人類・人種と「人間の肌の色」の問題,大坂なおみが広告に出演するとどうなっているのか再考してみる,ホワイトニングの問題と関連させての議論

              (2019年1月24日,2020年9月12日)

 肌の色「描写」で批判が起きた「大坂なおみ選手のCMアニメ」を日清食品が削除,というのも「色の白いは七難隠す」「色は黒いが南洋じゃ美人」とするのが日本国の伝統的な「肌色」観

 

  要点:1  「色の白いは七難隠す」というのは「肌の色が白ければ、少しくらいの欠点は隠れて,美しくみえる」という『肌色』に関する日本の伝統的な価値観であった

  要点:2  “わたしのラバさん  酋長の娘  色は黒いが  南洋じゃ美人”

  要点:3 色鉛筆の色分類には肌色はなくなっているが……(「うすだいだい」色に改称)


 🌑 前   論  🌑

 大坂なおみ選手2年ぶり決勝へ アザレンカとV懸け対戦〈全米テニス〉」東京新聞』2020年9月12日 05時50分,https://www.tokyo-np.co.jp/article/55040

 今日の新聞朝刊には,たとえば上記の「見出し」のごときスポーツ関係の記事が出ていた(ただしこれは『東京新聞 TokyoWeb』のもの)。この記事からは冒頭と末尾の段落と,その間に出ている小見出しの文句()のみ引用するかたちで紹介したい。。

【ニューヨーク=共同】 テニスの全米オープン第11日は〔2020年9月〕10日,当地のビリー・ジーン・キング・ナショナル・テニスセンターでおこなわれ,女子シングルス準決勝で第4シードの大坂なおみ日清食品)が第28シードのジェニファー・ブレイディ(米国)に7-6,3-6,6-3で競り勝ち,四大大会初制覇となった2018年大会以来2年ぶりの決勝進出を果たした。

 

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 大坂は2019年全豪オープン以来となる四大大会3度目の頂点にあと1勝と迫り,〔9月〕12日(日本時間13日早朝)の決勝で全豪2度優勝のビクトリア・アザレンカ(ベラルーシ)と対戦する。アザレンカは四大大会23度優勝を誇る第3シードのセリーナ・ウィリアムズ(米国)に1-6,6-3,6-3で逆転勝ちし,7年ぶりに決勝に進出した。

 

  ☆ 「どんな場面でも動じない」〔日本テニス協会〕土橋〔土橋登志久〕強化本部長

  ☆ 「体の切れ良く的確な判断」〔慶大庭球部監督〕坂井利彰の目

 決勝のアザレンカは,四大大会で優勝経験があり,メンタルと攻撃面は五分。体力面では若くて状態のいい大坂に分がある。アザレンカの攻めをしっかり受けて,その上で攻守を切り替え,勝負どころで大坂に流れがくるのではないか。とても楽しみな決勝になる。

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続  報:2020年9月13日  朝の 速報ニュース 「見出し」

 

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 つぎの画像2枚をみたい。大坂なおみは,父母がそれぞれ米・日の国籍を有する混血児として生誕していた。父が黒人系(ハイチ出身)のアメリカ人,母は黄色人種の日本人である。妹が1人いる。大坂は,プロテニス界で世界最高水準の成績を挙げたのに応じせて,日本企業の宣伝・広告に数多く出演するようになった。

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 大坂なおみの “父母のなれそめ” については,ネット上にあれこれ書かれているので,本ブログは割愛する。本ブログの記述はすでに,大坂なおみというプロテニス選手について,何編が記述をしてきた。本日は,昨年(2019年)1月下旬に書いてあった以下の文章を,あらためて復活・再掲することにしたが,前段に指摘した事実に関連する議論も,最後部において追加している。

 

  肌の色 - ♪ わたしのラバさん 酋長の娘 色は黒いが…… ♪ -

 1930〔昭和5〕年8月に発売された歌謡曲であったが,演歌師の石田一松(1902-1956年)作詞・作曲・歌唱による「わたしのラバさん 酋長の娘 色は黒いが 南洋じゃ美人」という歌詞の入った「コミックソング」がはやったことがある。前年に創立されたポリドール最初のヒットとなった歌で,歌手は大阪南地と富田屋喜久治。

 補注)昨年1月下旬の記述では,この内容だけを書いてあったので,その後,関連して参考になる文章があったので,これをつぎに挿入しておきたい。

    放送禁止歌『酋長の娘』から考える表現の不自由問題 ★
 =『NEWSポストセブン』2020年06月26日 07:00,https://www.news-postseven.com/archives/20200626_1571666.html?DETAIL

 

 放送禁止とされている言葉や歌がある。放送禁止といっても法律ではなく,あくまで自主規制なのだが,なぜその言葉や歌が禁じられているのか? 理由が解説されることはあまりない。評論家の呉 智英氏が,放送禁止歌『酋長の娘』から表現の不自由問題と「ラバさん」問題を考えた。

 

 コロナ禍も一段落。第二波第三波への懸念はあるものの,人々の顔にも落ち着きの色がみられる。私もコロナテーマから一時離れ,ゆるネタを扱ってみよう。

 

 〔2020年〕6月3日,NHKラジオのニュースの最後に訂正があった。「先程のニュースのなかで,マーシャル群島と申し上げましたがマーシャル諸島の誤りでした。訂正いたします」。えっ,マーシャル群島って差別語だったのか。

 

 驚いて調べてみると,そうではなかった。外務省の定めた正式国名が「マーシャル諸島共和国」だからである。戦前の委任統治期は「マーシャル群島」であった。「ローマ法王」が「ローマ教皇」に変わったようなもので,だからといってA・ジイド『法王庁の抜け穴』が絶版になるというものではない。これと同じなのである。

 

 私が「マーシャル群島」も差別語かと早合点したのは,この言葉が放送禁止歌『酋長の娘』のなかに出てくるからである。

 

 この歌については,3年前にも本欄で少しだけ触れたが(『日本衆愚社会』所収),「酋長」だの「色は黒いが南洋じゃ美人」だの「明日は嬉しい首の祭」だの,アブナイ歌詞が頻出する。そのため現在は言葉を改竄しなければ歌えない。宗教弾圧下で隠れキリシタンが信仰を守るためにマリア像を観音像に作り変えるようなものだ。

 

 この『酋長の娘』には「赤道直下マーシャル群島」という一節も出てくる。これは表現の不自由認定されていなかったが,とうとうこれもと勘違いしたのだ。表現の不自由に敏感になりすぎていた。

 

 ところで『酋長の娘』には表現の不自由問題とはまた別の問題がある。私がこの歌を知ったのは,小学校高学年のころだった。このなかに出てくる「ラバさん」の意味が分からず「騾馬さん」かと思った。

 

 中学に入り英語を学ぶようになって「lover さん」,すなわち恋人の意味だと分かった。酋長の娘を恋人にしたのである。しかし,問題はまだ続く。年ごろでもありポップスに興味をもつようになった。『恋人よ,我に帰れ』もそのひとつだ。

 

 この「我に帰れ」って,どういう意味だろう。ボンクラ中坊同士で議論になった。恋人が遊び人の男にまどわされているが,俺のもとに帰れなのか,冷静になって正気を取り戻せなのか。両様に取れる。これはすぐに解決がついた。原題が lover, come back to me だからである。俺のもとに帰れである。

 

 高校生になって辞書を引いていて気づいた。lover は通常男性,それも遊び人を指す場合が多い,とあった。歌の主人公は女性。彼女が遊び人の恋人に帰って来てよと呼びかけているのだ。

 

 まだ続きがある。じゃあ,バッハ原曲の『ラバーズコンチェルト』は,どうか。遊び人の男同士の禁断の恋なのか。いや,複数形の場合は男女の恋人同士らしい。ともあれ「私のラバさん酋長の息子」ではないようである。

 

 ※人物紹介※ 「くれ・ともふさ」は1946年生まれ,日本マンガ学会理事。近著に本連載をまとめた『日本衆愚社会』(小学館新書)。 

 要は「色は黒いが南洋じゃ美人」という一句は,ポリネシアの人びとを「特定の上から目線」で観察する立場が明快に表現されている。「色の白いは七難隠す」ことができるのに,彼らはそうはできないよね,という語感が明確に伝わってくる。

 補注)ポリネシアで意味する地域は,おおむね,ミッドウェー諸島(北西ハワイ諸島内),アオテアロアニュージーランドマオリ語名),ラパ・ヌイ(イースター島)を結んだ三角形(ポリネシアン・トライアングル)の範囲である。

 

 「『肌色』がクレヨンや色鉛筆から消えています」カラーセラピーランド』2017年12月23日,https://www.i-iro.com/hadairo-usudaidai  参照

 30歳以上の人には信じられないかもしれないが,最近のクレヨンには「肌色」がみつからない。クレヨンだけでなく,色鉛筆や絵の具からも肌色が消えている。「肌色が消えたのは2000年ころ」であった。実は,国際化が進んだ1900年代の終わりころから,「あの色を肌色というのは差別だろう」という風潮が高まっていた。

 ここでは肌色が人種差別に当たるのかには触れないが,気になる人は「肌色  差別」などで検索してみればよい。とにかく,その風潮に配慮した大手のメーカーが,2000年ころから,クレヨンや色鉛筆や絵の具に「肌色」という名称を使わなくなっていた。

 肌色は「うすだいだい・ペールオレンジ」に改名されていた。もちろん,あの色そのものが消えたわけではない。それまで肌色と名づけられていた色は「うすだいだい」や「ペールオレンジ」と呼ばれるようになった。しかしこの新しい色名であるが,改名から10年近く経っているのに,まったく浸透していない。肌色世代としてはなんとなく違和感があるのも確かである。

 なんかもっといい名前ないか。フェリシモの500色の色鉛筆では肌色っぽい色に「ポンパドゥール夫人の笑顔」と名づけられていた。

 『まとめ』 まわりの意見を聞いてみると,いまの小さい子どもたちも「肌色」と呼んでいるようである。まわりの肌色世代の大人たちが,まだ肌色と呼んでいるからなのか。小さな子どもたちにとって,クレヨンに書かれた色の名前なんて関係がない。色の名前が変わっていた不思議な色の話である。(引用終わり)

 以上の ① と ② の話題は, ① に関していうと「日本人・民族」についても,従来における肌の色は,白人種から観たら「有色人種」ということになっている。だが,こちら日本から観た「南洋の有色人種」は,もっと「色の濃い肌色」をもつ人びとである。しかも,明らかに日本人よりもポリネシア人オセアニア人〔先住民〕)のほうが,「肌の色」の序列的な評価でいえば「下位・劣位」に位置づけられてきた。

 その点は,白人種たちが「われわれ黄色人種」を観る目線と実質的には同じものを,日本人の側から「彼ら:海洋人」に向けている。その点では「肌の色」に関して抱く “完全に同類である一種の人種観” がある。ただ,その立ち位置ははっきりとズレていて,別々であるに過ぎない。

 本ブログ筆者は,大坂なおみ選手の肌の色に関する話題は,すでになんどもとりあげてきた。これらの記述も前提に置き,本日の議論がなされている。

 

 ③「大坂選手アニメ,日清食品が削除 肌の色巡り批判」朝日新聞』2019年1月24日朝刊34面「社会」

 日清食品グループは,所属契約を結んでいるテニスの大坂なおみ選手を起用したアニメの動画広告について,肌の色が実際より白く描かれているとの批判を受け,〔2019年1月〕23日,動画を削除したことを明らかにした。大坂選手側から削除の要請があったという。

 日清の広報は「白くしようとした意図はないが,今後はより多様性を尊重していく」としている。大坂選手は,母が日本人で,父はカリブ海のハイチ出身。日清は,アニメのキャラクターとして登場させるカップヌードルの動画広告を今〔1月〕11日から自社のホームページで公開していた。

 補注)「白くしようとした意図はないが……」という弁明が興味深い。どこかで誰かが「白くしたか,あるいはさせた」のだから,その「意図はない」などというのは,まったく話にもならないいいわけであった。

 公開の後,「肌をなぜ白くしたのか」との批判がツイッターなどで上がり,米紙ニューヨーク・タイムズが記事化。「アニメの大坂選手は,複数のルーツをもつ彼女自身とかけ離れている」と指摘していた。(引用終わり)

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 前段に関連する画像を上に掲示しておくが,これをみても日清食品側が「白くしようとした意図はない」と釈明したのは,かなり白々しい弁解であった。漫画風の動画にしあげたにしても,この画像では左側の「錦織 圭のほうの肌の色」じたいも含めて, “あまりにも「現実離れ” した色調」になっている。これを「白くしようとした意図はない」ものだったと,相手:第3者にまで向けて申しひらきするのは,どうみても無理が過ぎる。率直にいって,ずいぶんみえすいているとまで断言してもよい。

 いつもだいたいそうであったが,日本の企業の場合,この種の問題は海外から批判・非難が飛んできてから,初めてようやく気づく事例が多い。日清食品はこの大坂なおみと錦織 圭をこのようにともに,「肌の色」を乳白色に近い色調にまで変えて宣伝用の動画を制作していた。けれども,実際に公開する以前の段階で,「この種の問題」に気づく触覚(センサー)となるべき部署や人材はなかったのか,という疑問が湧いてくる。

 

  日清食品

 日清食品は「即席麺の売上順位」では業界第1位であり,第2位以下に対して以下のように圧倒的な差を付けている。

   第1位:日清食品    売上高:約2800億円,占有率 約49%(2016年度)
   第2位:東洋水産    売上高:約1260億円,占有率 約21%(2016年度)
   第3位:サンヨー食品  売上高:   759億円,占有率  13%(2015年度)
   第4位:エースコック  売上高:   522億円,占有率 約9%(2016年度)

 日清食品の「会社概要」から,主要事項を参照しておく。

  「商 号」  日清食品ホールディングス株式会社
         (NISSIN FOODS HOLDINGS CO., LTD.)

  「設立年月」  1948年9月4日
  「資本金」   251億2200万円
  「代表者」   代表取締役社長・CEO  安藤宏
          代表取締役副社長・COO 安藤徳隆

  「従業員数」  12,102名 (連結)
  「決算期」   3月

  「売上高」   5164億円 (連結・2018年3月期通期)
  「経常利益」  405億8800万円 (連結・2018年3月期通期)
  「当期純利益」 291億400万円 (連結・2018年3月期通期)
   註記)『日清食品ホルディングス株式会社』https://www.nissin.com/jp/about/nissinfoods-holdings/outline/ 参照。

 要は,これだけの陣容(ヒト・モノ・金・情報・管理体制)の会社において,「人間の肌の色」にかかわる差別的な問題を,少しでもいい,理解しているような部署や人材が不在だったのかという疑問があった。それが「在った・居た」としても,その人材などが今回の件に関連する情報を内部的に発し,必要な部署にまで届けられるような管理体制が整備されていなかった。あるいは,社内ではそのような問題意識すらいままで抱かれていなかったとも推察せざるをえない。

 「日々清らかに豊かな味をつくる」という意味をもつ会社:日清食品の創設者である安藤百福あんどう・ももふく,1910-2007年)は,日本統治時代の台湾出身,元の名前は呉 百福,民族は台湾人である。1966年に日本国籍を取得していた。

 安藤百福の人物論までここでは言及できないが,21世紀のいまどきになって,大坂なおみ選手の「肌の色」をめぐり,CM動画中に問題となるような「演出:その色の修正」がくわえられていた点に関して,安藤の出自がなにか関係があるかどうかまでは,いまのところではまだ,なにもいいようがない。

 呉 百福は1910年に生を受け,幼くして両親をなくし,自立独立の道を歩みながら,大日本帝国が敗戦したあと,無一文の苦境から立ち上がって困難を克服し,世界初の即席めん「チキンラーメン」を開発した。ついで世界初のカップ麺「カップヌードル」を発明し,日本の食生活に一大革命を起こした。この百福翁の蒔いた一粒の種が国境を越えて世界に伝播し,ついに総需要9百億食を超える世界食となる」。

 註記)この段落はウィキペディア参照。

 すなわち,日清食品の製品は世界市場を開拓し,世界中の人びとの食生活に大きな影響を変化を与えてきた。毎日摂る食べものである製品のことであるから,いつでも非常に身近に存在するそれである。ところが,今回CM動画を制作して流したところ,早速「大坂なおみの肌が実際より白いと批判 日清が動画広告めぐり謝罪」と題した記事になるような「話題を呼びこむ顛末」になっていた。

 

 大坂なおみの肌が実際より白いと批判 日清が動画広告めぐり謝罪」livedoor' NEWS』2019年1月23日 11時32分,http://news.livedoor.com/article/detail/15913105/

 ざっくりいうと,「大坂なおみがアニメキャラとして登場する日清の広告をめぐり,米紙が報じた」。「大坂の肌が実際よりも白く描かれているとの批判が日本で起きていると紹介」。「米紙の取材に日清は『配慮が不十分だった』と電子メールで謝罪したという」。

   ◆ 大坂選手の肌の色で謝罪=日清食品,アニメ広告で-米紙 ◆
 時事通信社 2019年1月23日 11時32分,http://news.livedoor.com/article/detail/15913105/

 

 女子テニスの大坂なおみ選手の〈肌の色〉が実際よりも白く描かれていると批判された日清食品のアニメ広告。(前掲したもの)

 

【ニューヨーク時事】 米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は〔1月〕22日,ハイチ出身の父と日本人の母をもつ女子テニスの大坂なおみ選手がアニメキャラクターとして登場する日清食品の動画広告をめぐり,大坂選手の肌の色が実際よりも白く描かれているとの批判が日本で起きていると報じた。

 

 同紙の取材に対し,日清食品は「配慮が不十分だった」と電子メールで謝罪したという。同紙がとりあげたのは「カップヌードル」のアニメ広告。人気漫画『テニスの王子様』の作者,許斐 剛さんがキャラクターデザインを手がけ,大坂選手とともに日清食品に所属する男子テニスの錦織 圭選手も登場している。

 本ブログ筆者はいちおう念のためにもということで,甲斐 剛のツイートをのぞいてみたところ(これは 2019年1月14日の話),当時,甲斐が描いていた大坂なおみの「選手の肌」は,「漫画の絵のなかでの色調」であるから,あえて細かい点には触れないでおくとしても,ほぼ「現実の色」に近いとみなしてもいい〈色あい〉で表現されていた。

 ところが,日清食品のCMに登場させた大坂なおみ選手の「肌の色あい」は,完全に異なると断言していいほど違っていた。ということは,甲斐 剛が最初に描いた大坂なおみの「肌の色」がそのCMの広告放送における段階になると,ほとんど〈乳白色〉といってくらいにまで〈変色〉させられていた,そういう「結果」になっていた。

 その操作がいったい,このCMが制作されていくどの段階でどのようにほどこされたかについては,外部のわれわれからはなにも分かりえない事情があったと思われる。しかし,その結果に対しては早速,海外から(アメリカからだが)批判が巻き起こっていた。

 問題の核心にはなにがあったのか? このような批判を受けるところまでいかないと,人種的に多様性をもつ「人間の肌の色」という「もの:肉体的・身体的な特性」が,歴史のなかで,いろいろと深刻で複雑な差別問題をともなってきた「過去の事実」に無知でいる自分の気づかないままでいられた,という点が要注意であった。

 アメリカは,先住民をそれこそ皆殺しにする勢いで西部まで “開拓してきた国家” であったが,その建国の過程では黒人を奴隷として移入させてきたし,その歴史についていえば有色人種に対する人間差別など,お手のものにしてきた伝統国であった。しかし,いまではその人種差別の歴史を反省しようとする社会的な態度は,強く保持しようとしている。それはけっして完全とはいえないものの,必死になってそのための努力してきている。このことは事実である。

 だから,アメリカの新聞紙から日本へ「大坂なおみ選手の肌」の描写に関する批判が飛んできた。本来であれば,日本社会のなかからさきに指摘がなされ,批判がゆきかい,即座に是正もなされねばならなかったこの問題であった。けれども,冒頭にふれたように「肌の色の白い」(ただちに白人種のそれではないのだが)「傾向」をよしとする「社会の風潮:いわば日本の伝統的な価値観」は,依然まかり通っている。

 クレヨンの “肌色に関する名称” を変更したところで,そう簡単には,社会のすみずみにまでそれに応じた変化が起きてくるわけではなさそうである。

 前述の ②「『肌色』がクレヨンや色鉛筆から消えています」『カラーセラピーランド』2017年12月23日の記述は,「肌色」という「クレヨンの色名」が引っこめられた事実に対して,だいぶ不満げに語っていた。この発言は,今回の問題にも深く関連しており,けっして無視できない「日本の社会」の側における潜在的かつ顕在的な関連の社会意識である。

   ◆ バイエ・マクニール稿「日清『大坂なおみ動画』炎上
→削除問題の本質-グローバル企業として欠けていた視点とは-」◆
 =『東洋経済 ONLINE』2019/01/24 14:20,
https://toyokeizai.net/articles/-/262053

 本ブログ筆者がとりあげて議論してみたような,広告キャンペーンのなかに(不注意で?)組みこまれたメッセージは,日清が世界中の消費者に向けて,本当に発信したいものだったとはいえまい。

 企業が自社製品の広告・宣伝をするために代表:象徴に選んだ著名人が,世界中の黒人や褐色の肌をした人物であり,かつバイレイシャルの人びとのヒーローであり,偶然にも世界でもっとも祝福されているアスリートの1人である「黒人」女性だとしても,白人のほうがベターだったと訴えたかったのか。

 註記)この段落は,https://toyokeizai.net/articles/-/262053?page=3

 

  本日:2020年9月12日『朝日新聞』朝刊に出ていた大坂なおみCM画像

 つぎの諸画像を資料としてかかげておく。こちらでは要するに,シチズンの広告に登場している大坂なおみは,かなり微妙な解釈になりかねないが,撮影するさい「光線の当たり具合」の加減・操作によって,顔と上半身の肌の色が,実際よりもより白色に近づくように演出・工夫がなされている。

 もう一歩踏みこんでいうと,それは確実にといっていい程度にまで,意識的な方法をくわえていじられているのではないか,という感想を与える。

 もっとも,これは本ブログ筆者の個人的な判断(判定)である。他者に押しつける気持はない。だが,あらためて一考してもらう余地はありそうな指摘を提示したつもりである。

 ※-1 当該紙面(スポーツ欄)の全体画像  

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 ※-2 ※-1の記事から大坂なおみの画像を抜き出してみた。

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 ※-3 ※-1から「記事下広告における大坂なおみの画像」と,この「上半身の拡大画像」を出してみたが,こちらは光線の当て具合によってなのか,大坂なおみの皮膚の色合いが光って薄めに映っていると感じられる。この点は,どのように感じるかは,観る人によって印象を異にする。

 そう思われるが,この広告の画像を観た瞬間,肌の色を薄めに加工しているのではないかという印象を受けた。これは,けっして,うがちすぎた意見ではなく,ごく正直な感想である。なお以上は,とくに, “化粧の有無” については棚上げしての話題であった。

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 ※-4 『東京新聞』2020年9月12日(本日)の記事から大坂なおみの画像(再掲)

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