大坂なおみが日本企業の広告・宣伝に登場して話題となった日本社会に特有のある問題

              (2018年9月11日,2020年8月31日)

 新聞広告:CMに登場した大坂なおみは「日・米・ハイチ」のハイブリッド的出自をもつテニス・プレイヤーだが,この広告に映されている彼女の画像はモノクロだった

 その意図は分明ではないもの,もしもその意図になにかが控えていたのであれば,しりたい

 ただし,先日,G7参加国で「有色人種の国」は日本だけと,ミゾウユウの怪気炎を上げていた麻生太郎財務相に尋ねてもなにも分からないはず……

 

  要点:1  「ホワイトウォッシュ」という用語

  要点:2 日本には「美白」という表現がある

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 【「本稿の前編」】に相当する記述として,2020年8月31日中に先に公表された記述があった。そのリンク先を指示おく。

  ⇒ http://blog.livedoor.jp/bbgmgt/archives/1072531144.html

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  本日〔2018年9月11日〕『朝日新聞』朝刊1面で報じられた大坂なおみ

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 画像資料にして紹介する。上の画像資料は『朝日新聞』朝刊1面の大坂なおみに関する記事であり,下の画像使用はその20面「スポーツ」の関連記事である。観て分かるとおり,後者の下部には,シチズンの広告に早速,彼女が登場していた。こちらでは「大坂なおみを『横顔的に斜めを向かせて』撮影した写真」を出していた。この広告でこの「なおみの姿」を観たときすぐに感じたのは,なぜ「モノクロ(白黒写真)なのか」という点であった。

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 一見,どうでもいいような感想かもしれない。だが,ものごとはなにごとについても好奇心をもち,よくいえば問題意識を抱いて接するとなると,なぜ,「大坂なおみ」の「カラー(天然色)」ではなく「黒白の画像」が,この広告では使われたのかと感じる人がいてもいい。シチズンの製品(時計)そのものは,カラーで写っている。

 こちら〔製品そのもの〕もモノクロで構成する方法もあるかもしれないが,この広告はそうはしていない。なぜか,大坂なおみの上半身(肩より上)の画像部分だけが白黒でもって,多分,彼女の強さを強調したいかのように,すなわち,テニス大会優勝選手としての「正確なストロークの反復」に借りたかたちで,時計という製品の機能の良さを印象づけるように訴求する「広告(紙面・画像)の構成」である。

 補注)その後に感じた点あったので付言しておきたい。この広告に撮影された大坂なおみの顔つきは,「日本人の母親」方の「人種的系統の側面・要素」だけを,とりたてて「集約的に抽出した体裁」でもって撮影されていたかのような印象を受ける。そうした要素・特徴のほうをよく反映させた人相に写ってみえるのである。そのへんを比較してもらうために,つぎの画像を再度再掲しておく。

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 もう1点,大坂なおみの画像を「比較のために」挙げておく。「広告に使用された画像」との親近性(同一人物性?)を読みとるのが,だいぶ苦しい画像だというほかない。広告用に撮影された画像は,ある意味での「最高の出来映え」といえる。

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 時計という製品の広告(宣伝)でこの大坂なおみを使えるのであれば,シチズンでなくとも,セイコーでもカシオでもそのほかの会社のどれであっても,同じ訴求のしかたができそうである。しかしまた,彼女を映像(画像・動画)としてどのように活用するかは,各社の広告部門なりに独自の工夫がなされるはずである。

 なお,『日本経済新聞』本日(2018年9月11日)朝刊では37面「スポーツ」にも,以上(『朝日新聞』のもの)と「同じ広告」が出されていた。肌の色でいえばどちらというと褐色系の黒人である「ハイチ出身の父」と,黄色系の「日本人の母」とのあいだに生まれた大坂なおみの「肌の色あい」(前掲画像)は,すでに誰もがよく観てきたことがらゆえ,誰にでも正確に把握できている。この点を踏まえての議論となる。

 

 「CM起用も逆効果?  日本人の中で無意識にある『外国人』への偏見」『MAG2 NEWS』2016.08.03,https://www.mag2.com/p/news/214561

 1) 外国人といえば「金髪の白人」-千 昌夫にそういわれなくとも-

 依然として,日本のテレビCMにおける外国にルーツをもつ人の描き方に偏見が含まれており,2014年に放送されていたANAのCMのように,金髪で鼻が高いというイメージが強調されてきた。差別的な描き方であると指摘されANAは謝罪したが,ステレオタイプ的な「外国人像」はいまだに存在している。

 補注)たとえば「全日空の新CMに『人種差別』と苦情殺到! CMは放送中止に-英メディア」『Record china』2014年1月21日 13時44分,https://www.recordchina.co.jp/b82108-s0-c20-d0052.html)の記述を借りて,以上の問題点を説明する。

 --〔2014年1月〕18日から放送されているこの30秒間のCMは,ANAの制服を着た俳優の西島秀俊さんとお笑い芸人のバカリズムさんが英語で会話し,西島さんが「日本人のイメージ変えちゃおうぜ」というと,バカリズムさんが金髪のかつらと高い付け鼻を付けた姿に変わっているというもの。

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 ところが,日本在住の外国人らがこのCMを問題視し,ANAに苦情が殺到した。ネット上には日本在住の外国人とみられる人による「ANAはこれが問題ないと思っているのか」「ANAのように公然と人種差別をする航空会社は使わないで!」などの書きこみもあったという。

 ANAの広報部は苦情を受けたことを認めたうえで,「CMは国際業務拡大の重要性を訴えたかっただけ」と説明。現在,CMの放送をとり止め,修正版の作成を進めている。

 ずいぶん苦しい釈明をANAは繰りだしていた。「日本人のイメージ変えちゃおうぜ」とは「白人:金髪」への「肌の脱色ならびに髪の染色」を,もっぱら意味していた。このCMが製作され,実際に流され,問題とされ批判を受けた時期は,いまからまだ4~5〔6~7〕年前の出来事であった。

 しかし,いまでも米欧の白人(もちろんできればなるべく金髪〔染めてあってもオーケーか?〕)系の外国人が,テレビのコマーシャルなどでは好まれる傾向が強い。この現状に関する事実認識を否定できる人はいない。

 つぎの画像資料は,「JTのCMに出てる色白外国人がすごく可愛いと話題に」という題名で投稿された「ユーチューブの動画」から切りとったものである。この画像のなか記入されている赤字の文句は,「白人好き好き日本人症候群」に原因した「日本民族的な志向性:好み」を正直に反映させる発言であって,日本社会に実在する特定の価値観を象徴的に表現している。この理解の正当性を否定できる人もいないはずである。

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  出所)CM出演白人女性画像,https://www.youtube.com/watch?v=CnaAn6ssUlc

〔記事に戻る→〕 文化交流という目的のイベントの告知ページでさえつねに使われているのは,金髪の背が高い白人の画像である。日本に滞在する外国にルーツをもつ人のなかで,このような偏見的な描き方に対して違和感を抱かない人はいないといっても過言ではない。

 補注)先日,この日本国における「あのお▼▼な副首相」が,G7のなかでは日本が唯一「有色人種」だと誇らしげに,それも「明治維新(!)」以来1世紀半もの長期間,その脳内細胞において進歩の跡がまったくうかがえない「脱亜入欧」精神を発揚したかっこうで,おまけに彼流の大いに妄想を働かせる要領でもって暴露していた。

 だが,日本の広告界における外国人の,しかもとくに白人系を優先的に採用する流儀は,いまだに絶えることのない慣習として根強くつづいている。毎日放送されているTV局が流すCMには,いつも多くの白人たちが登場している。

 2)「外国人」を珍しい動物扱いしていない?

 某イベントの Web サイトでは,海外の雰囲気を味わってもらうために「外国人」には無料で参加してもらうというキャッチフレーズがあった。「異国感を味わう」なり,「外国人が溢れる」なり,外国にルーツをもつ人を珍しい動物かのように扱う「それらの言葉」に不快な気持を抱いてしまった人は少なくない。実際,このサイトをみた人たちから「『外国人』はだれも参加してほしくない」という声がSNS上に上がる事態になり,広告が逆効果になったのは明らかだ。

 さらに,このような広告にはもうひとつの偏見が潜んでいることがある。外見が「外国人っぽい」人が登場する場合,英語あるいは片言の日本語しか話さないように設定されていることが多いのだ。つまり,「金髪の白人」というイメージに「英語しかできない」というステレオタイプがより一層強調されているのである。

 補注)この文章の執筆者はイタリア人である。本ブログ筆者は,学生時代に参加したある国際セミナーで出会ったイタリア人の女子学生が,こういっていたことはいまも忘れない。彼女いわく「日本人はね,私みたいな白人をみると,すぐにアメリカ人だ,アメリカ人だというのよ,不愉快……」と。彼女は日本語が上手だった。

 そうである。同じ白人系でも米欧のうちでも,もっぱらアメリカやイギリス,フランス,ドイツの人びとが,日本にとっての外国人(もちろん白人系)の観念に相当する「国家=人種的な範疇」なのである。もっとも,アメリカ人といっても最近では,アメリカの人口構成比率のうち黒人系が約15%に達している。大坂なおみの父はその1人である。

 イギリス・フランス・ドイツのサッカー・チームのイレブンを構成する選手たちを思い起こせば分かるように,米欧人=白人系という理解は通らない時代である。ところが,日本ではいまだに「外国人といても主に米欧系の,それも米・英などの白人系」しか念頭にはないらしく,感覚的・意識的にもそうとしか想定できない場合が多い。

 3) 自分のなかの壁を崩す新たな自分を発見する

 多様な社会になりつつある日本においていまだに,外国にルーツをもつ人の「異国性」が強調されがちである。しかし,そうすることによって「内と外」概念も強まってしまい,「われわれ」と「彼ら」とのあいだの溝がなくなるどころが,深まっていくばかりである。

 差別は無意識的なレベルで働いていることが多いため,内面化した固定概念を積極的に問題にしないかぎり,日常生活に潜んでいる差別に気づかないことが多い。これまで当たりまえだと考えていたものに対して疑問を投げかけるようになると,自分のなかにあった壁がつぎからつぎへと崩れていき,新たな意識で「日本人である自分」と「日本人ではない他人」に接することになるのではないか。(引用終わり)

 この 3) として引用した部分はまさしく,日本の広告界では,「差別は無意識的なレベルで働いていることが多いため,内面化した固定概念を積極的に問題にしないかぎり,日常生活に潜んでいる差別に気づかない」広告や宣伝の実際的な方法を,いまもなお,当然の基本方針に据えつつ,なおかつ漫然と現実に展開している。

 ということで,日本の広告界ではしばしば起りうる現象なのであるが,その種の潜在意識が「特定の人間に対する差別」を具体的に表現してしまった段階にまで至っていても,外部からの具体的な指摘やきびしい批判を受けてからでないと,気づかない場合がほとんどである。

 

 「「大坂『次代の女王』名乗り 全米テニスV 憧れセリーナ,力で制す」日本経済新聞』2018年9月11日朝刊37面「スポーツ」(画像もここから)

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 この記事は,大坂なおみは「日米ハイチ,心には3国 日本語話すのは苦手 / アニメ・ゲーム趣味」とつけた,みだしの文句をかかげていた。

【ニューヨーク=共同】 日本で生まれ,米国で育ち,ハイチにも心のふるさとをもつ。大坂は「3つの国の文化のなかで育った。いろんな国の人に応援してもらえるのがうれしい」と語る。

 北海道出身の母,環さんとハイチ出身の父レオナルドさんとの間に大阪で生まれた。3歳で米国に移住。英語は流ちょうだが,日本語は話すほうが苦手で勉強中だ。日本を訪れるのは年に数回。「原宿が天国」で「東京にいけるのはいつも楽しみ」と話す。趣味はアニメやゲーム。日本文化の影響を強く受けている。

 幼少時はニューヨークで父の家族と暮らした。昨〔2017年〕秋にはハイチを初めて訪れ,地元の人と交流。決勝は父方の親戚や友人がハイチ国旗を手に応援してくれた。「ハイチの人は優しくて,明るいところが好き」と笑う。

 補注)いずれにせよ,大坂なおみアメリカ国籍人である点が第1,日本国籍人である点はかなり間を置いて第2,最後におまけ程度であるのが第3のハイチという国である。以上は「彼女の血統・文化・国籍」をめぐる「複合的な構成要因」を指示している。

 日本の元トップ選手だった杉山 愛さんは,これほど体格,パワー,スピードに恵まれた日本選手は過去にいなかったとしたうえで,「お父さんの体格とお母さんの日本人的な(勤勉な)要素がうまくミックスされた素晴らしいプレーをみせてくれている」と指摘する。19歳で日本代表に初選出。主役を期待される2020年東京五輪を「いまから楽しみ」と心待ちにしている,と大坂なおみを褒めていた。

 この杉山 愛のいいぶんはいささか〈ヨイショの要素〉が強い解説であるせいか,若干鼻につくべた褒めが,大坂なおみに送られていた。ハイチ人である父の「体格,パワー,スピードに恵まれた」なおみに「日本人的な(勤勉な)要素がうまくミックスされた」という具合に,幕末から明治以後,日本の思想界で流行った「東洋道徳・西洋芸術」という思考方式にも似た “ヨイショのしかた” がなされていた。

 ただし,ここでもちだされている「東洋」とは「日本だけに限定される」「それだった」点を,あらためて付言しておく。さらに,一言かませてもらうと,それでは「東洋芸術・西洋道徳」では,なにかまずいことが出てくるのかと反問したくもなる。が,これ以上に深追いはしないでおく。

 以上の話題で「東洋=日本」である点は,あの「お▼▼な副首相」が得意になって強調した「G7参加国のうち有色人種は日本だけだ」という発言に通底する。

 

 大坂なおみの広告に出ていた画像はなぜ白黒なのか

 以上の議論に即していえば,一般論的な説明・分析に留まるけれども,なおみが仮に「白人系アメリカ人(その出身・由来がヨーロッパ諸国である)」と,「日本人との混血児(ハーフ,ダブル)」であれば,さらにもっと好ましく広告に利用できる素材でありえるのかもしれない。

 だが,現実には褐色系の黒人がなおみの父であり,その人種的な血統(「肌の色」の特徴)を継承しているのは当然であったから,もしかしたらこのあたりの「現実問題」は,広告主のシチズンがそれなりに深慮遠謀のすえ,今回のように製品(時計)についてはカラーで表現しても,なおみはモノクロで映し出しておき,その強さ・正確さを強調したい広告にした「つもり」だったのかもしれない。

 以上の指摘は,単なる憶測にもとづく邪推に類したごとき問題ではない。日本の広告産業において明白であった「伝統的な《白人コンプレックス(劣等感)》」は,これを初めから前提条件に入れ考慮したうえで,「日本に特有である広告問題のその深層心理層」に隠されている「特有性」を精神分析的に議論していくとなれば,当然のように導出されてくる一定の問題領域があった。

 いまから40年以上も以前に公刊されていた織田 久『広告百年史 明治』(世界思想社,1977年)は,はしがき(「はじめに」)において「広告の機能」について,こう断わっていた。

 つまりひとつの広告にはさまざまの生活=欲望が対置しており,その意味で,広告は時代の生活相をつねに逆照射している(ⅱ頁)。

 つぎの白人女性は,最近まで「テレビのCM」では複数のそれに出演しており,よくみかける1人である。本ブログ筆者からいわせると,CM出演者であっても役者としては,かなりの「ふかし芋」(「生の芋」でなければ食えるというわけでもない実例)。この女性は,日本語が母国語並みに(ネイティブとして?)よくできるようなので,多分「日本生まれの日本育ち」と判断しておく。

 

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 出所)トリバゴ広告出演白人女性,http://cmtv-news.com/trivago_cm

 

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 出所)こちらの女性はミランダ・カー洗剤のCMに出演しているところに注目したい。ともかく「白人・美人」だが,この女性は金髪ではなかった。https://matome.naver.jp/odai/2137843429306190301

 

 【補 記】 翌日〔2018年9月12日〕の広告に出た『大坂なおみの全身画像』は,これもモノクロであった。偶然の一致とは思えない。なにか共通する背景なり基盤なり,そのほかのなんなりがあると推測しておくのが,順当な理解である。

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 蛇足だが,両目の付近がなんとなく,あの小池百合子都知事に似ているようにも感じられる。要は,ハイチ出身の父よりも日本出身の母のほうに, “ヨリ近づいて写されている” かのような「表情・顔つきにみえる画像」が,この広告に使用されていると観察しておく。

             ★ 参 考 記 事 ★

 

 「日清が大坂なおみ選手記念商品の発売検討,全米OP快挙で」Bloomberg』2018年9月9日 10:36 JST,更新日時 2018年9月9日 14:49 JSThttps://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-09-09/PERKMT6S972801

 

 日清食品ホールディングスは,所属する大坂なおみ選手の全米オープンの快挙を受け,同選手をモチーフにしたパッケージのカップヌードルなど,記念商品の発売検討に入ることが分かった。

 

 日清食品HDの安藤宏基社長ら150人の役員と社員は〔9月〕9日,早朝から地下2階のホールでスクリーンを通じ全米オープン決勝に進んだ大坂選手の試合を観戦した。ゲームセットの瞬間は歓声が鳴りやまなかったという。

 

 松尾知直広報担当はブルームバーグの電話取材に対し,「たったいま,社内応援が終わった。大変盛り上がった」と述べ「日本人初の快挙を大変喜ばしく思っている」と語った。今後,記念商品の販売などプロモーションの検討に入る考えを示した。一方,特別報奨金などの有無については守秘義務契約のため言及できないと述べた。

 

 大坂選手は米東部時間8日におこなわれた全米オープンの女子シングルス決勝で,元世界1位のセリーナ・ウィリアムズ選手と対戦。6-2,6-4とストレート勝ちを収め,日本人選手として初の4大大会制覇を果たした。

 

 日清HDとの所属契約は2016年11月。それ以来,日清HD株は20%程度上昇している。7日の終値は170円高(2.4%)の7250円。

 

 【 追補のさらに「参考記事」】

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 「セリーナ・ウィリアムズの風刺画に「人種差別」と批判殺到 大坂なおみ金髪に? 屈強な体つきのセリーナが,コート上で飛び跳ねてラケットを踏みつけている姿が描かれている」『HUFFPOST』2018年09月12日 11時41分 JST,UPDATE 2018/9/12 12:15 更新,https://www.huffingtonpost.jp/2018/09/11/serena-williams-cartoons_a_23524465/?utm_hp_ref=jp-homepage

 --女子テニスの元世界ランク1位セリーナ・ウィリアムズの風刺画がオーストラリアの地元紙に掲載され,「人種差別的」などと物議をかもしている。同紙によると,作者の Twitter アカウントに批判のコメントが相次ぎ,作者はアカウントを一時的に休止したという。

 a) 風刺画は2018年9月10日,メルボルンの地元紙ヘラルド・サンに掲載された。

 作者はマーク・ナイト氏。風刺画には,屈強な体つきのセリーナが,コート上で飛び跳ねてラケットを踏みつけている姿が描かれている。また,風刺画の右端には全米オープン勝戦の対戦相手だった大坂なおみ選手とみられる人物も描かれており,審判は「彼女(セリーナ)を勝たせてくれない?」と声をかけている。

 この風刺画について,Twitter 上に批判の声が殺到した。『ハリー・ポッター』シリーズの著者J.K.ローリング氏は,「偉大な女子スポーツ選手を人種差別と性差別の対象にした」と厳しく非難した。大きめの鼻や分厚い唇の描写などが,黒人を揶揄する表現と捉えられている。

 補注)ここで気づいたことがある。風刺画では描くための手法として,人間の各部分を誇張して描く技法があるのは当然である。ただし,人種差別のありようにかかわって問題になる描き方は,排除されるべきだという歴史的な事情が生まれていた。

 また,CNNなどの複数メディアは,大坂が「ブロンド(金髪)の白人女性」のように描かれていることを問題視する声もとりあげている。もっとも,なおみは頭髪の一部を金髪に染めている

 b) 作者は Twitter アカウントを一時休止。

 風刺画を掲載したヘラルド・サンは〔2018年9月〕12日,風刺画に関する記事を掲載。作者ナイト氏の Twitter アカウントに,ナイト氏の家族を「罵倒する」コメントが相次いだため,家族や友人の安全を守るためにアカウントを一時停止にしたという。

 ナイト氏の Twitter アカウントのURLを開くと,「このページは存在しません」としらせるページが表示される。同紙によると,ナイト氏は「あの風刺画は人種差別やジェンダーに関するものではなく,むしろスポーツのスーパースターによる望ましくない行動を描写した」と説明しているという。(引用終わり)

 本日〔2018年9月11日〕の記述における肝心な論点にかかわらしめていえば,大坂なおみの頭髪が金髪に描かれている」という事実は,なにがしか関連する外延的な含意を示唆する。

 c) つぎの関連する「別の記事」からも引用しておく。

 これをみた大勢が,絵を非難した。作家J.K.ローリング氏は,「いまいるもっとも偉大なスポーツウーマンを,人種差別と性差別のお約束表現で矮小化(わいしょうか)して,世界第2位のスポーツウーマンを顔のない小道具にした。実にお見事」とツイートした。

 ナイト氏が,優勝した大坂なおみを「ホワイトウォッシュ」したと指摘する声もあった。大坂の父はハイチ人,母は日本人だ。大坂は挿絵のなかで,小柄な金髪の白人女性として描かれている。画家は自分の絵は人種差別的ではないと否定。ウィリアムズの「みっともない真似」を表現しようとしただけだと説明した。

 補注1)「ホワイトウォッシュ」ということばについては,とりあえず,「whitewash(ホワイトウォッシュ)の意味と使い方」『ネイティブと英語について話したこと』2018年9月12日,https://talking-english.net/whitewash/ を参照されたい。

 補注2)なお,セリーナ・ウィリアムズの身長は175センチ,大坂なおみは180センチである。

 ヘラルド・サン紙のデーモン・ジョンストン編集長も急いでナイト氏をかばいに入り,漫画は性差別でも人種差別でもなく,「テニス界の伝説のみっともない真似を,正しくあざ笑った……全員がマークを全面的にサポートする」とツイートした。

 註記)「豪紙のウィリアムズ風刺画,『差別的』批判にトップ記事で反論」『NEWS JAPAN』2018年9月12日 14:02:22,https://www.bbc.com/japanese/45492885

 さて,以上の記述を読んでもらったあなたは,どう感じるか?

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