医学部人気の時代にまで残っていた旧態依然の不正入試問題,東京医科大学の話題をめぐる話題など

 東京医科大学不正入試事件の「公判」をめぐる小考

 息子の合格(入学)を依頼した覚えはないと主張する佐野 太・元局長の立場

 東京医大側の示した応答ぶりを,大学入試不正問題に関する公正性・公平性の問題として,倫理性の観点から考える

 

  要点:1 文部科学省の局長であった国家官僚が息子の医大受験で,当の大学理事長と合否にかかわる話題を抽象的にとりあげただけだとしても,これですでに「双方の立場・間」における公平性・公正性は損壊・喪失

  要点:2 大学入試の内部関連情報はその一部始終に関して,大学側からは外部に対していっさい厳封のうえ,完全なる秘密の保持が大前提であるのに,理事長と文科省局長がこの息子の受験について触れて話題にしたことじたいが,そもそも重大なルール違反


 「次男の受験『よろしくお願いします』 文科省元局長,医大汚職事件公判で音声再生」朝日新聞』2020年7月21日朝刊27面「社会」

 文部科学省の私立大学支援事業をめぐる汚職事件で,東京医科大に次男を合格させてもらったとして受託収賄の罪に問われた同省の元科学技術・学術政策局長,佐野 太被告(60歳)ら4人の公判が〔2020年7月〕20日東京地裁であった。検察側は法廷で,佐野元局長が大学側から便宜を図るよう依頼を受けた場面とされる会食時の録音を再生。佐野元局長が大学側に「よろしくお願いします」などと話す音声が流された。

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 音声は,佐野元局長が同省官房長だった2017年5月,同大理事長だった臼井正彦被告(79歳)らと会食したさいの会話を録音したもの。同席したコンサル会社元役員の谷口浩司被告(49歳)=受託収賄幇助(ほうじょ)罪で起訴=が無断録音していた。

 佐野元局長が浪人中の次男について「またよろしくお願いします」と述べると,臼井前理事長は「来年は絶対大丈夫」「あと5点,10点欲しい」と発言。佐野元局長が「こんどは勉強してやります」というと,臼井前理事長は「ぜひぜひ,もううちに予約しておいでになって」と応じた。

 佐野元局長は被告人質問で,会話の趣旨について「『大丈夫』が優遇を意味しているとはまったく思わなかった」と主張。「検察の主張は曲解。私の発言は合格するようにがんばらせるという意味だ」と反論した。

 補注)以上の記事で “直前の2段落” のやりとりは,佐野元局長の息子を不正入試的に合格させうる話題ではなかったと主張する佐野側のいいぶんを紹介している。だが,この点は,いまどきの大学入試業務にかかわる基本的な遵守事項が,東京医科大学理事長との話を交わすなかで完全に破られていた事実を意味しており,重大な問題点になりうる。

 そのような会話が佐野の息子が受験した東京医大の,しかも理事長とその父親がじかに会食をした席でゆきかったという事実そのものが,すでに完全に不正そのものを発生させていた点を理解しておかねばならない。

 裁判(刑事)になっているゆえ,被告となった佐野側はそのように争う論理を打ち出しているが,大学に勤務する教員・職員で入試業務にたずさわった経験のある人たちにいわせれば,完全にダメというほかない行為を,佐野は犯していた。

 裁判で争うための理屈を立てる点に関してとなるが,大学が一般的な原則として不正入試予防のために配慮している対策を,佐野〔および東京医大側,とくに理事長〕は,完全に無視し,逸脱していた。この指摘は,いまでは常識的な判断として断定できる程度のものである。ともかく,裁判の問題で争う以前の「大学業務管理」に関した基本原則が,基本から放逐されていたゆえ,佐野側の理屈は通らない。

〔記事に戻る→〕 録音では,佐野元局長が便宜を図ったとされる私立大学支援事業への言及もあった。佐野元局長は臼井前理事長に担当者を紹介すると述べ,「私の名前は絶対にいわないでほしい」と発言。谷口元役員も「私がいっしょにいけば記録を残さずに済み,佐野さんに迷惑がかからない」と話した。(引用終わり)

 この最後の段落は要するに,録音をしていた谷口浩司は,臼井理事長と佐野局長(いずれも当時)が会食した席で,佐野の息子の東京医大「受験⇒合格」の件を話した内容に関してとなるが,いわば『証言者』の立場に立っていたことを指している。いいかえれば,あとで「いったとか,いわなかったとか」というたぐいの問題が,双方のあいだで生じたりしないように予防する意味もあって,その場に谷口が第3者として立ち会っていた。ひそかに録音もしていた。

 谷口が断わりになしに,その会食の場における会話を録音していたが,これは「不正入試の進捗模様に途中で齟齬や疎漏を発生させないための防備であった」と観察されて当然である。そもそも,大学入試業務全般の内外部に対する秘密の保持は,いまの時代では当たりまえの遵守事項になっている。だが,理事長自身が,自学の医学部に息子を受験させる者としてもつその父親と,利権がらみ風の会食のなかでの会話であったからこそ,その証拠(もしくは言質?)保全のために谷口が録音をないしょでおこなっていた。

 

 「『医科大への指導断った』 文科省汚職 地裁公判で元局長」日本経済新聞』2020年7月21日朝刊35面「社会」

 私立大支援事業をめぐ巡る文部科学省汚職事件で,受託収賄罪に問われた同省の元科学技術・学術政策局長の佐野 太被告(60歳)の公判が〔7月〕20日東京地裁(西野吾一裁判長)であった。佐野被告は被告人質問で「(事業計画書の)書き方の指導はできないとはっきりと断わった」と述べた。

 佐野被告と東京医科大側との会食で,助言や息子の受験に関するやりとりがあったとする検察側の主張に対し,被告は「助言と受験を結びつけた会話をした覚えはいっさいない」と否定。贈賄罪で起訴された東京医科大の前理事長,臼井正彦被告(79歳)から,息子について「来年は絶対大丈夫」といわれたのは,加点してくれるという意味ではなく「励ましだと思った」と説明した。

 補注)法廷で争う内容のやりとりであった点は,いったん置くとしても,この佐野のいいぶんは「大学入試の公平性・公平性」の観点についていえば,その大前提からして破っている会話を理事長と交わしていた事実を,完全に否定しようとする法廷闘争用のいいぶんであった。

 「東京医科大側との会食で,助言や息子の受験に関するやりとり」がなかったという佐野側のいいぶんは,理事長と会話を交わしたさい,理事長のから前項 ① で言及があった点,「来年は絶対大丈夫」「あと5点,10点欲しい」といわれたのは「励まされたと解釈していた」と抗弁していた。とはいえ,このようなやりとりが両名のあいだでなされたことじたい,すでに,大学入試の機密保持の遵守という点に抵触していた事実が重大な問題であった。

 その「来年は絶対大丈夫」「あと5点,10点欲しい」と理事長が発言した言辞は,当然,いかようにでも解釈できる余地がある。一般論だといえばそうである。しかし,理事長の立場として,相手が誰であっても,この人の肉親(子どもなど)が自学医学部を受験している(浪人し,再受験する)という話題が出てきたさい,これに対してあれこれと,なにかを(なんであっても)答える(言及する)ことは,もともと絶対に発してはならない禁句(禁止事項)である。これは入試業務にかかわっては厳守しなければならない注意事項のイロハである。

 さて,医大の入試ではなかったが,以前,早稲田大学大学院商学研究科内においてある教員が,博士後期課程受験科目の出題者を自分のゼミに所属する院生に漏らし,処分された事件があった。入試の公正性・公平性を学外・学内を問わず,完全に保持・確保することを破ったその内部情報の漏洩であったゆえ,当該の教員が処分を受けたのは当然であった。

 本ブログ筆者の実体験でいうと,大学院の修士課程から博士課程を受験するときは,英語の科目にくわえて第2外国語が試験科目が課せられていたので,ドイツ語を選択して受験することになった。だが,どの教員(教授)がその出題者になるかは,なんとはなしにではなく,「はっきり」と分かっていた。

 つまり,そのことは誰にも教えられなくとも分かっていた。というのは,大学院担当の教授でしかもドイツ語を研究上盛んに運用している人物が誰であるかは,一目瞭然であったからである(この教授が出題する)。前段の早大商学研究科の場合だと,教員数も多いところだから,多少分かりにくくなるはずだと思われるが,いずれにせよ,そこをわざわざ「教えてしまった」点が規則違反であった。

 ところが,東京医科大学(元)理事長と文科省(元)局長との「贈賄事件」となった今回の不正入試の1件は,大学入試事務に直接関与していた理事長と文科省局長が,大学に対する補助金事業に関する手続とからんだ業務の展開のなかで,後者の息子の不正入試を合格にさせるために操作する問題を発生させていた。

〔記事に戻る→〕 検察側は大学側が息子の点数を加算し,不正合格させたことが賄賂に当たるとしている。公判では受託収賄ほう助罪で起訴された元医療コンサルティング会社役員谷口浩司被告(49歳)が録音した2017年5月の会食でのやりとりが法廷で流された。

 

  若干の考察

 大学入試業務にかかわる教員・職員は,この仕事に実際にたずさわるとき,非常に神経を使うことになる。たとえば,試験問題の作成・印刷・保管からして慎重を期する必要がある。試験問題の印刷所(業者先)じたいですら他者に漏らすなど,とんでもない不埒な行為となる。

 大学入試の実情に関して,たとえば受験しようとする保護者(両親など)から,お宅はどういう形式・実情でその入試が実施されているのかと,大学に勤務する者は聞かれる場合もある。だが,その問い合わせについては受験情報誌に出ている程度の情報か,あるいは,くわえてとなっても,けっして内部において具体的に関連する入試の情報は,絶対に話題にしてはいけない。大学のHPの正式に公開されている以上のことは,話すわけにはいかない。

 その意味では東京医科大学「不正入試事件」は,まさしく事件であったのであり,不正入試がなされたと疑うほかないやりとりが,しかも理事長と文科省局長の立場にいた国家官僚との間柄において発生していた。法的に問題があったかどうかは,さらに法廷で争っていくけれども,最新における大学事情に鑑みていえば,東京医大理事長と局長とのやりとりは,『大学倫理要綱』が整備されている現段階の問題としては,無条件に最初から違反であった。

 2018年7月ごろから問題になりはじめた東京医科大学における不正入試の問題は,私立大学医学部・医科大学のみならず国公立大学でも,類似した入試をめぐる男女差別や多浪(年齢)差別が問題になっていた。ところが,医学部入試の特殊な環境もあって,その種の不正入試がそれまで発覚せず放置されてきた。

 昔,医学部(とはいっても国立系の頂点に位置する著名大学)は「白い巨塔」と名づけられ,物語化されていた。昨今まで,医学部人気を背景に控えていた私大医学部・医科大学における「男女差別や多浪差別の問題」は,2018年夏までは表面化しないで済ませて来られたものの,東京医科大学文科省局長とのあいだに生まれた「不正入試事件」問題の発覚・表面化を契機に,医学部の入試体制に残存していた差別問題が,完璧とはいえないまでも,かなりなまで是正される事態を生んでいた。


  世俗っぽいが肉薄したこの不正入試事件の解説-その全文を紹介しておく-

 ② のごとき法律次元や倫理次元の視点から東京医科大学不正入試事件を観るのではなく,つぎのような題名の立場に立ち,この事件を解説した文章を紹介しておきたい。問題の背景がよくみとおせる文章になっている。

  ★ 始まりは19歳浪人生のSNS……現役女医が振り返る東京医大入試不正事件 ★
     =『本が好き』2019/07/05,https://honsuki.jp/pickup/20210.html

 2018年7月,東京医大の入試不正事件をきっかけに明るみに出た,女性の医学部受験者への減点操作。フリーランス麻酔科医として政治家・プロスポーツ選手・AV女優などさまざまな患者の手術をおこない,ドラマ『ドクターX~外科医・大門未知子~』(テレビ朝日系)など医療ドラマの制作協力にも携わる著者が,いままで誰も公言できなかった女医問題の真実を語る,光文社新書『女医問題ぶった斬り!~女性減点入試の真犯人~』が刊行された。これを記念して,本書の一部を公開する。東京医大事件はなにを世に問うたのか?(第1回分) 

 ◆-1 ツイッター合格宣言

 2018年7月,文部科学省の前局長である佐野 太(ふとし)氏が,私立大学支援事業の対象校選定に便宜を図った見返りに,東京医科大学の入試で息子を不正に合格させてもらっていたとして,受託収賄容疑で逮捕された。学長や理事長も絡む大規模な不正だったようで,新聞テレビともにトップニュースとして扱った。高級官僚の贈収賄が,現金・株・土地などでおこなわれる事件は昭和時代から存在していたが,「医大入試で加点」というのは目新しい。

 この事件,さらに目新しいのは,インターネット上に佐野元局長の息子とおぼしきツイッターアカウントが存在し,事件に関するツイートが複数存在したことである。ツイッターによると,2017年5月に「浪人して良かったー!!!!!!」という歓喜の書きこみ(パパに裏口合格を教えてもらった日?)があり,2017年12月28日には大学入試センター試験の16日前にもかかわらず「セブ島で年を越す」という浪人生とは思えない海外バカンスの報告がある。

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 さらに,医大受験が終わった直後の2018年3月3日には「受験おわったー!!!! (中略) たぶん東京医科大いきます」と,すでに合格宣言をしている。事件発覚後,元のアカウントは閲覧不可能になったが,スクリーンショットなどに残された情報はSNSで拡散され炎上した。

 補注)佐野貴徳君の父親「太」氏は,息子がこのようにSNSで発信していた事実をしらなかったのか?

 2015年の電通新人女性社員過労自殺事件では,会社側が「私生活における恋愛関係のもつれによる自殺」として処理しようとしたのを,女子社員がSNSに残した長時間労働パワハラ・セクハラに苦しむツイートが発見されて,世論を動かしたが,この事件もSNSが世論を動かした事件ともいえる。

 ◆-2 ニュースがもたらした驚き

 そもそも,東京医科大学とは東京都新宿区にある私立医大のひとつであるが,一般人に広くしられている有名校とはいいがたい。本件に関しても,案の定,TBSやニューズウィーク誌など複数のメディアが東京医科歯科大学の写真を誤使用してしまい,東京医科歯科大学が公式ホームページで異例の抗議文を掲載した。

 東京医大卒業生としては,先にも紹介した,日本人初の国際機関トップとなった元世界保健機関事務局長の中嶋 宏氏や,人気テレビドラマシリーズ『医龍』の原案を担当した内科医兼医療ジャーナリストの永井 明氏,精神科医香山リカ氏などが挙げられる。新宿駅から徒歩圏内の都心部に立地しており,その雰囲気は永井 明氏の自伝的小説『新宿医科大学』に詳しい。

 このニュースに,私を含む50代医師の多くは驚いた。1980年代の受験常識では,東京医大を含む中堅私立医大の入試偏差値は50~55程度,学力的には東大京大はおろか早慶にも及ばないイメージだった。開業医の跡継ぎ向けの特殊な学校」「面接試験では寄付金の交渉をする」「加点1点ごとに100万円」などと,当時の週刊誌ではまことしやかに報道されていた。

 医師国家試験の合格率も高くはなかったので,新宿区には同校や同様の私立医大を対象にした,医大生や医師国家試験浪人生向けの予備校が存在し,年数百万円という学費にもかかわらず繁盛していた。つまり,当時の常識では「一般家庭では高額学費(+寄付金+国家試験予備校学費)を捻出できないし,卒業しても国家試験合格率は低いし,それを突破して医者になっても勤務医じゃ学費の元を取れない」とされていたので,同校に入学希望者が殺到することはなかったのである。

 しかし,NHKの報道によると,2018年の東京医大の一般受験枠は75名,受験者約2600名,一次合格者451名,最終合格者171名,進学者85名だそうである。そして,佐野ジュニアは「一次試験が合格ラインに達していなかったので,学長・理事長の指示で大幅加点」したそうである。

 ◆-3 変わる私立医大入試の裏事情

 ここからは私の推測だが,2018年ころの私立医大入試では,コネによる加点といっても「小論文・面接」でごまかせる範囲のレベルが主流で,一次の学力試験は基本的には自力突破が要求された(らしい)。

 1980~1990年代,私立医大では寄付金と引きかえに学力イマイチ学生を入学させたが,「学力不足で留年や国家試験浪人を繰り返した挙句,30代無職」のような悲惨な事例が相次いだ。医師国家試験は,マークシート方式の純粋な学力試験でカネ・コネの効かない世界なので,本人の基礎学力や意欲が乏しい場合には,結局のところ突破できないのである。

 そして,医師免許取得を諦めてキャリアチェンジを検討する年ごろになると,新卒や若さが重視される日本社会では,人生の選択肢が限りなく少なくなっている。こうした元ベテラン医大生たちは高い確率でメンタルを病み,なかには性犯罪で逮捕されるなど,保護者も医大側も事後処理に苦慮させられたので,近年の医学部人気もあって学力試験の大幅加点は下火になった(らしい)。

 佐野パパは,文科省のなかでも旧科学技術庁の出身であり,このような私立医大入試の裏常識(?)に疎く,よくある一般私立大のAO入試のように解釈してしまったのではないか。また,医大理事長側も「有名高校の学生だし,面接でチョロッと加点すれば大丈夫だろう」と忖度して,合格を安請け合いしてしまったのではないだろうか。

 そして,佐野パパはAO〔的なと考えた〕入試やら就活内定の感覚で息子に医大合格の内定を告げてしまい,息子もそれをSNSで全世界に発信してしまった。親子で医大入試をナメて,直前に海外リゾートでバカンスを楽しむなどしたあげく,勉強に身が入らなくなって一次試験の自力合格も果たせなかった。その結果,医大理事長は「一次試験の大幅加点」という悪目立ちする行為に手を出さざるをえなかった。

 補注)このところにこそ,東京医科大学側:理事長の裁量,「従前の不正入試にかかわる操作行為」が働く余地が用意されていた。受験生の佐野貴徳君に対しても,まだ「あと5点,10点欲しい」と期待するときに利用された「のりしろの部分」は,その意味では理事長の裁量に属していたのだから,相当程度にまで伸縮自在だったはずである。そして,さらに不足する点数は,小論文や面接の試験の採点のほうでも重ねて「適当に微調整しておけばよい」という具合に,結論的・総合的には理解しておく。

 現在,東京医科大学ホームページに掲載されているのは,2020年度用の「医学科 入学試験概要」であるが,入試の総点500点のうち小論文60点・面接40点(計100点)である。これをみると,この小論文と面接の合計点で10点から20点程度の調整はそれほど困難を感じない。理事長がいった全体の点数のなかで「あと5点,10点欲しい」という水準は,はっきりいって簡単に調整可能といえる。また,受験生自身がこの5点~10点」を「どこか」でさらに稼げれば,話はより簡単になりうる。

〔記事に戻る→〕 また,SNSでの息子のはしゃぎっぷりから推測するに,現実社会でも周囲に「オレのオヤジは文科省局長だから,コネで医大入学決まったぜ!」のような自慢話を繰り返していたのではないだろうか。やがて周囲の受験生から疑問視されるようになり,しかるべき筋へ告発する者が出現したのではないだろうか。あくまでも私の想像だが。

 医学部人気はしっていたが,「文科省高官がイリーガルな手段を使ってまで,息子を私立医大に入学させたがる時代なのか」と,私は驚かされた。そして,「文科省高等教育局」やら「国立大学副学長」を経験して,日本の高等教育をしりつくした人材が,不正手段を講じてまで息子に与えたかった学歴が,慶応義塾大学や早稲田大学のような既存名門校ではなく,中堅私立医大というライセンススクールという事実に,現代日本の大学教育や科学研究のゆきづまりをヒシヒシと思いしらされたのだった。(引用終わり)

 --ちなみに,佐野貴徳君はいまも東京医科大学に在籍しているとのことらしいが,もしも彼が除籍などの処分を受けたりしたら,2018年度まで不正入試によって合格あつかいされ,現在在籍している3年生以上の学生たちも同時に,なんらかの処分の対象になるほかなく,こうなると大混乱が生じるはずだから,こちらの問題は手つかずのままに経過してきたのか?

 とはいえ,私立大学医学部・医科大学を主舞台としてきた不正入試は,佐野 太元文科省局長の息子にかかわる事件の発覚,社会問題化を契機に,完全とはいえないまでも解消させていかざるをえない方向に向かっているはずである。しかし,聖マリアンナ医科大学のように,不正入試の実在をすなおに認めようとしなかった私大系の医学部・医科大学もあったりで,問題はなぜそうした態度・対応をとりつづける私大の医科大学が出現していたのかという点も,さらに掘り下げて解明すべきである。

 本ブログ内にはつぎの関連する記述があった。

 

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