再生エネの導入・利用に遅れて(妨害して)いる日本の電力会社,原発に執心するあまり関西電力のように贈収賄事件も起こした

原子力発電にこだわり,地元顔役による贈収賄まみれ地獄に落とされ,再生可能エネルギー導入・利用に遅滞している関西電力,その反時代性

 

 要点:1 関西地域屈指のエリート電力会社が記録してきた組織体制の脆弱性

 要点:2 原発依存率の一番高い関電は,いまも《原子力の悪魔性》にとらわれつづけている

 要点:3 原発を早く廃絶させ,新しい地域分散型エネルギー・システムに移行する必要性と必然性

 


 「〈原発と関電マネー〉癒着:下 『野武士』に差し込まれた『貴族』 事なかれ主義の蔓延」朝日新聞』2019年12月14日朝刊34面「社会」

 電力会社のなかで原発への依存度が全国でもっとも高い関西電力。従業員約2万人の巨大企業は,1人の男の影響力に身動きがと取れなくなっていた。

  f:id:socialsciencereview:20191214093611j:plain

 2011年の東京電力福島第1原発事故後にできた原発の新規制基準に対応するため,関西電力は高浜原発福井県高浜町)だけで5千億円超の安全対策費を投じ,工事に関与できる地元企業は「特需」で売り上げを伸ばした。

 高浜町の助役を退任した森山栄治氏(故人)の関連企業の土木建築会社もその一つだ。2014年8月期の売上高は約3億5千万円だったが,2018年8月期には6倍の21億円を超えた。民間企業に移った森山氏への「特別扱い」はこれまで長年続いた。

 1) 2時間正座 

 関電の元役員は十数年前,森山氏関連企業へのゆきすぎた発注は他の企業とのバランスが崩れると考え,意を決して逆らったことがある。京都・東山の高級料亭で森山氏と面会し,頭を下げた。「先生,ルールにもとづいて発注していることをご理解ください」。

 森山氏は声を荒らげた。「お前らに渡してきた物を返せ」「むしろ旗を立てて原発を封じこめるぞ」。元役員は約2時間正座し,耐えた。最後は森山氏が「もうしらん」と席を立った。料亭での対決後,森山氏の関連会社は売り上げが一時下がったが,再び盛り返した。「(関電が)屈した」。元役員はそう思う。
 補注)記事のなかで「正座」が出てきているが,このコトバの意味については,本ブログ正座は明治以来,とくに強調されてきた座り方を参照されたい。 

 またここでは,地元の顔役からの贈収賄の網の目にすっかりからみこまれた関電側の組織体制は,「関電が原発マネーのためにみずから感電した」とでも表現し,把握しておけばよい。

 原発の歴史は「国策民営・地域独占・総括原価方式」が,「3・11」以前であれば当然のようにまかり通っていた。それゆえ,関電に関した「この種の問題」は,ある意味では “象徴的ともいえる特徴” を刻印されており,けっして関電だけに特有のものだったとはいえない。大なり小なり似たような問題が,ほかの各地域に位置する電力会社にもなかったとはいえない。

〔記事に戻る→〕 森山氏の関連企業の売り上げが突出し,他の地元企業が若狭支社(現原子力事業本部)に苦情を寄せたこともあった。支社幹部は関連企業側に「もう十分もうかっているはずだ。これ以上,森山氏を営業に回さないで欲しい」と告げた。関電本店にも報告を上げたが「おとなしくしておけ」といわれた。その後も関連企業は売り上げを伸ばした。

 元幹部は「本店は森山氏を怒らせてしまっては,原発の運営がおかしくなると恐れていた」という。社内には事なかれ主義が蔓延し,本店も現場からのシグナルを黙殺した,とみる。
 補注)安倍晋三の為政は「私物化」にその特性が表現されているが,関電の原発の管理・運営体制は,地元の顔役に私物化されてしまい,この人物のせいで,にっちもさっちもいかないような,地域経済社会的な病理状態に陥っていた事実が,いまごろ〔2019年10月,森山がすでに死去した時点で「死人に口なし」〕にもなってから,社会問題として表面化していた。関電側の小賢しい対応ぶりは,その後の経過のなかで,徐々に鮮明になっていったが,なんとも情けない「関西地方の企業経営の雄」である会社の実相であった。

 2) 膨らむ虚像

 関電は1957年,日本の電力会社で初めて「原子力部」を設置。1970年,美浜原発1号機の営業運転にこぎつけた。未来のエネルギーに携わりたいと,京都大や大阪大などの原子力のエリートたちが続々入社した。歴代社長12人のうち,京大出身者が8人を占める。

 森山氏に「お前はクビ」といわれ,実際に子会社に出向させられた元高浜原発所長もいた。原発の運営だけでなく,人事にも影響を与えるという話も広まり「虚像が膨らんでしまった」と語る元幹部もいる。大飯原発の元所長は「貴族が野武士にいきなり飛びこまれ,どう対応していいのか分からなかった,というのが本質だ」といった。
 補注)この記事では,どうして関電が森山栄治のような地元の人物に位負けしてしまう関係にはまりこんでいったのか,直接の説明はしていない。問題は日本の原発導入史にあったともいえる。いわゆる『電源三法』の存在にその淵源が求められる。

 それは,1974年に制定された「電源開発促進税法・特別会計に関する法律(旧電源開発促進対策特別会計法)・発電用施設周辺地域整備法」の総称であり,電気料金の一部として徴収される電源開発促進税を財源として,発電施設が立地する市町村に対して,電源立地地域対策交付金として還元する制度であった。公共施設の整備や地域振興事業を支援することによって,発電施設の設置促進および運転の円滑化を図ることが目的。

 ここに,森山栄治が地元の公務員関係者として徐々に関与を深めていき,とうとう,関電という会社を「感電状態にまでさせられうる電源のスイッチ」を握るまでにさせてきた「真因と背景」があった。森山が2019年3月に死亡してから,関電がいままで抱えてきた「今回の問題」が明るみ出てきた事実は,原発マネーというものの国策的な関連問題が,いかに罪深い原子力村:マフィアのための資源源を提供していたかを指示している。

f:id:socialsciencereview:20191214090736j:plain

出所)森山画像 https://www.fnn.jp/posts/00048405HDK/201910022020_goody_HDK

 元幹部はいま,こう考える。「私たちはずっと『被害者』という意識だったが,実際には森山氏の行為を許してきた歴史がある。結局のところ,私たちも共犯として加担していた」。

 3) 関西電力の役員らが森山氏から多額の金品を受け取っていた問題で,市民団体「関電の原発マネー不正還流を告発する会」は〔12月〕13日,関電の役員ら12人に会社法の特別背任容疑などがあるとする告発状を大阪地検特捜部に提出した。(記事引用終わり) 

 さて,大阪地検特捜部がこの関電の起こした贈収賄事件をまともにとりあげ事件化するかどうかについては,現在の安倍晋三政権のもとでは,まだ予断を許さない。アベは原発推進論の政治家である。

  しかもアベは, “アンダーコントロール” の意味もろくに分からないまま,「3・11」直後に発生した東電福島第1原発事故を,すっかり解決済みであるかのように,それこそ大ウソをついていた政治屋である。関西電力幹部たちの収賄事件は,森山栄治という存在とアベという子ども政治家の首相とともに,日本の政治全貌のなかでは同じ舞台の立っていると解釈もできる。

 原発という電力生産方式は,ウランを原料に加工・精製された「核燃料」という《悪魔の火》を焚く装置・機械であるかぎり,永遠の負担を人類・人間に与えつづける。廃炉の後片づけ問題にくわえて,ましてや爆発事故を起こした原発の後始末となると,本当のところ,その「後始末」がいつになったら完全に終えられるのか,その見通しはまだまったくついていない。

 チェルノブイリ原発事故現場の現在の状況は,その見通しに対するひとつの明確な解答を示唆している。スリーマイル島原発事故現場の後始末も,まだ完了できていない。原発から発生する多種多様な放射性廃棄物の処理問題は,われわれを半永久的に悩ましつづけていく,「宿命的な困難」である。

 とりわけ,使用済核燃料の最終処分場とはいっても,これは結局,「ネコババ」の方式でしかその処分の方法はありえない。それゆえ,原発という電力の生産方式は “初めから困難と矛盾の塊” であった。

 「3・11」よりもだいぶ昔から,高木仁三郎や広瀬 隆,小出裕章など熊取六人衆たちが,反原発の立場から必死になって原発をなくすことに(もはやそのすべてをこの地球上から抹消することはできない相談になっているが)対して,理論と実践の双方の立場からとりくんできた。そうした「過去の反原発にかけてきた有志たちの歴史」は,いまさらのように,原発問題に関して「現在から未来に向ける特定の政策」を形成するための “技術思想的な思想” を教示している。

 高木仁三郎は1995年に,「核施設と非常事態-地震対策の検証を中心に-」を『日本物理学会誌』に寄稿していた。同稿は「地震」とともに「津波」に襲われたさいに発生する「原子力災害」を予見していた。こう訴えていた。

   a)地震によって長期間外部との連絡や外部からの電力や水の供給が断たれた場合には,大事故に発展」 するとして,早急な対策を訴えた。

   b) 福島第1原発については,老朽化により耐震性が劣化している「老朽化原発」であり,「廃炉」に向けた議論が必要な時期に来ていると,つまり 2011年の16年も前,1995年の時点で指摘していた。

  c) くわえて,福島浜通りの「集中立地」についても,「大きな地震が直撃した場合」など,どう対処したらよいのか想像を絶するとその危険に警鐘を鳴らしていた。

 いまとなっては,いうまでもない結果になっていたけれども,その警告を完全に無視してきた原子力村:マフィア側の政治責任は重かつ大であった。

 ところで,広瀬 隆は「3・11」が2011年に発生する〈直前〉といっていい時期(たった半年ほど前)に,『原子炉時限爆弾』(ダイヤモンド社,2010年8月)を公刊していた。

 小出裕章の場合だと「3・11」が発生するわずか2ヵ月ほど前に,『隠される原子力・核の真実-原子力の専門家が原発に反対するわけ-』(創史社,2010年12月)を公刊していた。

 しかし,それまで時間が経過するまでおいては,たとえば元福島県知事であった佐藤栄佐久などのように,東電に逆らう県政に切り替えた有力人士に対しては,国家体制や電力会社は全力を挙げるかたちで,その存在を抹消する工作(国策捜査)をおこない,日本の政治社会から抹殺してきた。

 いまとなってみれば,「原子力村:マフィア」のエネルギー・イデオロギーは完全に誤謬であった。原発反対派の人びとが,原子力の存在を,できるかぎりこの地球上からなくしたいと考えた「思想の立場と実践」のほうが,人間・人類史にとってみれば,完全といってくらい,まっとうなあり方であった。

 以上のような論議をするまでもなく,本日〔2019年12月14日〕の『朝日新聞』朝刊の別刷り「be 版」のほうには,つぎの解説記事が出ていた。これは,ここまでの ① のニュースと対置させて読むには,内容的にちょうど都合のよい記事である。要するに「原発は要らない」のであって,その代わりにどのような発電方式が好ましいか,そのあり方を教えている。

 

 「〈はてなスコープ〉『仮想発電所』実用化へ 需給を調整してムダ削減」朝日新聞』2019年12月14日朝刊 be5面

    f:id:socialsciencereview:20191214093733j:plain

 a) 太陽光発電などの再生可能エネルギーが広がるなか,「仮想発電所」(VPP=バーチャルパワープラント)と呼ばれる仕組が注目されています。地域に分散する小規模な発電設備や蓄電池などを一括で遠隔制御し,一つの発電所のように機能させるものです。

 電気は,使う(需要)量と発電する(供給)量を一致させなければなりません。これが乱れると,機器の故障や停電につながります。送配電網をもつ大手電力会社が需要を予測しながら,火力発電所などの発電量を増減させることでバランスをとっています。

 急拡大する再エネは,気象条件によって発電量が変動するため,需給の「調整」は課題の一つです。そこで,電気を使う側や小さな発電設備も「調整力」として利用しようと転換しました。
 補注)ここまでの記事を読んで思い出したのが,昨年(2018年)9月6日に発生した北海道地域における大規模停電の事故であった。ところで,その事故に関連する発言を聞いてみると,河野正一郎「北海道地震で起こった『全域停電』他人事と思ってはいけない 専門家は『どこでもあり得る事態』と指摘」(『現代ビジネス』2018年9月8日,https://gendai.ismedia.jp/articles/-/57449)が,まず冒頭でつぎのごとき議論をおこなっていた。

 --「北海道胆振東部地震で北海道全域が一時停電した」とき,この事故は『想定外』だといわれていた。けれども,「札幌から根室まで約450キロも離れた広大な北海道全域が停電するのは,北海道電力(北電)ができた1951年以降で初めてのこと」であった。

 つまり,この「前代未聞の大規模停電の背景を取材すると,いまの電力供給システムが直面している大きな課題に気づかされた」といってよかった。すなわち「電力会社は想定外の出来事だというかもしれない」が,本当はそうではなくて,「今回のような大規模な “連鎖停電” 事故は,事例も多く十分想定できた」と,あらためて批判されるべきであったのである。

 なぜ,今回〔2018年9月6日〕の停電が起きたのか,検証・構造の理解を進めていかねばならないが,その「発端は,震源地近くの苫東厚真発電所(石炭を燃料とする火力発電所)の緊急停止にあった。この発電所は道内最大の火力発電所で,地震発生時の需要量310万キロワットの半分以上の165万キロワットの供給をしていた。

 「電気は貯めておくことができない。だから,北電はつねに使用電力量と発電量を一致させるように調整することで,電気の供給を安定させている。だが,今回の地震で苫東厚真の発電所が緊急停止し,発電量が突然半分以下になったため,使用電力量と発電量のバランスが崩れた」。

 素人考えではだから,『他の発電所がフル回転して苫東厚真の発電量を補えばいい』と思いたいが,実際に「全需要の半分もの大電源が突然消失した場合,それを他の発電所の発電量で瞬時に補うことは物理的に不可能」となる。

 「さらに電力使用量と発電量が一致しない時間が数秒以上続くと,発電機やタービンが壊れる可能性があるため,苫東厚真以外の3つの火力発電所も自動停止し,道内の発電所がすべて止まってしまった,というわけだ」ったのである。

 ところで,事故当時記の「北海道電力の発電・送配電設備」は,「苫東厚真の発電量は最大165万キロワットで,他の発電所と比べてケタ違いに大きかった」。「今回の全域停電の理由を簡潔にいうなら,「発電を分散せずに,たった一つの発電所が全体の50パーセントを超える電力供給をしていたため,その発電所が停止したら,残りのすべての発電所も連鎖停電してしまった」ということになっていた。

 北電の真弓明彦社長は2018年9月6日午後に会見し,「すべての電源が停止してしまうのはきわめてレアなケースだと思う」と述べた。予言したとおりの発言であったが,電力の需給バランスが崩れることで発電所が連鎖停止することは,電力系統の設計の基本だから,十分想定できる事態だったはずだ。「レアケースだから仕方ない」とは,電力会社トップとしては,不用意な発言だったというしかない。

 2011年の東日本大震災でも福島第1原子力発電所が停止したものの,全需要の1割にも満たなかったので,東北電力東京電力の全域停電は起きなかった。北電が苫東厚真に5割の発電を頼っていたのが,いかに異常な状態だったかが分かる。では,どんな対策をしていたら,今回の事態を避けられたのか。
 註記)以上は,https://gendai.ismedia.jp/articles/-/57449 を参照し,引用。以下につづく記述は,https://gendai.ismedia.jp/articles/-/57449?page=2https://gendai.ismedia.jp/articles/-/57449?page=3 からとなる。

 つぎは,その「page=2」からつぎの段落を引用する。

 --ある原発研究者は,名前を明記しないことを条件にこう答えてくれた。

 「泊原発が発電していて,苫東厚真への依存度が低くなっていれば,理論上は全域停電は避けられたかもしれません。ただ,泊原発が動いていたら,もっと大変なことになっていたと思います」。

 この研究者によれば,苫東厚真が停止して,他の火力発電所が停止することで電力の需給バランスが崩れると,泊原発から発電された電力は「出口」を失い,タービンが回転数を上げる。原子炉内には蒸気がたまるので,それを排出しなくてはいけない。制御棒を注入して核反応を抑えないといけない。炉内を冷やすため冷却水を注入しないといけない。

 重要なのは,これらの作業にはすべて電力が必要だということだ。もしも電力が失われていたら……。東日本大震災のときの東京電力福島第1原発で起きた「全電源喪失事故」の再来,となっていたかもしれない。

 今回の地震時,泊原発は約8時間にわたって外部電源を失った。幸いにもそのときは「稼働停止中」であったため,大事故にはつながらなかったが,全域停電という事態が起きれば,原発が暴走しかねない状況になることが,今回の地震でわかった。

 さらに「page=3」からは,つぎの段落を引用する。

 --「大きな発電所をドンとつくったほうが電力会社にとってはコストが安い」。「数十万キロワット程度の発電所にしてリスクを分散しておけば,全域停電は避けられる」が,「それはコストがかかる」。「しかし,災害時のリスクを考えれば,それは必要なコスト,とみるべき。やはり,これからは分散型をめざすべき」である。

 電力会社が地域の電気供給を独占していた時代は,コストを重視する電力会社は分散電源を敬遠してきた。しかし,電力自由化で新たな電力会社が競争で分散電源を導入するようになり,現状では「発電量当たりの建設費はほとんど同じレベル」だという。

 電力会社がもつ巨大な送電網(大系統)を否定できないが,小規模で大系統とは切り離せる電源系統(分散自立電源)をつくったうえで,大系統の電源と分散自立電源を組み合わせた「ハイブリッド電力系統(デジタルグリッド)」にしたらどうかと提案がなされている。

 端的にいうと,太陽光や風力発電で数十~数百世帯をまかなえるほどの発電所をつくる。この分散自立電源は通常,大系統電源の補助的な役割をしているが,非常時には大系統とは別に,各世帯に電気を供給できる。大系統と切り離された電源だから,今回のような一斉の連鎖停電は避けられるという考え方だ。

 この分野は現在,研究が進んでいる。インターネットのIPアドレスを活用するなどして,分散自立電源がたがいに送配電・電力の融通ができるようになるのだという。アフリカやアジアの未電化地域で電気を売る事業が始まっているが,こうした事業の電力は,スマホのアプリで受けた注文に応じて,配電量を調整できるようになっている。

 「日本では信じられないが,世界ではそうした事業はすでに実用化されている」という現状がある。

  (  ↑  ここで『現代ビジネス』引用は終わり)

  (ここからは『朝日新聞』の記事に戻る  ↓  )

 b)〔『朝日新聞』be 版の記事に戻る→〕 工場やビル,住宅などにある自家発電機や電気自動車(EV),蓄電池,太陽光パネルといった機器をIoT(モノのインターネット)技術でつなぎ,「アグリゲーター」がまとめて制御します。

 たとえば,発電量が足りなくなると予想した場合,発電機や蓄電池などから電気を放出してもらいます。こうした小さな電気を束ねることで,大きな発電所のように電気を生み出せます。

 同じく足りない場合,電気を使う量も調整します。工場の生産設備やビルの空調・照明などを止めてもらいます。浮いた電力も発電と同様の価値があると考え,負の消費電力ということで「ネガワット」と呼ばれます。真冬の寒さが厳しいときなどに,電力会社が節電を求めた実績があります。

 逆に,発電量が使う量を上回りそうな場合,その時間帯に工場の生産設備を稼働してもらったり,EVなどに充電させたりします。ネガワット取引も含め,発電量に応じて使い方を変えることを「デマンドレスポンス=DR」と呼びます。経済産業省の担当者は「生産設備やEVのように,いまある設備を別の目的で有効活用できるのがポイントです」と話します。

 調整力以外の効果も期待されます。電力会社は最大の需要量に対応できるように,ふだんは使わない予備の発電設備をもたなければなりません。ただ,最大級の需要は年間でもわずかな時間です。VPP(バーチャルパワープラント,仮想発電所)で調整できれば,予備設備への投資や燃料費を減らせます。

 再エネ拡大につながる可能性もあります。いまは発電量が使用量を上回りそうなとき,大手電力会社は再エネの受け入れを一時止める「出力抑制」をします。その時間帯に合わせて生産ラインの稼働や充電をずらせば,再エネの抑制を避けられそうです。

 c) 2021年に調整力の市場での取引が始まり,2024年をめどにVPPの本格的な実用化が始まるとされます。導入に向けて,各地で実証や事業が進んでいます。

 東芝エネルギーシステムズ(ES)は,東京電力エナジーパートナーと組んで,横浜市内の小学校など47カ所に蓄電池を設置し,VPPの実証や事業を始めています。これらの蓄電池は,災害などに備えた非常用の電源です。専用の通信機器を取りつけることで,ふだんはVPP用の設備として使います。同様の実証は,仙台市新潟市などにも広げています。

 あわせて気象や需要,市場価格などの膨大なデータをAI(人工知能)で分析し,正確に予想する技術の開発も進めています。東芝ESエネルギーIoT推進部長の新貝英己さんは「太陽光や風力,その他の電源の活用や防災目的など,地域ごとの特色や課題に応じたVPPが広がりそうです」と話しています。

 d) 政府は2030年度までに,最大の電力需要の6%にあたるネガワットを活用する目標を示しています。EVや蓄電池などが普及していけば,VPP全体の活用も広がる可能性があります。「出力抑制」を回避し,地域の再エネを有効に使うためにも,蓄電池などの技術開発や導入コストの低減がカギになりそうです。(引用終わり)

 さて最初の記述(話題)に戻ろう。関西電力は2011年の「3・11」を契機に,その間,低下していた原発稼働率を,徐々に再稼働させつつ上昇させてきた。だか,この電力会社としての経営の方向性は,二重の意味で時代遅れを意味している。

 ※-1 ひとつは,原発の非科学性,いいかえれば「反人間性・非人類性」,総じて『地球環境破壊性』(極端な有害性)という基本性格があった。

 ※-2 ふたつは,同じ電力を生産させる方法としては,大規模である装置・機械としてだけしか設備を準備・稼働できない原発の「不便さ・不適合性(操業時における柔軟性・弾力性の欠如)」があった。

 しかし,関電は,多大な設備投資をした原発全基を,なるべく長期にわたり稼働させるという「当面の企業方針」「利益管理目的」を,至上とみなす経営行動しか採りえない。私的企業でもある電力会社の立場・利害に照らせば,そうした方途にしか向かおうとしない現状は,当然といえば当然であった。

 しかしまた,電力会社のあり方に関していえば,先述に指摘したとおり,原発の歴史は「国策民営・地域独占・総括原価方式」の旨味を,さんざんと形容してもいいくらい享受し堪能してきた。いまとなっては,原発という大規模であって一番融通の効かない電力生産方式,しかも「原発の事故」という恐ろしい可能性(素性)を有している。付言しておくが,東電福島第1原発事故ではMOX 註記)を炊いていた3号機は核爆発を起こしていたと指摘されてもいる。
 註記)MOXとは混合酸化物燃料の略称であり,原子炉の使用済み核燃料中に1%程度含まれるプルトニウムを再処理により取り出してから,二酸化プルトニウム(PuO2)と二酸化ウラン(UO2)とを混ぜてプルトニウム濃度を4~9%に高めた核燃料のことである。

 かつては公益企業だからといっても,その「国策民営・地域独占・総括原価方式」を特権を付与されており,それこそ悠々自適みたいな経営管理状態を許されてきた電力会社であって,目先の営利追求はもちろんのこと,長期的な営利獲得も存分に実現できていた。

 だが,現在にあっては早急に原発を廃絶させ,VPPの発電・給電・配電体制の構築などに向けて,企業としての体質改善をすることが急務である。

 結局,原発が位置する地方自治体を拠点に,関電の事例であれば,森山栄治のごとき「闇のフィクサー」を登場させていたのも,国策としての原発推進体制が大本の原因になっていた事情は,あえて指摘するまでもあるまい。

 

 『isep』(認定NPO法人 環境エネルギー政策研究所)は,2019年4月8日に「2018年(暦年)の国内の自然エネルギー電力の割合(速報)」(https://www.isep.or.jp/archives/library/11784)をかかげていた。

 この文章の要旨を聞いておくことが,本日の記述全体にとって参考になる。また,図表を1点のみ引用しておくが,日本では再生可能エネルギー源の開発・利用に大きなバラツキ(ムラ:不均衡と未熟さ)がある事実も,明らかに観てとれるはずである。

f:id:socialsciencereview:20191214104023p:plain

   補注)この図表についていうと,各電力会社のうち「原発の再稼働」が実現していないところが多くがある現況を付記しておく。沖縄電力以外の全社が「再稼働をする可能性」のある原発保有している。一言でいえば,原発再生可能エネルギー自然エネルギー)の積極的な導入・利用を阻害している点は,否定できない。

      ◆ 2018年(暦年)の国内の自然エネルギー電力の割合 ◆
  = 自然エネルギーによる発電量の割合は17.4%に達し,太陽光は6.5%に =

 【要 旨】〔のみ紹介する〕

 2018年(暦年)の日本国内の自然エネルギーの全発電量(自家消費含む)に占める割合は,前年の16.4%から17.4%に増加したと推計される。

 全国の太陽光発電の発電量の割合は,2018年には前年の5.7%から6.5%に増加し,VRE(変動する自然エネルギー:太陽光および風力)の割合は6.3%から7.2%に増加した。

  風力(0.7%)とバイオマス(2.2%)も増加傾向にあるが,水力(7.8%)や地熱(0.2%)は,ほぼ横ばいの状況が続いている。

 化石燃料による火力発電の割合は,前年の81%から78%に減少したがまだ高いレベル,原子力発電は前年の2.8%から4.7%に増加した。

 2018年(暦年)の年間の電力需要に対する自然エネルギーの割合は,全国では16.5%となり,エリア別では北陸電力東北電力が約30%と高い。

 2018年の電力需給でのVRE(変動する自然エネルギー:太陽および風力)の割合は,四国電力および九州電力が約12%と高く,四国では2018年5月の1時間値の最大で自然エネルギーが需要の100%超になり,2018年10月からは九州でVREの出力抑制が全国で初めて実施された。

 欧州各国では,すでに自然エネルギー電力の年間発電量の割合が30%を超える国が多くあり,VRE(変動する自然エネルギー)の割合も20%を超える国がある。

 欧州各国では,自然エネルギーの中長期的な高い導入目標をかかげており,2030年までに自然エネルギー100%で電力供給をめざす国もある。これらと比べて日本の目標24%はとても低い

------------------

※ 以下の画像には Amazon 広告へのリンクあり ※