安倍政権の無能と無策,厚生労働省内の利権的な不作為はPCR検査体制の実施を妨害,国民たちのなかから犠牲者を出した

新型コロナウイルス感染拡大「問題」,とくにPCR検査体制に関した安倍政権の失敗(学?)的な観察,厚生労働省の利権的な構造体質が,今回におけるコロナウイルス対策を決定的に妨害
「8割外出自粛説」という「観念論的な医療統計学」による公衆衛生問題に関した行動指針の提唱は,ガラクタ同然の役立たずであって,それどころか,新型コロナウイルス対策としては逆機能の悪作用しか残していない


  要点:1 政治家としての基本能力を完全に欠いた首相が「緊急事態宣言など下す立場に居た」ことじたい,この国にとって最大に不幸な出来事であった

  要点:2 各国の首脳たちは,この新型コロナウイルスとどのように対峙してきたかについて,日本の首相と比較はしないほうがよい

  要点:3  「国恥・国辱」の「世襲3代目のお▲カ政治屋」の重大かつ致命的な弊害が,全面的に開放されてしまった不始末


  新型コロナウイルス感染拡大「問題」に対する公衆衛生社会学的解説

 最初に,橋爪大三郎稿「疫病の文明論(3)緊急時の社会学,問われる公益性と補償 必要な措置,政府のみ可能」『日本経済新聞』2020年5月6日朝刊24面を紹介する。

 橋爪大三郎はしづめ・だいさぶろう,社会学者)のこの寄稿は,新型コロナウイルス感染拡大「問題」を考えるために必須である基本的な概念・枠組を教示している。われわれは,今年に入ってそれもとくに2月以降,日本の政治・経済・社会・文化に大混乱を惹起させているこのコロナウイルス問題についてとなると,毎日増えていく感染者数(死亡者数)の関心に気をとられている。

 とはいえ,新型コロナウイルス問題の本質・歴史・対策は,いったいどのように,基本から考えればいいのか,この種の問題意識からはだいぶ離れたまま,日々の生活に追われてきた感がある。そうしたなかで,この橋爪の説明は,問題の基本・根柢を認識するうえで,たいへん勉強になる。

 a) ヨーロッパ人のもたらす疫病に新大陸の人びとは苦しんだ。ラス・カサス『インディアスの破壊についての簡潔な報告』(岩波文庫)は,400年前の壊滅的な被害を記録する。レヴィ=ストロース『悲しき熱帯』(中公クラシックス)も,感染症の悲惨を描く。 

 パンデミックは繰り返す。100年前はスペイン風邪。その再来が新型コロナだ。当時より医療も情報も整っている。どう戦うか。政府の役割が大きい。人員と予算と権限がある。必要な措置がとれる唯一の組織だ。

 コロナウイルスじたいは自然現象だ。科学や医療が扱う。それに対し,ヒト ⇔ ヒトの感染は社会現象。公衆衛生の問題で,政府の介入が有効だ。

 新型コロナ感染の拡大は緊急事態だ。市民を守るため政府は行動する。その優先順位はなにか? まず,人命だ。救える命を1人でも多く救う。社会的距離をとり,外出を厳しく規制し,医療の態勢も整える。

 これらは痛みを伴う。商店を閉じ工場を止め,私権も制限する。でも実行する。公益のためだ。

 b) 公益(人命を救う)→ 措置(政府の介入)→ 損害(コスト)。損害は一部に集中しがちだ。公益のため生じた損害を,社会全体で負担しよう。つまり補償だ。それが正義で感染防止のカギ。政府はこれを柱にすべきだ。

 緊急事態に政府が必要な行動をとるのが,国家緊急権である。法の定めによる場合も,法を超える場合もある。伊藤博文は『憲法義解』(岩波文庫)で,緊急勅令と憲法の関係を明確に述べている。帝国憲法には緊急時の備えがあった。

 パンデミックは緊急事態。でも地震や戦争とは違う。電気・水道・ガス・電話などライフラインは無傷だ。住居も物流も確保できている。戦いは家にじっとしているだけでよい。企業や学校が休みでもひたすら我慢だ。

 接触を8割減らしましょう。ライフラインは動かすので,ほかは9割減以上でないと8割にならない。でも働かないと,生計が立たない。そこで所得を補償して家にいてもらう。政府の措置で生まれた損失だからだ。

 補償は,景気対策でも経済の話でもない。公益のため払ったコストへの埋め戻しにすぎない。そして補償はすぐ払うべきだ。ただ財源を,税金で集めている暇がない。ならば赤字国債でまかなおう。巨額でも仕方ない。それで生活でき,企業が破産しなければ,将来の回復への道筋がつく。

 c) こんなことは経済学の教科書のどこにも書いてない。でも欧米各国は,こうした政策を素早く打ち出した。わかりやすく市民に説明もした。パンデミックにどう対応し,措置をとるのか,日ごろから研究済みだった。

 補償は正しいのか。戦争被害は補償しない。自然災害も補償しない。古代からの慣習法だ。だが,外出制限は政府が決定したから政府の責任だ。公益のために憲法上の権利を制限し,損害もある。補償するのが正しい。

 政府には感染症や経済の専門家が付いている。でも専門家は専門しか分からない。政府は感染と経済を両方踏まえつつ,公益を守る。日ごろの哲学の素養がものをいう。

 財政規律が大事で赤字国債はよくない。平時の原則である。緊急時は別だ。市民と企業が生き延びなければ明日はない。外出制限は厳格なほど短くてすむ。補償もする。経済の話はその後だ。(引用終わり)

 いまの為政者の耳には,相当に痛く響く指摘・分析・観察が書かれている文章である。とくに「政府には感染症や経済の専門家が着いている。でも専門家は専門しかわからない。政府は感染と経済を両方踏まえつつ,公益を守る。日ごろの哲学の素養がものをいう」と書いている段落が,ひどく応える中味になっている(ただし,そこまで理解できる知力があれば話だが)。

 政府に着いていた専門家会議を構成する医療研究者たちは,今回における新型コロナウイルス感染拡大「問題」に対峙していながら,まったく役立たずであった。というか,逆に機能してきたかのように国民たちには受けとれた。

 ところが,安倍晋三は肝心な立場にある首相として,この専門家会議の面々の本質(その本来の力量不足,個別官庁のための利害優先という狭隘な立場)をみぬけず,ただそのいいなりになるような,この会議の利用の仕方しかできていなかった。

 問題の焦点は「8割外出自粛説」の空理空論性に向けられるよりも,むしろ,PCR検査の本格的な実施をひどく渋ってきた「彼ら:厚生労働省」の立場に向けられるべきであった。換言すると,同省が  “自分たちの利権的な狭い関心” を最優先していたところに,観過できない問題があった。

 いいかえれば,新型コロナウイルス感染拡大「問題」への取り組みを遅滞させ,混迷させ,不要に拡大させる根源の原因になっていたのは,政府・厚生労働省,具体的には国立感染症研究所という官僚組織体の反動的な害悪性であった。

 安倍晋三という日本の首相が,社会学橋爪大三郎が書いた前段のごとき文章の意味を,まともに理解できるとはとうてい思えない。つまりは,その程度でしかありえない「新型コロナウイルス感染拡大」に対する采配ぶりを披露してきた。やることなすことのすべてが後手後手で,焦点ボケであった事実は,「世襲3代目のお▲カ政治屋」としての実力不足・能力不在に原因するとはいえ,日本の国民たちにとってみれば,これほど迷惑な不安要因はほかにはない。

 そろそろもういい加減に「安倍降ろしの冷風」が自民党内には吹きはじめている。そういう噂もたっている永田町の政治事情もあるなかではあるが,それよりも新型コロナウイルス感染拡大「問題」をめぐる最新の事情を,あらためて本日〔5月6日〕なりに考えてみたい。本日の『日本経済新聞』から『朝日新聞』に視線を移して,議論していきたい。

 

 「PCR相談,目安変更へ『37.5度以上』削除を検討」朝日新聞』2020年5月6日朝刊

 この記事の見出しをみた瞬間,とっさに “いまごろなにをいっているのか” という印象を抱いた。安倍晋三が首相として緊急事態宣言を4月7日に出してから1ヶ月も経った時点にもなって,いままで非常に評判の悪くて,新型コロナウイルスの「予防対策に対して妨害要因」になっていた,つまり「PCR検査を受診できる基準にまつわるきびしい制限」を,いまごろ緩和するとかいっている。もう完全に遅いに失した「変更」である。

 ともかく,この記事を引用する。 

 --新型コロナウイルスに感染したかどうかのPCR検査の必要性を判断する相談センターへの相談の目安について,政府の専門家会議は,重症化しやすい人で風邪症状が「2日程度」続いた場合としていた日数をなくし,すぐ相談しやすいよう変更する方針を固めた。〔ついこのあいだまでは〕「37.5度以上」が4日以上としていた発熱の目安も削除を検討している〔という〕。

 専門家会議が2月17日に示した目安では,軽症者が医療機関に殺到して医療崩壊するのを防ぐといった狙いから,風邪の症状や37.5度以上の発熱が4日以上続いた場合に帰国者・接触者相談センターに相談することとされた。高齢者や基礎疾患がある人ら重症化しやすい人についても,2日程度続いた場合だった。

 補注)この條件「風邪の症状や37.5度以上の発熱が4日以上続いた場合」という条件が置かれていたために,もしかしたら不要に命を落したのではないかと疑われていい「人たち(犠牲者)」がいた。

 芸能人の実例を上げれば話が通じやすいが,志村けん岡江久美子の死亡は,素人の目にも,その条件の適用に関連して判断ミスがかかわっていたと疑われている。となると,有名人でない庶民たちのなかにも,志村や岡江のように命を奪われた人たちが,ほかにも大勢いた可能性がある。

 政府・厚生労働省は「政権の仕事が〈国民たちの人命や財産〉を護る」とい基本的な任務である点を,よく認知できていない連中の集合体であるかのようにしか映らない。それが,いまごろにもなって,つまり完全に手遅れの時期になってから,その「PCR検査が受けられる条件」を緩和しようといいはじめた。

〔記事に戻る→〕 しかし,軽症と判断されて自宅で待機していた感染者が亡くなったり,検査を受けられない人が相次いだりして厳しく批判されたことから,見直しを議論。厚生労働省が専門家の意見をまとめ,連休明けにも公表する方針を決めた。

 見直し案によると,重症化しやすい人や妊婦らは発熱があればすぐに相談していいほか,人によって平熱は異なると批判されていた発熱の目安「37. 5度」も削ることを検討。息苦しさや強いだるさ(倦怠〈けんたい〉感)にくわえ,高熱が出た場合もすぐに相談できると明記する。

 補注)今朝の報道では,「発熱の目安:37. 5度」という条件を外すことも決められたらしい。われわれはふだん,具合が悪くなったら病院に受診にいくのがふつうである。ところが,今回における新型コロナウイルス感染拡大「問題」に関しては,すでに大きな社会医療問題になっていた最中であるにもかかわらず,厚生労働省の基本方針は感染の疑いをもつ人びとの95%(以上)は,そのための検査から排除してきた。

 保健所の現状能力ではわずかの件数のPCR検査しか対応できないとか,民間の医療機関では当初,PCR検査をやらせたがらないみたいな制約が置かれていた。しかも,現実には感染者数がどんどん増加していく最中に,臨床的な姿勢にもとづく治療体制を展開しようとはせず,研究用にそのPCR検査を好きな分(できる分)だけならやるといった政府・厚生労働省側(⇒感染症研究所)の基本姿勢を,変更するそぶりさえみせていなかった。

 そうした本末転倒の対応姿勢であったがゆえ,実際には感染が拡大していくばかりであって,なんら有効な治療対策はなされていなかった。すなわち,新型コロナウイルス感染拡大に備えて予防し,治療するために必要不可欠の関連情報すらまともに収集できないまま,いままで多くの時間を無駄に費やしてきた。

〔記事に戻る→〕 厚労省によると,いまの目安を決めた2月はインフルエンザの流行時期で症状の区別が付きにくかったが,インフルの流行期を過ぎ,新型コロナウイルスは軽症と思われていても急に重症化するといった特性が分かってきたことなどから見直すことにしたという。(引用終わり)

 この最後の段落に示された厚生労働省側のいいわけは,台湾や韓国が新型コロナウイルス感染拡大「問題」に対して,実際には当初からどのように適切かつ果敢に対応してきたかについて,その事実を本当にしらなかったのがこの官庁組織だとしたら,あってもなくてもいいような省庁=厚生労働省だ,という結論になる。

 以下では,『朝日新聞』朝刊に議論の材料を求めていくが,その前に,つぎの ③ に紹介する文章を参照しておきたい。

 

 「非常事態体制継続の安倍首相,専門委員会は言い訳ばかり。国民は本気で怒らなくてはならない」『かっちの言い分』2020年05月05日,https://31634308.at.webry.info/202005/article_5.html?1588654446

 国民は4月からなんども延長で安倍首相から一方的に我慢を強いられている。意気揚々と発表したマスク2枚配布も,別に欲しくはないが,いまだに来ない。もうマスクは出回ってきた。あれだけカビ,汚れをしらされれば付ける人はほとんどいない。ほとんどの閣僚が付けていないことが滑稽である。

 安倍もバカにされたもんだ。このマスクも例によって2社の企業は随意契約で,とても政府ご用達の企業とも思えない。またまた疑惑満載である。なぜか,安倍が肝入りするものはあとで泉のごとく疑惑が湧いてくる

 記者会見のなかで,ある記者が随分長くきびしい突っこみの質問をしていた。安倍首相の特徴は想定外の本質を突いた質問をされると,無意識に目が左右にキョロキョロ動く。その質問は,総理は2万件のPCR検査をやると2月からいっている。加藤大臣も最近 1. 5万件の能力はできてきたといっている。

 しかし,実態はやっと8000件 / 日程度である。総理はやるやるといっているが,本当にやる気があるのか(?)というものだった。最近能力が上がってきているのは医師会が政府に任せていては大変だと,危機感をもってやり出しているからだ。

 安倍首相は「やる気がなかったわけではまったくない」,しかし,「なぜか目詰まりしてでき来なかった」と述べた。こんなことを堂々と国民の前でいえたものだ。まるで子供のいいわけである。これではとうてい国民の命を守ることはできない。これは勝負事のように相手が居て「やる気があったが勝てなかった」という話ではない。

 補注)もっとも,安倍晋三は「子どもの〈裸の王様〉」である総理大臣だから,この段落の指摘は当たっていない。もちろん,厳密(?)には的中している批判であるけれども,ともかく「こんな世襲3代目のお▲カ政治屋」が,いまだにこの国の総理大臣をやっている。冗談にもホラー話にも,そのどちらにもなりえない深刻な現実である。いまや,この首相は,日本という国にとって邪魔者あるいは障害物,もっとはっきりいえば害悪物である。

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〔記事に戻る→〕 首相がやらせるのは忖度官僚である。また自治体であり,医師会などである。また,政府がお金をまったくもっていなくて,やれやれといわれているものではない。金がなければできないが,お金はたんまりともっている。自分の意志でいかようにも使える。

 ふだん反対する野党もどんどん金を出して検査しろといっている。なんの障害もない。それでできないのは単にやる気がないか,無能だからである。まるで新興宗教のような「敬意・感謝・絆あればウィルス克服できる」と〔安倍晋三が〕御託を述べても,コロナには通じない。

 尾身〔茂;専門家会議の副座長〕のいる専門会議もその実力が破綻してきた。尾身は,国内のPCR検査数について「必要な人が受けられるようにするべきだと専門家はみんな思っている。いまのままでは不十分」などと〔他人事のように!〕語ったという。

 そもそも,37. 5℃以上が4日間は電話するなと決めたのは,専門委員会ではないか。これをなんどもNHKのニュース,担当記者にいわせた。岡江氏らの有名人がPCR検査を受けれず死んで世論に批判が多くなったら,今度は4日間は勝手に国民が誤解したといい出した。まったく,恥も外聞もなく,学者の名折れである。

 ふだんの安倍政治は,忖度政治でなにやっても騙し,あることもないことにできる。しかし,コロナだけは安倍にはいっさい忖度しない。台湾,韓国,ドイツ,ニュージーランドのような賢い top でないと勝てないのだ。国民は本気で怒らなくてはならない。なら,つぎの選挙ではおのずと選択は分かるだろう。(引用終わり)

 この日本国の首相である安倍晋三は,2012年12月26日に民主党から政権を奪還してから7年あまりが経った現時点で,いつもの野党勢力とはまったく性質を異ならせる「新型コロナウイルス感染拡大」の「攻撃問題」に対面させられる否や,自身の〈政治屋でしかなかった本質〉をもろに暴露させてしまった。しかも,こういう事態に至ったときにこそ,本当に助けてくれるはずの同僚の政治家はいなくなっており,また,配下にいたはずの国家官僚補佐官も,そろそろ雲隠れしそうななりゆきである。

 

 アメリカの様子】「NY州,検査済み100万人超え 新型コロナ」朝日新聞』2020年5月6日朝刊6面

 米ニューヨーク(NY)州のクオモ知事は〔5月〕4日,新型コロナウイルスの検査を受けた州民が,100万人を超えたと発表した。人口1950万人の5%超にあたり,クオモ氏は「他州や他国と比べてももっとも多い」としている。

 NY州によると,4日までに検査を受けた州民は,100万7310人。このうち31万8953人(31. 7%)の感染が確認され,死者は1万9415人( 1. 9%)に上る。クオモ氏や各国の公開データによると,国民の検査割合は,

   イタリア  3. 5%  カナダ  2. 3%  米国  2.  2%
   韓 国   1. 2%  日 本  0. 15%

などとなっている。

 クオモ氏はかねて,大規模な「検査」⇒ 感染者が誰と接触したかの「追跡」⇒ 感染者や接触者の「隔離」の3段階が重要だと指摘。4日の会見でも,「1カ月当たり住民の3%が検査を受けること」が各地域における経済活動の再開の条件だと訴えた。

 日本はなにをやってきたのかという印象を,この記事からも受けるはずである。多分,間違いなく……。米NY州のクオモ知事だけでなく,とくに欧米各国の国家指導者たちは,日本の彼に比較する余地もないくらい,必死になって対応してきた。

 ここでは,その彼らの指導性発揮ぶりはいちいち紹介できないので,つぎの分析を参照しておきたい。

 リップシャッツ・信元夏代「〈相手の心と頭を動かすプレゼンは「ストーリー」で決まる〉リーダーの技量が問われる『危機対応スピーチ』」2020年04月21日https://project.nikkeibp.co.jp/atclhco/012400039/041500016/?P=1〔~ /?P=4〕は,各国指導者の対応姿勢をめぐり,こう解説していた。

 「新型コロナウイルスパンデミック(世界的流行)によって刻一刻と状況が変化するなか,各国・各都市・各業界のリーダーたちが大胆かつ的確な判断を下さなければならない厳しい局面に立たされています。今回は,そんなリーダーたちがおこなった,お手本となる危機対応スピーチをいくつかとりあげて解説します」として,

 a)「『エトス』『パトス』『ロゴス』の3つを盛りこむ-ニューヨークのアンドリュー・クオモ州知事

 

 b)「ワンビッグメッセージで伝える-ドイツのアンゲラ・メルケル首相」

 

 c)「距離を最大限縮めてメッセージを伝える-シンガポールのリー・シェンロン首相」

 

 d)「国民と同じ目線で寄り添う-ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相」

 

 e)「低コンテクストで端的に伝える-英国のボリス・ジョンソン首相」

の5名の会見・演説をとりあげ,解説していた。そして,以上の会見・演説をそれぞれ紹介したのち,冒頭と末尾の段落でつぎのように論述していた。

 新型コロナウイルスパンデミック(世界的流行)によって刻一刻と状況が変化するなか,各国・各都市・各業界のリーダーたちが大胆かつ的確な判断を下さなければならない厳しい局面に立たされています。今回は,そんなリーダーたちがおこなった,お手本となる危機対応スピーチをいくつかとりあげて解説します。

という内容を受けて,それらを具体的に説明したのち,こう結論していた。

 この6分強のスピーチの間中,一つひとつの言葉にはしっかりと重みがあり,聞き取りやすいスピードと間も使い,さらに座っていながらも,強調すべきところでは机の上で組んだ手を自然に動かしながら,効果的にメッセージを強調しています。危機対応スピーチのお手本を一つだけ選ぶなら,私は迷わず,このジョンソン首相のスピーチを選びます。

 だが,以上の各国首脳の話法ぶりに対して,5月4日に緊急事態宣言の延長を語った安倍晋三首相の語り口に対しては,「政府の『顔』 見えない新型コロナ政策 原稿を延々と読む首相会見の『違和感』」註記)を抱くなどと,酷評しか与えられていなかった。

 註記)『毎日新聞』2020年5月5日 18時00分,最終更新 5月5日 22時13分,https://mainichi.jp/articles/20200505/k00/00m/040/134000c

 それでいて,安倍晋三君の頭のなかは「改憲したい,したい……の感情」ならば,脳みそが破裂しそうな状態になって詰まっていた。それゆえ,当面している現状,この緊急・重大な政治課題にどのように対峙し,即応して,具体的に処理していくかという点に関して彼の立場は,完全にブレまくり,ズレまくっている。まったく使いモノ(者)にならない日本国の総理大臣になっている。


 【いまごろ,このような議論】「PCR検査体制,地方から異議 山梨大学長『行政機関に依存,無理筋』」朝日新聞』2020年5月6日朝刊20面 

 国の専門家会議が,対応が不十分だったとようやく認めた新型コロナウイルスのPCR検査体制。緊急事態宣言の解除に向けても,検査による現状把握は重要なカギだ。体制強化が進まず,検査を受けるべき人が受けられない状況に異を唱えてきたのは,現場をつかさどる地方のリーダーたちだった。

 厚生労働省の発表によると,4月下旬の国内のPCR検査件数は1日約7千~9千件ほど。安倍晋三首相は4月6日に,PCR検査の実施能力を1日2万件に増やす方針を示したが,約1カ月たっても一度も1万件に達していない。

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 専門家会議の尾身 茂副座長は,5月4日の会見で「確かに日本はPCRのキャパシティーを上げるということが,他の国に比べて遅れた」と認めた。〔これに対して〕「PCR検査の不十分な体制は日本の恥」〔とまで決めつけて〕。現状を強く批判し,検査拡充の必要性を直言してきたのが山梨大の島田真路学長(68歳)だ。

 補注)舛添要一は10年以上も前に,尾身 茂と会ったときにえた印象を,つぎのように語っていた。

   ★ 全く他人事で責任意識のかけらもない(舛添要一,5月5日のツイート)★

       =『BLOGOS』2020年05月05日 09:02,https://blogos.com/article/455361/

 

 会見で尾身氏がPCR検査が遅れている理由を縷々述べたが,まったく他人事で責任意識のかけらもない。2009年に厚労大臣として私が新型インフルに対応したときも,専門委の座長がこの人物。対応に不信感をもった私は,若手研究者で大臣直属のチームBを作り,その意見を採用して早期の感染終息に成功した。

 

 レムデシビルの最大の問題点は,供給量が足りないことだ。アメリカ製なので,日本向けの出荷は十分ではない。やはり国産のアビガンの早期承認だ。世界中が待っている。もちろん副作用には要注意だが,臨床の現場からは早期投与で効果があるという例が多数挙がっている。

〔記事に戻る→〕 島田学長は2002~03年の重症急性呼吸器症候群(SARS)流行のさい,同大医学部付属病院の感染対策委員長を務めた。今回の新型コロナに対して,付属病院はPCR検査の態勢を強化。クルーズ船ダイヤモンド・プリンセスの乗客ら計14人の患者を受け入れてきた。

 島田学長はみずからの経験を踏まえ,医療関係者向けのサイトに3~4月に,「山梨大学における新型コロナウイルス感染症との闘い」と題した論考を計5回執筆。大学のホームページにも掲載した。

 検査が増えない理由について学長は,国の専門家会議が2月下旬に「限られたPCR検査の資源を,重症化のおそれがある方の検査のために集中させる必要がある」と表明したためとし,「検査上限を世界水準からかけ離れた低値にとどまり続けさせる大失態を招来したと強く批判した。

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 「3月下旬まで(自治体の)地方衛生研究所・保健所が検査をほぼ独占してきた」とも指摘。最前線で闘いつづけている職員たちに謝意を示しつつ,週末に検査件数が下がっている事実も挙げて,行政機関のみに依存する体制を「そもそも無理筋」とした。

 早急な立て直しのためには,民間検査会社と地方の国立大学が大きな役割を担うべきだと主張した。さらに「未曽有の事態のいまだからこそ,権威にひるまず,権力に盲従しない,真実一路の姿勢がすべての医療者に求められている」と訴えた。

 島田学長は4月30日の朝日新聞の取材に対して,国内の現状について「市中感染が広がり,原因不明で亡くなっている人もいるが,検査が少ないので実数がつかめていない」と指摘。「感染の疑いのある人が広く検査を受けられていない。国が検査を増やすと決めたなら,方針を変えたとはっきり自治体に伝え,マインドチェンジをする必要がある」と述べた。

 ※「受診,我慢しないで」 和歌山知事 ※

 「37.5度以上の熱が4日以上続くなら相談を」。受診について国が2月から示してきたこの目安に異を唱え,積極的にPCR検査を実施することで早期発見をめざしたのが和歌山県だ。

 仁坂吉伸知事は,県内の病院などで感染が確認された2月から,みずから記者会見に対応。「早期に発見し,感染が他に広がらないようにすることが大事。家にいることで,二次感染をさせてしまう可能性や重症化する可能性もある」と指摘し,自宅待機を推奨する国の姿勢に異論を唱えてきた。

 県では,発熱などの症状がある場合は,早めにかかりつけ医などを受診するよう呼びかけている。県内で確認された感染者は4日までに62人。PCR検査を受けた人は約3200人で,陽性率は約 1. 9%にとどまる。

 和歌山県では4月28日,自宅で死亡した60代男性について,死後に感染が確認された。死亡の約1週間前から親族に体調不良を訴えていたが,医療機関への相談はなかったという。仁坂知事は「『4日間は自宅待機』という情報をもとに受診をしなかったのならば,(方針を決めた専門家や,方針を流し続けたメディアに対して)怒りを感じる」と訴え,「受診を我慢しないでほしい」とあらためて呼びかけた。(引用終わり)

 安倍政権下,厚生労働省の基本方針は「新型コロナウイルス感染拡大」に対する対応・措置を,国民たちが死のうが死ぬまいが,自省の利害・立場が墨守できればそれでいい,といった思考方式の重大問題が浮上していた。しかし,この重大問題が安倍晋三という総理大臣の頭のなかに入りこんで意識される余地が,まったくなかった。

 それにしても,財界側の動きがあいもかわらずにぶい。一部には新型コロナウイルス感染拡大「問題」に対して積極的に対応する姿勢をみせている会社もないわけではないが,せいぜいこの程度である。肝心なときに存在感の薄い経済団体である。

 長期に継続してきた安倍政権のもとで,もっとも利益をえていてのが大企業体制ではなかったか? 内部留保だけはたっぷり蓄えてきていながら,このときにこそ「世間に対する恩返しをする」好機を迎えているにもかかわらず,その意志などほとんどないかように映っている。

   経団連,経済活動再開〔5月〕14日めど指針 ★
    =『日本経済新聞』2020年5月6日朝刊5面 =

 

 経団連の中西宏明会長は〔5月〕5日,新型コロナウイルスの感染を防止しつつ経済活動を段階的に再開する政府方針について,14日をめどにガイドラインを出すと記者団に語った。経団連は政府に協力し,事業や雇用の継続になにが必要なのか調査している。外出自粛が経営に与える影響は企業によって異なるため「各業界に応じた指針も急いで作成している」という。

 

 同日,中西氏と経済同友会桜田謙悟代表幹事,日本商工会議所の三村明夫会頭は西村康稔経済財政・再生相とテレビ会議を開いた。政府が緊急事態宣言を31日まで延長すると決めたことについて,3団体はそれぞれ理解を示した。

 

 桜田氏は,国民1人10万円や中小企業への上限200万円の給付金について「もっとオンライン申請を活用できるよう簡素化してほしい」と求めた。三村氏は雇用調整助成金について「許可件数が少ない」と課題を示し,前払いを認めるよう要望した。

 『日本経済新聞』朝刊「社会」面には,「政府や大学,生活困窮の学生に支援  米・カナダには規模見劣り」との見出しになる記事も出ていた。日本経団連はこの記事と,けっして無縁な団体ではあるまい。企業の人材は,いったいどこから主に要員してきているのか。

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   ◆「この国にもう余力はない」 賃金8割支給がイギリスにできて,日本にできない理由 ◆
 =『AERA dot.』2020/5/6,https://dot.asahi.com/aera/2020050100007.html(『AERA』2020年5月4・11日号)=

 「寛容の精神で企業の内部留保を休業補償の財源に」水野和夫さん(67歳)経済学者〔の意見〕※

 

 いまだに政府は人命よりも経済重しと考えている。そう感じます。営業自粛を要請しながら休業補償しないのは,感染する以前に死んでくださいといっているようなものです。

 

 補償のための財源は,企業の内部留保金で対処できます。財務省の法人企業統計によると,国内企業の内部留保金は約460兆円。そのうち,本来は従業員が受けとるはずの,労働生産性の上昇に応じて支払われるべき賃金分など「過剰」に蓄積したものが,約130兆円あります。うち,すぐに現金にできる資産である現金・預金,短期有価証券などが約70兆円。これを取り崩して使うんです。

 

 本来なら各社の従業員に還元すべきものですが,いまは日本の危機ですから,「日本株式会社の内部留保金」として国内の全雇用者6千万人に分ける。1人あたり約100万円。足りなければ,第2弾として残りの60兆円も用意しておけばいい。

 

 企業経営者は「まさかの時に」と内部留保金を積み上げてきました。いまの日本の状況は「まさかの時」に該当しないのか。政府が頼りないいまこそ,「財界総理」として経団連がまず,呼びかけるべきです。

 いま現在でも,安倍晋三政権は新型コロナウイルス感染拡大「問題の情況」を正確には把握できていない。日本全体におけるPCR検査の件数(その総数の合計)すら全然,集計できていない。この事実がなにを意味するかはいうまでもあるまい。この首相は,新型コロナウイルスとの戦いなど,もともとできる力をもちあわせていなかった。だから,厚生労働省のPCR検査を最低限にしか実施させないデタラメ路線も放置してきた。

 首相,失格,いまさら指摘するまでもない事実。

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