減 国勢調査確定値   生産性改善が急務 規制緩和・DXに活路」日本経済新聞』2021年12月1日朝刊1面(冒頭記事)

 この記事は,われわれの記憶にあるのだが,昨年(2020年)に協力した「国勢調査の結果」をとりまとめ,報告された「その確定値」に関する報道である。以下に引用する。

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 a) 総務省は〔11月〕30日,2020年国勢調査の確定値を公表した。経済活動の主な担い手となる生産年齢人口(15~64歳)は7508万7865人となり,5年前の前回調査から226万6232人減った。

 〔その〕ピークだった1995年の8716万4721人に比べ13.9%少ない。人口減時代の成長は一人ひとりの能力を高め,規制緩和にも取り組んで生産性をどう押し上げるかにかかる。

 総人口は1億2614万6099人で5年前から94万8646人減った。総人口の減少は2調査連続となる。

 生産年齢人口の減少は日本経済の足かせとなる。現在の生産年齢人口は7580万7317人だった1975年を下回る水準だ。総人口に占める割合も59.5%と1950年以来70年ぶりに6割の大台を割りこんだ。

 補注)「日本の円」の価値もすでに「1970年当時の水準」にまで,その購買力平価の基準では低下したと報告されている。

 b) 2010年代は,景気回復などで女性や高齢者の就労は増え人口減を補った。労働力調査によると,2020年の就業者数は6676万人で10年前より6.0%増えた。

 家電量販大手のノジマは〔2021年〕10月,80歳としていた雇用制限を事実上撤廃した。1年単位の契約とし,ベテラン社員の販売ノウハウを生かす。YKKグループも65歳だった正社員の定年を廃止した。

 こうした女性や高齢者の就労拡大にも限界はある。生産性を高めなければ,いずれ生産年齢人口の減少の影響を補いきれなくなる。

 補注)「女性や高齢者」とひとくくりにして,ここでは言及されているが,非正規労働者としての女性の場合,若年層から高年層まで広くわたって存在している。これに対して男性の場合では,高年層でしかも定年後の再雇用として非正規労働に従事している者が多い。

 「国勢調査の結果」の報告であるから,そうような相違点はひとまず考慮外というあつかいである。しかし,それでいて,いきなり「生産性を高めなければ」という指摘になると,これには引っかかりを感じる。

 生産性の高め方をどのように実現させ展開していくかについては,仕事・職務(業務)の種類・性質によって,基本的に制約されざるをえない要因がある。だが「女性と高齢者の就労拡大」が「生産性を高め」る問題点とは,いったん切りはなしたかたちで報道する考え方が,前段の記事の基本的な文意だとしたら,問題ありである。

 生産性の向上という論点は,人間じたいに関する問題と設備・装置・機械の側に関する問題とがある。この2つの問題に多面的にかかわる論点を,「女性と高齢者の生産性問題」から引き離した議論に聞こえる論調になったら,問題が残すことになるという指摘を,ここではしてみたつもりである。

 以上の指摘が的外れだとしたらそれはそれでいいのだが,生産性の問題をもちだす場合にあっては,この生産性という概念の中身をきちんと概念的に踏まえたうえで議論しないことには,この記事の場合のように,「女性と高齢者」という労働者範疇があたかも,生産性の問題とは縁がないかあるいは薄いかのようにも受けとれる口調になりかねない。その種の疑問を残してしまう。

〔記事に戻る  ↓  〕 

 c) 日本の労働生産性(労働時間あたりベース)の伸び率はアベノミクス下の2012年から2019年まで年平均 1.1%と一定の改善があった。

 それでも2020年時点で1時間あたりに生み出す付加価値は48.1ドルと主要7カ国(G7)でもっとも低い。経済協力開発機構OECD)各国平均の54.0ドルも下回る。

 補注)この記事の2つの段落に関しては,その「アベノミクス下の2012年から2019年まで年平均1.1%と」「日本の労働生産性(労働時間あたりベース)の伸び率は」「一定の改善があった」と,この日経の記事のように文書を書くのは,誤導的だという批判をくわえておかねばならない。

 野口悠紀雄一橋大学名誉教授「〈連載  新しい経済成長の経路を探る〉アベノミクスの『負の遺産』,低生産性と非正規依存の労働市場」『DIAMOND online』2020.9.3 4:45,https://diamond.jp/articles/-/247535 は,以上の日経記事を否定的に読むほかないつぎの解説を与えていた。1年以上前の論及であった。

 安倍晋三首相が退陣を表明したが,アベノミクスの期間に日本経済は停滞したため,日本の国際的地位が顕著に低下した。

 

 企業の利益は増加し,株価が上昇したが,非正規就業者を増やして人件費の伸びを抑制したため,実質賃金は下落した。その結果,「放置された低生産性と,不安定化した労働市場」という負の遺産がもたらされた。

 

 ※ 日本経済の国際的な地位低下が物語るアベノミクスの “幻想” ※

 

 アベノミクスとはなんだったのかを考えるにあたって,一番簡単なのは,アベノミクスが始まった2012年と2019年を比較してみることだ。

 

 第1に見られる変化は,世界経済における日本の地位が顕著に低下しつづけたことだ。

 

 2012年では中国のGDP(国内総生産)は,日本の 1.4倍だった。ところが,2019年,中国のGDPは日本の2.9倍になった。つまり,乖離が2倍以上に拡大した。

 

 ※ 実質賃金は下落,増えたのは非正規雇用(引用終わり)

 つまり,どういうことかといえば,ここでの日本側の事情として「アベノミクスの推進(?)によって,2012年から2019年まで,生産性が年平均 1.1%上昇した」という事実の指摘がなされていても,この上昇したというその比率をさらに国際経済次元において比較することになれば,「日本の生産性は年平均の上昇率 1.1%」という指数は,とてもではないが低く過ぎて,たいした評価ができない。

 それゆえ,日経の記事もつぎのように続けて書いていた。 

〔日経・記事に戻る→〕 内閣府の試算によると,働く人や労働時間が増えたことによる2010年代の平均的な経済成長率(潜在成長率,年平均 0.7%)の押し上げ効果はゼロポイントにとどまる。1980年代には労働による押し上げは年平均で 0.7ポイントあった。

 d) 人工知能(AI)など先端技術の活用やデジタルトランスフォーメーション(DX)を通じて生産性を上げなければ,根本的な成長につながらない。

 海外では徹底した自動化で,人手に頼らないオペレーションへの転換が進む。米小売り大手のウォルマートはロボットを活用した物流設備や無人トラックによる配送などを手がける。

 日本では人口減に対応する無人技術にも制度の壁がある。

 人手不足に悩むコンビニエンスストア業界は,デジタル機器や遠隔で確認する技術の発達を踏まえ,無人店舗で酒やたばこの販売を円滑にできるよう規制緩和を求める。小規模な工事でも現場に管理者を置かねばならない,といった規制も見直しを促す声がある。

 e) 生産性の高い業種に人材をシフトさせる政策も不可欠となる。終身雇用を前提とした制度はなお多い。同じ企業に20年超勤めれば退職一時金をもらうさいに税制優遇が受けられる税制などは,見直しが急務といえる。

 f) 今回の国勢調査少子高齢化もより鮮明になった。

   65歳以上人口は5年前の前回調査に比べ6.6%増で過去最多の3602万6632人。

   14歳以下の人口は5.8%減で過去最少の1503万1602人となった。

   高齢化率も2.0ポイント上昇の28.6%で過去最高を更新した。

 この ① での記事引照は以上であるが,こうした日本社会における人口構成比率がますます高齢化していく事態のなかで,生産性向上の問題を真正面から取り組もうとするさい,いったい,その要因(ヒト・モノ・カネ・情報・管理体制など)のうち,なにをどのように問題にとりだし,これを改善していくかが最重要の関心事となる。

 高齢者は基本的に体力(肉体的な能力)において低下している事実を踏まえたうえで,精神面の潜在力保持という要因も考慮に入れて個別に,その能力差(分布)を管理の対象にする必要がある。

 だが,女性労働者全般に対する待遇全般,その対策が日本ではまだ甘く,女性差別に関した実態面の裏返し的な現象として,日本の労働経済における生産性向上をわざわざ阻害させる基本原因になっていた。

 アベノミクスの施主である安倍晋三とこれに近い極右自民党政治屋たちは,男女雇用機会均等法が大嫌いである事実は,明治的な旧民法の腐朽的精神構造に異様にこだわる人間観を介して,露呈されつづけている。

 少子高齢社会の到来としては先進国として先頭を走ってきた日本が,労働力としての女性をまもに活用できないかぎり,AIやDXといった先端技術をいかに強調し,意識し,その応用を強調したところで,人間の半分を占める女性労働力を活かす基盤がゆがんでいる日本の産業経済のなかでは,いつまでも他国に遅れをとることは不可避である。

 いずれにせよ,現状のごとき日本経済の活動状況では,つぎのように指摘された展望としても,現時点においてなにも変わっていない。

        ◆ 生産性低下問題を考える(前編)◆
    アベノミクス6年間がもたらした「発見」―〔要旨〕
   『富士通総研』2019年5月20日https://www.fujitsu.com/jp/group/fri/knowledge/opinion/er/2019/2019-5-1.html

 

 6年余にわたるアベノミクスの実験的経済政策は,日本経済に関するいくつかの「発見」をもたらした。

 

 そのひとつは,大胆な金融緩和でも物価が上がらなかったことで,物価が期待によってではなく歴史的に形成されるという事実を示している。

 

 もうひとつは長期間の景気拡大に実感が伴わなかったことで,その背後には生産性上昇率の低下があった。日本経済長期低迷の真因は,デフレではなく生産性の低下だったのではないか。

 この『富士通総研』の研究者が語った点,「6年余にわたるアベノミクスの実験的経済政策は,日本経済に関するいくつかの『発見』をもたらした」という形容は,おおげさであった。

 アベノミクスのダメノミクス性は,その「発見」が「失敗=失策」そのものであったがゆえ,いまとなっては「失政の経済政策」であった事実が実証されている。前段の引用は,安倍晋三がまだ首相であった時期内に公表された文章であるせいか,いささかならず「忖度じみた」論調を漂わせていた。

 ともかく,2010年代に鳴り物入りで,喧伝だけはハデになされたアベノミクスであったが,いまとなって振りかえってみるに,「亡国の首相:安倍晋三」なりに「国辱・国恥の政治と経済」を,不必要に進展させてきた点だけは確実であった。

 しかも,その間に日本の産業経済は,先進国と称するには情けないほどに低迷路線にはまりこんた。そしていまでは,その路線から抜けだせないままに,しかもすでに雲散霧消していたアベノミクスじたいが成果を挙げられなかったどころか,「日本を先進国」から脱落させる逆機能ならば,これをみよ(!)といえるくらいにまで発揮させた。

 現在となっては,自国:日本のことを「後進国」と呼ぶ識者はいくらでも存在する。この現状の理解は,アホノミクスの “みっともなさ” と “はしたなさ” を,いまさらのように裏づける言説を意味した。

 さてつぎは,自民党極右がしきりに幻想してきた「日本的な家・家族観」を,根底から突き崩すほかなかった,この国の21世紀的な「イエとファミリー」の実相にかかわる,それも この ① における議論つづく記事を,② にとりあげて,さらに議論したい。

【参考記事】


 「1人暮らし世帯拡大,5年で 14.8%増 高齢者では5人に1人  介護や安全網が課題に」日本経済新聞』2021年12月1日朝刊3面「総合2」

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 総務省が〔11月〕30日に公表した2020年の国勢調査は,日本全体で世帯の単身化が一段と進む現状を浮き彫りにした。一人暮らしが世帯全体の38.0%を占め,単身高齢者は5年前の前回調査に比べ13.3%増の671万6806人に増えた。中年世代の未婚率も上昇傾向にある。家族のかたちの多様化を踏まえた介護のあり方やまちづくり,セーフティーネットの構築が急務となっている。(1面参照)

 補注)この記事のなかに「中年世代の未婚率も上昇傾向にある」という指摘は,これからも,日本における出生率合計特殊出生率)の減少に対して,さらに拍車がかかるほかない要因に関連した「確かな経過的な事情」を教えている。

 中年の前の人生段階は若年であるが,その時期から結婚していなかった世代が「若年から中年」に移り,しかも未婚である者たちが増大しているという報告である。なお,ここでの話は,事実婚が圧倒的な多数派である日本の婚姻事情を踏まえての話になっている。

 「家族の絆」という観念をやたらに強調したがり,だから日本の家・家族は外国(具体的にどの国々を指すのか不詳だが)より格別にすばらしく,それなり優れて美しいモノがあるのだと,ひたすら一方的に決めつけたい〈絶対比較〉の見地は,自己陶酔の境地以外のなにものでもない。

 その境地じたいだけに関してはたしかに「戦後レジームからの脱却」は済んでいそうであるが,この境地が21世紀にまで引きずりこまれているのだから,始末に悪い連中が自民党内の「右隅側についているドブ川」には,悪臭を放ちながら淀んでいる。

 日本の世帯数は5583万154となり,前回調査に比べて4.5%増えた。1世帯あたりの人員は2.21人で,前回調査から0.12人縮小。単身世帯は全年齢層で2115万1042となり,前回調査から14.8%増えた。3人以上の世帯は減少しており,とくに5人以上の世帯は10%以上減った。

 補注)ここでも途中で寸評を入れる。この5年間隔になる「比率(%)減少率」の進展ぶりがはなはだしいと観るほかない。ここまでもそうした減少が確実に進行してきたがゆえ,単身世帯にも「家族の絆」はその世帯の枠を超えて,親戚関係にまで広がってありうるのだ,などと牽強付会の解釈をくわえたくなるかもしれない。しかし,この種の冗談の部類になる話題であっても,問題の根源を考えるさいには一興でありうる,とみなしておきたい。

〔記事に戻る→〕 65歳以上の一人暮らし世帯の拡大が続いており,高齢者5人のうち1人が一人暮らしとなっている。男女別にみると,男性は230万8171人,女性は440万8635人で,女性が圧倒的に多い。

 補注)それでもってなのか,つぎのような詐欺事件が絶えない日本社会になっている。

       ★ 詐欺の電話で準備の3000万円盗まれる  横浜市南区
     =『Ch. OPEN YOKOHAMA』2021/11/29,https://www.tvk-kaihouku.jp/news_wall/post-9161.php

 藤森克彦・みずほリサーチ&テクノロジーズ主席研究員は「一人暮らしの高齢者は同居家族がいないので,家族以外の支援が重要になる」と指摘する。「財源を確保しつつ介護保険制度を強化し,介護人材を増やす必要がある」と語る。

 単身世帯の増加の背景には「結婚して子供と暮らす」といった標準的な世帯像の変化もある。

 補注)この「標準的な世帯人数(像)の変化」,すなわち「その比率の減少ぶり」にいては,「結婚して子供と暮らす」ために必要となる基本的な条件というものをめぐり,「若者世代」だけでなく,さらにさかのぼっては「中年世代」においてすら,以前(昔:一昔前)から〈結婚難〉に遭遇していた事実があった。

 2021年の一昔まえといったら,2011年で「3・11」東日本大震災および東電福島第1原発事故が発生していた。そして,この翌年2012年12月に第2次安倍政権が発足していた。この政権が謳いあげた経済政策が,あのアベノミクス(アホノミクス・ダメノミクス・ウソノミクス)であった。

 国勢調査は,ほぼ若干の時間差はあれその2回分が実施されたその10年間ということになってもいた。安倍晋三の執権時期,アベノミクスと名のった経済政策が,いったいこの国の産業経済・企業経営に対して,どのような影響を与えたのかと回顧するに,国家政治の大々的な破壊と国民経済の基本からの溶融であった。

〔記事に戻る→〕 45~49歳と50~54歳の未婚率の単純平均を基に「50歳時点の未婚率」を計算すると,男性は28.3%,女性は17.9%となった。2000年のときには男性が12.6%,女性は5.8%だった。この20年間で価値観や家族観の多様化から,中年世代になっても独身というライフスタイルは珍しくなくなった。

 補注)自民党極右のイデオロギーを抱くはずの人たちは,この「20年間の価値観・家族観の多様化」や「生活様式(life cycle)」の基本的な変化を,いったいどのように受けとめ,考え,評価あるいは批判し,それに働きかけ,彼らの立場に合わせて変えさせようとしていたのか。

 関連する政治団体が存在していなかったわけでも,特定の運動を展開するその団体がなかったわけでもないけれども,世間に向けて積極的に「こうだ,ああだ」と確信をもって説ける内実が不在である。

 彼らは,社会問題としてではなく政治問題としてだけ「家・家族の問題」を,それも歴史的に吟味しつつかかげる観点とは無縁なのであったが,それでも歴史的な姿はよそおった(いつわった)自分たちの好みを,前面に押し出して語ってきたに過ぎない。いいかえれば,ただ現存在的にという意味で,そのままただ先験的であるほかありえない,つまり恣意にまみれたその規範像を,日本社会に向けて放散(撒きちらか)してきたに過ぎない。

 だから彼らは,前後で引用している記事がとりあげている「現実における日本社会の家・家族・世帯・家庭の問題」を,まともに論じることができないだけでなく,もともと適切に接近しうる基本概念や方法論を,政治面の運動手法として保持していない。

 したがって,彼らが観念的に信じていたい「日本の美風・習俗としての家・家族観」が,21世紀のいまに現実に生起している日本の家・家族にまつわる諸問題に対面した時,まともに噛み合わせられる議論が展開できなかった。というよりは,そのように対応できる資格が,彼ら側にあってはもとより欠落していた。それだけのことであった。

〔記事に戻る→〕 単身者向けに小分けした商品の開発・販売など新たなビジネスの機会が生まれる面もある。ただ,複数人で暮らすよりも家賃や光熱費の負担比率が高まるほか,1人当たりのごみの排出量などが増え,環境負荷が高まることも考えられる。高齢者であれば孤独死などにつながる懸念もある。

 補注)「高齢者であれば孤独死などにつながる懸念もある」という表現は,たいそうもの足りない。この「高齢者で孤独な日常生活」を過ごしている人たちは「孤独死と同居状態にある」と表現したほうが,より正確・適当ではないか。

 つまり,前段の問題は懸念そのものなどではなく,現在進行中の現実そのものである。このように記述するのは,意識的になのかどうか図りかねるが,その加減した記事の書き方は「現実を報道する新聞社の書く基調」として,迫力不足。

 高齢化とともに単身世帯が増えるなかで,通院や買い物を近場でできるようコンパクトなまちづくりも課題となる。体調を崩したり,介護が必要だったりする高齢者が増えれば社会保障費の膨張にもつながる。単身世帯数の拡大にあわせた社会のあり方を追求していく必要がある。(引用終わり)

 この最後の段落は付けたし的な記事の内容であった。それはそうだという程度の中身ではなかった。

 さて,以上に引照した記事の続きにかかげられていた記事が,つぎの「外国人43%増,最多274万人に」(『日本経済新聞』同上)という見出しをつけられた報道であった。

 総務省が〔11月〕30日に公表した2020年の国勢調査では,外国人の人口が過去最多の274万7137人となり,5年前の前回調査に比べ43.6%増と大きく拡大した。

 

 日本人の人口は1億2339万8962人で1.4%減った。外国人の流入により,少子化による人口減少を一定程度緩和している。新型コロナウイルスの感染が拡大するなかでも,日本に住む外国人は減少に転じなかった。

 

 日本の総人口に占める外国人の割合は2.2%で,5年前の前回調査( 1.5%)から上昇。国連によると2020年に世界各国に住む外国人は3.6%だ。日本でも外国人は増えているが,諸外国に比べるとまだ少ない。

 

 岡三証券グローバルリサーチセンターの高田創理事長は外国人をめぐり「人口対策の現実的な選択肢」としたうえで「就労ビザなど対応を増やしてきた流れの継続が肝要だ」と話す。

 

 国籍別にみると中国が66万7475人と最も多く,外国人全体の27.8%を占めた。

 いまの日本にとっての話題としてだが,「外国人労働者が増えている日本の現状・問題とは?  その実態に迫る」『SPA Labo』2020.10.08,https://spalo.jp/labo/%E5%83%8D%E3%81%8D%E6%96%B9%E6%94%B9%E9%9D%A9/%E4%BB%8A%E8%A9%B1%E9%A1%8C%E3%81%AE%E3%82%A2%E3%83%AC/%E5%A4%96%E5%9B%BD%E4%BA%BA%E5%8A%B4%E5%83%8D%E8%80%85%E3%81%8C%E5%A2%97%E3%81%88%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E7%8F%BE%E7%8A%B6%E3%83%BB%E5%95%8F%E9%A1%8C%E3%81%A8%E3%81%AF/ が,関連する事情をつぎのように語っていた。文意をとって紹介する。

 --外国人労働者とは,日本で働く外国人すべてを指し,大分すると以下のようになる。

     在留資格をもっている人

     就労目的で在留している人

     特定活動で在留している人

     技能実習

     資格外活動

  つまり,外国人労働者とは上記5つの分類に分けられ,国内で働く外国人全般のことを指す。

   外国人労働者を多く採用しているのは,地方の中小企業が多い。少子高齢化は全国的に進んでいるが,地方の深刻化は根深く,人材不足と従業員の高齢化がとくに問題視されている。

 建設業,製造業,農業や漁業などは地方での生産が主流であるが,近年は若い世代の参入が少なく,高齢化が進んでいる。しかも,これらは肉体労働も多い職種である。高齢者の負担が大きく必然的に技能実習生を受け入れることで,人手不足解消の手段として広まってきた。

 現在,コロナウィルス(COVID-19)の流行が世界的に広まり,パンデミック状態といわれている。これによって,海外からの入国規制等から2020年の外国人労働者流入は減少した。

 しかし,日本の人手不足が解消したわけではなく,今後も外国人労働者は増えつづけ,日本の企業の成長に欠かせない存在となる。

 外国人労働者が国内で一番多いのは北海道,つぎに青森,岩手と東北地方が続く。北海道の広大な土地という点もあるが,東北地方は農業や漁業,酪農が盛んである。

 それらの地域は過疎化が進み,若い人材が少ないことからも外国人労働者の受け入れが多い。地方では高齢化がとくに進んでいることから,「介護業」での外国人労働者の受け入れも多い。

 なお,男女比はほぼ同じ比率で若干数女性が上回る結果となりました。(引用終わり)

 最新の話題になるが,11月下旬からは新型コロナウイルスの「オミクロンという変異株」が強力な感染力をもつ感染症として登場している。すでに日本にもその感染者が到着してもいる。2020年初頭から始まったコロナ禍は,依然収束する見通しが付かないでいる。

 前段に紹介した外国人労働者の導入・活用に関した文章は,2020年10月時点におけるものであって,2021年12月の段階に入った現在の状況としては,前段に説明されていた「日本の人手不足」が解消するみこみは,まったく立っていない。

 すなわち,日本国内の諸産業はその基本活動でもとくに裾野の広い分野が,外国人労働者たちの不足によって大きな支障を生じている。現段階はもはや,アベノミクスをウンヌンするいとまなどくらい,コロナ禍がもたらしてきた大きな悪影響の最中に置かれている。

 だから外国人労働者問題に関する現況は,『東京新聞』がつぎのように社説を書くほかない段階にまで至っている。

 

 「〈社説〉入国管理政策   議論の先送りできない」『東京新聞』2021年10月25日, 07時16分,https://www.tokyo-np.co.jp/article/138720

 国際的な人権常識を逸脱した日本の入国管理政策にきびしい目が向けられている。有権者の関心が低い課題だが,人口減少が進むなか,社会の維持に外国人との共生は避けがたい。議論の活性化が必要だ。

 入管行政で問題視されているのは,難民認定や収容送還制度と外国人労働者の受け入れ態勢だ。

 前者は,今〔2021〕年3月に名古屋入管に収容されていたスリランカ人女性が死亡した事件であらためて注目された。「難民鎖国」と呼ばれる低い難民認定率,すべての退去拒否者を無期限に収容する仕組み,難民の認定や収容の可否を出入国在留管理庁が独占して決めている点などが問題とされてきた。

 後者については,労働法令違反が絶えない外国人技能実習制度が代表格だ。建前と異なり,雇用の調整弁と化している

 こうした諸制度は国際社会では非常識とみなされている。収容送還制度については,国連機関が再三,日本も批准する国際人権規約などに抵触すると勧告してきた。

 技能実習制度についても米国務省「人身売買報告書」で「外国人労働者の搾取のために悪用され続けている」と断じ,2020年には日本の評価ランクを下げた。

 国内ではすでに 170万人以上の外国人が働き,事実上,移民社会になっている。だが,政府は排外主義的な意見に配慮し,移民政策を正面から論じることを避けてきた。さらに海外からの人権軽視の批判にも背を向けている。

 自民党も野党も公約では「多文化共生」をかかげている。だが,自民党技能実習制度などの活用促進をかかげている。収容送還問題についても,〔11月〕12日の参院本会議で岸田文雄首相は「改善策実施の最中」と改革姿勢をみせなかった。

 立憲民主党共産党などは,収容についての司法の関与や難民認定の第三者機関の設立を提案。技能実習制度についても見直しや廃止を主張している。ただ,永住・定住外国人地方参政権については,考え方が分かれている。

 コロナ禍による外国人労働者不足で収穫できない農家がある。欧米では移民問題が議論の的だが,日本も先送りすべきではない。そのさい,忘れてならないのは国際社会の目だ。相手あってのことである。独り善がりは通用しない(引用終わり)

 この『東京新聞』社説が触れている外国人労働者問題の本質は,コロナ禍発生以前からのこの問題のなかに現出していた。ところが,この国はこの問題に関して,コロナ禍の襲来に遭ってもまだモタモタしている,としかいいようがないくらい,まだトボケつづけている。

 国家全体の人口が確実に,絶対的に減少していく過程を進行中であるにもかかわらず,以上のように目先の問題処理だけにしか対処する気がないようでは,いつまで経っても「現状のごとき国内における国際的な共生の問題」は,そのなにひとつとして,解決するための展望が開けない。

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学校法人日本大学田中英寿理事長が東京地検特捜部に逮捕された,安倍晋三はいまごろ震えている?

 「日大・田中理事長,脱税容疑で逮捕   東京地検nikkei.com  2021年11月29日 13:07,2021年11月29日 13:18,https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE191R60Z11C21A1000000/?n_cid=BMSR3P001_202111291308  というニュースが,『日本経済新聞』から配信される電子メール記事として,上記の時刻に本ブログ筆者のパソコンに届いていた。

 この記事を以下に引用する。 

 日本大学付属病院をめぐる背任事件に絡み,東京地検特捜部は〔11月〕29日,日大関係業者などから受領したリベート収入などでえた所得を申告せず,約5300万円を脱税したとして,日大理事長の田中英寿容疑者(74歳)=東京都杉並区= を所得税法違反(脱税)の疑いで逮捕した。

 

 逮捕容疑は2018,2020年分の所得を隠し所得税約5300万円を免れた疑い。

 

 特捜部はこれまで,田中理事長の側近とされる日大元理事の井ノ口忠男被告(64歳)と医療法人「錦秀会」元理事長の籔本雅巳被告(61歳)が日大医学部付属板橋病院(東京・板橋)の建て替え工事や医療機器調達をめぐり,大学の資金を流出させるなどして日大に総額約4億2千万円の損害を与えたとする背任罪で2度起訴した。

 

 一連の捜査で,特捜部は理事長宅を2度捜索し,現金1億円超が保管されていたことを確認した。関係者によると,井ノ口,籔本両被告は特捜部の調べに対し,起訴内容の取引に絡んで計6000万円を「日ごろ世話になっている謝礼」として理事長に渡したと供述した。

 

 特捜部は両被告と理事長との共謀の可能性も疑ったが,井ノ口被告は理事長側に不正な取引の計画や具体的な内容について報告していなかったと話しており,理事長自身も複数回の任意聴取に,事件への関与や現金の受領を明確に否定していた。(引用終わり)

 東京地検特捜部の狙いは「田中英寿理事長」から「安倍晋三元首相」にもまたがっていたと推測されている「犯罪」を摘発,解明し,そしてとくに安倍晋三自身にまつわるいくたもの疑惑を総合的に追及することにある。

【参考記事】

 つぎのユーチューブ『一月万冊』の最新記事が,元朝日新聞社記者・佐藤 章による分析をもって,前段のように報道された日本の政治社会次元問題の「核心=患部の特性」に迫る解説をおこなっている。

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「エセ的な労働組合の単なる連合体」である「連合:日本労働組合総連合会」は,この国の勤労者たち全体のために役に立つ「労働組合の上部組織」ではない

 「日本の全労働者」のために「なにか意義ある任務:仕事をなしえている」とは思えない『労働組合の上部組織』として連合の根本的限界は明らかであり,働く者たち総員のあいだにあっては「上級と下級の階層格差」が明確に発生している


 「連合よ,いまこそ労働者を見よ   存在感を高めるには--日本女子大名誉教授・高木郁朗さんに聞く」朝日新聞』2021年11月22日朝刊23面「生活」:インタビュー記事

 この記事の前文は,こう説明している。

 連合(日本労働組合総連合会)は,加盟組合員が約700万人。働き手の課題を解決に導くパワーを期待されますが,近年なかなか存在感を発揮できません。どうすればよいのか。約30年前に連合が結成された時の経緯にも詳しい日本女子大名誉教授の高木郁朗氏(82歳)に聞きました。

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 この ① の記事すべての内容は,上の画像資料をもって紹介に代える。なお,日本における労働者の全数は,総務省が2021年10月29日に公表した『労働力調査(基本集計)』2021年9月分によれば,つぎのとおりである。

  (1)  就業者数
    就業者数は 6679万人。前年同月に比べ10万人の減少。6か月ぶりの減少。

  (2)  完全失業者数
    完全失業者数は 192万人。前年同月に比べ18万人の減少。3か月連続の減少。

  (3)  完全失業率
       完全失業率(季節調整値)は 2.8%。前月と同率。

 また労働組合への加入率は,厚生労働省が2020年12月16日にまとめた「令和2〔2020〕年6月30日」時点における『労働組合基礎調査』によれば,こうなっていた。

 労働組合員数は1011万5千人(前年比2万8千人増)と6年連続で増加した。推定組織率は17.1%(前年比0.4ポイント増)と11年ぶりに上昇した。

 以上の統計・数値からごく単純に,以下のように計算してみる。

 --「連合」と「そのほかの労働組合」などに加盟する労働者は,それぞれ「700万人 ÷ 1011.5万人」(ここでは割り算する関係にして対置した)であり,これらのうち,連合に所属する労組に入っている労働者の比率は「69.2%」,およそ7割である。

 連合という「労働組合の上部組織」に所属し,それも産業ごとの単位にまとめられてもいる企業別組合の,その会社名を一覧すれば分かるように,一流企業の正規被雇用者がそれらの労組を構成する具体的な主体になっている。

 また「連合加盟労働組合リスト」をのぞくと,構成組織名称:下部組織単位名は,つぎのように一覧されている。連合の当該ホームページにはさらに,これら下部組織労組に所属する個別の会社名が,すべて一覧されている。

 注記)https://www.jtuc-rengo.or.jp/unionsearch/

    UAゼンセン    電機連合    日教組    情報労連    運輸労連

    国公連合    JR総連    ゴム連合    紙パ連合    印刷労連

 

    セラミックス連合    メディア労連    森林労連    労供労連

    自治労連    港運同盟    地方連合会

 

    自治労    JAM    JP労組    電力総連    私鉄総連    損保労連

    交通労連    サービス連合    全国ガス    全自交労連    全銀連合

 

    全労金    全信労連    労済労連    全国ユニオン    日建協

 自動車総連    基幹労連    生保労連    JEC連合    フード連合

 

    JR連合    海員組合    航空連合    全電線    全水道    全国農団労

    ヘルスケア労協    全印刷    全国競馬連合    JA連合    全造幣    日高教

 そして,『連合東京』(日本労働組合総連合会東京都連合会)のホームページのなかには,つぎの記述がみつかる。

 近年,長引く景気低迷により非正規雇用者が増加し,正社員が減少しています。それに伴い正社員で組織された労働組合のなかには,「職場人数の過半数」を確保できない組合も出てきています。

 

 そのような労働組合では今後,非正規雇用者の組織化に注力する必要があります。非正規雇用者を組合員として迎え入れることで,36協定の締結の条件である「職場人数の過半数」を満たし,労働者を守るという役割を担い続けていくことは労働組合の責務といえるでしょう。

 注記)「Union's Dictionary」『連合東京』https://www.rengo-tokyo.gr.jp/glossary/

 以上の説明のなかには「労働組合では今後,非正規雇用者の組織化に注力する必要があります」と書いている段落があるが,さほど新味(親身)さが感じとれない文句である。


 毎日新聞』の報道から

 1)「連合30年『非正規』対応遅れ地盤沈下   若者そっぽ『労働者の代表』険しく」毎日新聞』2019/10/11 21:02,最終更新 10/11 21:24

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 --1989年の結成時に約800万人を数えた連合の組合員数は,長期的にみると減少傾向にある。2007年には665万人に落ちこみ,701万人(今〔2019〕年10月時点)にまで回復したものの,目標の1000万人には遠く及ばない。

 その背景には,パートや派遣など非正規雇用で働く人への対応の遅れがあるとされる。若者を中心に多様な働き方が広がるなか,連合はフリーランス外国人労働者に対する支援も含めた「フェアワーク推進センター」を今大会で発足させた。陰りをみせる存在感を回復できるかどうかが今後問われそうだ。(引用終わり)

  以上のように指摘されていた事実は,2年前の連合をめぐる労働経済問題の一環として報道されていた。『毎日新聞』は,こうした記事を踏まえてだと思われるが,さらに一月ほどあとには,つぎの社説も書いて,連合を批判していた。


  2) 「『連合』結成30年 存在感をどう取り戻すか」毎日新聞』2019年11月18日朝刊「社説」

 主要な労働組合の全国組織,日本労働組合総連合会(連合)が今週,結成30年を迎える。

 この間,バブル経済が崩壊しデフレが長引いた。グローバル化の進展も重なり,雇用環境は激変した。最大の変化は,経済界が求めた規制緩和などを受けた非正規労働者の増加だ。

 2018年に2120万人に上り,働く人に占める割合は30年弱で約2割から約4割に増えた。だが連合は,時代の変化に十分対応できなかった。

 春闘では,雇用が危ぶまれるような状況に,ベースアップ要求さえかかげられない時期があった。一方,安倍政権が経済界に賃上げを要請する異例の対応に乗り出し,連合の存在感が低下した。

 組合員数は発足時の約800万人を下回る約700万人になった。組織率の低下が指摘されている。

 連合は大企業の正社員が主導し,特権的な正社員クラブとも皮肉られてきた。2008年のリーマン・ショック後の「派遣切り」を機に,非正規労働者の加入を進めてはきたが,道半ばだ。

 政治的な影響力も薄れてきている。かつては,連合が支持する非自民勢力による政権交代をめざし,細川連立政権や民主党政権の誕生に一役買った。

 だが,自民党が政権を奪回すると民主党は分裂した。連合傘下の労組の支持は立憲民主党と国民民主党に分かれ,股裂き状態だ。原子力発電などの政策面でも,意見の統一を図れていない部分がある。

 労働組合の意義じたいはいまも変わらない。過労死は続くが,政府主導で成立した働き方改革関連法では,残業時間の上限が過労死の労災認定基準レベルだ。職場内外のハラスメントや若者らのブラックバイトなど,働く人が直面する問題は多い。

 こうした課題に対応できなければ,ますます存在意義を失う

 連合は30周年を機に,非正規にくわえ,フリーランス外国人労働者らの相談に応じる「フェアワーク推進センター」を新設した。関係するNPOなどとの連携も大切だ。

 存在感を取り戻すには,「弱い立場の働く人を守る」という原点に立ち戻り,組合員以外の人も支援する活動を広げなければならない。(引用終わり)

 連合という労働組合の全国的な上部組織に加入できる,主に企業別組合のある会社に勤めている労働者群はさておき,現実には,全労働者のなかには4割近くも存在するそのほかの労働者群が「非正規雇用形態」をもって存在する。

 非正規雇用の立場に置かれている労働者の場合,勤務する会社(それも中小企業)に労働組合があるという例は,ごく少数派である。したがって,こちらの部類の属する労働者たちは,つぎのようにして,別種の労働組合に加入するほかない。

    ◆ 一人でも加入できる合同労組・ユニオンとは? ◆

 

 ※-1 合同労組・ユニオンとは

 労働者が所属している会社を問わず,個人単位で加盟できる労働組合のことをユニオンまたは合同労組といいます。

 ユニオン・合同労組は,一般的な会社別の労働組合とはちがって,複数の会社や異業種の会社の労働者が,その加入員となっています。

 

 ※-2 ユニオン・合同労組の特徴をあげると,つぎの5つの特徴があります。

      職業に関係なく誰でも加入できる

      一人でも加入できる

      会社に労働組合がなくても加入できる

      雇用の種類に関係なく加入できる(正社員,パート,管理職)

      退社後も加入できる

 

 未払残業代などのちょっとした従業員とのトラブルをきっかけに,従業員が合同労組に加入したり,解雇した従業員が合同労組に駆けこんで団体交渉の申入れがあったり,労働組合問題は経営の根幹を揺るがすような大問題に発展することも少なくありません。

 

 ※-3 合同労組・ユニオンの現状

    合同労組・ユニオンは,日本全国にあり,柔軟路線をとる組合からイデオロギー性の強い労使対立路線の組合まで幅広くある。

    労使対立路線の組合のなかにも,落としどころを考える組合とあまり考えない組合がある。

    連合加盟であっても強硬な組合もある。

    組合の交渉担当者によっても経営側への対応が変わってくることがある。

    加入する組合員にも影響を受ける。

 注記「一人でも加入できる合同労組・ユニオンとは?」『山口県下関市社会保険労務士事務所』(〒752-0975 山口県下関市長府中浜町3-17),https://www.6064.jp/article/13633259.html

 こうした合同労組がある一方で,連合がなんとなく申しわけ程度に,「今後,非正規雇用者の組織化に注力する必要があります」といってみたところで,その本気度に関しては疑いが抱かれて当然である。

【参考記事】

 

 労働者を囲む現実社会のつらい世相-連合にかかわる労働者たちがそれなりに「上級市民」の立場に居るように映る事実-

 1)「〈声〉どう支える,弁当に並ぶ人々」『朝日新聞』2021年11月22日朝刊6面「オピニオン」

 この声欄への投書主は「無職  占部邦彦,大阪府 79歳」である。

 生活に困っている人を支援するNPO法人が東京・池袋の公園で無料で弁当を配る様子を伝える,衆院選の企画記事(10月16日付)を読んだ。中高年だけではなく,若者や夫婦連れも弁当を求めて並んでいると書いてあった。

 

 私は2000年に33年間勤めたゼネコン会社を早期退職し,住宅関連会社を起こした。しかし3年で資金がゆきづまった。そんなころ,大阪の淀川べりを散歩していて,ブルーシートのテントや段ボールハウスが並んでいるのをみかけた。

 

 「ここに住んでいる人にも色々な人生があったのだろう」という思いがめぐり,会社がゆきづまったこともあって不安がこみあげてきた。幸い会社を売却し,再就職で生活を維持することができたのだが。

 

 衆院選の前,フィンランドの友人から連絡があった。「日本はいつから後進国なんだ」と聞かれた。日本の退潮は遠く離れた国でも話題になっているらしい。政治家は弁当に並ぶ人びとをどう支えようとしているのだろうか。

 この〈声〉の発言のなかに出ていた「大阪市内で当時みられたブルーシート・テント」については,本ブログ筆者も,2000年よりも数年か前だったが,大阪府に出張した時,よく目にしたものである。その後は美観ウンヌンということで,そこに暮らす人びとが,非難されることもあって,いつかしら「彼らの存在がそこからはひとまず一掃された」と聞いている。

 2)「コロナ打撃の非正規女性,転職活動『半年以上』2割 『希望の求人ない』『不採用に』」『日本経済新聞』2021年11月24日朝刊39面「社会」

 新型コロナウイルス感染拡大の影響でシフトが減り,新しい仕事を探しているパートやアルバイトの女性の2割超が,半年以上転職活動をしていることが野村総合研究所の調査で分かった。約4人に1人に相当し,希望に沿う求人が少なく,応募しても不採用になるなど,きびしい状況が浮き彫りになった。

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 今〔2021〕年8月,パートやアルバイトで働く20~59歳の女性のうち,コロナの影響でシフトが減り転職の意向がある人を対象に調査。全国の2060人から回答をえた。

 このうち実際に仕事を探している女性は31.2%。転職活動期間が「6カ月くらいまたはそれ以上」が23.4%,「4~5カ月くらい」が10.1%,「2~3カ月くらい」が23.1%だった。

 仕事探しの苦労を複数回答で尋ねると「希望する条件に合う求人がみつからない」が70.2%で最多。「新しい仕事を探す意欲を維持するのが難しい」が35.5%,「応募しても採用されない」が26.6%と続いた。

 転職希望はあるものの仕事を探していない女性にその理由を尋ねると,求人の少なさや,収入のない期間が生じると困るなどの回答が上位を占めた。

 野村総研は「雇用移動の円滑化には,資格取得や職業訓練と合わせて,それに対する経済的支援の強化が有効だ」と指摘している。(引用終わり)

 この 2)の記事についてはさらに,その内容として深い関連のある諸記事を掲載してきた「ライフ  貧困に喘ぐ女性の現実」『東洋経済 ONLINE』 https://toyokeizai.net/category/hinkon  を参照しておきたい。

 本日:2021年11月26日の午前10時半ころで,その『東洋経済 ONLINE』に出ていた「単身女性と母子家庭の貧困」の問題に関した記事を,上から10件にかぎるが,「連載されている記事」の「表題(見出し)」のみ紹介しておく。

  ◆-1 「死ぬまで低賃金」を嘆く56歳元専業主婦の貧困」2021年7月26日。この連載では,女性,とくに単身女性と母子家庭の貧困問題を考える……。

  ◆-2「51歳女性『年収200万の正社員』までの険しい道」2021年5月4日。この連載では,女性,とくに単身女性と母子家庭の貧困問題を考える……。

  ◆-3「『暴力の連鎖』を断ち切った20代女性の半生」2020年4月24日。この連載では,女性,とくに単身女性と母子家庭の貧困問題を考える……。

  ◆-4「『母の叱責』で精神病発症した彼女の壮絶人生」2020年3月12日。この連載では,女性,とくに単身女性と母子家庭の貧困問題を考える……。

  ◆-5「17歳少女が『知らない中年男性』と同居する事情」2019年11月26日。「Yahoo! 本屋大賞  2019年ノンフィクション本大賞」にノミネートされるなど,大きな話題……。

  ◆-6「生活保護でも幸せ」を訴える33歳女性の半生」2019年9月4日。 この連載では,女性,とくに単身女性と母子家庭の貧困問題を考える……。

  ◆-7「日本の貧困問題,本当に『自分はまだ大丈夫』か」2019年6月26日。作家やテレビのコメンテーターとして活躍している室井佑月氏は,日本社会に広がる貧困問題について関心を……。

  ◆-8「最底辺から抜け出せない!  准看護師の49歳女性」2019年5月31日。この連載では,女性,とくに単身女性と母子家庭の貧困問題を考える……。

  ◆-9 幼児を放置して「彼氏」に会う42歳女性の悲哀」2019年4月5日。この連載では,女性,とくに単身女性と母子家庭の貧困問題を考える……。

  ◆-10「東京の『生活保護』はまったく機能していない」2019年3月22日。大学卒業後に重くのしかかる奨学金,いくら成果を出しても変わらない派遣の給与,収入が低くても受給できない……。

 以上の話題,「単身女性や母子家庭」のとくに苦しい生活経済状況は,本日の連合という「労働組合の上部組織」の立場・利害・関心にあっては,もしかすると縁遠いた問題の対象になりえないのか?

 この種の深刻な話題は,連合というこの労働組合の上部組織に加盟する「産業別労組⇒企業別労組」にそれぞれ所属する労働者にとって,いかなる現実的な意味をもっているか? はたして,そこからひしひしと伝わってくるはずの「生活関連の苦境に対峙させられている人たち」(ここでは女性たち)に関した「同情的な実感」がもてるかどうか,ということであった。

 『日本経済新聞』2021年11月22日朝刊5面「ビジネス」のコラム「経営の視点」は,編集委員安西 巧が「四半世紀の重電不況   あすには『負け組』競争続く」という話題であったが,日本国籍の重電産業のサバイバル・レースを取りあげていた。

 この重電産業の大手企業に勤めている日本の労働者諸氏,もしかしたら「いつか突如として自分の会社が潰れて仕事がなくなり,放り出される機会がこない」とはかぎらない。一流大手企業に勤務する労働者たちが,そういったたぐいの予見(まさかの悪夢)など全然抱いたことはない,というわけでもあるまい。

 前段までの話題は,連合という「労働組合の上部組織」に加盟している産業ごとの企業別組合の一組合員である人びとにとって,「完全に無縁なモノである」などと自信をもっていえるか? 

 もちろん,リクツとしては誰でもが多分,文句なしに認識できている問題だと思われる。だが「いまの自分の立場」から観て,前段『東洋経済 ONLINE』があれこれとりあげている,とくに「単身女性と母子家庭の貧困問題」がまったくの他人ごとだとみなせる人は,現在的にはそれなりに幸いでいられるのかもしれない。

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徐々にかつ確実に衰退してきた日本の国家体制,自民・公明はむろん立憲も共産も(維新は論外),この国の未来を展望できずまともに復旧できない,人民たちがこれからもただ困窮していくばかりで,高齢化現象だけが昂進しつつ弱小後進国へと突きすすむだけの現状(その2)

 国家運営体制のあり方に対して向けられるべき,つまり最低限は絶対に必要である「国民としての権利であり義務である」「本当の怒り」を忘れた「この民たち」になりはてたままで,今後も同じに生きていけるつもりか?

 3代目のろくでもなく世間しらずの世襲政治屋たちが,国会では国民たちの日常生活感覚とはまったく無縁の別世界で,踊り狂うようにして,それも仲間うちの「毛繕いばかりである」「手前勝手の私物化為政」に専念しているが,これでいいのか,許していていいのか。

 そうこうしているうちにこの国は,彼奴等が奏でる行進曲に乗せられ後進国化へと向かう道を,足並みをそろえてこれからも確実に歩まされるほかないのか。国政選挙に半数が棄権する国民たちがいるのだから,もしかするとその行進曲が奏でる意味についてすら,まだまともに理解できていないということになるのか。

「本稿(その1)」は以下の記述である】

 

  本日:2021年11月25日の新聞報道にみつかる関連の記事から紹介
     -弱者・貧者をまともに救わぬこの国は,ろくでなしの「世襲(2・3代目)政治屋」がのさばり,「3流国風の体たらく」が乱舞するー

 1)「〈経済気象台)バラマキより継続的支援を」朝日新聞』2021年11月25日朝刊10面「金融情報」

 岸田首相が創設した新しい資本主義実現会議は緊急提言で,持続可能性や「人」を重視する新しい資本主義の構築や,多様性と包摂性を尊重し,誰一人として取り残さない社会の実現をうたった。効率一辺倒だった経済運営が変わる,という期待を抱いた国民も少なくなかっただろう。

 しかし,公表された経済対策は規模の大きさへのこだわりや不明確な財源確保策,給付金のバラマキなど,期待にそぐわない古臭さを強く感じさせる。とくに子供向け給付金は特段困っていない世帯にも広く配られ,選挙目当て以外の意図を汲みとることがむずかしい。

 コロナ禍によって生活の糧を失った労働者やその家族を,眼前の危機から救う必要性と緊急性はいうまでもない。しかし,非正規労働者や母子家庭,貧困世帯,障害者,要介護高齢者など,大きな困難に向きあう多くの人びと,

 換言すれば成長と分配から取り残されてきた人びとには,一度かぎりの救済を超えた継続的支援の強化充実こそが重要だろう。彼らを日々支えるNPOへの支援強化を含め,税制・財政・制度を通じた手立てに知恵と金を絞ってほしい。

 コロナ禍で過大な債務を抱えた中小企業は,これから正念場を迎える。コロナ後の経済社会の変容や,ゼロカーボンやデジタル化のうねりに対応した,中小企業ならではの付加価値の創出が不可欠である。当座の現金給付を超えて,たとえば外部専門機関の伴走型支援をえて事業変革やイノベーションに取り組む企業への継続的支援が必要だろう。

 岸田首相がめざす新しい経済社会の実現に特効薬はない。地道で息の長い支援と政策が不可欠だ。われわれはそれをアベノミクスの失敗から学んだはずではないか。(山人)(引用終わり)

 a) 岸田文雄政権は「文雄を仮面を被った晋三・アベ」的な政権だと皮肉られた点は,すでに既知のことがらであった。この経済気象台への寄稿をした人物「山人」は,このようにはっきりと『アベノミクスの失敗』と記している。

 2021年12月26日に成立・発足した第2次政権以後の安倍晋三による〈お子様的な総理大臣〉為政は7年と8カ月続き,そのあとに登場した菅 義偉政権も,ヒドクすさんだデタラメ政権だったゆえか,1年ほどしかもたず,2021年10月4日には退場した。

 というしだいで,そのあとに岸田文雄が登場するまでこの国のマツリゴトは,政治の面では民主的な基盤が破壊しつくされ,経済の面では沈下傾向ならばより確実となってしまい,社会の面では不安と不幸と不満がうっせきするばかりであった。

 アベノミクスがうわべだけなのであれば華やかに提唱されていた時期,このコラム「経済気象台」に寄稿されたごとき前段の文章に相当するような記事が,大手紙の経済面に掲載されることはなかなかむずかしかった。

 要は「社会の木鐸」としての使命に関する自覚が,新聞社(大手紙)には多かれ少なかれあったはずだという社会認識は,当の新聞社「幹部記者たちの記憶」からはどこかへ飛んでしまった状態になっていた。

 いまごろ,このコラム「経済気象台」の寄稿者のように発言してみてくれたところで-もちろん,いわないよりはずっとマシではあるけれども-,安倍晋三君がまだ首相をやっていた時期においてこそ,このような批判(論評)がそれこそガンガン放たれることがなかったという「過去:歴史の実績」は,いまとなってはなんとももの悲しい記憶である。

 b) たとえば,つぎに参照する『朝日新聞』2021年10月20日朝刊の1面記事のなかに出されていた統計図表は,あのアベノミクスの提唱者自身がまさしく世襲政治屋として,とりわけ3代目としてのダメさ加減を,まさに文字どおりに『売り家と唐様で書く三代目』として,大いに発揮しつづけた「2010年代における日本経済過程〔が衰退していく様相〕」の実態を分かりやすく描いていた。

【参考記事】-『朝日新聞』2021年10月20日朝刊から-

 

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 ところが,当時の過程のなかですでに分かりきっていたそうした「歴史の事実」が,その時々において安倍晋三に向けて突きつけられ,批判の材料に使われ,その責任をとりあげ,問い詰めるといった「新聞記者であればしごく当然の仕事」は,なぜか,極力回避されていた。つまり,言論人みずからが自分たちの萎縮した立場を,無様にもさらけ出していた。

 だが,安倍晋三とこの相棒だった菅 義偉が首相を辞めてから2週間ほど経ったところで,前掲の2021年10月20日朝日新聞』「朝刊の1面」においてようやく,このように「アベノミクスのダメノミクス的なゴミノミクス性」,いいかえれば「国民生活全体にとっては無益であるどころか有害な基本性格」を,視覚的に分かりやすくする工夫をした図表が出されていた。

 しかし,これこそまさに時遅しの事例であった。

 安倍晋三がまだ首相であった時期にであれば,このような図表は「政権の失策」を真っ向から批判する記事の中身として生きかされているはずだった。だが,その後の「当時の〈いまごろ〉」になってから,それを朝刊1面にかかげて説明したところで,これが本来意味させようとした中身の〈現在的な価値〉は半減(以下の意味)にしか受けとれない。

 c) 要は,安倍晋三の第2次政権下,「腰が引けた報道しかできなくなった大手紙」は,安倍晋三や菅 義偉の極端なまでの悪政(失政・暴政)に少しも歯止めをかけられず,いいようにやられっぱなしであった事実を記録する新聞・紙面造りしかできないでいた。

 だから,アベ・スガが首相だった時期,2012年12月26から2021年10月4日という期間は「日本の民主主義は窒息死寸前」にまで追いこまれていた。この事態に真っ向から抵抗する大手紙はなかった。

 そのせいか,冗談半分(以上!?)に世間では,日本のクウォリティ・ペーパーは『日刊ゲンダイ』だなどと大マジメに評価されている。この指摘はいまとなっては,冗談ではなくなっており,以前であればそれほど真剣に相手にもされなかったこのタブロイド判夕刊紙が,アベ・スガの極端なまでの悪政がつづく政治状況のなかで,新聞業界における相対的な地位を確実に上昇してきた。

 補注)ウィキペディアの説明。『日刊ゲンダイ』は,講談社系の出版社である株式会社日刊現代が発行するタブロイド判夕刊紙で,雑誌出版社の業界団体である日本雑誌協会に加盟している。国立国会図書館の分類ではスポーツ紙・夕刊紙に分類されている。日本新聞協会には加盟していない。即売を中心に,キヨスクなどの駅売りでは『夕刊フジ』や『東京スポーツ』と競っている。 

 要は「時の政権」の為政に関した「事実・真実」に肉薄し,その批判的な解明もできる報道姿勢を,基本から放棄した「アベ・スガ時代の大手各紙」は,報道機関としての存在価値をみずから矯める「権力・体制〈忖度〉路線」を選択していた。

 2020年東京オリンピックの開催は1年延期して,それもコロナ禍の最中にあえて実施されていたが,このムリ・無謀を基本から問題にし,批判する大手紙はなかった。というのは,五輪の支援企業に大手紙全部がなっていたゆえ,批判的な報道など,初めからできる相談ではなかった。

 そうした新聞業界の負抜けた情勢のなかではあるが,『日刊ゲンダイ』のほかにも,なぜか「スポーツ紙」の『スポニチ』(『スポーツニッポン新聞社』)が,政治欄のなかで果敢に政権批判を試みる記者がいたことが目立っている。

 d) 大手紙でも格別にヒドイのが『読売新聞』である(『産経新聞』も同列であるが,準大手紙)。『読売新聞』は報道をするのではなく,政府「広報紙」(使いっ走り:パシリ)の役目まで果たす,といったごとき体たらくを犯してでも新聞を発行してきた。

 『読売新聞』は文部科学省事務次官(当時)であった前川喜平に対して,完全にデッチ上げの記事を,官邸の意向を受けて書いていた。それも全国「地方版」の紙面全部に共通する記事として報道していた。この事実は,この読売新聞社は権力の手先であることまで告白した「事件」であった。この事件は『読売新聞』の歴史的な伝統一端の発露でもあったが……。

 補注)この『読売新聞』による前川喜平を「悪人化するために書いた政権奉仕のための捏造記事」の本性については,郷原信郎がブログに書いて分析し,批判をくわえていた。

 ここでは,『HUFFPOST』2017年6月5日の記事として転載された「該当の文章」から引用しておく。長文であるが,説得力がある。郷原「読売新聞は死んだに等しい」とまで決めつけていた。

 

 2)『日本経済新聞』2021年11月25日朝刊から,つぎの2点の記事をとりあげ参照し,若干の議論をしてみる。

 ※-1「賃上げ税制,実効性に壁   政府・与党,意見に隔たり   控除率・対象の要件焦点」(5面「経済・政策」)からは,前段にかかげてあった図表と類似の図表を,この記事から抜き出して紹介しておく。

 だいぶ上のほうにかかげてあったが,その先の図表と比較して分かるのは,こちらでは韓国を外した図表になっていた点である。その理由は説明するまでもあるまい。前段のその図表と比較してみれば,どうして韓国の折れ線グラフが除かれたか理解できそうである。

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 ※-2「〈大機小機〉規模追う経済対策,『賢さ』遠く」(25面「経済・政策」)

 各方面からの歳出拡大要求が強まる時にこそ賢い支出(ワイズスペンディングを心がける必要がある。ところが,〔11月〕19日に決まった経済対策は賢い支出から程遠い内容になってしまった。

 対策の総額という規模から議論が始まったのが間違いの元だ。規模が先に来ると,それを埋めるために必要性の薄い施策まで詰めこんでしまうことになる。

 規模で「過去最大」といったり,海外の財政支出と比較したりするのも間違いだ。経済対策のなかには国費による分と財政投融資による分,国内総生産(GDP)の増加に寄与するものとしないもの,新型コロナウイルス対策のように,経済効果を狙ったものではないものなどが入り交じっている。こうした多種多様な対策を総規模で評価することはできないはずだ。

 個別の政策についても,およそ賢いとはいえない政策が盛りこまれた。代表例を二つ挙げよう。

 ひとつは18歳以下の子供がいる世帯への10万円相当の給付だ。これはなんのための給付なのかが分からない景気対策だとすれば,貯蓄率が高い現状では消費にはつながりにくい。困窮世帯を助けるためだとすれば,子供をもつ世帯が困窮世帯だとする根拠が不明だ。子育て支援だとすれば,1回だけ給付金を配っても効果はないだろう。

 もうひとつはガソリンの元売り業者への補助金である。これは自由経済の基本である価格の資源配分機能を阻害する。原油価格の上昇は石油の希少性が高まったというシグナルであり,それに従って石油関連製品の消費が抑制されるのが本来のメカニズムである。補助金によって切断すると効率的な資源配分が阻害されることになる。生活必需品が多いなかで,ガソリンだけに補助金を出す理由も不明だ。

 デフレの克服にも逆行している。日本の企業はコストアップを末端価格に反映させないよう努力してきた。それが賃金が上がりにくく,デフレ的な状態から抜け出せないひとつの理由である。企業はむしろ積極的にコストアップを価格に反映させるべきなのに,ガソリン補助金はそれをすべきでないという誤ったメッセージを伝えてしまう。

 今回の経済対策が,賢くない支出を多く含むものになってしまったのはまったく残念なことである。隅田川)(引用終わり)

 このコラム〈大機小機〉は,さすがに「アホノミクスを継承したかのようなキシダノミクス」(いずれも,このなんとかミクスに関した命名は浜 矩子による)の「賢くない」,つまり経済運営の基本方向すらもとからよく分かっていない現首相の「愚かさ」を批判している。

 なかでも,最近になって出てきた施策,「18歳以下の子供がいる世帯への10万円相当の給付」という対策は,「年収で960万円の所得制限」を付けていて,これ以上の所得がある世帯には給付しないという方針であったが,その後,与党内からも批判が出ていた。

 しかし,その世帯ごとに給付という当初の考え方がだいぶズレていた。つぎの図表は『東京新聞』から借りたものである。いまどきは夫婦が共働きする世帯が多数派になっている。

 にもかかわらず,専業主婦(これはけっして主夫を想定していない)の存在を大前提にした,しかもおおげさではなく「時代錯誤の発想」が,今回の「年収960万円の所得制限」という条件を付したかたちで,この「18歳以下の子供がいる世帯への10万円相当の給付」が決められていた。

 ◆「制度創設時は専業主婦が多かった」のだが「今は昔」◆

 

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 だとしたら,夫婦ともに働くこの2人がそれぞれ年収959万9999円ずつで,世帯としての年収の合計が1919万9998円ならば,その子供向けの給付は受けられる。この数値・金額の話題は一気に飛躍させて解釈するとなれば,こういう議論もできる。

 --明治中期以来にデッチ上げられてきた「日本伝統の家・家族観」は,その理念的な核心部分を〈家族の絆〉に求めていた。そこにあっては「夫が働き,妻や子供たち,さらには高齢のその祖父母まで,その夫=父が扶養する」という,いってみれば,大昔からいままで,けっして普遍的なあり方ではなかった「明治期に造型されたと思われる〈理想的な日本の家・家族の姿〉」「家父長制」が控えていた。

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 補注)フグ田夫婦の「フグ田」という姓は夫マスオの「姓」である。この同じ屋根の下に暮らす一家は「別姓・同士」として「家族の絆」の点に関して,「潜在的に問題あり」ということにならないか? 別姓使用反対の人たちは「同じ屋根の下」という観点では,いったいどのように考えるか?

 漫画『サザエさん』一家に典型的に代表される,敗戦後のある時期を想定して求められた家・家族「像」に関してだが,「標準形とみなされた一家の人的構成」を想起してみればいい。だが,21世紀の現時点では「1人住まい」と「夫婦(老)2人住まい」が,世帯の半数以上を占めている。

 2020年において単身世帯の比率は3割,核家族(夫婦と子供数人〔以上〕)が6割,「3世帯同居」が5分(5%),その他6分(6%)である。

 補注)「核家族」とは,a)「夫婦のみ」,b)「夫婦+未婚の子供」,c)「父親か母親のどちらか一方+未婚の子供」の構成による3形態の世帯を意味し,含む。となれば,「単身世帯」と a)「夫婦のみ」で子供の居ない世帯とを足すとどうなるか?

 いくつの統計をみて判断する。その a)「夫婦のみ」の世帯は,2021年だとほぼ2割5分にかぎりなく近づいたと観察できる。これはしかも「下一桁の%」単位での違いしかなかった。

 ともかく「単身世帯」と「夫婦のみ」の世帯を合計すると,全体のうち「5割5分」が「子供のいない(もしくは同居なしも入れての)世帯」である。

 単身世帯に家族の絆がまったく無縁の意識(観念)だとはいいきれない。血縁や姻戚の関係がある場合,同居していないその相手との間柄において,その絆がなにもないなどと断定はできない。その点はそれぞれの場合によってまたいろいろである。

 また,夫婦の間柄(これは「絆」だけで捕捉できる感情か?)になると,家庭内離婚はさておき,夫婦間でその絆というものが具体的にはどのように把握できるのか,まだ分かりにくい。そう解釈しておくほかあるまいい。

 以上の説明にさらに,異論があるようであれば,それなりに反論し,説明し,説得する努力をしてほしいものである。しかし,このあたり問題を生活感覚的に,かつ家族社会学的な見地から,平明に解説してくれる人はみつかっていない。「家族の絆」が情緒的に叫ばれる割には,それを論理だって説明できる人がいない。自民党関係者でさえ,以上に関した “まともな説明” が提供できていない。

 だがそれでも,いまの自民党世襲政治家たちの頭中に収まっている脳細胞の理解によれば,サザエさん物語り的には「家族の絆」が想定可能である。だから,夫婦共稼ぎの世帯にあっては,子供が居れば「10万円相当の給付」が,「ダブルチャンス:2倍というかたち」をとって,2人ともに小さな幸運が受けられることになる。しかし,当然のこと「それっておかしいよね」という話題になっていた。

 この「18歳以下の子供がいる世帯への10万円相当の給付」は,途中から半額はクーポン券で,それもあとで渡すとかなんとか,来年7月に予定されている参議院選挙の意識してなのか,小手先でこねくりまわすばかりの〈ケチ臭い工夫〉まで画策されてきた。

 つぎの ② の話題は,〈ならず者〉たちが構成する日本維新の会は,自民党の第5列ではないかという話題である。

 

 「『ダメ野党物語から記述を再開』『野党は批判ばかり』を植え付けたいのか「野党批判』しかしない維新・吉村」『まるこ姫の独り言』2021.11.21,http://jxd12569and.cocolog-nifty.com/raihu/2021/11/post-5c4f7e.html
 
 「野党はなんでも反対・批判ばかりしている」という与党や維新。百歩譲って自民党がいうなら話も分かるが,なんでいちおう野党の維新がそれをいう? メディアまで野党批判を繰り広げるこの国。

 この国では,声の大きな人たちによりいったもん勝ちの「野党は批判ばかり」が定着してしまった。というわけで,本来の役目を果たしてきた野党が批判ばかりされている。

 維新が「野党は批判ばかり」に貢献したのはいうまでもない。その吉村,偉そうに上から目線で立憲を論評している。

 ▲「吉村知事 立憲民主に『何でも反対,批判から脱却してもらいたい』代表選告示で」2021/11/19 (金) 16:29 配信『デイリースポーツ』。
 
 ▲「吉村知事は『他党のことなのでとくにコメントはない』としながらも,『立憲民主党もとにかくなんでも反対,とにかく批判,官僚をつるし上げる,スキャンダル追及…そういったことから脱却してもらいたい。自民党,与党が非常に強いので,われわれ維新としては自民党と勝負できる野党をめざしていきたい』と思いを明かした」。

 「他党のことなのでとくにコメントはない」といいながら,どれだけコメントしているんだ? まったく狡猾な奴だ。しかも,「あることないこと」ではなく「ないことないこと」を,いかにも真実のように話すから始末に負えない。

 多分,維新ファンや,国会をただの一度も観たことた事のない国民は「立憲民主党は官僚をつるし上げたり,スキャンダル追及しか能が無いんだ。。」と思いこみ,それが刷りこまれていくのだろう。

 維新やメディアの「野党は批判ばかり」誘導は,もう相当この国の国民は刷りこまれている。国民の政治に無関心や無知を利用する維新や自民の戦略は巧み過ぎて怖くなる。

 現に立憲のなかからも「野党ヒア」に及び腰になっている議員がどんどん出ている。すっかり委縮してしまって野党本来の役目を放棄しようとしているのは,なんなんだ?

 「野党は反対ありき」とか「政策論もやらずスキャンダル追及」と思っている人は,国会を観たことがない人だ。

 別に維新を除く野党は,つねに与党に対して反対ばかりしているわけではなく対案を出しているし法案にも賛成している。その他に疑問に思ったことを質しているだけだ。

 だからこそ,モリカケ問題や桜を見る会の税金私物化が発覚し,アベスガ政権の公文書改ざんや捏造や廃棄が明るみになった。これは野党の功績じゃないか。

 維新や国民は,官僚をつるし上げは見苦しく気の毒で不毛だといいたいのだろうが,官僚は与党命でいるから,野党がどれだけ質しても質している方をバカにしているとしか思えない,のらりくらりの返しが常態化している。

 質している方が少し声を荒げたら,つるし上げ? 冗談じゃない,官僚の野党(国民の代表)を小馬鹿にしたような態度を問題視するべきだ。

 しかし,維新が自民党と勝負できる野党って,どんな悪い冗談なのか。自民党といっしょになって暴走するだけじゃないか。自公に維新が付けば,怖いものなしでこの国は壊れていく。

 自分さえ良ければの非常識な社会に拍車がかかる。(引用終わり)

  「自分=自民党」政権さえよければの「非常識な政治社会意識」に拍車がかった状態にあるのが,いまの日本という国家体制の全体的な様相,その政治病理として深刻な症状である。

 前項 ② の記述に即していえば,『サザエさん一家』風にもとづく時代遅れの感覚で理解した「2021年における日本の『家・家族像』」は,基本からして完全に見当外れになるほかなかった。それでも,脳天気政権なりに創案した「臨時・子供手当支給」が決められていた。

 そもそも,いまの若者たち(20代としておく)はそのうちかなりの数が,結婚願望すら諦めてしまい,封印するほかない経済生活環境のなかに生きている。世帯も家庭ももてない年収層(所得層⇒下級市民)にとってみれば,「結婚⇒子供誕生⇒・・・・」という人生の行路そのものすら,初めから絶望的な気持に落ちこみながら放棄せざるをえない状況に置かれている。

 補注)昨日におけるこのブログの記述では,介護職を24年間,17万円の手取り給料で生きてきたが,42歳の現在は辞めて無職であるという人物の嘆きを紹介した。月給手取り17万円だったら,自分1人でしか生きていけないのは「道理以前の無理」に相当する話題にしかなりえない。

 この42歳の人は男性か女性か,明かしていなかった。おそらく女性かもしれない。また多分,未婚なのかもしれない。その仕事を始めた時は18歳になるはずだから,高校を卒業してずっと介護職の仕事をしてきたものと推察する。この人は,結婚する機会があったのか推しはかれるような材料は書かれていなかったので,なんともいえないのだが,あれこれ想像してみたくなっていた……。

 自民党政権は,現代の若者たちを囲み支える「現実の生活状況・基盤」の実態を,よくしらないらしい。世襲3代目の政治屋ともなれば,そうした現代の若者たちの当面している苦労・懊悩は,想像のおよばない「現実の世界,実際の社会」の出来事なのか。

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【未 完】「本稿(その3)」はできしだい,ここに住所を指示する。

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徐々にかつ確実に衰退してきた日本の国家体制,自民・公明はむろん立憲も共産も(維新は論外),この国の未来を展望できずまともに復旧できない,人民たちがこれからもただ困窮していくばかりで,高齢化現象だけが昂進しつつ弱小後進国へと突きすすむだけの現状(その1)

 国家運営体制のあり方に対して向けられるべき,つまり最低限は絶対に必要である「国民としての権利であり義務である」「本当の怒り」を忘れた「この民たち」になりはてたままで,今後も同じに生きていけるつもりか?

 3代目のろくでもなく世間しらずの世襲政治屋たちが,国会では国民たちの日常生活感覚とはまったく無縁の別世界で,踊り狂うようにして,それも仲間うちの「毛繕いばかりである」「手前勝手の私物化為政」に専念しているが,これでいいのか,許していていいのか。

 そうこうしているうちにこの国は,彼奴等が奏でる行進曲に乗せられ後進国化へと向かう道を,足並みをそろえてこれからも確実に歩まされるほかないのか。国政選挙に半数が棄権する国民たちがいるのだから,もしかするとその行進曲が奏でる意味についてすら,まだまともに理解できていないということになるのか。


  本日:2021年11月24日の『朝日新聞』朝刊記事など

 1)「円安,加速の見方も   一時115円台」朝日新聞』2021年11月24日朝刊4面から後段(部分からで,この記事の半分ほど)の引用

 為替市場では〔2021年〕9月以降,日米の金融政策の違いなどから円安傾向が強まっている。FRBは,コロナ下で始めた金融緩和を縮小させる方向にかじを切ったが,日本は経済回復が遅れ,物価も低迷。このため,日本銀行は大規模な金融緩和を続ける方針で,今後も日米の金利差を背景とした円安傾向が続く可能性がある。

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 市場関係者の間では円安はさらに加速し,120円まで下がるという見方もある。円安は資源高などを通じて家計や国内の中小企業などの負担増にもつながるだけに,コロナ禍からの経済回復の足かせになりかねない。

 三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩氏は「日本の金融政策が変わらないかぎり,当面は円安ドル高の基調は変わらない。(年内は)一気に116円をうかがう展開があるかもしれない」とみる。

 円安は輸入品の価格上昇につながり,企業の調達コストが上がったり,ガソリン価格の値上がりなどを通して市民生活に悪影響があったりする。みずほ証券の山本雅文氏は「2023年に向けては120円ぐらいまで円安が進む可能性があるが,景気回復や賃金上昇が伴えば,企業もコスト増を販売価格に転嫁でき,対処できる」とみる。

 ただ,足元では,10月の国内企業物価指数が40年ぶりの高い伸びを示す一方で,消費者物価指数はほぼ横ばい。多くの企業で価格転嫁が進んでいないことを示しており,円安がさらに進めば収益をさらに圧迫しかねない状況だ。(引用終わり)

 この記事を読んでからこの朝刊の面(頁)をさらにめくっていくと,23面「生活」欄には,こういう投稿(次段に引用する)が採用され,記事として掲載されていた。それを紹介する前に,まずつぎの図表を参照しておきたい。

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 この投稿は,この図表「平均年収の推移」に記載された「『年収・折れ線グラフ』の期間」(1990年から2018年)内に収まる〈話題〉として聞けるはずである。24年間介護職を務めてきたが,この仕事では食っていけない,まともな生活が形成できない賃金水準だという嘆きになっている。

      ◆〈ひととき〉介護職,24年続けたが ◆
        (札幌市  匿名希望  無職  42歳)
     =『朝日新聞』2021年11月24日朝刊23面「生活」= 

 

 介護の仕事を24年間続けてきた。先月末,3年間勤めたサービス付き高齢者住宅を退職した。

 

 仕事中,利用者から突然怒鳴られることもある。家族の方からストレスをぶつけられることもある。日々時間に追われつづける焦りと,書いても書いても終わらない記録の山の先にあるのが,手取り17万円だ。

 

 やりがいを感じる瞬間もたくさんあった。利用者から「また来て欲しい」といわれるとうれしかった。命が終わる瞬間にも立ち会う仕事だ。家族の方から「ここで最期を迎えられてよかった」と泣きながらお礼をいわれると,「できるかぎりのことをしてあげられたのかな」と思えた。

 

 けれど,疲れた。けっして多くない給与のなかに渦巻く,もろもろのストレスに押しつぶされてしまった。上司に訴えても「人がいないから仕方ないでしょう」とため息をつくばかりだ。

 

 便失禁をした利用者のお掃除をしていたとき,こう声をかけられた。「私の娘にもさせられない仕事なのに,よくやるわね」。たぶん,褒めるつもりでいったのだと思う。でも,でも……。その言葉が小骨のように刺さったまま,求人誌はまだ開けない。

 この介護職の人材,24年間も勤務しつづければ大ベテランである。ふつうに考えても手取り給与が最低でもこの倍,34万円くらいあって,なにもおかしくはない。そのくらいの賃金水準であれば,この人はこの仕事を辞めていなかったかもしれない。まだ42歳の労働力・労働者である。現在は無職というが,このような人を無駄に遊休状態に追いやってしまう介護業種は,問題があり過ぎる。

 保育士の給与水準も低い。高齢社会での現実的な話としていえば,「死に近い生活空間」での仕事にたずさわる介護士〔だとみなしておくが〕も,「小さな子どもたちの活き活きした生活界」での仕事にかかわる保育士も,いずれも現状のごときこの国のなかでは,甲乙つけがたい大事なそれぞれの仕事になっている。

 ところで,パート労働に従事しているお母さんの月給額のことを「仮に月25万円として」などと,国会のなかで得意顔で話題にしていた世襲3代目のお▲カ政治屋がいた。しかも首相であった彼の口から出た発言であった。その名はもちろん安倍晋三

 ところでまた,前段に紹介した介護士が1カ月働いてもらっていた給料を,ひと晩での飲み代などえ払えるような,これまた世襲3代目で,ときにはしたり顔でわれわれに向かい「下々の皆さんと語れる」阿呆太郎的な,やはり元首相であった人物もいた。念のため添えておくと,その氏名は麻生太郎

 21世紀の現時点になってより明白になってきた日本国の現状は,ただただ貧しい国になったな,という事実であり感慨である。本日の『日本経済新聞』朝刊39面「社会」には,つぎの記事が出ていた。

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 最近はとくに単身生活をする女性の貧困化が顕著な社会情勢になっている。ここでは詳論できないので,この問題の概要を説明しているつぎの記述を参照されたい。

 最近の日本というこの国は,人びとの経済生活水準を世界のなかで比較して位置づけて観ると,いつの間にか総体的に,つまり絶対的にも相対的にも顕著に見劣りするようになっていた。その事実はあまり聞きたくない性質のものかもしれない。だが,以下に現実そのものの展開としてしってもらうおくほかない。


 「円安で日本はタイやブラジルよりも『貧しい国』に!  アメリカの大卒1年目の平均年俸は約629万円   物価高が進行する悪質な円安」『情報速報ドットコム』2021年11月23日,https://johosokuhou.com/2021/11/23/53234/

 日本の価値が下落しています。ドル円は3年ぶりに114円を突破し〔前掲の『朝日新聞』記事の図表では115円〕,実質為替レートも30年ぶりの高水準になりました。さらに円安と合わさるかたちで原油など資源価格の上昇が重なり,ガソリン価格だけではなく,輸入物全般や食品でも値上げが相次いでいます。

 『週刊現代』の記事にはタイやブラジルよりも日本は貧しいと書かれているほどで,1991年に約447万円だった日本の平均賃金は2020年になっても433万円。これは他の国と比べてみると非常に異常な状態で,過去30年で約2.5倍(約700万円)となったアメリカやドイツ,同じく約2倍の成長となった韓国の約430万円とほぼ同じレベルです。

 補注)さて話の相手が,つまりこの日本に対して比較する国が「韓国」になると,ともかく気に入らないんだ,といった風情で「あの韓国に日本が・・・」という表現が頻繁に,とくに最近は聞かれるようになった。

 もっとも,その比較の相手は韓国のことだけではなく,以上の記述でも分かるように全世界の各国になっているともいっていい。ともかく比較の対象が韓国になると,途端に冷静さを失うのがニッポン人ということになるらしい。なにかもの悲しいと形容したらいいような〈ヤマト民族のサガ〉である。

〔記事に戻る→〕 もっと具体的な数字として,アメリカの大卒1年目の平均年俸は約629万円であるのに対して,日本の平均は約262万円しかないいと記事中に掲載されていました。毎年公表されている「ビッグマック指数」だともっと悲惨で,日本の値段はタイやブラジル以下の水準となっているのです。

 補注)この「ビックマック指数」については説明しないので,読者自身でしらべてほしい。

 少なくとも賃金の水準で日本は先進国から転落したといえ,名実ともに衰退国家と評されるほどに低迷が深刻化しています。この流れを変えるには賃金を上げるくらいの景気回復が必須で,合わせて円安政策から円高政策に変えて,物価上昇も抑えこまなければいけません。

 仮に円安のまま景気だけ改善しても賃金が増えたことで物不足が加速し,物価が急激に跳ね上がる恐れがあり,円安の封じこめと景気回復は組みでおこなう必要があります。いずれにせよ,日本の低賃金と景気低迷はコロナ以前から酷く,もはや先進国とはいえない水準だと自覚するべきです。(引用終わり)

 「日本の低賃金と景気低迷はコロナ以前から酷く,もはや先進国とはいえない水準だ」という事実が経過してきた日本の国力(とくに経済面での実力)の低下傾向は,21世紀にはいってからというもの,確実に現象してきており,われわれが日常生活面でも実感できている。

 百円ショップの旺盛じたいは,だれしも喜ぶべき販売業界の現況とはいえそうだが,その裏面において色濃く反映されている「われわれの生活水準の実質的な低下傾向」に気づいていないといけない。

 労働者の年収が21世紀になって確実にと形容するほかないほどに,それも “伸び悩む” どころか,実質的に “減少してきた” のだから,それこそ,なにをかいわんやの労働者の生活経済面での衰退・劣化現象が持続的に進行してきた。

 いまとなっては「古証文にもなりえなかった」あのアベノミクス(アホノミクス)のリフレ政策目標〔インフレ・ターゲット論:2%に設定〕は,ジェット機にセスナ機で追いつこうとするような想定になっていた。長年にわたるデフレ現象を払拭できないどころが,それを定着させることしかできていなかった。

 ところが最近は,いよいよというべきか,それともとうとうというべきか,コロナ禍の悪影響も加重する方向として「コスト高を基因とするインフレ現象」が,「デフレ現象の克服」としてではなく,われわれの生活面を直撃する動勢が世界経済情勢のなかでのありようとして,すでに醸成されている。

 もしかするとスタグフレーション,つまり「不況下なのに物価上昇が起きる現象」が,デフレ経済傾向の生活環境に慣れてきたわれわれの立場に,これからもろに振りかかるごとき気配が現われている。

 

 「円安が進む日本は,タイやブラジルよりも『貧しい国』になっていた」
 『現代ビジネス』2021年11月20日https://gendai.ismedia.jp/articles/-/89451(この記事は ② に似た内容の記事である) 

 円安が止まらない。10月に入り,為替相場は3年ぶりに1ドル=114円を突破し,その後も加速している。

 日本は,新型コロナウイルス感染拡大による経済ダメージからの回復が遅かったうえに,原油など資源価格の上昇が重なった。それで円が売られている……新聞などでは,そうした説明がなされている。

 だが,市場のプロたちの多くは,この円安に,もっと根深い日本の「病巣」を見出している。

 「一言でいえば,日本の国力の弱体化が明確に表面化した結果が,今回の円安です。企業の稼ぐ力も衰え,賃金も上がらない。この30年間,日本は他の先進国につぎつぎと追い抜かれ,いまや途上国の立場に陥落しようとしている」。(引用終わり)

 本ブログを読んでくれている人たちは,筆者がときどき「日本はもう後進国だ」と強調するのを聞いて,もしかしたら反発を感じる時があったかもしれない。しかし,この理解「日本はもはや後進国家である」という理解は,

 以上の説明のように「日本は他の先進国につぎつぎと追い抜かれ,いまや途上国の立場に陥落しようとしている」のであり,この点を基本に据えて説明するほかない日本国内の経済社会的な諸情勢・諸事情は,いくらでも世間に転がっているしだい……。

 だから,そのあたりの「リアルな日本認識」については,つぎの ④ のように〈割り切って〉表現する識者もいる。


  内藤 忍「新興国だからと思えば理解できる『安すぎる日本』」『BLOGOS』2021年11月22日 10:51,https://blogos.com/article/570988/ (「内藤 忍の公式ブログ」2021年11月22日からの転載記事)

 義妹が駐在していたイスラエルから帰国したので,親戚6人で久しぶりに集まりました。西麻布の中華のお店の個室を予約。有名シェフがプロデュースするお店で,全員に大好評でした。

 注文したコースは,トリュフのかかったブランドポークの前菜や,上海蟹のスープ,さらに点心やマーボー茄子,さらに坦々麺にデザートのプリンまで全部で8品。食べ盛りの高校生も途中でお腹一杯になるくらいのボリュームでした。

 これがなんと1人4000円税別です。3時間近くゆっくりご飯を食べて,お酒や中国茶も楽しみ,会計は1人6千円足らずでした。もし,ニューヨークのマンハッタンやパリの街中で食べたら,チップも入れて1万円は軽く超えるでしょう。

 「安すぎる日本」が話題になっていますが,東京にもランチタイムの客単価が5万円以上といった高級店もあります。しかも,半年先まで予約が取れない人気だったりします。

 つまり,このような高級店と,ローカル価格の格安店が2極化しているのが,現在の東京の飲食店の現状だと思います。これは,東南アジアの新興国に行った時に感じる「二重価格」と似ています。

 バンコクやクアラルンプールのような新興国の中心都市にいくと,外国人が利用する高級ホテルでは,先進国並みの価格であるにもかかわらず,ホテルを出るとローカルの飲食店では激安で食事をすることができます。

 日本もすべての飲食店が安すぎるわけではありません。外国人や一部の富裕層を対象にした高級店も存在し,予約が取れないくらいに人気を集めているのです。

 安すぎると感じているのは,日本人ローカルのレストランだけです。ミシュランガイドなどに掲載され,グローバルにしられている飲食店は,価格もグローバルスタンダードになっています。

 だから「安すぎる日本」ではなく「2極化する日本」と考えるのが,正しい理解といえるのです。日本人にとっては,なんだか悲しい現実です。(引用終わり)

 以上の話で「2極化する日本」という表現が意味するのは,前述に登場させた人物であれば,政治屋安倍晋三麻生太郎などが「上級市民」の分かりやすい代表者だとすれば,これに対する「われわれ:下級市民」側への階層化(階級分化)現象は,「かつて後進国と呼ばれてきた国々」であればよく観られたものだったが,いまではこの日本でも観られている,という認識にあいなる。

 筆者は先日(11月21日),親族の男の子:〇〇君の三五七のお祝いごとがあって,都心もそのど真ん中にある某高級ホテル内の中華料理店で昼食(バイキング注文形式?)を摂る機会があった。

 そして,そのさい手にとってみた〈メニュー〉の中身のそれぞれの〔ふだん提供されている〕値段とみたら,それはひとつひとつが,もう目ん玉が飛び出る(これはあくまで質素な生活をしているつもりである筆者の個人的感想だが)ほどにりっぱな金額であった。

 筆者としてはめったにない,そうした高級ホテルの中華料理店で食事を摂る機会であったゆえ,そうした祝いごとがあって招待でもされなければ,とてもではないがこのような機会(体験)はなかなかもてない。

 さて,筆者が暮らしている東京への通勤圏内に位置する「地方都市の駅ビル」内に入っているある居酒屋(チェーン店)が,一月ほど前からだったが,コロナ禍が落ちついたということで営業を再開していた。ところで,5日前にその居酒屋の前を通る機会があったおり,店頭にこういう張り紙が出されていた。

  『1杯目の生ビールは ¥100 です……』

 上級市民向けの中華料理店を見学できた身としては,こちら側の下級市民向けの「客寄せ用の呼びかけ文句」に接したところで,なんともいいようのない気分になった。ついでにふれると,

 この駅前の周辺には居酒屋のたぐいの飲食店がもちろん数多くあって,駅前のあるほかの居酒屋のチェーン店は,「生ビール(ほぼ中ジョッキの話)を¥190- の価格で提供します」という文句を書いた大きなノボリを出し,客寄せに工夫している。

 こうなると,付近の飲食店も同じ生ビールを出すにしても高い価格はつけられなくなっている。先日いってみた,この近所のイタ飯屋風の飲食店では,生ビール1杯が290円であって,かなり安めだという印象を抱いた。

 アルコールを中心メニューの一群にして商売をする飲食店間で生まれている競争圧力は,コロナ禍の悪影響もあって非常に強くきびしくものになっていると観察できる。

 というような話題にもなっていたが,つぎの ⑤ のごとき話題にほうにも,必然的に連なっていくほかないわけが理解できる。

 

 「値上げラッシュが家計直撃…『モノが安い国・日本』はいよいよおしまい」日刊ゲンダイ』2021/11/17,https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/297510

 ※ 日本では「かけうどん並」が320円 ※

 a) いま日本は「モノが安くて過ごしやすい」状態だ。

 寿司チェーンの「くら寿司」は,日本では1皿 110円の商品が主体だが,アメリカで展開する「くら寿司USA」は,1皿 3.15ドル(2021年11月13日現在の為替では359円)と3倍以上に設定されている。

 補注)地元のくら寿司に食べにいく機会が時々があるが,最近のくら寿司のメニューには百円寿司から外れる値段,つまり2百円を付けた寿司も増えている。最近のコスト高が反映されざるをえない経営状況の現われだと受けとっておく。

 「くら寿司」は値段の開きについて,「(日本と比べて)人件費が高い」からだとする。同様に,うどんチェーンの「丸亀製麺」は,日本では「かけうどん並」が320円,アメリカのカリフォルニア店では「KAKE」が5.75ドル(655円)と約2倍だ。

 日本で「かけうどん」が600円を超えたら,高すぎて「えっ」と感じてしまうだろうが,アメリカでは安すぎて「えっ」と消費者は驚きの声をあげるのだという。マクドナルドの「ビックマック」は,日本では390円,アメリカでは5.65ドル(621円)だ。アメリカのマクドナルドではいま,ドリンクやポテトも頼んで1食1000円で済ますのは不可能だろう。

 過去20年の消費者物価指数(モノの値段がどれぐらい上がったかを示す)をみると,日本はわずか2.6%だが,アメリカは54%,中国は60%,ユーロ圏では40%も上昇している。

【参考図表】-これは,日本以外の各国では,物価が上がってきたが賃金も上がってきた,というその相関を説明する図表-(すでになんども紹介した図表であるが,ここでも参考になる)

 

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 b) 日本であまりに長期間にわたって起きたデフレによって,企業の「価格転嫁(値上げ)するメカニズム」が破壊されてしまったようだ。

 商品・サービスの値上げができないと企業は儲からず,賃金が上がらず,結果的に物価が上がらない。安い賃金で働く人が増えた結果,他国では絶対になりたたないような格安のファストフードチェーンが誕生した。

 しかし,最近,家計を直撃する値上げラッシュが起きている。日本銀行が実施した「生活意識に関するアンケート調査」(2021年9月)によれば,「商品やサービスを選ぶさいにとくに重視すること」は,「価格が安い」がトップの47.6%で,機能が良い(33.7%),アフターサービスが充実している(13.4%)を大きく引き離す。いかに価格に敏感がよくわかる調査結果だ。

 c) 気になるのは,「物価」に関する調査結果だ。1年前と比べてかなり上がったと考える人は,8.9%,少し上がったと感じる人の52.6%を足すと,実に61.5%の人が「物価が上がった」と感じているのだ。

 さらに,今年10月,農水省は製粉会社への小麦売価を20%近く値上げした。これにより,「山崎製パン」は食パンの「ロイヤルブレッド」や「超芳醇」「ふんわり食パン」などで平均9.0%,菓子パンの「高級つぶあん」「ナイススティック」などで平均6.8%それぞれ値上げする。

 欧州で問題になっている天然ガスの高騰で,ガソリン代は冬の到来で今後さらに高くなる可能性は高い。牛丼チェーンの「松屋」も牛丼並を320円から380円へと値上げした。「吉野家」もその動きに追随。100円ショップでは,300円,500円の価格帯の商品が今後ますます増えていくだろう。

 d)「安くて過ごしやすい天国・日本」はいよいよ終わり,「給料は上がらないが物価だけ高くなる地獄」の門が開かれつつある。(引用終わり)

 こうなると,日本国のこの現状をまともに理解しようとする人間であれば,つぎの井筒和幸のように激怒して自然・必然・当然である〈なりゆき〉は,多分,文句なしに同感できる。

 

 「岸田政権はカネ以前にドタマが回っていない  下層庶民をナメるなよ!〈 井筒和幸の「怒怒哀楽」劇場〉」日刊ゲンダイ』2021/11/20,https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/297684

※人物紹介※ 井筒和幸は映画監督。1952年12月13日奈良県生まれ,県立奈良高校在学中から映画製作を始め,1975年にピンク映画で監督デビューを果たした。『岸和田少年愚連隊』1996年)と『パッチギ!』(2004年)では「ブルーリボン最優秀作品賞」を受賞,歯に衣着せぬ物言いがバラエティ番組でも人気を博し,現在は週刊誌やラジオでご意見番としても活躍中。

 a) 岸田政府は,庶民に給付金をまだ払わないで,世帯主の収入がどうだこうだとほざいてる。そんなこと選挙前に決めてたんじゃないのか。ドタマが悪いヤツら。社会は相変わらず沈滞したままだ。株や金融経済などどうでもいい。

 一番多い下層庶民にいま,金を配らないでいつ配るんだ。正月の餅代じゃないぞ。いま現在,金に困りはててまともに生活していない庶民がどれほど多いことか。われら映画屋などその日暮らしもいいところだ。持続化給付金も出ない。役所は芸術のなにをしっているのか。

 1年前の年末,オリックスの元社長も,躊躇なくあらゆる人たちに最低限の生活資金を配ることだといったのを思い出す。企業は貯めこむだけで,金は家計にいきわたるわけがないのは政策の失敗だから,すぐ変えなければならないと。

 正規雇用は賃金が安過ぎるし消費に回らないと中学生でも分かるように「とりあえず毎月1人10万円でも配ったらどうだ」といっていた。たった1回の10万円がなんの役に立つんだと,財務大臣も皮肉られた。企業人に喝を食らわされて1年経つのに,まだ金は配られない。政府はカネ以前にドタマが回っていない。そ れ で 為 政 者 か

 b) 一刻も早く給付金を配らないと,またジョーカーもどき殺人事件が起きそうな毎日。でも,家賃6万円で専門学校の学費が10万円かかる女子は,ガールズバーにバイト出勤だ。でないと退学だ。退学したら人生がまたみえなくなる。

 都内の某私立大学ではひもじい学生に,無料で食料や文具や生理用品を配るのも3度目で,バイトもない1000人以上が並んだとか。こんなにモノがあふれて豊かなのにこんな貧しい国なのだ。

 補注)つまり,「階級的な社会格差」というものがすでに定着したみなしていい,この日本国になっている。

 毎月の食費を1万円に切り詰めて夕飯を食べない学生も多い。いまの青春モノの邦画で100円のパン1個で暮らす学生など描かれることはないだろうが。最底辺は広がっている。金持ちは税金をまけてもらっている。政府は根本から考えなおすことだ。

 補注)あの “育英機関であるはず” の日本学生支援機構は,単なるローン会社になりはてている始末だから,相当に始末が悪い。

 しかも,その事実をなんとも感じていない「日本社会全体の教育環境」そのものも介在している。その事実は以前からの確固たる既成事実となってもいて,この日本学生支援機構のかかえる「根本からの本来的な矛盾性」が,教育社会における深刻な問題としてまだ十分に共通認識になっていない現状は,教育環境のあり方としては最悪の条件だといわざるをえない。

 c) 〔ところが〕腹が減っては戦も勉強もできぬと立ち上がる学生はいない。デモをして反乱を起こすこともない。皆,おとなしいもんだ。生まれた時から親の期待に沿おうと無理して自分を殺してきたし,クソな大人の政治も元から信用していないのだろうが。

 われらが若者だった1970年代は,大人どもに疎まれるだけで上等だった。「造反有理」「連帯を求めて孤立を恐れず」で,いつでも闘うぞと燃えていた。ピンク映画の映倫審査でも検閲者にカットされそうになると怒鳴りつけて抵抗した。

 いま,20代の若者が不憫でならない。自由な未来を切り開いてやろうと親身になって思う政治家はどこにいるんだ。打算の政治屋に出くわしたら,怒鳴りつけてやりたい。

 d) 貧しい庶民に毎月10万円,給付したらどうだ。セーフティーネットもヘチマもあるか。誰もの人生が壊れかけてるんだぞ。セコい政治屋ども! 下層庶民をナメるなよ。(引用終わり)

  井筒和幸みたく本気吠える識者が増えないことには,これからも日本の政治・経済・社会は,さらにますます冴えなくなるどころか,本当に「第2のタイタニック号」になりかねない。

 ところで最後に,話が大きく飛ぶようでも現実的な話題をする。「南海トラフの巨大地震の発生」は,そのうち確実に起きると予測されている。

 すなわち,「東海地震東南海地震・南海地震の3地震」のうち,ひとつでも近いうちに起きたら,この日本は本当に「沈没はしないまま」でも「沈没したに等しい国家」になるかもしれないと,予想だけはしておく余地がある。

 その前に,この記述で議論した日本国の経済関連の「復旧」問題そのものに対して,もっと真剣に取り組んでいかないようだとしたら,「3・11」の東日本大震災・東電福島第1原発事故の発生とは比較のしようがないくらいに,南海トラフ関連の巨大地震発生によって,この国家は決定的な打撃を受ける可能性が大きくあると心配する。

 そのさいは本当に,本物の日本沈没:壊滅が起きるのではないか? もしかしたら,その後にこの国が中国の属国になるという事態が起こりうるのかもしれない。いままでのアメリカによる属国状態の,いわばさらなる軍事的な支配の本格的な強化ではなくて,中国の「それの発生のこと」である。 

 いままですでに「米国の属国であった日本の国情」のことだから,これが「中国の属国である日本」になるとしたも “大差ない” などとヘリクツをいう人が出てくるかもしれない。この種の懸念までさせる現状の日本国である。

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「本稿(その2)」は以下の記述である】

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