読売新聞社・朝日新聞社・日本経済新聞社・毎日新聞社はなぜ,2020東京オリンピックにオフィシャルパートナーとして協賛するのか

2020東京オリンピックの「オフィシャルパートナー」になっている朝日新聞社の『朝日新聞』朝刊「スポーツ欄」に掲載されていた,このオリンピックの開催に疑問符を付けたデーブ・スペクターは「止めたらいいとはいわずに,その規模を縮小したらいい」と意見する。だが,その種の意見を受け入れる態度が,東京五輪組織委員会側にあるとは思えない

『ショーほど素敵な商売はない』(There's No Business Like Show Business,1954年,アメリカ合衆国ミュージカル映画)をもじっていえば,「オリンピックほど〈感動詐欺〉の商売で儲かる素敵な国際大運動会はない」と表現できる。だが,それは五輪貴族たちの立場にだけ通用する「たとえ:オイシイ文句」である

 

  要点:1 新型コロナウイルス「問題」でこけた2020東京オリンピック開催予定

  要点:2 このさい,オリンピックという国際大運動会,五輪貴族のために開催される「感動の押し売りのための世界運動大会」は止めたらよい

  要点:3緑のたぬき」こと,変じて「コロナのたぬき」に化けぬけた小池百合子都知事は,この2020東京オリンピックが1年延期が決まった3月24日以降,五輪についていっさいといっていいほど,なにもいわなくなり,いかにも新型コロナウイルスの問題に専念しているぞ,みたいな自己演出にはげんできたが,

 そもそも1週間から10日でも早く,少しは本気を出してコロナの問題に対応していれば,都立墨東病院で多数の死者を出すような結果:失策は起こしていなかった。目先だけの利害状況・個人の関心だけで言動をチョロチョロと動揺させまくる「この都知事の演技」に,幻惑されてはいけない,とくに東京都民たちは……

  要点:4 デーブ・スペクターはなにをいいたかったのか

 

 「『東京2020オフィシャルパートナー』に朝日新聞社  多面的に大会支援」http://www.asahi.com/shimbun/release/2016/201601222.html 参照。

 朝日新聞社東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(東京2020)について,公益財団法人東京オリンピックパラリンピック競技大会組織委員会と「東京2020オフィシャルパートナー」の契約を結びました。契約期間は1月21日から2020年12月31日までの約5年間です。

 補注)「突っこみ:1」 東京オリンピックは1年延期が決まっているが,その間に関する契約関係はどのような扱いになるのか?

 朝日新聞社は大正時代から高校野球やサッカー,ママさんバレーやウォーキング,障害者スポーツなどさまざまなスポーツの支援を続け,いまも年間180以上の催事にかかわっています。

 補注)「突っこみ:2」 営利問題の観点に留意して判断すれば,オリンピックは完全に商業化しており,高校野球などの各種スポーツと同じ性格をもたない。両者はけっして同じ範疇に分類できそうにはない。にもかかわらず,そのように開催の規模も歴史的な背景もまったく異質というほかないスポーツの大会同士を,比較しつつ自社のいいぶんを補強するための材料としてもちだす点は,当初から疑問ありであった。

 新聞社として,報道の面では公正な視点を貫きます。同時に,これまで携わった催事からえた知見を生かし,より健康で文化的な暮らしができる社会の実現につながる活動を展開し,東京2020の成功,未来に向けたレガシー(遺産)創造への貢献をめざします。

 補注)「突っこみ:3」 このように「報道の面では公正な視点を貫きます」という主張に関して,本当に徹することが可能かといえば,どだい無理を承知で発言しているとしか受けとれない。

 五輪の開催については,いままであれば業界から1社が,いわゆるオフィシャルパートナーとして代表的な会社となって協賛していたものが,2020東京オリンピックにさいしては,1業種から複数の企業がそれにくわわっている。なぜか?


 東京オリンピックのスポンサー」『へぇ~ そうだったの ニッポン!』2019年11月,https://feel-japan.net/?p=6345(を参照。以下の説明は2019年11月時点における話題であって,新型コロナウイルス感染拡大「問題」の影響は,2020年になってから出現してきた)

 --東京オリンピックまであと半年。最近は,テレビでもいろいろな業種のCMで「東京オリンピック公式スポンサー」というフレーズや映像をちょくちょくみかける。そこで,今回は東京オリンピックのスポンサー契約について調べてみた。

 1)現代オリンピックを支えているのはスポンサー契約料

 「オリンピックはお金がかかる!」とよくいわれる。東京オリンピックの場合,その予算は約2兆円だと目されている。この莫大なお金は,以下の4つの収入源に支えられている。

  ※-1 テレビ放映料-世界中のテレビ局から徴収

  ※-2 チケット売り上げ-さまざまな競技の観戦料

  ※-3 スポンサー契約料が1社当たり10億~20億円

  ※-4 税金-開催地や開催国が負担する予算

 過去のオリンピックでは,国の税金を多くつぎこみ,多額の負債を抱え,国家が揺らいでしまうという大問題を生んでいた。そのため,近年のオリンピックは税金にあまり頼らずに運営していこうという傾向がある。

 そこで,2020東京オリンピックの収入計画は,協会側の説明によれば以下のように予定されている。

  ◇-1 テレビ放映料(約23%)

  ◇-2 チケット売り上げ(約23%)

  ◇-3 スポンサー契約料(約37%)

  ◇-4 税金(約17%)

 なかでも「パートナー」呼ばれる企業からのスポンサー契約料が一番多く,総予算から逆算すると7400億円にもなる。これでは,「商業オリンピック」と呼ばれても仕方がない。

 2)さまざまな種類があるスポンサー契約

 オリンピックの公式スポンサーにはレベルがあり,そのレベルによって使用できる権利や権利を使用できる範囲や期間まで決められている。そのレベルは上から順に,つぎの3分類である。

  「ワールドワイドオリンピックパートナー」

  「ゴールドパートナー」

  「オフィシャルパートナー」

 a)「ワールドワイドオリンピックパートナー」

 国際オリンピック委員会(IOC)と契約し,世界中でその権利を行使できるトップ契約である。また,このワールドワイドオリンピックパートナーは,1業種1社限定とされている。

 日本企業としては,パナソニックブリヂストンに続き,2017年からトヨタ自動車が3社目のワールドワイドオリンピックパートナーとなった。スポンサー契約料は,正確には公表されず不明であるが,1社あたりの年間契約額は平均25~30億円といわれている。

 ちなみに,自動車メーカー初のトップ契約であるトヨタの契約は破格の値段で,10年で2000億円と推測され,トヨタの全世界の年間広告費用は4000億円に近いので,年間200億円はそのわずか5%。トヨタの収支構造からみれば「大した額ではない」のかもしれない。

 補注)そのトヨタについていうと,2020年のこの5月になってもなお,日本社会を震撼させている新型コロナウイルス感染拡大のせいで,つぎのような2021年3月期の決算報告をしていた。しかし,さすがのトヨタである。1年間に200億円の負担は,ひとまずたいした困難とはなるまい。

  トヨタ,世界販売15%減 今期営業益8割減『リーマンより打撃』」★
      =『日本経済新聞』2020年5月13日朝刊3面「総合2」=

 

 新型コロナウイルスの感染拡大は,世界の自動車産業の生産やサプライチェーン(供給網)に大きな打撃を与えた。トヨタ自動車にも「リーマン時を上回る」(豊田章男社長)衝撃となり,2021年3月期の世界販売台数は前期比15%減をみこむ。トヨタは生産の回復とともに,供給網を見直し,生産や調達の分散を進める。国内生産回帰の政府支援活用も検討する方針だ。(1面参照)

 

  トヨタ,8割減益 今期営業 正常化「年末以降」★
   =『日本経済新聞』2020年5月13日朝刊1面 =

 

 トヨタ自動車は〔5月〕12日,2021年3月期の連結営業利益(国際会計基準)が前期比80%減の5000億円になりそうだと発表した。販売の正常化は年末以降との見通しを前提に,世界販売台数の計画を前期比15%減の890万台とした。米国のIT(情報技術)勢との自動運転,電動化など次世代車の開発競争は厳しく,前年並みの1兆1000億円の研究開発費を投じる。

 

 同日記者会見した豊田章男社長は「リーマン時と比べて販売台数の減少は激しいが,企業体質を強化したことで黒字を確保できる」と語った。リーマン危機の2009年3月期は販売台数が12%減り,4610億円の営業赤字だった。今期の営業利益5000億円は東日本大震災後の2012年3月期(3556億円)を上回る。

 

 今期業績は「2020年末~21年初めに新型コロナウイルスの販売への影響が落ち着く」(近 健太執行役員)という前提で計画した。売上高は20%減の24兆円となる見通しで最終損益予想は「未定」とした。今期から国際会計基準に切り替え単純比較はできないが,営業減益は2年連続。為替の前提レートは1ドル=105円とし,4300億円の減益要因になる。配当は未定とし,例年,決算と同時だった自社株買いの発表は見送った。

 

 同日,新型コロナの影響の長期化を見据えた資金計画として,4月に国内金融機関から1兆2500億円を借り入れたことを明らかにした。

〔本文・記事に戻る→〕 今回の東京オリンピックの各種パートナーは,以下のように分類されている。

 a)  のワールドワイドオリンピックパートナーである企業の一覧は,以下のとおりである。

  コカ・コーラ(契約カテゴリー:ノンアルコール飲料) コカ·コーラ社はアムステルダム1928大会以来,オリンピックをサポートしている企業。

  アリババ(契約カテゴリー:クラウドサービス / Eコマースプラットフォームサービス) アリババグループは,世界最大のEコマースプラットフォームと,クラウドサービスに代表されるインターネット情報技術を提供する中国の企業。

  アトス(契約カテゴリー:インフォメーションテクノロジー) アトスはフランスを拠点とし,売上高120億ユーロ,世界72カ国で10万人もの技術者をもつデジタルサービスのリーディングカンパニー。

  ブリヂストン(契約カテゴリー:タイヤ,タイヤ・自動車サービス,自転車〔電動・モーターアシスト除く〕),免震ゴム・樹脂配管システム等の化工品) ブリヂストンは,世界26カ国に180以上の生産・開発拠点をもち,150を超える国々で事業を展開しているグローバル企業。

  ダウ・ケミカル(契約カテゴリー:化学品および原料) ダウ・ケミカルは,アメリカ合衆国に本拠を置く世界最大級の化学メーカー。

  GE(契約カテゴリー:発電・送配電システム,医療用画像診断・情報システム,照明機器およびシステム,輸送管理システム,鉄道輸送システム,航空機エンジン,オイル&ガス設備,水処理システム) GEは,発明王トーマス・エジソンを創業者とし,125年以上の歴史をもつ,米国のデジタル・インダストリアル・カンパニー。

  インテル(契約カテゴリー:不明) インテルは,米国のシリコンバレーに本社を置く半導体素子メーカー。

  オメガ(契約カテゴリー:時計,計時,得点記録および会場結果) オメガは,さまざまな分野でパイオニアとして世界的な名声を誇るスイスの時計メーカー。

  パナソニック(契約カテゴリー:AV機器,白物家電,電動自転車) パナソニックは,1988年カルガリー冬季オリンピック大会以降, 25年以上にわたり,映像音響カテゴリーのトップパートナー。

  P&G(契約カテゴリー:パーソナルケアおよびハウスホールドケア製品) P&Gは,「アリエール」「ファブリーズ」「ジョイ」「パンパース」「パンテーン」「SK-Ⅱ」「ジレット」などさまざまな製品を提供する世界最大の米国のトイレタリー企業。

  サムスン電子(契約カテゴリー:ワイヤレス通信機器) サムスン電子は,スマホやテレビなどの液晶製品で世界をリードする韓国のITメーカー。

  トヨタ(契約カテゴリー:「モビリティ」) 車両,モビリティサービス,モビリティサポートロボット。

  Visa(契約カテゴリー:決済システム) Visaは,1986年以来オリンピック大会を支援しつづけきた世界最大の米国のカード会社。

 以上の世界的企業のなかにも,最近では新型コロナウイルス感染拡大「問題」が深刻な現象となる前から,経営状態に黄色信号が出ていた会社も含まれているが,全体的には順調な経営を維持している。

 b)ールドパートナー」

 ゴールドパートナーは,上記のワールドワイドオリンピックパートナーと違い,各国の組織委員会との契約になる。2020年なら,東京オリンピック組織委員会との契約となる。また,その権利を行使できるのは日本国内に限定される。なお,東京オリンピック組織委員会によれば,ゴールドパートナーからのスポンサー収入の合計は,組織委の目標である1500億円をすでに上回っている。

 2020東京オリンピックゴールドパートナー一覧は,つぎのとおりである。

   アサヒビール  ASICS  キヤノン  JX日鉱日石エネルギー
   東京海上日動火災保険  日本生命保険  日本電気  日本電信電話
   野村ホールディングス  富士通  みずほフィナンシャルグループ
   三井住友フィナンシャルグループ  三井不動産  明治  LIXIL

 以上の企業は,オリンピック以外でも,みな普段からよく広告をみ見かける大企業ばかりである。もっとも,銀行業の経営状況が順調だといえない。

  c)「オフィシャルパートナー」

 このオフィシャルパートナーもゴールドパートナーと同様に,東京オリンピック組織委員会との契約で権利を試行できるのは,国内に限る。2020東京オリンピックオフィシャルパートナーの一覧は,つぎのとおりである。

   味の素  イー・エフ・エデュケーション・ファースト・ジャパン株式会社 
   air weave  キッコーマン  KNT-CTホールディングス  ジェイティービー
   シスコシステムズ合同会社  セコム  全日本空輸  綜合警備保障
   大日本印刷  大和ハウス工業株式会社  東京ガス  東京地下鉄株式会社 
   TOTO  東武トップツアーズ  凸版印刷  日清食品ホールディングス 
   日本郵便  日本航空  東日本旅客鉄道株式会社  三菱電機  ヤマトホールディングス
   読売新聞  朝日新聞  日経新聞  毎日新聞 

 こちらは,契約料がやや安いためか,ゴールドパートナーとは違い公共輸送機関や新聞社,各種サービス業と契約している企業は多岐にわたっている。もっとも,以前であれば1業種1社であったこの契約が,とくに新聞社(報道機関)の場合,大手紙4社が全部契約している。また,新型コロナウイルス感染拡大「問題」の影響で,現時点〔5月13日現在〕苦境に追いこまれつつある業種がすでに出ている。

 交通業はとくに決定的な打撃を受けている最中である。5月連休中の輸送量はそれこそ何割という水準にまで低下してしまい,このまま「緊急事態宣言」の発令が継続していったら,鉄道会社を中心に大きな悪影響が経営収支に現われそうである。

 新型コロナウイルス感染拡大「問題」は,当然のように2020東京オリンピックの開催を1年延期させたが,これを後援するスポンサー企業3種にあっては,とくにオフィシャルパートナーのなかには,現在まですでに苦境に追いこまれつつある会社も出ている。それでも,無駄金使いのオリンピックをわざわざ開催する意義が,いったいどこになるのか?

 以前は,オフィシャルパートナーに賛同して契約する会社は,1業種1社であったものが「バスの乗り遅れるな」ではないが,とくにここでは新聞社に注意を向けると,大手紙では「読売新聞  朝日新聞  日経新聞  毎日新聞」の4社が名を連ねている。

 

 「4紙で60億円負担 大手新聞が東京五輪公式スポンサーの異常」日刊ゲンダイ』2016/01/29 07:00,更新日:2016/10/17 04:37,https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/sports/174215〔~ 174215/5〕

 この『日刊ゲンダイ』の記事はいまから4年以上も前の報道であった。さきに一言断わっておくが,大手紙の経営状態は順調だといえる時代ではなくなっている。とりあえず,ここでは「朝日新聞の早期退職募集に再び業界激震 … デジタルで生き残れるのは日経だけなのか?」『ABEMA TIMES』2019.12.06 18:08,https://times.abema.tv/posts/7031864 を参考記事として挙げておき,『日刊ゲンダイ』を引用する。

 a) 〔2016年1月〕22日の朝刊をみて,違和感をもった読者も多かったのではないか。朝日,日経,毎日,読売の大手4紙がいずれも1面で,2020年東京五輪の公式スポンサーになったことを “報告 ” 。同日午前,組織委員会からもこの4紙と大会スポンサーの「オフィシャルパートナー」として契約したことが発表されたのだ。

 日経は〈大会の安定的な運営と日本代表の活躍を全面的に支援していきます〉と臆面もなく応援団を買って出たことを宣言。朝日と読売の記事にはそれぞれ,〈新聞社として,報道の面では公正な視点を貫きます〉〈契約後も,報道機関として読者や社会の信頼に応える公正な報道を続ける姿勢は堅持します〉ともっともらしい文言が付け足してあったが,どうにも違和感が拭えない。

 五輪に詳しいスポーツジャーナリストの谷口源太郎氏がこういうのだ

  「違和感どころか,異常な事態です。権力を監視すべきジャーナリズムが国や行政と手を携えて一緒に五輪というイベントを盛り上げる。これは恐ろしいことですよ。すでに莫大な放映権料を払うテレビは五輪応援団と化し,ジャーナリズムの役割を放棄している。せめて活字メディアだけはと淡い期待もあったが,大手4紙が率先して権力の側についた」。

 

 「莫大なスポンサー料を払う以上,その投資を回収し,利益を上げることが最優先されるに決まっています。朝日や読売が『公正な視点』『公正な報道』と書いてるが,ぬけぬけとよくいうよ,です。笑わせるなといいたい」。

 

 「今後,五輪に関しては国民にはみえない,しかし,しらなければいけない不都合な情報や問題が隠され,報道されないという事態が現実味を増す。そんな疑念を持たれると自覚しているから,いいわけするのでしょう。だったら,スポンサーになどならなければいいんです」。

 まったくだ。2020年東京大会のスポンサーは3種類に分類され,最上位の「ゴールドパートナー」が 150億円以上,「オフィシャルパートナー」が60億円以上,「オフィシャルサポーター」が 10億~30億円といわれている。

 新聞協会関係者が舞台裏を明かす。

 「実は当初,新聞協会全体でオフィシャルスポンサーになるという話でスタートした。が,130の加盟社の足並みが揃わず,手を挙げた4紙が組むことで決着した。スポンサー料の60億円を各社均等に負担して1社15億円。五輪には1業種1スポンサーの原則があるため,組織委がIOC(国際オリンピック委員会)にかけあった。ただし,今後,下位のオフィシャルサポーターとしてスポンサー契約を結ぶことを検討している全国紙,地方紙などが数社ある。最終的には,新聞協会加盟社から100億円のスポンサー料が支出されるのではないか」。

 b) 「1業種1スポンサー」の原則無視の組織委

 もうひとつの違和感はこれだ。組織委は今回の新聞4紙とも五輪の「1業種1スポンサー」の原則を曲げて契約。すでに38社が名を連ねているスポンサーのなかには,同業種の企業が複数存在する 註記)。組織委はカネ集めに躍起で,原則もなにも無視している印象。そんな組織委に新聞4社も協力した格好だ。元JOC職員でスポーツコンサルタントの春日良一氏がいう。

 註記)日本企業など,2020東京オリンピックのスポンサーとなっている会社名の一覧は,前掲してあった。

  「五輪は,1984年のロス大会から当時のサマランチIOC会長によって,放映権料やスポンサー料を中心とした税金に頼らない運営にかじが切られました。しかしこれはあくまで,赤字続きで存続が危ぶまれた五輪を継続させるため,ひいてはスポーツを通して世界平和を実現するというオリンピズムを守るためでした。1業種1スポンサーの基本原則も,五輪は商業主義に侵されてはいけないという理念を前提としたもので,これは五輪運動におけるマーケティングのモラルでもあった」。

 

 「しかし,いまの2020年東京五輪組織委のやり方をみると,そうした理念がおざなりになり,資金集めに血道をあげているような印象です。現状では,五輪を利用して利益を生むためだけの構造をつくっているかのようで,これではただの興行的ビッグイベントになってしまう」。

 

 「組織委の考え方は,新国立問題の過程で,1964年東京五輪の象徴であり貴重なレガシー(遺産)だった旧国立競技場を拙速に解体し,併設されていた日本で唯一の総合スポーツ博物館だった秩父宮記念スポーツ博物館も同時に壊したことからもみてとれる」。

 

 「レガシー,レガシーと盛んに口にはしますが,2020年東京五輪を商業的に成功させるためのプロパガンダにしているだけではないのか。オリンピズムの崩壊を危惧せざるをえません」。

 c) 最後に前出の谷口氏がこういった。

 「2020年東京五輪は招致段階での安倍首相の『アンダーコントロール』発言に始まり,新国立やエンブレムの盗作騒動など,さまざまな疑惑と問題が表面化している。安倍首相がコントロール下にあると強弁した福島原発の緊急事態宣言はいまも解除しておらず,東日本大震災被災地の復興も進んでいない」。

 

 「むしろ,東京五輪が資材高騰や人手不足を招いて復興の邪魔をしているという現実もある。新聞をスポンサーにとりこむことで,されるべき批判を封じこめ,莫大なカネも集める組織委は万々歳でしょう」。

 組織委を束ねる森 喜朗会長の高笑いが聞こえてくる。(引用終わり)

 ところである,2020年に入ってからというもの,日本も新型コロナウイルス感染拡大「問題」で大わらわにならざるをえない国内状況に追いこまれた。いま現在,4月7日に発令された「緊急事態宣言」は5月4日さらに5月末日まで延長される推移をたどってきた。森 喜朗の喜色満面はきっと深刻な渋面に変わっていたものと推察する。

 とりわけ,「初老の小学生・ペテン総理(ブログ『くろねこの短語』命名安倍晋三の「大ウソ:アンダーコントロール」の立場や,「緑のたぬき」がさらに化けかわって「コロナのたぬき」となった小池百合子都知事の立場,そして,死相を浮かべたまままでも五輪利権に執着している東京五輪組織委員会会長の森 喜朗の立場などは,2020東京オリンピックの開催にどこまでも執心するものであったために,日本における新型コロナウイルス感染拡大に対する初動態勢に決定的な遅滞をもたらしてしまい,現状のようにかえって「疫病を蔓延させる様相」を惹起させていた。

 日本はごく最近まで,その感染数がそれほど多くは増えていなくなっているといわれているものの,PCR検査体制はあいもかわらず「おこないません,場合にもよりますが,その人が死ぬまでは」といったらよいような基本の態勢で応じてきた。そのせいで,感染者のなかからは回避できていたはずの死者を多数発生させていた。

 ちまたではすでに,各種の商店・飲食業や中小・零細企業が,もはや採算どころではない窮状に追いこまれている。ところが,安倍政権は休業自粛だけを半強制的に迫っていながら,その休業補償のほうはろくに実現させていない(そもそもやる気がない)。東京都は多少補償をおこなっているけれでも,その対象者にいわせれば,大部分の商売人にとってひと月分にも満たない金額であった。

 なによりも新型コロナウイルス感染拡大「問題」は,世界規模のパンデミック現象となって人類社会をおそっている最中である。それゆえ,もっぱら五輪貴族のためのレガシーにしかなりえない2020東京オリンピックの開催予定は,その絵空事物語を本気で4年ごとに実演してきた人間たちの愚かさを,いまさらのように現実的に教えている。

 地球的次元において公衆衛生的な戦いが必要になっている現状のなかであるから,オリンピックという国際大運動会の開催は,ひとまず延期にせざるをえなかった。本日〔5月13日〕の『朝日新聞』朝刊には,在日のデーブ・スペクターの意見が掲載されていた。オリンピックじたいに基本から反対する意見など載るわけがないと思っていたが,そのとおりの論旨が披露されていた。

 

 「〈再考 2020)五輪にしかないもの,あるか 放送プロデューサー,デーブ・スペクターさん」朝日新聞』2020年5月13日朝刊15面「スポーツ」

 ※ 人物紹介 ※ デーブ・スペクターは米国生まれ,米ABC放送の番組プロデューサーとして1983年来日,米英のテレビ番組の取材,リポーターも務める。ツイッターのフォロワー数は 185万人超。

 ◇ 東京大会に,一言 ◇

 「多くの人はいまの五輪の姿に白々しさを感じている。原点に返って,規模を縮小すべきだ」。

 補注)本ブログ筆者の意見をいわせてもらう。その「少ない方に属する人間としてだが,いまの五輪の姿には偽善を感じているゆえ,原点に戻ってモノをいうならば,このさい開催そのものをひとまず廃止にしたらいい」。

 そして,この五輪のためについやされる巨大な経費は,新型コロナウイルス感染拡大「問題」を初めとする,もろもろの医療社会事業に向けたらよい。

 小池百合子都知事はいままで,オリンピック関係のために用意した施設を,コロナウイルス対策のために役立てるといった発言は,絶対にしようとしていない。それでは,つづいてスペクターにいわせよう。

 --世界中が新型コロナウイルス対策に追われるなか,国際オリンピック委員会(IOC)が「五輪延期に伴う追加経費は日本側が大部分を負担」との見解を示したとのニュースをみて,ちょっと待った,と思いました。ツイッターで「マジメな話,来年,オリンピック,やるつもりですか?」とつぶやくと,多くの反響がありました。

 敗戦を乗り越えた姿を世界に示す点で,前回の1964年大会には東京五輪開催の意義がありました。いま,日本が世界に証明しなければならないことってなにかありますか。日本に住みたい外国人は多いし,観光地には困るくらい大勢の外国人客が訪れているのに。

 補注)この段落の最後は「観光地には困るくらい大勢の外国人客が訪れていたのに」と記述するところではなかったか? 今後に向かっても同じようにいえるかは,要検討の余地がある。いままで日本の観光業が海外から迎えていた旅行客数が,コロナの事後においてV字回復できるかについては,専門家は基本的に疑問を呈している。

 そもそも日本人は五輪を神聖化しすぎではないでしょうか。大会中,日本の報道は五輪一色で,「4年間苦労してきた選手」をみなで応援しないといけないような雰囲気になる。勝敗を決した要素に迫るスポーツ報道というより,一種のお祭りです。

 米国では,NBCが五輪を独占中継します。他局はスポーツニュースで採り上げるくらいで,興味のない人は裏番組をみている。夏は外に出かける人が多く,人気スポーツもシーズンオフで視聴率が低迷する時期なんです。五輪は夏枯れの時期だからこそなりたつ「隙間コンテンツ」の側面もあります。もちろん米国内にも勝者をたたえる雰囲気はありますが,「お国のために頑張った」という国威発揚にはあまりつながりません。

 補注)海の向こう側では「隙間コンテンツ」が日本では「一種のお祭り」? それでいて,日本が真夏である7月下旬から8月の上旬(中旬)にかけて,つまりスポーツにとってみれば「超最悪となる気象条件」のときに,2020東京オリンピックを開催する予定だったのだから,これはほとんど気違い沙汰であった。

 けれどもともかく1年延期とされ,2021年の同じ時期に開催を予定することにしている。だが,1年あとに開催が実現しても,その気違い沙汰の「気象状況である事実」に関して根本的に変わりはない。ヘタをすると選手・役員,観衆,ボランティアのなかから,熱死者が出るおそれさえある。

 アメリカ・ファーストの「2020東京オリンピックの日程」に合わせて予定を組まされながらであっても,これに乗ってお祭り騒ぎをするジャパン・セコンドにされた日本(人)の立場は,まったくイイ面の皮ではないか?

 IOCの姿勢も問題だと思います。そもそも,東京で真夏に開催するのは危険なのは分かりきっているのだから,IOCがNBCに対し,時期をずらせないか交渉すべきでした。だけど,放映権料で屋台骨を支えてもらっている相手だから,なにもいえない。

 五輪の時にしか注目を浴びない競技があるなど,開催には一定の意義はあるかもしれませんが,もう規模を縮小すべきではないでしょうか。近代五輪が始まったころと異なり,多くの競技で定期的に世界選手権があります。五輪にしかないものってありますか。「平和の祭典」は具体的になにをもたらしましたか。多くの人が白々しさに気づいている。原点に返って質素な五輪の姿を東京大会で示せたら面白かったのですが。

 補注)『朝日新聞』に掲載される2020東京オリンピック関連の「論評」は,せいぜいこの程度に終始するほかない。朝日新聞社はなにせ,オフィシャルパートナーとして同大会には参画している。15億円の協賛金を提供していた。浪費ばかりが目立つ「五輪の開催なんか止めさせろ!」と堂々と論じるオピニオンが載るわけがない。それだけのことであった。ただし,『朝日新聞』紙面のなかでも読者からの「投書欄:声」においてであれば,そうした意見が採用される可能性がないとはかぎらない。

 「海外からどうみられているのか」っていう発想は,もうやめた方がいい。いまの姿勢では,IOCにとって日本は「おいしい」存在です。(聞き手・構成 山本亮介)(引用終わり)

 この最後の意見のように,デーブ・スペクターが日本・日本人に向かって要求してみたところで,無駄・無理である。テレビ番組では “You はなにしに日本に来た?” と尋ねまくったり,白人を主としてだが,日本の伝統・文化をともかく褒めてもらう番組がなくなる様子もない。そうしたなかで,このようなスペクターの意見がすんなりと通るわけがない。なんというか,デーブもすでに完全に “在日ボケ” したか?

 いずれにせよ,最後のような彼の要求が,日本・日本人に向けて直接出されたところで,そうは簡単には通りそうもない。同じ白人だからといっても,いまではすっかり在日外国人として “日本という国に同化” しきっていて,ある意味で『在日ボケ』までしたかのようなデーブ・スペクターの意見が,そのまま受けいれられる保証はない。

 2020東京オリンピックはともかく1年延期の措置になっているが,日本国の安倍晋三首相はIOC会長と直接連絡をしてからというもの,またもや,デーブの指摘した “その種のオイシイ話題” を先方に提供していた。

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