安倍晋三「為政」の不幸な顛末,北朝鮮拉致や新型コロナウイルス問題を通じて観る最近の関連情勢

アベノポリティックスの無能,アベノミクスの無策

「やってる感」違い(勘違い)世襲3代目政治屋の記録してきた無能「感」だけならば,庶民の立場からでも大いに「実感」あり

口先だけで政治ができるなら子どもにも国家の運営はできそうであるが,この国の首相はもともと「子どもの〈裸の王様〉」であったから,いまに始まったことではない

 

  要点:1 北朝鮮による拉致問題で,安倍晋三が首相として「あらゆるチャンスを逃すことなく,果断に行動した」ことなど,一度でもあったのか? もとより,うまくいった行動などひとつもなかったゆえ,こちらの成果(?)は,なにひとつ国民たちに向けて公表できていなかった

  要点:2 安倍第2次政権下の日本経済・社会は,まるで「死のロードマップ」を歩んでいる様子にしか映らない,それでいて,ひたすら経済の私物(死物)化現象ばかりがはなはだしくなってきたのは,新型コロナウイルスの流行に便乗する利権政治まで登場しているせいである

 

 横田滋さん死去 87歳  拉致被害,めぐみさん父」朝日新聞』2020年6月6日朝刊1面

 北朝鮮に拉致された横田めぐみさんの父で,「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会」(家族会)の前代表,横田 滋(よこた・しげるさんが〔6月〕5日,老衰で死去した。87歳だった。(▼4面=首相,救出果たせぬまま,29面=「めぐみに一目」かなわず)

 横田 滋さんは1932年,徳島市生まれ。日本銀行に勤め,新潟市で暮らしていた1977年11月15日,当時13歳で中学1年だった長女めぐみさんが,下校途中に,行方不明になった。北朝鮮による拉致だったことが,1997年2月に報道されると国会質問で表面化した。

 滋さんはめぐみさんの名を出して救出を訴えることを決意。1997年3月に家族会が発足すると代表に就き,早紀江さん(84歳)とともに夫妻で,拉致被害者帰還を求める運動のシンボル的存在となった。

 2002年9月,小泉純一郎首相が訪朝し,金 正日キム・ジョンイル総書記(いずれも当時)と日朝首脳会談に臨んださい〔「日朝平壌宣言」に署名し,国交正常化交渉も進めると合意していた〕,北朝鮮拉致被害者のうち5人が生存,めぐみさんを含む8人が国内で死亡したと伝えた。北朝鮮からは2004年,めぐみさんのものとして遺骨が提出されたが,日本政府はDNA鑑定で別人のものと断定した。(中略)  

  ※「断腸の思い」安倍首相 ※

 横田 滋さんの死去について,安倍晋三首相は〔6月〕5日夜,記者団に対し,「(めぐみさんの帰国が)いまだに実現できなかったことは断腸の思いで,本当に申しわけない思いでいっぱいだ」と語った。首相は拉致問題を政権の最重要課題にかかげ,金 正恩キム・ジョンウン朝鮮労働党委員長との無条件対話を求めているが,解決の糸口をみいだせていない。

 「拉致被害者の方々のふるさとへの帰還を実現するために,あらゆるチャンスを逃すことなく,果断に行動していかなければならない」と述べた。(引用終わり)

 この安倍晋三がもっとも得意とするセリフであった「あらゆるチャンスを逃すことなく,果断に行動していかなければならない」というその内容が実際に努力されたことがあったか否かについて,国民たちのほうにはよくしらされていなかった。

 彼がこの拉致問題に関して本当に努力をおこないつづけ,なんでもいいからその結果を,国民たちに向けて提示できた記録や証拠はなにもみつからない。関連する成果が上げられず,なにもその結果が出せていなかったのは,安倍晋三の外交(この人が得意だというそれ)が結局,「北朝鮮による拉致問題」を1ミリメートルさえ進展させえなかったからであった。

 ただし,安倍晋三の立場そのものとしては,この拉致問題を自分の為政のために最大限に活用(流用ないしは悪用)してきた。北朝鮮を完全に敵視していながら,いったいどうやって拉致問題を解決していくのか,最初から不思議であった。もっとも,外交問題につきものであるこの種の特性は,特別に変わった課題(の難易度)を意味するとはいえない。それゆえ,安倍による北朝鮮領域に関した外交上の不首尾,換言すれば成果なしになっていた顛末は,彼の本気度が最初から中途半端でしかなかった点を教示する。

 最近も金 正恩からは,「北朝鮮弾道ミサイル発射示唆  安倍首相を『歴史上最もばかな男』」(『AFP BB NEWS』2019年11月30日 20:27,https://www.afpbb.com/articles/-/3257467)などと,最高度に 小馬鹿 にされていながらも,安倍晋三のほうからそれに対してまともに返せるような外交上の言論(やりとり)はなされていなかった。

 だいぶ以前から日本政府・安倍政権は,北朝鮮との外交を対等にとりかわす手段・方法を失っていた。もちろん,その裏部隊では多少の努力がなされていないわけではないとはいえ,処置なしの手詰まり状態に置かれてきた。

 いずれにせよ,安倍晋三自身が官房副長官の時だったが,2002年9月,小泉純一郎に率いられて北朝鮮を訪問したさい,金 正日(当時,北朝鮮の国防委員長・朝鮮労働党総書記)とじかに会ったこと経験が,その後において彼の外交に活かされている様子は感じられない。それでいてただ,時間ばかりが無為に経過してきた。写真はその時の映像である。

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 とはいえ,その割りに安倍晋三は,なにかにつけては北朝鮮「問題」をうまく利用してきた。核実験をしたりミサイル発射をする北朝鮮の態度は,安倍の立場にとってみれば最高にオイシク,とりわけ「内閣支持率高揚のために役立つ素材」たりえてきた。この点をいいかえると,いうなれば拉致家族被害者たちの存在も,実はまったく同様に利用だけする相手でしかなかった。いまとなって回顧してみるまでもないが,安倍の外交実績は実際,それ以上の経過・結果をなにも残せていない。

 なかんずく,安倍晋三の第2次政権において「対・北朝鮮外交の実績」は,これといった結果を出せていなかった。ただし,北朝鮮のそうした外交姿勢を利用した関係をもって,あの国の危険性を煽りまくり,自・公政権の支持率を高めるために利用することだけは,ひどく熱心であった。

 もともと,安倍晋三という「世襲3代目のお▼カ政治屋」に,北朝鮮との外交をまともにおこないうる力量があったとは,もとより全然みえていなかった。こうした安倍の政治(内政・外交)の実績に関する評価は,いままでの経過・記録にもとづいても容易に判断できることがらであった。

 

 「救出,首相果たせぬまま 最重要課題の拉致解決,見通せず 横田 滋さん死去『痛恨』」朝日新聞』2020年6月6日朝刊4面

 北朝鮮に拉致された横田めぐみさん(当時13歳)の父,滋さんが亡くなった。安倍晋三首相にとって拉致問題は政権の最重要課題。北朝鮮への圧力で解決を模索した時期もあったが進展せず,今は金 正恩キム・ジョンウン朝鮮労働党委員長との無条件対話を求める。しかし,解決の糸口もみいだせず,時間だけが過ぎだ。(1面参照)

  (中略)

 滋さんの死去を受けて首相は〔6月〕5日夜,東京都内の自宅前で記者団の取材に応じた。「まだ世の中が(拉致問題を)十分に認識していなかった時代から,暑い日も寒い日も署名活動にがんばっておられた。その姿をずっと拝見してきただけに痛恨のきわみだ」と悼んだ。

 滋さんの存命中に,めぐみさんの帰国を実現することはできなかった。「断腸の思い。本当に申しわけない思いでいっぱいであります」と言葉を絞り出した。「あらゆるチャンスを逃すことなく果断に行動していかなければならない」。こう決意を語った。

 首相は父親の秘書時代から拉致問題に取り組んできた。2002年9月に当時の小泉純一郎首相が北朝鮮を訪問したさいは,官房副長官として同行。拉致問題は首相の座を射止める源泉にもなった。

 第1次政権では拉致問題の担当相を新設。強力な布陣を強調したが,目にみえた進展はなく,退陣した。2012年に首相に返り咲くと2014年に北朝鮮が再調査し,日本独自の制裁を一部解除することで合意。進展するかにみえたが,成果はなかった。

 北朝鮮による弾道ミサイル発射や核実験などで圧力を強化していたが,2018年6月,トランプ米大統領北朝鮮の金 正恩キム・ジョンウン朝鮮労働党委員長による史上初の米朝首脳会談が実現した。トランプ氏は首相の求めに応じ,拉致問題を提起。2019年2月の米朝首脳会談でも,トランプ氏は拉致問題を取り上げた。

 首相はこうした米朝協議を境に,圧力一辺倒の路線を転換し,側近らに日朝首脳会談の実現に向けた調整を指示。2019年5月には前提条件をつけずに首脳会談の実現をめざす方針も表明し,「拉致問題を解決するためにあらゆるチャンスを逃さない。私自身が金委員長と向き合わなければならない」と決意を述べた。それでも拉致問題が解決に向けて進展する兆しはみえない。

 補注)これらの記事の内容に関した結論については,前段でも触れておいたが,金 正恩の答えはすでに出ていた。つまり「安倍首相を『歴史上最もばかな男』」とまでこき下ろしていた。安倍晋三トランプ大統領の手下みたいな存在でしかない事実を踏まえて,北朝鮮の金君はそこまで晋三君のことを,当然のように見下してもいた。

 「明明後日(シアサッテ)にでもお出で」というわけである。要は相手にされておらず,コケにもされていた。それでいて,いままで「拉致問題を解決するためにあらゆるチャンスを逃さない」と反復的に叫んできた。これではかえって,先方からは「バカにされつづける」だけである。

〔記事に戻る→〕 政府が拉致被害者として認定している17人のうち,帰国したのは5人。首相は新型コロナウイルスへの対応などで内閣支持率が下がる。自民党総裁としての任期は来年9月まで。首相に残された政権としての体力は十分ではなく,時間も短い。

  ※ 菅〔義偉〕氏「申しわけない」※

 (前略) 拉致問題担当相を務める菅義偉官房長官は〔6月〕5日夜,記者団に「めぐみさんを滋さんに会わせることができず,大変残念で申しわけなく思っている。遅々として進まない現状に対し,本当に申しわけない気持でいっぱいだ」と話した。

 国民民主党玉木雄一郎代表は「本当に無念だったと思う。無念の原因のひとつは,拉致問題の進展がまったく止まっていること。安倍政権の拉致問題解決に向けた本気度がまったくみえてこない」と批判した。(引用終わり)

 安倍晋三が自身の本気を向けえた対象は唯一,北朝鮮を自分の政権支持率の維持・高揚のために使うことであって,本当に北朝鮮拉致問題を解決することにあったわけではない。小泉純一郎が2002年9月に北朝鮮を訪問できたのは,それなりに前段階において先行(潜行)させていた外務省の非常な努力が前提にあっての成果であった。けれども,安倍晋三の場合は,そうした外務省からも必要である外交に関した当然の協働や助力が活かされていない。

 結局,前段でも触れたように「北朝鮮安倍晋三を『愚かで性悪』と罵倒〔し〕外交でも『日本は排除する』」などと(『Newsweek(日本語版)』2019年11月8日 14時30分,https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/11/post-13348. php),金 正恩君には罵倒・排除されるだけに終わっていた。北朝鮮からすれば,安倍晋三がトランプの背中越しにしかみえない姿になっている事実は,これだけでも相手にする価値なしとみなすのに十分は事由になっていた。要は「子どもの〈裸の王様〉」であるこの日本の首相に,まともな外交を期待することはできない,というわけであった。

 前段の記事(『Newsweek(日本語版)』)は,文中の小見出し的な記述としてさらに,「北朝鮮は『史上初めてアメリカの大統領と直通電話でつながり』,ロシア,中国とも首脳会談をおこなっている。のけ者にされているのは日本のほうだ」だとか,「非核化めぐる交渉で日本は蚊帳の外」だとか,日本の首相がさんざんにコケにされてきた実情も教える文句も並べていた。

 以上は,2019年11月の報道に聞いた「北朝鮮による安倍晋三〈観〉」である。だが,それ以前においても以後においても, “日朝間外交の実情” にめだった変化が生じていなかった。すなわち,安倍晋三のほうから打てる手は,なにももちあわせていなかった。しかし,それでもアベ君の得意文句は「拉致問題を解決するためにあらゆるチャンスを逃さない」というこれであった。もうだいぶ昔から聞き飽きていた「彼の得意なセリフ」であった。

 現在において安倍晋三を囲む政局の変化としては,この首相がこれまで維持できていた「安倍1強〔狂・凶〕」体制は,ほぼ潰えたといっていい。そのような地点にまで,政局が移動してきた。つまり,対・北朝鮮との外交問題に関していえば,これからなにか特別な進展が起こりうるかといった予測は,完全に不要になった。それは以前からの認識だったとはいえ,いまとなってみれば確信できる事項になった。

 いまさら廃品同然となったこの総理大臣になにか期待する人はいない。期待するとしたら,可及的速やかな退陣以外ありえない。それでなくとも,1日,1日が有害無益に無為に過ぎていくなかで,この「世襲3代目のお▼カ政治屋」の存在が,この国の腐朽度を深刻化させている事態・状況はたまらない。

【参考記事】

 「拉致問題に関する無策を批判する声が出て来ない不思議」『天木直人のブログ』2020-06-06,http://kenpo9.com/archives/6749

 

 「〈経済気象台〉ピンハネ経済を終わらせろ」朝日新聞』2020年6月6日朝刊6面「経済」

 このコラム〈経済気象台〉はときおり,とても適切に,安倍政権のデタラメないしは体たらくを指示し,批判する小文を公表している。なかでも,今日の文章はかなりよい主旨になっている。引用する。

 a) 緊急事態宣言が解除され,経済社会活動が徐々に動きはじめた。しかし,それはコロナ前への回帰を意味しないし,そうあるべきでもない。

 コロナ危機でとくに深刻な影響を受けたのは,個人向けサービス業をはじめ,多くの中小零細企業非正規労働者などだ。医療,介護,保育関係者も過重な労働と感染リスクにさらされている。

 その背景にあるのは,外出自粛の影響が大きい業種特性だけでなく,外的ショックへの抵抗力を奪ってきた経済のあり方とそれを促した政策だ。

 b) 1990年代以降,企業は非正規社員を増やし,賃金を抑え,取引先にコスト削減を求めた。こうして回復させた収益は投資ではなく,株主還元や手元資金として使われた。このため,成長力は回復せず,賃金が落ち,雇用が不安定となり,度重なる消費増税によって家計消費が萎縮した。

 長期停滞で中小企業の収益力は落ち,家計の資産蓄積が遅れ,経済を脆弱にした。コスト削減と効率化の圧力は医療や介護,教育にも及び,設備や人の余裕が現場で失われた。

 c) 大企業やハイテク企業による経済効率化をうたったアベノミクスは,経済再生どころか,中小企業や家計という重要な経済基盤,医療や教育という重要な社会インフラを弱体化させ,経済社会をより脆弱にした。

 換言すれば,効率化の名のもとに中小企業や家計からピンハネしたお金を一部の既得権益層に独占させ,国民の豊かさ実現に使わなかった。そのことが,コロナ禍をより甚大なものにしたのである。

 補注 1)たとえばこういう指摘・文章があったので,紹介しておく。

 

 2000年4月に,大阪市の保健所は1つに統合されてしまいました。広大な大阪市に保健所が1つしかないようでは,絶対に問題が起こるという懸念は当たり,集約化してから僅か3カ月後には集団食中毒が発生したほか,新型インフルエンザなど多くの問題が発生しました。

 

 やはり住民に身近な保健所であってこそ,いのちや健康が守られるのだと思います。大阪が全国で先駆けて「保健所つぶし」を強行したことで,兵庫や京都などの周辺でもつぎつぎと保健所がなくなっていったことは本当に残念でした。

 註記)「【新型コロナ】大阪市の保健所は僅か1カ所 住民の健康は身近な行政でこそ守られる」『大阪府保険医協会』2020/3/5,https://osaka-hk.org/posts/……

 

 補注 2)大阪市の保健所は,2000年の措置であったが,全24区にあった保健所を1カ所に集約し,代わりに窓口業務を主に担う保健福祉センターを設置していた。このために,2020年になってパンデミックとなって発生した新型コロナウイルス感染拡大に適切に対応できないという欠陥をさらけ出している。

〔記事に戻る→〕 厄災を乗り切ろうと必死に努力する多くの人々の気持がなえないうちに,このような経済システムを変えなければ,日本の経済社会が立ちなおることはない。(山人)(引用終わり)

 いま,安倍晋三君は,新型コロナウイルス感染拡大「問題」に対する対応がまともにできているとは思えない。これまで彼が残してきた采配の記録は,まるで専門家会議の構成員たち〔がとなえる政策じたいすらよく理解できないで〕に丸投げしており,これに足しては,非専門家たちである補佐官・秘書官や,厚生労働省感染症研究所関係者を中心とした官僚たちにのみ,頼ってきた経過を示している。

 要は,一国の最高指導者としての安倍晋三は現在,その指導力が事実として完全にマヒした状態にはまりこんでいる。いいかえれば,安倍自身がまともな指導体制を組めない「首相としての精神状態」になっている。だから,そのせいで最低限確保されるべき指導力の発動が期待できないでいる。新型コロナウイルス感染拡大「問題」は,政治の直接的な問題としては社会医療の問題であるが,それ以上に重大な影響を経済領域に与えている。こちらの事実は,いままさに深刻な様相を呈しながら進行中である。

 しかも,この2020年におけるコロナ問題が世の中に甚大な影響をもたらしている最中にあっても,安倍晋三の女房は,3密(密閉・密集・密接)を回避できない九州・大分への団体旅行を組んでは実行したり,旦那のほうはほうで,人びとが仕事やお客を失ったりして,これでは「もう首をつらなきゃ……」とまで叫んでいるときに,自分は自宅で星野 源とのSHS的なコラボ動画を優雅に演じる姿を公開するなどして,庶民の側からは大反発(ブーイングのブーメラン)を食らっていた。

 だが,この夫婦はなぜ,そのような反発や批判が国民たちから巻き起こってくるのかじたいについて,よく理解できていなかった。晋三も昭恵もボンボンとお姫様として生まれ育ってきたからといえ,なにも分からない人間に育つという必然的な理由はなかったと思いたい。だが,ともかく彼らが実際にやってきたのは,世間知らずの単なる “高度に脳天気である「夫婦像」” を,いまさらにように世間に広めたことだけであった。

 「そんな女房」を配偶者にもつ「こんな首相」が,第2次政権としていままで7年と半年近くも,日本の為政をなってきたのだから,この国がおかしくならないわけがなかった。

 新型コロナウイルスの感染拡大によって世の中の人びとや諸事業が大打撃を受けているただなかにあっても,いまの安倍政権のもとでは,つぎに引用する記事に書かれているような事態が進展してきた。まず,この記事の最初の段落から引用しておくが,いずれにせよ,安倍晋三の内政はいまだに “私物化政治が異様に甚だしい” のである。

  ★「安倍政権がこの期に及んで『Go To』批判封じに奔走!『ひるおび』八代弁護士がコロナ渦中に『レク受けた』とポロリ」★

      =『リテラ』2020.06.05 12:36 =

 

 安倍政権が新型コロナ感染拡大の真っただなかに,「コロナ収束後」におこなう観光や外食などへの経済対策として1兆6794億円もの予算を計上し非難を浴びた「Go Toキャンペーン」に,再び疑念が高まっている。 “再委託で電通に丸投げ” の事実が発覚し問題となっている中小・個人事業者向けの「持続化給付金」と同様,「Go To」でも事務業務を委託する予定だが,その事務委託費は予算の2割となる上限3095億円にもなるというのだ。

 

 しかも,この委託先については〔6月〕8日まで公募がおこなわれており,有識者による第三者委員会で審査・選定するというが,委員会メンバーの名前はおろか,議事録さえ公表しない方針だというのである。

 

 「持続化給付金」を電通の “トンネル法人” に委託したのは経産省中小企業庁,「Go To」を所管するのも経産省だ。本サイトでは既報で,「Go To」事業も委託先は「すでに電通で決まっている」という噂が広告業界で広がっていることを紹介したが,観光・外食などへの支援策であるにもかかわらず約3000億円もの巨額がまたしても電通に流れるようであれば,もはやそれは「経産省による電通支援策」ではないか。

 

 国民からは「支援が遅い」「これではもちこたえられない」という悲鳴があがるなか,新型コロナ対策さえをも利権にしようという政府の下劣さ。当然,もっと大きな批判が起こるべき問題だが,実はそんななか,あるコメンテーターが,気になることを口にした。

 

 その「気になる発言」が飛び出したのは,昨日4日放送の『ひるおび!』(TBS)でのこと。民放他局が “電通タブー” から及び腰の報道しかしないなか,TBSは唯一,「持続化給付金」問題の追及をがんばっている局だが,この『ひるおび!』でも「持続化給付金」問題と合わせて「Go To」の事務委託費問題を紹介し,元NHK解説副委員長の鎌田 靖氏が「疑念は晴れない」として,政府にしっかりとした説明を求める解説をおこなった。

 

 そして,鎌田氏の解説後,コメントを求められた八代英輝弁護士は「国中心になって事業を進めていこうとすると,プラットフォーマーと呼ばれるサービス基盤の提供業者,たとえば電通であったりパソナであったり,都心に集中している大企業のところにお金が残ってしまうんですよね」と指摘。その後, “地方活性化でV字回復を図るならもっと自治体を信頼し,国はそれを評価する側に回ればいい” と述べた。

 

 はじめは「持続化給付金」について語っていたのが,地方活性化云々というのはどうやら「Go To」に対しての感想のようだ。しかし,問題はこのあと。八代弁護士の “国は評価する側に回ればいい” というコメントを受けて,MCの恵俊彰は「結局そこが(政府の)アピール,手柄みたいに受けとってしまうんですよね」と政権にツッコミを入れると,八代弁護士はそれを否定するように,こう口にしたのだ。

 

 「あのー,私,そのキャンペーンについてレクを受けたので,その,政府がですね,手柄を狙っているではなくて,いかにお金を地方に回していこうかということを考えているのは伝わってくるんですけども」。

 

 八代弁護士はさらっと述べたが,「キャンペーンについてのレクを受けた」とは,いったいどういうことなのか。「政府が手柄を狙っていないことは伝わってくる」と口にしていることからも,八代弁護士にレクチャーをおこなったのは「政府」ということだろう。

 

 八代氏は元裁判官の弁護士であり,タレントとして所属する事務所のプロフィールには〈著作権法知的財産権法に精通〉〈主に国際的な知的財産権ビジネスに携わる〉とある。そうした弁護士が,どうして無関係の観光や外食,イベントなどの業界向けに実施される「Go Toキャンペーン」についてのレクチャーを受けているのか……。

 註記)以上,https://lite-ra.com/2020/06/post-5456.html から。さらにこの2倍の記述量がある記事であったが,これ以上は紹介しない。途中で出てきた会社名のパソナの最高幹部が竹中平蔵である。

 この『リテラ』の記事がつづく文章のなかで出していた小見出しは,こういう文句になっていた。

  ◆-1 コロナ感染拡大の最中も安倍応援団に「レク」「ご説明」で批判封じに奔走する安倍政権

  ◆-2 『モーニングショー』から『アッコにおまかせ!』まで!  内閣官房がテレビ監視

 ここでは,とくに◆-2から,つぎの段落を紹介しておく。

 要するに,内閣官房は新型コロナに関して,公金を使ってどの専門家・コメンテーターがどんな発言をおこなったかを監視し,誤報やあら探しをおこなっていたのである。さらに,専門家会議の議事録さえ作成していない安倍政権が今回この記録文書を922枚も開示したのも,「しっかり監視している」ということを明らかにすることで番組や出演者にプレッシャーを与えるためだろう。

 

 政府の新型コロナ対策は市民の生活を左右する死活問題であり,それを真正面から検証・批判するのはメディアの責務だ。しかし,それを妨害するかのような安倍政権によるコメンテーターの懐柔と批判的報道に対する圧力。世論形成にばかりかまけるこの政権に,はたして感染拡大の食い止めや必要な対策を取ることなどできるだろうか。

 

 「〔20〕19年出生率 1.36,4年連続減…人口自然減は初の50万人超」YOMIURI ONLINE』2020/06/06 07:06,https://www.yomiuri.co.jp/national/20200606-OYT1T50063/ など参照した議論

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 「出生率1.36  下げ幅拡大 『自然減』初の50万人台  人口動態統計」との見出しで報じた『毎日新聞』2020年6月6日朝刊は,本文をこう書いていた。

 厚生労働省が〔6月〕5日公表した人口動態統計によると,2019年の合計特殊出生率(1人の女性が一生に産む子どもの数に相当)は 1.36で前年〔の1.42〕を0.06ポイント下回り,4年連続で低下した。2019年に生まれた子どもの数(出生数)は86万5234人(前年比5万3166人減)で,1899年の統計開始以来,もっとも少なかった。

 

 死亡数は138万1098人(同1万8628人増)で,戦後最多。死亡数から出生数を引いた「自然減」は51万5864人となり,初めて50万人台となった。減少は13年連続で,減少幅は過去最大となった。

 註記)https://mainichi.jp/articles/20200606/ddm/001/040/127000c

 ところで,「死亡数から出生数を引いた『自然減』」が初めて生じたのは2005年の出来事であった。人口動態統計によると同年の「出生数 106万2530人」に対して,「死亡数」は108万3796人であり,死亡者数が2万1266人上回っていた。

 安倍晋三が初めて首相の座に就いて第1次政権を組んだのは,2006年9月下旬であった。もっとも安倍は,ほぼ1年間の任期でもって,この政権を放り投げるようにして辞任していた。ともかくそして,第2次政権が2012年12月に発足していた。爾来,7年と半年ちかくもの長期政権を誇ってきた。ところが,この人口減少という大問題に対して,この政権がなにか有効な対策を講じえた実績があったかいえば,ほとんどなかったのである。

 2016年の話題であったが,「ユーキャン新語・流行語大賞」のトップ10のなかに「保育園落ちた日本死ね」という文句が選ばれていた。ところが,安倍政権がこの少子化対策関連として講じてきた具体的な措置が,まともにかつ有効に実現するものにはなっていなかった。

 ※-1 匿名ブログに書かれた「保育園落ちた日本死ね」という恨み節が話題になり,待機児童問題がクローズアップされたのは2016年のこと。以来,解決に向けた取り組みは加速したのだが,残念ながら深刻さは軽減されておらず再び怨嗟の声があがることも考えられる。2017年までの2年間で待機児童数を大幅に上回る規模で受け皿作りが実施されたが,10年前に比べて状況はほとんど改善されていないという。
註記)「『保育園落ちた日本死ね』から2年,いまどうなってるの?」『BOOK ウォッチ』2018/4/2,https://books.j-cast.com/2018/04/02007142.html

 

 ※-2 政府のかかげる一億総活躍社会が有名無実のスローガンに過ぎないことが「待機児童問題」を機に露わになり,同じような境遇を強いられている人々がソーシャルメディアを通じて積極的につながることになった。

 

  「まじいい加減にしろ日本」 ネット炎上を誘発した直後は「日本死ね」ばかりに注目が集まり,心ない有識者からは「韓国でも中国でもいけばいい」「イスラム国にいったらいい」という暴言すら飛び出したが,このブログの本意はどちらかといえば「まじいい加減にしろ日本」という結語にこそあったと思われる。

 

 要するに,働く女性の子育てを大して重要視しない国の姿勢に対する強烈な違和感である。以下の文面にそれが示されている。なお,(????)内は引用者補足。

 

   不倫してもいいし賄賂受けとるのもどうでもいいから保育園増やせよ。

   オリンピックで何百億円無駄に使ってんだよ。(実は何兆円だが……)

   エンブレムとかどうでもいいから保育園作れよ。

   有名なデザイナーに払う金あるなら保育園作れよ。

   どうすんだよ会社やめなくちゃならねーだろ。

   ふざけんな日本。(We are no Abe  JAPAN!)

 

 ここに書かれているエンブレムとは,2015年(平成27年)のトピックとなった東京オリンピックパラリンピックの「公式エンブレムの盗作疑惑」を踏まえたものだ。

 

 そもそも五輪開催に巨額の税金を湯水のごとく流しこんでいるにもかかわらず,国民が切実に必要としている「保育園ひとつ」作ろうとしない,そのための保育士の処遇改善に力を入れようとしない,日本という国の「異常さ」を告発しているのである。

 註記)「〈平成炎上史〉『日本死ね!』 ブログが予言した日本 自己責任論でがんじがらめ」『withnews』2019/09/23,https://withnews.jp/article/f0190923001qq000000000000000W0bq10701qq000019840A

 新型コロナウイルス感染拡大「問題」が2020東京オリンピックを「1年延期させた」が,おそらく今後のなりゆきとしては,この五輪をパンクさせる可能性が高い。ゆえになのか,小池百合子都知事は数日前だが,簡素化した五輪の開催にしたいなどと,またもや 「〈緑のたぬき〉から〈コロナのタヌキ〉に変じた」『化かし術』を披露しはじめた。だが,そうや問屋が卸すかがみものである。

 要は,安倍晋三第2次政権は,この保育所の問題ひとつさえ満足に対応できていなかった。出生率(その実質は出生数)がベタ減りしていく時代の趨勢:必然性に,もはや歯止めはかからない状況になっている。安倍晋三夫婦に子どもが “いなかった事実” は別問題としても,2020年から2021年に入ってからはさらに,新型コロナウイルス感染拡大という「影響要因」が,「出生率・数」を減少させていく進度を加速させると予想されていい。

 安倍晋三の私物化政治は,日本という国じたいを「死物化させる方途」に向かわせている。安倍は,政治そのものに対する国民たちの信頼感を根本から粉砕した。あたかも「アベノポリティックスとアベノミクス本来の目的」ではなかったとみまごう風景が,2020年代の日本においてはその後遺症として継承され,本格的に展開していく。

 「亡国の首相」にとっての基本任務であったならば,この安倍晋三君はとてもよく実現させてきた。けれども,日本の政治を私物化させた現状のごとき結果は,この国じたいの全体的な利害・立場に照らしていえば,完全に死物化への近道を意味した。

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