電力需給にもかかわる新型コロナウイルスの問題

新型コロナウイルスの感染拡大「問題」と電力需給に関する「電源構成比率」の問題,原発は要らない


  要点:1 原発の比率を高めるなどといった最愚策は採れない
  要点:2 再生エネの比率を高め,しかも多種にわたり開発・利用していくしかない

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 「首都電源 コロナから守れ LNG火力 備蓄2週分の死角 JERA,感染対策躍起」日本経済新聞』2020年4月24日朝刊「企業1」

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 新型コロナウイルスの感染が海運などの事業継続にも影を落とすなか,日本の隠れた停電リスクが浮上してきた。発電燃料の4割を依存する液化天然ガス(LNG)は,全量を中東や東南アジアなどから船で輸入。長期保存に向かないことから備蓄量は2週間分にすぎない。LNG発電の最前線を死守しようと,東京電力ホールディングスと中部電力が折半出資する火力発電最大手JERAが水際の対策を急ぎはじめた。

 東京都品川区にある品川火力発電所の会議室に,複数の1人用テントがずらりと並んだ。「感染が広がっても安定供給を続けるため,何重にも対策をとった」。首都圏や中部圏の電力供給を担うJERAが発電所内に設けた簡易の宿泊所だ。

 通勤のため公共交通機関を使うのもリスクが高い事態になれば,最終手段として作業員を帰さずに発電所内で寝泊まりさせる。さらに,LNGの受け渡しを途絶えさせないためのワークフローも導入。運搬船が着岸したさい,地上の作業員が乗船しないようにした。

 補注)新型コロナウイルスの感染拡大「問題」がとんだところまで飛び火して,こんどは電力供給体制における人員確保の問題を惹起させている。コロナの感染はここまでも,われわれの生活に重大な影響を与えるという事態をしって,この『日本経済新聞』の記事は,大いに参考になった。

 だが,この記事の内容そのものにはまだ,「原発を擁護し,維持していきたい」みたいな『日本経済新聞』の嫌らしい論調が色濃く残っている。その点は異様な印象を受ける。「脱原発そのものの必要性」は,日経の立場であればこそ,そのコスト面において尋常ならざる高額化の方途に向かい突き進んでいる,この原発の「建設費⇒維持費⇒廃炉費」などの,その恐ろしいまでの膨張ぶりをしらないわけではあるまい。

 ただ,原発(の商売)にまだ執着したい財界の意向だけを “汲んだような記事を報道する” のは,けっして,日本の経済・社会の今後のためにならない。個別企業の目先の利害・特質を無条件に認容する記事は,異論を抱かせて当然である。

 1) なぜ,JERAはコロナ対策を急ぐのか。

 千葉から神奈川に至る東京湾は,実は日本のLNG発電の最重要拠点だ。その多くの発電所をJERAが運営する。同社の火力発電所の燃料はすべてLNG。総出力は2600万キロワットと,日本全体のLNG火力の約3割を占める。新型コロナの感染で発電所が稼働停止する事態になれば,首都圏の安定供給に影響を及ぼしかねない。これがJERAが徹底的な感染防止措置を講じる理由だ。

 補注)東京電力ホールディングスになる前の,つまり,2011年「3・11」東日本大震災と東電福島第1原発事故が発生した前の段階までさかのぼる話題があった。原発は,どの電力会社あっても,都心の近くには建設していなかった。東電の場合,火力発電所の立地は,東京湾をかこむようにしてこの周辺一帯「千葉県から東京都,神奈川県」に大部分が位置する。

 註記)東電ホームページ「電力供給設備 火力発電所https://www.tepco.co.jp/corporateinfo/illustrated/electricity-supply/thermal-j.html 参照。

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     出所)「石炭火力問題」『FoE Japan』2020年3月31日。

 だが,以前,電力会社として地域独占企業体制にあった東電は,原発の立地については,電力を供給する管内の関東地方(ほか)内にではなくて,この地域外の福島県新潟県にその全基を配置してあった。

 「安全神話」という原発に関しては「宗教的な教理」があって,「原発は安全で安全で安価」だという信仰が宣教されてきた。ところが,原発の立地はなぜか,長距離間の送電による電力損耗の観点はさておき,電力消費地から遠い地方=過疎地に配置されていた。

 現在の東京電力ホールディングスは,技術的には稼働可能であ原発を利用できない経営体制に留めおかれてきた。それだけに,いまとなっては「安全神話」の欺瞞性に秘められていた空しさはひとしおである。

 2) 電力の大黒柱

 LNG火力はいま日本の電力の支柱だ。東日本大震災前は,発電に占めるLNG火力の割合は28%だったが,相次ぐ原子力発電所の停止で2017年度には40%まで高まった。原発は世界でもっともきびしい基準にもとづき再稼働しはじめたが,それでも九州電力四国電力関西電力にとどまる。

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 補注)ここでは,原発に期待する気分的な願望が,まだまだこめられているかのような論調に聞こえる。なんといっても,原発コスト「高」の基調は,原子力規制委員会の規制そのものによって,さらにいっそう高められてきたとすれば,もはや原発というものは「存在そのものが不要である」というほかない。

 だが,そうだとしてもその「後始末=廃炉」じたいが,すでに100年単位の事業にまでなって,この地球上ではいくつも進行中である。これこそまさに《悪魔の火》をわざわざ炊いて電力を入手する,というきわめて危険で,かつ非常に面倒なエネルギー生産の方法が,かえっていかに「ムリ・ムダ・ムラ」(能率学を提唱した上野陽一が唱えた「ひとくくりの概念枠組」)を,大規模に結果させてきたかは,「火(ここでは原発のそれ)をみるより明らか」であった。

 原発が「原子力の平和利用」だといった当初の提唱は,もとからマヤカシと嘘そのものしかなかった事実は,スリーマイル島原発事故(1979年3月)⇒ チェルノブイリ原発事故(1986年4月)⇒ 東電福島第1原発事故(2011年3月)という「3段跳び」に記録してきた〈負の実績〉によって,完全に実証されてきた。日本の日立製作所東芝三菱重工業の3社の「原発を製造し販売する」事業部門は,現在ではほぼ全滅状態である。

 あとは,まことに皮肉なことに,廃炉事業部門の開拓にせいぜい精を出すこと以外,みこみがなくなっているのが,日本における原発関連事業である。以上のような原発をめぐる諸事情を考慮するとき,電源構成のなかで原発の占める割合を高める期待をするかのような『エネルギー思想』は,人類・人間史にとってまさしく〈歴史反動的な観念の形成〉に囚われているというほかない。

〔記事に戻る→〕 しかも新型コロナの足音が原発にも忍び寄る。最近は九電の玄海原子力発電所佐賀県玄海町)で,対テロ施設の工事業者が感染。一時建設を停止した。日本の発電の半分近くをLNGに依存するかたちになり,「(燃料を海上輸送に頼る)島国の日本で電源構成はいびつ」(経済産業省関係者)な状況に陥っている。

 LNG依存にリスクが高いのは,石油と異なり備蓄がむずかしい点にある。国はオイルショックを機に石油の備蓄を法律で義務付け,民間分と合わせて国内消費の約200日分が蓄えられている。石油の輸送に支障が生じても「感染が落ち着くまで石油はもちこたえられる」(JXTGエネルギー関係者)。

 補注)前出の,「日本における経営学の父」とも尊称される上野陽一は,いまでいう「地産地消」を強調した人物であった。再生産可能エネルギーは,いうまでもないが,その「地産地消」のもっとも適例であった。ただし,電力だと送電線で遠くまで送ることができる。ヨーロッパ諸国では地続きなので,各国間で電力の融通がなされている。スマートグリッド的な電力供給体制があちらでは形成されつつある。

 3) 「気化」がネック

 一方,LNGは遠い産地から海上輸送するため,気体の天然ガスをセ氏マイナス162度に冷やした液体。徐々に気化してしまうため,大量の在庫をもてないのが難点だ。日本の備蓄量はわずか2週間程度しかない。LNGの発電所重油などの燃料を代替として使うことも不可能だ

 補注1)筆者も素人であるので,LNGが気化して損耗するガスという点は初めてしった。冷却するためにエネルギーを要するという。専用船で運ぶ段階では当然,その冷却用のエネルギーは石油であるのか? それともLNGじたいを使用して冷却用に充てているのか?

 補注2)つぎの記述・解説〔注記※〕のなかには,こう書かれている。「タンクから気化したガスを燃料として利用しつつも余ったガスを再液化する独自の仕組みを備えた燃料供給システム『「二元燃料焚き低速ディーゼル推進(ME-GI)プラント』の開発にも成功した。

 中東などからLNGを日本に運ぶには,1カ月程度かかる。頻繁に往来しているため,仮に数隻が来なくなったとしてもすぐに発電の燃料不足に陥ることはないが,長期にわたり完全に途絶えると発電できなくなる。

 註記※)川崎重工のホームページ関係では,「〈Techno Box 03〉 世界のエネルギー供給を支える LNG運搬船」という記述(解説)が『Kawasaki Powering your potential』2017年7月,https://www.khi.co.jp/stories/articles/vol55/ に出ている。
 
〔記事に戻る→〕 3月下旬に全土を封鎖したインドはLNGを輸入できなくなった。日本政府はロックダウン(都市封鎖)に踏み切らないと言明しているが,感染が拡大すれば輸入に影響を及ぼす恐れもある。実際「船内に1人でも感染者がいれば全船員検査や船の消毒が必要で,LNG基地への接岸を拒否される可能性もある」(大手商社)という。

 補注)先日,アメリカの空母が艦内で100人単位の新型コロナウイルスの感染者を出しており,任務遂行が困難になっていたという報道があった。つぎに関連する記事を引用しておく。 

   ▼「空母のコロナ感染で苦境の米海軍,軍事演習で牽制する中国軍との緊張高まる」▼

 =『Newsweek 日本版』2020年4月10日(金)15時30分,https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/04/post-93094.php

 

  いま,少なくとも米海軍の原子力空母4隻で,乗組員が新型コロナウイルスに感染する事態が発生している。このうち現在グアムに停泊中の空母セオドア・ルーズベルトでは〔4月〕9日時点で乗組員416人の感染が確認された。1人は乗船中に意識不明となり,寄港後すぐに病院へ搬送された。

 

 この他,米海軍横須賀基地に寄港中の空母ロナルド・レーガンワシントン州の海軍基地を母校とする空母カール・ビンソン,空母ニミッツでも乗組員の感染が確認された。

〔記事に戻る→〕 今〔2020〕年は日本の電力需給が逼迫する「かなりタイミングが悪い時期」(電力関係者)だ。テロ対策施設の工事の遅れから,3月から順次,九電が川内原発(鹿児島県薩摩川内市)を停止。四国電は広島高裁が仮処分で伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の運転差し止めを命じ,動かせないままだ。今年稼働できる原発は9基から一時的に半減するみこみで,ベースロード電源である原発に頼れない事態に直面している。

 補注)いまごろにもなって,原発をベースロード電源であると説明するのは間違いである。すでに,主要電源である原発といういい方に変えてきたにもかかわらず,この記事のなかでは再度,「先祖返り」をしたかのような文面を作成している。

 --高橋 洋(都留文科大学)は,こう説明している。

 「ここ10年,電力システムについて世界の流れは,大きく変わりつつあります。それをキーワード的にいうと,『大規模集中型電源から分散型電源へ』ということです。ところが,日本では,大きな発電所は電力の安定供給には不可欠で,再生可能エネルギーなど小規模なものは安定供給上,問題がある電源だという考えが根強くあります」。

 

 「欧州や中国ではいま,ものすごい勢いで,再生エネ,分散型電源が増えてきています。原子力,石炭火力は出力調整が苦手なため不都合で,ビジネス上,大きなリスクがある電源になってきています」。「2011年の福島第1原発事故のさいの計画停電にしろ,今回のブラックアウトにしろ,構図はほぼ同じです」。

 註記)「原発から再生エネルギーへ・・都留文科大学教授 高橋 洋さん」『日本共産党嶺南地区委員会』2018年10月30日,http://jcpre.com/?p=16277

 付記)日本共産党嶺南地区委員会の所在地は,〒914-0054 福井県敦賀市白銀町4−10 である。福井県敦賀市神町には,日本原子力発電原子力発電所がある。

〔日経記事に戻る  ↓  〕

 4)日本のエネルギー自給率は10%程度と,食料の40%を大きく下回る。

 「脱炭素」の機運の高まりから国内の石炭火力発電に逆風が吹き,LNG依存はさらに高まる恐れがある。東電が柏崎刈羽原発新潟県)の再稼働を急ぐのも「東京湾のLNG火力発電の一極集中は安定供給のリスクが大きい」(幹部)ためだ。

 補注)エネルギー自給率の計算のなかに,わざわざ「準国産である核燃料」を使用する原発を入れたうえでの,以上のごとき説明だとしたら,これも大きな間違いである。たとえていうとしたら,外国産の小麦を原料に使い,日本のソバ屋がそばにして料理に出したら,「これ(原料)が国産だ」という嘘と同じ理屈のそれである。

 たとえば『スマートジャパン』2020年04月15日 07時30分,https://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/2004/15/news057.html の記述は,「自然エネルギー」を,つぎのように説明しているが,再生エネの比率のなかに原子力を含めるのは,基本から間違ている。

〔記事に戻る→〕 国内の再エネ比率は16.9%に向上,エネルギー自給率は7年ぶりに10%台を超える。経済産業省が2018年度の国内におけるエネルギー需給実績の確報値を発表。全体の最終エネルギー消費量は前年度比2.7%の減少に,1次エネルギーの国内供給量も同 1.8%減となったが,再生可能エネルギー原子力発電などの非化石電源による供給量は年連続での増加となった。

 補注)核燃料が「非化石電源」だとはいっても,石炭・石油・LNG系の燃料と同じに,地球の体内に蓄えられてきた有限とみていい資源を利用するものであるかぎり,原子力を再生エネの分類のほうに,無理やり近づける発想はコジツケであって,筋が通らない話題を提供している。

 むしろ,原子力のための核燃料は,どうみても物理・化学的に「化石」系と同質・同列の燃料である。ましてや,再生可能エネルギーと同じ位置に並べられるかのように装って,「原発≒再生エネ発電」と思わせかねない,つまり,印象操作的にそのように誤導させたい論法は,もともと非理・背理であった。

 もともと対極に位置づけられる「再生エネ」と「原子力」との相互関連を,あえて嘘っぽく語り,親戚付き合いができる親しい仲間であるかのように説明するのは,厳密にいうまでもなく,完全に間違いである。以上の点は,原発事故の問題を想起してもらって説明する以前に「自明の論点」であった。

〔記事に戻る→〕 経済産業省は2020年4月14日,2018年度の国内におけるエネルギー需給実績の確報値をまとめた。全体の最終エネルギー消費量は前年度比 2.7%の減少に,1次エネルギーの国内供給量も同 1.8%減となったが,再生可能エネルギー原子力発電などの非化石電源による供給量は6年連続での増加となった

 電力会社や政府はいかにエネルギーの燃料構成を多様化し,供給リスクに備えられるか,新型コロナの感染拡大は重い課題を突きつけている。(日経記事の引用終わり)

 以上のなかで,「再生可能エネルギー原子力発電などの非化石電源による供給量」という表現が出ていたが,これも不適切な語法であった。その理由はすでにおこなったので,ここでは反復しない。

 ただ,そのあとにつづく文句:「供給量は6年連続での増加となった」という表現も,かなり誤解を招くためのもの,と感じるほかない。

 2020年の6年前における原発が電源構成において占めた比率は「2015年8月に九州電力川内原発1号機が再稼働するまで約2年間は原発ゼロの期間であった」。だから,その特定の時期,原発稼働率がゼロであった期間も含めたうえで,原発の電源供給量もあって,これを含めたようにして語る記事を書くのは,詐術に近い筆致である。

 つぎのように説明し,批判する。※-1と※-3,※-2と※4はそれぞれ同じことだが,このようにくどくど記述している。

  ※-1 2014年2月 ⇒「原発の稼働」なし,この時の再生エネの一定比率:n1%。

  ※-2 2020年2月 ⇒「原発の稼働」あり,この時の再生エネの一定比率:n2%

  ※-3 2014年2月 ⇒「原発稼働 0% + 再生エネの稼働: n1%」

  ※-4 2020年2月 ⇒「原発稼働 数% + 再生エネの稼働: n2%」

 

 以上のように表現しておくとき,※-1と※-3の「なし:0%」に対して,このなかに,あえて※-2と※-4「あり:数%」を,前後して有意に関連づけられるかのように,それも混ぜこんで誤導的に説明するのは,隔靴掻痒的にもおかしい不明瞭な要素を残したことになる。

 電力生産「全体」にとってみれば,いわば異端児であり,《悪魔の火》を炊いて電力をえようとする原発という装置・機械は,「石油の2次製品」であるとの別名も付されている「火力発電」の一方式であった。

 この原発を再生エネのすぐそばに置く格好にしておき,いかにも自然・環境にやさしいエネルギ-源の仲間たりうるかのように,それも国産(準国産?)の燃料を炊く装置・機械でもあるかのように「間違えた印象」を与えるための説明は,絶対に不可である。確実に不条理であり,あるいは意図したかのごとき誤説明である。

 火力発電方式のなかでも「決定的に異端児であった電力生産方式が原発」であった。放射性物質にまつわる極度の有害性は,原発大事故の歴史のなかで,あますところもなく実証されてきたではないか。それでもまだ原発が恋しいのか? まるで,エネルギー資源にかかわる「薬中問題」が,原発において,集約的に現象させられている構図が浮上する。笑いごとではない。

 要は,新型コロナウイルスの感染拡大「問題」が,日本列島における電力需給問題をめぐり,それもとくにLNG発電用の燃料供給に関してだが,観過できない現実問題を,状況しだいによって浮上させるかもしれない。そういった懸念が以上の記事によって指摘されていた。


  原発のお荷物「性」

 だが,以上に記述してきた問題群を介してこのさい,いかにも原発には必要性があり,大いに再稼働させられてよいみたいに論じているとしたら,これほど理不尽な「アンティ・再生エネルギー論」はない。

 基本的な電源構成比率は,「再生エネの比率を基礎」に据えておき,そのうえで,1日における電力需要の変化に備えて火力発電の比率を適当に決めておき,その変動に対して柔軟に稼働できるように備える。その場合,昼間の時間帯においては,余力となる水力発電揚水発電をおこない,夜間の再生エネの比率低下に備える。

 再生エネといっても,日本では太陽光発電がかなり先行しているために,風力発電の比率を高めることが相当に必要である。日本列島全体の各地域が相互に関連する電力網を形成していくなかで,その相互の電力融通の態勢作りが重要であるが,いままでのところ,いざというときに必要かつ十分な準備ができているとはいえない。

 なんといっても原発は不要であり,全然なくて済む発電方式であった事実は,需給関係の点でいえば,すでにわれわは体験済みの事情でもあった。それよりも「廃炉工程の未来」は,これを考えただけでも背筋が寒くなる。

 東電福島第1原発事故,その廃炉にかかっていく具体的な費用は,その多くを東電が負担し,払っていくしかないものの,一部は東電と契約している消費者が事実上,「電気料金を通じて負担する仕組」になっている。あるいは,さらにはすでに,国家予算をけずる(われわれの血税をまわす)かたちで負担させられてもいる。

 某研究機関の概算は,東電福島第1原発事故現場の後始末には,最近の概算では81兆円かかると予測していた。だが,その金額がさらに増えないという保証はなく,それどころか,もっとどんどん増えていく予見ならば確実にありうる。原発という装置・機械は,本当に恐ろしい,多方面に深く影響する「カラクリ(害毒)」を秘めている。

 だから筆者はいってきた。「原発を止めますか,それとも,人類を止めますか」と。東電福島第1原発事故の後遺症は,まだまだ現地は強く残ったままである。人類・人間は,完全に《悪魔の火》のアンダーコントロールにあるのであって,けっしてその逆に,その火をアンダーコントロールなどできていない。これからも永遠にそうでありつづける。だから,いまからでもせめて「原発は止める」しかない。

 これからいつかまた,起きるかもしれない「原発の恐ろしい第4番めの大事故」を心配する前に,そのように断言しておく。もっとも,止めたところで,その後始末がまだ大変なのであるが……。

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