IOC会長バッハがコロナウイルス用のマスクN95を着けて来日したが,日本側にオリンピック中止をさきにいわせるのが目的だともいわれ,本気で東京オリンピックを開催する意向があるとは思えない,ともかく水面下の駆け引き……

 コロナ禍は全世界的規模で流行しており日本も例外ではない,感染者数(死亡者数)も増大しつつある状況のなかで,来夏に(盛夏でもコロナ禍は終息しないと予見される)東京オリンピックを開催したがっているのは,日本国側の主な面々(菅 義偉,森 喜朗,小池百合子など)と推察される

 新型コロナウイルス感染症の拡大問題を目前にして,大枚の予算を浪費するだけの「国際大運動会」開催に執心する理由・事情は,いったいどこにあったのか? コロナ禍を契機に五輪開催は,当分の間は休止措置にしたらよい

 貧困先進国になりつつあるこの国:ニッポンが,オリンピックの開催にこだわる気持が理解できないが,関係者の一部幹部連中にはきっと,いろいろとオイシイ好物がフンダンに提供される予定の催しであるに違いない

 

  要点・1 コロナ禍の最中であり,これからも猛威がつづく段階において「東京オリンピックの開催にこだわる意向」が理解不能

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  要点・2 新型コロナウイルス感染症に人類・人間側が「打ち勝つ」などと,いってみれば狂信オカルト的な発想は,感染症に関する医学史の1冊でもひもとける人ならば,けっして口にしない戯れ言を垂れ流している

【参考記事】

  要点・3 2020年11月18日,国内コロナ感染者数が2000人を超え,1日あたり最多を更新した〔11月18日午後6時45分,補記〕


 「感染急拡大,病床はどうなる 北海道『現場もうギリギリ』 東京都,逼迫防止へ準備通知 新型コロナ」朝日新聞』2020年11月18日朝刊33面「社会」

 この ① の記事の一部はさきに,asahi.com 2020年11月17日 21時20分に「「感染者急増『潮目が変わった』 病院のベッドは足りる?」との見出しで報道されていた。ネット時代における新聞記事の報道の仕方には,いろいろ工夫がみられるようになっている。

 それはともかく,この ① の記事は,「〈税金を使った〉コロナ感染の拡大・誘引」のためになった感のある「Go To トラベル」が,「国家の政策」として『重大な危険性』をはらむ事実を指摘している。つまり,この「Go To トラベル」の本当の中身は,もともとトラブルじこみになっていて,もうすぐ “ Hell:地獄” まで呼び寄せるかもしれない。この「Go To 政策」の失敗が北海道や宮城県では,現実のものになりそうだ,あぶないと伝えている。

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 新型コロナウイルスの感染が再び急拡大したことで,感染者のための病床が各地で逼迫してきている。重症者や高齢者の感染も相次ぎ,自治体側は病床の確保を急ぐが,医療従事者の人手不足やほかの診療への影響を危惧する声も強まっている。

 「高齢の患者が一気に増えてしまうのが一番心配だ。(県独自の)緊急事態宣言もありうる」

 宮城県村井嘉浩知事は,〔11月〕16日の記者会見で危機感をあらわにした。10月半ばまでの累計で500人ほどだった県内の感染者は,この1カ月で倍増した。特に,10月31日に仙台市の有料老人ホームでクラスター(感染者集団)が確認されてから懸念が強まった。

 前日時点で確保していた県内の病床数は72で,実際に使っていたのは4割強ほどだった。だが老人ホームの感染者44人の多くは重症化リスクの高い高齢者で,病床を増やしてもつぎつぎと埋まっていった。今〔11〕月16日時点ですぐに使える病床は91に増えたが,その使用率は75%と高止まりが続く。

 県は,医療機関に呼びかければ最大345床まで増やせるとみこんでいる。だが,一般患者も抱える医療機関にとって容易ではない。救急患者も受け入れている県内の民間病院の事務局担当者は「(病床が埋まれば)救える命が救えなくなるかもしれない」。

 連日200人前後の感染が確認されている北海道でも入院患者数は686人(16日時点)に上り,すぐに使える病床963床の7割が埋まる計算だ。旭川市内の病院では今月クラスターが発生し計63人の感染が判明。市内では5つの基幹病院が感染者向けに計約100床を確保しているが一気に6割が埋まった。

 この病院からの転院者を中心に19人の患者を受け入れている旭川赤十字病院の牧野憲一院長は「現場のスタッフの数はもうギリギリだ」と話す。転院者は寝たきりの患者が多く,「防護服を着て介助が必要な患者へ対応するのは,想定以上の重労働」。

 国が公表する病床の使用率は,最大で確保できる数を元に計算しているためやや余裕があるようにもみえるが,こうした病床はすぐに使えるとは限らない。

 札幌市では約360床を確保したが,医療従事者が足りず患者の受け入れがむずかしい例も出ているという。秋元克広市長は17日の会見で「近隣都市から要請もあるが,だんだん受け入れられなくなる可能性がある」と明かした。

 東京都でも入院患者数は16日,約2カ月ぶりに1300人を超えた。都内の重症患者は約半年ぶりに40人を超え,都は17日に重症者向けの病床を現状の150床から増やす準備をするよう医療機関に通知した。

 病床使用率の上昇を受け,神奈川県は14日,コロナ対応の病床拡大を医療機関に要請する独自の「医療アラート」を発動した。患者をすぐに受け入れられる病床を2週間で650床程度から1100床程度に引き上げる方針だ。

  ◆「潮目変わった」◆

 東京都で病床の調整などを担う山口芳裕・杏林大病院高度救命救急センター長は「全体の感染者数が急速に増え,高齢患者も増えた。1週間前とは明らかに潮目が変わった」と指摘。「行政側は前もって病院に病床の準備を依頼しておかなければ,感染拡大のスピードに追いつかない」と危機感を口にする。

 重症患者を受け入れるベッドにも限りがあり,東京都では転院先がなかなか決まらないケースが出てきているという。「若者が多かった第2波と中年以上の比率が高い現在では,医療の負担は大きく異なる。感染者数そのものを減らす手立てが必要だ」。(引用終わり)

 ところで,高齢者が新型コロナウイルスに感染した場合,自覚症状すらない若者層に比較して死亡する比率が高いことは,すでによくしられている。

 お笑い芸能人の志村けんが2020年3月29日に70歳で死亡したり,俳優の岡江久美子4月23日に63歳で死亡したりした事実を挙げるまでもなく,高齢者ではコロナ禍でもって寿命を終わらせられる危険性が高い。この2人の事例では,対策がまだ十全でなかった時期であったという悪条件がくわっていた。事前に適切な治療がなされれば,死亡しないで済む事例であった可能性が高い。

 2020(今)年の3月段階においては,いよいよ本格的に新型コロナウイルス感染拡大問題が深刻に受けとめられる時期になっていたが,政府にしても東京都にしても当時まではまだ,2020東京オリンピックの開催を最優先する「お祭り騒ぎ意識」しかもてないでいた。つまり,3月下旬段階までは完全に,コロナ禍に対する措置は後手にまわっていた。

 要は「国民・都民たちの『健康や生命』よりも,東京オリンピックの開催のほうがよほど大事だ」と認識していたトンデモ系の前首相や現首相(前官房長官),そして都知事,さらには元メダリストの担当大臣,JOCの幹部たちがいた。

 要は,この人たちの,いってみれば「スポーツ:▲カ」的な感性をもってしては,パンデミックになっているコロナ禍にまともに対応することじたい,無理難題になっていた。コロナ禍に「打ち勝つ証し」として五輪を開催するのだといった,まさしくタワケタ発言をする首相(安倍晋三⇒菅 義偉)の存在とみたら,脳天気を通りすぎて笑いものも同然である。

 

 天声人語朝日新聞』2020年11月18日

 本日のこの「天声人語」の話題は『パンとサーカス』。

 ローマ帝国の皇帝のなかには民衆の機嫌を取るために娯楽の提供に励む者たちがいた。それを象徴する言葉が「パンとサーカス」である。サーカスとは曲芸ではなく,戦車競走で用いられた楕円(だえん)形のコースを指すのだと,西洋史本村凌二(りょうじ)さんの著書に教わった。

 

  ▼ 馬に引かれた戦車が疾走するレースを観衆が楽しんだというから,一種のスポーツイベントであろう。統治のため「サーカス」が重視されるのはいつの時代も変わらないようだ。東京五輪をめぐる昨日〔17日〕の朝刊記事を読んで思った。

 

  ▼ 「五輪は最大の政権浮揚策」との認識が政府・与党に広がっているという。来年夏の五輪・パラリンピックの後,それを菅政権の成果として衆院を解散すれば,選挙に勝ち,政権を長期化できるというもくろみである。

 

  ▼ 来日している国際オリンピック委員会のバッハ会長に対し,菅首相は「大会を実現する決意だ」と語った。「人類がウイルスに打ち勝った証し」にするという。しかし世界を見渡すと,打ち勝つという言葉がむなしく思えてくる。

 

  ▼ 米国では感染者数が1日10万人を超え,欧州も再度のロックダウンである。それでも開発中のワクチンを頼りに五輪を開き,海外からの観客も招くつもりだという。しかし忘れてはいけない。欧州では夏季休暇で多くの人が国境を越えたあとで,感染が拡大した。

 

  ▼ 「パンとサーカス」のパンは日々の暮らしを支える。無理なサーカスで医療崩壊を招くようなことがあれば,暮らしそのものが危うくなる。

  ところで,いわせる人にいわせると,IOC会長バッハはJOC側の人たちや日本政府要人(菅 義偉らのこと)を小バカにしていると解釈できるそうである。バッハは,五輪を完全に中止にする点は自分の立場からは絶対にいわず,日本側からいわせることで,事後処理にかかるIOC側の負担を完全に回避したい考えだという。

 ところが,日本側は,来年:2021年盛夏に延期になった東京五輪を絶対に実施したいかのような態度で,バッハを迎え,接遇していた。来日したバッハが着用していたマスクがN95であった事実を,日本側がどのように受けとめたかよく分からないけれども,コロナ禍発生に関して情勢が悪化しているヨーロッパのドイツから来たバッハ自身は,日本側関係者たちの態度・発言について,一定の恐怖感(軽蔑感ハテナ)を抱いているのではないか?

 天声人語のいった「サーカス」,つまり東京オリンピックの開催が「医療崩壊を招くようなことがあれば,暮らしそのものが危うくなる」という予測は,日本の現実におけるコロナ禍の進行状況を観れば,非常に蓋然性の高いものである。

 ところが,そのサーカスの一環として日本政府は,「Go To トラベル」を,それも国税を投入して実施中である。すでに「医療崩壊を招くようなことがあれば,暮らしそのものが危うくなっ〔てき〕た」様相は,それこそ「火を見るより明らか」な事態を教えていた。にもかかわらず,安倍晋三は首相だった3月24日,つぎのように述べていた。

 バッハ会長から,100%同意するという答えをいただきました。そして遅くとも2021年の夏までに東京オリンピックパラリンピックを開催するということで,合意を致しました。

 

 今後人類が新型コロナウイルス感染症に打ち勝った証しとして,完全な形で東京オリンピックパラリンピックを開催するために,IOC,バッハ会長と緊密に連携をしていくことで一致をしたところであります。日本は日本として,開催国の責任をしっかり果たしていきたいと思います。

 註記)安倍首相「人類が感染症に打ち勝った証しとして,完全な形で開催を」『西日本スポーツ』2020/3/24 22:12,2020/3/24 22:16 更新,https://www.nishinippon.co.jp/item/n/594707/

 

【参考画像】

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 おまけにこの安倍晋三君は,2020年3月24日に東京五輪延期を決めたさい,「人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証として,完全なかたちで,東京オリンピックパラリンピックを開催する」と述べていた。だが,その見通しの誤りは,いまさらあらためて指摘・批判するまでもない。

 今年(2020年)の7月下旬から8月上旬,五輪を開催する予定であったこの盛夏の時期においてさえ,新型コロナウイルスは襲来していた。これからの冬季にかけてはさらに,1日あたりに発生する現状の感染者数(1千何百人の水準)が1桁(その10倍ぐらいにまで)増えるかもしれないと懸念されている。これは,専門家の意見として提示されていた。つまり,そうなったときには,もはやサーカスどころではなくなる。

 現在の首相である菅 義偉は,以上のごときコロナ禍が襲来してくるかもしれないという事態に対して,このための危機管理体制を十全に整えているようにみえない。国家最高指導者は,危機管理の問題を軍事・防衛要因に限定するわけにはいかない。

 

 「イート対象『4人以下』に制限 大阪や愛知知事ら表明」日本経済新聞』2020年11月18日朝刊「社会2」

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け,大阪府の吉村洋文知事は〔11月〕17日,政府の外食需要喚起策「Go To イート」事業の対象を4人以下に限定する考えを示した。同事業を利用しない場合でも飲食は4人以下にするよう要請する。現時点で店舗側に時短営業などは求めないとした。

 

 愛知県の大村秀章知事は17日の記者会見で,Go To イート利用の人数制限について「原則4人以下(子どもは除く)の単位について,愛知としても異論はない」と述べた。21日から適用を開始するという。兵庫県井戸敏三知事も「子どもを除く4人以下での飲食」という目安に沿った対応を検討する考えを表明した。

 

 北海道の鈴木直道知事は「札幌に限らず全道で5人以上の飲食,2時間超の飲食を控えていただきたい」と述べ,Go To イートについて時間や人数の上限を厳格に定めるよう国に求める方針を示した。

 

 菅 義偉首相が16日,感染拡大地域では一定人数以上の利用を対象外にする検討を地方自治体に求め,「たとえば5人以上の単位で飲食するさい」と目安を示していた。

 東京オリンピックを開催する・しないの問題に比較したら,この「Go To ナントカか」という標語を当てた「コロナ禍に向けた経済対策」そのものは,まったく完全に意味がないとはいえない。だが,現在置かれている状況のなかで,「Go To ナントカ」が,最優先されるべき課題になりうるとは思えない。国家体制側が率先して取り組み,推進させるべき課題でもない。

 その間,小池百合子が久しぶりに,めずらしくまともに気の利いたことをいっていた。コロナ禍対策で政府は「アクセルとブレーキを同時に踏むような対応をしている」という指摘をしたのが,それであった。しかし,現在進行中の「Go To ナントカ」は,コロナ禍にブレーキをかける動きであるよりも,それに向かいアクセルを踏みこむ対策になっている。

 個人的な話題になるが,昨日〔11月17日〕,ある回転鮨屋に夕食をとりにいったところ,店内の待合空間には「Go To イート」の関係があったせいなのか,若い人たちを中心に密々の状態になっていた。高齢者である本ブログ筆者は一瞬「たじろいた」が,ともかく食欲の充足のためにその印象は我慢して,その回転鮨屋で食事を済ませた。

 なにかがおかしい……。

 

 「欧州の医療現場,襲う第2波 新型コロナ」朝日新聞』2020年11月18日朝刊33面「社会」 

【参考資料(統計)】日本経済新聞』から

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 新型コロナウイルスの「第2波」が猛威を振るう欧州で,医療現場が危機的状況に陥っている。病床の数の限界が近づき,医療スタッフの不足も懸念される。感染が局地的だった今春の第1波と違い,感染が全土に広がっている。春には患者の受け入れなどで協力してきた独仏伊の連携もむずかくなる。

 1) 人手不足「すでに限界」-イタリア

 「制御不能の状況だ。すぐに対処しないと時間がない」。新型コロナの第2波がナポリなどイタリア南部にも急拡大していることに,イタリアのディマイオ外相は危機感をあらわにした。

 地元メディアは「新型コロナ患者が病院に入れず,救急車が列を作った」「救急病院で治療を待っていた患者が,病院のトイレで死亡した」などと医療現場の惨状を相次いで報じている。

 同国の1日の新規感染者数は〔11月〕13日,初めて4万人を超えた。死者も1日500人を超える日が続く。集中治療室に入っている人も3400人を超え,1週間で約800人増えた。

 保健当局は集中治療用の病床を増やす方針だが,「ベッドを増やしても,対応する看護師などの医療スタッフがいない」との指摘がすでに出ている。とくに人工呼吸器を着けるさいの気管挿管に関わる麻酔科医の不足は深刻だ。麻酔科医協会の会長は10月末,地元メディアに「休憩をなくし,ほかの手術をやめたり研修医を集めたりしても,少なくともあと4千人足りない。われわれはすでに限界に達している」と訴えた。(ローマ=河原田慎一)

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 2)全土に感染「病床逼迫」-フランス

 感染者数が欧州最多の約200万人に上るフランスも,きびしい状況が続く。「医療態勢が著しく逼迫する」。

 フランスのカステックス首相は〔11月〕12日の記者会見で,全国の入院者数が過去最多の3万2千人を超えたと明かした。新規感染者数は11月中旬ごろから減少傾向にあるものの,入院者数はなお伸びつづけ,連日500人前後が亡くなっている。

 パリ郊外セーヌサンドニ県の公立病院に勤める救急医クリストフ・プリュドムさん(60歳)によると,病院に40ある集中治療病床のうち,空きは3床のみ。10月以降,他地域へ患者を搬送したり,コロナ以外の手術を延期したりして,重篤患者の入院を断る事態だけは避けてきた。だが,「春から手術を延期されつづけているがん患者が複数いる。半年も遅れれば生存率が下がりかねない」と危機感を募らせる。

 フランス全体で7700ある集中治療病床のうち,16日現在で4919床が埋まっている。感染が拡大した地域が一部に限られていた春と違い,今回の感染は全土に広がっているため,病床が埋まった病院からTGV(高速鉄道)などを使って他地域へ患者を移すことがむずかしくなっている。(パリ=疋田多揚)

 3)「病院のパンク」懸念-ドイツ〔注)IOC会長バッハの国〕

 春の第1波では伊仏など周辺各国から患者を受け入れてきたドイツも,〔11月〕1日の新規感染者数は2万人を超える日が相次いでいる。

 集中治療中の患者数は11月の2週間で約70%増え,3400人超に。新型コロナ以外の患者も含めると約2万8千ある集中治療病床のうち,7割以上が埋まっている。緊急で追加できる病床は約1万2千あるが,楽観はできない。医師や看護師らが足りず,患者が受け入れられなくなっている病院も増えているためだ。

 政府系の医療研究機関ロベルト・コッホ研究所のウィーラー所長は12日の記者会見で「状況は依然として深刻だ。病院がパンクする状況を考慮する必要がある」と話した。

 ドイツでは〔11月〕2日以降,飲食店や娯楽施設などを閉鎖している。メルケル首相は16日,各州首相らとの会議後の記者会見で「まだ感染の傾向を変えるには至っていない」と語った。(ベルリン=野島淳)(引用終わり)

 前段で日本の事情推移に触れてあったが,今冬(2021年1月ころ)には,1日当たり1万人台の新規感染者が発生するのではないかと心配されている。もしも,その予想どおりになったら,もう「Go To ナントカ」などと,いったりやったりしている余裕など,まったくなくなる。そのような深刻な事態が発生する前に,いますぐに,政府や関係当局がいったいなにをすべきかについて,菅 義偉首相たちはどうやら本気で “考えたくない” らしい。

 さて,このたびにおける2020東京オリンピックの開催中止・延期については,太平洋(大東亜)戦争における旧大日本帝国「政府と軍部」の「失策(失敗)の本質」が,性懲りもなく再現(現象!)されつつあると指摘する識者がいる。

 そして,ここまで書いてきたところで思いだしたのが,植木 等の,つぎのはやり歌である。ここでは,ウィキペディアに書いてある内容から適当に,本ブログのこの記述にとって都合のいい段落のみ拾い,説明に使ってみたい。

 『スーダラ節』(スーダラぶし)という歌があったが,日本の昭和期の代表的な流行歌である。ハナ肇とクレージーキャッツ,とりわけ植木 等が爆発的な人気をうるきっかけを作った曲で,作詞は青島幸男,作曲は萩原哲晶による。レコードは1961年8月20日東芝音楽工業(現:ユニバーサル ミュージック合同会社)から発売され,累計売上は80万枚。

   ※ スーダラ節の「概要」(から抜粋)について ※

 

 もともとは「こりゃシャクだった」の〔シングル盤の〕B面を埋めるために作られた曲であった。ところが,こちらのほうがヒットしてしまい,のちにA面とB面が入れ替えられた。

 作曲者の萩原はステージでの植木のキャラクターにあった曲作りのために,まず植木の口癖でもあった「スイスイスーダララッタ~」のフレーズをメロディーにして,植木の承諾を取りつつ,残りの部分を作った。

 

 しかし,非常に生真面目な性格の植木は青島が書いた歌詞をみて,歌うことを躊躇したそうだが,浄土真宗の僧侶である父の植木徹誠から「『わかっちゃいるけどやめられない』は人間の矛盾をついた真理で,親鸞の教えに通じる」「必ずヒットするぞ」と励まされた。

 父のいったとおり,発売されるや否や「スーダラ節」は大ヒットを記録した(小林信彦は「なぜか名古屋から火がついた」と述べている。しかし植木自身は「こんな歌がヒットするようでは悲しいなぁ」「冗談じゃない」「こんなのがヒットするってことは,俺が考えてる日本と本物の日本は違うものなのか」と思い悩んでいたという。

 

 また,大ヒットを受け,1962年には大映(現・角川映画)で『スーダラ節  わかっちゃいるけどやめられねえ』が製作された。このほか,1984年には朝日麦酒(アサヒビール,現:アサヒグループホールディングス)の「アサヒの生 生とっくり & 生つのだる」のCMソングに起用された。

 1990年,この歌をメインとした,植木 等およびクレージーキャッツのヒットメドレー「スーダラ伝説」(編曲:宮川 泰)が植木の歌唱で発売され,オリコンチャート最高10位を記録するヒットとなる。植木は歌手としても23年ぶりに紅白歌合戦出場を果たし,『第41回NHK紅白歌合戦』歌手別視聴率で男女1位となる56.6%(ビデオリサーチ・関東地区調べ)を記録した。

  「東京オリンピックの開催」を,コロナ禍に対して「打ち勝つ」「日本モデル」の実在を,いまもなお期待している(実はしなければならない)「面々の実在」も,『わかっちゃいるけどやめられない』という文句を地でいっていると理解するほかなかった。

 ここまで話題が進展したとなると,もう嗤おうにも笑えない。別言すると「軽蔑したくなる」とまでいいたくもなる。だが,その前にともかく,五輪の開催にこだわっている政府関係者やIOC関係の幹部たちの姿には「大いにあきれはてる」。

 断わっておくが,IOC会長バッハもおそらくは,JOCと日本政府側をそのような認識で観察しているはずである。あとは,東京オリンピックが本当に開催中止に決まったさい,IOC側の負担を最小限にしておく戦術をとりたいだけである。

 

 コラム「春秋」『日本経済新聞2020年11月18日朝刊 

 今年2月はじめに出張で札幌を訪れた。71回目の雪まつりは始まったばかり。タクシーの運転手がいった。「大通公園はマスクが増えたね」。このとき道内では中国からの観光客の新型コロナウイルス発症が確認されていた。しかし,まだ「人ごと」といったふうだった。

 

 ▼ 公園は確かに白いマスク姿が目立った。それでも多くの人が休憩所で暖をとりつつ飲食している。歌やダンスが披露されるステージ前に人が密集している。いわゆる「3密」をさける重要性はしられていなかった。その後まつりが終わるや感染者が急増しはじめた。道独自の緊急事態宣言が出されたのは,2月末のことだ。

 

 ▼ 冬の人気観光地にとって新たな打撃だろう。北海道は昨日〔11月17日〕,コロナの感染拡大を受けて札幌での不要不急の外出,道内の他地域との往来をひかえるよう呼びかけた。マスクをはずしての会食の場では感染リスクが高いという。政府の Go To イートを利用する食事で人数や時間を制限することも検討されそうな気配だ。

 

 ▼ 100年前,歌人で医師の斎藤茂吉スペイン風邪にかかって死にかけた。長崎の医学専門学校に赴任しており,東京からきた親族と観光や外食をしたあとのことだ。はやりかぜをよくしる医師でも自分もかかるという意識が薄かったのか。ウイルスは人によって広がる。「自分ごと」ととらえる覚悟があらためて問われている。

 『日本経済新聞』本日・朝刊1面下に配置されているこのコラム「春秋」は,コロナ禍がまだ漫然と “他人ごとであるか” のようにとらえていた「今年2月段階における日本側の様子」を,以上のような文章に描いていた。

 それゆえか,同日・日経のスポーツ欄(37面)は,つぎのように,まことにトンチンカンな「東京オリンピックの開催」『可能論(期待論)』を語った編集委員の記事を掲載していた。それにしても,このなかにおいて期待されてべき予想がはずれたら,そのときはどうするつもりか?

  ★「スポーツの力  五輪,訪日観戦者のハードル」★

 東京五輪パラリンピック新型コロナウイルス対策を検討する政府などの調整会議で〔11月〕12日,海外からの観客を前提に準備する方針が明らかになった。感染状況が安定した国・地域からの五輪観戦者の入国について,通常求めている14日間の自主待機措置の免除や公共交通機関の利用を認める検討をするという。

 補注)この「五輪観戦者の入国について,通常求めている14日間の自主待機措置の免除」という点は,曲者というか危険がいっぱいだと解釈するほかない。その間に,当該者たちにおいてコロナ感染が判明したとき,それでそれでかまわない,ケセラ・セラに対応すればよい,といいうあつかいになるのか?

 

 さすがにタイミングが悪すぎた。欧米では感染者の急拡大のまっただなか。この日,国内の新規コロナ感染者数も初めて1600人を超えた。「海外客の待機免除検討」を伝えた〔11月〕13日の本紙朝刊には「コロナ『第3波』医療逼迫も」「クラスター各地で多発」の記事も掲載されている。

 

 五輪への機運醸成どころか,世界や国内の感染状況をまったく無視するかたちで東京五輪の準備が進んでいるという印象を,多くの人に与えてしまったと思う。

 

 8日に東京で開催された体操の国際大会で素晴らしい演技を披露した内村航平リンガーハット)は「五輪ができないと思わないで,どうやったらできるかという方向に考えを変えてほしい」と訴えた。

 補注)この発言をした内村航平に対しては,「日本のスポーツ選手はスポンサーの操り人形のようなものだからね」という評言が,一番似合っている。内村は五輪的には日本人選手として超エリートの1人になっていある。つまり,五輪組織委員会の幹部たちにかぎりなく近い立ち位置にいる。そうでないとみるほうがおかしい。この内村の発言をどのように捕捉するかについては,事前に用心しておく余地があった。

 

 これから心配される国内の感染拡大を抑えこむという条件は付くが,内村の望みどおり五輪を開催することはできる。この大会はそんな印象をもたせてくれた。徹底的な感染対策で選手の安全を確保するとともに,選手,関係者の行動をきびしく管理。来日した選手たちから感染が拡大する心配はないことも示した。

 補注)この段落における記述の運びは,相当に甘い。そもそも「国内の感染拡大を抑えこむという条件は付く」と,わざわざ断わっている前提条件に関していえば,はたして,そのような条件が実現・確保できる見通しがあるのか?

 

 既述したところであったが,今冬に向けては1日当たりごとに1万人の新規感染者が出るかもしれない時期が到来するとまで予測されているのに(医学的に!),そのように「内村の望みどおり五輪を開催することはできる。この大会はそんな印象をもたせてくれた」というだけでは,波阿弥陀仏を勝手に唱える念仏にしかなりえない。

 

 ましてや「感染対策で選手の安全を確保するとともに,選手,関係者の行動をきびしく管理。来日した選手たちから感染が拡大する心配はない」などと,確たる医学・予防的な根拠もなく一方的に宣言するのは,いいすぎどころか,単なる希望的観測「以前の絵空事にも似た」文句の開陳であった。

 

 『日本経済新聞』も,2020東京オリンピックでは,オフィシャルパートナーの1社にくわわっている。そのパートナーになるために負担した支出金は,15~20億円程度かと推察されている。それで(?)なのか,日経の論説委員がわざわざ,この東京オリンピックは「開催できるとイイよね」的な,つまり憶測的に想像しておく記事をスポーツ面で書いていた。

 

〔記事に戻る→〕 規模はまるで違うが五輪でも同じようにやればいい。国内ではプロ野球Jリーグ,大相撲が観客を制限つきで動員している。しかし,欧米で日本と桁違いの感染拡大が続く状況で海外からの観客の受け入れを打ち出しては,五輪を楽しみにしている人だって不安で開催を支持できなくなるのではないか。

 

 拙速ともいえる方針表明は,〔11月〕15日からの国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長の来日に間に合わせる必要があったからだろう。ただ,バッハ会長と菅義偉首相の会談でも「観客を入れての開催」は確認されたが,「海外から」の言及はなかった。

 

 観客動員についての判断は来春。大会に迎えるのはあくまで「感染状況が安定した国・地域」からの観客である。現実的に考えれば,欧米での感染状況の収束,あるいは効果の高いワクチンの普及が伴わないかぎりは,東アジアなど一部地域からの観客に限定すべきだろう。編集委員 北川和徳)(引用終わり)

 なんとも「?:これは,ハテナだ」というべき “奇妙な論旨” に逢着している。東京オリンピックは開催できても「欧米での感染状況の収束,あるいは効果の高いワクチンの普及が伴わないかぎりは,東アジアなど一部地域からの観客に限定すべきだ」との結論である。

 ※-1 「欧米での感染状況の収束」について医療の専門家は,2013年ころにならないと落ちつかないのではないかと説明する者もいる。延期された東京オリンピックは,2021年1月・2月までにはその開催の是非を最終的に決める必要があると解説されてもいる。

 

 ※-2 「効果の高いワクチンの普及」とは,いつまで・どの範囲にまで供給できるかという “大前提の必要条件” があったゆえ,過剰な期待は禁物である。この点も医療の専門家が忠告している。

 

 ※ー3 以上の※-1,※-2を素人の次元・判断でのみするような議論は要注意であった。なんといっても,開催ありきのほうにもっていきたい発言にしか聞こえない。

 ともかくオリンピックは,選手や観客が “参加することに意義がある” というよりは,IOCやJOC側によって,このいったん中止・延期されてしまったオリンピックを “開催することじたいに意味(価値?)がある” ということに,あいなっている。そのようにしか聞こえない。その方向にのみしぼりこみたいかのような議論が前面にせり出ている。

 いまでは,完全に商業主義的に営利事業化とした五輪大会の開催理由など,このさいどうでもよくなっていると聞こえなくはない発言までなされていた。オリンピックとは,だいたいにおいて理解するにしても,一体全体どうなっているのかと,再問されてべき「日経」編集委員の主張になっていた。

 おそらく,その日経編集委員氏は七転八倒の思いで,以上(前段に引用)の記事をしたためていたものと推察しておく。しかし,この記事を読まされた読者の立場から,その見苦しき論理構築の方向性に関して抱いた感想は,抱腹絶倒といった印象まであと半歩。

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