護衛艦「いずも」(ヘリ空母)を本格空母に改装したい安倍晋三:海上自衛隊の欲望は誰のためになるのか

「守るも攻むるも黒鐵(くろがね)の浮かべる城」たりうるか,空母というオモチャがほしい「安倍晋三君の軍国主義《オモチャ脳》」が,この日本国全体を決定的に錆つかせてきた

                    (2019年2月8日)

  要点:1 少子高齢社会が高度化したこの国を,どのように「守る」にせよ「攻むる」にせよ,人的資源が枯渇しつつある現状の日本では「日米同盟も国家防衛も」あったものではない

  要点:2 おもちゃのチャチャチャ,オモチャのチャチャチャ,チャチャチャのオモチャのチャッ  チャッ  チャッ …… ♯ ♭ ♫

 

  「〈社説〉防衛大綱改定『空母』導入には反対だ」朝日新聞』2018年11月30日朝刊

 1)「社説」の引用

 歴代内閣が否定してきた空母の保有に向け,安倍政権が一線を越えようとしている。専守防衛からの逸脱は明らかで,認めるわけにはいかない。政府は,海上自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦「いずも」を改修し,垂直着艦ができる米国製の戦闘機F35Bの運用を検討してきた。年末に改定する防衛計画の大綱に,それを可能とする表現を盛りこむ方針だ。

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 2015年に就役した「いずも」は艦首から艦尾まで通じる飛行甲板をもつ。護衛艦と称しているが事実上のヘリ空母だ。設計段階から,戦闘機を載せる改修が想定されていた。憲法9条のもと,歴代内閣は,自衛のための必要最小限度の範囲を超える攻撃型空母は保有できないという見解を踏襲してきた。ところが政府や自民党は,表向きは空母でないといいながら,既成事実を積みかさねる手法をとっている。

 自民党が政府への提言で,災害派遣などにも対応する「多用途運用母艦」という名称を使っているのが典型的だ。岩屋毅防衛相は〔2018年11月〕27日の会見で「せっかくある装備なので,できるだけ多用途に使っていけることが望ましい」と語った。事実上,空母であることは明白なのに,言葉をいいかえることで本質から目をそらそうとする。安倍政権下でなんども繰り返されてきたことである。

 そもそも空母の導入が日本の防衛にどれほど役立つのか,巨額な費用にみあう効果があるのかについては,自衛隊や専門家のあいだにも疑問の声がある。政府や自民党は離島防衛や太平洋の防空への活用を強調しているが,「いずも」が現在担っている対潜水艦の警戒能力が低下すれば本末転倒ではないか。太平洋の防空をいうなら,自衛隊のレーダーや哨戒機の運用をみなおすのが筋だろう。

 有事を想定した場合,敵のミサイルや潜水艦からどうやって空母を守るのか。空母を運用するには任務用,整備用,訓練用の3隻が必要とされるが,資金的にも人員的にも,いまの自衛隊にそんな余裕はあるまい。強引な海洋進出を進める中国への対処は必要だとしても,空母には空母で対抗するような発想は危うい。空母の保有は,実態以上に日本の軍事重視のメッセージを送る恐れがある。

 米国製兵器の大量購入が地域の安定に直結するわけでもない。日米同盟を基軸としつつ,大国化した中国にどう対応するかは難問だ。不毛な軍拡競争を招かぬよう,注意深い手立てを考えねばならない。(引用終わり)

 安倍晋三君は,アメリカから兵器・武器を爆買いするかのように,トランプのいいなりに高価な兵器をたくさん調達しているが,護衛艦の1種だというヘリ空母「いずも」を本格的な,いいかえると,できれば攻撃型空母に改装して運用したいという欲望をむき出しにした意向を明示していた。

 ヘリ空母が最初に登場したときは,そのようなもくろみはおくびにも出さなかったけれども,海上自衛隊の高級将校・幹部たちが本格・攻撃型空母をもちたくないなどと思っているわけがない。できればもちたい,それが海軍の軍人たちの素朴かつ当然の欲求である。

 補注)つぎにかかげる写真は艦影が合成されているけれども,海上自衛隊の「いずも」(後方)と「ひゅうが」(前方;いずれも『護衛艦』と称しているが〈ヘリ空母〉)である。最新鋭のいずも型「ヘリ空母」であれば,オスプレイも離・着艦できなくはなさそうにみえる。

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   出所)http://tansoku159.blog.fc2.com/blog-entry-754.html

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   出所)「いずも」と「ひゅうが」の甲板画像「模図」http://milmate.blog.fc2.com/blog-entry-4.html

   補注)いずも型(上方)のほうは全長248m × 最大幅38m で,航空機と車両を格納可能である。この画面をクリックで 拡大すると,描かれているオスプレイ」の機影が鮮明にみえる。このひゅうが型護衛艦というヘリ空母』ではオスプレイは難なく運用する事が出来」ると説明されている。

   註記)http://milmate.blog.fc2.com/blog-entry-3.html

 --以下に関連する解説を,少ししておきたい。

    護衛艦「いずも」 海自最大,外観は空母 ☆

 = 『日本経済新聞』2017年5月2日朝刊3面「いずも」解説 =

 

 全長248メートルある海上自衛隊最大のヘリコプター搭載型の護衛艦。2015年3月に就役し,海自の横須賀基地に配備されている。最大14機のヘリを搭載し,5機同時の運用も可能なため「ヘリ空母」とも称される。建造費は1200億円。約50台の3.5トン級トラックを載せることが可能で陸上自衛隊との統合運用に生かす。

      
 ▽ 他の護衛艦や哨戒ヘリなどを統率する「中枢艦」とも位置づけられ,陸自が導入を計画する垂直離着陸輸送機オスプレイの着艦も想定する。平らな甲板,右寄りの艦橋のため外観は空母に近い。ヘリの代わりに戦闘機・攻撃機を搭載すれば攻撃型空母に転換できるとの指摘もある。ただ,政府は攻撃型空母の保有は「自衛のための必要最小限の範囲を超える」との立場をとる。

 

 ▽ 海自が6隻保有するイージスシステム搭載の護衛艦に比べると対空能力は高くない。兵器は20ミリ機関砲などが中心で,自艦を守るのが目的。いずも型の2番艦「かが」が2017年3月に就役。ヘリ搭載型の護衛艦は4隻となった。(「解説」の引用終わり)

 補注) このヘリ空母も〈護衛艦の1種〉というのだから,羊頭狗肉もいいところである。

 

 ヘリ空母のことを「多用途護衛艦」などと,意味不明というか,当たりまえといえば当たりまえである使い道のこと,いいかえれば,災害発生時に現地に派遣してなにかの救助活動に運用することなどは,まさにそのときどきの自然のなりゆき:緊急時の必要に応じて発生する任務のたぐいであって,特別に空母に限定される話題ではない。

 2)在日米軍が「3・11」のときに “なにもしない” わけにはいかなかった

 ところで,2011年「3・11」東日本大震災発生の直後に勝手に出動してくれ,災害援助に当たってくれたアメリカ軍のなかには「海軍の空母:ロナルド・レーガン」の艦影もあった。ウィキペディアの説明を参照し,関連する空母ロナルド・レーガン当時の事情を訊いておきたい。

 2013年に駐日大使として着任していたキャロライン・ケネディは,トモダチ作戦と名づけられた「3・11」東日本大震災発生と,これにともなって惹起した東電福島原発事故現場に対する救援活動の発端について,2015年10月になって公の場でこう説明していた。

 『3・11トモダチ作戦は,2001年9月11日に発生したアメリ同時多発テロに,日本の消防救助隊が駆けつけてくれたことに起因する』と。

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  出所)画像は「原子力空母 ロナルド・レーガンhttps://plaza.rakuten.co.jp/redpaper/diary/200702280000/

 観方によって以上の関係は,ずいぶん “豪勢なお返し” と受けとれるけれども,毎年度,日本政府が在日米軍に支出している「思いやり予算」「米軍再編関係経費」「SACO(沖縄に関する日米特別行動委員会)経費」などに対する,アメリカ側からのせめてものお返しだとみなすべき救助活動が「トモダチ作戦」であった。

 3)「思いやり予算」とは?-『しんぶん赤旗』2019年1月11日の説明と批判-

   ※「〈主張〉在日米軍関係経費 過去  最大8千億円の異常正せ」※

 日本政府が2018年度予算に計上した「在日米軍関係経費」が過去最大の8022億円に上り,初めて8千億円を超えたことが判明しました。日本に駐留する米軍兵士・軍属は約6万1300人(2018年9月現在)で1人当たりの経費は約1300万円にもなり,米国の同盟国のなかでもきわめて突出しています。

 この大盤振るまいが,沖縄をはじめ日本に米軍が基地を置きつづける大きな要因となっています。財政面でも米軍支援を拡大する安倍晋三政権の対米従属姿勢を根本から正すことが必要です。

 a)「協定上も支払い義務なし」 「在日米軍関係経費」は安倍政権の下,4年連続で過去最大を更新しました。2018年度の内訳は,

  ▽「米軍再編関係経費」2161億円
  ▽「SACO(沖縄に関する特別行動委員会)関係経費」51億円
  ▽「在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)」1968億円
  ▽ この他,基地周辺対策費,米軍用地借り上げ料,漁業補償費,提供普通財産(国有地)
    借り上げ試算など3842億円

です(日本共産党赤嶺政賢衆院議員への外務省提出資料などによる)。

 「米軍再編関係経費」は,沖縄県名護市辺野古での新たな海兵隊基地の建設や,米空母艦載機部隊の移駐に伴う岩国基地山口県岩国市)増強など,日米両政府が合意した「米軍再編計画」を実施するための予算です。「日本防衛」を任務としない海外遠征部隊の一大拠点づくりが大きな狙いです。

 「SACO関係経費」は,沖縄の米軍基地問題に関する日米両政府の合意(SACO合意)を具体化するための予算です。在沖縄海兵隊の実弾砲撃演習を日本本土で本格的・実戦的に行うための移転費用などに充てられています。

 「在日米軍駐留経費負担」は,いわゆる「思いやり予算」と呼ばれ,

  ▽ 米軍基地で働く日本人従業員の給与などの労務
  ▽ 基地で使用される光熱水料
  ▽ 基地の施設整備費
  ▽ 空母艦載機の硫黄島での着陸訓練費

に分けられます。

 日米安保条約にもとづく米軍地位協定24条は,日本側が「施設及び区域並びに路線権」を「合衆国に負担をかけないで提供」するとしています。具体的には,米軍に提供する「施設・区域」(基地や演習場)の土地所有者などへの借り上げ料や補償費を日本側が負担します。一方,米側については「日本国に合衆国軍隊を維持することに伴うすべての経費」を「日本国に負担をかけないで合衆国が負担する」と定めています。

 日本政府が,こうした規定の理不尽な拡大解釈,特別協定の締結を重ね,本来の負担原則に反して「思いやり予算」や「SACO関係経費」「米軍再編関係経費」を支出してきたことは重大です。米軍駐留を受け入れているドイツやイタリアでも,労務費,光熱水料,施設整備費は全て米側負担です。日本の異常さはきわ立っています。

 b)「さらなる負担増の要求も」 昨〔2018〕年12月末に退任した米国のマティス前国防長官は,在日米軍に対する日本側の経費負担を「他の国の手本になる」ともち上げていました。トランプ米大統領は米国製高額兵器の購入と同じように,日本側の経費負担をいっそう増やすよう要求してくる危険も指摘されています。米国のいいなりに,日本国民の税金を湯水のように注ぎつづけることは許されません。

 註記)https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2019-01-11/2019011101_05_1.html
 補注)参考記事  「韓国,年10億ドル近く負担か 在韓米軍駐留経費 CNN報道」(nikkei.com 2019/2/5 16:33)が伝える在韓米軍に対する韓国側の負担は,こうであった。日本の場合と比較して少ないとみるか多いとみるか?

【ソウル=山田健一】 米CNNテレビは〔2019年2月〕4日,在韓米軍の駐留経費の負担割合について,米韓両国が暫定合意したと報じた。韓国が過去5年間に負担してきた年8億ドル(約880億円)を上回る年10億ドル近い経費を負担する。韓国との交渉に詳しい米当局者の話という。合意は1年限りで1年延長する可能性もある。

 4)「オトモダチ作戦」の内容(続きの解説)

 2011年4月5日までには大量破壊兵器(NBC兵器。核兵器 = Nuclear,生物兵器 = Biological,化学兵器 = Chemical)対策などを専門とする海兵隊の特殊部隊であるCBIRF(化学生物事態対処部隊)が到着し,4月6日までにトモダチ作戦は,被災者の捜索・救援の段階から,福島第1原子力発電所事故への対応や復興支援の段階へ移行した。

 補注)「トモダチ作戦」が「核兵器= Nuclear」の問題と一定の関連性があったことは事実である。この「事実」を否定できる人はいないはずである。

 アメリカ合衆国連邦政府は2011年4月6日,アメリカ軍が展開中の「トモダチ作戦」の予算が最大8000万ドル(約68億円)であることを,日本国政府に伝えた。現場でのトモダチ作戦としての支援活動は4月30日にほぼ終了したが,アメリカ海軍は震災後3日後の時点で10隻の艦艇を現地海域に派遣していた。

 当時,米韓合同演習のために西太平洋を航行中であったロナルド・レーガン空母打撃群は,本州東海岸域に展開,震災翌々日の2011年3月13日には海上自衛隊災害派遣部隊との震災対応に関する作戦会議を実施している。

 空母打撃群はみずからの艦載ヘリコプター(HS-4部隊)のみならず,自衛隊のヘリコプターのための洋上給油拠点として運用される。空母「ロナルド・レーガン」の将兵からは毛布やセーターなど1,000着以上の寄付がおこなわれているほか,強襲揚陸艦エセックスの乗員からは,玩具が寄付された。

 2011年4月4日,本艦は洋上での拠点としての任を終え,「トモダチ作戦」への参加を終了,通常の任務に復帰した。

 

   2018年12月中の「ヘリ空母いずも」に関連する記事

 1)「いずもは『多用途運用護衛艦』事実上の空母,批判回避」『朝日新聞』2018年12月6日朝刊

 この記事は冒頭だけ引用する。「政府が年末に改定する『防衛計画の大綱(防衛大綱)』に関する与党のワーキングチーム(WT)は〔2018年12月〕5日の会合で,海上自衛隊の「いずも型」護衛艦を改修する事実上の「空母」について,「多用途運用護衛艦」と呼ぶことで一致した。今後,この呼称を使う方向で政府・与党内で調整する。憲法上,「攻撃型空母」は保有できないとされていることから,批判をかわすのが狙いだ。(引用終わり)

 簡単に付論しておく。「3・11」時にトモダチ作戦に〈回戦〉したアメリカ海軍の原子力空母「ロナルド・レーガン」および「この空母打撃群」も,この作戦のときは多用途にこの空母を活用した事実を記録したことになる。だが,この本格空母の運用目的が「本来,その多用途」にあるなどといったら,軍事問題の専門家にいわせるまでもなく,軍事オタクの少年にも小馬鹿にされる。

 日本の自衛隊3軍もむろん「3・11」のときは大々的に動員された。東日本大震災は広域にわたって未曽有の甚大な被害をもたらし,この被災地を救援するために10万人もの自衛隊院が動員されていた。2009年3月末現在において「実員22万8500人」(事務部門の人員も含む)であった自衛隊3軍のうち,その半数近くが出動し,救援に当たっていた。

 もっとも,プロ野球選手やJリーガーがどこかの施設に慰問のためにボランタリーで出向いた行事のことを形容して,彼らはスポーツ人(アスリート)として〈自分たちのもてる時間〉の一部を「多目的用途のために生かした」などといったら,この表現じたいがトンチンカンのきわみ,ものごとの本質をわきまえない近視眼的な理解になる。

 つぎに,2018年12月中の続報となった「護衛艦いずも」関連の記事を,いくつか紹介する。

   ※-1「戦闘機 常時艦載せず,防衛相『空母』導入巡り」(『朝日新聞』2018年12月11日夕刊)という見出しの記事も出ていたが,この文句じたいが奇怪である。艦載機を「常時」搭載しない空母とは,いったい「なんぞや」? これはかなり “馬鹿らしい反問” となるほかないが,あえて提示しておかねばならない。

   ※-2「事実状の空母化 明記,防衛大綱骨子案 与党了承」(『朝日新聞』2018年12月21日朝刊)という記事になると,「『空母化』ありき  懸念残す,与党議論  肝心な点置き去り」であったことは,当然の指摘であった。本質的な論点から逃げまわる安倍晋三政権の難点がまるだしになっていた。

 2)「陸海空『領域横断』を推進 防衛大綱の骨子案,サイバー攻撃に対応,いずも『空母化』明記」『日本経済新聞』2018年12月12日朝刊。前半のみ引用

【参考画像】 

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  補注)甲板上にはヘリが3機みえるが,いずもの場合,さらに前後に1機ずつ駐機できる。

 政府は〔2018年12月〕11日,防衛計画の大綱(防衛大綱)の骨子案をまとめた。護衛艦「いずも」を改修する事実上の「空母」導入を明記し,宇宙,サイバー,電磁波を扱う電子戦の対応のための「領域横断作戦」の必要性も示した。弾道ミサイルなどの発射前に敵の拠点を攻撃する「敵基地攻撃能力」は明文化を見送った。18日の閣議決定をめざす。 

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 自民,公明両党の大綱見直しに向けたワーキングチーム(WT)は〔12月〕11日,いずもの甲板を戦闘機が離着陸できるよう改修する案を大筋了承した。最新鋭ステルス戦闘機「F35B」の搭載を想定する。事実上の「空母」保有専守防衛を逸脱するとの指摘があり最大の論点だった。

 「しっかり検討」  政府は国会で「もっぱら相手国の国土の壊滅的な破壊のために用いられる攻撃的兵器」と答弁してきた。そのひとつが「攻撃型空母」だ。公明党は過去の国会答弁との整合性をただしてきた。国際的には空母の明確な定義はない。政府はF35Bの常時搭載はしないと説明。「あくまで防衛目的」と理解を求めた。

 自民,公明両党はいずも改修が専守防衛の範囲内と確認する文書をまとめることで折りあった。WT座長代理を務める公明党佐藤茂樹外交安全保障調査会長は「専守防衛の観点からもしっかり検討され,従来の政府答弁の域を出ない」と容認する考えを示した。

 領域横断作戦は陸海空の自衛隊の一体的な運用を重視する考え方だ。2014年,ロシアはウクライナ侵攻でサイバー攻撃や電子戦の能力を使った「ハイブリッド戦」を仕かけ,重要性が認識されるきっかけになった。骨子案は「あらゆる分野での陸海空自衛隊の統合の推進」を記した。統合幕僚監部の組織のあり方などを今後検討する。

 「宇宙ごみ監視」 (この記事の後半段落は省略)(引用終わり)

 要は「国際的には空母の明確な定義はない」と予防線を張っておいたうえで,「政府はF35Bの常時搭載はしないと説明」しておけば,いずもは改装して本格空母に強化しても「『あくまで防衛目的』と理解を求めた」というのは,どこまでも手前勝手なリクツである。いろいろな空母があるが,いずれの「空母も空母」であり,ともかく,往事の帝国海軍が保有していた空母(多数保有していた)がなつかしくて,仕方がないらしい。

 軍人に兵器・武器のどれがほしいなどと希望を聞いていたら,この答えには際限がない。最近の日本では,安倍晋三君みずからが軍人の立場を代弁する「利害関係者:最高司令官きどり」になっている。社会政策・社会保障の領域において必要とする多額で多種多様な予算などそっちのけで,軍事費になると目の色を変えて必死になって大盤振るまいする。この点には,安倍君の「戦後レジームからの脱却」(在日米軍支配下の日本国に関する標語なのであったが)の本性が露出している。

 補注)「日本に空母は必要か?  米防衛メディアが分析  鍵となる2つの課題」(『NewSphere』Nov 1 2018,https://newsphere.jp/world-report/20181101-3/)が参照に値するが,やや軍事的観点に偏りすぎた論評であった。ただし,その軍事的な視野でどう議論されるかをしりたい人には参考になる「主張」が含まれている。つぎの ③ における議論と比較考量したら,この『NewSphere』の記事は短見に感じられるかもしれない。
 
 「〈耕論〉空母,ないと困るの? 戸高一成さん,伊藤俊幸さん,柳沢協二さん」(『朝日新聞』2019年2月8日朝刊13面「オピニオン」)

 マンガ「空母いぶき」では,尖閣諸島をめぐって日中が軍事衝突。フィクションを現実が追いかけるような護衛艦「いずも」の空母化。防衛大綱にこめられた意味を識者に聞いた。

【参考画像】

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  出所)https://maniq.jp/ku-boibuki/

 1)「際限なくお金かかる存在」戸高一成さん(大和ミュージアム館長)

 起工時から空母として建造され,世界で最初に完成したのは1922年,日本の鳳翔(ほうしょう)でした。当時,既存の軍艦を改造した空母はありました。英海軍が空母を建造しているとしった日本が先に完成させたのです。

 「坂の上の雲」で日露戦争の名参謀としてしられる秋山真之(さねゆき)が第1次世界大戦中の欧米を視察しました。秋山が艦上で飛行機が発着できる空母のアイデアをもち帰ったことで,早くから空母の研究をしていたと思っています。しかし,当時の空母はあくまでも補助兵力ととらえられ,海軍における飛行機の役割は偵察が主なものとされていました。

 そもそも,帝国海軍の国防方針は,日本近海に来た敵艦隊と戦うもので,専守防衛でした。それが,山本五十六というカリスマによって,その方針とは異なる真珠湾攻撃という作戦が計画されます。機動部隊を編成し,赤城など6隻の空母が投入された攻撃が成功してしまいました。

 専守防衛という基本思想を超えた攻撃作戦がうまくいってしまったことが,その後の日本の悲劇の始まりでした。そこから歴史が大きく動いていきます。同時に世界の海軍の歴史も大きく変えました。この攻撃に衝撃を受けた米国は,大戦中に桁違いの数の空母を建造します。そして,いまも空母を中心とした世界最強の機動部隊を維持しているのです。

 19世紀から20世紀初頭にかけて活躍した海軍戦略家のマハンは,海軍戦略の基本は,平時から世界中に自分の基地と海路を確保して配置することだとしていました。現在に至る米国は,空母部隊じたいが一種の基地の役割を果たし,世界中にその力をみせつけています。

 空母そのものは攻撃に弱く,単独で行動はできません。1隻の空母に,それを護衛する艦隊が必要で,空母に載っている飛行機の部隊も,同じ数の飛行機とパイロットが,3グループ程度あって,訓練や修理をしていなければ,持続的に行動できません。際限なくお金のかかる存在です。

 ですから,世界中で,実際に米海軍的な空母部隊を運用できる能力があり,空母をもつ意味がある国は米国以外にないと思います。それ以外の国にとっては,たとえ台頭している中国であっても,米国と同じように戦力の中核として空母をもとうとするのは,すでに時代からずれていると思います。

 空母をもちたいというのは,海洋国家としてのステータスやプライド,「みえ」といった側面もある。ただもてばいいというものでもありません。それぞれの国情にふさわしいもち方,運用の仕方を考えないと,有効な空母の働かせ方はできないでしょう。

※ 人物紹介 ※  「とだか・かずしげ」は1948年,宮崎県生まれ,海事史研究家。2005年から現職。編著に『[証言録]海軍反省会』など。

 2)「運用構想なく現場は苦労」伊藤俊幸さん(金沢工業大学虎ノ門大学院教授・元海将

 昨〔2018〕年末に閣議決定された防衛大綱に,「必要な場合には現有の艦艇からのSTOVL(短距離離陸・垂直着陸)機の運用を可能とするよう,必要な措置を講ずる」との文言が書きこまれました。これにより事実上の「空母」導入方針が打ち出され,ヘリコプター搭載護衛艦(DDH)「いずも」が改修される。太平洋から沖縄の海にかけて,飛行場が少ないという状況に対処するためです。

 これは,岩屋毅防衛相が述べたように,政治的なトップダウンで示された考えです。海上自衛隊の現場からボトムアップで出てきた話ではありません。元海自隊員の立場でみれば「上から降ってきた話」という印象です。現場では機材や部品,燃料の供給不足が恒常化しています。本音をおもんぱかれば,空母導入より,足らざるをきちんと手当てするロジスティックサポート(補給・後方支援)の充実のほうが切実です。

 補注)いままでよくいわれてきた点であるが,自衛隊の軍隊組織としての実際的な編制やこの運用,つまり本当の戦争・戦闘(会戦・海戦)になったとき,はたして,この軍隊がどこまで本格的に戦えるのか(いいかえれば防衛戦であっても敵を本当に撃退できるのか)という関心事をめぐって,このような指摘が元自衛官将軍(元海将)の語る問題点として指摘されている。

〔記事に戻る→〕 たとえばヘリコプターや航空機などの部品が足りない。5機が配備されても,そのうち1機を使わず,部品をその他4機に回す,といった共食い現象が日常となっています。人の問題はさらに深刻です。少子高齢化で人材が確保できなくなるのは,企業だけでなく自衛隊も同じ。現在でも人手不足ですが,10年もたてばさらに深刻化して,空母など船が増えても要員が確保できるか心配です。

 補注)このような話題を聞かされると「安倍晋三君,保育所をまず急いでさきに整備するのが先決問題」ではないかと,本気で揶揄したくもなる。少子高齢に突入している現在の経済社会問題は,自衛隊員の要員化不足にも,以前から深刻な関係をもたらしていた。自衛隊3軍はいつも定員不足に悩まされてきたが,今後もさらにこの事態が深刻化する懸念が提示されている。

 つまり,安倍晋三君だけがいくら好き好んで「新しい兵器や武器」を買いこんだところで,それ「以前と以後と」において要求されている「兵器・備品(軍備品全般)の適正な水準での保有」や,その「保全・修理管理」といった日常的な業務面が,現状の自衛隊では不備のままだと指摘されている。自衛隊員を確保するための前提,換言すれば日本社会全体における「人的資源が絶対的に不足している状況」は,以前からとくに深刻になっていた。

 大綱を受けた中期防衛力整備計画には,まず「STOVL 機を新たに導入する」としたうえで,「必要な場合には」「運用が可能になるよう検討のうえ」「改修をおこなう」と記述されています。つまり自衛隊の現場は,「これから必要性や運用構想の検討をおこなえ」と命ぜられているのです。当然懸命に対応しようとするでしょうが,現場はかなり苦労するでしょう。

 空母には他国に襲いかかるイメージがあると思いますが,米国以外,中国を含む他の空母ではそれはできません。米空母は地上攻撃も任務とする戦闘攻撃機60機にくわえ,支援機を30機以上搭載しています。いずもを改修しても搭載可能なのは空中戦が任務の戦闘機が10機以下,他国も20機程度搭載しているだけです。つまり,米国以外の空母は,空襲に脆弱な艦艇グループを守る「艦隊防空」が任務なのです。

 空母を扱う人材も養成しなくてはなりません。洋上の艦艇に発着できるパイロットを必要な人数養成するためには,10年近くの時がかかる。なかった技術を習得するには時間が必要なのです。日本が得意としてきた対潜水艦哨戒能力に影響がでないかも気がかりです。AIなどの最新技術を駆使し,省力化・無人化した高性能な艦艇部隊を作っていくべきです。

※ 人物紹介 ※  「いとう・としゆき」は1958年生まれ,海上自衛隊入隊。潜水艦はやしお艦長,呉地方総監を経て,2016年から現職。

 3)「力に歯止め,政治が関与を」柳沢協二さん(元防衛官僚・元内閣官房副長官補)

 安倍内閣閣議決定した今回の防衛大綱は,米中対立が鮮明になるなか「日米同盟の抑止力」を強調し,安全保障では米国の側に立つことを明確にしました。いずもの空母化も,中国海軍が西太平洋に進出することを念頭に,「広大な太平洋の航空優勢」を狙っています。日本の防空ではありません。

 補注)「日本の防空」のためのいずもの本格空母「化」ではないと,柳澤協二は明言している。要は「『アメリカ軍の傭兵』的な目的のための軍備を日本側で用意します」というのが,つまるところ安倍晋三君の立場であった。「美しい国へ」などとぶち上げていたこの君のいうこと・やることといったら,まるでその真逆であった。「米軍のお〇を舐め舐めする自衛隊」という「汚い想像」図,不本意な構図しか想像できない。

 日本という国が「在日米軍基地」によって実質支配されている様相を呈しているなかで,対米従属的な両国関係の促進のためならばさらに役だつことになるかっこうで,海上自衛隊の「空母までも同盟の相手国に提供する日本の防衛省」だという事態になったら,「戦後レジームからの脱却」という安倍晋三君のお得意だった「政治信条的な提唱」の「本格的な虚しさ:馬鹿らしさ」も,ひとしお深まるほかない。以上,冗談にもなりえない「いずもに関連する話」であった。

〔記事に戻る→〕 安倍内閣は,日米の軍事的一体化のために日米防衛協力のための指針(ガイドライン)を改定し,安保法制を作りました。台頭する中国への対応で米国に見捨てられないよう,米国がかかわる紛争に日本が巻きこまれる仕組を作ったのです。

 ただ,米中の力関係の帰趨も不透明で,どこまでやればいいのかわからない。目標がみえず,際限のない不信と軍拡の輪のなかに入っている。いずもをどう使うか,構想はみえませんが,それは「とにかく力を」という「力への節操なき信奉」の象徴のようにみえます。

 空母はミサイルや魚雷に弱く護衛が必要で,多くの艦船を割かなければなりません。数で圧倒的にまさる中国を念頭に,やりたいことを並べても戦略とはいえません。自衛隊はなにができるのか,そこから発想しなければ,すべては無駄な投資になる。

 さらに,離島防衛でも “いずも” が不可欠なのか。洋上の基地が必要になるのは沖縄の基地が壊滅したあとです。そこまでの戦争を考えているのでしょうか。離島をめぐって平時でも有事でもないグレーゾーン事態が常態化している。シームレスに切れ目なく対応するのが政府の方針ですが,軍事的なエスカレーションを防ぐために,政治が関与する「切れ目」を作るべきです。

 切れ目なく自衛隊が出て島をとり返せばいいという問題ではありません。納得しない相手は,再びとりにくるはずで,際限のない島の奪いあいになる。米国に頼めば,米中戦争に拡大して日本に被害が出る。

 いずも空母化にくわえ,高速滑空弾や長距離巡航ミサイル導入など日本自身が打撃力をもつことが,専守防衛からの逸脱になりかねない。日本防衛で米軍が矛,自衛隊が盾の役割分担を変えるかもしれません。

 米国は自分の代わりにインド洋にいけというかもしれないし,空母があるなら自分で守れといってくるかもしれない。中国が空母をもつから日本も,という力の論理でいけば,つぎは核保有への誘惑に駆られる。そんな世界に日本が踏み出せば,国家の破綻につながります。

 米中の力関係が変化する時代だからこそ,大国関係の安定による「望ましい安全保障環境」を作る責任が政治に問われます。安易に抑止力に丸投げするなら,防衛力は際限なく拡大せざるをえません。

※ 人物紹介 ※  「やなぎさわ・きょうじ」は,1946年生まれ,防衛庁運用局長,防衛研究所所長などを経て,2004~2009年に内閣官房副長官補。

 安倍晋三という首相(当人は最高指揮官という表現が大好き)は,いったいこの国をどのように率いていきたいのか? 内政ではアベノミクスといったごとき,その実体がみつけにくい経済政策を虚構しただけで,日本の社会経済は実質的にいっこうに上向きにはなっていない。外交はとみれば,対米従属路線を確固として歩む姿はさておき,そのほかの諸国とはまともな交渉さえままならぬこの〈日本国最高指揮官〉の采配ぶりであった。

 「安倍晋三麻生太郎」という「首相と副首相」のゾンビ的な「世襲政治家のコンビ」(「困った君のこの2人」)は,この国を未来をまともに観ていないし,もともと正視できる人材でもなかった。国家運営にとっての基本統計にさえ手を付けて改ざん・捏造する始末をなんとも思っていない,いうなれば〈不逞のヤカラ〉,「売国的と亡国的な」この政治家2人であった。

 そんなこんなでいずれにせよ,いずもを本格空母に改装(艤装)して作戦に運用させたいと思ったところで,その用途がいったい誰のためになるのか,なんのためになるのかは,しょせん「高がしれている」問題であった。アベ君は首相を辞めて「いずも」の艦長(終身)にでもなっていたほうが,この国の未来にとってはよほどよろしいのでは……。

 

 「いずも・本格空母への改装」その後

 竹内 修(軍事ジャーナリスト)が「海自護衛艦『いずも』わずか31億円で『空母化』のワケ  F-35B戦闘機の発着艦が可能に」『乗りものニュース』2019.09.19,https://trafficnews.jp/post/89665〔~ /3〕という一文を書いていた。関連するその後の経緯がつぎのように解説されている。

 --2018年末,ヘリ護衛艦「いずも」の,事実上の空母化は大きな話題となりましたが,その最初の年度の改修費用が31億円と計上されました。意外と少ないようにみえるかもしれませんが,もちろんそこにはもっともな背景や理由があります。

 a)「意外に安いそのお値段,もちろんワケあり」

 防衛省は2019年8月30日,2020年度における防衛予算の概算要求を発表しました。今回発表された概算要求には,海上自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦「いずも」に,F-35戦闘機の STOVL(短距離離陸・垂直着陸)型であるF-35Bを搭載するために必要な改修費として,31億円が計上されています。

 これまでヘリコプターの運用しかできなかった「いずも」に,ジェット戦闘機のF-35Bを搭載するための改修費としては安すぎるのではないか。そう思われた方も多いのではないかと思います。

 筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)が,いずも型の仕様決定に携わった海上自衛隊の元幹部から聞いた話によれば,いずも型は設計段階から,将来F-35Bを搭載する可能性を視野に入れており,F-35Bのメーカーであるロッキード・マーチンに,F-35Bの正確な寸法や重量を問い合わせたうえで,格納庫から飛行甲板まで航空機を運ぶエレベーターのサイズや,エレベーターに搭載できる重量を決定したとのことです。このためいずも型は,F-35Bを搭載するためのエレベーターの補強は必要としません。

 2020年度の概算要求に計上された31億円は,2019年度末に定期修理のためドックに入る「いずも」に対し,ヘリコプターに比べて排気熱の温度が高いF-35Bへ対応するための飛行甲板の耐熱性強化や,F-35Bが着艦するさいの誘導灯の追加などをおこなうための経費で,とりあえずこれらの改修作業が完了すれば,F-35Bを「いずも」に発着艦させることは可能になります。

 補注)要は,最初から仕組まれて〔予定されて〕いたのが,今回における「いずもヘリ空母」の本格型空母への変更であったというに過ぎない。以下,竹内 修の解説はつづく項目の見出し文句のみ出しておく。

 b) 「 31億円の改修」から戦力化までにはなにが必要?

 c)   アメリ海兵隊機の発着艦は織り込み済みだった?

 d)  F-35Bの搭載は予定どおり?  「いずも」の「例の」エレベーター(引用終わり)

 さて思うに,空母護衛艦「いずも」が米日服属的な軍事同盟関係下で運用されることが,設計段階から当然のごとくに想定されてきた事実は,改装(改修)工事にさいして正直に反映されていた。それだけのことである。この「いずも型・護衛艦」であるヘリ空母は,2番艦である「かが」も同じように改装(改修)を準備している。

 空母化改修では,飛行甲板に耐熱処理を施すなどの工事をおこなう必要がある。2019年夏,防衛省の概算要求では約30億円の改修費用と,2022年度内での工事期間が必要との見積もりがあった。ここで想像できるのは,艦艇としての定期検査を2022年に控えている「かが」から,この定期検査に合わせて空母化改修工事を開始することだ。

 

 つまり,2023年ころには工事を終えた『海自の空母』が登場していることが考えられる。ちなみに「いずも」の定期検査は2024年に予定されているというから,「かが」の後に空母化改修工事を受けるのかもしれない。

 註記)「名実ともに『空母』へ。ヘリコプター搭載護衛艦『いずも』『かが』のすごい実力 自衛隊新戦力図鑑 ④ 」『MF Motor-Fan.jp』2020/02/07,https://motor-fan.jp/article/10013551 つぎの画像もここから借りているが,これは「かが」の〈勇姿〉である。ヘリは4機を甲板に駐機させている写真。 

 

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 この写真をみて思ったが,ヘリ空母の場合,甲板に大穴を空けられてもその損害状況にもよるが,ヘリであれば離着陸できる甲板だけは部分的には確保できる。格納庫がもちろん艦内にあるが,損害をこうむっていてもエレベーターが動けば,格納も可能である。しかし,空母は一般的には攻撃にはとても弱い。小さな1発でも爆弾(など)は絶対に食らってはいけない艦船なのである。

 

 だから,大々的に船団(空母を護衛する艦隊)を組んで行動するほかないのが空母である。あの戦艦大和でも沖縄に特攻攻撃に出撃したときは,軽巡洋艦矢矧と駆逐艦8隻を伴っていた。

 

 『護衛艦』だと呼んでいる「いずも」「かが」の本格空母型への改装(改修)が出来しだい,つぎに待ち構えている海上自衛隊の構想はすでに,手ぐすね引いた状態でもって,あれこれ検討だけはされているはずだと推測できるが,空母艦隊・船団の構築である。それとも現状では,アメリカ海軍の艦船と組むかたちになるのか?

 

 それでは,軍艦マーチが鳴り響いたときであっても,なんとなく湿った「音」に聞こえるような気分になるかもしれない。

 ということで,ついでに,つぎの記述にも触れておきたい。

 伊藤明弘海上自衛隊『悲願の空母』になる『いずも』の実力 かつて空母大国だった日本の意地」『現代ビジネス』2017年12月31日,https://gendai.ismedia.jp/articles/-/54043  という文章も,関連する事情をうまく説明している。

 だが,それと同時に,伊藤明弘のこの文章からは旧帝国海軍の残影を郷愁するがごとき筆致もうかがえ,米日軍事同盟関係的には実質,アメリカの「属国状態にある」この国の自衛隊3軍の実情を無視したかのような議論になっているとしたら,これはいただけない。

 大東亜・太平洋戦争における『失敗の本質』は思いだしたがらない「過去への郷愁・話」はさておき,現在置かれている海上自衛隊のありようについても,歴史的な観点を貫き,軍事史的に論点を直視した議論が必要である。

 昔,帝国海軍はすごかったという物語にこだわってみたところで,現実における米日主従的な軍事同盟関係に,わずかでも変化が生じるわけでもあるまい。そして,いまさら,ミッドウェー海戦になぜ,帝国日本海軍は負けたかを問うまでもあるまい。

 かつて「鬼畜米英」であったはずのU. S.  A. とこの軍隊が,いまでは,この国に住むわれわれのご主人様であるかのように,日本全土では手前勝手に振る舞っているではないか。アメリカ(海軍)にしてみれば,体のいい(多分,使い勝手のいい)補助艦「空母」が1~2隻増えた程度の話題。なかでも,既存に配備されている海上自衛隊イージス艦6隻の役目を,海上自衛隊の幹部たちがしらないわけでもあるまい。

 なにせ,「この国のヨコスカ」にはアメリカの海軍基地が正式に配置されている。半年ほど前に出ていた関連する情報を挙げておく。「原子力空母ロナルド・レーガンの母港化撤回を求めて横須賀で集会」『平和フォーラム』2019年10月01日,http://www.peace-forum.com/houkoku/20191001kiti1.html は,こう主張している。

 「原子力空母の横須賀配備を撤回させよう」と,神奈川県平和運動センター三浦半島地区労センターが主催する,「10.1 原子力空母ロナルドレーガン横須賀配備抗議!  母港撤回を求める神奈川集会」が10月1日,横須賀市のヴェルニー公園でおこなわれました。

 そういえば昔はやった歌だったが,その歌詞のなかには,こういう文句があった。とはいえ,アンタ,「何なのさ」といわれてもネ……,「わたくち(ア▼・シ▲ゾウ)」には答えられません,なんたって,問題がむじゅかしゅぎるから。

 港のヨーコ  ヨコハマ  ヨコスカ,アンタ  あの娘の何なのさ!?

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