山口敬之が起こした伊藤詩織への「強制性交」事件,安倍晋三との腐れ縁がある腰巾着は,どんな行為をしても罰せられないのか

山口敬之(アベ・トモ)元記者,伊藤詩織への強制性交(準強姦行為),民事裁判で完全敗訴(1)

 

 【要  点】 安倍晋三に救助されて刑事告訴を逃れていた山口敬之が,伊藤詩織に対する強制性交(実質は強姦行為)のかどで,民事裁判に提訴されていたが,完全に負ける判決が出されていた。

 
 🌑「元TBS記者に賠償命令 伊藤詩織さんへ合意なき性行為,認定 東京地裁朝日新聞』2019年12月18日夕刊9面「社会」
 
 望まない性行為で精神的苦痛を受けたとして,ジャーナリストの伊藤詩織さん(30歳)が元TBS記者の山口敬之氏(53歳)に1100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が〔12月〕18日,東京地裁であった。鈴木昭洋裁判長は「酩酊(めいてい)状態で意識のない伊藤さんに対し,合意がないまま性行為に及んだ」と認め,山口氏に330万円の支払いを命じた。

 判決によると,伊藤さんは2015年4月,都内のすし屋で山口氏と酒を飲みながら会食。その後,近くのホテルで性行為をされた。山口氏は「合意があった」と反論していた。

 伊藤さんと山口氏のいいぶんが大きく食い違ったことから,判決は2人の供述の信用性を比較。伊藤さんはホテルに入るさいに足元がふらつくなど強度の酩酊状態で,「記憶がない」とする本人の供述と整合性があると認定。その日に医者を受診していたことや,数日後に友人や警察に相談をしたことを「意思に反しておこなわれた裏づけ」とした。

 一方,山口氏については「伊藤さんが帰る意思を示したのにホテルに向かった」と指摘。ホテル内でのやりとりについても内容が不合理に変わっており,「伊藤さんの供述が客観的事情とも整合し,相対的に信用性が高い」と判断。「性行為に合意はなく,伊藤さんが意識を回復して拒絶してからも続けた」と結論づけた。

 山口氏は,伊藤さんの会見や著書で名誉を傷つけられたとして反訴していたが,判決は「性犯罪の被害者をとりまく社会状況を改善しようと体験を明らかにしたもので,内容も真実なため名誉毀損(きそん)にはあたらない」として退けた。

 この件をめぐっては,伊藤さんの告訴を受けて警視庁が山口氏を準強姦(ごうかん)容疑で捜査したが,東京地検は2016年7月,嫌疑不十分で不起訴処分とした。伊藤さんは2017年5月,検察審査会に不服を申し立て,顔と名前を明かして記者会見。だが,東京第六検察審査会は同年9月,「不起訴相当」の議決を出した。

 判決後,取材に応じた伊藤さんは「刑事事件で不起訴になり,どんな証拠や証言があったのか,私はすべてをしることができなかった。民事で明らかにすることができて良かったと思う」と,時折言葉を詰まらせながら語った。(引用終わり)

 この報道に関して『日本経済新聞』は,同じく12月18日夕刊で「伊藤さん『傷癒えない』 山口氏控訴へ 判決内容批判 性暴力訴訟」との見出しを付けてとりあげていた。

 本ブログ(旧ブログ)では,伊藤詩織に対して強制性交をおこなっていた山口敬之に関しては,事件発生当時からとりあげ議論していた。以上に紹介した民事裁判の判決をめぐる報道をめぐり,その前提となる話題として,時系列順に本ブログの記述を復活させてみることにした。ただし,関連する記述量はたくさんあるゆえ,少しずつその順に再公表していく手順となる。


 「山口記者暴行疑惑に沈黙する野党と大手メディアを疑う」天木直人のブログ』2017-05-31http://kenpo9.com/archives/1555

 〔伊藤〕詩織さんの覚悟の衝撃記者会見から1日たって,昨日〔2017年5月30日〕の『日刊スポーツ』と『日刊ゲンダイ』が大きく書いた。あの『夕刊フジ』まで小さいながらも書いた。この事件を最初にスクープ報道し,今回の記者会見をセットした『週刊新潮』は明日発売の最新号で書くだろう。
 補注)この『週刊新潮』2017年6月8日号は,本日:6月1日に発売されていた。『週刊新潮』(新潮社)の広告は,こう宣伝している。該当記事の見出しは『検察審査会が動き出す「山口敬之」の準強姦 暴行直後に「君のことを好きに…」』となっており,ネットに公表されている記述では,つぎようにこの記事が紹介されている。なお女性の姓は「伊藤」とのこと。  

     f:id:socialsciencereview:20191219083156j:plain

 山口敬之氏の準強姦逮捕状が,官邸重用の警視庁刑事部長によって握り潰されたことを『週刊新潮』が報じて3週間。5月29日,ついに被害女性である詩織さん(28歳)が顔出しで会見をおこなった。 

 事件が起きたのは2015年4月3日。当時,TBSに在職の身であった山口氏は,ジャーナリスト志望の詩織さんと待ち合わせ,串焼き屋と鮨屋をハシゴする。

 その過程で,酒に強いはずの詩織さんは意識を失い,山口氏の宿泊先ホテルに連れこまれたのだ。下腹部の痛みで詩織さんが目を覚ますと,そこには腰を動かす山口氏の姿が。しかも山口氏は,避妊具をつけずに行為に及んでいた。直後のやりとりは,以下のとおり。

  山口:ごめん。君のことが本当に好きになってしまって。早くワシントンに連れていきたい……。これから7時にチェックアウトをして空港に向かうので,シャワーを浴びたら一緒に薬局でピルを買いましょう。

  詩織:とにかく服を返してください。

  山口:下着だけでもお土産でもって帰ってもいいかな。いつもは強気なのに困った時は子供みたいで可愛いね。

 その後,詩織さんは告訴状を提出する機会をうかがい,〔2015年〕4月30日に高輪署に受理される。6月4日までには逮捕状が発付され,8日に山口氏を逮捕する算段となったが,寸前で中村 格・警視庁刑事部長(当時)の指示によりとりやめられるという,不可解な展開を迎えたのだ。

 『週刊新潮』の取材に対して山口氏は,「純粋に検察の判断に不満があるなら,時をおかず不服申立をおこなわれるのが自然だと考えます」と疑義を呈するが,詩織さんはこう答える。「不起訴処分後はしばらく塞ぎこんでいました。そこから気持を前向きにし,検察審査会に向けて調査を続け,証拠開示にも時間を要したのです」。

f:id:socialsciencereview:20191219083508j:plain

   f:id:socialsciencereview:20191219083648j:plain

   出所)http://blog.goo.ne.jp/kimito39/e/01bd3dedc6f3de4621be2c9b5569329b

天木直人の本文引用に戻る→〕 ところが,大手新聞で書いたのは『東京新聞』ぐらいだ。なぜこれほど重大な告発を大手新聞は黙殺するのか。それよりさらに不可解なのは野党だ。国会でとりあげた気配はまったくない。この疑惑は,単なる一記者の暴行疑惑ではない。安倍首相をもちあげる情報操作の役割を担っている御用ジャーナリストだ。この疑惑は単なる暴行疑惑ではない。限りなく強姦に近い卑劣な行為だ。

 詩織さんが記者会見で語ったところによれば,準強姦罪容疑で逮捕状まで用意して,帰国を待ち構えていた捜査員が,「上からの指示」で逮捕できなかったという事件だ。詩織さんは,その上司とは当時の警視庁刑事部長だと聞いているとまで証言している。最初にこの疑惑を書いた『週刊新潮』の先週号(2017年6月1日号)は,その部長は政権中枢(つまり安倍首相・菅官房長)に近い中村 格組織犯罪対策部長らしいとまで書いている。

 おりから共謀罪強行採決されようとしている時だ。おりから加計疑惑問題が大騒ぎになっている時だ。前川前文科省事務次官の告発で,行政が安倍政権のもとで不公正,不公平に歪められたと追及されている時だ。犯罪捜査や立件までもが歪められていたとしたら,究極の国家犯罪だ。しかも暴行という犯罪は,究極の女性差別であり人権侵害だ。森友・加計疑惑どころの騒ぎではない。安倍内閣は即刻吹っ飛ぶ。

 なぜ野党はこんな重大な疑惑を国会で追及しないのか。なぜ野党は詩織さんの国会証人喚問を求めないのか。国会で追及されれば全国にしれわたる。全国にしれわたれば,国民の半数を占める女性を敵に回すことになる。私はこの詩織さんの記者会見が,このまま黙殺されて終わるのか,安倍内閣の終焉につながるのか,その進展如何で,日本という国の民主度,文化度がわかると思っている。日本と日本国民の正体がわかると思っている。
 註記)http://kenpo9.com/archives/1555


 安倍晋三⇔山口敬之」⇒伊藤詩織準強姦事件のうやむや化に潜む「国家支配体制側の傲慢と僭越」にも透視できる「一貫した女性蔑視の立場」(2017年10月18日記述)

 ※-1 準強姦事件で刑事訴訟されると思っていた山口敬之(安倍晋三の腰巾着の記者的ライター)が,なぜか救済されてしまい,事件化がならなかった事情・経緯を,みずから告発して明らかにした伊藤詩織

 ※-2 「安倍晋三のオトモダチ」ばかりがのさばる,この日本国の政治・社会の薄暗さ,その不当・不正ぶり

 

 1)文藝春秋 BOOKS』の宣伝

 f:id:socialsciencereview:20191219084557j:plain

 本日〔2017年10月18日〕の朝刊3面下部に,この本の大きな広告が出ていた。伊藤詩織『Black Box』(2017年10月18日発売,¥1400-。本文 256頁,四六判 軽装 並製カバー装)である。この「作品紹介」は,つぎのように説明されている。もちろん出版社の宣伝文句である。

 尊敬していた人物からの,思いもよらない行為。しかし,その事実を証明するには--密室,社会の受け入れ態勢,差し止められた逮捕状。

 あらゆるところに “ブラックボックス” があった。司法がこれを裁けないなら,なにかを変えなければならない。レイプ被害にあったジャーナリストが,みずから被害者をとり巻く現状に迫る,圧倒的ノンフィクション。

     f:id:socialsciencereview:20191219085059j:plain

 「この本を読んで,あなたにも想像してほしい。いつ,どこで,私に起こったことが,あなたに,あるいはあなたの大切な人に降りかかってくるか,だれにも予測はできないのだ。」(「はじめに」より)

 ※ 著者紹介 ※  伊藤詩織(いとう・しおり)は1989年生まれ,ジャーナリスト。フリーランスで,エコノミストアルジャジーラ,ロイターなど主に海外メディアで映像ニュースやドキュメンタリーを発信する。

 以上,商品情報の関連からこの新著を,それも出版元の宣伝文句どおりに紹介してみた。
 註記)http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163907826

 本ブログ筆者が記述したきた〈関連の話〉を,先に紹介しておく。以前,伊藤詩織は当初,この「伊藤・詩織」の氏名のうち「詩織」だけを名のっていた。だが,ネット上ではすぐにみつかる「姓の『伊藤』」であった。そこで,この姓も出して言及したところ,ともかく,その時点ではまだ「伊藤」という姓は伏せた状態で彼女が話題になっていたせいか,これに早速「苦情(イチャモン)」を突きつけていた〔多分〕女性がいた。

 しかし,いま〔その後〕となっては,彼女が姓を出す出さないといった次元の問題を突き抜けた「事件性の話題」にまで成長している。つまり,彼女の身の上に関して,それも安倍晋三までが裏舞台で絡んでいるような出来事,いいかえれば,司法界における「安倍晋三への忖度」の問題としてまで増殖していた。この基本点は「周知の事実である」とまで理解できるはずである。

 本日〔2017年10月18日〕午前5時45分現在ですでに,本書に対する「アマゾンのブックレビュー」が1件投稿されている。「トップカスタマーレビュー 1件のみ」がそれであるが,「5つ星のうち4.0」の評価を付けて,「安倍政権の司法私物化極まれり!」(投稿者マーメ 2017年10月17日)という表題のもと,こう述べている。 

 安倍政権は,司法まで私物化していた! 戦慄を覚える。参院選直前でなければ,山口は逮捕されていただろうに。そろそろ国民は,安倍政権の闇に鉄槌を下すべきだ。詩織さんはじめ,多くの被害者の人権が,正当に守られる国になって欲しい。
 註記)https://www.amazon.co.jp/dp/4163907823?tag=bunshun_online-22

 

 2) この「準強姦」事件に関連する経緯・事情など

 山口敬之という「伊藤詩織に対する準強姦事件」を起こしたけれども不起訴になっていた人物は,『総理』というゴマすり本を2016年6月に幻冬舎から公刊していた。伊藤に対する事件が発生した経緯・事情は,つぎのようにまとめられている。

 f:id:socialsciencereview:20191219085905j:plain

   出所)画像はパロディ,https://shanti-phula.net/ja/social/blog/?p=135978

  
 次段に参照するブログの記述は,ネトウヨ的な興味津々という視点も含んでいて,とくに後半は「これはいただけない」という印象を回避できない箇所になっている。そちらははぶき,参照する価値のありそうな前半の記述のみを参照しておく。

  ◆「【山口敬之氏レイプ事件】『伊藤詩織さんの黒い噂』の答え合わせして,真実を見極めようじゃないか」◆

 =『Not Quick a Nine -日々の気になることを,独断と偏見で綴る,バカ親父ブログです』2017-06-01)=

 

 a) 海外でジャーナリストをしているとされる伊藤詩織さんという女性が,元TBSワシントン支局長の山口敬之氏にレイプされ,逮捕状発行されたものの,なぜか逮捕されず不起訴処分になったことに納得ができないと訴えるべく,記者会見を開いた。

 

   ※ 事件のあらまし(時系列)

 

 2013年秋    伊藤詩織さんはフリージャーナリストで,当時ワシントン支局長の山口敬之氏51歳とニューヨークでしりあう。

 2015年3月   詩織さんが仕事を探しているという趣旨のメールをする。

 2015年4月3日 就職相談のため山口敬之と2人で食事へ。午後8時ごろ,二人で恵比寿の串焼き屋に入店。午後9時20分ごろ,2件目のお店,すし屋に移動,このすし屋のトイレで意識を失う。

 2015年4月4日 午前5時ごろ痛みで目覚めると,性的被害を受けていたと気づく。

 2015年4月9日  (謎の空白期間である5日後)東京の原宿署に被害届を提出。

  補注)「謎の空白期間」という点については,記述中に伊藤からの説明があった。

 

  2015年4月15日 捜査員とシェラトン都ホテルで防犯カメラの映像を〔で?〕一緒にいるところを確認。(詩織さん談)

 2015年4月30日 高輪署で告訴状受理。
 2015年6月    証拠がそろい,逮捕状が発行される。

 2015年6月4日  山口敬之が日本に帰国するタイミングで「成田空港で逮捕する」という連絡が入り,ドイツからの帰国を要請される。

 

 2015年6月8日  捜査員から,「空港まではいったが上からの指示で逮捕できなかった」と連絡が入る。

 2015年8月26日 山口敬之の自宅に捜査員が訪れ捜査,書類送検

 2015年10月   詩織さんが担当検事と面会。
 2016年1月    山口敬之が担当検事と面会。
 2016年6月    詩織さんが担当検事と2度目の面会。


 2016年7月22日 山口敬之の不起訴処分が下される。

 2017年5月29日 詩織さんが記者会見を開き,東京検察審査会に不服申し立て。

 

 b) 山口敬之(やまぐち・のりゆき,1966年5月4日,51歳・既婚,子どもあり。下掲の画像では右側の男性)は東京都生まれ,職業はジャーナリスト〔2016年~〕,元TBS記者。学歴は筑波大学附属高校,慶應大学経済学部卒業,1990年にTBSに入社。1993年にロンドン支局に特派員として赴任し,世界各地で紛争や内戦の現地取材などをおこない,帰国後は政治部の記者などを担当。

 

 f:id:socialsciencereview:20191219090757j:plain

 出所)http://blog.livedoor.jp/fu55/archives/8881035.html

 

 2013年ワシントン支局長に就任後,ベトナム戦争時に韓国軍慰安所があったことを指摘する記事を『週刊文春』に掲載したことがきっかけで,結果的に支局長の任を解かれ,その後2016年にTBSを自主退社し,フリーのジャーナリストとして活動をおこなっていた。最近では,各報道番組やワイドナショーなどにも出演していた。著書には『総理』などもあり,きわめて安倍政権寄りの発言が多いことでも有名である。

 

 c) 伊藤詩織さんとは。ここで参照しているブログ(『Not Quick a Nine -日々の気になることを,独断と偏見で綴る,バカ親父ブログです』)の記述は,変な通路にも進入しつつ言及しているので,十分に注意しながらとりあげる。

 まずこういっている。Wikipedia などには情報がみつからないため,Web 上からいろいろと集めたといって書いている。

 名前:伊藤詩織(いとう・しおり,28歳)は,米国の大学に留学(ジャーナリズム専攻)し,職業はジャーナリスト(元ロイター通信の記者),写真家,ドキュメンタリー映像作家。どれもこれも綺麗な写真がたくさんで,魅力的な構図だし色合いも綺麗だし,写真家としては素晴らしい腕前だと思います。

 ところが,これにつづくこのブログの記述がまずい。ネトウヨ的な関心まる出しにこうもいっている。「名字は伊藤ではなく尹なのでは」? 当初会見では詩織という名前だけを公表されていて,性は未公表ということになっていました。〔だが〕ネット民の間ではすぐに伊藤姓が判明。
 補注)「尹」というのは韓国〔など〕の姓であるが,なにゆえ,ただちにこちらのほうに話題を直結させるかのような言及に飛躍するのか,不思議である。仮りに,伊藤詩織が万一「在日であった」としても,「今回の問題」の議論に直接に影響する要因とはなりえない。もともと,ありもせず・なかったとしかいいようがないその問題要因である。したがってここでは,ネトウヨ的に軽い(きわめて軽薄な)言及をしていたと批判しておかねばならない。

 さらに,記者会見で「共謀罪の審議をやめる必要がある」などと,変に政治色の強いことをいい出し,なにか様子がおかしくなってきます。
 補注)このブログの筆者は,この共謀罪の問題がどのような政治的な本質を有する問題なのか,たいして理解が進んでいなかったかのような口調である。伊藤詩織がジャーナリストであることを指摘するだけでも,この疑問(批判の提示)の正当性が諒解できるはずである。

 さらにこうもいっている。「当弁護士が民進党議員・松尾明弘氏の部下と判明し」「追い打ちをかけるように,辛 淑玉,SEALDs,しばき隊が一斉に『共謀罪より刑法改正! 詩織と共に戦う』とツイートを始め,一気にそっち系一色に染まります。

  “そっち系の人たち” が勢揃いしたところで,「伊藤」ではなくて「尹」なのでは(?)という憶測があっという間に飛びかい,ツイッターでは早速 「#尹詩織」などのタグまで付けられて,大炎上という状況。

 まぁ,話があまりにもできすぎていて,レイプ事件始まりだったことをすっかりと忘れてしまうが,実際に詩織さんが尹という性かどうか(?)を決定づける証拠は,いまのところみつかっていません。

 たしかに,彼女の周辺にはそっち系が多いですし,インスタや公式サイトには,SEALDs の写真があったり,ロイターに SEALDs に関する記事を書いていたりと,とても臭う部分は多いが,そうと決めつけるにはまた早いのでは(?)という気がする。みなさん,確信がもてないことはくれぐれも拡散しないように注意しよう!
 註記)http://notquicka9.hatenablog.com/entry/yamaguchi-mondai

 この最後の段落はまともな記述や主張をしている中身や内容には聞こえない。ネット空間において頻繁に登場するごとき,それも「憶測と想像」にもっぱら頼った与太話のたぐいであって,まともな健全性を最低でも維持できた論及にはなっていない。こうした次元の議論を足場に話をしているところからして,かなり恣意的・盲目的ないいぶんである。

 要は,在日系の人間・集団などにかかわる問題だと想定されると,なぜか突如,準強姦事件のその被害者に対してすら,単なる「在日探しの標的」になってしまい,問題が矮小化されている。この日本社会における不治の痼疾だといっていいほどに,ネトウヨ「公論(?)」の迷走ぶりがめだっている。いつもの,たいそうみあきた・聞きあきた現象ではあるけれども,もっと常識をもって「語る」必要があることを忠告してみたい。

 

 3)「暴行被害を訴えた詩織さんが,手記を書いた理由-伊藤 詩織」(『文春オンライン』2017年10月17日 07:00)

 この記事はあくまで出版元の宣伝用に書かれている。この点をしかと踏まえて読む余地があることを,さきに断わっておきたい。

 レイプ被害を受けたと会見で訴えたジャーナリスト伊藤詩織さんが,手記『Black Box』を上梓した。詩織さんは2015年,ホテルで意識のない状態で性的暴行を受けたとし,準強姦容疑で警視庁に被害届を提出。 

  f:id:socialsciencereview:20191219091554j:plain

 ところが,東京地検は嫌疑不十分でこの件を不起訴と判断した。詩織さんは2017年5月29日に司法記者クラブで会見し,検察審査会への申し立てを公表したが,9月21日,検察審査会もこれを「不起訴相当」と議決。現在は真相究明などを求め,9月28日付で東京地裁民事訴訟を起こしている。

 「被害者A」ではなく実名のファーストネームで会見した詩織さんは,本書で “伊藤” という苗字も明かした。広く社会で議論する必要性を感じ,自身がしるすべてを明かした本書より,「はじめに」の一部を以下に公開する。

 --2017年5月29日,私は司法記者クラブで記者会見を開いた。私が被害を受けたレイプ事件が検察の判断によって不起訴処分となったため,検察審査会に申し立てしたことを報告する会見だった。被害にあってから,実に2年以上の月日が経っていた。会見で初めて,この件についてしったという人が多かったかもしれない。しかしこの2年間,私は警察や弁護士事務所,報道関係者の前で,なんど同じ話を繰り返したことだろうか。

 レイプという言葉を聞いて人が思い浮かべるのは,おそらくみしらぬ人から突然夜道で襲われるような事件ではないだろうか。しかし,内閣府の2014年の調査によれば,実際にまったくしらない人から無理やり性交されたというケースは11.1パーセント。多くは顔見しりから被害を受けるケースなのだ。警察に相談にいく被害者は全体の4.3パーセントにしか及ばず,そのうちの半数は,みしらぬ相手からの被害だ。
 補注)最近における関連の調査報告書は,内閣府男女共同参画局『男女間における暴力に関する調査報告書〈概要版〉』平成27〔2015〕年3月,http://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/chousa/pdf/h26danjokan-gaiyo.pdf

 顔みしりの相手から被害を受けた場合は,警察にいくことすら難しいことがわかる。そしてもし犯行時,被害者に意識がなかったら,いまの日本の法制度では,事件を起訴するには高いハードルがある。私のケースがそうだったように。生きていると,本当にいろいろなことがある。想像もしていなかったこと,テレビのなかの話,遠い誰かの身に起こった話だと思っていたようなことが。

 私はジャーナリストを志した。アメリカの大学でジャーナリズムと写真を学び,2015年の帰国後は,ロイターのインターンとして働き始めた。そんな矢先,人生を変えられるような出来事があったのだ。これまでおよそ60ヶ国の国々を歩き,コロンビアのゲリラやペルーのコカイン・ジャングルを取材したこともある。こうした話を人にすると,「ずいぶん危ない目に遭ったでしょう」と訊かれる。

 しかし,こうした辺境の国々での滞在や取材で,実際に危険な目に遭ったことはなかった。私の身に本当の危険が降りかかってきたのは,アジアのなかでも安全な国として名高い母国,日本でだった。そして,その後に起こった出来事は,私をさらに打ちのめした。病院もホットラインも警察も,私を救ってくれる場所にはならなかった。

 自分がこのような社会でなにもしらずに生きてきたことに,私は心底驚いた。性暴力は,誰にも経験して欲しくない恐怖と痛みを人にもたらす。そしてそれは長いあいだ,その人を苦しめる。なぜ,私がレイプされたのか? そこに明確な答えはない。私はなんども自分を責めた。ただ,これは起こったことなのだ。残念ながら,起こったことは誰にも変えることができない。

 しかし,その経験は無駄ではなかったと思いたい。私も,自分の身に起きて初めて,この苦しみをしったのだ。この想像もしていなかった出来事に対し,どう対処すればいいのか,最初はまったく分からなかった。

 しかし,いまならなにが必要なのか分かる。そしてこれを実現するには,性暴力に関する社会的,法的システムを,同時に変えなければいけない。そのためにはまず第一に,被害についてオープンに話せる社会にしたい。私自身のため,そして大好きな妹や友人,将来の子ども,そのほか顔も名前も知らない大勢の人たちのために。

 私自身が恥や怒りをもっていたら,なにも変えることはできないだろう。だから,この本には率直に,なにを考え,なにを変えなければならないかを,書きしるしたいと思う。

 「どう起こらないようにするか」。繰り返すが,私が本当に話したいのは,「起こったこと」そのものではない。「起こってしまった場合,どうしたら助けをうることができるのか」という未来の話である。それを話すために,あえて「過去に起こったこと」を話しているだけなのだ。

 この本を読んで,あなたにも想像してほしい。いつ,どこで,私に起こったことが,あなたに,あるいはあなたの大切な人に降りかかってくるか,誰にも予測はできないのだ。

 

 4) レイプ被害を受けた女性の立場や気持

  伊藤詩織が訴えている感情と論理は,女性がレイプ(強姦:性的暴行)を受けたさい,一般的に共有しているものであった。つぎに引用する事例は,アメリカにおける事件を紹介した記事である。

 題名は『レイプ事件被害者の「その後」は?  女性がネットで告白,スタンフォード大学レイプ事件の被害者に宛てて,ある女性がSNSで “手紙” を公開​」である( By Gina Mei『COSMOPOLITAN』2016年09月21日,http://www.cosmopolitan-jp.com/trends/lifestyle/news/a2193/rape-survivor-open-letter-stanford-sexual-assault-victim/)。1年ほど前の記事である。なお,引用する翻訳は抄訳である。

 2016年6月,アメリカの名門スタンフォード大学の元学生で,同大学の水泳チームに属していたブロック・ターナー被告に性的暴行の罪で “禁固6カ月” がいい渡された。彼は(2015年1月,酒に酔って)意識のない女子学生を,大学構内にある大型ごみ箱の裏でレイプした罪に問われていた。

 f:id:socialsciencereview:20191219092025j:plain

 出所)スタンフォード大学のキャンパス,
https://tabitatsu.jp/tour/1196

 だが,あまりにも寛大すぎるこの判決に人びとは激怒。そんななか,『BuzzFeed News』に被害女性の陳述書が公開されたことで,大きな反響を呼んだ。

 多くの人が被害者に向けてサポートの声を挙げるなか,同じく過去にレイプ被害を経験したデラニー・ヘンダーソンさん(21歳)が Facebook に公開した,スタンフォード大レイプ事件被害者へのメッセージを,コスモポリタンアメリカ版が紹介。デラニーさんはそのなかで,レイプの恐ろしさや社会に蔓延するレイプ問題の現実についても触れている。

 「私には,あなたの戸惑いや不快感がわかります」という文で始まる彼女のメッセージ。「あなたが怖がっていることも,あなたの怒りも私には理解できます。それに,この感情は誰にも拭い去ることはできない,と思ってしまうこともね」。

 デラニーさんは,自分が16歳のときに自宅のベッドで金持ちの上級生たちにレイプされたことを告白。彼女は当初,レイプされた事実を自分の胸にしまっておこうとしたそう。しかしそれから数カ月後,犯人が自分たちと同じ学校の女の子(14歳)をレイプしたことをしり,その女の子と一緒に警察で被害を訴えたのだ。

 ところが,デラニーさんと14歳の女の子がその後数カ月にわたって受けたのは,屈辱や嫌がらせ,そしていじめだった。デラニーさんがレイプされたという事実は多くの人のしるところとなり,彼女の友人たちでさえ,デラニーさんと距離を置くようになったという。

 レイプされた事実だけでもショックなのに,さらにひどいことばかりが続き,耐えられなくなったデラニーさんは高校を中退。自分の人生を模索しはじめた。そうしてやっと落ち着いたとき,自分のレイプ被害体験を公にすることを決意したのだが,事態は悪化するばかりだった。

 今回のスタンフォード大学のレイプ被害者と同じく,デラニーさんは加害者の前で証言しなければいけないことのつらさをしっているという。そして,加害者に正当な判決が下されなかったときのショックについても…。

  「私をレイプした犯人のうちの1人は,別の女の子への暴行で起訴され,私も証言しなければなりませんでした。法廷で,自分が必死に耐えている痛みや後遺症を与えた張本人と顔を突きあわせるとどんな気持になるか,私には分かります」。

  「彼があなたのなかに入りこみ,すべてを奪い去ったのですから。嫌悪感で体がゾクッとすることも。自分自身を守ろうとしたことにより,他人からひどいことをいわれ,自分の評判が地に落ちることも。あなたの証言を判断する赤の他人12人(陪審員)の前に立ち,ほとんど記憶がない出来事について証言するときの気持も痛いほど理解できます」。

 デラニーさんはまた,自分が受けたレイプ被害を通報することで,被害者自身が経験しなければならない悲劇についても告白。司法制度は自分を守ってくれず,それに追い打ちをかけるように,レイプという憎むべき犯罪に対する罰も十分でなかったと感じたそうだ。

  「あなたの痛みが私にもわかることを伝えたくて,これを書いています。しらない人があなたを押さえつけ,あなたの体をガラクタ扱いするときの気持。あなたが戸惑うのも理解できるし,誰かと親しくなるのを恐れて,周囲の人と距離をとってしまうことも。病院の診察室で,医者が金属製の冷たい器具であなたの体を覗きこむのがどんな感じなのかも,理解できます。私の体は腫れていたし,痛みもあった。痛みはその後もときおり感じました」。

  「学校も,司法制度も被害者である自分を救ってはくれないと感じますよね。あなたの加害者と同じく,私をレイプした人たちも,驚くほど軽い罰で済んでいます。あなたをレイプした人があまりにも寛大な判決をいい渡されたことは,本当に不公平です。レイプ犯はあまりにも多くのものを私たちから奪いました。それなのに,私たちがこれからも毎日感じつづける痛みにふさわしい “正義” は存在しないのです」。

 レイプというつらい経験をしたのち,デラニーさんは性暴力の被害者を支援する非営利団体 PAVE の活動や,自分自身で “SafeBAE” という団体を立ち上げることで,再び生きる力をつけていったそう。とはいえ,どれほど行動を起こしたとしても, “他人から暴行を受けた” という事実から前に踏み出すのは至難の業。そのため,デラニーさんは今回のスタンフォード大学の被害者の行動が,いまなお前に進めず苦しむ多くのレイプ被害者の支えになったと賞賛。

  「あなたはけっして独りではない,ってことを伝えたいです。あなたがいま,どんな状況にいるか私にもわかります。同じ道を歩いているからです。あなたは私だけでなく,世の中の多くのレイプ被害者を励ましているんです」。

   (中略)

  「 あなたの毅然とした態度や発言は,素晴らしいと思います。そうしたあなたの行動が,希望を失っていた多くのレイプ被害者を力づけていることをしってほしいです。あなたはすでに,その力強い発言で多くの被害者を救い,暗闇にいる私たちみんなを明るい未来へと導く存在になっているのですから」。(引用終わり)

 日本における伊藤詩織のレイプ〔準強姦〕事件,そしてアメリカおけるこのレイプ事件にも,一般的に共通する社会心理的および犯罪心理学的な問題が存在している。この事実は,追加の説明などなしですぐに理解できると思う。つぎの ④ からの記述はより公平・中立をめざしている記事の紹介となる。

 

 5)「〈あの人のことば〉『私は,被害者Aではない。伊藤詩織です』元TBS記者のレイプ疑惑を顔出しで公表した理由-『被害者の女性にも悪いところがある』〔といったふうな〕性暴力への偏見は根強い(『HUFFPOST』2017年10月17日 07時29分)

 a) ジャーナリストの伊藤詩織さんが〔2017年〕10月18日,著書『Black Box』(ブラックボックス)(文藝春秋)を出版する。就職相談のため元TBS記者の男性と食事をした夜に「お酒などを飲まされて,望まない性交渉をされた」と記者会見で訴えてからおよそ5ヶ月。

 世の中に向かって声を出したのに,メディアや警察を始め司法がきちんと受け止めてくれなかったこと。そして,性犯罪の被害者に “冷たい” 社会のこと。日本の現状を256頁のノンフィクションとして描いた。

 「被害者の女性にも悪いところがある」「黙っていた方が,被害者にとってハッピーだ」。性暴力への偏見は根強い。

 伊藤さんは『ハフポスト日本版』の取材にフルネームを公表したうえで,「私は泣きつづける『被害者A』ではなく,伊藤詩織というひとりの人間だ。性暴力の実態のリアルな声をあげて,この問題を社会全体で考えるきっかけにしたかった」と話した。以下で対談からの引用部分では「聞き手が◆,伊藤詩織が◇」である。

 

 ◆ 本を出版しようと思ったきっかけは?

  ◇ 事件直後から,いろいろ々なメディアの方とお話をしてきましたが,不起訴(嫌疑が不十分で裁判にならない)という結果になったこともあり,なかなかとりあっていただけませんでした。そんな時,メンターとして慕っているジャーナリストから,「最終的には,自分で発信するしかない。本を書くしかない」といわれました。いわれた時はもう少し先のこととしか考えていなかったです。
 補注)メンター(mentor)とは「仕事上(または人生)の指導者,助言者の意味」。恩師といえば分かりやすいかもしれない。

 私が会見をしたあと,2017年6月に性犯罪の厳罰化をめざす改正刑法が成立しました。法律は変わりましたが,警察の捜査システムや病院の受け入れ方を一緒に変えないと意味がないと思っていました。

 そんな時,編集の方に「詩織さんが会見をしたことで少し扉が開いた状態なのだから,いまだったらみんなが話を聞いてくれる。あなたの一番いいたいことを伝えられるタイミングなんだ」と声をかけられ,本の執筆を決心しました。
 補注)その「性犯罪の厳罰化をめざす改正刑法」については長くなるが,つぎの引用をしておく。問題の根本を理解するうえで有益な参照だと考えた。

   ★「『性犯罪厳罰化』の刑法改正案が衆院で可決,親告罪規定を削除,110年ぶりの大幅改正」★

 =ロイター 2017年06月08日,引用は『東洋経済 ONLINE』http://toyokeizai.net/articles/-/175409  から=

 

 性犯罪を厳罰化する刑法改正案が〔6月〕8日,衆院本会議で可決された。法定刑の下限が引き上げられ,被害者の告訴がなくても起訴できるようにするなど,明治時代の法制定以来,110年ぶりの大幅改定となる。参院に送付され,政府・与党は18日の会期末までの成立をめざすが,参院では組織犯罪処罰法改正案(共謀罪法案)をめぐり与野党が対立しており,審議入りが遅れる可能性がある。
 補記)その改正刑法は2017年6月23日公布,7月13日施行。

 

 改正案は,
  1 強姦罪を「強制性交等罪」とあらため,被害者に男性も含める,
  2 法定刑の下限を懲役3年から懲役5年に引き上げる,
  3 被害者の告訴が必要な親告罪の規定を削除し,告訴を不要とするなどが柱。

 また,犯罪の成立にはこれまでどおり暴行や脅迫が必要だが,改正案では,親などの「監護者」が,支配的な立場を利用して18歳未満の子どもと性交したり,わいせつ行為を行った場合,暴行や脅迫がなくても成立する,としている。

 内閣府の調査(2014年)によると,異性から無理やり性交された経験があった女性のうち,被害について「どこ(だれ)にも相談しなかった」人は67.5%と7割近い。一方,警察に相談した人は4.3%にとどまる。法改正を求めてきた市民団体は「被害者が訴えにくいのは,暴行脅迫要件などの,性犯罪と認定されるハードルがあまりにも高いから」と指摘している。

 改正案が衆院法務委員会で可決された〔6月〕7日,同委員会終了後に「性暴力と刑法を考える当事者の会」など市民団体のメンバー約20人が金田勝年法相と面会し,インターネットで集めた約3万人分の署名と,さらなる法改正を求める要望書を手渡した。

 この問題に詳しい太田啓子弁護士は,今回の法改正案について「必要だし,するべきだが遅すぎた」としている。ロイターの取材に同氏は「改正すべき内容の一部に過ぎないため,今後もさらなる改正について議論が必要」と語った。

 具体的には,暴行脅迫要件の撤廃が「監護者」にとどまっている点を指摘,教育現場で教師やスポーツのコーチによる犯罪が非常に多く,これらがカバーされない点が問題だとしている。

 太田氏は,審議手続についても,先に提出された刑法改正案を共謀罪法案より先に審議すべきだったのに,共謀罪法案成立のために刑法改正案の審議を「いわば人質にとって」共謀罪審議を早く終わらせようとしたと批判している。 

5)  の  a)  の本文記事に戻る ↓ 〕 

 元TBS記者は準強姦容疑で告訴されたが,東京地検は2016年7月,嫌疑不十分で不起訴処分(裁判にならない)とした。東京第六検察審査会は「不起訴相当」とする議決(捜査資料をもう一度精査したが,不起訴を覆す理由がないという判断)を公表し,元TBS記者は「一連の経過で犯罪行為を認定されたことは一度もなく,今回でこの案件は完全に終結した。一部報道などで名誉が著しく傷つけられ,法的措置も検討している」とした(2017年9月23日付『朝日新聞』)。
 補注) 2017年9月22日時点における,以下のようなツイートの2件を紹介しておく。

 ▼-1 「兵藤正俊」いわく。--官邸お抱えレイピスト山口敬之の「準強姦」もみ消し事件で,東京第六検察審査会は,「不起訴相当」とする議決を公表。日本の司法は中世なので,権力が一度もみ消した事件は起訴しない。日本の三権分立は幻想で,内閣人事局が司法の人事も握っている。
 補注中の 補注)「レイピスト」とは多分,rapist という綴りの英語である。

 ▼-2 山口二郎」いわく。--元TBS記者は「不起訴相当」「性犯罪被害」で検審。総選挙への影響を忖度したのかと疑いたくなるような決定。権力者の腰巾着であれば,どんな破廉恥なことをしても罰せられないのか。
 註記)http://saigaijyouhou.com/blog-entry-18358.html

 

 b) 伊藤さんは,元TBS記者の男性ジャーナリスト(51歳)に1000万円の損害賠償を求める訴訟を9月28日,東京地裁に起こした。

 ◆ タイトルの「ブラックボックス」にこめられた意図は?

  ◇ 検察や警察の方から,今回の事件は「(性行為がおこなわれたのは)密室だから2人にしかわからない」「ブラックボックスだ」という言葉がなんども出てきたんですね。だからこそ,性犯罪はみえづらいし,被害者の話を信じてもらえない面があります。 

 今回の事件について「不起訴相当」という結果が出たところも,「いったいなにを踏まえて(その判断をしたのか)」という思いがありました。日本のいたるところにあるブラックボックスに,どう光を当てるのか。外からは,わからないといわれているさまざまな「箱」を開けて,みんなで話し合って,考えていきたいと思いました。

 ◆ 日本では,性犯罪被害は「忘れるまでそっとしておこう」といった風潮がありますが,社会として会話を続けることが大事だと思いますか。

  ◇ 日本の社会では,性暴力のトピックを話すことがタブーになっていると感じたので,雰囲気だけでも変えたかった。話さなければなにも分からないし,変えられない。

 ◆ 本では,「自分は,名前も顔もない『被害者A』ではない。過労死に追いこまれた電通社員の高橋まつりさんも実名が出たから『世の中を変えた』」と書かれていますね。

  ◇ 警察の捜査中,「泣いてくれないと被害が伝わらない」「怒ってくれないと分からない」というステレオタイプ的な被害者像を求められている,と感じました。性犯罪の被害者は「傷ついて泣きつづけているだけの人」というイメージがあるようですが,そこから一歩でも抜け出すために自分の名前を出しました。

 ◆ 2017年5月に東京の司法記者クラブで,今回の件について,記者会見をしたとき,(首筋がみえるぐらいの)私の服装を批判する人がいました。「白いシャツを首まで閉めて,泣いていたらみんな信じたのに」という声です。

  ◇ すごく怖いと思ったんです。そういう姿でないと,「話も聞いてもらえないのか」と。

 ◆ 被害者の顔がみえないのが,日本社会なのでしょうか。

  ◇ 性犯罪に限らず,日本でも近年,被害者のご家族がメディアに向けて会見をする機会がいくつかみられようになりましたが,そういう時に初めて「あ,この人の家族だったんだ」と分かる。名前があって顔があって楽しそうな写真があって,単なる「かわいそうな人」ではなくて,その人の人生が伝わりますよね。

  “被害者Aさん” では伝わらない。隠す必要はまったくない。名前と顔を出すことはなにの抵抗もありませんでした。しかし会見では,家族の意向もあり,「伊藤」という名字は伏せて,下の名前の「詩織」と名乗りました。私は海外では SHIORI といつも下の名前で呼ばれてましたし,自然なことでもありました。

 ◆ 会見後,友人や家族の反応は?

  ◇ 友人は「よくがんばったね」といってくれたのですが,一方,「いろんな声があるけどね」という留保の言葉がいつも付いてきました。世の中にはネガティブな声があることは,そうした表現から感じとれましたね。

 ◆ 家族も大変だったと思います。

  ◇ 家族は......。すごく混乱したと思います。妹とは,本にも書いていますが,まだ話ができていないです。すごく大切な妹だったので,友達にお願いして妹の支援をしてもらっています。妹などの若い世代はインターネットのメディアに触れるから,ネガティブな情報も一番多く見聞きしてしまったんだろうなと思います。

 やっぱり,家族が一番不安に思っていたのは,私や家族の将来のことです。でも,なぜこちら側がそんな心配をしなければいけないのか,理解できなかった。

 なぜこの話をするか。自分のためでも,家族のためでもあり,友人のためでもあるんです。いつどこで誰に起こるかはわからないことだから,一刻も早く社会全体で話し合って考えて変えていかなくてはいかない,と最初からずっと考えていました。

 

 c) 「疑問」(この見出し語は引用者が設定した)

 ◆ 日本の刑事手続について,どのような疑問が浮かび上がりましたか?

  ◇ 最初から警察は「こういう性犯罪はよくある。(立件が難しいから)できない」といっていました。最初聞いた時は「え? 」という感じですね。私が担当の方に「どうして?」「どうして?」と聞きつづけると,「検察官からこういわれたから。自分も板挟みだ」としかいわないんです。

 日本の司法システムを考えると,日本はとても有罪率が高いですよね。立件できない,起訴ができないと現場の人が考えてしまうと動かなくなる。捜査機関の仕事は “捕まえること” も大事ですが,本来の仕事は “調べること” ですよね。司法の問題がそのまま反映されているものだと当初から感じていました。

 捜査員の方と話していると「はき違えているな」と思うことがありました。「被害者が嘘をいっているか見抜かなきゃいけない」という思いが過度に強すぎるのか,被害者になんどもなんども同じ話を聞くんです。もちろん両方の立場から調べないといけませんが,嘘をついているとするなら,そうだと思った証拠や根拠をまずはみつけるべきです。最初から同じ話をなんどもなんどもさせるのも,苦しかったです。

 ◆ 痴漢など冤罪も問題になっています。被害者が嘘をついていると疑いながら警察が捜査をする必要もあるのではないでしょうか。

  ◇ 冤罪の問題はたしかに重要です。しかし痴漢の場合は公共の場でおこなわれることが多いので,被害者や加害者を疑うのなら,第三者の証言・カメラの映像など根拠となるものを示す必要があると思います。

 

 d) 「捜査への疑問」(同上)
 ◆ 著書では『週刊新潮』の報道などをもとに,「警視庁の刑事部長の判断によって,逮捕状の執行が突然止められた」という指摘をされています。

  ◇ 不自然な点があり,どうして捜査を止めたのかが分からない。今回,この本を出すため,(元刑事部長には)取材をなんどが試みましたが,まだお話をうかがえていません。

 〔山口敬之の〕逮捕までいかなかった理由を聞かないと,どうしても「恣意的なことだったんですか?」と聞きたくなってしまうし,もし過去にそういう事例があるのであれば,どういった事例だったのかを教えてもらわないかぎり,私の質問は終わらないです。

 そういう質問をしているメディアもあるようですが,警察側は答えないのでしょうか。だったら「答えないのはなぜ?」って聞いていかないと。「あ,そうですか」ではだめです。機会があれば質問を投げかけてほしいと思いますし,私も調べつづけたい。答えを待っています。

 ◆ 性犯罪の場合,加害者の “いいわけ” としてよく使われるのが「セックスが,同意のうえだと思っていた」というセリフです。はっきりと「イエス」といったわけではないのに,身勝手な主張をするケースが多い。

  ◇「イエス」じゃなかったら,イエスじゃないんです。「ノーではないからイエス」ではありません。「イヤよ,イヤよも好きのうち」という言葉が日本語にありますが,誰の目線の言葉なのでしょうか。驚いてしまいます。

 改正後の「強制性交等罪」では,依然として「暴行・脅迫要件」が緩和されませんでした。でも,被害者側がどれだけ暴行や脅迫をされたのかを証明するのは本当に難しいですよね。スウェーデンのある関係機関の研究では,被害者の約7割が,フリーズ(放心)状態になってしまう,という結果も出ています。

 たとえ相手が自分との性行為を望んでいると感じても,そうではないこともあるかもしれない。そういう勘違いは,きちんと相手のことを考えていたら起きないことだと思います。とても難しい問題に思われるかもしれませんが,実はシンプルなこと。相手が性行為を本当は嫌がってないか,大丈夫か,気をかけることだけでも性犯罪は防げるのではないでしょうか。

 NHKの番組「あさイチ」のアンケートで,「性行為の同意があったと思われても仕方がないと思うもの」という質問に対して,「2人きりで飲酒」「2人きりで車に乗る」「露出の多い服装」などと答えた人がおよそ2~3割いました。こうした行為をするだけで犯罪にあっても「仕方がない」という風潮にとても驚きました。

 ◆ 内閣府の2015年の調査では,女性の6.5%が異性から無理やり性交された経験があると回答し,そのうち少なくとも,75%近くが加害者の顔をしっていたそうです。今回,元TBS記者も詩織さんの知人でした。

  ◇ それくらい普通に起こることなんだ,ということを認識するのが必要だなと思っています。いくら友達でも,いくら信頼していても,起こりうることです。自分が暴力的な行為を受けとってしまったら,受けた方は絶対にわかるんです。それを基準にしていけばいい。

 ◆ 詩織さんのケースを特殊なことだとは思いません。女性の友人に聞いても,上司から飲みに誘われたり,プライベートな LINE が来たりする話を聞きます。日本企業の仕事文化も変えないといけないのでしょうか。

  ◇「あさイチ」のアンケートが正しければ,怖くてアフターファイブを過ごせないですよね。仕事後の食事は,どうしても会社員として参加しなくてはいけないというプレッシャーがありますが,どれだけリスクを負って参加しないといけないのか,とも思います。

 ◆ 今日の日本社会で,詩織さんが,実名で被害があったと告白することはとても勇気が必要だったはずです。あらためて,どう思っていますか?

  ◇ 後悔はありません。ただ,自分の生まれ育ったよくしっている街で同じように行動できなくなったのは,残念です。先日,友人とカフェにいったときも,急に写真を撮られました。友人にも申しわけなかったです。

 でもありがたいことに,いまの仕事は,海外でやっているものが多いし,もし日本でいままでどおり行動ができない不安があっても,他の場所で仕事をやっていけるという自信があります。それがなかったらすごく苦しかったと思います。

 ただ,こういう経験をした人みんなが,思い切ってそれを告白したら会社やコミュニティから外れなければいけないとしたら,それは本当に酷です。安心してケアが受けられ,話せる社会にしていくのは,私たちの責任だと思います。

 補注)ここまで書いたところで,こういう話題を思い出した。2002年に,水沢アキが女性週刊誌上で,処女だった17歳時,森本レオにレイプされたと告発して大騒ぎになった。森本は最初,肉体関係じたいを否定したが,にちに関係をもったことは認めたものの,レイプは否定した。

 石原真理子もやはり週刊誌(『週刊大衆』)で,これまた17歳のとき, “演技指導” の名のもとに「処女を奪った」俳優の名を明かしていたが,その氏名は森本レオであった。以上2件に対する森本のいいわけも,本ブログ内で記述されているとおりの弁解に終始していた。
 註記)ウィキペディア森本レオ」,および,http://www.zakzak.co.jp/gei/2006_12/g2006121807.html 参照。

 なお公平を期すために,水沢アキの場合,その後における男遍歴はにぎやかであった。この点も指摘するからといって,伊藤詩織の問題とは別口の話題なので,誤解などないようにと,付言しておく。

〔伊藤詩織の記事に戻る  ↓  〕

 ◆ 会見後,メールなどの反響はありますか。

  ◇ メールはたくさんいただきます。上司から被害を受けたが,自分の生活を考えると誰にも話せなかった。10年間,15年間,自分のなかにとどめておくしかなかった,というメールをいただきました。

 10年経っても,20年経っても,その傷は簡単に消えることはない。ただ,社会や周りがどう受け入れくれるかで,重荷は楽になるんじゃないかなと。それだけは,私たちができることだと思って変えていかないといけないことだと思います。

 ◆ 詩織さんに起こったことは,私にも起こりうるし,私の大切な人にも起こりうると思います。いま,実際に同じような被害に遭って,いうべきか迷っている人にはなんと伝えたいですか。

  ◇ まず,あなたはひとりではない,と伝えたい。そして,周りがどう判断しようと,自分の真実はひとつであり,それを信じること。それだけを私はいいたいです。
(この「後編」は,近日中にハフポスト日本版で掲載予定です)
 註記)http://www.huffingtonpost.jp/2017/10/16/black-box-shiori-ito_a_23244676/?utm_hp_ref=jp-homepage

 さあ,あなたは,それもとくに男性は,以上の伊藤詩織の意見:主張を聞いてどう感じ,思うのか?

 山口敬之はおそらく,伊藤のこの本『Black Box』が本日発売され,新聞広告がいっせいに出されたことに,びっくりするはずである(事前に教えられていたかも……)。山口は「〇〇〇〇」が縮み上がる思いをしているかもしれない,などとも想像してみるしだい……。

 

 『未 完』  続編「本稿(2)」はこちらへ ⇒ https://socialsciencereview.hatenablog.com/entry/2019/12/20/092252

 

------------------

※ 以下の画像には Amazon 広告へのリンクあり ※