「Go To トラベル」⇒「Go To トラブル」⇒「Go To Hell」になりつつあるコロナ禍は「実効再生産数(effective reproduction number)」にも反映されている,無責任にも国民たちの「健康と生命をコロナ禍から護る」ための本気さがみられない菅 義偉政権の体たらく

 今冬に向けてコロナ禍がさらに本格化するきざしが明確に現象しているけれども,予防対策のほうは中途半端のまま,「Go To トラベル」を抑制するとだけいっている

  「トラベル,札幌と大阪3週間除外  解約の旅行代金,国が35%補償」共同通信』2020年11月24日 22時41分 ということであるが,まだまだ,トラベルに未練がましいことといったら,ただいじらしい

 なかでも「新型コロナウイルス感染拡大を受けた措置」について,「感染者数が多い東京都の扱いをめぐっては,小池百合子知事と菅 義偉首相が官邸で会談したが,結論をもち越した」(同上『共同通信』)というけれども,新型コロナウイルス感染拡大現象そのもののほうに休みはないゆえ,この政府と都政の最高責任者は,いったいなにがヨユウでもって「その結論をもち越した」というのか?

 f:id:socialsciencereview:20201125110618p:plain

  要点・1 当事者能力を基本的に欠いた政府当局・都政当局

  要点・2 本質的・本格的なコロナ禍対策を立てず,おこなわず,大東亜・太平洋戦争当時を彷彿させる「失敗の本質」を,みずから暴露しつづける体たらくと無策・無能ぶり

  要点・3  「コロナ禍⇔高齢者」=「早く死ね」ということか?

 f:id:socialsciencereview:20201125104138j:plain

 

【参考記事】


 「【森永卓郎の本音】 コロナ無策の背景は何か」『YAHOO!JAPAN ニュース』2020/11/22 (日) 12:00 配信,https://news.yahoo.co.jp/articles/22b3aec2044f7c4381a218430adb9367efcdddf9(元記事は『スポーツ報知』)

 新型コロナの感染が急拡大している。〔11月〕21日の新規陽性者数は2592人と,過去最多を更新した。本来なら緊急事態宣言の発動や外出自粛の要請を出してよいレベルの数字なのに,政府の動きは鈍かった。それどころか,「Go To キャンペーン」を継続して,感染拡大をむしろ煽(あお)ってきた。

 感染抑制に消極的なのは東京都も同じだ。かつて,「ステイホーム,ステイ・イン・トウキョウ」を打ち出して,国に先駆けて感染抑制策を打ち出した小池都知事も,東京の警戒レベルが「最高」になったにもかかわらず,飲食店等への営業時間短縮要請さえしなかった。なぜ,第3波に関しては,政府が強い感染抑制策を取らないのだろうか。

 補注) “stay home!” という文句は「犬に対する命令だ」という指摘まで提示されていた。また「lock down」という表現については,いまではなつかしい響きがする。くだんの都知事小池百合子は,こういう開きなおりのための弁を披露していた。

 つまり,2020年11月「11日,新型コロナウイルス対策で『ロックダウン(都市の封鎖)』に触れた3月下旬の自身の発言について〔彼女は〕『急速な感染の拡大に歯止めをかけることができた』と述べ」「週末や夜間の外出自粛を要請するため『専門家が使った言葉を用いて,都民にわかりやすく発信した』と真意を説明した」という。

 だが,国側との事前の調整もなにもなしに,いきなり発した個人プレーだけでもって,その後におけるコロナ禍に対する対応を,国家次元における問題として都政次元から大混乱させてきた大きな責任など,どこ吹く風といた風情である。あいもかわらず無責任な御仁(女史,女帝?)である。

〔森永・記事に戻る→〕 合理的な科学的な根拠は,たったひとつしかみつからない。新型コロナの「弱毒化」だ。

 厚生労働省の発表によると,11月18日時点の新型コロナの死亡率は1.5%と,7月15日時点の4.4%と比べて3分の1に下がっている。しかも,30代までの死亡率は0.0%で,40代が0.1%,50代が0.4%と,いまや現役世代は新型コロナに感染しても,ほとんど死ななくなっているのだ。

 しかし,問題は高齢者だ。現時点の死亡率は,60代で1.9%,70代で6.2%,80代以上は14.8%と,かなり死亡のリスクが高いのだ。感染が拡大すれば,多くの高齢者が死ぬのは,確実なのだ。

 経済学者には,「清算主義」あるいは「創造的破壊」という思想をもつ人がたくさんいる。経済成長をするには,生産性の低い企業を潰して,生産性の高い企業に資源を集約しなければならないとする思想だ。もしかすると,政府が「生産性の低い」と考える高齢者を清算しようとしているのではないかと思ってしまうほどの動きの鈍さだ。(引用終わり)

 かつて,戦争の時代に「人的資源論」という観点が,戦争遂行のために必要な社会科学的な観点として,実践的に要請されていた。それを彷彿させる「対・コロナウイルス戦」が再現されている雰囲気すら醸成されている。

 補注)美濃口時次郎『人的資源論』八元社,昭和16年3月25日初版,昭和18年9月11日 改訂増補版(再版)という書物は,当時の必要性に即して国民経済の視点から議論をしていた。関連していうと,現在における経営学の分野では,人事・労務管理論に関する新しい名称として「人的資源管理」論が登場しており,ごくふつうに使用されている。

 しかし,人的資源管理論というこの名称は「戦時中の人的資源論」を思い起こさせるという意味で,その印象がきわめて悪い。「産めよ殖やせよ」の時代の人的資源「論」と,現代の企業におけるこの「人的資源」管理論とは,その適用される範囲を異にしているとはいえ,同じ文字をそのまま充てているという点では,以上に示してみた印象がどうしても回避できない。

 もっとも「戦時中の人的資源論」は男性兵士の供給(戦場で兵士は消耗品あつかいされるのだが)を全面的に意識していたが,平時における企業の問題としての人的資源論は,会社ごとの経営管理にとってのみ都合のよい,いいかえれば,それぞれが営利する追求のために役立つ人材の獲得・運用を第1の目的にしている。

 話を本論に戻す。現在におけるコロナ禍の最中では,高齢者はまるで早く死んでもいいよ,と聞こえかねない「国家側の基本姿勢」は,「国民たちの健康と生命」という “生物的な資源管理” の問題をないがしろにしている。

 「Go To トラベル」政策が現在の日本の政治・経済・社会に与えている混乱・コントンのなかで,意図的ではない(?)にしても,高齢者のいのちが軽くあつかわれていく動きがないわけではない。

 現在進行中のコロナ禍に直面させられているわれわれの日常生活(2020年春からつづいている)は,日本の「姥捨て」伝説に似た判断を迫っているのか? とはいっても,『誰の命であっても平等だ』という大前提は堅持されねばならない。

 世界中が同時にコロナ禍に襲われている状況のなかで,もしも「命の重さに軽重や傾斜がある」と考える風潮が本当に広まってしまい,例の「年齢トリアージ」からさらに「健康や収入や才能などに関するトリアージ」までが,当然の観念になりかねないとしたら,前述した「戦時体制」下の「人的資源論」に近い極論的な立場が発現するほかなくなる。

 以上のようにあらためて考えてみるが,それにしても政府(菅 義偉首相)の新型コロナウイルス感染症問題の取り組み方は疑問が大きい。コロナ禍をわざわざ拡大・深刻化させるための対策・措置しかしていない。いってみれば,そのようにしか「できていない」のではなく,あえてそのようにしか「しようとしていない」。


 「国内感染初の2000人超  新型コロナ,首相懸念『対策に全力』」『日本経済新聞』2020年11月19日

 f:id:socialsciencereview:20201125100355p:plain

 国内で〔11月〕18日に確認された新型コロナウイルスの新規感染者は(同日)午後10時時点で2191人となり,1日の新規感染者の過去最多を更新した。菅 義偉首相は18日,首相官邸西村康稔経済財政・再生相と田村憲久厚生労働相と協議し「とにかく感染拡大を防ぐよう全力をあげて取り組むように」と指示した。西村氏が記者団に明らかにした。(関連記事総合2面〔=紙面3面〕に)

 田村氏は新規感染者が過去最多になったことに「首相も危惧をもっている」と記者団に話した。政府は20日にもコロナ感染症対策分科会を開き,対策を議論する。加藤勝信官房長官は18日の記者会見で「県をまたぐ移動の自粛を一律に要請する必要があるとは考えていない」と強調した。「適切な対策を講じることで移動による感染リスクを低下させることは可能」と指摘した。

 補注)この加藤勝信官房長官の発言は,ほぼ無責任の領域でなされていた。コロナ禍の問題は,そもそも「県をまたぐ移動の自粛」ウンヌンで議論しきれる性質ではない。それゆえまた,その県境の線引きを語ったところで,新型コロナ・ウイルスにはそれがみえるはずも,ましてや存在するはずもない。

 東京都に接している関東各県との “地理上の地続き” を思えば,各「県をまたぐ移動の自粛をその一律に要請する必要があると」か話すのは,ただに机上の空論。「Go To トラベル」を実施中におけるこの発言となっていたからには,それこそお話にもなりえない,非科学的かつ非現実的な対応になっている。

〔記事に戻る→〕 これまでの国内の1日の新規感染者の最多は〔11月〕14日の1720人だった。東京都では18日に493人の感染が確認され,都内の過去最多を更新した。ほかに神奈川(226人),埼玉(126人),静岡(87人)なども最多となった。大阪(273人)は2日連続で200人を超えた。

 補注)11月16日(月曜日以降)の週には,新規感染者数が2千人から2千5百人台にまで到達していた。専門機関の予測にしたがえば 註記),12月20日時点で日本はその数が5千人台になると観察していた。こうした現況のなかでもまだ「Go To トラベル」を,今後も継続しながら “どうする・こうする” といっている。

 註記)『COVID-19 感染予測(日本版)』https://datastudio.google.com/reporting/8224d512-a76e-4d38-91c1-935ba119eb8f/page/ncZpB?s=nXbF2P6La2M,2020年11月25日午前8時閲覧。

〔記事に戻る→〕 分科会の尾身 茂会長は18日の衆院厚生労働委員会で「このままいくと国民の努力だけではコントロールするのがむずかしく,さらに強い対応をしないといけない事態になる可能性がある」と述べた。尾身会長は「感染が拡大しつつあるだけでなく,クラスター(感染者集団)が多様化している。〔感染対策の徹底が〕なくなると強い経済社会の抑制をせざるをえない可能性がある」と訴えた。

 補注)この尾身 茂は感染症問題の専門家ではなく,いままでもそうであったが,まともに発言できる識者とは思えなかった。分科会にはその専門家がいないまま,外部から観ると,ただ右往左往するだけの対応に終始している。

 11月9日の時点で尾身 茂は,「感染防止策⇒踏み込んだクラスター対策」のひとつとして,「対話のある情報発信」を,それも「会食中の感染対策」についてだが,身振り手振りを交えて,こういった。

 「食べるときは左手で(マスクを)外して,食べる。その時は喋っていません。食べるときはしゃべらない。飲みこんだら,(マスクを再びつける仕草)」

 これが分科会の会長がいうことか? 小学校におけるコロナ対策用の給食作法として教えるというならば,まだ分かる気にもなれる。だが,極楽トンボのような発言であった。お粗末……。現状はつぎのように警戒されているというのにである。

 日本医師会中川俊男会長は〔11月〕18日の記者会見で「危機が迫っている。今後も感染拡大が続けば,より強い政策をとらなければならなくなる」と警戒感をあらわにした。医療提供体制は「東京や北海道はすでに逼迫している。正念場だ」とも指摘した。「万全な感染予防対策が結果として一番の経済対策につながる」として「今週末を我慢の3連休としてもらいたい」と呼びかけた。


 「重症者『第2波』超す 全国,2週間で 1.7倍 東京・大阪・沖縄,病床使用率25%超」日本経済新聞』2020年11月19日朝刊3面「総合2」

 f:id:socialsciencereview:20201125094235p:plain

 

 f:id:socialsciencereview:20201125094314p:plain 

 国内の新型コロナウイルス感染者が2千人を超え過去最多となるなか,重症化する患者が増えている。重症者数は270人台で8月の感染拡大「第2波」のピークを超えた。東京都や大阪府など3都府県は重症者用の病床に対する使用率が4段階評価で2番目に深刻な「ステージ3」の水準になっている。医療現場は警戒を強めている。(1面参照)

 厚生労働省の集計によると,国内の重症者は17日時点で前日比4人増の276人となった。第1波ピークの328人(4月30日)には届かないが,第2波ピークの259人(8月23日)を上回り,2週間で1.7倍近くに増えている。

【参考記事】

 f:id:socialsciencereview:20201125094712p:plain

 原因は感染者の年齢層の広がりにある。第2波は接待を伴う飲食店など夜の繁華街で感染が拡大し,無症状や軽症の若者の感染が目立った。今回は年齢層が広く,11日までの1週間の感染者の年代別の内訳は30代以下が49%,40~50代が28.6%,60代以上が22.2%と満遍なく分布する。

 新型コロナは年齢が上がるほど重症化リスクが高いとされる。田村憲久厚労相は17日の記者会見で「医療施設や介護施設でのクラスター(感染者集団)が多発している」と指摘した。厚労省によると,16日までに全国で起きたクラスターは計2147件。飲食店や企業,福祉施設での発生が多い。

 懸念されるのは病床の逼迫だ。厚労省は各都道府県で確保されている重症者用の病床使用率が25%以上になるとステージが「3」,ピーク時に確保をみこむ病床の使用率で50%以上をもっとも深刻な「4」の水準としている。同省が公表した最新データでは10日時点で東京,大阪,沖縄の3都府県が25%を超え,ステージ3の水準になった。

 都市部では引きつづき状況が悪化している。東京都は17日に都の集計基準で42人と緊急事態宣言解除後の最多を記録。都が確保した重症者用の病床は150床で使用率は28%に上った。18日は39人になったが高止まりが続く。18日は大阪府も重症者が72人となり,病床使用率は35%に上った。

 愛知県も17日時点で重症者が15人で病床使用率は21.4%となっている。200人前後の新規感染が続く北海道が18日に重症者が18人で病床使用率が15%弱になるなど,今後は地方でも増加が加速する恐れがある。

 医療機関への負荷は増している。「第2波と第3波の切れ目がないまま患者数が増え始めた。医療スタッフの不安や疲れがピークを迎えはじめている」。東京医科歯科大医学部付属病院(東京・文京)は18日時点で重症者7人を受け入れる。都から割り当てられた受け入れ人数5人を超えている。

 重症度は高く,体外式膜型人工肺( ECMO =エクモ)2台,人工呼吸器5台,血液浄化装置2台が稼働中。エクモなどは24時間体制で監視する必要があり,医師や看護師らの負担は大きい。

 ただ,全国で重症者数が計300人を超えて医療崩壊の瀬戸際になった4月と比べ,感染者が重症化する割合は減っている。症例の積み重ねで治療法が確立しつつあることや検査数拡充で早期発見が可能になったことなどが要因に挙げられる。病床逼迫が懸念されるなか,重症化を防ぐ取り組みも重要になっている。(引用終わり)

 それでも「Go To トラベル」はこれからも継続させていきたいとこだわるのが,菅政権側の意向である。すでに「Go To トラベル」は「Go To トラブル」である圏域にまでせり出ていた。「Go To Hell(地獄)」の様相までも,あえて呼びこむ危険性があるこの「Go To トラベル」政策に,まだ執着している。


 「10月訪日客98.9%減 2.7万人」日本経済新聞』2020年11月19日朝刊5面「経済」

 日本政府観光局(JINTO)は〔11月〕18日,10月の訪日客数が前年同月と比べ98.9%減の2万7400人だったと発表した。訪日客数の減少は13カ月連続で,このうち3月以降は9割以上の減少幅が続いている。政府は10月1日以降,全世界からの新規入国を一部再開したが,観光客の移動は依然として制限が続く。

 国・地域別でみると,6200人のベトナムが最多だった。前年10月には4万6千人が訪れていた。前年同月に73万人訪れていた中国は4500人,19万人訪れていた韓国は2000人だった。

 政府は10月以降,日本で3カ月以上滞在できる在留資格をもつ人の入国を再開し,訪日客数は微増傾向だ。10月の訪日客数は9月の倍だった。1~10月の累計の訪日客数は400万人。2019年は1~10月に約2700万人が訪れていた。

 観光庁は同日,7~9月の日本人の国内旅行消費額が前年同期比56.3%減の2兆9241億円だったと発表した。83.2%減だった4~6月と比べ減少幅は縮小した。観光支援策「Go To トラベル」が7月から始まり,一定の下支え効果があったとみられる。(引用終わり)

 この記事は「Go To トラベル」の効果に言及しているとはいえ,今冬の年末・年始にかけて,コロナ禍がさらに感染が拡大しそうな見通しを踏まえていえば,なおもこの「Go To トラベル」にこだわっていくとなれば,それこそ「不測の事態」ではなくして,「予想(心配した)どおりのコロナ禍」の増大・拡散になりかねない。

 感染症問題の専門家である児玉龍彦は,7月・8月のコロナ禍拡大中に懸念して吐いたことばが「目もあてられない状況が来る」であった。その事態が,この年末・年始に到来する可能性が大である。そのときにまだ「Go To トラベル」がどうだこうだ(「止めない,続ける」)といっているようでは,事態の収拾がつかなくなる。医療崩壊になるおそれが心配されるのである。

 つぎの記事は本日:11月25日朝刊の新聞報道となる。


 「『この状況続けば  命助けられず』 厚労省の専門家組織」日本経済新聞』2020年11月25日朝刊43面「社会2」

 新型コロナウイルス対策を助言する厚生労働省の専門家組織「アドバイザリーボード」は〔11月〕24日,足元の感染状況について地域によっては急速な感染拡大がみられるとして,「このままの状況が続けば,通常の医療では助けられる命が助けられなくなる」と指摘した。

 入院者数や重症者数も増加が続いており,手術や救急患者の受け入れの制限などの事例も出始めていると分析した。政府が表明している観光需要喚起策「Go To トラベル」事業の見直しなどを速やかに実行することが求められるとした。

 座長の脇田隆字・国立感染症研究所長は24日の記者会見で,新規感染者数の顕著な増加がみられるとした北海道や首都圏,関西圏,中部圏では「公衆衛生体制や医療提供体制は厳しい状況になっているとの報告がなされた」とした。(引用終わり)

 本日に報道されたこの記事に即して再度,思い出してふれておくべき問題,例の「年齢トリアージ」(患者に対する処方の問題)があった。年末・年始にかけてさらに増大・拡散が予測されているコロナ禍に関していえば,そのトリアージの問題が放置されてよいはずがない。

 医療機関の受け入れ体制としてだが,新型コロナウイルス感染者たちの「命の重さに軽重や傾斜がある」と,単に考えておくだけでなくて,この点にまつわる判断を実際に敢行しなくてはならない事態を,今後において医師たちが迎えるかもしれない。つまりは,そのように予測されうる苦悩の発生に備えて,医療関係者たちがいまから「現実的にどのように準備しておくべきか」という問題もあった。

 「Go To トラベル」がどうだこうだと,まだこの種になるコロナ禍政策にばかり重点を置いているようでは,すでに重大化している「Go To トラブル」が,たちまち「Go To Hell」に直結する。

 中止が実質決まっているらしい東京オリンピックに対して菅 義偉のように,来〔2021〕年盛夏に延期された東京オリンピックパラリンピックについていまだに,「人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証として開催したい」と意気ごむのは,見当違いもはなはだしい。「政治家としての菅 義偉」が日本国首相の立場において犯している〈勘違い精神〉は,軌道修正が不可能なのか?

 要するに,脳天気な政策であると批判する以前に,呆然自失「感」に誘われるほかないのが「Go To トラベル」であった。「経済活動と感染症予防」の2項両立が,それほど困難もなく達成可能だと思いたい “単純過ぎる発想じたい” に,そもそも錯誤の源泉が含まれていた。

 それよりも,膨大な補正予算の使い道を再考し,もっと工夫すればいいだけの話題であった。しかし,「私物化された特高的秘密政治」に依ったスガーリン的な国家の運営手法では,国民たち向けにまとも政策が提供できない。

 2020年度の国家予算はいままで,コロナ禍対策のために「尋常ではない額」「2度の補正後〔だけ〕で160.3兆円」を計上していた。その使い道のひとつが「Go To トラベル」であったが,コロナ禍に対して『火に油』的な状況を作りはじめないとは限らない。

 いまの菅 義偉政権は,年末・年始におけるコロナ禍の推移がどうなっていくかを意識しながら,それに対して最善の対策を採れるとは,とうてい思えない。むしろ,その致命的ななにかが示唆されていた。今後に向けた「この国の見通し」をみまわしてみると,いまの菅 義偉政権にはその見通しに対して,どのような基本姿勢をもって取り組もうとしたいのか,不明瞭のままである。

------------------------------