原発事故の悪夢は現実,その害悪は「永久に不滅」,原爆の鬼子が日本という国に常駐

原子力発電は悪魔から贈りもの,この電力生産方式が要求する返礼(ツケ)は「永久に不滅です」のたぐいであり,恐ろしい結果となっている

原発はとうとうお荷物と化したが,もともと「原爆の鬼子」であった,また不死身でもあるこの悪魔の子どもは,これからも地球上で暴れまわる

 

  要点:1 《悪魔の火》と付きあったからに,未来永劫的に別れ話はありえない

  要点:2 原発のコストが一番高い事実は隠せなくなっており,一番の厄介者である問題点も鮮明になった

  要点:3 解決の展望がもてない東電福島第1原発事故の今後
 


 川内原発1号機停止 既存施設にも最新の知見『バックフィット』」朝日新聞』2020年3月17日朝刊3面「総合」

 九州電力は〔3月〕16日,川内(せんだい)原発1号機(鹿児島県)の運転を停止した。テロ対策施設が期限内に完成しないためで,完成の遅れで原発が止まるのは全国初。最新の知見で引き上げた基準を既存の原発にも適用する「バックフィット制度」で停止に追いこまれた初のケースでもある。今後,川内2号機のほか,関西電力四国電力原発も停止を余儀なくされる見通しだ。

 テロ対策施設は,新規制基準で原発本体の安全対策工事計画の認可から5年以内の設置が義務づけられている。川内1号機は東京電力福島第1原発事故後,全国で最初に再稼働した。今〔3〕月17日の設置期限に間に合わず18日に新基準に不適合の状態になる。このため16日午前9時に発電を停止。12月の運転再開をめざす。

 同様に川内2号機も5月に停止する。関電も高浜原発3,4号機(福井県)を8月以降,順次止める予定。(ここで引用はひとまず終わり,以下は小見出しなど適宜に引用・紹介)

 a) 引き延ばし,規制委は一蹴 (記事の引用は割愛)

 b) 老朽原発,とくに影響 (同上)

 c) 膨らむ安全対策費  バックフィットは電力会社の経営も直撃している。テロ対策施設の工事は原発の中枢機能をもうひとつ造るような大規模なもので,1基あたり約500億~1200億円かかっている。各社の工事費は当初の想定の2~5倍に膨らんでいる。

 これに伴って安全対策費は巨額になっている。関電では総額で1兆円を突破。九電では9千数百億円に上る安全対策費の半分をテロ対策施設が占める。さらに,耐震規制の見直しで,追加の耐震工事が必要になる可能性もある。

 また,原発を止めれば,代わりに動かす火力発電所の燃料費が負担として重くのしかかる。1基あたり月に九電で40億円,関電で45億円,四電で35億円の負担増になると試算する。電力会社は福島第1原発事故後,全国で原発の停止を余儀なくされ,軒並み経営が悪化した。

 九電も一時は最終赤字に転落。このため,他社に先駆けて再稼働を進めた。2018年には目標の原発4基態勢を実現した。今〔2020〕年の後半には川内の停止にくわえ,玄海の定期検査も重なり,4基中1基しか動かせない期間が生じる。全社的に経費削減の大号令をかけているが,「来期の決算は相当厳しい」(九電幹部)とため息をつく。

 規制は今後も上乗せされる。安全対策費はますます膨らみ,基準を満たせず運転停止に追いこまれるリスクも抱えつづける。政府が強調してきた原発の経済性や安定性が揺らいでいる。(引用終わり)

 原発は安価だ, “断然コストが安い” などといわれていきたごとき,つい何年か前までの〈記憶〉は,いまではどこかへ追いやられている。原発は,なにかと物入りな発電装置・機械になっている。いうまでもなく,その基本的な原因は「原発の安全対策」を理由に,どんどん発生してきた経費の増大にあった。

 しかし,やはりまた,つい何年が前までは,原発というものはとても安全でたいそう安心なエネルギー獲得のための発電方法だと,なぜか特筆大書的に強調されてきた。ところが,このところ,その利点がさっぱり発揮できていない様子が丸みえになっている。なぜかといえば,この ① の記事に報道されているように,原発という発電装置・機械が安全でも安価でもない事実は,否応なしにみとめざるをえない時代になっているからである。 

 この引用した記事のなかでは「規制委」と表記されている「原子力規制委員会」は,「規制」という漢字をかかげた委員会であっても,実は本来,原発をできるだけ積極的に促進させたい国家機関であった。けれども,東電福島第1原発事故「以来」,そうは単純には任務を果たせえなくなっていた。この委員会の組織理念は,こう謳っている。

     『組織理念』(平成25〔2013〕年1月9日 原子力規制委員会

 

 原子力規制委員会は,2011年3月11日に発生した東京電力福島原子力発電所事故の教訓に学び,二度とこのような事故を起こさないために,そして,我が国の原子力規制組織に対する国内外の信頼回復を図り,国民の安全を最優先に,原子力の安全管理を立て直し,真の安全文化を確立すべく,設置された。
 
原子力にかかわる者はすべからく高い倫理観を持ち,常に世界最高水準の安全を目指さなければならない。我々は,これを自覚し,たゆまず努力することを誓う。
 
 そして,その「使命」をこう説明している。「原子力に対する確かな規制を通じて,人と環境を守ることが原子力規制委員会の使命である」。活動原則は「原子力規制委員会は,事務局である原子力規制庁とともに,その使命を果たすため,以下の原則に沿って,職務を遂行する」。(後略)

 註記)原子力規制委員会ホームページ,https://www.nsr.go.jp/nra/gaiyou/idea.html

 「3・11」が発生する以前であれば,例の「安全神話」のオーラにつつまれてきた日本の原発政策とその推進体制のなかでは,この安全性に問題などはいっさいないものと一貫して主張されてきた。日本の原子力工学の専門家たちは,1986年4月26日に発生した当時ソ連の「チェルノブイリ原発事故」など,日本では起こるはずもない,担当作業員の凡ミスが原因だと豪語してきた。

 ところが,2011年3月の東電福島第1原発事故は,3基もの原発が爆発事故(うち1基はMOX燃料を使用していたため小規模な核爆発事故を発生させたといわれる)を惹起させていたとなれば,「安全神話」という虚説に防御されていた原発神聖説は,完膚なきまでに粉砕された。

 日本の原発利用史がそのような経過をたどってきたとなれば,原子力規制委員会安全神話は完全に封印・放棄したうえで,なおかつ「3・11」事故の反省に立った運営を迫られる「日本の原発管理委員会」に変質せざるをえなかった。だが,政府経産省エネルギー資源庁はいまだに,時代錯誤である「2030年における電源構成」のうち原発依存率「22~20%」に固執している。

 だが,世界における電力生産の趨勢はいまでは再生エネの方途が主流であって,しかもその単位原価も急速に下がりつつある。原発の生産する電力のコストは,いまでは競争力はほとんどないものと化しつつある。いうまでもないがそのさい,原発廃炉問題がそのもっとも重大な原因となっている。

 いまの原子力規制委員会が現有の原発に対して規制するというさい,なにを規制するかといえば,原発の安全性を最重要にその指導をおこなっている。これが,原発のコストを大幅に上昇させてしまう原因となった。

 いまや,原発は電力生産としての技術方式として評価すると,経済性においては問題外の技術特性になりつつあり,しかも廃炉やましてや事故を発生させた原発の後始末の問題にもなると,まだ未知の要因も含めて,膨大なコストを発生させている。この点から観ても,原発を利用してきた人類は,重大な覚悟を要求されている。

 

 「〈もっと知りたい〉福島第1原発:2 危険な燃料デブリ,全部取り除ける?」朝日新聞』2020年3月17日夕刊7面「解説」

 この記事を引用する前に断わっておくが,1979年3月28日に発生したアメリカのスリーマイル島原発事故の後始末でいうと,この事故の場合,核燃料の溶融は原子炉の圧力容器内に留まっていた。しかし,それでもそのデブリの除去は現在まで9割はできたものの,その残りは「残されたまま」である。つぎの図解をみておきたい。赤色と黄色が溶融した部分である。

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   出所)ウィキペディアから。

 なお,スリーマイル島原発では,事故を起こさなかった1号機が 2019年9月20日に運転を停止していた。今後,核燃料を取り出し,約60年かけて廃炉をおこなう計画である。

 ところが,東電福島第1原発事故現場について政府や東電の公式見解では,事故発生後「30~40年」でデブリなどの除去をすると予定であると,以前から申し立てていた。しかし,これほど非現実的な話題はない。スリーマイル島原発1号機は事故を起こさなかった原発であるが,「これから60年かける廃炉工程を設定した」といっている。つまり,2090年ころまでにその工事を完了させる予定だという。

 それなのに,東電福島第1原発事故について日本側は,2051年ころまでには〔2011年→プラス最長40年で計算〕,「事故そのものの後始末と廃炉工程」を完了させると,それもかなり奇妙なことなのだが,いままでずっといいつづけてきた。だが,この計画は実現可能性に照らして判断すれば,ほとんどウソそのものである。安倍晋三が2013年に,現場のことをアンダーコントロールといったのと同様に,完全なる虚偽である。

 ともかく,前段の記事からの引用を始めたい。添えられていた図解と画像資料をさきにかかげておく。

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 --東京電力福島第1原発でもっとも扱いがむずかしいのが,1~3号機の溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)だ。きわめて強い放射線を出すためロボットすら容易に近づけず,どこにどれだけあるかも,硬さや組成も,詳しくはわかっていない。廃炉工程表では2021年内に2号機から試験的な取り出しを始める目標だが,順調に進むかどうかは未知数だ。

 補注)よくいわれるように「予定は未定にして確定にあらず」である。この新聞の記事のひとつの段落読んだだけでも,東電福島第1原発事故現場においては,実質的に「廃炉工程表」そのものすらまともに描きえない実状が理解できるはずである。それでいて「事故発生後30~40年でデブリなどの除去ができそうだ」みたいな,完全にいっていいほどに “ウソでしかありえない空想” が,政府見解として公表しつづけられてきた。はたして,そういう態度が現状に関してまで許されていいのか? その見解はあらためねばなるまい。

〔記事に戻る→〕 事故で原子炉を冷やせなくなると,炉心の核燃料がどんどん熱くなり,周りの金属も巻きこんでドロドロに溶ける炉心溶融に至る。そうしてできた溶岩のような物体が,冷えて固まったものが燃料デブリだ。津波で全電源を失い,空だき状態が長く続いた福島第1原発の場合,溶けた炉心の一部は圧力容器の底を通り抜け,格納容器の下部まで落ちたとみられる。

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 註記)沸騰水型の原子炉解説図。後段の註記から引用。

 補注)「圧力容器」(前掲に紹介した原発の図形はこの圧力用意のみ描いている)を突き抜けて落ちているはずのデブリが「格納容器の下部」においてどのような形状でになっているのか,実は,などというまでもなく,なにも分かっていないといったほうが「正解」である。「格納容器の下部」まで溶融・落下したという点は,特別の方法で科学的に確かめているらしいが,建屋の底部(基礎)にまでは到達していないという点が,科学的に間違いなく確認できているのかよく分かっていない。

 東電福島第1原発事故現場はいまでも,つぎのように描写される状況にあった。現状はひとまず事故後なりに定常化はしているものの,汚染水の問題に照らしてみるに,こうした状況は基本的になにも変化はない。

 いま私が考えているのは,原子炉圧力容器にはもう穴があいている,その外側に格納容器という別な容器がある,圧力容器に水をいれるとどんどん洩れてくる,漏れてきた水は格納容器の底に溜まります。

 註記)「〈参考資料〉福島原発事故小出裕章インタビュー 第2回  その①   福島原発事故の収束点はまだ見えていない,冷却システムの回復が先決」2011/04/13,www.inaco.co.jp › isaac › shiryo › hiroshima_nagasaki › fukushima/20110413.html

〔記事に戻る→〕 2号機の調査では,デブリ放射線量は1時間あたり約8グレイ。人が近づけば1時間ほどで死に至るレベルだった。こうした危険な物質が,3基あわせて800~900トンあると推定されている。このすべてを2041~2051年とする廃炉完了までに原子炉建屋から取り除くのが国と東電の目標だ。

 補注)前段でも触れたが,この「東電の目標」というものは,あくまで外部に向けた宣伝用のアドバルーンであって,現場そのものの状態を踏まえて設定されたその目標ではない。あえていうまでもなく,世間の目をごまかすための空語・虚説である。達成などとうていできもしない「目標の年次」を明示するという姿勢からして,欺瞞的だとしかいいようがない。

 既述の点だがスリーマイル島原発のことは,つぎの解説されている。

 1979年に炉心溶融事故を起こした米スリーマイル島原発でも燃料デブリができた。ただ,事故炉は1基だけで,炉心が空だきになった時間も限られた。デブリは圧力容器の中にとどまり,建屋の爆発やひどい汚染もなかった。それでも,取り出しをほぼ終えるのに事故から約11年かかった。デブリの取り出しはそれほどむずかしい。

 東電福島第1原発事故現場の場合なると,その期間がどのくらいかかり,いかほどむずかしい作業になるのかについてさえ,まだなにもよく把握できていない。ただ,むずかしいことだけは分かっているが,その点を強調する以外になにも確言できていない。その程度の事情理解であった。

〔記事に戻る→〕 国と東電は当初,作業時の被曝(ひばく)リスクを下げるため,格納容器全体を水で満たして取り出す方法を検討していた。だが,技術的にむずかしいと判断。いまは水を抜いて取り出す方法に転換し,格納容器の小さな開口部などを利用して横からアクセスする方針だ。

 補注)格納容器そのものがダダ漏れ状態になっているゆえ,このように解説されるほかなくなっている。前段で引用した小出裕章が2011年4月の時点で語った(予測した)以上に,東電福島第1原発事故現場はグチャグチャに破壊されている。このことだけは,しかと理解できる。ここまで話を聞いただけでも,この現場の後始末や廃炉にを完遂するために要する作業工程は,22世紀まで視野に入れるべき難問である点は,否応なしに理解するほかない。

 2号機が取り出し開始の先頭に立ったのは,このルートを確保しやすかったためだ。2019年,格納容器の横から釣りざお状の装置を入れ,デブリとみられる小石状の塊を遠隔操作でもちち上げることに初めて成功。えられた知見を踏まえ,電力会社や原子炉メーカーなどで作る国際廃炉研究開発機構(IRID)が,新たな装置の開発を進めている。

 IRID開発計画部の奥住直明部長は「高線量や未知の環境下でも信頼できる装置が求められる」と話す。まずはアーム型の装置でデブリをつまんだり,吸引したりする計画。デブリがどんな性質でも対応できるように,先端の形状を変えられるようにする。ただ,試験的に取り出す量は数グラム程度にとどまり,その後の本格的な取り出しの道筋はまだみえない。

 補注)あえて断わっておくが,この手になる話法,つまり「いくらかは分かったこともあるが,これからまだまだ未知ばかりの後始末の問題である」という事情であるからには,いったいいつごろになったら,事故を起こした原発内部の後始末が終えられ,つづいて廃炉工程そのものにまで工事が進められうるのかという点そのものが,結局分からずじまいであった。この種の話題は,いままで繰り返してなんでも,新聞の報道を介して読まされてきた。その繰り返しばかりであった。

 2号機以外の先行きも厳しい。3号機では,2017年に圧力容器からつららのように垂れるデブリとみられる物質が水中ロボットで確認されたが,取り出すには格納容器内の水位を下げる必要がある。1号機では,格納容器内に調査の装置を入れるルートの確保が難航。デブリの存在自体を確認できていない。(引用終わり)

 ここで,関連する記事をひとつ紹介。「汚染水処分,福島で意見聴取」朝日新聞』2020年3月17日夕刊8面「社会」

 東京電力福島第1原発の敷地内にたまる処理済み汚染水の処分方法を決めるため,政府は,松本洋平・経済産業副大臣を座長に,地元関係者から意見を聴く会合を4月6日から始める。梶山弘志経産相が〔3月〕17日の閣議後会見で明らかにした。

 

 この問題では,経産省の小委員会が,技術的に実施しやすい海洋放出を有力視する報告書をまとめている。

 

 「〈もっと知りたい〉福島第1原発:1 漏れた放射性物質,敷地内の状況は?」朝日新聞』2020年3月16日夕刊9面「解説」 

 この記事は,② の前日に出ていた連続ものの解説記事であった。こちらも図解をさきにかかげておく。

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 東京電力福島第1原発で3基が炉心溶融した未曽有の事故から9年が過ぎた。がれきの撤去や地面の舗装などが進み,東京ドーム約75個分(約350万平方メートル)ある敷地の96%は全面マスクや防護服などの装備が不要になった。だが,まだあちこちに放射性物質が不安定なかたちで残されており,全体としては油断できない状態が続いている。

 原発では本来,放射性物質が厳重に管理されている。核燃料は被覆管や原子炉圧力容器,格納容器で何重にも閉じこめられ,汚染されたものは管理区域内からもち出せない。9年前の事故でその「壁」が破れ,放射性物質が大量にまき散らされた。原子力規制委員会は,敷地内のどこにどれほど放射性物質があるか,安定した状態かどうかを重みづけしたマップを作製。全体のリスクを効果的に下げ,廃炉を安全に進めるのに役立てている。

 敷地内で放射性物質が多く残る代表格は,1~3号機の原子炉建屋だ。とりわけやっかいなのが,圧力容器や格納容器のなかに存在する溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)。人が近づけないほどの放射線を出し,いまだ全容がつかめていない。

 建屋内の上層階にある使用済み燃料プールには,計約1500体の核燃料が残る。燃料じたいはほとんど壊れていないが,事故で建屋が爆発したり,プールの設備が使えなくなったりしたため,保管場所としての安定度は高くない。事故で大きな損傷を受けなかった共用プールや,空気で冷やす専用容器の保管エリアなど,地上のより安全な場所に早く移す必要がある。

 1,2号機の建屋のそばにある高さ約120メートルの排気筒も,リスクが高い。事故時に放射性物質を含む蒸気を放出するベント(排気)に使われた。付近の線量が高く,一部が損傷して倒壊の恐れもある。昨(2019年)夏からようやく遠隔操作での解体が始まったが,トラブル続きで難航している。

 補注)なにゆえ「トラブル続き」になるのか? 放射性物質の汚染が高度であるせいであった。この点が通常の解体工事とは根本的に,質的にも異なる原因となって,工事じたいの円滑(まとも)な進行を妨げている。

 建屋の地下には,燃料デブリの冷却で生じる高濃度汚染水がたまる。液体は漏れやすいため,固体より管理に神経を使う。建屋地下から外に漏れないように周りの地下水位を建屋内部の水位より高く保ったり,津波で海にさらわれないように海抜11メートルの防潮堤を建設したり,リスクを抑えるさまざまな対策がとられている。

 高濃度汚染水は,4号機の南側にある2つの建屋の地下にも貯留されている。汚染水を処理する多核種除去設備(ALPS)などから出る廃棄物の保管施設も,リスクが高い。廃棄物は固体状だが,汚染水から放射性物質をたっぷり吸着するため線量が高く,増えつづけている。

 処理済み汚染水をためる約1千基のタンクは,ほかの施設と比べると放射性物質の量は相対的に少ない。いまはタンクの性能があがり,漏れるおそれも小さくなった。保管しつづけることを求める声もあるが,増設スペースの余裕がなく,タンクが廃炉作業の妨げになりかねないとして,海洋放出などの処分方法が検討されている。(引用終わり)

 朝日新聞社などはこの「処理済み汚染水」という用語関係では,そのまま「汚染水」と呼んで報道している。ところが,日本経済新聞社などは「処理済み汚染水」のことを「処理水」と報道している。しかし,この処理されたという汚染水が「まだ汚染された水でしかない」ことは確かな事実である。それゆえ,問題のトリチウムという放射性物質の汚染まで除去できていない事実を,どのように認識するかについて,まだ議論の余地が残されている。とはいえ,この「処理済み汚染水」のことを「処理水」と呼ぼうと呼ぶまいが,ともかく「汚染水」である事実に変わりはない。

 国際原子力機関(International Atomic Energy Agency,略称:IAEA)は,国連の保護下にある自治機関である(国際連合の専門機関ではない)が,このトリチウムを残している汚染水を海に放出することを,正式に認めている。このやり方は,トリチウムという「放射性物質の汚染」がもたらす危険性に目をつむったうえでのあつかいである。日本の原子力規制委員会も同じ立場であるけれども,福島県などの被災地,とくに漁業関係者筋からの猛烈な反対のために「動きがとれない」立場に置かれている。 


 原発事故処理に再エネ財源 目的外使用,可能に 政府法案」朝日新聞』2020年3月18日朝刊3面「総合」

 この ④ の記事は,原発がとうとう厄介者でしかなくなっている本質・本性を現わしはじめた経緯・事情を説明している。「安価・安全・安心」といった「原発神話の3本柱」が,本当のところでは「初めにウソありき」の創話であった事実は,いよいよ隠しようもないいまの時期になっている。

 というしだいであってこんどは,原発事故関連において発生させられるコスト,それも社会的費用としてのその外部費用を,政府の予算のなかに関連づけて埋めこみ,負担させる「魂胆」が登場している。この記事を引用する。

 --政府は,再生可能エネルギーの普及などに使い道が限られているお金を,東京電力福島第1原発事故の処理費用にも使えるようにする。処理費用が想定よりさらに膨らむ恐れがあり,財源が逼迫(ひっぱく)することに備えるという。使ったお金は将来,返すとしているが,一時的でも原発政策の失敗を別の目的で集めたお金で穴埋めすることになる。原発のお金をいまの仕組では賄えなくなってきている。(▼経済面=「原発は安い」疑問符,← つぎの ⑤ でとりあげる)

 政府は一般会計予算とは別に,エネルギーの関連予算を「エネルギー対策特別会計」(エネ特)で管理している。さらにエネ特の中で目的別に財布を分けていて,原発の立地対策など主に原子力政策に使う「電源開発促進勘定」(電促勘定,年3千億円ほど),再生エネや省エネの普及,燃料の安定供給などに使う「エネルギー需給勘定」(エネ需勘定,年8千億円ほど)などがある。

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 電促勘定の財源は,電気利用者の電力料金に上乗せされている電源開発促進税で,エネ需勘定は石油や石炭を輸入する事業者などから集める石油石炭税となっている。両税はいずれも,それぞれの勘定の目的にしか使えない特定財源だ。

 ところが,政府は今月3日,エネ需勘定から「原子力災害からの福島の復興及び再生に関する施策」に使う資金を,電促勘定に繰り入れられるようにするための改正特別会計法案を閣議決定し,国会に提出した。エネ特で勘定間の繰り入れを可能にする変更は初めてという。

 背景には,電促勘定の苦しい台所事情がある。同勘定の収入は例年大きく変わらない。ただ,東電が負担するはずの原発事故の処理費用について,2013年12月の閣議決定で一部を政府が負担することになり,2014年度から汚染土などの廃棄物を保管する中間貯蔵の費用を電促勘定から毎年約350億円計上してきた。

 その処理費用は当初想定より膨らんでいる。経済産業省が2016年末に公表した試算で,中間貯蔵事業は 1.1兆円から1.6兆円になり,電促勘定からの支出は2017年度から年約470億円に増えた。政府関係者によると,今後さらに増える可能性があり,財源が足りなくなりかねないという。

 政府は改正法案をいまの国会で成立させ,来〔2021〕年4月の施行をめざす。法案では繰り入れた資金は将来,エネ需勘定に戻すことも定めているので問題ないとする。ただ,再エネ普及などのために集めたお金を一時的にでも,国民の間で賛否が割れる原発のために使えるようにする変更には反発も予想される。

 青山学院大学の三木義一・前学長(税法)は「特別会計は一般会計に比べ,国会で審議される機会が少なくチェックが利きにくい。今回の変更の内容は原発にかかわるだけに重大で,異論を唱える国民もいるのではないか。適切な改正なのかどうか,政府は国民にわかりやすく説明する必要がある」と話す。(引用終わり)

 この記事は,けっして道理ではありえない非理の問題を指摘している。東電福島第1原発事故のために,これからも発生していく膨大な費用(実質的には社会的な費用になっていく経費:負担)は,結局,国家財政⇒国民経済のなかにごまかす要領でまぎれこませて負担させる企みが,それも堂々と告白されている。

 原発はいまでは事故を起こさなくても,その維持・稼働のためには莫大な原価を要する機械・装置になりつつある。前述の記事に出ていた九電の原発関連の報道(運転停止)は,その事実の一環を正直に物語っていた。この原発の利用に関する情勢は,「今後,九電の川内2号機のほか,関西電力四国電力原発も停止を余儀なくされる見通しだ」とも指摘されていた。

 いわば,東電福島第1原発事故現場は日本だけにかぎられた話ではないが,世界における原発利用の趨勢に対して,オセロゲームのような展開をうながすような,もっとも基本的な要因を提供した。2011年「3・11」以前であっても,再生エネの動勢は盛んな実際になっていたが,そのなかで完全に遅れをとっていた日本でこそ原発事故が発生していた事実は,再生エネの動勢に向かうほかない時代の流れを決定づけたといっていい。

 それにしても再生エネ関連の諸事業展開が,いまや最大の問題児:厄介者となってしまった東電福島第1原発事故の尻拭いにまで悪用されはじめようとしている現状は,原発政策がそもそも最初から大きな間違いを犯していた事実を,いまさらにように露呈させている。

 

 「『原発=安い』論に疑問符 福島の事故処理に再エネ財源 中間貯蔵費,膨張続く恐れ」朝日新聞』2020年3月18日朝刊7面「経済」

 この記事はまだ遠慮がちに「『原発=安い』論に疑問符」などと見出しを付けているが,すでに確定版である「原発,それダメ論」のことを,このように控えめな文句の見出しを用意するのは,へっぴり腰の報道姿勢である。どこかへ忖度でもまだしているのかとみまごう記事である。

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 解説)写真手前にあるのが中間貯蔵施設の建物。写真上部に白っぽく見えるのが原発建屋や汚染水タンクなどが並ぶ東京電力福島第一原発=2019年11月,福島県大熊町,本社機から。

 東京電力福島第1原発の事故処理費用について,政府が原発以外の目的で集めたお金を使えるように法改正をめざす背景には,原発にかかるお金がいまの仕組ではまかなえないほど膨らんできていることがある。安く電気をつくれることを理由とする政府の原発推進の立場に,疑問符がついている。(▼3面参照)

 補注)ここでは,すでに時代錯誤である原発の利用について,政府側がまだ「推進の立場」にこだわっていると書いている。いまとなっては,非常に物入りで最大の厄介者になっている原発(事故も起こした)に,安倍政権・経産省エネルギー資源庁は,まだなにかこだわっている。そこに残る理由があるとしたら,「原発の兄貴で双生児」であった「原爆(核兵器)」の問題しかない。

 今回の対応のきっかけとされるのが,原発事故で生じた汚染土や放射性廃棄物を処理して一時保管する中間貯蔵の費用だ。政府が2014年度から年約350億円を出してきたが,事故処理費用が当初想定より2倍になる見通しとなり,中間貯蔵への支出も2017年度から約470億円になった。

 複数の政府関係者によると,この費用が今後もさらに膨らむおそれが出てきているという。そしてここ数年,財布となる「エネルギー対策特別会計」(エネ特)の「電源開発促進勘定」(電促勘定)の収入を増やす対応策を,水面下で検討してきた。

 そのひとつが,電促勘定に繰り入れられる特定財源の「電源開発促進税」の引き上げだ。だが,電気料金に上乗せされている税金のため,増税となると国民の反発も予想される。「国民負担の増加を避ける」という理由で見送られた。

 残ったのが,エネ特の中で再生可能エネルギーや省エネの普及などに使う「エネルギー需給勘定」(エネ需勘定)からの「借金」だ。エネ需勘定からのお金を回した場合,再生エネや省エネの普及に支障は出ないのか。政府関係者は,そもそもエネ需勘定は「無駄が多い」との批判があると指摘する。支出を見直すことで支障は出ない,とみているようだ。

 だが,別の政府関係者は電促勘定については今後,中間貯蔵の費用だけでなく,「(高速増殖原型炉の)もんじゅなどの廃止措置費用もかさむ」と話す。再生エネや省エネ分野にしわ寄せがいく可能性は残る。

 一方,エネ需勘定の目的にしか使えない特定財源の「石油石炭税」を原発に使う是非は,政府の会議や審議会で表だって議論されなかった。今回の改正法案は,復興庁の設置期間の10年延長など5つの法案をひとくくりにして国会に提出されており,国会で十分審議されるかも不透明だ。

 経済産業省の担当者は「自民党に報告し,審議をいただいた。国会でも審議してもらう。必要なプロセスは踏んでいる」と話す。

  テロ対策も,みえぬ総費用 ※

 政府は原発を「重要なベースロード電源」と位置づけ,事故後に止まった原発の再稼働を推し進めている。2018年のエネルギー基本計画では,2030年度に電力の20~22%をまかなうとした。達成には30基ほどの再稼働が必要とされる。

 理由のひとつとして挙げるのが「安さ」だ。政府は2015年の試算で,原発の発電コストは1キロワット時あたり「10.3円以上」で,水力(11.0円)や石炭火力(12.9円)と比べてもっとも安い電源だとしている。

 補注)この段落の内容は説明ではなく,単に「間違えた主張」でしかない。いまの段階で,このような「原発による発電単価の理解」が妥当だというみなせる理由は,完全になくなっている。そうでなければ,架空に想定された「原価計算」にもとづくいいぶんでしかありえない。

 だが,原発のコストは膨らむ一方だ。事故処理費用では,汚染土などの最終処分費がどれくらいになるかもまだ分かっていない。政府は法律上,2045年までに汚染土を福島県外に運び出し,最終処分を完了しなければいけないことになっている。

 原発そのもののコストもかさんでいる。新規制基準で義務づけられたテロ対策施設の設置費用は,当初想定の2~5倍となり,電力11社の安全対策費は昨〔2019〕年7月には計5兆円となった。

 こうした原発政策のトータルの費用が,いったいいくらになる見通しなのかはわかっていない。政府には原発政策をめぐる議論の土台となる,このデータを示すことが求められている。(引用終わり)

 原発のあつかいに関する問題は,まるで戦争みたいな筋書きに近い話になってきた。アメリカが原発の双生児である原発を開発し実戦用として使えるまで,その費用をどのくらいかけたか?

 ともかく,原爆は兵器である。ただし,その民生用に応用されて開発されたという原発は「平和目的に利用される」のだと当初は強調されていた。しかし,「スリーマイル島原発事故」(1979年)⇒「チェルノブイリ原発事故」(1986年)⇒「東電福島第1原発事故」(2011年)という三段跳びを余儀なくされた「原発の始末」は,この原発からえられた電力利用による「経済的な効用」など,まったく及びでないほど大規模に,国家経済社会を破壊してきた。そしてもちろん,地球環境の破壊をもたらしている。

 まさに『恐怖の電源』が「原子力を応用した発電方式」である「原発」といえる。通常いわれる「費用対効果」(cost and Benefit)の計算枠組とは,完全に無縁であり,埒外というほかない電力生産方式が原発である。日本の国民たちにかぎっていっても,あの「3・11」を契機に,トンデモな厄介者=鬼子を体内(国土の上)にかかえさせられている。

 東電福島第1原発事故の後始末作業が,廃炉工程に入るまえの仕事として,きちんと片づけられないまま,いまでもなお「汚染水問題」などを代表に,ぐずぐず継続させられている。ましてや,デブリそのものを除去するための「廃炉工程に入る以前に位置づけられる作業手順」(これは廃炉工程そのものと区別しにくい要素があり,いっしょくたになっている局面もある)が,いったいいつになったら片づいたといえる時期になりうるのかからして,まったく見通しすらつかないでいる。

 以上のごとき「21世紀の日本原発」をめぐる時代状況は,原子力という《悪魔の火》がこの国に贈ってくれた鬼子が跳梁跋扈する状況を,全然,制圧できていない事実を教えている。安倍晋三君自身も,現在のこの状況のなかでは,その火に存分にもてあそばれている。彼はだから,無理やりにも「ボクが東電福島第1原発事故をアンダーコントロールしています」という大ウソまでも吐くしかなかった。いずれにしても,それはたいそうデタラメな発言であった。

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