2020東京オリンピックを開催する盲目的な暴挙,猛暑・酷暑のなかで死者が出たら,誰がどのように責任をとるのか,森 喜朗がとれるのか

熱暑の激しい日本の盛夏の時期,東京(札幌)でオリンピック,すなわち『五輪貴族たちのためである国際大運動会』を開催する愚挙

 

  要点:1 死者が出たら誰が責任をとるのか?

  要点:2 オリンピックなど時代遅れの国際大運動会

  要点:3 オリンピックを開催する国家的な余裕があるならば,「3・11」被災者の救済にさらに注力し,また日本社会に浸透している貧困問題のために都合したらいいのに,森 喜朗のような無粋な元首相に好き勝手をやらせている放置(無法治?)国家:日本の体たらく

  要点:4 オリンピックは一過性の運動会だが,その後も日本国の「安倍晋三的な諸苦難」は深まっていくみこみしか展望できていない

 

 「五輪聖火リレー 福島・双葉を追加 組織委発表」朝日新聞』2020年2月14日32面「社会」

 東京五輪の大会組織委員会は〔2月〕13日,来月に福島県から始まる聖火リレーのルートに双葉町を追加する,と発表した。初日の3月26日に通る予定で,詳細なルートは調整中という。双葉町がくわわることで,全国の859市区町村でおこなわれることになった。

 双葉町は,東京電力福島第1原発事故による全町避難が唯一続くが,3月4日に双葉駅周辺など同町の一部の避難指示が解除されることが決まり,ルートを検討してきた福島県の実行委員会が組織委に追加を依頼していた。(引用終わり)

 この報道は,双葉町の一部から避難指示が解除される予定を受けて,2020東京オリンピック用の聖火リレーが同町を走り抜けるように,その経路を追加したというニュースである。しかし,それで東電福島第1原発事故の被災地である双葉町が「3・11」以降受けてきた深刻な災難の「その後」に関して,なにか特効薬的な効果が出るというわけでもあるまい。

 『双葉町ホームページ』( https://www.town.fukushima-futaba.lg.jp/7843.htm )は,つぎのように関連の事情を説明している。

 『避難状況』(令和2年1月31日現在,2020年2月13日更新)は,こうなっている。

 

 「令和2〔2020〕年1月31日現在の町民の避難状況はつぎのとおりです」。

 

   現在「福島県内に避難されている方 4,044人」

     「福島県外に避難されている方 2,801人」 合計 6,845人(#)

 

 なお,この避難状況は,平成23〔2011〕年3月11日現在の人口 註記)から,死亡者を除き,震災以降の転出者及び転入者,出生者を含むものであり,現在,町として支援対象となる人口の避難状況を表わしています。

 註記)双葉町の,2011年1月31日現在の人口は,7,094人であった。⇒ https://www.town.fukushima-futaba.lg.jp/5873.htm

 

 補注)さらに同時に,「双葉町に住民登録がある方の避難状況」による関連統計も付記しておく必要がある。

 

   現在「福島県内に避難されている方 3,770人」

     「福島県外に避難されている方 2,130人」 合計 5,901人

 ここでは,上段で「#」印を付けたほうの人数(合計 6,845人)で計算する。双葉町ではこのように,東電福島第1原発事故によって避難を余儀なくされた町民が,まだ「4,044人 ÷  6,845人」=「59%」(ほぼ6割)もいる。この現状に置かれている双葉町に対して,「2020東京オリンピック」用の聖火リレーを通過させたところで,いったいいかほどのというか,どのような地域社会的な効用が具体的にありうるというのか?

 ギリシャから運んできたという五輪用のためのその聖火がほんのわずかな時間だけ町のなかを通り抜けたからといって,いまもなお《悪魔の火》の強い残り火に悩まされている,つまり,東電福島第1原発事故のためにいまもつづいている悪影響を,その聖火の効用によって「聖化=清化」(無化?)できるとも思いこんで〔錯覚して〕いるのか?

 まさかそこまでは考えていないとは思いたいが。とはいえ,それにかなり近いところまで勝手に想定したあげく,「できないこと」であっても「できること」であるかのように仮面偽装させたつもりになって,双葉町にも聖火リレーを通すという追加措置を決めたものと推理する。

 だが,そのような聖火リレーの経路を双葉町まで伸ばして走らせたところで,東電福島第1原発事故現場も双葉町じたいも,この大事故の後始末という問題性に関していえば,たいして実際的な好効果はない。「なんらかの気分」以外に起こりうるものは,もとよりなにもない。

 むしろ,原発事故「放射性物質の汚染」の深刻な被災地となってしまった双葉町が,2020東京オリンピックという名の国際大運動会に「花(?)を添えさせるための具材」に利用されることになった,と形容してみたほうがかなっている。

 ともかく,原発事故の被害全般が,聖火リレーが通ったからといって,少しでも減るとか,ましてや一気になくなるなどといった事態が起こりうるわけなど,本来から全然ありえない。

 簡単にいってしまえば,「その後」をみすえて考えてみれば理解できるように,3兆円も巨額になる資金をかけていながら,いまもあちこち無駄遣い的(非効率的)にそれを費消しつつあるのが,2020東京オリンピックのための予算の執行である。残された施設などをその後に再利用するとはいってはいるものの,高がしれている。再利用のためを第1に考慮して,オリンピックのために必要な施設を準備するわけではあるまい。

 本来であれば,東電福島第1原発事故や「3・11」関連の諸被害の救済のほうに,そうした予算の分を大幅にまわすぐらいの発想がなかった。双葉町の避難民がまだ6割もいるというのに,ただ双葉駅周辺など同町の一部の避難指示が解除されることが決まったというので,聖火リレー双葉町にも通過させることにしたという。これに特別の意味を感じるか否かの以前の問題があった。だがその問題はどこかへすっ飛ばしている。

【参考記事】

 つぎの記事は,双葉町の北西側に浪江町を挟んで位置している「飯舘村」の現状を報告している。2020年2月16日の記述である。汚染状況を表わす地図は引用者が挿入したものである。

 

 なお「双葉町浪江町飯舘村」という「西北から南東へ」の帯状の地域は,「3・11」の発生以後,事故直後「当時の風向き」によって,放射性物質が集中的に襲来した地帯になっていた。 

 

     f:id:socialsciencereview:20200217113419j:plain

 

 ⇒「 住民が帰還しない福島県飯舘村、巨額復興費用も効果なし(02/16)」『めげ猫「タマ」の日記』2020年2月16日,http://mekenekotama.blog38.fc2.com/blog-entry-3175.html

 

 ここで参考にまで触れると,飯舘村の人口は5,467人(201912月31日現在 住民基本台帳人口)であるが,そのうち避難者の合計人数は,4,054人である。比率にすると,この村の74%の人口が,現在(2020年1月)も避難中である。

 

  スポーツ医学の常識など完全に無視して,2020東京オリンピックは「猛暑・酷暑向けのスポーツ人体実験」の修羅場となるのか?

 「コートは50度超? 酷暑五輪へテスト 日本勢,体温下げる飲料・服 テニス・全豪オープン」『朝日新聞』2020年1月29日朝刊15面「スポーツ」という記事を,つぎに参照する。

 この記事は,2020東京オリンピックの開催期間中には,おそらく「猛暑・酷暑になる確率が9割以上になる」と観測するほかない気象条件のなかで,しかもその危険については重々承知したかっこうでもって,「2020東京オリンピックの予行演習」となりうる「暑熱対策を試した」というのである。

 もっともその試行が,よほど呑気な精神状態であったのか,はたまた脳天気そのものであったなのかはさておき,間違いなく承知・覚悟があったうえでの話だとも思われるが,あえて「スポーツ医学」の教科書的な指導には完全に反した気象条件のもとで実行された,それはもう「たいそうまずいスポーツ大会に関する内容の説明」がなされている。

 ともかく,2020東京オリンピックは熱暑の時節であっても,あくまで実施するのだという基本的な姿勢が,この種の記事の制作・報道を介して喧伝されている。換言すれば,一般大衆をその方向に向けて洗脳するための記事になっていた。

 f:id:socialsciencereview:20200217103922j:plain

 付記)試合中,クーラーボックスに入れて管理されているアイスラリー。

 真夏のメルボルンで,日本テニス協会東京五輪を見据えて暑熱対策を試した。酷暑が予想される東京五輪で,選手の体温の上昇を食い止められるか。研究してきたデータをもとに,選手に飲料や衣服を提供した。

 〔2月〕25日の女子ダブルス戦。ベンチで,日比野菜緒(ブラス)が小さなパックを口にした。凍らせたスポーツドリンクをシャーベット状にした「アイススラリー」だ。体温上昇を避けるため,同協会が日本選手に渡した。

 同協会は国立スポーツ科学センター(JISS)とともに2017年から東京五輪の暑さ対策を講じてきた。会場の東京・有明テニスの森公園ハードコート。照り返しが強く,同協会はコート上の温度が50度を超えることも予想する。選手が脱水症状やけいれんを起こす可能性がある。

 全豪には,日本から1本100グラムのアイススラリーを500本もちこんだ。選手には,試合前のウォーミングアップで2本,セット間に1本飲むことを勧める。体温を下げるために着用する保冷剤入りの「アイスベスト」も用意した。

 対策はデータにもとづく。昨〔2019〕年8月,有明と同じく海に近い三重県四日市市内のハードコートに8選手を集めて試験した。プレー中に飲むアイススラリーの量を増減させたり,アイスベストを着させたり。1週間かけて検証した。

 同協会の田島孝彦テクニカルサポート委員長は「(全豪が)最後の試験だった。良いシミュレーションになった」と話した。(引用終わり)

 この記事については,いってみれば「きわめて特殊な人体実験的なスポーツ医学」の,その一例としての「試験的な企画の実践」としてならば理解できなくもない。だが,ともかく,2020東京オリンピックが開催される猛暑・酷暑の時期に備えて,この記事のごとき暑熱対策プログラムが予行演習的になされていた,という内容である。一言でいって “トンデモない発想” が,この記事の前面に押し出されている。

 2020東京オリンピックの開催中は選手たちだけでなく,多くの観衆が押し寄せ,くわえてまた多くのボランティアたちも参加して働くが,この人たちから下手をすると死者(犠牲者)が出ないとは限らない。

 スポーツ医学を適用する対象となる「頑健で健康を誇る選手たち」はまだしも〔であるとはいえ〕,一般の大衆側の身体能力的なふつうの水準を考慮したら,とうてい適用できもしないそのスポーツ医学からの要求となるからには,観客たちのなかから不測の事態が発生してしまい,もしかすると死者が出る事態にまで至るかもしれないと心配する。

 本ブログ(旧ブログ)のなかでは,2020年盛夏の時期における東京オリンピックの開催は「狂気のさた」だと批判していた。この論点をさらに考えてみたい。

 

  志葉 玲稿「『東京から札幌』どころではない夏季オリンピックの危機-パリ協定発効から3年,希望はあるか?」『YAHOO!JAPAN ニュース』2019/11/4 11:00,https://news.yahoo.co.jp/byline/shivarei/20191104-00149392/

 2020年東京オリンピックでのマラソン競歩の開催地は,東京から札幌に変更。猛暑による選手への影響は当初から懸念されていたが,先月,中東カタールでおこなわれた陸上世界選手権で,女子マラソン参加選手の約4割が暑さのため途中棄権という惨状を受けてのIOC(国際オリンピック委員会)の強行姿勢に,東京都や日本政府,JOCが押し切られたかたちだ。

 だが,今〔2020〕年の夏,熱中症患者が続出したように,札幌でも猛暑リスクがないわけではない。欧米でも強烈な熱波に襲われるなど,地球温暖化の影響がいよいよ現実のものとなっていくなか,夏季オリンピック自体が存続できるのかという疑問が生じてくる。

 1) 札幌でも猛暑リスク

 マラソン競歩の開催地を札幌に移したものの,猛暑リスクがなくなったわけではない。今〔2019〕年,札幌では7月下旬から8月上旬にかけ,連日,最高気温が30度以上となった。

 「熱中症疑いによる救急搬送」は,7月が100人,8月が128人であった。気温にくわえ,日射や湿度から計算され,労働・運動環境の国際的な指針とされる「暑さ指数」(WBGT)でも,8月上旬では午前中ですら,(公財)日本スポーツ協会が「激しい運動は中止」とする,WBGT 28~30度に達する日があった。

 f:id:socialsciencereview:20200217104959p:plain

  出所)環境省サイトより。

 それでも,札幌は東京に比べればマシだ。札幌の夏場の最低気温は低く,今〔2019〕年8月上旬の最低気温は17.7度から25.3度の間で上下している。早朝の気温の低い時間帯であれば,猛暑リスクは軽減されるだろう。

 ただ,鍋倉賢治・筑波大学教授が約180万人のデータからまとめた論文によると,マラソンをおこなううえでの適温は「6~8度」(中・上級者)。つまり,札幌の夏場の最低気温であっても,選手たちが最高のパフォーマンスを発揮できる環境とはいいがたいのである。

 2) 夏季オリンピックじたいが危うい

 問題は,東京か札幌か,という範疇にとどまらない。今後,温暖化が進行するなか,夏季オリンピックのあり方じたいが問いなおされることになるだろう。夏季オリンピックは,東京やソウル,北京など以外は,主に高緯度にあり冷涼な欧米でおこなわれてきた(メルボルンシドニーリオデジャネイロは南半球なので,夏と冬が逆)。
 
 だが,近年,欧州を強烈な熱波が襲うようになってきた。とりわけ,今〔2019〕年7月の熱波は凄まじく,フランス・パリでは42.6度と過去最高気温を塗り替えた。ドイツ,オランダ,ベルギーでも40度超え。英国ロンドンも38.1度を記録。米国でも,ニューヨークやワシントン等の主要都市で38度近くまで気温が上昇した。8月上旬には,スペインとポルトガルは46度台と「殺人的」ともいえる高温となった。

    f:id:socialsciencereview:20200217105234j:plain

 これらの猛暑の原因は,地球温暖化によって世界平均気温じたいが上昇していることにくわえ,上空を流れる偏西風が大きく蛇行し,熱帯の空気が北半球に流れこんだためだ。そして,英オックスフォード大学の研究などが指摘するように,偏西風の大蛇行も,温暖化の進行によって頻発するとみられている。

 IOCは夏季オリンピックの開催を原則7,8月としているが,この時期,北半球の国々では今後も猛暑に見舞われる可能性は高い。多くの国々の気候が,屋外での激しい運動をおこなうことが困難なものになりつつあるのだ。

 夏と冬の時期が逆転している南半球で「夏季オリンピック」を続けるという選択肢はある。

 3) このままではオリンピックどころか日本が危うい

 スポーツが好きな方々には言葉が悪いかもしれないが,このまま温暖化が進行するならば,オリンピックどころの話ではない。人間社会の存続すら危ぶまれるのだ。IPCC気候変動に関する政府間パネル)の第5次評価報告書は,今後,温暖化が進行した場合のリスクについて,以下のようなことが起きうるとしている。

 ・高潮や海面上昇による水害の増加,生計の崩壊

 ・極端な気象現象によるインフラの崩壊

 ・熱波による死亡や疾病の増加

 ・農業生産減少による食料不足や水資源不足

 こうした傾向はすでに日本でも現実化しているといえよう。今〔2019〕年の台風15号,19号は,日本近海の高い海面水温のため,勢力を保ったまま上陸し,暴風や水害で,各地の住宅地や電力網や鉄道,道路,工業地帯,農業や畜産業が甚大な被害を受けた。この2つの台風による被害額は農林水産関連だけでも1800億円以上に及んでいる。

 毎年,規格外に大規模な自然災害が襲ってくるようになれば,日本経済が破綻することにもなりかねない。実際,今〔2019〕年9月に発表されたIPCCの最新報告書『変化する気候下での海洋・雪氷圏に関する特別報告書(SROCC)』は,温暖化の進行によって,これまで「100年に1度」であった大規模な気象災害が毎年起きるようになると警告しているのだ。

 温暖化による破局的な影響を防ぐためには,世界平均気温の上昇を1.5度以下,最悪でも2度以下に抑える必要がある。だが,現在,各国政府がかかげる削減目標では,仮にそれを達成したとしても,今〔21〕世紀末に世界の平均気温は最大で3度以上も上昇するみこみだ。つまり,まったく不十分なのである。

 本記事の配信は,温暖化防止のための国際合意「パリ協定」の発効(2016年11月4日)から3年という節目にも合わせたものであるが,3年前より状況ははるかに切迫したものとなっている。日本を含め各国が国家としてなにをやるべきなのか,優先順位の見直しが必要だろう。

 4) オリンピックを機会に現状を認識しよう

 残念ながら,日本では猛暑や台風,大雨などの被害を目の当たりにしてもなお,温暖化への危機感が十分とはいえない。温暖化対策に対しても,それが決して負担だけではなく,新たなイノベーションや雇用を生む絶好の機会にもかかわらず,後ろ向きだ。とりわけ,政府与党やマスメディアはそうした傾向が顕著だ。

 だからこそ,いまの政府与党やメディアにとって最大の関心事である東京オリンピックが,猛暑に脅かされていることから(非常に皮肉で愚かしいのだが),温暖化対策の重要性に気がつくことを願うばかりである。それこそ,オールジャパンでの取り組みが,われわれやその子孫の未来を守るために必要なのだから。

 *本記事は,志葉 玲公式ブログ『志葉 玲タイムス』の記事を加筆したもの。⇒ https://www.reishiva.net/

 この志葉 玲が説いていたのは,温暖化問題と関連づけて考える「2020東京オリンピックの開催問題」が,この地球を囲む環境問題と不可避に密接な間柄にあるという事実であった。特別になにかむずかしい内容が含まれていたわけでもない。

 だが,IOCの会長バッハやJOC側の幹部たちの脳細胞のなかは,ともかくこの7月下旬から8月上旬という猛暑・酷暑の時期に日本の東京(マラソン競歩の会場は札幌に変更)での五輪開催を変更したり,ましてや中止することなど,まったく考えていないらしい。

 しかし,ここでもう一度断わっておくが,仮に五輪開催中に猛暑・酷暑のために「1人でも死者が出たり」したら,いったい誰が責任をとるのか? いまからその点だけでも最低限は,明確に決めておいたほうがいいはずである。開催を強行する責任者たちは,なにか事故・事件が発生したときは,その責任を確実にとってもらわねばならない。

 それでも,2020東京オリンピックを開催する? なぜか?

 最後に一言。東京で開催する五輪のために「風鈴や打ち水熱中症対策」をしたらいかがと,得意げに披露したどこかの女性知事がいたが,愚の骨頂であった。

------------------

※ 以下の画像には Amazon 広告へのリンクあり ※