秘密警察・監視国家体制の為政を敷く意欲は満点だが,民主制を維持・発展させるという政治意識は無である菅 義偉政権の実情は,安倍晋三政権よりもさらに悪質
安倍晋三を再登場を期待するような声が自民党内では上がっているというが,ブラック・ユーモアにもほどがある,安倍が壊した日本の政治を菅が仕上げている,この国は奈落の底へ向かい案内されている……
要点・1 政治家(政治屋?)を何十何年やってきたのか,菅 義偉は国会での討議ができない「安倍晋三以下の,ひどくファシスト的な,なりあがり政治屋」
要点・2 田中角栄は「地方議員上がりの政治屋には国政がまともに担えない,ムリだ」と喝破していたが,そのとおりに出現した見本が菅 義偉
①「選挙制度と政治家の質について」『内田康宏の政策日記』2016年3月19日,https://uchidayasuhiro.cocolog-nifty.com/blog/2016/03/post-d26d.html
小選挙区制となり,政党と国政における政策の違いが地方政治にまでもちこまれ……,国政は国政,地方は地方と合理的な割り切りができないケースが増えてきた。私は県会議員を26年間務めていたが,その間,市議会の役職人事に口を出したことは一度もない。通常,国会議員も同じスタンスで対応するものであった。
また選挙の公費負担制度の恩典により,立候補のハードルが低くなったせいか,まるで立候補することを新たな就職活動のように考えている候補者も出てきている。そうした人達は地道な活動はおこなわず,確たる原理原則もなく,まるで選挙を芸能人の人気投票のように思っているようにもみえる。
少なくとも選挙に出るということは,その人なりの愛郷心,正義感,思想や理念,あるいはヒューマニズムなどがその原動力となるものと考えるものであるが,「そんなものは当選してから考える」とでもいわんばかりの姿勢は気になるところである。
この前岡崎市長内田康宏のいいぶんであるが,いまの菅 義偉という日本国首相に当てはめて考えるに,なかでもとくに「その人なりの愛郷心,正義感,思想や理念,あるいはヒューマニズムなど」という政治家としての基本姿勢にかかわる要素が,まったく感じとれない。この点は,多くの国民・有権者たちも共有して感じるほかない特徴だと思われる。
要は,菅 義偉は政治家として日本国内閣総理大臣になっているけれども,この人には政治理念に関する総論の立場・思想が不在であると,以前から指摘されてきた。菅は,実際に首相になっていても,その欠陥(政治家失格)を少しでも努力して克服しようとする意向が「まったく」みられない。
菅 義偉自身は,自分の政治家としての「基本的な欠格事項」(決定的な能力不足)を補うというか,ともかく穴埋めするための政治手法として充てたのが,公安・警察官僚出身の,それも後期高齢の年齢層にまで属する者たちを手足に使いつつ警察監視国家体制を敷き,なにかにつけて・必要に応じて,「対象となる相手」(すべての国民・庶民たち)のあら探しに注力し,恫喝・脅迫を下敷きにした恐怖政治をおこなっている。
その悪手になる政治習慣は,菅 義偉が官房長官の時期に,官邸(宮廷)管理として対・社会向けに実施してきた政治手法であった。しかし,菅が首相になっていても,自分がもちあわせる政治屋としてのその種の基本能力は,「菅はスガーリン」だというあだ名をもらえる程度にまで,圧政体制を最優先する国家運営に応用されてきた。
しかし,そうした日本国運営の実践的な方法は,いちおう民主主義国家体制を採るこの国のあり方にとってみれば,まさしく単純極右的な発想が,しかも反動形成的に構築されているゆえ,根本的には粗暴・乱雑さから自由ではありえなかった。すなわち,菅が9月16に首相になってからの為政ぶりは,その事実をよりいっそう鮮明にするだけであった。
要は,一国の最高指導者になれる資質を備えておらず,その能力も切磋琢磨されないまま,いいかえれば,積極的な努力を十分にしてこなかったとしかみなせない人物が,現在,この日本を動かしている。そうなのだから,「魔の7年と8ヵ月あまり」が費やされてきたあの「安倍晋三の愚政」のあとにつづいて,さらに粗雑で野卑きわまりない為政が進行中である。
②「『控える』答弁,80回近く 首相ら学術会議巡り48回 臨時国会序盤」『朝日新聞』2020年11月10日朝刊4面
★「お答えは差し控えます」を連発する菅政権 ★
菅政権にとって初めてとなった臨時国会の序盤では,菅 義偉首相や閣僚が答弁を避ける姿勢が目立ち,「お答えを差し控える」などの表現は早くも80回近くになった。日本学術会議の任命拒否問題などを追及されたこともあり,首相の説明責任を果たそうとしない姿勢が浮き彫りになった。
補注)国会での討論から必死に逃げる政権,しかもその態度を一方的・強引に貫く態度は専制的独裁主義志向の政治そのものを意味する。野党から提示される質問に,それも肝心な核心の論点にいちいちまともに答えていたら,即「内閣崩壊」という悪材料しか抱えてこなかったのが,安倍第2次政権以来の自民党内閣の一大特徴であった。
森友学園問題(国有地の不当な低価格での売却)のひとつとっても,これは2017年3月中旬の話であったが,森友学園の籠池泰典理事長と面談した菅野 完が,この国有地払い下げに関する疑惑の「すべて明らかになったら内閣が2つぐらい飛ぶ」と発言したことがあった。安倍晋三が首相の時期においては,それに足してさらに3~4つぐらいは内閣が吹っ飛ぶような「極悪の政治」,
いいかえれば「私物化・死物化・負の遺産化」「いまだけ,カネだけ,自分だけ」の政治,つまり,安倍晋三や菅 義偉とそのオトモダチのためにだけこの国家が存在するかのような,以前であれば「安倍晋三主張と菅 義偉官房長官のゾンビ・コンビ」による,恣意も完全にまできわまった為政がおこなわれてきた。
例の加計学園問題,桜を見る会,公文書隠蔽・改ざんなどに代表されてきた,それもアベのデタラメばかりが目立たせてきた,つまり「子どもの〈裸の王様〉」である「安倍晋三の為政」は,菅 義偉という官房長官がその片腕を演じることによって,なんとか持続することができていた。菅がつづいて首相になったとなれば,日本の政治が極悪化するのは必然のなりゆきであった。
要は,「こんな人」や「あんな人」が首相を歴任してきたとなれば,この日本国の屋台骨じたいが,重度の骨粗鬆症状態になっていて当然である。
日本はOECD--Organization for Economic Co-operation and Development:「経済協力開発機構」=国際経済全般について協議することを目的とした国際機関--に加入している先進国のなかでは,より優れた国として存在してきた1国であったけれども,最近はこの国際機関のなかで占める各種の政治・経済・社会指標がいちじるしく低下しており,最下位に近いそれもある。
また,日本がけっして “発展途上国(後進国群の一国)ではない” といえるだけの「経済・社会全般に関する諸事象」を表現するためのあれこれの指標も,最近における日本は,なぜかドンドン低落・悪化させてきた。たとえば「報道の自由」だとか「女性の活躍」にかかわる係数は,本当にみっともないくらいに低下してしまい,非常に悪い数値である。
【参考記事】
安倍晋三が首相をやってきた期間においてこそ,そうした「日本低調・混迷」の様相が,より顕著な事態となって現象しだしてきた。ところが,この安倍晋三をあとを継いで首相になった菅 義偉の,これまでの采配ぶりを観ただけでも,この政治屋が総理大臣向きの人材ではなかった事実は,いまさらのように確認させられていた。その点に関する言及が,この ② として引用している記事である。
〔記事に戻る→〕 先〔10〕月28日から今〔11〕月6日までに衆参両院でおこなわれた代表質問と衆参予算委員会での約1250の政府答弁を対象に「答弁」「答え」「コメント」「説明」を「控える」などと答弁したものを集計した。
もっとも多かったのは,日本学術会議が推薦した会員候補6人を拒否した問題だ。首相や閣僚,内閣法制局長官ら菅政権全体で48回。そのうち42回が首相だ。
たとえば,任命拒否の理由として,首相は2日の衆院予算委で「大学に偏りがある」と主張した。これに対し,拒否された6人のなかに1人も会員がいない私大の候補がいると追及され,4回連続で「人事」を理由に「控えたい」と述べた。
6日の参院予算委では,学術会議との「事前調整」の内容について問われると,「プロセスの説明は差し控える」などと約30分間に12回も繰り返した。
「女性はいくらでもウソをつける」と発言した杉田水脈氏や公職選挙法違反の罪で起訴された河井克行・案里両氏の問題を問われたときも,「個別の国会議員の発言にはコメントは差し控えたい」と答弁を避けた。
首相は官房長官時代,記者会見で「まったく問題ない」「指摘はまったくあたらない」などと繰り返して乗り切ってきた。一方,官僚の書いた答弁を読むことが多く,与党内には首相の答弁能力を不安視する声もあった。
参院予算委で野党筆頭理事の森ゆうこ氏は〔11月〕6日,「官房長官の時みたいに『問題ない』『それに当たらない』というだけではとうてい国会はクリアできない。力のある政治家だが答弁能力はない」と指摘。野党側は今月中にも首相が出席する集中審議を求めている。(引用終わり)
菅 義偉にあっては,自分の能力が足りなくて答弁がまともにはできないという事実がまず控えているし,そのうえで質問されている事案じたいが,もしもまともに答えて議論していたら「自身の立場にとっては命取り」になるほかないものばかりであった。だいたいの質疑が「説明できない」のではなくて,もともとその内容を「説明したくない」のである。これでは国会での議論は初めから成立しえない。慇懃無礼というよりも,はるか以前の国会軽視の基本態度が露わである。
日本における民主主義の現況は,瀕死の重症である。
③「『お答え差し控える』答弁,毎年300件超 第2次安倍内閣以降が突出 立命館大准教授調査」『朝日新聞』2020年11月7日夕刊「社会」
国会答弁で出た「お答えを差し控える」の発言数を調べたところ,直近5年は毎年300件を超える「異常事態」になっている。そんなツイートが話題になっている。リツイートが1万件,「いいね」は1万3千件を超えた。
ツイッターに投稿したのは,立命館大産業社会学部の准教授・桜井啓太さん(36歳)。国会会議録検索システムを使い,1970年から今〔2020〕年10月8日まで半世紀分を調べた。なかでも安倍政権下の2017~19年が毎年500件超と突出していた。先〔20〕月29日,グラフとともにこうツイートした。
【聞かれても答えない国家】 『いつからこんなに国会は答えなくても許される場所になったのか?と思い作ってみた。やはりここ数年の答えなさは異常…』
桜井さんの専門は政治ではなく,社会福祉学。近年明らかに増えた印象の「答えを控える」答弁の数を可視化してみようと思い立った。同システム(https://kokkai.ndl.go.jp/ 〔国会会議録検索システム〕 別ウインドウで開きます)は,戦後の第1回国会(1947年5月)以降の本会議や委員会の発言を電子化し,誰でも無料で利用できる。
自身の研究テーマで活用したノウハウがあり,半日ほどで集計できたという。対象の答弁は衆参本会議や両院協議会・合同審査会など全てとした。
とくに発言数が目立った第2次~4次安倍内閣の閣僚経験者の答弁(集計期間は2012年12月26日~今〔2020〕年9月16日)では,安倍晋三前首相(165件),森 雅子氏(94件),稲田朋美氏(87件),河野太郎氏(78件)の順に多かった。
桜井さんは,森友・加計,桜を見る会などの問題が背景にあるとみる。桜井さんは「モリカケ桜だけでなく,政策全般でみられたのが意外だった。答えない姿勢が安倍政権以降,政治家や官僚に広く浸透したのだろう。国会軽視というより国民軽視の態度だ」と指摘。そのうえで「他者の問いかけに答えるのは社会の基本マナー。いっさいをはねつける言葉が社会全体に広がっていないだろうか」と心配する。
今回の集計に菅 義偉首相の就任後の答弁は含まれていないが,首相として初の代表質問で,この言葉を発した。桜井さんは「菅首相は初日からこの言葉を使い,すでにポイントゲッターの気配がある。今後の答弁にも注目したい」と話している。(引用終わり)
「他者の問いかけに答えるのは社会の基本マナー。いっさいをはねつける言葉が社会全体に広がっていないだろうか」という問題が,いまの日本では「国会軽視というより国民軽視の態度」として浸透してしまった。
事実,この国の政治における「民主主義が完全に溶融している状態」は,しごく自然に,そして正直に,そうした惨状を物語っている。つまり,現在における日本の政治は民主主義が窒息状態にあり,いまや正常に機能していない。太平洋(大東亜)戦争中の東條英機内閣を思い起こして比較したら,一番理解しやすい。
出所)ウィキペディア。勲章をたくさんぶら下げている(佩用している)が,観方によっては「子どものおもちゃ」(「おとなのオモチャ」?)にもみえる。
安倍晋三の為政,2012年12月26日から2020年9月15日は,日本の政治を完全にダメにした。民主主義の国家体制を滅ぼしてきたというほかない。形式面だけでなく,実質面での話をしたうえで,総体的に評価すべき問題となる。むろん,「実質面において」日本の政治は崩壊させられてきたが,それはいうまでもなく,同時にまた「形式面の瓦解」も意味する。菅 義偉はこの崩壊と瓦解の政治過程のなかで,みずからがそれを加速させる役割を嬉々と演じてきた。
「戦後レジームからの脱却」を唱えていた安倍晋三は,戦後(本当は敗戦後)体制からは脱却しえていなかった。それどころか,みずから進んで対米服属路線を「アメリカ側が大喜び」する地点にまで,さらに後退させてきた。しかも,東京裁判史観の克服を強調する彼自身が,この “史観の檻内” でしか唱えられない「脱却?」を,つとに強調してきた。そうだったとなれば,事態の進展ぶりといったら,笑止千万どころか七転八倒的な悲喜劇の混合体にまで変わりはてていた。
安倍晋三などご一統は,いうまでもなくもともとこの「美しい国:日本」をさらに,もっと『美しい国へ』と発展させたかったらしい。だが,実際に第2次安倍政権が成就させたその国柄の変転ぶりときたら,ただに「対米屈従路線」と表現するのがふさわしい「実に醜い実体」しかもたらしていない。
また,安倍晋三が力説したかった「その脱却」も全然達成できていなかった点は,贅言を要しないくらい明白であった。比喩しよう。飼い主に代われているペットの座敷犬や座敷猫が,この家は全体がオレたちのものだ,りっぱに管理しているぞなどと,勝手に吠えたり・ニャンとか空威張りしているに似た光景が,われわれの目前で展開されてきた。
いまの日本において時事問題となっている学術会議の件は,菅 義偉の得意文句のように「まったく問題ない」「指摘はまったくあたらない」論点なのではけっしてない。まさしく,そこにも,問題だらけで批判だらけの「安倍晋三から菅 義偉へと連続してきた」「自民党政権に固有だった体質的な困難の具体例」が隠されているからこそ,菅の答え方のように「核心の問題にはいっさい答えない姿勢」を貫かないと,この政権は一気に溶解するほかない。
④ 2020年10月7日(主に)の関連する新聞記事一覧
「学術会議人事 首相発言 説明にならない 開き直りは通らない,6人を排除した理由 説明なし 「学問の自由とは全く関係ない」わけがない」『この国を考える2』2020-10-07,http://ajimura2.blog.fc2.com/blog-entry-948.html が,以上 ③ まで議論した菅 義偉政権の,いってみれば「政権の体をなしていない」,つまり「首相が自分の仕事がまともには,マッタクできていない」現状を,以下のようにまとめて一覧にしてくれている。
これは,非常に便利は整理なので,紹介しておきたい。要約すれば,いまの菅 義偉政権が学術会議問題に対しておこなっている采配(?)は,ただの支離滅裂である。しかし,なぜそうなるほかないのかを,われわれの側でよく考えておく余地があった。
※1『朝日新聞デジタル』2020年10月6日 5時00分「〈社説〉学術会議人事 説得力ない首相の説明」
「前例踏襲を見直す」。そういえばなんでも通用すると思っているのか。官房長官時代にみせた,説明を嫌い,結論は正当だとただ繰り返す姿勢は,首相になっても変わらないようだ。
日本学術会議が推薦した会員候補者6人の任命を拒否した問題をめぐり,菅首相は「そのまま任命してきた前例を踏襲してよいのか考えた」「総合的,俯瞰(ふかん)的活動を確保する観点から判断した」と述べた。総合,俯瞰などもっともらしい言葉が並ぶが,6人の拒否がそれとどう結びつくのかまったく分からない。
補注)「総合的・俯瞰的」というコトバの意味は,鳥瞰(バードアイ:bird eye)の視点だということになる。だが,この首相は地上でうごめく蟻たちの動きは,いっさいみようともしていない。というよりも初めからみえていないし,みようとする気が皆目ない。それでいて,口先だけでは「総合的だ,俯瞰的だとデンデンだけはしてきた」のだから,説得力はゼロ。すなわち「総合的だ,俯瞰的だ」という観点の理解は,変幻自在ゆえ,恣意であるほかない価値観を引き寄せられる。それだけのこと。
「前例踏襲」のウンヌンし,非難する口調についていえば,慣習の尊重ではなく,いきなり自分好みでそれ(前例尊重)を横破りする気分を強調していたに過ぎない。好き勝手に首尾一貫性などなにもなく,それでいて他者には正式にとてもいえない,つまり,自分たちの偏向した独裁的な采配を押し通すことによって,新しく自分たちに都合のよい「前例の恣意的な創造」をする考えしか,その念頭にはないと来ている。
※2『読売新聞』2020/10/06 05:00「〈社説〉学術会議人事 混乱回避へ丁寧な説明が要る。
学術研究にかかわる組織を政争の場にしてはならない。問題の所在をきちんと整理すべきだ。
補注)安倍晋三政権時から政府の応援団新聞(支援紙)であるこの『ゴミウリ新聞』でさえ,このように菅 義偉の政治手法を批判している。
※3『毎日新聞』2020年10月7日 東京朝刊「〈社説〉学術会議巡る首相発言 これでは説明にならない」
これでは国民の納得はえられないだろう。日本学術会議の新会員候補6人を任命しなかったことについて,菅 義偉首相が内閣記者会のインタビューで答えた。だが「総合的,俯瞰的な活動を確保する観点から判断した」と語るだけで,具体的な理由は明らかにしなかった。
補注)『そこを明らかにできない』のは,確かに,ひどくやましい理由・事情を隠しているからであった。ともかく,安倍前政権が2015年から2016年にかけて成立させ施行していた米日安保関連法に対して,反対の意見を披瀝していた人文・社会科学者の6人が学術会議の新会員になることを拒まれた。菅 義偉は当時,官房長官を務めていたのであり,この彼の立場にとって非常に目障りであった以上に,障害物そのものに映っていた「彼ら6名」は,杉田和博(現在,官房副長官)に調べさせたうえで,そのように措置していた。
オレ様側の方針に反対し,批判を繰り出していたからといって,いまごろになって意趣返しをしていた菅 義偉という政治屋は,単に根性が悪いというだけでなくて,政治家として備えるべき「基礎的な知性」と「冷静な理性」を,もともともちあわせていなかった。菅の得意ないい方,「まったく問題ない」「指摘はまったくあたらない」という没論理の強引だけである弁法は,一般常識的には簡単に通るはずのリクツさえも「まったく認めない」発想を意味していた。
※4『しんぶん赤旗』2020年10月7日「〈主張〉学術会議人事介入 菅首相の開き直りは通らない
首相は「総合的,俯瞰的な活動を確保する観点から,今回の任命を判断した」などと人事介入を正当化しました。6人を排除した理由は詳しく説明しませんでした。学問の自由を保障する憲法に違反し,日本学術会議法に反する前代未聞の暴挙への反省はありません。国民の不信や疑問にこたえない首相の姿勢が問われます。
補注)この件は前代未聞ではなく,すでに2016年,2018年においても同様に,つまり暗がりのなかでの陰湿な工作を,安倍晋三前政権はすでにおこなっていた。要は,それが表面には出ないかたちに抑えて,すでにその実績作りに励んでいた。さきに出ていた「前例踏襲を見直す」という仕草は,菅 義偉政権の場合,自分たちにとって都合のよい使い方しかされない。隠れてこそこそやるような「前例踏襲の見直し」についてこそ,説明がなされなければならないが,そのところからは徹底的に逃げまわっている。
※5『北海道新聞』2020/10/07 05:00「〈社説〉学術会議人事 首相の説明成り立たぬ」
菅 義偉首相が科学者の代表機関「日本学術会議」から推薦された新会員候補6人を任命しなかったことについて,北海道新聞などのインタビューに見解を示した。だがとうてい納得できるものではなく,説明になっていない。
※6『信濃毎日新聞』2020年10月7日「〈社説〉学術会議人事 首相は何も答えていない」
学問の自由とはまったく関係ない。菅 義偉首相がそう強弁して押し切るのを認めるわけにいかない。日本学術会議の会員候補6人の任命を拒んだ問題だ。
※7『西日本新聞』2020/10/7 10:43「〈社説〉学術会議の推薦 首相は拒む理由の説明を」
日本学術会議が推薦した105人の新会員候補のうち,なぜ6人だけを任命しないのか。その明確な理由を菅 義偉首相が説明しない限り,この問題は解決しないと心得るべきだ。
補注)学術会議のほうに対して菅 義偉は,オレ様のやりたいことを「総合的・俯瞰的に〈忖度せよ!〉」といいたいのかもしれない。けれども,その態度にうかがえる反・民主主義の態度,その破壊を試みている精神は,あまりにも露骨に浮上している。
「『会員候補6人が安全保障政策などを巡る政府方針への反対運動を先導する事態を懸念』して任命拒否・・・リークした『複数の政府関係者』」とは!?」『くろねこの短語』2020年11月9日,http://kuronekonotango.cocolog-nifty.com/blog/2020/11/post-d3c4b8.html が,以上(以下)のごときに批判されまくっている菅 義偉君の政治手法(スガーリン的発想)を,つぎのよう非難していた。
--日本学術会議問題をいつまでやってんだ,って加計学園不正献金疑惑の下村〔博文〕君がのたまってくれたってね。説明責任は任命拒否した特高顔のカス総理にあるんだから,こういうのを盗人猛々しいっていうんだね。そんなことより,テメーの不正献金疑惑の説明をとっととしやがれ。
でもって,任命拒否は,「安全保障関連法や特定秘密保護法に対する過去の言動を問題視」して,「会員候補6人が安全保障政策などを巡る政府方針への反対運動を先導する事態を懸念」したのが理由だと「複数の政府関係者」が明らかにしたそうだ。
ああ,やっばりねということで,その理由については別に驚くことはないんだが,これをリークしたのが「複数の政府関係者」ってのが肝なんだね。メディアがこういう匿名報道する時ってのは気をつけなくちゃいけないんだが,政権発足から間もないこのタイミングで「複数の政府関係者」からリークされるってのは,ひょっとしたら内閣の屋台骨が早くも揺らいでいるんじゃなかろうか・・・なんて妄想したくなっちゃうんだね。
「不正選挙だ」って喚いてるトランプを諫める動きが共和党のなかから出ているようだけど,おそらく日本学術会議問題へのカス総理のかたくなな態度に対しても同じような動きが自民党のなかから出ているのかもしれない。ゲシュタポ杉田君〔和博〕を重用するあまり,政権そのものが潰れちまったら元も子もありませんからね。
ここまできたら,ゲシュタポ杉田君の首を切って,任命拒否撤回することだ。そして,新たに日本学術会議から推薦を受けたうえで,6名の任命を決定するのがいいわけ地獄から脱する唯一の道だろう。「複数の政府関係者」がリークしたのは,そんな発想があるからなのかもしれない・・・なんて妄想も楽しい月曜の朝である。
※8『東奥日報』2020年10月7日「〈時論〉法的根拠疑わしい行為 / 学術会議任命拒否」
菅 義偉首相は,日本学術会議が推薦した新会員候補6人の任命拒否を事実上認めた一方,その理由についてはなにも語らない。
補注)敗戦後に流行った『リンゴの唄』(1946年1月発売)の歌詞,「赤いリンゴに唇よせて だまってみている青い空 リンゴはなんにもいわないけれど リンゴの気持はよくわかる……」を真似て,菅 義偉が「学術会議に対して振るっている横暴」を許してくれる世論がある,などとは思わないほうがよろしい。
※9『秋田魁新報』2020年10月6日「〈社説〉学術会議任命拒否 明確な理由の説明必要」
日本学術会議が推薦した新会員候補105人のうち,6人の任命を菅義偉首相が拒否した。推薦通りに任命してきた現行制度のもと,拒否したのは今回が初めてだ。憂慮すべき事態といわねばならない。(以上で,各「社説」記事の紹介はおしまい)
要は,菅 義偉は何様のつもりか? だから,菅はスガーリンだと,あだ名をちょうだいしていた。日本の政治から民主主義を,それも官房副長官である杉田和博などを手先に使い,恐怖政治みたいな政治風土をこの「美しい国」のなかに造りあげて,自分の意のままに国家全体の運営をしたいのか? 菅 義偉は,自分がスガーリンだと呼称された理由を,きっと自身では忖度(!)したくないものと推察する。
菅原洋一の唄『知りたくないの』の歌詞みたくに,政治はなりゆかないことを,菅 義偉は「知りたくないの」というわけか? しっているけれども,しらないフリをしているだけ……。
あなたの過去など 知りたくないの
済んでしまったことは 仕方ないじゃないの
あの人のことは 忘れてほしい
たとえこの私が聞いても いわないであなたの愛が 真実なら
ただそれだけで うれしいの
ああ愛しているから 知りたくないの
早く昔の恋を わすれてほしいの------------------------------
けれども,政治の世界は歌謡曲の世界にあらず,「過去(現在)」の「真実(事実)」を,われわれは「日本の未来における政治」のためにも,よくしっておかねばならない。それだけのことであった。
菅 義偉が「過去と現在」に関してそこまで,どうしてもいいたくないという事情は,「将来」に向けて,それだけのなにか「とてもマズイ理由や薄暗いモノゴト」が控えている点を教えている。くわしくいうまでもなく,そうであるほかなかった。
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