日本は単一純粋民族だいう〈大昔からの虚説〉がいまごろ明確に実証されつつあって,21世紀の「異民族・多人種の混淆」が進む現状

 人種だとか民族だとかについて,歴史社会学的にまともにとりあげたり,考えてきたことのなかった日本

 21世紀になって人口減少が進む最中であるが,すでに多人種的・多民族的な国家内体制になっているのは,ラグビー日本代表チームだけではない
 
  要点:1 人種・民族といった政治的・社会的な諸要因に対して真っ向から本格的に対処してこなかった日本政府,これから,あれこれともっと苦労が増える

  要点:2 小熊英二慶應義塾大学教授)の議論に訊く論点から始める日本社会「論」の一角

 

   【参考図表】

 

       f:id:socialsciencereview:20200913205113p:plain

        補注)2011年3月11日の東日本大震災と東電福島原発事故の影響が                はっきり記録されている。



 「〈オピニオン インタビュー〉『民族』を発明した国,人種差別は他人事か 小熊英二氏」朝日新聞』2020年9月10日朝刊13面(聞き手,編集委員・塩倉 裕)に理解できる日本の「民族観・人種観」 

  🌑  ま え が き  🌑

 黒人の男性が白人の警官に窒息死させられた米国での事件をきっかけに,世界中であらためて,人種差別問題への関心が高まっている。この難問,日本でどう考えればいいのだろう。肌の色が同じ人びとを支配した戦前日本の歴史を調べ,「有色の帝国」という視点を使って人種や民族の問題を考察してきた小熊英二さんに聞いた。

 補注)2020年5月25日に起きた事件であった。米ミネソタ州ミネアポリスで武器をもたない黒人男性を取り押さえて地面にうつぶせにさせ,膝で首を押さえつづけたすえ死亡させたデレック・チョーヴィン警官(白人)は,事件後に解雇されていたが,同月29日,逮捕・起訴されてもいた。

 デレック・チョーヴィン警官は,「息ができない!」と叫ぶジョージ・フロイドさん(46歳)の首を8分以上にわたり膝で押さえつけていた。このために,フロイドさんは間もなく死亡した。その映像がソーシャルメディアなどで広く拡散し,チョーヴィン元警官と他の警官3人も免職された。

 同州ヘネピン郡のマイク・フリーマン検事は記者会見し,チョーヴィン元警官を第3級殺人罪などで起訴したと明らかにした。ミネソタ州法の第3級殺人罪は「殺害の意図はないまま,不道徳な考えから人命を無視し,いちじるしく危険な行為で他人を死亡させた」場合に適用される。

 フリーマン検事は「示された証拠を受けてできるかぎり速やかに起訴した」と説明。「これほど素早く警官を起訴したのは初めてだ」と述べた。フリーマン検事は,免職になった他の警官3人についても「起訴が予想される」としつつ,詳細は明らかにしなかった。

 以上に説明したアメリカでの事件は,明治以来における日本の国情を回顧してみるに,なにも関係がないとはいえない。最近は,日本国民たちのなかでも「上級市民だ,いや,下級市民だ」といっては,同じ「国民・市民・庶民」たちのなかにあっても,実質的には社会階層面に関して区分(差別?)の視点をもちこんで,観察しなければならない時代になっている。

 元高級国家官僚,旧通産省工業技術院の飯塚幸三・元院長(事件当時,88歳)が,ブレーキとアクセルの踏み違いで車を暴走させ,母子を死亡させた事件(2019年4月)では,この加害者は身柄を拘束されることもないまま,事件の事後処理がなされていた。この経過をみせつけられた一般市民たちが,飯塚のあつかいを「あれは,上級市民だからか……」という理解をするほかないくらい,特別あつかいになっていた。

【参考記事】 

 2012年12月26日に発足した第2次安倍政権のもとでは,日本における民主主義の状態がどんどん劣化・破壊させられてきた。いまでは,経済のみならず政治そのものもはなはだしく後進国化した。この事実は,まともな知識人たちであれば,当然のごとく認めている。

 日本にあっては,現憲法にもとづいたかのようにして,特別な政治的地位に就いている天皇やその一族の存在が頂点に位置している。また,現政権の代表者である首相の安倍晋三はいままで,この国を為政を完全に私物(死物)化する悪政を継続してきたがゆえ,いまではみるも無惨な荒野が,東京の永田町を中心に全国のすみずみまで広がってしまった。

 「庶民の生活感覚」とは無縁の,まったく別世界に住んでいる安倍晋三である。自身の健康にあっては重大な疾患をかかえていながら,一食数万円の美食をする晩餐会を絶やさない御仁であった。一方では1日3食にまともにありつけないで,子ども食堂で食事にありつくほかない子どもたちがいると思えば,さらに,その親(シングルマザーたち)のなかには,1日1食しか口にできないほどの貧困に苦しんでいる女性たちもいる。

 以上のごとき,ごく一端にしかすぎないけれども,昨今における日本の政治・経済の事情・背景のなかでこそ,あらためて問題として意識されるべきこの社会のあり方を,小熊英二がとりあげ語っていた。小熊は従来,日本の知識人が気づいていない「日本の政治社会の構造的・機能的な諸問題」を,歴史的にさかのぼって説明している。

 以下に,小熊英二のインタビュー記事を引用する。なお,◆は記者(聞き手の編集委員・塩倉 裕)の質問,◇は小熊の応答である。 

※人物紹介※ 「おぐま・えいじ」は1962年生まれ,慶応義塾大学教授。著書に『単一民族神話の起源』『〈日本人〉の境界』『〈民主〉と〈愛国〉』『日本社会のしくみ』など。


 ※-1 日本における「民族」の発明

 ◆ 米国でいま,人種差別の問題が先鋭化しています。

  ◇ 「新型コロナウイルスの危機をきっかけに,格差の問題が強く意識された結果だとみています。経済的格差だけではありません。社会的発言ができる機会の格差,医療や教育にアクセスできる機会の格差……。そうしたさまざまな格差が『人種(race)』という区分と重なる形で生じているという意識が,米国社会には強いのです」。

 補注)日本ではその「さまざまな格差」は,まず経済格差を基盤に発生しているけれども,さらには徐々に増えだしている新来の,特定の外国人(労働者)たちを中心にして,そしてくわえては,なによりも日本人自身の貧困層の漸増傾向によっても進展している。

 ◆ もし日本の学生から「日本は人種差別のない国ですよね?」と聞かれたら,どう答えますか。

  ◇「人種って何だと思う(?)と聞き返すと思います」。

 ◆「肌の色で白人と黒人を分けるような,身体的特徴による区分です」と回答されたら?

  ◇「なぜ耳の長さでなく肌の色が重要だと思う(?)と尋ねます。身体的特徴といわれるものはほかにもたくさんあります」。「また,西洋でも身体的特徴が重要な区分になったのは近代以後とされています。それ以前は『貴族か平民か』といった区分の方がずっと重要でした」。

 ◆ そもそも人種差別という問題は,近代の日本ではどのように考えられてきたのでしょう。

  ◇「当時の人びとは『人種差別は西洋にはあるが日本にはないものだ』と考える一方で,別のかたちで差別があることはしっていました」。

 補注)日本における被差別部落に対する差別問題は,西洋における「貴族か平民」の区別にくわえて「貴族・平民か,部落の人びとか」という区分がくわわっているが,小熊英二は日本のこちらの古代史・中世の社会階層の問題に触れていない。

  「人種という概念じたいは明治の初めに日本に入ってきました。しかし,米国のようには使われませんでした。まず,人種という指標を使うとみずからは有色の黄色人種とみなされ,西洋人より劣位に置かれてしまう問題がありました。また,台湾人や朝鮮人といった人びとと日本人がどう違うかを説明するにも,人種は使いにくい概念でした。同じ黄色人種だからです。そこで発明されたのが,日本語の『民族』という概念でした」。

 ◆ 新たに発明された概念だったのですか。

  ◇「そうです。民族という言葉は,実は英語にうまく翻訳できない言葉です。漢字熟語の民族は1880~90年代,つまり明治期の中盤に日本で発明された人間の区分の仕方だったと私はみています。人種とは別に,独自の区切り方を作ったのです」。

 ◆ 民族とは,どういう中身をもつ概念だったのですか。

  ◇「当時はつぎのような特徴をもつものと考えられていました。イ)  独立して一国をなすべき集団である,ロ)  内部に分裂がない,ハ)  千年単位の歴史を共有している,です」。

  「英語のネーション,ドイツ語のフォルクなどと重なる部分はあります。ただ,国家を社会契約によって人工的に作るという西洋的な考えに敵対するかたちで作られた点などをみると,単なる輸入概念とはいえません」。

 ◆ なぜ発明したのでしょう。

  ◇「国家一丸の体制を作り,外部の強敵に対抗していくためです。民族とは,当時の日本の知識人たちの危機感を映した概念でした。彼らは,日本が西洋の列強に植民地化され,国の独立を奪われることを恐れていました。外国勢力の介入を招く要因として恐れていたのが,国の内部に分裂や対立が生じることでした」。

 ※-2 「団結を乱す者」が差別の対象に

  ◇「内部に分裂のない社会は本来ありえませんが,彼らは民族を『千年単位の歴史を共有している』集団とみなしました。天皇という存在を担保に,天皇のもとでずっと分裂なく団結しつづけてきた集団というイメージを作り上げたのです。その意味で民族とは,実像というよりは理想像でした」。

 補注)アジア諸国になかには,「先年単位の歴史を共有する集団」としての国家はたくさんある。近くでは中国と韓国(朝鮮)がそうである。こまかい議論をするとキリがないので,いちいち触れられないが,簡潔に裁いてしまえば「その長さ」を競ったところで,日本のほうが劣位。紀元前711年に生まれたとされる神武天皇をもち出しても,「勝てない」ので念のため……。

 ◆ 日本は台湾を領有(1895年),朝鮮半島を併合(1910年)しました。みずからを民族と規定するその考え方は,どのような差別を生んだのでしょう。

  ◇「答えは,民族という概念の特徴から論理的に導き出されます。つまり,分裂を引き起こしたり一丸的な体制を乱したりする者たちが差別対象になりました」。

  「日本の支配に対して独立運動を起こそうとする朝鮮人は『団結を乱すやつら』として差別対象にされました。また『植民地の連中は経済力や教育程度が低く,国家のお荷物になるやつらだ』という視線も差別を生みました。一丸となるべき戦いで足を引っ張る者たちだ,とする理屈です。天皇への忠誠心が低いとされる者たちも差別対象でした。『歴史を共有していないやつら』だからです」。

 ◆ 朝鮮半島の人々は「朝鮮民族」だったのでは?

  ◇「当時の日本側は一般に『朝鮮人』と呼んでいて,朝鮮民族といういい方はあまりしていません。理由のひとつは,民族と呼ぶと『独立して一国をなすべき集団』という意味につながってしまうからでしょう。ひとつの民族であるとみなす意識は希薄で,むしろ『できそこないの日本人だ』と見下す視線が一般的でした」。

  「朝鮮民族という言葉を積極的に使ったのは,むしろ朝鮮の独立運動の方です。きっかけのひとつは,英語の『self-determination』を日本の新聞が『民族自決』と訳したことでした」。

 ※-3 日本は「人種主義以前の国

 ◆ 米国社会の人種差別と戦前の日本社会での差別を比べたとき,なにがみえてくるでしょう。

  ◇「図式化すれば,米国型の人種主義は階段のイメージです。上の段には白人が,下の段には黒人がいるけれども,白人の内部は平等と考えられている。ちなみに18世紀半ば以前の北米では,身分の違いの方が肌の色の違いより重要と考えられていました。つまり米国型の人種主義は,白人内の身分差別撤廃の副産物ともいえます」。

  「それに対し戦前の日本は,天皇が頂点にいて,身分の高い人から低い人までがその下に階層化されるピラミッド型社会でした。上には軍人や官吏が,下には民間人がいて,そのさらに下に被差別部落民や沖縄人が,そのまた下に朝鮮人が置かれる構図です。朝鮮人も差別されていましたが,日本人の内部にも身分や差別があって当然と考えられていました」。

 補注)つぎの画像資料は,『日本経済新聞』2020年9月12日(昨日)朝刊の社会面に出ていたベタ記事である。

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 この「正二位(しょうにい)」という位階(「いかい」:「功績のある者や在官者などに与えられる栄典の一種」)は,明治期の旧日帝が創設した爵位をあてると,「侯爵」(最上位である侯爵から ⇒ 侯爵 ⇒ 伯爵 ⇒ 子爵⇒ 男爵まで5階層があった)のなかでも,その第2位に位置する伯爵に与えられるものであった。

 ところが,敗戦した大日本帝国においてもその位階が生きているわけであるが,ただし,死者にのみ与えることに変更されていたゆえ,この渡部恒三だけでなくすべての位階授与者は,生存中ではなく死後に位階は授与されてきた。

 生前中に授与するとなれば,敗戦前の旧日帝的な政治価値秩序と同じになってしまい,まずいという理由をもって,現在(敗戦後)は,位階の授与を一律に当人の死後に贈っている。しかし,人間の価値を死後に,あくまで「天皇に近い順番に価値づける」といった “戦前的な政治観念の価値感” の本質が,いったいどこにあるかは,いうまでもあるまい。

 ◆ しかし戦前には「日本は人種主義を乗り越えた国であり,西洋より倫理的に優位にある」という議論があったそうですね。

  ◇「当時の日本の人びとは,西洋から人種差別されているという被害者意識はもっていました。しかし,みずからが支配・差別をしているという自覚は希薄でした。朝鮮人も肌の色は同じだから人種差別ではない,と考えていたようです」。

  「だから『日本は人種差別のない国ですよね』という質問にもし皮肉で答えるなら,こうなります。『そうですね,人種主義以前の国だったかもしれませんね。日本人の中にも差別が山ほどありましたからね』」。

 ※-4 現代に残る「有色の帝国」の影

 ◆ 小熊さんは,大日本帝国は有色人による有色人の支配で,支配や差別の自覚を欠く「有色の帝国」だったと形容しています。1945年の敗戦を機に大日本帝国じたいは消滅させられましたが,民族という概念の影響は残っていますか。

  ◇「残っていると思います。差別をしているという自覚がないこと,『国のお荷物になる』とみなされた者や内部の分裂を起こすとみなされた者が差別されること,などの点においてです」

  「たとえば,生活保護を受ける人びとや政府に人権侵害を抗議する人びとが不当に非難されるなら,それは差別です。肌の色を基準とする米国型の人種主義とは違うかもしれません。しかし,差別のありようは社会によって違うのです」。

 補注)そのとおりであるが,現在までの日本も白人と黒人,そして黄色人種との「人種的に混血した〈日本のこども〉」たちが,すでに大勢登場していた。敗戦直後からとくに増えていたのが,朝鮮(韓国)人・民族との〈混血〉であった。

 当時は,戦争のために日本人女性たちにとっては「男ひでり」状態になっていた。オオゲサには「男1人にトラックいっぱいの女」の社会状況になっていたわけで,これらの人びとがメオトになっていた「国際結婚の子どもたち」は,1960年代後半以降,つぎつぎに成人(20歳)を迎えていた。

 しかし,この種の〈混血〉の度合も含めて,日本列島の歴史的ななりたちからみて,とくに近隣でも一番近い韓国・朝鮮人との人種的な混淆は,ともかく同じ黄色の人種であるゆえ,なかなか識別しにくい人びと(社会集団)として,日本社会のなかに拡散・浸透していった。ただし,韓国・朝鮮系の人びと(子孫)がその出自を明らかにさせた時,日本の社会側はいきなり拒絶反応を起こすことが多かった。

 ところが,最近における,それも1970年代以降の,日本において現われてきた他国人との国際結婚の増加傾向によって生まれてくる混血児は,アジア系の人びとが当初は多かったものの,欧米の白人系とくわえて黒人系の混血児も徐々に増えてきた。みた目ですぐに分かる「彼らの人種的な出自」を有する子どもたちが,1980年代からは徐々に増えてきた。

 後段であらためて言及するが,2020年9月13日に全米オープンで2度目の優勝を果たした,大坂なおみ1997年10月16日生まれ,もうすぐ年齢は23歳になる。なおみは日本の代表として,テニスの試合に出場している。

 ◆「有色の帝国」といえば,いまの中国をそうみる人もいそうです。かつての帝国だった日本と重なるところがあるでしょうか。

  ◇「民族という言葉は当時の朝鮮や中国にも伝播(でんぱ)し,独立運動などで使われました。西洋に対して被害者意識や警戒心があること,千年単位の団結の歴史をかかげて忠誠心や標準語を強要すること,国内の人権侵害に抗議する集団を裏切り者とみなすこと,差別や支配の自覚がないことなどは,日本が発明した民族概念の特徴です。いまの中国が大日本帝国と同じ道をたどらないことを望みます」。

 ◆ 日本人みずからが生み出した民族という概念の呪縛を,どうしたら超えていけるでしょうか。

  ◇「いまの日本の人びとは,国の独立が脅かされる危機を感じてはいないでしょう。そのため民族という日本語も,かつてほどまがまがしい言葉ではなくなりました」。

  「しかし,差別があるのにその自覚がない傾向はいまも強い。日本政府は国内の『民族』統計をとっておらず,日本に人種問題や民族問題は存在しないという立場をとってきました。国内の差別を直視しようとしないという点では,民族という概念の呪縛は続いているともいえます」。

  「まず,国内に差別があることを認識する。そこから始めてはどうでしょう」。(引用終わり)

 --あらためて断わっておこう。その「差別」の発声・送信の行為に一番大きく関与しているのが,一部のネトウヨ的,いいかえればアベ・トモ的ともみなしていい「差別のためにする差別そのものである言動」であった。なぜ,差別するのかその理由を当人たちはよく理解もできていないまま,ともかく「相手を侮蔑しつくし,殺してもいい」とまで発言してきた事実は,在特会在日特権を許さない市民の会)という会名をもつ,いわば端的に “愚民の会”にも表出していた。

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 付記)「良い日本人も悪い日本人もどちらも殺せ」と日本側が,どこかの国の人たちとにいわれたら,日本人自身はどう感じるか?

 いまどき,21世紀のいままで日本に「定住してきた在日,それも韓国〔籍〕人を中心とする人びと」のなかに「在日特権」など,なにもない。在特会の桜井 誠(こと,高田 誠)は,自身の妄想的に構築したつもりの虚像を向かい「批難の矢」を放っているつもりであった。だが,そこには,その矢が的として射るべき “在日たち実体・中身” そのものが,なんら存在していなかった。

 もっとも,桜井(は「在日の通名使用はけしからぬ」と怒っているが,自分も高田ではなく「この桜井という名字」を使っているのだから)の態度は,笑止千万であった。「桜井 誠のそばには違和感もなく安倍晋三が居られる」という『日本人(?)的な政治意識じたい』が,この国における市民意識の水準として彼らの本体を観察するとき,いかに痴的に堕落しきっているかを如実に教えている。 

 

  20世紀後半から21世紀にかけて「ハーフ(外国籍の片親から生まれた子ども)」が増えているが,とくに,1980年代から2010年(21世紀第1・十年期)には,国際結婚数が6%台にまで増えた年もあった。

【参考図表】f:id:socialsciencereview:20200913181205j:plain

  ※-1「30人に1人がハーフの時代」

 厚生労働省がまとめた2012年の人口動態統計によると,死亡数から出生数を引いた日本の人口の自然減は21万2千人で過去最大。人口減少に歯止めがかからない。その一方で,国際結婚は増加の一途を遂げ,夫婦のあいだに生まれるハーフの数も上昇している。

 2006年に生まれた新生児110万4862人のうち「両親のどちらかが外国人」の新生児は3万5651人で全体の3.2%。つまり,いまや30人に1人の子供の親のいずれかが外国人だということになる。

 補注)この2006年については,「国際結婚の割合は,2006年にピークを迎えた」と指摘されている。「2006年には,全体の婚姻件数のうち,なんと約16件に1件が国際結婚でした」と驚きをこめて表現されていた。

 そして,「国際結婚の割合は,2007年以降徐々に減少していたのですが,国際結婚の件数と同じで2015年あたりに底を打っている可能性があります」が,「わずかですが,2016年から国際結婚の割合が上昇しています」し,「今後は,国際結婚の件数が伸びるとともに,国際結婚の占有率も上がってくるのではないかと思います」とも指摘されていた。

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〔記事に戻る→〕 父親が日本人の場合,母親はアジア系であるケースが多く,この場合,妻の国籍1位は中国人,2位がフィリピン人,3位が韓国・北朝鮮である。新生児150人に1人が日本人と中国人のハーフというデータもある。

 註記)山下真弥・稿「〈知られざる『移民社会』ニッポンの現実〉30人に1人がハーフの時代 立ちはだかる文化の壁をどう乗り越えるのか」『WEDGE Infinity』2013年4月11日,https://wedge.ismedia.jp/articles/-/2702

 ※-2 「『ハーフ』と向きあう」『東京新聞』2019年4月20日

 日本人と外国人を両親にもつ「ハーフ(ミックス)」の存在がテニスの大坂なおみ選手の活躍であらためて注目されている。子どもたちの2%が国際結婚で生まれる時代。当事者らの思いは?

 〈ハーフの出生数〉 国の人口動態統計では,2017年に生まれた子94万6065人のうち,父母のどちらかが外国人の子は1万8134人で,全体の1.9%を占めた。母が外国籍は8674人,父が外国籍は9460人だった。

 ハーフの割合が2%前後という傾向は,この20年ほど,ほぼ変わっていない。ただし,親が日本国籍を取得した場合や外国生まれで,日本に移住した子らは統計に含まれず,実際の「ハーフ」数はもっと多いと推測されている。

 補注)前段で「ハーフの割合が2%前後という傾向は,この20年ほど,ほぼ変わっていない」という指摘は,正確な認識たりうるのか,まだ疑問がある。つぎの統計図表は「平成25年の出生数は104万人,外国人を含め8千人近く減少…  厚労省の人口動態統計 5枚目の写真・画像」から借りたものである。

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 「データで見る国際結婚の動向。日本初の国際結婚はいつ? そして国際結婚の闇に見え隠れする人権問題とは?」『データのじかん』2019.10.10,https://data.wingarc.com/international-marriage-21492

 子どもが産まれるまでには,婚姻後数年以上の時間が経過することになる。第1子,第2子……となれば,さらにその間における年月が過ぎていく。そうしたあたりの国際結婚による出生数とその割合は,つぎの統計図表をみれば,おおよそ見当がつくはずである。話題の対象になっている母数の変動をみながら,併せて総体的かつ総体的に把握しつつ説明しないといけない。

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 この ③ の文中から上に3つの図表を参照する。関連して含意のある段落も引用するとなれば,日本における国際結婚のいわば「明と暗」に相当する社会史的な様相も感じとれるはずである。

 芸能界タレントやスポーツ界アスリートとして活躍している人物たちが注目されている反面で,国際結婚という社会事象から生まれている数々の「混血児」たちの物語も生まれている。

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 最近,『朝日新聞』2020年9月6日朝刊21面「教育」に,母が日本人で父がカメルーン人である,お笑い芸人の “ぶらっくさむらい”(上掲画像,1980年生まれだから今年で30歳) が,「〈かあさんのせなか〉生きづらさに『ごめんね』と」に登場して語っている中身は,この日本社会側の混血児に対するに「明と暗」を,ほんの一例であるとはいえ,包括的に触れる語りをしていた。

 しかし,この日本も出生数が確実に減少していく時代のなかで,肌の色がなんだとかなんとかはいっていられなくなっていた。いうまでもないが,スポーツ界はその最先端をいっている。

  大坂なおみ全米オープン2度目の優勝  アザレンカ破る」(!!!)asahi.com 2020年9月13日 7時20分。 

 

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 優勝するのに肌の色が絶対的に関係するのか? 昔は白人しかさせない競技がたくさんあったが,いまではプロテニス界で,肌の色がどうのこのいう人はいない。 


 【補論】 国難そのものの首相でしかありえなかった「安倍晋三の第2次政権」も,対・人口政策では無力であった事実

 「〈子育て世代がつながる東京すくすく〉止まらない少子化『多様性を認める社会でないことの表れ』 安倍政権の対策は実効性に疑問 内閣官房参与・吉村泰典さんインタビュー」『東京新聞』2020年9月8日朝刊(元記事:東京新聞 TOKYO Web 2020年9月7日)

 安倍晋三首相が国難にかかげた少子化問題について,内閣官房参与として安倍政権に助言をしてきた産婦人科医の吉村泰典氏が,東京新聞の取材に応じた。吉村氏は,安倍政権による対策について「幼児教育無償化など制度は変えたものの,いまだ有効な対策になっているとはいえない」と実効性を疑問視。その理由について「多様性を認める社会へと意識を変えられなかったからだ」と指摘した。

 確か,この人である f:id:socialsciencereview:20191209085625j:plain  であったはずだが……。なんといえばいいのか,冗談にもならない……,……。

 a) 昨年の出生数は過去最少「歴代首相の中ではもっとも取り組んだが…」 

 7年8カ月に及んだ安倍政権のもと,出生数は毎年減りつづけ,2019年は過去最少を記録。女性が生涯で産む子どもの平均数「合計特殊出生率」は1.36で,少子化に歯止めがかからない。吉村氏は,安倍首相について「歴代首相のなかではもっとも少子化対策に取り組んだと思うが,道半ばだった」と指摘した。

 補注)「結果」で判断すべきであって,「道半ば」であったかどうかは,また別に独自に評価するための「主観的な判断基準」。

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  出所)『東京新聞』2020/09/08,https://sukusuku.tokyo-np.co.jp/birth/35693/

 安倍政権は,消費増税分を幼児教育無償化などに充てた。子どもがほしい人の希望がかなった場合の「希望出生率」という言葉を用いて,1.8をめざす考えを示した。だが,実際の合計特殊出生率との差は大きい。吉村氏は「政策は間違っていなかったし,目標をかかげたことも良かったが,若い人たちに理解してもらえていない」と分析した。

 b) 婚外子の割合,欧米では4割(40%)超の国もあるが,日本はわずか2%

 その理由を「子どもを産み育てたいという希望は,婚姻にかかわらずかなえられるべきだ。多様性を認める社会ではないことが出生率に表われている」と分析。厚生労働省によると,日本で法律上の婚姻関係にない男女の間に生まれた「婚外子」の割合は約2%。欧米では4割を超える国も多く,日本は圧倒的に低い。

 吉村氏は首相に対し,婚外子の割合が高い欧米諸国の状況など,多様化する家族形態について説明したこともある。保守層の支持を基盤とする首相は,夫婦別姓にも慎重な立場。自民党内にも性的少数者(LGBTQ)への配慮を欠く発言をはじめ,伝統的な家族制度を重視する傾向が強い。「婚姻制度についても,もう少し考えてほしい」と,多様な家族形態について議論を進めるよう求める。

 c) 新型コロナウイルス感染拡大の影響については「経済的な理由で,子どもをつくらない選択をする人が増えると思う。少子化に追い打ちをかけるのではないか」と懸念した。

 d) 内閣官房参与は,専門知識を生かし,首相の政策決定に助言する非常勤の国家公務員で,現在10人。少子化は若い世代のレジスタンス 結婚せず産みたい人,性的少数者などの「育てたい」をかなえるべきだ。
 
 ここで,あらためての整理となる。安倍政権の少子化対策について,内閣官房参与の吉村泰典氏が語った主な内容は,つぎのとおり。(前段と重複するがこちらも引用しておく)

 ★「86万ショック」国家存続の危機 ★

  ☆-1 2019年の出生数が過去最少を記録した。

 「前年比で5万人以上減り,早ければ来年にも80万人を切るかもしれない。政府は『86万ショック』と言うが,国家存続の危機,非常に深刻な問題だ」。

  ☆-2 安倍政権は少子化を「国難」とした。
  「安倍晋三首相は戦後の歴代首相のなかでは,もっとも少子化対策に取り組んだと思うが,道半ばだ。保育園の待機児童対策や幼児教育無償化などは,国の制度を変えたが,いまだ有効な対策になっているとはいえない。多様性を認める社会へと意識を変えられなかったからだ」。

  ☆-3 首相は「希望出生率 1.8の実現」をかかげた。

 「希望出生率は,子どもがほしい人の希望がかなった場合の数字として,安倍政権が広めた言葉。政策は間違っていなかったし,目標をかかげたことも良かったが,若い人たちに理解してもらえていない。少子化は,産みたくても産める環境ができていない社会に対する若い世代のレジスタンス(抵抗)ともいえる」。

 ★「伝統的な家族制度」を重視した?

  ☆-1 2019年の合計特殊出生率 1.36との差が大きい。

 「日本で婚外子は全体の2%にすぎず,根源的な問題として婚姻関係になければ子どもが産めない状況がある。望んで結婚せず子どもを産みたい人や,事実婚性的少数者(LGBTQ)のカップルらの子どもを産んで,育てたいという希望は,婚姻にかかわらずかなえられるべきだ。多様性を認める社会ではないことが出生率に表われている」。

  ☆-2 ―首相は,伝統的な家族制度を重視する保守層に支持を受けており,積極的に取り組まなかったのでは。

 「それは言えるかもしれない。人口減少が進む今の日本で,出生数が増える要素が見当たらない。産みたい人が産める社会になるよう,婚姻制度についても,もう少し考えてほしい」。

 ★「3年抱っこし放題」といっても… ★

  ☆-1 政治と社会の間にずれがある。

 「首相が3年育休を『3年抱っこし放題』といったが,産後1カ月で復帰しなければならない人もいる。働きたい時に働けるようにするのが政治だ。子育てをしながら仕事を続けることは当たりまえ。十分ではないが,企業は多様性を認めようと変わりつつある」。

  ☆-2 新型コロナウイルスの感染拡大の影響は。

 「経済的な理由で子どもをつくらない選択をする人が増えると思う。不要不急だと不妊治療を受ける人も一時,すごく減った。経済的な理由で受けられない人も多い。少子化に追い打ちをかけないか心配だ」。

 e) 吉村泰典(よしむら・やすのり)は,1949年岐阜市生まれ。慶応大名誉教授,産婦人科医。2013年から内閣官房参与として,少子化対策子育て支援を担当。

 この吉村泰典の発言は,やや忖度気味でもの足りない発言内容になっていたが,安倍晋三の人口政策というか少子化対策に対する採点となれば,実質面においては,かぎりなく零点に近い。

 その1 安倍晋三は「少子化は,産みたくても産める環境ができていない社会に対する若い世代のレジスタンス(抵抗)」をまったく理解できていなかった。

 

 その2 婚外子を積極的に認めないエセ旧民法的な「家族の〈絆〉」,このファシズム的な家の観念と発想では,「望んで結婚せず子どもを産みたい人や,事実婚性的少数者(LGBTQ)のカップルらの子ども」を正視する気すらが,もともと眼中になかった。

 

 その3 要は,的外れの人口対策しか安倍晋三の頭脳内には用意されていなかったというか,どだい,この人に少子・高齢社会に対する社会政策を期待することじたいが間違いであった。この首相,もうすぐ辞める。

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