Let's go to the Hell の「Go To トラベル」を推進する菅 義偉政権,五輪を開催したいが,21世紀のインパール作戦的な,コロナ禍対策に基本戦略なし

 オリンピックを開催するつもりでいて,コロナ禍など怖くないと思いたいこの国の政府,いったい自国をどこへ導いているのか,分かっていない恐ろしさ

 

  要点・1 「いまだけ,カネだけ,自分だけ」のさもしい私利我欲政権に,この日本を任せたままだと,21世紀中には完全に「日本沈没」,いまの政権はなにをどのように為政したいのか

  要点・2  日本の総人口は,2050年には9515万人となり,約3300万人(約25.5%)減少する。この変化は,千年単位でみても類をみない,きわめて急激な減少である。高齢人口が約1200万人増加するのに対し,生産年齢人口は約3500万人,若年人口は約900万人減少する

  要点・3 本日は,以下の諸記述を引用する体裁となっているが,「人類が感染症に打ち勝った証しとして,東京オリンピックを完全な形で開催したい」といったいいぐさは,完全に戯言

【参考記事】


  本日に『朝日新聞』『日本経済新聞』両紙を開いてみると,コロナ禍関連の記事が多い

 最初に,『朝日新聞』2020年12月9日朝刊の各面を開き,主な関連記事を簡単に紹介していく。

 21世紀風に演じられつつある「菅 義偉政権の対・コロナ禍戦線」は,まさしく「インパール」作戦的であって,すなわちひどくドタバタ的になのだが,実は泥縄にさえなっていない「Go To キャンペーン」としての危険性を,露わにしている。なお,この「Go To トラベル」はともかく,「Go To オリンピック」を予定している点がミソであった。

 1) 1面「経済対策,国費30兆円支出 コロナ対応・公共事業 73兆円決定 財源の多くは国債

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  出所)『朝日新聞』2020年12月9日朝刊1面。

 政府は〔12月〕8日,新型コロナウイルスの感染拡大を受けた今年度3回目となる経済対策を閣議決定した。国の直接の支出は30.6兆円,財政投融資などをくわえた財政支出は40.0兆円となり,民間が使うお金も含めた総額の事業規模は73.6兆円に上る。感染の再拡大を受けた対応にくわえ,公共事業などで金額が膨らんだ。(▼3面=規模感優先)

 対策は3本柱で,

  ▽-1 事業規模は新型コロナの感染防止策が6兆円

  ▽-2 コロナ後に向けた経済構造の転換と好循環の実現が51.7兆円

  ▽-3 国土強靱(きょうじん)化のための公共事業が5.9兆円。

 菅義 偉首相はこの日の経済財政諮問会議で,今回の対策により,GDP(国内総生産)を3.6%程度押し上げる効果をみこんでいるとした。

 必要な費用は,今年度の第3次補正予算案と来年度の当初予算案に計上し,年内に閣議決定する。当初予算案には,国会の議決を経ずに使える予備費をコロナ用に5兆円計上。対応を素早くおこなえるようにするとしたが,使い道のチェックが甘くなる可能性がある。(引用終わり)

 安倍晋三前政権時にすでに完成していた「私物化・死物化・負の遺産化」政治体制のもと,このようなコロナ禍対策を講じたところで,「いまだけ,カネだけ,自分だけ」の利権政治の〈渦中〉では,しかも国債頼みの財源というかたちとなれば,今後においてコロナ禍が落ちついても,国家そのものが破綻・崩壊していく予兆になりかねない。(引用終わり,後略)

 前段の「対策・3本柱」のうち,▽-2「コロナ後に向けた経済構造の転換と好循環の実現が51.7兆円」が,ほかの2本とは一桁違って大きい点に注意したい。いまのコロナ対策よりも,そのさきの経済昂揚対策を強く意識した「コロナ対応・広狭事業」対策予算というのは,まず「経済空間」にかかわっているはずの「時間の観念」を喪失したまま,とくにコロナ禍対策を最優先の取り組みとする意識がゼロになっている。

 なぜ,そのような「本末転倒」であって,ものごとの本質に関した「順逆をまったく弁えない重大な過誤」にもとづくコロナ禍対策が提出されたか。この事実に関していえば,まさにわれわれがコロナ禍にさいなまれている最中であるにもかかわらず,いま緊急に必要であるこのコロナ対策よりもそのさきの経済対策への目配りばかりが,突出して先行させられている。この事態は完全にミス(過誤)の采配だというほかない。

 2) 3面「コロナ感染再拡大,支援延長へ転換  事業規模73兆円,追加経済対策」

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 新型コロナウイルスを受けた3度目となる経済対策は,再び事業規模73兆円という巨額対策に膨れあがった。冬場に入っての感染再拡大で,支援策の延長や上積みを求める声が強まった。総選挙をひかえ,「規模ありき」の議論も目立ち,公共事業や基金など,コロナとの関連が疑問視されるものも多い。(引用終わり,後略)

 不思議である。「コロナとの関連が疑問になる」のだというこうした経済対策は,1)で触れたとおりでなのあるが,目先に広がっているコロナ禍の被害・損害は棚上げしたまま,ただ「その先において打ってみたい経済昂揚策(?)」の提唱となると,菅 義偉政権はいったいなにを考えているのか,この種の疑問がただちに出てきて当然である。

 「私物化政権による経済対策」の前では,コロナ禍対策など「雀の子そこのけそこのけお馬が通る」の要領で,あたかも邪魔ものあつかいされる光景になっている。というのは,いまの日本産業経済はつぎのごとき経済事情に遭遇させられているからである。

 3) 7面「『第3波』景気に暗雲  11月街角景況感,7カ月ぶり悪化」-GDPは上方修正 前期の反動,弱い回復力 7~9月-

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 「第3波」ともいわれるコロナ感染の急拡大で,景気回復に「黄信号」がともっている。〔12月〕8日公表された統計で,秋口までは回復が続いていたことが確認されたものの,11月下旬に調査した街角の景況感は大幅な悪化を示した。足元は視界不良の状況だ。(引用終わり)

 ともかく,政府の対応は,コロナ禍によってすでにさんざんに痛めつけられている「経済・産業・経営の回復」のための経済政策を推進したいのであるが,そのコロナ禍が今冬から2021年春以降,どのようななりゆきかという点は,どうみてもごく副次的なあつかいである。

 新型コロナウイルス感染症に対する菅 義偉政権の取り組みは,拙速かつ軽率であるだけに,かえってその要らぬ失敗を呼びこまぬとは限らない。

 以下,『朝日新聞』朝刊の記事に戻る。

 4)14面「朝日川柳 西木空人選」からは,全7句のうち前半の4句を紹介する。

 ◆-1 尻拭い最後の手段は自衛隊 (千葉県,加藤安博)

 ◆-2 後手になる庶民派実務派叩(たた)き上げ (京都府,桑原宣彰)

 ◆-3 Go To と叫んでいるのはコロナなり (長野県,志波英利)

 ◆-4 医療不眠に国会休眠 (宮城県田中哲郎)  

 なお,自衛隊附属病院関係では,自衛官の身分をもつ医官(医師)と看護官(看護師)がそれぞれ約1000人,技官の看護師が約700人いる。今回はそのうち10名を派遣するとの話があった。2020年12月8日時点で「政府 自衛隊看護師を旭川へ派遣  大阪も検討」とのことである。

【参考記事】

 5)15面「〈多事奏論〉100年前の災厄 世界史すら変えたパンデミックを執筆した朝日新聞編集委員の駒野 剛は,こう論説していた。1世紀前に大流行したインフルエンザがもたらしたパンデミックの事態を踏まえて述べていた。適宜,取捨選択して引用する(ので中略した段落がある)。

 --約100年前,いま以上の大流行が世界を脅かした。スペイン風邪という新型インフルエンザにより,諸説あるが世界で2500万人から4千万人,日本も植民地を除く本土だけで45万人の命が奪われたという。

 1918年から20年までの流行で,同時期に戦われた第1次大戦の死者,約1千万人をはるかに上回る大災厄となったのだ。新型インフルエンザは,短期の混乱にとどまらず,その後の世界史すら変えた,という指摘がある。

 パンデミックの実相を記した「史上最悪のインフルエンザ」の著者アルフレッド・W・クロスビーは「インフルエンザの被害に遭った人びとのうちでもっとも痛ましい道をたどったのは,『戦争というすべての戦争をなくし,人類を高いモラルをもつ新たなレベルにまで引き上げようとする任務』にみずから着手したこの男であった」と述べ,ウィルソンの悲劇が,その後の第2次大戦の悲劇に連なっていくことを静かに暗示する。

 補注)ここで「ウィルソンの悲劇」とは,第1次大戦の結果に関する話であった。敗戦国となったドイツには賠償額1320億金マルクが課せられた。この金額は,当時の独の国民総所得の約2.5倍という膨大なもので,国民の窮乏を招き,復讐心がナチス台頭のきっかけになったのである。

〔記事に戻る→〕 こうした歴史が示す宰相の判断の重さを思うと,前〔安倍晋三〕政権も菅 義偉首相も危機感が乏しくないか。3カ月前,私は当欄で「〔コロナの〕流行中に『Go To トラベル』を実施した。感染症抑制に逆効果という人の移動を税金を投じ後押しする」と疑問を呈した。事態はどうなったか。

 経済と感染症予防の両立というが,感染症は抑えこまねば流行を繰り返し,そのたびに経済は混乱する悪循環に陥るだけだ。菅氏は危機に迅速かつ適切に対処してきたと自負した。しかし,歴史の経験に学ばない政治は,しょせん,傲慢を超えて愚行というしかない。この冬の終わりは遠そうだ。(引用終わり)

 いまの菅 義偉政権は,「Go To トラベル」などの「Go To キャンペーン」しか念頭にない為政をしている。コロナ禍はあたかも2次的な位置づけになっている。コロナ禍を利用して経済政策のあれこれを逆に画策するという本末転倒が,平然となされている。なぜ,この種のハチャメチャな国家運営が進行中になっているのか,これが今後にどのような悪影響を及ぼすかについては,後段であらためて記述する。

 6)『日本経済新聞に移ると,まず「社説」(2面)が「経済対策の規模が膨らみすぎてないか」と題して,こう警告していた。

 政府が事業規模73兆円超の追加経済対策を策定した。コロナの封じこめや景気回復の後押しといった当面の施策だけでなく,経済構造の転換や防災・減災などの中長期的な施策も盛りこんだ。

 財政出動の必要性に異論はないが,規模が膨らみすぎていないだろうか。これまでに実施してきた経済対策の使途や効果を十分に検証しないまま,支出の積み増しに走った印象が拭えない。

 コロナの感染防止と正常な経済活動の両立は喫緊の課題だ。病床の確保などに充てる都道府県向けの交付金や,ワクチンの接種費用は欠かせない支出である。日々の生活に困る世帯や資金繰りに窮する企業も,しっかりと支えなければならない。期限を延ばした各種の優遇融資などを,滞りなく迅速に実行してほしい。

 とはいえ今回の経済対策が,さまざまな問題をはらむのは確かだ。観光需要や外食需要を喚起する「Go To キャンペーン」を延長するのであれば,慎重で柔軟な運用を望みたい。感染の状況をみきわめながら,対象地域を限定するといった対応も必要になろう。

 補注)ここでは,「Go To トラベル」などを止めろ,とまではいえない日経「社説」の限界だけを指摘しておく。

 4月と5月に策定した経済対策の事業規模は合計230兆円にのぼるが,無駄やばらまきを排除できたとはいいがたいい。その使い残しが目立つにもかかわらず,さらに73兆円超を追加する必要があったのかという疑問も残る。

 最たる例は「国土強靱化」と銘打った防災・減災事業だろう。政府・与党はこれを機に,2021~25年度に約15兆円を投じる新計画を推進したいという。頻発する自然災害への対応は重要だが,本当に必要な事業を選別したようにはみえない。

 使途を事前に定めない予備費は,2020年度と2021年度の合計で10兆円程度を確保する。コロナ危機への迅速な対応を大義名分にして,不要不急の国費が国会での十分な審議を経ずに使われていくのではたまらない。

 菅 義偉首相の肝煎りの政策も聖域ではない。脱炭素社会の実現に向けた研究・開発を支援する2兆円の基金や,官民のデジタル化を促す1兆円の関連経費がどんぶり勘定になるのでは困る。専門家の知見もえながら,支援先や事業の妥当性を的確に判断すべきだ。

 コロナ禍のさなかでも財政の規律や節度は保つ必要がある。競うべきは「賢い支出」であって,経済対策の規模ではない。(引用終わり)

 現在,新型コロナウイルス感染症患者の治療に当たる病院のなかでは,まだ,医療用のマスクN95や防護服が絶対的に不足しており,価格もコロナ以前とは一桁高くなっているせいもあって,その調達に苦労している。担当の医師たちが自腹でN95を購入し,大事に使っているという話まで聞こえてくる。それでいて,以上のごとき財政投資だけについてだけは太っ腹の政府が「事業規模73兆円超の追加経済対策を策定」していた。

 だが,いま緊急でありもっとも大事である「コロナの封じこめ」対策用の予算はついでにというか,どちらかといえば,財政出動の山車に体よく使われている。前段のごとき,医療現場における窮状は,この日経社説が「コロナの感染防止と正常な経済活動の両立は喫緊の課題だ」という以前に控えていた現実問題であった。

 ましてや「Go To トラベル」のための経済政策など,当面する緊急度に関する重要性の程度に即していえば,本末転倒どころか狂気の沙汰に等しい。『日本経済新聞』の記事紹介に戻る。

 7) 7面「街角景気7カ月ぶり悪化 11月調査,コロナ感染再拡大で」

 新型コロナウイルスの感染「第3波」で,街角の景況感が急激に悪化している。内閣府が〔12月〕8日発表した11月の景気ウオッチャー調査によると,街角景気の現状判断指数(DI,季節調整済み)は45.6と前月から8.9ポイント低下した。低下は4月以来7カ月ぶり。感染の再拡大で10~12月期の実質国内総生産(GDP)成長率は大幅な減速が避けられない見通しだ。(以下,後略)

 新型コロナウイルスの感染「第3波」は多分(本当は間違いなくいえる点なのだが,この点は後段でさらに触れる),「Go To トラベル」などによってその波の高さを,さらに高めていたと判断されていい。

 菅 義偉の頭中には「経済とコロナ禍の両立」という発想しか,そもそもないらしく映る。もともとこの首相は,国家運営をできるだけの政治家(器)にまで育っていなかった。現在の日本において最大の不安(危機要因)が,この首相の存在に関してから現象していた。

 8) 19面「〈大機小機〉コロナ退治とデフレ退治」

 「無症状の市中感染が急激に広がっているようだ」。組織的な検査の不足と貧弱な検査データ。正確な実態がつかめないまま政府も国民もコロナ退治に悪戦苦闘している。春の第1波,夏場の第2波,抑えこんだかにみえたが大きな第3波が押し寄せている。

 補注)安倍晋三も菅 義偉も,いままでなにをいい,なにをおこなってきたか?

 

 a) 2020年3月24日,安倍晋三は「人類が感染症に打ち勝った証しとして,〔東京オリンピックの〕完全な形で開催を」といった。

 b) 2020年10月23日,菅 義偉は「東京五輪開催へ決意」を「『コロナに勝った証し』として開催し」たいといった。

 

 日本の国家指導者たちがいまなにを考えているかといえば,コロナ禍の現況はさて置いておき,2020東京オリンピックの開催ばかりなのである。だから,完全に本末転倒だと批判されている。しかし,彼らはそれでもまだ本気で,2020東京オリンピックが1年後れで開催できる(する)つもりである。この感覚は単に脳天気だと批判される以前に,完璧なる政治的な感覚マヒを意味する。

〔記事に戻る→〕 国際比較すれば日本のコロナ退治の成績は悪くない。累積死者数は約2400人。英国やフランスは約6万人,米国は28万人。桁が違う。

 なぜ日本は少ないのか。清潔好きの国民性,ハグの習慣がないこと,かつて流行した風邪ウイルスの交差免疫がある,など諸説ある。だがはっきりしない。専門家も「ファクターX」と呼ぶ。データ不足は致命的である。

 「泥縄だったけど,結果オーライだった」。第2波までの政府の対応を検証した「新型コロナ対応・民間臨時調査会」は報告書で,官邸スタッフのこんな言葉を紹介している。その「結果オーライ」が第3波襲来で大揺れだ。

 補注)今回のコロナ禍は,太平洋〔大東亜〕戦争でもとくにインパール作戦の大失敗に例えられている。だが,菅 義偉政権はこのような指摘・警戒にはいっさい貸す耳をもたない。それはそうである。だから,21世紀のインパール作戦としての愚を,いまの日本政府が「過去の歴史(戦史)になにも学べないまま」,悪夢のように繰り返そうとしている,と非難されている。

 似たような苦闘は政府・日銀のデフレ退治にもある。8年前に異次元緩和を軸に打ち出されたアベノミクス。2年間で消費者物価前年比上昇率を2%に引き上げると宣言した。裏付けになったのはリフレ派学者の理論。巨額の国債を日銀が購入しベースマネーを増やせば通貨供給量は増える。物価は上がり景気は上向くという理論である。

 ところが物価は一向に上がらない。マイナス金利政策や長期金利をゼロにするイールドカーブ・コントロールも繰り出した。それでも上がらない。日銀は2%目標の達成時期を何度も先送りしてきた。さてデフレの真犯人は? ふに落ちる説明もなかなか聞こえてこない。これも「ファクターX」ということか。

 補注1)「イールドカーブ・コントロール」とは,長期金利短期金利の誘導目標を操作し,イールド(利回りの)カーブを適切な水準に維持することで,「長短金利操作」とも呼ばれる。国債買い入れオペレーション(公開市場操作)などを通じて長期金利を誘導する一方,当座預金への付利を調整するなどして短期金利を誘導する。

 補注2)この「ファクターX」を示唆する論法は不可解である。安倍晋三政権の7年と8カ月の経過ののち,日本の経済・産業・企業経営はどのような経過を経てきたか? 惨状である。これにコロナ禍が重なり,自殺者が増え出している。生活苦の人びとが急増し出している。この大機小機の筆者はいまごろになってもまだ「忖度手法・観念」に染まっているのか?

 ただ物価は上がらなくても,株価は上がり雇用情勢も好転した。安倍晋三前首相は「大事なのは雇用。400万人雇用を増やし目標は十分達成できた」と語っている。確かに評価すべき点もある

 補注)失業率は増加しているが,しかし,この経済指標には反映されない実質的な失業者(群・率)の存在がさらに明示的に指摘されねばならない経済現実を,この筆者はまさかしらないわけではあるまい。非正規雇用も含めてのその雇用の増大であった事実に鑑みるまでもなく,コロナ禍のもとではだから,こちらの雇用者群から真っ先に失業していた。

 しかも,この人たちのうち相当数が「求職活動」を諦めてしなくなっていた。そうなると,この種類の人びとの動きは,官庁統計に計算される「数や率」として反映されない。それゆえ「安倍晋三前首相」には「確かに評価すべき点もある」という発言は,忖度もどきであるだけでなく,不正確な指摘であった。

〔記事に戻る→〕 では物価目標の意味はなんだったのか。論理は破綻したが結果オーライということか。政府,日銀はなお2%目標の旗を降ろす気はない。他方で財政規律の緩み,金利機能の喪失,銀行経営圧迫といったさまざまな副作用が生じている。不都合な真実は誰もみたがらない。結果オーライの落とし穴はコロナ退治にもデフレ退治にもある。(横ヤリ)(引用終わり)

 この「結果オーライ」発言は,語法を間違えている。実質で「失敗の結果オーライ」になっているのだから,これをとらえてオーライだとはいえまい。コロナ禍は,いまその「第3波」に襲われている最中である。われわれは「第3波」を実際にかぶっている状況を踏まえて発言しなければならない。

 ※-1 安倍晋三政権は「デフレ退治」が少しもまともにできなかった。

 ※-2 それでいて,こんども「コロナ退治」をきちんとできそうにない菅 義偉が,自分流の「専制的な特高的国民監視体制」だけでもって,コロナ禍に対処できるのか?

 ※-3 要は,お先,真っ暗である。東京オリンピックの開催? ほとんど寝言になっていた。

 さて,つぎの 9) は『日本経済新聞』から最後の記事紹介となるが,スポーツ欄からの引用である。

 9) 41面「スポーツの力『Go To 五輪』?  経費の説明を」

 新型コロナウイルスの影響で2021年夏に延期された東京五輪パラリンピックの追加経費はコロナ対策を含めて約2940億円となり,東京都が1200億円,大会組織委員会が1030億円,国が710億円をそれぞれ分担することが決まった。

 まず,民間資金で賄われる組織委がこの状況で新たに1000億円を超える資金を用意したことに驚いた。予備費270億円はあったが,大会延期に伴う損害への保険で500億円を確保できたのが大きい。残る260億円がスポンサー企業の追加協賛金などによる増収となる。

 国際オリンピック委員会(IOC)からの追加支援はない。ただ,増収分から納めるべき7.5%のロイヤルティー(権利使用料)は放棄してくれるそうだ。

 組織委の予算を確定したうえで,不足分について都と国の分担を決める調整は難航するとみていたが,意外にあっさり決着した。組織委関係者は「大会のコロナ対策で国が中心になる姿勢を明確に示してくれたのが大きかった」と話す。

 国はこれまで五輪・パラリンピックへの費用負担に慎重だった。だが,今回は大会時の選手の検査体制や感染症対策センターの整備にかかわる費用を全額負担する。本来なら組織委の役割と考えられるが,コロナ対策費は組織委の予算の枠外とされ,都の負担が400億円に対して国は560億円となった。

 国の変化の背景には,大会をコロナ克服の成功例としてアピールしてインバウンド回復の契機にし,経済再生につなげる狙いがあるとされる。「Go To」キャンペーンのつぎは五輪ということか

 その是非はともかく,大会の運営に直接かかわるものではないとして明らかにならない経費のあつかいが気になる。国の負担はこれだけではない。各国選手団や関係者の入国時の空港での対応の費用や,全国のホストタウンのコロナ対策費なども負担するという。大会の開催経費に含めないのは無理があると思う。さらに海外からの観戦客を受け入れる場合,万全な態勢の確立も国の責務となる。

 感染拡大を抑えこんで大会を成功させ,政府の思惑どおりに経済が再生すれば,こうした費用負担は的確な政策として評価されるはずだ。そう腹を固めて公費を投じるなら,経費もきちんと丁寧に説明すべきだろう。国民の理解と協力がなければ,感染拡大のストップも五輪の成功も望めない。編集委員  北川和徳)

 このスポーツ欄に掲載された日経編集委員の意見は,控えめながらも最後で「国民の理解と協力がなければ,感染拡大のストップも五輪の成功も望めない」と心配している。現在,コロナ禍は第3波の最中にあり,冬の時期になっているこれからも収まるという保障はない。

 問題は,コロナ禍が「人類が感染症に打ち勝った証しとして,延期になっている2020東京オリンピックを完全な形で開催したい」というごとき,頓珍漢もいいところの,さらにいいきってしまえば狂気にもひとしい発想が,2人の首相からいわれていた点である。コロナ禍に五輪の開催を関連づける考え方じたいが,どだい医学的・疫学的に大間違いであった。

 五輪の開催でコロナ禍が鎮圧(制圧?)できるはずなど,ありうるわけがない。基本的な因果関係はなにもない。また「目的(五輪の開催実現)と手段(コロナ禍の克服)」の関係性として,直接に関連づけられうる問題同士でもない。見当違いの発想がはなはだしく跋扈跳梁している。本気なのかどうかはしらぬが,ともかく「コロナ禍」に対して「五輪開催」を直接に関連づけたいとする妄想が暗躍(!?)している。

 

 「GoToトラベル利用者に発症2倍 東大チーム初調査  味覚異常などコロナ疑い」東京新聞』2020年12月8日 07時28分,https://www.tokyo-np.co.jp/article/73050(共同)

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 政府の観光支援事業「Go To トラベル」の利用者の方が,利用しなかった人よりも多く新型コロナウイルス感染を疑わせる症状を経験したとの調査結果を東大などの研究チームが〔12月〕7日,公表した。PCR検査による確定診断とは異なるが,嗅覚・味覚の異常などを訴えた人の割合は統計学上,2倍もの差があり,利用者ほど感染リスクが高いと結論付けた。

 研究チームによると,Go To 事業と感染リスクの関係を示す調査は国内で初めて。

 〔だが〕菅 義偉首相は感染拡大を受けた事業の抜本的な見直しに否定的な立場で,感染拡大の主要因とする「証拠はない」との専門家見解を繰り返している。

 調査は15~79歳の男女約2万8千人を対象に8月末から9月末にインターネット上で実施した。過去1カ月以内に嗅覚・味覚の異常を訴えた人の割合は利用者で2.6%なのに対し,利用しなかった人は 1.7%だった。年齢や健康状態の影響を取り除く統計処理を施すと,有症率の差は約2倍に上った。発熱やせき,頭痛を含めた計5項目すべてで利用者の方が有症率が高かった。

 年齢別では65歳未満の方が感染を疑わせる症状を経験している割合が高かった。

 

 「在日米陸軍が首都圏をコロナ危険地帯に認定へ! 東京・神奈川・千葉は立入禁止区域に! 150キロ圏内でも自由行動制限」『情報速報ドットコム』2020年12月5日,https://johosokuhou.com/2020/12/05/41005/

 在日米陸軍司令部が日本の関東地方を新型コロナウイルスの危険地帯に認定しました。

 公式フェイスブックページによると,東京都と神奈川県,千葉県は新型コロナウイルスの感染拡大から立入禁止区域に指定され,静岡県山梨県,長野県,埼玉県,群馬県,栃木県,茨城県の一部を含む関東地方の広範囲が飲食禁止区域に決まったとのことです。

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 すでに12月からすべてのアメリカ軍兵士に通達を送っており,違反者は懲罰対象になると記載されていました。

 新型コロナウイルスの検査数で日本はアメリカよりもはるかに少ないですが,陽性率に関してはニューヨーク州の数倍に匹敵する地域も多く,アメリカ軍ですら危険地帯と認定するほどに感染者が急増していることを示しているといえるでしょう。(引用終わり)

 この ③ のニュースを読んで奇妙に感じないでいられるか? 同じ日本国内においての出来事だが,米陸軍司令部は,東京都とこれをかこんで位置する関東地方各地に配置されている在日在日米軍兵士たちに対して,「コロナ禍」の警告指示(命令)を出していた。

 つまり「アメリカ軍ですら危険地帯と認定するほどに感染者が急増していることを示している」のが,関東地方・東京都におけるコロナ禍の実情・実態である。ところが,日本政府の「Go To トラベル」政策などは,まだまだこれらか「しっかりとテイネイ」に実施していきたいとの意向である。

 いったいどうなっているのか? 「人類が感染症に打ち勝った証しとして,東京オリンピックの完全な形で開催」を期しているのが日本政府の立場であったが,来年〔2021年〕の盛夏の時期に開催が延期されているこの五輪が,本当に開催できるとでも思っているのか?

 つぎの記事は同じ話題を『日刊ゲンダイ』が報じたものである。

 

 在日米軍が首都圏を立ち入り禁止に…日本政府は信用されず」日刊ゲンダイ』2020/12/07,https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/282310

 菅政権が邁進する「Go To キャンペーン」には,米軍も反対のようだ。日本国内での新型コロナウイルスの感染拡大を受け,在日米陸軍司令部が今〔12〕月3日から,「立ち入り禁止」など首都圏での厳しい行動制限を発令している。

 公式フェイスブックによると,首都圏(主に東京都,神奈川県,千葉県の人口密集地)を「Off limits(立ち入り禁止)」に定め,150キロ圏内を「Liberty boundary(自由行動禁止)」に指定した。

 ※ 上掲してあった地図を再度かかげておく。

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 在日米陸軍司令部が置かれているのは,神奈川県のキャンプ座間だが,自由行動禁止区域は,埼玉県から群馬県茨城県,栃木県,静岡県山梨県,長野県まで関東地方の広範囲に及ぶ。行動制限のなかでも,飲食店の利用は明確に禁止された。移動するな,外食するなというのだから,「Go To」と完全に逆行する動きだ。

 この通達はすべての在日米軍が対象で,違反した軍人には罰則も科されるという。非軍人も指令に従うことが奨励されている。それくらい首都圏は危険地帯とみられ,日本政府の対応は信用されていないのだ。

 「4月の緊急事態宣言のさいも,直前に在日米軍司令部が『関東地域における公衆衛生上の緊急事態』を宣言していて,米軍の危機感に引きずられた面もある。現状,米国本土と比べれば日本の感染者数は圧倒的に少ないですが,PCR検査数も少ないから陽性率が高い」。

 

 「米国はそこを問題視しているようです。何事も米国に追従し,歩調を合わせる安倍前総理なら,今回も Go To を停止したでしょうが,菅総理はどうするつもりなのか。下手したら外交問題に発展しかねません」(自民党関係者)。

 国民の不安を払拭し,命と健康を守る姿勢でいえば,日本政府は米軍に遠く及ばないようだ。(引用終わり)

 なんでもアメリカのいうこと(指示すること)には唯々諾々でしたがう日本が,今回のコロナ禍にかかわる『反・「Go To トラベル」』に関しては,なんら反応を示すところがない。これが,菅 義偉政権である。はたして,在日米軍基地の対コロナ禍「措置」と日本政府の「Go To トラベル」などの政策は矛盾しないのか? 矛盾していると “肯定しないほう” がどうかしている。 

 さて,『日刊ゲンダイ』の関連記事はさらにつづく。もうひとつを参照しよう。


 「五輪対策は中身なし 東京に外国人コロナ難民があふれ返る」日刊ゲンダイ』2020/12/05,https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/282220

 a) 東京五輪新型コロナウイルス対策について〔12月〕2日,国,東京都,大会組織委員会の調整会議が開かれた。しかし,課題を共有するにとどまり,中身はほぼ空っぽ。対策の難易度が高すぎるのだ。それでも観客入りにこだわるなら,とんでもない事態になりそうだ。

 東京五輪は,約200の国・地域から1万数千人の選手が来日予定。スタッフも含めて選手村では最大3万人が活動する。延期前の組織委の計画では,競技会場や選手村に約130カ所の医務室を設け,1万人の医療スタッフが必要になると計算していた。

 現在,大阪では100人程度の看護師でも集まらない。コロナが完全収束しないかぎり,来夏に医療スタッフ1万人確保はありえない。

 政府は多くの外国人客を呼びこむため,移動の自由を重視する方針だ。ワクチン接種は条件とせず,公共交通機関も制限しない。原則,陰性証明と接触確認アプリの持参で自由に行動できる方向で検討している。

 出国時の陰性証明があっても,入国時の空港検疫で陽性が判明するケースはある。11月は入国検査で5万994人中,353人が陽性だった。また,滞在中に感染することもある。政府は外国人客に民間医療保険の加入を義務付ける方向。裏返せば,外国人客が感染し,医療機関にかかることを前提にしている。水際は緩くして感染したら対応する。まさに “ウィズコロナ五輪” だ。

 b) 訪日中の感染者は自宅療養できない

 しかし,外国人客の感染は医療体制を大きく揺るがしかねない。現在,第3波の感染拡大を受け,病床や宿泊施設は逼迫気味。軽症者や無症状者は自宅で療養するケースが増えている。ところが,外国人客には日本に自宅はなく,病床か宿泊施設に入ってもらうしかないのだ。

 2016年のリオ五輪では,約2週間の期間中に約41万人の外国人客が訪れた。東京五輪の海外向けチケットはすでに100万枚売れている。短期間に “自宅なき陽性者” が万単位で発生してもおかしくないのである。

 「菅政権とIOC(国際オリンピック委員会)は『無観客は避ける』ことで一致しています。ウイルスに打ち勝った証しとするためにも,観客を入れた開催にこだわるはず。そのために,医療体制を犠牲にしてでもやむなしということでしょう。人の命を軽く見過ぎています」(スポーツジャーナリスト・谷口源太郎氏)

 五輪はさっさとあきらめたほうがいい。(引用終わり)

 以上の記事と同じ内容を,さらにとりあげている記事がいくつでもみつかるが,同旨であるゆえ,これ以上は引照しない。

 

  む す び

 要は,菅 義偉政権が五輪の開催との兼ね合い(?)もあって,いま実行中の「Go To トラベル」は,それこそみずから『飛んで火に入る夏の虫』である。この日本は,まさしく「Go To the Hell」への進路を,あえて選んだ。

 日本の2人の首相が口をそろえて,「人類が感染症に打ち勝った証しとして,東京オリンピックを完全な形で開催したい」のだと発言していた。しかし,残念ながらなどいう以前に,この希望・期待はもともと無理が過ぎていた。

 こうなると,あとに残った予定・見込といったら,コロナ禍の苦しみをさらに受けていくほかない「国民たちの今後の姿」しかない。これほど無能・無策の首相(2人)は,敗戦後における現代日本政治史を回顧するに,ほかには誰もいなかった。21世紀の日本の歴史に大きな汚点がすでに着いているが,これからもこの汚点は拡大するばかりとなるのか。

 現在まで,日本国の住民たちで,新型コロナウイルスに感染した事実が判明しているのは,全人口の 0.1%である。第1次世界大戦のとき流行った “スペイン型インフルエンザ” は世界で2~4千万人の死亡者を出したとされ,日本では39万人の死亡者を出した。

 今回のコロナ禍は対応できる医療関係の諸事情が大きく異なるとはいえ,これからすぐに感染者が絶対的に減っていくという予測は,しにくい。

 「人類が感染症に打ち勝った証しとして,東京オリンピックを完全な形で開催したい」(?)とは,ただの戯言。冗談話にすらなりえない国恥的な大愚策は “早く中止せよ!” といわざるをえない。

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