少子化・高齢社会の日本的な問題,人口減少問題に無力であった安倍晋三政権の7年間,とくにアベノミクスの無責任

少子化がいっそう深刻化し,出生数がさらに減少していく日本,同病事例の韓国との比較検討でも考える人口問題,安倍晋三の為政のうちでも「アベノミクス7年間」に露呈されてきた「無為と無策と無効」,つまりその「アホノミクスらしさ」を議論する


  要点:1 人口統計が減少しはじめてから,なおも先細りしている原因はなにか,有効な対策はあるのか

  要点:2 人口統計の減少問題とアベノミクスとの関係を追及しない大手紙の甘い態度は,いまごろに「忖度」?

 

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  出所)https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/suikei19/dl/2019houdou.pdf

 

 「出生数86万人に急減,初の90万人割れ 2019年推計」nikkei.com 2019/12/24 14:35,https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53727740U9A221C1MM8000/  ⇒ 『日本経済新聞』2019年12月25日朝刊1面

 『日本経済新聞』の電子版で12月24日のうちに配信されたこの記事には,びっくりさせられた。以前から,2019年における出生数の予測・推計は90万人を割りかもしれない,89万人だ,いや88万人ほどにも経るかもしれないと聞かされてきた。ところが,この年末になってそれどこか,86万4千人だという予想・みこみが出ていた。

 この日経の記事に添えられた統計図表をみると,官庁側の推計したい「読み:趨勢」からだいぶ下まわった数値になっており,それこそ予測よりもかなり少ない推計を出さねばならなくなっていた。 

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 要は,ここ数年に関していえば,この図表のなかに記入されている文句,「将来推計」として作図された曲線の描き方よりも,さらに下まわる数値が結果している。その点でいえば,減少の仕方が若干異様とも感じられるくらいに「増している」という推移になっていた。

 前置きは以上にして,つぎに記事の本文を引用する。

 --厚生労働省が〔12月〕24日発表した2019年の人口動態統計の年間推計で,日本人の国内出生数は86万4千人となった。前年比で5.92%減と急減し,1899年の統計開始以来初めて90万人を下回った。出生数が死亡数を下回る人口の「自然減」も51万2千人と初めて50万人を超え,政府の対策にもかかわらず少子化・人口減が加速している。

 補注)ところで,以前に『日本経済新聞』2019年6月7日が報道した記事は,「2018年の出生数91.8万人,最低を更新 出生率は 1.42」と見出しをかかげていた。これはもちろん,2019年における出生率はまだ推計されていない時期の関連統計であった。

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 註記)nikkei.com 2019/6/7 14,https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45809520X00C19A6MM8000/

 

〔記事に戻る  ↓  〕

  ※「少子化加速,自然減50万人超に 働き方改革カギ」※ 

 少子化社会保障の支え手の減少に直結するほか,潜在成長率の低迷を招く恐れがある。人口減が予想より早く進む事態への備えが求められる。 

 2017年4月の国立社会保障・人口問題研究所の将来人口推計(日本人人口ベース)では,出生数が90万人を割りこむのは2020年,86万人台となるのは2021年と予測されていたが,減少ペースは2年早まった。5%を超える減少率は1989年以来30年ぶりとなる。

 補注)1990年6月,1989年の人口動態統計で合計特殊出生率が1.57人まで落ちこんだことが発表されると,政財界を中心に高齢者扶養の負担増大や社会の活力低下の懸念から,1.57ショックが起きた。すなわち,出生率低下の原因は,教育や住宅事情などによる経済的・精神的負担,出産・育児と仕事の両立の困難さなどがあるが,

 女性の晩婚化(平均初婚年齢25.8歳,1989年),シングル志向(25~29歳女性の未婚率は85年現在31%)も大きな原因である。一方,女性の意識は,「国が直接出生率増加の音頭をとる」ことには8割が反対(毎日新聞全国家族計画世論調査,1990年6月)しており,きわめて冷静である。1990年にはさらに1.53人になった。1996年には1.48%まで下がると推計されている。

 その後も出生率は低迷したままであり,ここ数年は1.4台で推移してきたが,合計特殊出生率の算出において「母数」になる年齢層の総数が,少子化現象の進行にしたがい現象しているゆえ,出生数そのものがさらに減少していく動向になんら変化はなかった。問題は,前段に指摘されている出生率低下に歯止めをかけ,できれば少しでも回復させる国家次元の対策が必要であった。

 だが,過去7年間も政権を維持してきた安倍晋三の問題意識じたいが非常に低調であって,このままではさらに出生率が減少しつづけていく予測しかできない。問題の核心にはまず「教育問題」,つぎに「住宅事情」,さらに「婚姻(事実婚も含めてとくに若者たちが)」に消極的にならざるをえない現状が,出生率・数を引き下げていく基本原因になっている。

 女性の初婚年齢が30歳に近づいてきた。厚生労働省が発表している2018年度の結婚平均年齢(初婚年齢)は,日本人の初結婚の平均年齢は,男性は31.1歳,女性は29.4歳である。2017年度の男性の平均結婚年齢は31.3歳となり,過去最高年齢であった。要は男女ともに結婚平均年齢は上がっており,未婚率も年々増加している。 

 ちなみに,1960年代から1980年代の女性の結婚平均年齢は24~25歳であったから,ここ30年近くで一気に上がったことになる。近年は,30代での初婚も珍しくなく,晩婚だとはいわれなくなった。年齢層で見ると,男女共ともに0代後半に当たる25歳~29歳がもっとも高く,20代前半の20歳~24歳は減少してきた。男女とも初婚年齢が30歳以上の年齢層が上昇している。 

〔記事に戻る→〕 出生数の急減は複数の要因が重なった可能性がある。もっとも大きいのは出産期の女性の人口減少だ。総務省の統計では2019年7月時点で25~39歳の女性は969万人で,前年同月から約21万人減った。

 1971~74年生まれの団塊ジュニアが2019年に45歳以上になった影響もある。同研究所の岩沢美帆・人口動向研究部長は「この世代は就職氷河期に直面するなどし,若い頃に見送っていた出産が後ろずれしたことで,直近の出生率を下支えしていた」と話す。

 2019年は新元号にあやかった「令和婚」や「令和ベビー」の効果で出産が増えるとの期待もあったが,婚姻件数は前年比0.59%減の58万3千組にとどまり,空振りに終わった。

 補注)この令和という元号に関連させて,このような期待をしていい時代ではなくなっている。それほどにまで,少子化の減少傾向はきびしい情勢となっている。この種の問題に向けて願掛けをするみたいな「元号頼み・話」は,まったく通用しない。「少子化の進行状況は切迫している」。

 そもそも,結婚じたいをしたくても実現させえない若者,結婚じたいを諦めている若者も大勢いる「昨今における日本社会の情勢」を,実質的には放置してきた政府の無為・無策のほうが,大問題であった。元号が替わったからといって「元号頼み」をしたところで,有効なのは1年かぎりである。それになにかを特別に期待することじたい,いまでは,見当違いのはかない希望でしかない。

〔記事に戻る→〕 2003年に少子化対策基本法が成立し,政府は仕事と子育ての両立や待機児童対策,保育料無償化や働き方改革,男性の育児参加などを推進してきた。合計特殊出生率は2005年の1.26を底に一度はもちなおしたものの,2015年の1.45の後は減少が続き,2018年は1.42だった。

 政府は2025年度までに,子どもを望む夫婦らの希望がすべてかなった場合の「希望出生率1.8」の実現を目標にかかげるが,即効薬は見当たらないのが現状だ。

 松谷明彦・政策研究大学院大名誉教授(マクロ経済学)は「若い世代が減っている以上,政府の少子化対策に劇的効果は望めない。人口減を前提とした社会,経済に転換していく必要がある」と指摘する。

 人口動態統計の年間推計は10月までの速報値から算出しており,出生数に外国人の日本での出産,日本人の海外での出産を含まない。これらを含めた総人口ベースでも2019年の出生数は90万人を下回った可能性が高いとみられる。(引用終わり)


 「出生数,90万人割れ 想定より1年早く 今年見通し」朝日新聞』2019年12月25日朝刊1面

 この記事は ① の『日本経済新聞』の記事と同じ内容を報道しているが,若干語感(論調)を異ならせる部分もある。ともかく引用する。

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 国内で2019年に生まれた日本人の子どもは86万4千人になり,統計を始めた1899年以降で初めて90万人を下回るとの見通しを〔12月〕24日,厚生労働省が公表した。前年より5万4千人少なく,親になる世代の人口が減っていることが大きく影響しているという。これまで国立社会保障・人口問題研究所は,90万人を下回るのは2020年と推計しており,見通しを上回るペースで少子化が進んでいる。(▼3面=解説)

 厚労省が人口動態統計の年間推計を公表した。死亡数は,戦後最も多い137万6千人(前年比1万4千人増)。出生数から死亡数を引いた「自然減」は51万2千人(同6万8千人増)となり,初めて50万人を超える見通しだ。人口の自然減は13年連続となる。

 出生数が最多だったのは,第1次ベビーブームだった1949年の269万7千人。第2次ブームの1970年代前半以降は減少傾向が続き,2016年から100万人を下回っている。同研究所は2019年に90万4千人,2020年に88万6千人,20121年に86万9千人になると推計していたが,2年早く86万人台になった。この推計によると,2015年に1億2710万人だった総人口(日本に住む外国人を含む)は,2029年に1億1千万人台,2042年に1億人台,2053年に9千万人台になる。

 厚労省は見通しよりも出生数が減った一因に令和への改元まで結婚・出産を遅らせる動きがみられたことを挙げる。2019年の結婚数は戦後最少だったが,令和になった2019年5月は前年同月の約2倍だった。
 補注)ここでも令和という「新」元号頼みの記述がみられる。はたして,ここで指摘されている「期待」が現状において「現実的に進行中である出生数の減少」に対して,どれほどの抑止効果を挙げえているか疑問である。一時的に多少に減少「減」が期待しうるに過ぎない。

 つまり,大同小異の問題把握(その記事の作成)をしたところで,すでに関連の図表〔 ① の図表も参照〕が物語っているような「出生数の〈急激な減少傾向〉」に歯止めがかかるわけはなく,ごく一時的な要因による統計への攪乱要因に注目して,少子化現象に関して発生する小さな変動を針小棒大的にとりあげるとしたら,これは単に大げさな説明となるだけである。この点については,つづく記事〔後段〕のなかにも言及がある。

 1906年明治39年)の「丙午:ひのえうま」のとき,前年より出生数が約4%減少したという。そして,1966(昭和41)年の「丙午:ひのえうま」のときは出生数が136万人となり,出生率 1.57を記録した。この1966年の出生数 136万人は,前後した1965年の出生数 182万人,1967年の出生数 194万人にくらべて,かなりの差を記録していた。

 だが,この干支にまつわる出生数・率の問題とは異なる性質の「元号の変化」に関係づけた説明が,それも直近における問題の場合,いかほど意味がありうるのかという点では,まだ不明瞭さを残していた。問題は出生数・率そのものに関する現実的な動向であり,婚姻(事実婚も含む)統計そのものの減少傾向を踏まえて考えれば,元号関連の考慮はいまでは2次的要因の位置づけしかえられまい。つまり,その点をいたずらにおおげさにとりあげるのは要注意である。

〔記事に戻る→〕 『50年は減少続く』〔とは〕国立社会保障・人口問題研究所の岩沢美帆・人口動向研究部長の話。

 出生数の減少傾向は今後50年は続く見通しだ。子どもへの政治や企業の関心が薄まり,子育て支援サービスの量と質が低下し,さらに少子化が進む悪循環が懸念される。幼児教育・保育の無償化はメッセージとしては評価できるが,子育て家庭向けの施策。必要なのは仕事と出産・育児の両立支援のような息の長い取り組みだ。

 
 「〈解説〉『団塊ジュニア』後,縮む親世代 出生数90万人割れ,資金難・結婚足かせ」朝日新聞』2019年12月25日3面「総合」

 今年(2019年),生まれた日本人の赤ちゃんが初めて90万人を下回る。人口の自然減は51万人余りで,鳥取県の人口に近い人が減ったことになる。加速する人口減少は,日本社会の持続可能性に黄信号をともしている。(▼1面参照)

 補注)在日する外国人たちの出生数はいかほどか? ここではひとまず,つぎの図表を観てほしい。

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  ★「外国人最多の266万人,20代が3割 労働力支える」nikkei.com 2019/7/10 20:19,https://www.nikkei.com/article/DGXMZO47203370Q9A710C1EA1000/

 この図表をかかげた本文から,つぎの段落を引用しておく。

 総務省が〔2019年7月〕10日発表した住民基本台帳にもとづく2019年1月1日時点の人口動態調査によると,日本人の人口は1億2477万6364人と前年から43万3239人減った。減少は10年連続で,減少幅は1968年の調査開始以来,最大だった。一方,外国人は16万9543人増えて過去最多の266万7199人となり,働き手としての存在感が高まってきた。(中略)

 増加する外国人の割合は日本全体で2.1%と初めて2%を超えた。年代別では生産年齢人口が14万9650人増の226万8941人と外国人全体の85.1%を占めた。とくに20代が31.0%に達する。過去5年間の生産年齢人口の推移は日本人の413万人減に対し,外国人は58万人増。働き手の減少を一定程度補っているようだ。

朝日新聞の記事に戻る→〕 「人口の多い団塊ジュニア世代がほぼ出産年齢を過ぎ,いよいよ人口の少ない世代が親となっている。縮小する親世代が,さらに小さな子世代を生む『縮小再生産』が始まっている」。国立社会保障・人口問題研究所の元副所長,金子隆一明治大学特任教授は話す。「改元効果』は,あってもわずかでは。経済状況の影響かもしれない」

 いま親になることが多い30代半ばから40代後半は,1990年代半ばからの景気低迷期に社会に出た就職氷河期世代,ロストジェネレーションと呼ばれる。非正規採用が多く,賃金水準も他の年代より低い。

  ▼「男性の正社員も少なく職場結婚がむずかしい」(43歳,女性契約社員)。

  ▼「家族をもちたいが,正規採用が先」(42歳,男性パート)。

 不安定雇用に悩むロスジェネの証言だ。この世代以降も非正規率は高く,社人研が2015年の調査で未婚者に「結婚への障害」を尋ねると,男女とも「資金」が4割強で最多だった。

 政府は,子どもが欲しい人の望みがかなった場合の「希望出生率」1.8 の実現をめざ指す。裏返せば,子をもちたくても諦める人が多いことを意味する。そんな状況を,家族社会学者の落合恵美子・京都大学教授は「家族からの逃走」と表現する。

 「男女とも結婚や出産で失うものが多い。保育所不足や教育費の高さにくわえ,引きこもりなどで子が自立できない恐れもある。国の支援が弱いため,家族をもつことに二の足を踏んでしまう」。
 補注)引きこもりの問題はすでに50歳台にまで深く広く「普及」している。前後してとりあげている問題を複雑化させているというか,確実により困難にさせる要因である。

 安倍首相は2年前,少子高齢化を「国難」と呼んで衆院を解散した。その後,働き方改革や幼児教育・保育の無償化などをかかげてきたが,出生数をみるかぎり効果は出ていない。「生産年齢人口の減少対策は,女性の就労促進,仕事と子育ての両立を可能にする政策,さらに移民受け入れが必須だが,どれも不十分です」と落合教授は指摘する。
 補注)ところで,例のアベノミクスはどうなったか? このアホノミクス・ウソノミクス・ダメノミクスのデタラメさが,つまり「安倍晋三の基本性格である」「ウソ性」は,やはり「本当」であった。その経済政策としての効果が少しでも具体的上がっているのであれば,若者たち男女において積極的に結婚する気が生まれ,そして子どもを何人も産んでくれやすくなる経済環境・社会状況が生まれてくるはずであった。ところが,いままでのところでは,とんと音沙汰なしであって,逆に悪化している様子ならばうかがえる。

 しょせん,そのアホノミクスはカラッポミクスであって,四の五のいっているうちに早,「安倍晋三の悪政は7年も経過してきた」。これまでなんら実効性を上げえなかった,すなわち,政策の上っ面だけでは「やってる感」=「ウソ」だけはていねいにしっかりついてきた実績以外に,アベノミクスというデタラメノミクスは,なにもみるべきものを提供できていなかった。そうこうしているうちに,いま話題にしている少子化傾向は,ますます悪い方向に向かい, “着実に進展する” ばかりであった。

 親となる世代が減っている以上,仮に出生率が回復しても,数十年は人口減が続く。ただ,もし出生減に歯止めがかからなければ,今世紀後半になっても人口は下げ止まらずに減りつづける。いま有効な手立てを採らなければ,この国の未来はやせ細っていく。


 「〈インタビュー〉出生率 0.98,韓国の宿題 韓国・漢陽大学教授,李 三植さん」朝日新聞』2019年12月25日朝刊13面「オピニオン」

人物紹介  「イ・サムシク」は1957年生まれ,韓国政府系の研究機関「韓国保健社会研究院」を経て現職。政府の少子化対策に関わる。韓国人口学会の会長も務めた。

 日本では今年の出生数が90万人を割るみこみだが,お隣の韓国もさらに急速な少子化に直面している。政府が対策を打ち出すなかでも出生率はむしろ下がり,昨〔2018〕年,とうとう1を割った。子どもをもつかは個人の選択だが,選択肢を狭める要因とはなにか。韓国の専門家はそれを,韓国社会が取り組みを迫られる「宿題」なのだという。

 a)『韓国の人口は約5170万人。まだ減少には転じていないが,少子化の急速な進行ぶりは,日本を上回る。2018年の出生数は約33万人,合計特殊出生率(女性が一生に産む子の数)は0.98で初めて1を割った。大都市の低さが目立ち,首都ソウルは0.76だ。』

 ◆ 出生率が1を割ったと聞いてまず,どう感じましたか。

  ◇ 「やはり,ショックでしたね」

 ◆ というと。

  ◇ 「韓国の出生率は2005年や2017年に1.1を下回るなど,低い水準が続いてきました。政策の効果も思うように出ていないな,という考えも抱いてきました。それでもまさか,1未満になるとは考えもしませんでしたよ」

 ◆ 2019年の見通しは?

  ◇ 「さらに0・9ぐらいに下がるだろうとみています」

 ◆ なるほど。どんな理由があるのですか。

  ◇ 「多様な見方がありうるだろうと思いますが,かねて,出産や子育てにともなう女性の負担が大きく,子どもを産むことをためらわせる要因があります。さらに雇用状況の厳しさ,住宅価格の高さといった問題が結びついているのだと思います」

  「重要なことは,若い世代の価値観が大きく変わっていることです。かつては当然するものだと思われていた結婚や出産が『選択上の問題』となり,必らずしも,大きな価値を置くものではなくなりつつあります。若い世代と話をしていても,結婚はしてもしなくてもいいし,出産はさらにそう……。価値観の変化を感じます」

  補注)以上までの説明だけでも,日本と韓国には共通する「少子化を招来させる経済と社会の要因」が存在することが理解できる。隣国の現象はけっして他人事ではない。数字そのものの違いを越えて,確かに同質と観るほかない少子化をもたらす原因が,両国ともに控えている。以下のやりとりでも,似たような説明が韓国に関して語られている。

 ◆ 少子化はそうした選択の結果であると。

  ◇ 「若い世代が子どもをもつことを望んでも,韓国はいま,そうした選択がすんなりできる状況にあるでしょうか。(1997年の通貨危機後の雇用流動化などで)非正規職が多く,経済的な不安定さが増しています。住宅費や(塾代などの)教育費の負担は非常に大きい。出生率の急速な低下も,若い世代が就ける仕事が十分にないという問題の反映でもあります。高学歴化が進んで大学を卒業する人がとても多い一方で,望むような仕事は少ないのが現実です」

 ◆ 非正規職の若者らに話を聞くと「結婚したくても,現状では望めない」という声が多いです。将来への不安が結婚や出産という選択を遠ざけているのですか。

  ◇ 「かつてのような経済的な機会をえられない現在の若い世代にとって,安定した雇用や住宅といったものがどれほど遠い存在になっているか。こうした状況で,出生率が回復するということは非常にむずかしいのだと思います」

  「子をもつことを選択しない理由は経済的な不安だけではありません。仕事も安定して経済的に良い状況でも,結婚や子育てに伴う義務や負担の増加を嫌うケース,結婚しなくても別に問題ないと考えるケースも増えています。両者が相まった『選択の結果』なのです。結婚しても出産はまた別,という考えの人も増えています。ただ,韓国はまだ個々の多様な生き方が十分に尊重されているとはいえず,政策も,『結婚し,出産する』という方向に力点が置かれてきました」

 b)『韓国政府は,2067年には人口が約3930万人まで減る,と推計している。現在の4分の3ほどの規模だ。政府は急速な少子化への危機感から,2000年代半ば以降,5年ごとの総合計画「低出産・高齢社会基本計画」を3度にわたってつくり,さまざまな対策を打ち出してきた。』

 ◆ 韓国ではどんな少子化対策が進められてきたのですか。

  ◇ 「韓国は昔から家族の連帯が強い社会でしたが,政府は経済発展を重視するなか,貧困など家族が抱える問題への取り組みが遅れました。子育てについても,家族でやるべきものだ,という考えが根強くあったのです。基本計画はまず,出産や子育てを個人や家族に任せるのではなく,国・社会が一定の責務を担う,という方向性を明確に打ち出しました。大きな意味があったと思っています」

 「具体的には,利用できる人が限られていた保育園を増やし,育児休業制度の充実や柔軟な勤務制度など『仕事と家庭の両立支援』に力を入れました。施設や制度を広げても,非正規職や自営業者などは利用しにくい面があり,雇用形態を問わない支援の努力もしてきました。若者向けの住宅支援などもあります。欧州や日本の取り組みも,よく研究しましたよ」

  補注)日韓に共通する対策がここでは語られているが,日本でまだほとんど実現していない「若者向け住宅支援」は,これじたいとしても注目したい対策のひとつである。

 ◆ ただ,いろいろ政策を進めても,出生率はむしろ下がっています。大きな成果は出ていないように映ります。

  ◇ 「その指摘や批判に対し,私はこう説明しています。少子化に影響するのは,雇用,教育,ジェンダー,社会の価値観,といった多くの要素であり,『少子化対策』という政策もその一つに過ぎないのだと」

  「教育の問題ひとつとっても,雇用と結びついています。安定した職が狭き門なので,競争に勝つために良い大学に行かないといけないとなる。すると,さらに塾などのお金がかかり,教育費負担が増える,というわけです。対策をいくつか進めたからといって,すべてを短期間に変えられるわけではありません。ナンセンスですよ」

 ◆ 成果の判断をするには早いと。

  ◇「少子化対策の効果が出ていない,と批判する人たちは,国が対策を進めれば変えられると安易に考えがちです。韓国はかつて政府が出産抑制策を進めて出生率が大きく下がったという経緯があります。その経験から類推し,少子化問題も対策をすれば改善できる,と思う人もいるのです。しかし,現実は違います。10年,20年,30年単位の取り組みになります」

 c)『韓国政府は「出産奨励」の旗を振ってきたが,若者たちの視線は冷ややかだ。2016年からの第3次基本計画は「出生率1.5」の目標もかかげたが,批判も根強く,現在の文 在寅政権のもとで昨〔2018〕年,事実上,撤回されている。』

 ◆ ところで,少子化というとすぐに「経済成長に影響する」といった議論がなされがちです。ただ,子どもをもつかは純粋に個々の選択なわけで,そもそも少子化とは「問題」なのですか。

  ◇ 「われわれは人口増加の時代に生きてきたでしょう。人口が増え,経済が成長していくということに慣れきってきたし,雇用や福祉,社会インフラなどの政策も人口増加を前提につくられてきた。人口が減るとなると,当惑してしまうのでしょう。労働力が不足する,消費者が少なくなる,などとね」

  「その意味では,問題とみなす立場からみれば,問題だということになるでしょう。ただ冷静に考えれば,人口が永遠に拡大することはない。受け入れ,適応していくしかないのです。東南アジアなどもいずれ,同様の時期を迎える可能性が高い。高齢化や人口減少の問題にうまく適応し,克服できれば,韓国のひとつのブランドとなり,経験を伝えていけるのではないか,とも思います」

 ◆ では,「少子化対策」を政府が進めることは必要ですか。

  ◇「それは必要です。人口減少が仮に避けられないとしても,その速度を緩和するためです。人口を考えるうえで一番問題なのは,変化が急激過ぎることです。現在の韓国のようなこれほどまでに急激な変化は社会が耐えられません」

 ◆ 外国からの移民受け入れについてはどう考えますか。

  ◇ 「韓国でも議論はつねにありますが,具体化はしていません。結論は簡単には出ない。韓国では(政府管理による『雇用許可制』で)期間を限って外国人労働力の受け入れを進めていますが,人口減少や高齢化の問題を解決するために外国人を,というような議論は疑問です。まったく別の問題です」

  補注)この指摘は重要である。日本ではこの問題「外国人受け入れ」を,きわめて弥縫的かつ中途半端に進めている。日本は世界で実質的に4番目に移民(実質的な概念で)を多く受けいれているにもかかわらず,この移民を移民とはみなさない「外国人からの移住者たち」を,労働力としてのみの側面から利用することを考えていて,これ以上はあえて思考停止状態に留めている(逃げている)。

 ◆ 少子化が止まらない韓国の状況は結局,なにを物語っているのでしょうか。

  ◇ 「若い世代の価値観や生活スタイルにあわず,生きにくくしている社会の構造や文化を,根本的に変えていかないといけない,ということなのだと思います。未婚の親など多様な生き方が尊重されにくいこともそのひとつ。また,いまだに学歴主義や学閥主義が根強くあって,一部の有力な大学を出ないといい職につきにくい,ということが大きな負担になっている。能力さえあれば評価されるという社会ではないのです」

  補注)ここでいわれている「学歴主義・学閥主義」とは,厳密には日韓間において一定の相違があるものの,基本的にはかなり類似した問題として語られている。日本では自民党極右の連中が,「家族の絆」という観念形態をもって馬鹿正直に告白してもいるように,

  「若い世代の価値観や生活スタイル」を,いまから「2世紀も前の時代」的な家・家族観のほうへ引きずりこもうとしているのだから,当該の問題を解決へと導くよりも,それを脇道にそらして,はまりこませるしかない「時代錯誤」にどっぷりとはまりこんでいる。

  ところが,そうした時代錯誤であっても彼らは本気でそう考えているゆえ,始末に悪い。安倍晋三が誰かに代筆してもらったと思われる著書『美しい国へ』(文藝春秋,2006年)も同断であって,そのの極悪なるお手本である。これでは,現政権のもとで少子化の現象が改善されるわけなどないと,断定するほかない。

  ◇ 「そうした社会のあり方の結果が少子化であって,どう変えていけるかということは韓国にとっての『宿題』なのです。たとえ50年かかっても構造を変えていかないといけない。それが,若い世代が結婚や出産を安心して選択できる社会につながり,結果として,出生率の向上にもつながりうるのだと思います」(聞き手・稲田清英)

  補注)日本もまったく同じであって,少子化の傾向を変えるには半世紀の視野を踏まえて,それ相応に覚悟してとりかからないことには,現状のごとき出生数・率の減少といった人口統計の減少は,どうしても止まらない。

    
 「〈社説〉座視できぬ出生数86万人への減少」日本経済新聞』2019年12月25日朝刊

 この日経の社説も令和を云々しているが,基本的には副次的な要因のひとつに過ぎない。この前提を踏まえて読んでみたい。

 --2019年の日本人の国内出生数が86万4千人となることが,厚生労働省の推計で分かった。政府が2017年にまとめた長期推計では,86万人台は2021年のはずだった。90万人割れは1899年の統計開始以来初めてで,少子化のスピードは想定以上だ。

 将来に希望をもてる社会なのか。出生数は社会の「今」を測るバロメーターのひとつだ。もはや座視はできない。産み育てるハードルが高い現状を直視し,根本から変えていかなければならない。

 なぜ出生数が急減したのか。厚労省は「令和婚」をめざして結婚を2019年5月に先送りした人がいたとみる。その分,2020年以降に出産が増える期待はあるというが,甘くはないか。「いずれ回復」という楽観が,長年にわたり少子化対策を遅らせてきた。同じ過ちを繰り返してはならない。

 補注)本ブログ筆者の記述はすでに批判的に言及したみたが,日経のこの社説も「令和関連の話題作り:論点ずらし」を「甘くはないか」と指摘していた。ところで厚生労働省は,「令和」という元号が出生問題に与えるその影響を,実際に調査したうえで発言していたのか? 気分や雰囲気でもって,そう発言していたのではないか?

 どうも,ちんぷんかんぷんで身勝手ないいぐさに聞こえる。仮にその効果があったとしても,大勢の流れのなかではたいした影響のない要因でしかありえなくなっている。それなのに,一時的な要因でしなありえないそれを,大げさにとりあげるように誇張した口吻は問題である。

 少子化の大きな要因は,未婚者の増加だ。その背景には若者の経済基盤の弱さ,両立の難しさなどがある。女性が家事・育児をひとりで抱えこむ「ワンオペ」による負担も重い。「正社員の夫と専業主婦の妻」を前提とした昭和モデルの制度や文化が,現状に適応できなくなっている。

 補注)前項で,韓国の人口〔統計〕学者が挙げていた韓国の事情,これとほとんど代わらない事情が日本側にもある点が,この社説でも指摘されている。

 若い世代が安定的な仕事をえられるよう就労支援をする。長時間労働を見直し,働く場所や時間の選択肢を増やす。保育サービスを充実し,固定的な性別役割分担を解消する。やるべきことは多い。いずれも繰り返しいわれてきたことだ。だが,いまなお途上だ。

 補注)この議論は,とくに「大きな問題である結婚」と,そして必然的にかかわってくる「住居および子どもの教育の問題」に触れていない。日本ではまだ少数であるが,市町村によっては,住居や教育の領域で若者たち(夫婦)をあえて優遇し,I字ターン的に呼びこむ政策を実行しているところがないわけではなく,それなりにうまくいっている事例もすでに出現している。

 気になるのは政治の本気度だ。全世代型社会保障検討会議が〔12月〕19日にまとめた中間報告に,少子化対策は盛りこまれなかった。10月から幼児教育・保育の無償化が始まったが,それだけでは長年の仕組は変わらない。

 介護など高齢者向けの対策は目にみえやすく,票にもなる。若い世代やこれから生まれる子どもへの対策は,成果が出るのに時間がかかる。だが,一足飛びに少子化を解消するような方法はない。今回の推計では,死亡数は137万人を超えた。人口の自然減は51万人にのぼる。このままでは経済の活力を保ち,社会保障制度を維持することもむずかしくなる。

 長年の少子化で,そもそも親となる年代の人が年々減っている。結婚や出産を望むかはもちろん個人の選択だ。だが産み育てやすい環境を整え「希望出生率1.8」につなげるのは,政治の責任だ。(引用終わり)

 なぜ,第3次のベビーブームが現出しなかったのかというと,その人口統計上の母集団が減少してきた事実経過とともに,以上のように指摘された経済・社会環境要因が効きだしていたからと解釈される。

 日経はこの社説の横に配置する関係で「解説記事」も掲載していた。だが,そのなかでも “アベノミクスの関係” には,一言も具体的に触れない。あれだけ鉦や太鼓を叩いてうるさく鳴らし,たいそうに喧伝してきた「安倍晋三という総理大臣」の「目玉となっていたはずの経済政策(ムダノミクス)」とはいっさい無関係に,こうした解説や論説ができていたというのであれば,これは不自然きわまりない「基本の報道姿勢・編集方針」である。この種の疑念を抱きながら,つぎの日経の記事を読むことにしたい。

 

 少子化,『民』の対策カギ 出生数最少86.4万人 働き方改革や脱『新卒偏重』」日本経済新聞』2019年12月25日朝刊2面「総合1」


 出生数の急減で,死亡数が出生数を上回る「自然減」が51万2千人に達した。戦後初めて50万人の大台を超え,鳥取県(約55万5千人)の人口に匹敵する規模となった。要因としては出産適齢期の女性人口の減少に加え,20歳代での結婚や出産が減っている点が挙げられる。少子化克服には政府の対策だけでなく,新卒偏重の是正や働き方改革をさらに進めていく必要がある。(1面参照→この記述では ① でとりあげた)

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 「仕事の責任が重く,出産しても時短を選ぶことが難しい」。都内のIT(情報技術)企業に勤める女性(27歳)は打ち明ける。女性は仕事が終わると,経営学修士(MBA)の取得に向け,足早に大学院に向かう。社内では性別に関係なく同じ成果が求められる。「出産後もいまのポジションが確保されるという確証がないと子どもを産めない」と話す。

 出産の先行指標ともいえる婚姻件数は2018年が58万6481件で前年比3.4%減だ。2019年の出生数(5.9%減)ほどには減っていない。総務省労働力調査によると,25~34歳の女性の就業率は80%を超えた。若い世帯ほど男女共働きが多い。

  ★ 初婚年齢が上昇

 世界を見渡せば,女性の就業率が上昇すると少子化になるというわけではない。スウェーデンなどでは女性の就業率が高く,出生率も2017年で1.78と高い。男女とも長時間労働が少ないなど働き方の違いが大きな背景とみられる。

 日本国内でも一部の企業が長時間労働の見直しに取り組む。IT大手のSCSKは2013年度から,月間平均残業時間20時間未満と有休取得率100%を目標にかかげてきた。2018年度は月間平均残業17時間41分,有休取得率94.4%と働きやすい環境が整ってきた。

 補注)SCSK株式会社の Web サイトは,「SCSKは,ITに関するすべてのサービスで,ビジネスの新価値創造とグローバル展開をサポートします」会社であると説明している。

 働き方改革を進めた結果,第2子以降を出産する女性社員が増えた。2011年度は子どもを産んだ女性社員67人中,第2子以降の出産が18人だったが,2017年度は83人中43人にのぼるという。

 出生率が高いフランス(2017年で1.90)などと比べると,日本は20歳代の出生率がとくに低くなっており,少子化につながっている。

 多くの人が高校や大学などを卒業してすぐに就職して,そのまま働きつづける慣行も少子化につながっている。就職から一定期間を経てから結婚や出産するのが一般的で,平均初婚年齢は男性が31歳,女性は29歳(2018年時点)で,20年前に比べそれぞれ3歳程度上がっている。第1子出産の母親の平均年齢は30.7歳だ。

 出産年齢が上がると,子どもを授かりにくくなる。「20歳代のころは子どものことなんてとても考えられなかった。いま思えば,もっと早くから話しあっておけばよかった」。さいたま市に住む34歳の女性会社員は振り返る。32歳のころに夫と不妊治療を始め,今年8月に待望の第1子を出産した。

 厚生労働省の調査では夫の育児する時間が長いほど第2子以降が生まれる割合が高くなる。6%と低い男性の育休取得率を向上する施策が官民とも求められそうだ。

  出生前も支援を ★

 2003年に少子化社会対策基本法が成立し,政府は仕事と子育ての両立や待機児童対策,保育料無償化や働き方改革,男性の育児参加などを推進してきた。2019年10月からは幼児教育や保育の無償化も始めた。子育て世帯への支援は強化されてきたが,政府の少子化対策は出生後が中心だ。

 合計特殊出生率は2005年の1.26を底に一度はもちなおしたものの,2015年の1.45の後は減少が続き,2018年は1.42だった。結婚して子どもを産みたいと考える人の希望がかなった場合の出生率である1.8とは大きな開きがある。

 補注)2019年度の出生率は,どれほどに出るか?

 海外では高校卒業後,すぐに大学に進まない人も少なくない。その間に結婚や出産,育児を選択する例も多い。働き方や教育システムなど社会保障政策にとどまらない見直しが官民ともに求められている。(引用終わり)

 前段の記述中に「子育て世帯への支援は強化されてきたが,政府の少子化対策は出生後が中心だ」という説明があった。ここにあたりに,なんらかの日本の特有だと観察すべき「別の問題」がありそうである。すなわち,少子化対策結果(出口)のほうから主に支援するだけであって,その原因(入口)に十分な関心が向けられていない。これでは,なにをやっても効果は半減する。

 自民党極右の連中は事実婚を認めようとはしていない。旧式の家族観に拘泥している「化石の神経」のままである。フランスは半数を若干超える比率で事実婚である。フランスは1世紀前から人口減少・停滞に悩んで来たが,最近はもちなおしてきた。

 日本の旧民法的な家・家族観に頭脳が占領されている状態の自民党極右議員たちが(これには女性議員も入っている)いて,それでいて,この人たちが妄想しているごとき社会政策(人口対策)を推進してみたところで,戦争中の「生めよ殖やせよ」(ただし戦争用の男性兵士のみを想定していたその標語であって,1945年夏の敗戦までいかほど間に合ったというのか?)の,しかもその超ミニ的な複写版にもなりえない。

 もう一度いうが,『日本経済新聞』の幹部諸氏は,アベノミクスの関係でなぜ,出生率の問題に言及しないのか? いままで7年間も政権を掌握してきた安倍晋三首相である。その間,人口政策(対策)の実績=結果に関して,なにも問われないでいいはずがあるわけがない。

 安倍の経済・社会政策の中身については,当然のこと,この出生率の問題にも関連させていろいろ手当が講じられてきた。だが,実際的にはいずれも中途半端であって,これといって評価できる成果は上がっていない。

 はたして,そこになにか「忖度」でもあるのかというのか?

 軍事費関連経費の乱費ぶりや「桜を見る会」や「スシ友夕食会」といった「安倍晋三:私的な無駄遣い」ならば,確実にその実績は挙げているが,それよりも肝心な為政に関する成果は,まさに完全といいくらいまで空洞状態……。

 補注)安倍晋三首相は,アメリ軍需産業の欠陥機・F35を147機も爆買いさせられていた(「した」のではなく「させられた」)。そのために,1兆7000億円もの超巨額になる「われわれの血税」を浪費している。それでいて,国民たちに対してなんの呵責も感じないでいられる「最高に鈍感な輩(ヤカラ)」なのである。

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【最後に一言,二言】

 a) 山口敬之『総理』幻冬舎の発行日は2016年6月9日であった。山口が伊藤詩織への強制性交(準強姦)の被疑によって逮捕される予定,つまりその執行が中止になった日付は,その前日の2016年6月8日であった。

 その日付は,山口の同書が発行できなくなり,お蔵入りする寸前であった。もしも,山口が逮捕されていれば,この本は販売中止になっていた可能性が大であった。もしも,そうなっていたら,断裁処分以外ありえなかったはずである。

 だが,山口敬之は逮捕されないよう手回してもらえ,この本を無事,発売できていた。安倍晋三は,見捨ててもよかった山口敬之と併せて,その自分のための「ヨイショ本」を救った。もちろん,この救い方の順序が逆方向に受けとられても,とくにおかしいことはない。

 ところがそのせいで,思いきって「見捨てておけば害はなかった」はずだし,「非難すれば逆に良い宣伝になっていたもの」が,なまじ目先の判断によって擁護しておいたばかりに,世間に対する「恥」と「秘密」になってしまった。

 このような少しばかりこみいっていて,やや小むずかしい世間の輪廻のごとき《因果の深み》は,晋三君に理解せよといっても,とうてい無理であった。

 b) BBC,CNN,ロイターそのほかがこぞって報道しているようで,森友の時のようにソンタクで誤魔化せる段階ではないようで,もう手遅れになっているが,自分をよいしょする本など捨てておき,出版差し止めこそすべきであった。

 しかし,山口の逮捕を差し止めてどうだったか,あとでこうなることを予想できなかったのか? それでは,自慢の看板〔アホノミクス〕がレイプノミクスになっちゃった,馬鹿じゃねという感じである。

 註記)『阿修羅掲示板』2019年12月24日からあれこれの記述を適宜に引照し,かつ補正しつつ記述。

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