「人類がウイルスに打ち勝った証し」を「東京オリンピックの開催」に求めるといいはる菅 義偉(と安倍晋三)の無教養と頓珍漢ぶり

 学問理論,科学技術の神髄とは完全に無縁である日本の政治屋「新・前の首相2人」がいうことには,人間側が新型コロナウイルス感染症に対して,あたかも「完全に勝利できる」かのように発言した。だが,これはまったく「問題にならない」「非科学的な盲論・妄説」

 法政大学や成蹊大学の各法学部で彼らはなにを学んだかという以前に,あまりの無知蒙昧ぶりを世界に向けて発信する日本国首相たちの「国民たちにとって」「国辱的な痴的水準」には,ただ呆れかえるだけ

 

  要点・1 ウイルス問題は人間の問題

  要点・2 ウイルスに「打ち勝てる」などと人間側が主張するのは狂気の空想的な発言

  要点・3安倍晋三 菅 義偉」=「日本沈下 × ウイルス側の不戦勝的勝利」


  官邸のホームページにいまもさらされている恥ずかしい「対新型コロナウイルス勝利宣言」

 「安倍総理からのメッセージ」『首相官邸』2020年3月24日,https://www.kantei.go.jp/jp/mail/back_number/archive/2020/back_number20200330.html は,脳天気下で,なおかつ土砂降り的に激しい「アベ君の知性不在」を,いまも高らかに謳っていた。冗談ではない。早くこの内容は削除したほうがよい。日本の恥:国恥・国辱ものの発言である。本ブログ筆者は,今日〔2020年11月22日〕閲覧した。

 先ほど森会長,小池都知事,橋本大臣同席のもとに,バッハIOC会長と電話会談を行いました。

 

 まず改めて,東京オリンピックパラリンピックの中止はないということについて,バッハ会長と確認をいたしました。そしてその上で,開催国日本として東京五輪について,現下の状況を踏まえ,世界のアスリートの皆さんが最高のコンディションでプレイでき,そして観客の皆さんにとって,安全で安心な大会とするために,概ね1年程度延期することを軸として検討していただけないかという提案をいたしました。

 

 バッハ会長から100%同意するという答えをいただきました。そして遅くとも,2021年の夏までに東京オリンピックパラリンピックを開催するということで合意をいたしました。今後,人類が新型コロナウイルス感染症に打ち勝った証として,完全な形で,東京オリンピックパラリンピックを開催するために,IOCバッハ会長と緊密に連携をしていくことで一致をしたところであります。日本は日本として,開催国の責任をしっかりと果たしていきたいと思います。

 

 立川談四楼 IOCバッハ会長のN95マスクに『東京五輪は無理と物語っている』」『YAHOO!JAPAN ニュース』2020/11/17 (火) 17:28 配信,https://news.yahoo.co.jp/articles/ed10ad7a5cb1802db2699020f93d85a1c607b7d8(元記事は『東スポ Web』)

 落語家の立川談四楼(69歳)〔は関連する専門家ではない〕が〔11月〕17日,ツイッターを更新。来年夏に延期となった東京五輪の開催に懸念を示した。

 国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長(66歳)が五輪の準備状況の確認のために15日来日し,16日に菅 義偉首相(71歳)と首相官邸で会談した。そのさいにバッハ会長が着用していたマスクが,医療従事者が使用する高機能の「N95マスク」であることがネット上などで話題となっている。

 談四楼は「バッハ会長は菅さんの握手にビビり,結局グータッチになった」とバッハ会長の姿勢にチクリ。続けて「当然マスクをしていたが,それはN95と呼ばれる医療用に似て,息苦しいが菌やウイルスを防護するものだった。日本で絶対コロナに罹るもんかとの意思満々で,口では決行というものの『東京五輪は無理』を図らずも物語ってしまったのだった」とバッサリ切り捨てた。

 これにはフォロワーからも「各国オリンピック委員会の東京五輪へのコメントを聞きたいです」「菅総理には危機感のなさが表われていましたね」といった五輪開催を心配する声が相次いでいた。(引用終わり)

 IOC会長トーマス・バッハは11月15日から18日にかけて日本を訪問したが,その間,「〔日本に滞在中は〕菅首相と五輪中止は議論しない」と,わざわざ事前に断わっていた。

 要は,これ以降において,「五輪中止」に関する「議論をけっしてしない」という意味あいではなかった。バッハが日本に在留中,一行の人びともまたN95マスクを着用していたのは,その意味では「意味深長」であった。

 バッハは,ともかく前のめり的に東京オリンピックの開催にこだわっているJOC側の足元を観ている感があり,その中止も念頭に置いてうえで,なにかとせっついてくるばかりの日本側との折衝をしにきたに過ぎない。

 ともかく,五輪を開催できれば「人類がウイルスに打ち勝った証し」になりうるのだと,途方もない幻覚症状に陥ったまま,迷セリフを吐いてきた菅 義偉首相〔や安倍晋三前首相〕に対しては,つぎの ③ 以下につづく議論がその甘い認識を粉砕することになる。

 

 「世界はウイルスでできている (6) 物質が『寄生体』に変化,原始の地球 実験で再現」日本経済新聞』2020年11月22日朝刊26面「サイエンス」

 a) 地球上で最初のウイルスはどうやって出現したのか。約40億年前の地球は,小さな物質があるだけのモノに満ちた世界だった。そのモノが「非生命」から,遺伝情報を複製する「生命」へと一線を越えた。その瞬間を目撃した研究者がいる。試験管のなかで,モノにすぎなかった物質が寄生体へと驚きの進化を遂げた。

 小さな水滴に幾つかの物質が漂う。セ氏37度に加熱すると,物質のひとつが周りの成分を引き寄せて自分の複製を作りはじめた。時々,複製のミスが生じ,「出来損ない」が生まれた。どこかが壊れたのか複製ができなくなっていた。消えてなくなると思いきや,しぶとく他の物質の複製反応を借りて数を増やした。まるで寄生体だ。

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 「この寄生するタイプが,いまのウイルスに進化したのではないか」。東京大学の市橋伯一教授は,さらに実験の行方を見守った。こんど度は寄生型の動きを阻む物質が現われた。しばらくすると,その物質にさえ寄生できる新たな寄生型が登場し,イタチごっこで進化を続けた。300世代以上の世代交代を繰りかえしたいまも,寄生する側と寄生される側が試験管のなかで攻防を続けている。

 b) 物質のひとつは,現在のウイルスが使う遺伝物質「RNA(リボ核酸)」だ。「感染の流行」を連想させる実験結果を目の当たりにした市橋教授は,寄生型が現在のウイルスに進化し,寄生される側がいまの生命に変わったと考えている。おそらく生命はのちにDNAを作りだし,遺伝情報を正確に子孫へ伝えて体や心を複雑に制御できるようになったとみる。

 埼玉大学の根本直人教授もRNAにウイルスの祖先の姿を観てとる。実験では複製ミスからRNAが幾つものタイプに分かれた。

 単純なRNAから複雑な体をもつ生命ができたとする考えは「RNAワールド仮説」という。原始の地球でウイルスと生命が同時期に生まれ,ウイルスが生命に取りつくなどした結果,複雑な体をもつ生物の土台ができたというわけだ。

 ウイルスと生命がRNAから生まれた確証はないいが,傍証はある。ウイルスに寄生する「サテライトRNA」や,植物に感染する「ウイロイド」だ。いずれもウイルス特有の殻をもたず,むき出しのRNAが本体だ。北海道大学の増田 税教授は「どちらも原始のRNAの子孫ではないか」と話す。

 c) 紀元前の時代は,生命はモノから自然に生まれてくるとする「自然発生説」が注目された。ハエは肉からできると唱えても違和感はなかったはずだ。近代科学はモノと生命を明確に切り分けたが,生命のように遺伝情報を複製する寄生体が現われた今回の実験結果は,多くの人に驚きをもたらした。

 いまも新たなウイルスが生まれつづけている。東京農工大学麻布大学は2019年,日本のブタで2種類の異なるウイルスがゲノム(全遺伝情報)を組みかえ,「新種」のウイルスに変わったことを突き止めた。新種はコロナウイルス科の「豚トロウイルス」とピコルナウイルス科の「豚エンテロウイルス」の特徴を併せもつ。ふたつのウイルスは,イヌとネコほど違うという。まったく違うウイルス同士が,同じ豚の細胞に感染して相互に組みかわった。

 東京農工大の水谷哲也教授は「数百~数千年に1回の珍しい現象だ」と話す。長い目でみると,ヒトに感染するウイルスが出現しても不思議はないと指摘する。「そうした未来の感染症を予測する研究も大学で進めている」と水谷教授は話す。

 d) RNAワールド仮説にしたがえば,ウイルスとヒトの祖先はいずれもRNAという物質だ。太古の昔に生き別れたいわば兄弟同士であるにもかかわらず,ウイルスは時にヒトの脅威となる。いまを生きるほとんどの人にとって,2020年ほどウイルスの怖さを痛感した年はないだろう。

 ウイルスは不思議な存在だ。最新の科学で謎がひとつ解けたと思えても,手にできたのは疑問に対する答えではなく,新たな疑問であることが多い。ウイルスとはなにか。真実に少しでも近づくため,まずは20年に思いをめぐらせた数々の物事を後世に伝えていくことが大切だ。(草塩拓郎)(引用終わり)

 さて,日本で(も)流行ってきた新型コロナウイルスは,2・3・4月段階⇒7・8月段階⇒現在(11月段階から流行が急速に増大中)にわたり,それぞれ異なった型がいくつも発現していたと説明されているが,この事実が発生する機構(遺伝子的なメカニズム)は,前段に紹介した記事が解説している。

 すなわち,新型コロナウイルス感染症が,今後の日本においてさらにどのように感染を拡大していくのかという予測を踏まえて考えれば,東京オリンピックは1年延期にしたところで,その開催には無理がありすぎる。2021年の2月ごろを最終期限にして,開催が不可である方向性で,その判断が必要だと指摘されてもいる。

 現状における新型コロナウイルス感染症の拡大傾向を,まさかみてみない振りをしていたいのかしらぬが,IOC会長バッハがコロナ禍に対する最大限の警戒をしながら日本を訪問してきたところを考慮しても,彼が日本で1年延期にしてある五輪を本当に開催できると思っているかは,かなりあやしいといわざるをえない。

 参考になる記事としては,つぎの ④ に2報を引用しておく。いずれも本間 龍を主要の情報源とする関連の記事である。

 

 -1「『東京五輪中止の可能性…IOCはすでに日本に通知』=日本週刊誌中央日報  日本語版』2020.11.20 11:41,https://japanese.joins.com/JArticle/272518

 菅 義偉首相は最近訪日した国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長と会い,来〔2021〕年7月に延期された東京オリンピック(五輪)開催目標を再確認し,開催の成功に向けて熱を上げているが,東京五輪新型コロナウイルスの感染再拡大で中止になる可能性があるという日本メディアの報道があった。

 朝日新聞系列の週刊誌『アエラ』は,作家の本間龍氏とジャーナリストの星 浩氏の言葉を引用し,東京五輪開催中断方針が早ければ年内に公式発表されると伝えた。

 本間氏はIOCがすでに,日本政府および大会組織委員会東京五輪の開催は難しいという旨を伝えた,という情報を入手したと明らかにした。

 バッハ会長は〔11月〕11日の理事会ののち,オンライン記者会見で「東京五輪の中止は議論しない」と断言したが,本間氏は「現在,観戦チケットを払い戻し中」とし,「五輪は中止になるだろう」と主張した。

 本間氏は「IOCはすでに日本政府や大会組織委員会に『開催はむずかしい』という旨を伝達したという情報を複数の関係者から入手した」と説明した。さらに「欧州を中心に感染が再拡大しているのに,中止を議題に挙げないというのは逆に不自然」とし「あらゆる可能性を検討するのが,組織として当然」と述べた。

 本間氏は,IOCがすでに五輪中止の可能性を日本側にしらせた状態であり,「あとは日本側がそれを認めるかどうかという段階」と強調した。

 

 -2「コロナ禍で米国の後押しは期待薄 年内にも五輪中止方針を発表か」AERA dot.』2020.11.18 17:02(元記事は『週刊朝日』),https://dot.asahi.com/wa/2020111700040.html

 来夏の東京五輪に向けて,国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長が11月15~18日の日程で来日した。菅 義偉首相らと会談し,新型コロナ対策などについて議論する。バッハ会長は〔11月期h11日の理事会後のオンライン会見で「菅首相との)話しあいでは中止は議論しない」と明言したが,作家の本間 龍さんは「これはポーズ」と指摘する。

 「現在,観戦チケットの払い戻し中ですし,来日前に開催に不安を抱かせるようなまねはしないでしょう」

 本間さんは,「IOCがすでに日本政府や大会組織委員会に『開催はもはやむずかしい』という旨を伝達している」とする情報を複数の関係者から入手したという。

 「欧州を中心に感染が再拡大しているのに,中止を議題に挙げないというのは逆に不自然。あらゆる可能性を検討するのが,組織として当然でしょう。IOCはすでに『中止も視野』のボールを投げている状態で,あとは日本側がそれを認めるかどうかという段階です」

 ジャーナリストの星 浩さんも,こう語る。

 「組織委や外務省の関係者らが,開催に後ろ向きな発言を漏らしています。欧州での感染拡大の影響で,10月下旬から実務的な会合が滞っているようです。IOCと日本側だけではなく,イギリス,フランス,ドイツなどの主要国関係者とも打ちあわせができていないとか。くわえて,現状の欧州では五輪に向けた予選やそれに伴う練習も予定が立たない。開催への段取りを進めようにも進められず,頭を悩ませているというのが実情です」

 一方,米国のバイデン次期大統領の “助け舟” は期待できないのか。今〔2020〕年3月にトランプ大統領が延期について言及し,その後に決定したという経緯がある。しかも,最大の放映権料を払うのは米NBCだが……。

 「米国は国内のコロナ対策で手いっぱい。前回は安倍・トランプという結びつきがありましたが,菅・バイデンの関係作りはこれから。期待するのはむずかしい」(星さん)。

 “決断”はいつになるのか。本間さんはいう。

 「情報をえた10月21日の段階では,日本政府の発表は年明けまで引っ張り,1月ごろであろうと。選手の立場を考えれば,そのあたりがデッドラインでしょう」

 星さんの見立ては,より早い時期だ。

 「欧州も米国もクリスマスを文化的に重視することもあり,12月上旬には方針を決めないといけないという声が政府関係者から聞こえています。バッハ会長らが日本の様子をもち帰り,欧州の反応なども聞きながら,11月下旬から12月上旬にかけて判断という動きになるのでは」

 組織委に中止検討について問い合わせたが,具体的な回答はなかった。(本誌・亀井洋志,池田正史,秦 正理)(※『週刊朝日』2020年11月27日号)

 以上,その専門筋からの情報も参考にして考えれば,本日の主題として言及してみた「菅 義偉(と安倍晋三)のいいぶん」,つまり「人類がウイルスに打ち勝った証し」を「東京オリンピックの開催」は求めることができるといったふうな,全然に「無根拠そのものであって,くわえてその具体的な証拠もない」,いわば「頓珍漢そのものである発言」の『非理性』は,十分に納得してもらえるはずである。

 それよりも,現在において日本という国が置かれている状況は,つぎの ⑤ で言及する大問題(少子化)を抱えている。

 「五輪貴族たちの目先の自己満足」のためにしかなりえないのだが,いってみれば,ごくふつうの人びとを「ただ働きのボランティア(ブラック的労役の奴隷的な提供になるもの)」に駆り出したり,あるいは,観客に対して「国際大運動会による感動詐欺」に浸らせたりしようとする,それも完全に商業主義化した営利的な五輪事業は,実に空しい。

 そのような大運動会に浪費する予算(カネ)があるならば,それを有意義に当てるべき「世界中の緊急な諸問題」がいくらでも控えている。

 【付 説】 「〈社説〉コロナと五輪 会長来日 残った違和感」『朝日新聞』2020年11月20日朝刊は,いまごろになって,つぎのように後半・最後の段落をまとめていた。まるで底抜けしたバケツ状態ではないとしても,大きな穴が空いたままでの水漏れ的な主張がなされている。しかし,この論説でも大手紙のものとして,まだまともに聞こえるから “不・思・議” である。

 

 ……ワクチンは,いつ,どんな品質のものが,どの程度確保できるか,見通しは立っていない。競技大会も,多くは観客を入れないなど厳格な条件のもとで少しずつ経験を積んでいる段階だ。200を超す国・地域から選手らが集まり,多種多様な競技を,分散した会場で,短期間に集中的に実施する五輪を同列に論じるわけにはいかない。

 

 開閉会式のあり方や選手村運営など五輪特有の課題もある。今回,日本側とIOC側との間で考え方の違いがあることがわかった。延期に伴う追加費用の負担問題も決着していない。こうした溝を埋める作業を先送りしたまま,五輪への期待が盛り上がらないと嘆いてみても,それは当然ではないか。

 

 なにより急ぐべきは感染対策に取り組む考えと中身を詰め,認識を共有していくことだ。

 

 国,都,組織委員会に専門家をくわえた会議で論点を洗い出したが,具体的な指針の作成はこれからだ。海外からの観客への対応では,国が「入国後の待機期間は設けず,公共交通機関の利用も認める」との案を示した。それで国民の納得がえられるか。ていねいな説明と場合によっては再検討も求められよう。

 

 開催への理解と共感を広げるためには,答えを出さなければならない課題が山積している。(引用終わり)

 

 いまごろ(いまどき?),ずいぶん締まらない議論である。すでに一度,中止・延期になった東京オリンピックの開催に関した論説が,以上のような主張をさせているとしたら,どだいこの五輪の開催は無理……。五輪の全輪がパンクしたごとき状態に映る。 



 「先進国で出生数減 予測 コロナ禍 日本,初の年85万人割れへ」日本経済新聞』2020年11月22日朝刊2面「総合1」

 ④ で述べたように,政府と都政が “五輪ごっこ” の開催を引き受け,準備してきたけれども,実は,この開催はほとんどみこまれない状況にある。その原因はコロナ禍であった。

 ところで,いきなりだがここでの話題は,日本における出生率合計特殊出生率)にうつる。だいぶ以前から日本の出生「数」は低下しつづけており,またその「率」のほうでは低迷的な安定状態に停頓してきた。

 だが,こちらの問題に対する菅 義偉(および前首相安倍晋三)は,まともに効果が期待できそうな施策を提供できていない。五輪に対する力の入れように比較すると,少子化対策はまだまだ貧弱であって,社会全体のなかで対応しようとする姿勢がまともに用意されていない。

 労働経済面にみるに,それでなくとも非正規雇用で働く人びとの増大が依然収まらない状況にあったところへ,こんどはコロナ禍の襲来である。非正規雇用の人びとはとくにこの災厄のために,さらにひどい境遇に追いこまれている。それなのに,いまの政権はまともな社会保障政策として,その社会集団に対する救済策に十分に目を向けていない。

 つぎの記事を引用する。

 新型コロナウイルス禍で先進国の出生数が減る懸念が強まっている。若年層には雇用不安などから結婚・出産を先送りにする動きがある。英調査会社ユーロモニターは先進国全体の出生数が2020年に0.3%,2021年に1.3%減るとの予測をまとめた。コロナ前は前年並みとみていた。長期的に人口や労働力の低下につながれば世界の成長の足かせになる恐れもある。

 

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 米国では〔2020年〕1~6月の結婚式の6割が先送りになったとの調査がある。米ブルッキングス研究所によると,2021年に米国で生まれる子どもの数は前年比で30万~50万人減る懸念がある。

 

 国連によると20年の先進国の人口は約12億7千万人。1950年以降,一貫して増加してきた。ただ晩婚化や女性の社会進出を背景に出生数が減少する国が増えてきた。先進国人口はここ数年,かろうじて前年を上回るペースで推移しており,2021年に初めて減少に転じる可能性もある。

 

 日本の少子化はとくに深刻だ。厚生労働省によると,〔2020年〕1~9月の出生数は前年同期比で約2.2%減。年85万人を初めて割りこむペースで推移している。5年連続で過去最少を更新するのは確実だ。〔2020年〕1~7月の妊娠届の数は5.1%減ったため,2021年は「70万人台まで落ちこむ恐れがある」厚労省幹部)。

 

 出生数の動向に影を落とすのは雇用情勢の悪化だ。ユーロモニター人口調査マネジャーのラン・ハ氏は「先行き不透明感が強くなり,若年カップルは子育てを含むあらゆる長期的な投資を先延ばしするようになりうる」と分析する。

 

 野村総合研究所木内登英氏は「出生数の低下が続けば労働供給力が落ち,世界の潜在成長率が低下する」と警告する。各国は国境を越えた往来の制限などで移民の受け入れも細っている。需給両面で世界経済への悪影響も尾を引きそうだ。

 なお,本ブログ筆者が先日〔2020年10月22日〕に書いた記述のなかでは,つぎのように2020年と2021年における日本の出生数を予想してみた。ここで再度,その予測を試みた数値をかかげておく。

 本ブログが2020年8月25日と10月22日に試算してみた,コロナ禍も考慮した出生数の減少傾向(再々掲分)

 

 ★ 出生数の予想 ★

  ※「出生数の推移」と「2020年と2021年の予想」※

     2011年  105.1万人
     2012年  103.7万人
     2013年  103.0万人
     2014年  100.4万人
     2015年  100.6万人
     2016年  97.7万人(前年比 約3万人減)
     2017年  94.8万人(同 上)
     2018年  91.8万人(同 上)
     2019年  86.5万人(前年比 5万3千人減)
     2020年  81   万人(予想:ほぼ妥当か?  前年比 5万人減と想定した)
     2021年  74   万人(予想:控えめか?   前年比 7万人減と想定した)

 また,いま,妊娠している女性にとって心配な点がある。つぎの ⑥ に引用する記事が解説している。

 

 「〈新型コロナ〉妊娠中,母子感染はある?  海外で可能性指摘『まず予防を』」朝日新聞』2020年11月22日朝刊24面「特集」 

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 妊娠中に新型コロナウイルスに感染したら,おなかの赤ちゃんにうつるのか。世界中から報告が上がり,国内でも疑わしい例が出ている。さまざまな研究報告から,母から子への感染の可能性が判ってきた。

 4月中旬,埼玉県内で母親と生まれたばかりの赤ちゃんの新型コロナ感染が確認された。出産した蕨市立病院では,感染確認の4日前までに助産師2人の感染が判った。母子は退院していたが,接触の疑いがあり,検査を受けていた。

 病院によると,感染経路はいまも判っていない。出産から10日以上経っており,出産後に赤ちゃんにウイルスがうつった可能性は十分ある。もうひとつの可能性として指摘されたのが,母親がウイルスに感染し,胎盤などから赤ちゃんにうつる「母子感染」だった。

 新型コロナの母子感染は早くから指摘されていた。7月に米国のチームが39本の論文や報告を分析したところ,感染した妊婦から生まれた936人の赤ちゃんが48時間以内に鼻の奥のPCR検査を受け,3.2%が陽性だった。

 一般的にウイルスが赤ちゃんに侵入するルートは,胎盤や臍帯血(さいたいけつ),羊水,膣(ちつ),母乳などさまざまだ。新型コロナでは胎盤を通じたルートが有力だとみられている。

 フランスの研究チームは7月,新型コロナに感染した母親と帝王切開で生まれた赤ちゃんの両方の血液などからウイルスが出て,とくに母親の胎盤のウイルス量が多かったと発表した。母親の血液に含まれたウイルスが胎盤を通じて,胎児に届いたと推測している。

 10月にイタリアのチームが胎盤や臍帯血,羊水,母乳などのウイルスや抗体を調べたところ,胎盤や臍帯血からウイルスがみつかったと報告した。「母子感染がありえることを示している」という。

 都内7医療機関で新型コロナの母子感染例を集めて調査している国立国際医療研究センターの赤松智久医師(新生児科)は,胎盤などからウイルスがみつかったとする論文が出ているため「理論的には母親のおなかの中で胎児への感染が起こりうるのは間違いない」と話す。ただし頻度や症状については判断できるほど症例がなく,今後の調査が必要だという。

 昭和大の関沢明彦教授(産婦人科)は,国内では疑わしい例はあるものの,母子感染が起きたと証明された例はないという。「過剰に心配する必要はないが,妊婦は人混みを避けるなど注意しつつ,一緒に暮らす家族もウイルスをもちこまないよう気をつけてほしい」と話す。(市野 塊)(以上につづく段落は省略した)

 この ⑥ の話題になると,菅 義偉政権がいま必死になって工作している五輪開催,そして,その実現によって「人類がウイルスに打ち勝った証し」などとほらを吹きたがる感性そのものが,理解に苦しむ。いま,政府にしても都政にしてもやるべきことは「そのほかの領域においてこそ」いくらでもあるはずである。

 都知事小池百合子は現在〔2020年11月下旬になっている〕,東京都を中心に急増のきざしが明確であるコロナ禍に対する対応に関して,「Go To は国の責任で判断を」といってのけた。

 ところが,この人は今年3月23日,「今後の推移によりましては,都市の封鎖,いわゆるロックダウンなど,強力な措置をとらざるをえない状況が出てくる可能性があります」と明言し,政府が国家的な次元で採るべき対・コロナ禍対策を不必要に混迷させるという,故意にしか映らなかった無責任ぶりを得意げに演技していた。

 あらためて断わっておくべき点は,小池百合子は「まるで東京の封鎖が知事の権限で可能であるかのような響き」でもって語っていたが,「だが,そこに法的根拠はまったくない」ことであった。日本では都市封鎖なんてできないのだ。

 註記)青沼陽一郎「なぜ都知事はできない『ロックダウン』を口にしたか-人々の危機感煽るその手法は,まるでカルトの『教祖』-」『JBpress』2020年4月9日,https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/60090

 その小池百合子の発言は,当時からの日本全体のコロナ禍対策に要らぬ混乱を招来させていただけで,それ以外に効果ある対策に資することはなかった。国政の指導者,安倍晋三や菅 義偉にしても,小池百合子と同等かそれ以下の対応しかなしえていなかった。

 小池百合子に対して青沼陽一郎は,「ありもしない都市封鎖を語る知事は信用に値するのか」と,根本から疑念を呈していたが,その後における経過を観るに,まったくそのとおりであって,当たっていた。むろん,安倍も菅も同列であった。つまり,99%(いまの時点だからこの99%にしておくが)「できそうもしない五輪」を「必らずできるかのように語る(虚言的な画策ばかり打ち上げている)」安倍晋三と菅 義偉は,なんら信用に値しえない政治屋の2人でありつづけてきた。

 コロナ禍下での少子化対策? この国の現状ではその対策がまともになされる期待は抱かないほうがよさそうである。そもそも基本的に「人間じたい(国民たち)を大事にしない」この国であった。おまけに悪いことに,国家最高指導者たちが日常的に平気で嘘偽りを連発しまくる,つまり「自分だけ・カネだけ・いまだけ」のトンデモな政治風土が当たりまえになっている。

 最後にもう一度いっておく。「人類がウイルスに打ち勝った証し」などいった文句は,まさに無識者が放った完全なる戯言であった。寝言を正気で,真っ昼間からいえるその図太い神経だけは賞賛に値する。だが,いまの日本の現状は実質,「Go To は国の責任で判断した」ところの「Go To Hell」への「特別・片道切符」を意味する。

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