原発事業で金儲けができると勘違いしただけでなく,欧米諸国からその斜陽産業部門をババ抜きの要領で体よく押しつけられてきた「東芝・日立・三菱重工」のいい面の皮

 山田厚史が「デモクラシータイムス」のネット記事でまとめた『敗戦後日本史』としての「原発導入史の顛末」

 日本は,大東亜(太平洋)戦争末期に原爆を投下されたうえ,その66年後には東電の原発事故に遭遇する体験をさせられた

 それでもまだなお,なかなか懲りずに「原子力を利用した発電方式」に抱きついたままでいる「経済産業省」の喜劇的な悲劇「性」,そのエネルギー電源政策の完全なる過ち

 東芝・日立・三菱重工は,原発事業部門を欧米企業から買収し,大いに金儲けができると「たぬきの皮算用」をしてみたが,その目算はことごとく失敗

 海の向こう側では,当該の欧米企業がそれらお人好しの日本の会社を,「笑いを噛みころしながら」「ザマをみろ」と,しっかりとていねいに嘲けていた

 

  要点:1  「安価でも安全でもなく,ましてや安心など絶対にできない原発」の利用は,兵器として原爆技術の応用だったから当然のなりゆき

  要点:2 いまごろ,原発を製造・販売して金儲けをしようとした日本の資本家・経営者支配体制側のうかつな大誤算
  
  要点:3 原発「教」に罹患している反国民的な官庁:経済産業省は,即刻,解体が必要


  「【山田厚史の闇と死角】死屍累々 原発ルネッサンス~アベ政権の落日 20200728」『デモクラシータイムス』2020年7月31日公開,https://www.youtube.com/watch?v=0o3bqoayphg

 a) この ① は,ユーチューブ動画記事を放送する『デモクラシータイムス』の新しい記事であった。放送時間は46分21秒であり,直接視聴するのが面倒だという人向けに,この動画記事のなかに順次かかげられていた「プレゼン用の図表」,つまり,放送内容に即して提示されていた「案内のためのパネル画像」〔だけ〕を,すべて紹介しておくやり方で通覧してもらうのも便宜だと考え,以下にそれらを単に順繰りに出していくかっこうで,本日における「この記述の中心部分」を構成してみた。

 そのさい,以下にかかげている「案内のためのパネル画像」ついては,事前に最小限の言及をしておく形式をとって,全体の記述を意味づけておきたい。

 f:id:socialsciencereview:20200802112036j:plain

 まずはこれであるが,本でいえば表紙に相当する。「死屍累々 原発ルネッサンス 『亡国の経産省内閣』」と書かれている。安倍晋三という総理大臣を官邸内で支えている補佐官・秘書官のうちでもとくに,今井尚哉(たかや)補佐官・秘書官の存在が重要であった(ここではひとまず,すでに過去形で論じておく)。

 今井尚哉(1958年8月生まれ)は,東京大学法学部卒業,経済産業省から「内閣総理大臣秘書官・補佐官」になった人物である。血縁者の親戚に,今井善衛(叔父)と今井 敬(叔父)がいる。この2人はのちに言及されるので,氏名のみ記憶しておいてほしい。

 なぜ「死屍累々 原発ルネッサンス~アベ政権の落日」などといったどぎつい表題がつけられたのかといえば,それなりに当然とみなすほかない理由があった。人類・人間が使用してきた道具・機械・装置などはみな,なにかのきっかけがあれば,故障したりそして事故を起こしたりする可能性や必然性を,もともと不可避に備えている。

 ところが,原発に関してのみは,しかも「原爆技術の応用編」であるはずのこの巨大な湯沸かし器的な電力生産方式として,非常に危険であって,おまけに放射性物質を核燃料として炊いて利用するからには,それこそ本来的に危険がいっぱいな特徴をもつ。にもかかわらず,否,そうであったからこそというべきか,例の安全神話(もっといえば「安全で安価で安心」という架空の想定)を絶対的な価値感として,一般大衆に向けて喧伝しておかねばならなかった。

 つまり,その密教としての安全神話はあくまで庶民をだまらかすための,もとからの「デッチ上げ話」に過ぎず,大学・大学院で原子力工学を学んだ者たちはみな,原発のその恐ろしい物理・化学的な特性は周知する科学知識であった。だから,この危険性に我慢できないで反・原発の工学者になっていたのが,「熊取六人衆」であった。

 補注)ウィキペディアの説明に聞くと,「熊取六人衆(くまとりろくにんしゅう)」とは,原子力利用の危険性について研究し,追究しつづけてきた京都大学原子炉実験所(現・京都大学複合原子力科学研究所)原子力安全研究グループの6人の科学者の総称,通称である。

 「熊取」は,同所の所在する大阪府泉南郡熊取町に由来するが,このグループの目的は「原子力災害,放射能汚染など,原子力利用に伴うリスクを明らかにする研究をおこない,その成果を広く公表することによって,原子力利用の是非を考えるための材料を社会に提供する」となっている。

 その「六人衆」の氏名・履歴は,こうである。

  海老澤徹(1939年- ) 京都大学原子炉実験所元助教授。川崎市生まれ,京都大学理学部卒業,京都大学原子炉実験所助手,ミュンヘン工科大学研究員としてフランスの核物理学研究機関ラウエ・ランジュヴァン研究所(fr:  Institut Laue-Langevin)に滞在,2002年退官。

  小林圭二(1939年-2019年) 京都大学原子炉実験所元助手,元講師。

  瀬尾 健(1940年-1994年) 京都大学原子炉実験所元助手。

  川野眞治(1942年- ) 京都大学原子炉実験所元助教授。大分県中津市生まれ,京都大学理学部卒業,京都大学大学院理学研究科博士課程修了,京都大学原子炉実験所助手,助教授を経て,2005年退官。

  小出裕章(1949年- ) 京都大学原子炉実験所元助教(2016年退官)。

  今中哲二(1950年- ) 京都大学原子炉実験所助教(2016年退官)。

 さて,スリーマイル島原発の事故が1979年3月28日に発生していた。この事故は「国際原子力事象評価尺度(INES)の7段階」のうち,5段階 (「原子炉の炉心や放射性物質障壁の重大な損傷」をともなった「事業所外へリスクを伴う事故」) に位置づけられていた。結局,その直後から,アメリカにおける原発の新増設がいちじるしく抑制され,沈滞する結果を招来してきた。

 本日の表題のなかに出ていた標語「原発ルネッサンス」とは,そうした20世紀最後の第4・四半期において現象せざるをえなかった “原発利用の低調” を克服しようと,21世紀に入ってからだが,原子力産業界に「再成長時期」を起こさせるための,いわば合い言葉としてこの「原子力ルネッサンス」が高揚,喧伝されていた。なかでも,地球環境問題をめぐって気候変動対策用の主柱として期待され,また化石燃料価格の高騰,途上国や中進工業国におけるエネルギー需要の増大などの背景を控えて,その原発ルネッサンスの気運が意図的に起こされていた。

 さてつぎに,1986年4月26日になると「チェルノブイリ原発事故」が起きていた。こちらの話題に話を移す。

 b) 日本経済新聞』2020年7月31日朝刊29面「〈古今東西  あの出来事〉チェルノブイリ原発事故(1986年)」は,この前世紀最大の原発事故をつぎのように解説している。

 1986年4月26日,旧ソ連ウクライナ共和国の首都キエフから北へ130キロメートル離れたチェルノブイリ原子力発電所で史上最悪の原発事故が起きた。4号機の原子炉を止める試験中の操作ミスや設計上の欠陥で制御できなくなり爆発した。原子炉建屋が壊れ,大量の放射性物質をまき散らした。

 

 原発事故の影響を判断する国際原子力事象評価尺度(INES)は最悪の「レベル5(深刻な事故)」〔「原子炉や放射性物質障壁が壊滅,再建不能」と指定した〕。拡散した放射性物質は上空を流れる偏西風に乗り,北半球のほぼ全域で観測された。

 

 放射性物質の放出量は520京ベクレルと,2011年3月に起きた東京電力福島第1原発事故の約6倍とされる。原発から4キロメートル離れた町プリピャチの住民をはじめ,30キロメートル圏内に住む13万人以上が強制的に避難させられ立ち入り禁止区域となった。

 

 原発の従業員や消防士らなどに多数の死者が発生したほか,放射線の被曝によって周辺に住んでいた子供の甲状腺がんが増加した。事故後,放射性物質がこれ以上飛散するのを防ぐため,コンクリートなどで「石棺」を築いた。

 「原発事故は過去の問題ではなく,未来に続く」といわれている。この点は,2011年3月11日に発生した「東電福島第1発電所の爆発事故現場」のその後(9年と5ヵ月が経っている)についても,まったく同じにいえる。

 c) ところで,スリーマイル島原発は,2019年9月20日に1号機の営業運転を終了していた。2号機のほうが41年前に炉心溶融事故を起こしていたが,この1号機は1974年から稼働させてきた。半世紀に少し足りない45年の期間,1号機のほうは営業運転をしてきたが,採算の悪化を理由に閉鎖になった。

 さてその後は,その廃炉工程に進んでいるわけで,これから60年もかけて処理する予定だと説明されていた。工学的な経済計算の問題もからむが,実際に操業していた期間が45年であって,さらにこの廃炉が終了に至るまでは60年かかるという。こうした,廃炉工程にかけねばならない「予定の年数の異様な長期間」を聞いたところで,早くも,原発という機械・装置の “技術経済的な不合理性” は,あらためて確認されるほかない。

 事故を起こした2号機においては,溶融した核燃料が周りの構造物を混ぜこんで落下させた「燃料デブリ」を作ってしまい,およそ130トンになっていた。これを原子炉から取り出す作業を終了できたのは,事故発生から11年後であった。

 21世紀の現在,原発産業に競争力などなかったゆえ,この破綻した産業・業種を救済し再生する必要などはなく,まったく無意味だと断定されていい。つまり,いまでは,再生可能エネルギーが普及しており,また天然ガスの価格が低下してきた。原発が「温室効果ガスを排出しない電源」「炭素排出ゼロ電源」であるというのも,話にもならない謬説であった。

 

  パネルの展開をもって,筋書きを読む

 以上, ① の 「【山田厚史の闇と死角】死屍累々 原発ルネッサンス~アベ政権の落日 20200728」を視聴するに当たって,前提となる知識に言及してみた。そこで,この ② には,このネット放送がかかげていた中身からパネルだけを抽出し,列挙しておきたい。

 なお,2013年9月4日,ブエノスアイレスで開催された「国際オリンピック委員会(IOC)総会」においての発言であったが,記者会見を開いた日本オリンピック委員会(JOC)」の「2020年東京五輪招致委員会」は,東京電力福島第1原発の汚染水漏れ事故について,竹田恒和理事長が「現在の東京は水・食物・空気についても完全に安全」と釈明していた。さらにまた,開催都市を選ぶ7日の総会の投票直前のプレゼンテーションで安倍晋三首相が,例の「アンダーコントロール」を請け負う旨の虚偽の発言をしていた。

 f:id:socialsciencereview:20200802125627j:plain

 f:id:socialsciencereview:20200802125653j:plain

 f:id:socialsciencereview:20200802125718j:plain 

 f:id:socialsciencereview:20200802125739j:plain

 f:id:socialsciencereview:20200802125815j:plain

 f:id:socialsciencereview:20200802125837j:plain

 f:id:socialsciencereview:20200802125906j:plain

f:id:socialsciencereview:20200802125933p:plain

 f:id:socialsciencereview:20200802130208j:plain

 f:id:socialsciencereview:20200802130228j:plain

 f:id:socialsciencereview:20200802130310j:plain

 f:id:socialsciencereview:20200802130402j:plain

 f:id:socialsciencereview:20200802130501j:plain

 f:id:socialsciencereview:20200802130524j:plain

 f:id:socialsciencereview:20200802130546j:plain

 f:id:socialsciencereview:20200802130708j:plain

 

  原発はコストが一番高い電源になりつつある

 『The Asahi Shimbun GLOBE』2020年8月2日,232号に「Global Outlook[世界を読む]化石燃料で動く文明  終わりに近いデジタルで第3次産業革命を起こせ」を寄稿したジェレミー・リフキンは,こう断言していた。

 「私の推測ではなく,あらゆる経済分野の最新研究から導き出した結果」は,「太陽光と風力発電は指数関数的にコストが低下し,天然ガスよりも安く,原子力はもはや勝負になりません。太陽と風は請求書を送ってきませんから,電気を作るための限界費用はゼロに近くなります」。

 原子力も実は,化石燃料に相当するとみるほかない地下資源であるウラン鉱から精製して製造される燃料であった。原発は「石油の第2次製品だ」とまで形容されるその意味を,よく考えてみなければなるまい。炭酸ガス原発が出さない(もたらさない!)という奇妙な定義づけは,人間は息をしない,だから炭酸ガスを吐かないというのと同じくらいに,相当に馬鹿げた発言である。

 また『朝日新聞』2020年7月30日朝刊「社説」は,「〈核燃料再処理〉稼働やめ政策転換せよ」という論題で,つぎのように主張し,前段のジェレミー・リフキンの意見をくわしく説明していた。いまどき,この意見に貸す耳をもたない安倍晋三政権と経産省・エネルギー庁であるならば,即刻,辞職と組織の解体が望ましい。

   ◆〈社説〉核燃料再処理 稼働やめ政策転換せよ ◆
      =『朝日新聞』2020年7月30日朝刊 =

 

 日本原燃が建設している使用済み核燃料の再処理工場(青森県六ケ所村)は,安全対策の基本方針が新規制基準に適合している。そう認める審査書を原子力規制委員会が決定した。原子力政策の柱とされてきた「核燃料サイクル」の中核施設が,完成への手続で大きな節目を越えたことになる。

 

 とはいえ,規制委の更田豊志委員長は会見で「核燃料サイクル全体の正当化は政策側の議論だ」という考えを示した。安倍政権は,福島の事故を境に原発をめぐる環境が一変したことを直視し,原子力政策を根底から見直すべきである。

 

 核燃料サイクルとは,原発で使い終えた核燃料を再処理してプルトニウムを取り出し,再び原発で燃やすことだ。資源に乏しい日本は核燃料を有効利用する必要があるとして,政府が1950年代から推進してきた。

 

 それから半世紀以上がたったいま,3・11後の再稼働が難航し,電力供給における原発の割合は格段に小さくなっている。新規の立地もむずかしく,今後,古い発電所廃炉になるにつれて原発の存在感は薄れていく。将来的には,大事故の不安をなくすため,脱原発を実現しなければならない。

 

 このように原発が先細りする時代に,核燃料サイクルの意義は乏しい。現に先進国の多くは,経済性がないとして早くに再処理から撤退している。プルトニウムが原爆の材料になりうる点も問題だ。原爆6千発に相当する約46トンを国内外に保有する日本は,海外から厳しい視線にさらされている。

 

 仮に原燃の再処理工場がフル稼働すれば,年間800トンの使用済み核燃料を再処理し,7トンのプルトニウムが抽出される。だが,プルトニウム消費の本命だった高速炉は,原型炉もんじゅ廃炉で頓挫した。ウランと混ぜて普通の原発で燃やすプルサーマルも限られている。

 

 政府は余剰プルトニウムの削減を国際公約しており,消費量を超えないよう再処理する量を抑えざるをえない。わずかなプルトニウムを取り出すために,総事業費14兆円の再処理工場を動かすのは割に合わない。その費用が電気料金に跳ね返ることを思えば,国民の理解もとうていえられまい。

 

 核燃料サイクルから撤退すれば,使用済み核燃料の処分など,これまで先送りしてきた難題に直面する。だからといってほころびの目立つ原子力に巨費を投じつづければ,新たな時代を切り開くことはできない。

 

 世界的には,風力や太陽光などの再生可能エネルギーが急速に広がっている。今こそ政策転換を決断しなければならない。

  2020年7月29日の報道(『朝日新聞』朝刊7面「経済」)として,「原発賠償上乗せ 送配電会社申請」という見出しの記事も出ていた。原発という機械・装置は,法外かつ論外であるコスト高を,後発的かつ乱発的にもちこむ発電方式でしかありえい。この原発はいまや,ただのやっかいモノになった。《悪魔の火》をもてあそんだつもりの人類・人間側は,いまとなってようやく,その制御が利かない本質を悟るようになった。

   原発賠償の費用,変更申請届け出  沖縄除く9社 ♠
      =『朝日新聞』2020年7月29日朝刊7面 =

 

 東京電力福島第1原発事故に伴う損害賠償費用の一部,約2兆4千億円を回収するため,沖縄を除く大手電力の送配電子会社9社は28日,小売事業者から受け取る託送料金(送電線の使用料)を10月から変更すると経済産業省に申請,届け出た。

 

 賠償分の上乗せ幅は1キロワット時あたり0. 03~0. 11円。ほとんどの小売事業者は家庭など最終消費者への転嫁を進めるとみられ,月260キロワット時を使う平均的な家庭の追加負担は月8~30円程度となる。

 「トイレのないマンション=原発」 の,いわば「ポッチャン・トイレ」の毎月分汲み取り券みたいな,いいかえれば,戦争中に発行されていたのだが,敗戦後はただの紙切れになった戦時国債を買わされたときに似ていて,しかも,なんの責任もない電力消費者側に対して,その「東電側の全面的な企業責任になる『原発事故のツケ(けつ)』」を回されるという因果のめぐりあわせは,まったくもって,とんでもなく無責任な後始末のツケ方になっている。

 そこまでやるなら,安倍晋三がまず8年間分の俸給を差し出し,そして旧東電が原発事故を発生させた当時在籍していた幹部たちは(各自が取締役の地位に就いていた年数分に応じて)それを差し出すべきである。どの道,庶民へのツケ回しはそれからでもいい話であった。本末転倒もはなはだしい。

------------------------------