月刊誌『選択』2020年5月号に関する若干感想,安倍政権をいかほど批判できそうか

『三万人のための総合情報雑誌』と誇称する月刊誌『選択』は,新型コロナウイルス感染拡大「問題」など,痛くもかゆくもないごく一部の上級市民のための雑誌か

 

  要点:1 高級誌路線を狙う月刊誌で,日本の現実をどこまで批評しきれるのか

  要点:2 上級市民的な選良意識で日本を改革する意識を醸成できる本格的な情報誌たりうるのか

  要点:3 大学生のための奨学金制度の脆弱性まで露わになっている現状,富める者と貧しい者をさらに分断する新型コロナウイルス感染拡大「問題」が進行中

  要点:4 無能・無為・無策政権は,戦う前から新型コロナウイルスには敗北

 


 『選択』 (雑誌)に関するフリー百科事典ウィキペディアWikipedia)』の解説

 本ブログ筆者はこの月刊誌『選択』を読んだことがない。古本屋にはいかない時代になっているので,バックナンバーをその店頭で入手することもない。もっとも,どこかに売りに出ていないとは限らない。それはともかく,この雑誌を発行する「選択出版株式会社」は,どういう由来を有する会社か。

 本社所在地  105-0003 東京都港区西新橋3丁目3番1号 西新橋TSビル10階
 設 立    1974年4月
 代表者    代表取締役 湯浅次郎
 関係する人物 飯塚昭男(創業者)
 外部リンク  http://www.sentaku.co.jp/ 

 『選択』(せんたく)は,選択出版株式会社が発行する月刊雑誌(総合雑誌)で,毎月1日発行。

 補注)ということで『朝日新聞』朝刊の場合,本日:5月1日の4面「総合」の下部に広告を出していた。出版日に合わせてその日に広告を出すところは,ほかの多くの雑誌類の発行の仕方とは異なる広告の出し方となっている。

f:id:socialsciencereview:20200501105932p:plain

 ◇ クリックで拡大・可(  ↑  )

 完全宅配制度を採り,書店での販売はおこなっていない。発行部数は6万部。2008年6月号で400号を迎えていた。 

 補記)『選択』の販売は書店ではあつかわず,契約者だけに直接配達されるかたちを採ることで,若干だが一定の選良意識を読者にもたせる狙いがある

 1) 概 要

 『財界』編集長を務めた飯塚昭男が社長・編集長となって1975年に創刊。当時の日本の指導者層の概算人数にちなみ「三万人のための情報誌」を謳う。

 補注)この出自から単純に判断できるのは,『選択』は体制派の財界人など,エリート層を読者に狙っている点である。

 f:id:socialsciencereview:20200501111242p:plain

  “政財界のエグゼクティブ” を対象として発行されており,年単位の完全予約購読制を採っている。誌面は,WORLD(国際),政治,経済,社会・文化の4部と連載随筆などで構成され,思想の左右の区別なく質の高い分析や,新聞などが報じない本音や事実を報じることをモットーとしている。

 補注)いつも広告の目次でしかその字面はみていないけれども,この「思想の左右の区別なく」という編集方針は,おおよそ当たっている。そのあたりの判断は,こうした目次一覧を観た人の立場が右翼(寄り)であれ左翼(寄り)であれ,『選択』にそのどちらに対してでも批判的な記事を書かれているとき,自身が不快感・否定感情をもつかどうかにかかっている。

 もっとも,そのくらいまでの感応性・反発度を期待できる雑誌でなければ,本来のハイブロー(教養や学識のある人,知識人,知的で趣味がよく高級であるさま)的であると思われたいこの月刊誌は,本来意図している目的を追求も達成もできないはずである。

 そのほかの特徴として,記事は連載の読み物(随筆)を除いて,執筆者は原則として無記名となっているが,現役の新聞記者が主であるとされる(現在,筆者全体に占める新聞記者の割合は約3割)。筑紫哲也は,以前執筆者であったことを公表している。

 補注)無記名という点については,いろいろ考慮すべきことがらもあるが,筆名を明らかにしないという点では「いくぶんか腰が引けている」といわれる可能性を残していることになる。

 小泉純一郎や,奥田 碩など政財界の大物,またジャーナリストの池上 彰が,読者であることをみずから公表していた。

 補注)首相であった小泉純一郎が,はたして,ハイブローな政治家であったかどうか大いに疑問ありである。あえて池上 彰といっしょ並べるまでもなく,当然の疑念である。むしろ,この雑誌『選択』を購読することで,ハイブローな人間の仲間入りができたかのような気分をもちたい人間は,年単位の購読契約を交わしているかもしれない。出版社側としては,首相をやっていた人間が購読を申し混んできたら,断わる理由はない。けれども,純一郎がねえ……という感じも,正直いってある。

 毎月1日(発売日)に,読売・朝日・産経・毎日各新聞紙上にて広告を展開している。2014年に代表の湯浅正巳が死去し,新たな代表は湯浅次郎となる。

 2) 訴訟問題

 a) 『選択』2003年7月号で「イオンが壊した日本の『地方』」という題名の記事が,イオンの名誉をいちじるしく傷つけたとして,イオンが選択出版社を提訴した。その後,2012年8月の最高裁判所の判決で,名誉毀損の認定と110万円の損害賠償の支払いが確定している。

 b)  金子原二郎からは,諫早湾干拓事業地の海砂採取問題に絡んで疑惑を書かれたとして名誉毀損で提訴されたが,この賠償請求は棄却された。

 補注)金子原二郎かねこ・げんじろう,1944年5月8日- )は,自由民主党所属の参議院議員(2期),長崎県知事(民選第14・15・16代),衆議院議員(5期),長崎県議会議員(3期)などを務めた「世襲2代目の政治家」で,父は元衆議院議員の金子岩三。

 勝手に想像をめぐらしていっておく。この『選択』を契約・購読する人たちは,多分,2020年に入って世界中を動揺させている新型コロナウイルス感染拡大「問題」が発生・経過している状況のなかでも,日常生活においてはなんら支障などない立場にあるのではないかと,いささか邪推気味にだがあえて解釈しておく。

 たとえば,そのへんの非一流大学に所属するある1年生がこの月刊誌『選択』を契約したい,購読したいといってきたら,この申しこみに応じて販売するのか? あくまで自由奔放に想定してみた仮定の話であるが,そういう推定話も想像してみる。

 ともかく,『選択』5月号も最近の話題である「新型コロナウイルス感染拡大」を,「世界がパンデミック状態」になっている現状のなかでとりあげていた。つぎの ② は,以上の話題にかかわる論点のひとつを具体的なとりあげ,考えてみたい。

 

 「〈新型コロナ〉学費減額運動 100大学に拡大 「生活苦しい…授業受けられない学生いる」東京新聞』2020年4月27日朝刊,https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/202004/CK2020042702000124.html
写真

 a) 新型コロナウイルスの感染拡大の影響でアルバイト先を失うなど生活苦に追いこまれた大学生らによる学費減額運動が全国で拡大,対象の大学は〔4月〕26日時点で百校になった。これまでに十校以上が給付金などの支給に乗り出したが,経営を圧迫する学費の減額には消極的だ。安倍晋三首相が学生の支援に意欲を表明しており,国による早期の対応を求める声が強まっている。

 補注)この段落の指摘は私立大学を中心とした内容であるが,国立大学とて,私立大学と大きな差がない金額の納付金を納入させている昨今である。それゆえ,この指摘は国公立大学の学生たちにもほぼ共通する問題を意味している。

 文部科学省令による標準額は,国立大学で入学料28万2000円,授業料が53万5800円(計 81万7800円)と定めている。また公立大学では,入学料39万3426円,授業料53万7809円(計 93万1235円)である。これに対して私立大学は,学部や学科の違いによって金額にかなりの差が出ているので,別々に説明しておく。

    ※ 私立大学で初年度にかかる金額 ※

 

 文科系学部の学費  入学料     24万2579円
           授業料     74万6123円
           入学初年度   98万8702円

 

 理科系学部の学費  入学料     26万2436円
           授業料     104万8763円
           入学初年度   131万1199円

 

 医歯系学部の学費  入学料     103万8128円
           授業料     273万7037円
           入学初年度   377万5165円


 学費減額を訴える学生団体「高等教育無償化プロジェクトFREE」の集計をもとに,共同通信が調べた。文部科学省は本年度に開始した低所得世帯の大学生らに対する修学支援制度の対象に,新型コロナで家計が激変した世帯もくわえた。しかし,中間層でも親の減収やアルバイト先の休業で学費が払えない学生が続出する恐れがある。

 b) 早稲田大が総額5億円の緊急支援策を表明,神奈川大が5万円の支援金給付など対応を始めた大学もあるが,学費減免に踏みこんでいない。収入の約8割を学生の納付金に頼る私立大は,オンライン授業の導入などで負担が重く「授業料減額は厳しい」(私大准教授)のが現状だ。

 補注)学生が納入する学費(大部分)によって経営が成立している私立大学の場合,このようにその還元を学生に対しておこなうとしてもおのずと限界がある。簡潔にいってしまえば,その対策は限定的に講じるほかない。保護者の年収が大幅に減少したとか,失職したとかして納付金が準備できないとか,さらには学生自身がアルバイトで生活費と学費まで稼いで大学に通っている場合は,新型コロナウイルス感染拡大「問題」がいま,深刻な影響を与えている。

 芝浦工業大の小野太伸(たいしん)さん(21歳)はインターネット上で授業料減免を求める署名活動を開始,すでに8百人超の賛同をえた。大学のオンライン授業では,高額ソフトを使う授業もあり負担は重い。「生活が苦しく,授業が受けられない学生がいる」と話す。大学側は一律6万円の奨学金給付を決めたが,授業料減額の追加交渉を求めている。

 同志社大で署名運動を展開する楠原涼平さん(20歳)は,大学からは「減額はしない」と回答された。「オンライン授業で施設も使えないのにおかしい」と訴える。文科省私学行政課は「学位が取得できないといった不利益が学生に出ないようにするのが最優先だ」とコメント。学費減免の必要性については明言を避けた。

 補注)新型コロナウイルスの感染が拡大していく状況のもと,日本の大学教育体制はとくに学費問題が非常に高額であるために,随伴的に発生させられている「新年度授業体制に与えた打撃」は大きい。

 私立大学の学費が高額であるという問題,そして,学生自身の多くがアルバイトを不可避とし,これを重視するほかない学生生活を強いられている問題が,なかでもとくに注目されねばならない。

 ここに至ってあらためての指摘になるけれども,「そもそも大学で若者が勉学にいそしむべき生活姿勢」というあり方からは,かなり乖離させられる学生生活を過ごすほかない「日本の大学」における「大学生の日常性」は,いまさらながらであっても,このさい見直されていい現実であるはずである。

 c) 国の支援が必要だ

 ※ 大学の学費問題に取り組んできた岩重佳治弁護士の話 ※

 新型コロナウイルスの問題が出る前から,大学生の生活は大変だった。私立大に通っているから余裕があるというのは昔の話で,積み立てたお金でようやく学費を賄っている家庭が多い。感染拡大でアルバイトも失った学生は退学が現実の問題だ。だが,学生と大学を対立させるべきではない。

 日本の学費は国際的にもトップクラスの高さだ。大学の経費の大半は人件費で,大学に対する国の予算が十分ではないため学費に転嫁されている。大学側にも工夫の余地はあるが,国による公的資金で大学を支援することが必要だ。(引用終わり)

 このさい,日本の大学制度全般を抜本的に見直す必要がありそうである。ここで単純に,こういう計算をしてみた。本ブログ筆者の持論は日本の大学〔生〕は3分の1もあれば〔いれば〕十分だ,という主張をしてきた(基本は学生数を基準での判断となる)。したがって,つぎの計算は最後は3で割る数値をはじき出している。

 日本の大学生(院生含む)の数は,1950年の約32万人が最少であったが,2019年に約290万人の最多となった。その間,増加数は約185万人であるが,1986年までは横ばいで推移してきた。ところが,1987年ころからはかなりの増加傾向を示し,2000年代に入ると約270万人となった。2015年ころからはゆるやかに増加しつづけてきている。

 少子高齢化という人口統計上の特徴形成でも分かるように,出生数そのものが減少するのにともない18歳人口も減少してきたが,進学率の上昇によって,以上のごとき大学生総数の増加が記録されてきた。もっとも,大学生とは名ばかりである若者となって大学に通う者も多く,アルバイトに明け暮れる学生も大勢いれば,非一流大学で勉学とは無縁なまま,モラトリアム的な日常生活を送っている学生も相当数いる。

 大学を卒業しても,その全員が昔風にエリート層になれる保証など初めからなく,ごく平々凡々な職業・職種の仕事・会社に就業するほうが多い。『大学間格差』の実情が,いまでは「学歴」(本来は就学年数の長短を意味するそれだが)という用語を当て,表現される時代になっている。いわゆるブランド大学と非ブランド大学との格差は,実質的には「昔の大卒と高卒の待遇差」にほぼ相当したそれを意味している。

 ちなみに,日本標準職業分類(平成2009年12月統計基準設定)の「分類項目名」は,つぎにように分類している。

 

 大分類 A- 管理的職業従事者
 大分類 B- 専門的・技術的職業従事者
 大分類 C- 事務従事者
 大分類 D- 販売従事者
 大分類 E- サービス職業従事者
 大分類 F- 保安職業従事者
 大分類 G- 農林漁業従事者
 大分類 H- 生産工程従事者

 単なる大卒程度では,このうちのA「管理的職業従事者」そのものを,就職当初から期待できる保証はなくなっている。周知の事実とはいえ,大学4年間の教育過程(教程)が,はたしてこれらの大分類のそれぞれ従事者としてどのようにかかわるのか,そう簡単には分かりにくくなっている(学生が学んだ学部・学科のすべてについてそう断定できるのではないが)。

 もちろんどの大分類の職域であっても,労働者・サラリーマンとして偉くなれない,出世できないことはない。だが,初めから「大分類 A」を,卒業に就ける職業・職種の路線(総合職として上級管理職まで出世する道)として一様に想定することは,いまや現実離れの話になっている。

 本ブログ筆者の知人から実際に聞けた話となるが,その息子が東大法学部卒業後,住友銀行に就職したさい,銀行側からいわれたのは「将来の幹部要員として特別に採用した」という点であったという。

 あとはいちいちいわないけれでも,非一流大学,それも3流や4流の大学もたくさんあるなかで,その大学を卒業した若者と「前段の彼」(その息子)と比較するのは,ほとんど意味がない。それほどにまで大学といってもピンからキリまである。

 だから,本ブログ筆者は日本の大学は学生総数で3分の2は要らない,3分の1で十分だという自説を示してきた。問題はそれらの内容にあって,大卒の証書にはない。学力も実力もない若者が大卒だからといって,いまどきエリート層になれるというのは,とんでもない勘違いである。現状における大卒者は,いってみれば大卒「資格」とは縁遠いの職業・職種に就いている場合も多い。

 新型コロナウイルス感染拡大「問題」は,実は,以上のごとき主張も重ねたかたちで,議論をしておかねばならない事由を提供している。どういうことか? 日本学生支援機構は貸与型奨学金制度は止め,給付型奨学金制度の運用をする組織に変質させるべきである。

 今回のコロナウイルス問題に遭遇した日本の大学生は,13人中1人が退学を検討せざるをえない状況に追こまれている。ある学生団体がおこなった新型コロナウイルスの感染拡大の影響に関する調査は,およそ4割の学生が「家族の収入が減った,またはなくなった」と答えたなかで,そのように答えていたというのである。

 註記)たとえばつぎの記事を参照。「『退学考えている』『バイト収入ゼロ』コロナ禍,大学生の窮状」『西日本新聞』2020年5月1日,2020/4/23 6:00,2020/4/23 14:16 更新,https://www.nishinippon.co.jp/item/n/602788/

 現在,日本の大学生総数は約290万人である。これをほぼ3分の1である約100万人未満に抑えるという仮定で話をする。単純に計算するが,年次ごとに1人の学生が大学に納入する金額を100万円だとして,1年間にかかる総経費は1兆円である。

 たとえば2018年度の「文教及び科学振興費」は,一般会計ベースでは,5兆3,646億円を計上していたが,国立大学運営費交付金は1兆円ほどである。前段で出てきた1兆円という金額は,学生が納入するお金であり,別枠のものであった。ともかく,国家予算のその1兆円を倍にして運用すれば,私立大学(ただしまともな1流大学のみ想定)も含めて,相当程度にまで運営させうる資金を提供できる。

 安倍政権下,軍事予算やそのほか外交面でたいそうな無駄使いをしてきた「負の実績」を考慮すれば,それも「教育は百年の大計である」という観点も併せていえば,どうということもない金額の1兆円である。安倍晋三という「世襲3代目のお▲カ政治屋」に向かい,以上の話をしたところで,理解してもらえそうもないが,こういった考え方もある。

 要は,新型コロナウイルス感染拡大「問題」に襲われたのを転機ににして,日本の大学制度を根本から変えること(ガラガラポンする)ができないわけではない。現在,休校状態を余儀なくされている学校の授業期間を半年遅らせ,9月を新学期にしようなどといった提案も出ているおりである。国家側の重大かつ果敢な決断ももちろん不可欠であるが。

 

 「【埼玉版の記事から】「〈新型コロナ〉現場の防護具不足 深刻 済生会栗橋病院(久喜市)・長原 光院長」東京新聞』2020年4月30日,https://www.tokyo-np.co.jp/article/saitama/list/202004/CK2020043002000129.html

 安倍政権の背後から足下を襲った新型コロナウイルス感染拡大「問題」は,この国の指導者が危機管理体制が必要なときにこそ発揮すべき指導性に関して,まったく泥縄さえろくにできない「世襲3代目のお▲カ政治屋」であった〈真実〉を,いまさらにように醜悪にさらけ出している。ここに引用する記事は,関東地方「埼玉県」における問題をとりあげている。

 --新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか,〔埼玉〕県内の感染症指定医療機関で医療関係者による懸命な治療が続いている。クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号の乗船者に始まり,これまでに計十人以上の治療に当たってきた済生会栗橋病院(久喜市)の長原光院長が取材に応じ,医療防護具が不足する現場の様子や,治療を重ねて気がついた症状について語った。

 1)病院に寝泊まり

 同病院は,県北東部の中核病院。ウイルスが外部に漏れない陰圧室に,感染症患者を受け入れるための病床を4床もっている。これまで受け入れた新型コロナ患者の中心は酸素吸入が必要な中等症だが,人工呼吸器が必要な重症患者を治療したこともある。

 「呼吸器内科だけでなく,他の科の医師も通常の診療をしながらコロナの患者を診ている。結構な負担になっている」と明かす。医療スタッフ自身が感染する恐れがあり,治療に当たっては気を使う。とくに重症患者はたんの吸引などで感染の危険性が高まるため,医師や看護師のなかには,自身の家族にうつさないようホテルや病床に泊まるなど対策をとった人もいた。

 緊張が続く治療の現場で深刻なのは,防護服やマスクなどの不足。顔を覆うフェースガードは,病院職員がクリアファイルを丸めてスポンジをはるなど手作りで対応している。「医療用マスクは本来,患者ごとに毎回替えなければならないものを,患者のくしゃみやせきなどで汚染されたりしていないかを確認しつつ,何人か診てから替えたりするなど工夫して使用している」と窮状を説明する。

 2) 財政支援は必須

 〔埼玉〕県からは受け入れ病床数を20床に増やすよう依頼されている。そのためには院内感染防止の徹底が必要で,50床あるフロア全体をコロナ患者専用としなければならないと考える。その場合,残り30床は使えず,収入がみこめない。「ただでさえきびしい経営状況がさらにきびしくなり,病院がなりたたなくなる」。受け入れを拡大するためには「財政的な支援と医療用の防具の準備が必要。それがあれば,もう少しできる」と行政に支援を求める。

 補注)昨日〔4月30日〕の報道として,関連するつぎの記事があった。これは軍隊が組織的に運営する病院であり,つまり国立病院であるから,このような対応が可能であったといえなくはない。その点に留意して読む記事である。

    自衛隊病院,報道陣に公開 感染ゼロ「基本を徹底」★
 =『秋田魁新報』2020年4月30日,https://www.sakigake.jp/news/article/20200430CO0134/

 

 新型コロナウイルス感染者の受け入れを続けている自衛隊中央病院(東京都世田谷区)が〔4月〕30日,院内の一部を報道陣に公開した。これまで院内感染を疑われるケースはなく,記者会見した上部泰秀病院長は「個人防護やゾーニング(区分け)など,基本を守りつづけていくことを心がけている。終息するまでしっかり対応したい」と話した。

 

 病院によると,1月下旬以降,クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の16国・地域100人超の乗客を含め,約220人(〔4月〕27日時点)の陽性患者を受け入れた。現在も約20人が入院しており,医官約20人,看護師約65人の態勢で治療に当たっている。(引用終わり)

 

 なぜ,このように対応できる治療態勢が用意しえたかといえば,予算執行面では,とくに「私営の病院経営としてならばいつも必要である採算管理の配慮」を,念頭に置く対応がもともと不要だったからである。「自衛隊」病院の宣伝をするよりも,そうした治療態勢の準備・整備が,いかにして実現・達成できているのかという点に注視するほうが,ここではより重要な認識となる。

〔 ③ の記事に戻る ↓ 〕

 3)血栓注意を

 病院では帰国者・接触者外来も実施。これまでに約220人が受診し,検査の結果,約6%が陽性だったという。

 入院した十人以上の患者をみるなかで,気付いたことがある。血栓ができやすい状態を示す血液中の成分「D-ダイマー」の値が高い人が少なくない。このため抗インフルエンザ薬のアビガンと血液が固まるのを防ぐ経口抗凝固薬を積極的に処方し,血栓ができるのを防いでいる。

 「まだ想像の範囲だが,軽症から突然,誰にも連絡が取れずに亡くなるのは,血栓による心筋梗塞や肺塞栓(そくせん)などの可能性があるのではないか」と指摘。現在,PCR検査の結果が陽性の場合,患者の自覚症状によって症状の軽重を診断しているが,「肺のエックス線撮影と採血を診断にくわえれば,よりきめ細かな判断や治療が可能になるのでは」と提案した。 (引用終わり)

 大学の問題もしかりであるが,新型コロナウイルス感染拡大「問題」を一過性の出来事として終わらせてはいけない,まずい。台湾・韓国などがPCR検査態勢を徹底的におこない,いまではほぼ収束して状態になっているのに対して,日本はいまだに感染者発生数がマイナスになっていない。この現状は,安倍晋三政権が2020東京オリンピックの開催にこだわるあまり,もたらされた結果でもある。また,その後におけるもろもろの対応は非常にゴテゴテであって,この国が必死になって「コロナウイルスとの戦い」をおこなっている構図を感じさせない。

 例の「8割自粛」という標語がかかげられているが,休業自粛を裏打ちするために休業補償がなされないまま,そのように叫ぶだけでは実効性はまともに発揮できない。国民たちに対して義務だけを “空気のように押しつける” だけで,権利(補償)をまともに与えないこの国である。それでいて,自粛に徹しきれるわけもない国民たちに対して,自粛に完全にしたがわないと,私刑的な罵詈雑言が投じられている始末である。欧米諸国のやり方とは大きく異なっていて,国民たちの「生命と財産」などないがしろにしても,平気でいられるのが安倍政権である。

 国民1人頭,10万円支給すると決まったけれども,早くても今月(5月)も下旬になりそうだという声も聞こえる。自殺者が増えてから慌てても遅い。安倍政権の無能・無策ぶりは,いつまでも満開(?)状態のまま暴露されつづけている。ということで,つぎの ④ を紹介して本日の記述全体を終了させたい。


 「絵に描いたような無能・無策政権」『日々雑感』2020/04/29 05:49,http://okitahidehito.blog.fc2.com/blog-entry-8821.html

 新型コロナウイルスに感染し,軽症・無症状者として自治体が用意したホテルや自宅で療養している人たちに向けて,厚生労働省は〔4月〕28日,重症化の前兆となる「緊急性の高い症状」を自分でチェックできるリストを公表した。容体が悪化した場合に,いち早く医師の診断につなげるのが狙いだ。

 感染者の増加で病院のベッド不足が懸念されるなか,同省は重症者の治療を優先するため,軽症者らはホテルなどの宿泊施設や自宅で療養することを認めてきた。だが埼玉県で今月,感染者の男性2人が自宅療養中に容体が悪化し相次いで死亡。これを受け,同省は子どもの世話が必要など事情がある人のみ自宅療養を認め,基本は宿泊施設に移行してもらう方針に転換した。

 宿泊施設や自宅での療養中は,感染者や家族が自分たちで症状の変化に気づくことが重要となるため,今回のリストでは緊急性の高い13症状を例示。「唇が紫色になっている」など外見の特徴や,「横になれない。座らないと息ができない」など息苦しさをチェック項目に挙げている。

 同省は,該当項目が一つでもあれば,宿泊施設なら常駐の看護師らに,自宅療養なら保健所などに感染者から相談してもらい,それぞれ医師の診察につなぐ体制を整える(以上「読売新聞」より引用)

 厚生労働省は〔4月〕28日,新型コロナウイルスに感染した患者の重症化の前兆となる「緊急性の高い症状」を,自分でチェックできるリストを公表したようだ。それによると緊急性の高い13症状を例示。「唇が紫色になっている」など外見の特徴や,「横になれない。座らないと息ができない」など息苦しさをチェック項目に挙げているという。

 感染患者のうち軽症者は主として自宅療養しているが,医療従事者の経過観察ができないため重症化のシグナルを見過ごしかねない。実際に「埼玉県で今月,感染者の男性2人が自宅療養中に容体が悪化し相次いで死亡」している。武漢肺炎の特徴は容体が急変することのようで,しかも肺炎のみならず多臓器に病変が生じて死に至るようだ。

 病床が足りなくなる可能性があるから,ということで自宅療養を感染患者に強いている現状は,ある意味で医療崩壊というべき状態だ。医療機関が感染患者の実態を把握できる「隔離施設」に入っていただく方が,感染拡大防止の意味でも重要だ。

 対症療法しか現在では打つ手のない武漢肺炎の治療では,医療官権者が絶えず経過観察できる態勢こそが必要だ。政府・厚労省はなるべく予算をかけない「省エネ」対策に終始しているが,それでは蔓延させたままいたずらに日々を過ごすだけだ。

 しかも,非常事態宣言の発令で医療従事者への感染防止グッズが充分に補給されているのか,国民に対して店頭にマスクが充分に供給されているのか。そうした緊急措置の伴わない緊急事態制限とは「お遊び」でしかない。

 なぜマスクの買占め業者を叱り,買占めたマスクを隠匿している者の1人として摘発しないのか。中共政府に対して邦人企業で製造したマスクの工場からの出荷を禁じてマスクを接収するのか,それは自由貿易に反する,と抗議しないのか。それとも安倍自公政権中共政府にモノのいえない特殊な関係にあるのか。

 ダラダラと自粛要請を続けることにより,かえって予算が膨らむことになるが,政府・厚労省は目先のことに囚われているようだ。厚労省は13項目のチェックリストを発表したが,それを誰が実施し,当て嵌まる項目があったとして誰がどのように対処するのか,という段階まで踏みこまなければ意味がない。

 このブログ〔『日々雑感』〕では,1月の段階で春節で大量の中国人観光客が来日するのを空港や港を「閉鎖」して入国を防げと書いたが,安倍自公政権はなぜかおざなりの「体温感知器」の防疫でお茶を濁した。そして「検査と隔離」を実施すべきとなんども書いたが,政府・厚労省は検査の拡大をおこなわず,自宅療養という隔離以前の手法で対応してきた。その結果,ダラダラと全国の小・中・高を休校させている。当事者能力のない政権が居座ると「こうなる」と絵に描いたような無能・無策政権だ。これでも国民は安倍自公政権を支持するのか。(引用終わり)

 「休学の話題」が出てきたところで,本日の記述を終える。新型コロナウイルス感染拡大「問題」は,2020年2月から日本社会を猖獗しており,経済社会の機能をいちじるしく停滞させている。だが同時に,この安倍政権の体たらくぶりを,どこまでも徹底的にさらけ出す契機になっている。

 「こんな政権でいいのか」? そのように,ブーイングしようとするその人たちの声音からして,それほど大きく聞こえてこない「この国」は,まことに「不思議の国」である。「あんな首相に」この非常時が任せられないことは,一目瞭然である。アベノマスクの1件では,またなにやら銅臭がするところからしても,どうにも救いがたい「亡国・国難の総理大臣」であった。

 安倍晋三が力説していた「戦後レジームからの脱却」とは,彼流に仕立てた “国家滅亡への近道” への誘導を意味していたとしか考えられない。

----------------------------