東電がゾンビ企業たるゆえん,安倍晋三による世紀の大ウソ「アンダーコントロール」は永遠に不滅,原発事故で溶融して溜まったデブリの取り出しも未来永劫に不可能(1)

 コロナ禍に襲来される以前からもそうであった事情だが,安倍晋三によるウソまみれ政治のせいで,いまや後進的な国家体制に引き戻されていしまった「この国の体たらく」は,再生可能エネルギー利用態勢に不承不承である自民党政権のあり方にも如実に反映されている

 安倍晋三第2次政権の7年と8カ月における「ウソだらけの政治」が蓄積されてきたけれども,その不正・不義,為政の虚偽が問題に政治家の犯罪としてまともに問題にされない不思議,小沢一郎のときと比較すればその法律的に甘々な手心のくわえ方は,あまりにも不公正,不公平で不正義そのもの

 東電福島第1原発事故の後始末は,廃炉工程にまでなかなか進めない現状にあって,溶融した核燃料などの残骸:塊は10万年さきまで取りだせない「みこみ:予定」

 

  要点・1 安倍晋三:第2次政権の “負の成果” は「万死に値する」

  要点・2 アンダーコントロールの大ウソ(2013年9月)で,2020東京オリンピック招致をした安倍晋三の罪業も重い

  要点・3 東電福島第1原発事故の後始末は,いったいいつになったら,その見通しがつくのかさえ皆目見当がつかない現状


 「民主主義を崩す虚偽答弁」(高山晶一・政治部長)『東京新聞』2020年12月25日 05時50分,https://www.tokyo-np.co.jp/article/76436

 「公私混淆を断ち,清廉を持し,かりそめにも国民の非難を受けないよう努めなければならない」

 「言動のすべてが常に国民の注視の下にあることを銘記しなければならない」

 ロッキード事件を機に1985年に議決された政治倫理綱領は,5項目の規範を国会議員に課している。国会でうそをついてはいけないとは書かれていない。明記するまでもなく,当然守らなければならないことだからだ。

 「桜を見る会」前日の夕食会をめぐり,不起訴となった安倍晋三前首相は,その当たりまえのことを問われている。衆院調査では在任中,夕食会に関し計118回も虚偽の答弁をしていた。

 安倍氏は,秘書が自分に真実を話さなかったため「結果として」事実に反する答弁があったと説明したが,「(ホテル側との)契約主体は個々の参加者」など,おかしな理屈だと自分で思わなかったのかという疑問は解消されていない。一国の首相の立場にあっただけに,責任は重大だ。

 国民の代表でつくる国会は,国権の最高機関と位置づけられ,法案審議などの国会論戦を通じ,政府を監視する役割を担う。首相の説明が正しいものでなければ,監視機能を果たしようがない。国民が国会を通して国の進路をコントロールするという,民主主義の土台が崩れる。

 国会で虚偽説明をしないという最低限の規範を守れないなら,国会議員でいる資格はない。〔2020年12月〕25日の国会招致で合理的な説明をできなかった場合,潔い決断が必要だ。(引用終わり)

 2020東京オリンピックの開催は延期になっており,コロナ禍の影響のために開催できない可能性が大きい。安倍晋三は2013年9月7日,アルゼンチン・ブエノスアイレスでもたれたIOC総会におけるプレゼンテーションのなかで,こういうウソを堂々と語っていた。

 委員長,ならびにIOC委員の皆様,東京で,このいまも,そして2020年を迎えても世界有数の安全な都市,東京で大会を開けますならば,それは私どもにとってこのうえない名誉となるでありましょう。

 

 フクシマについて,お案じの向きには,私から保証をいたします。状況は,統御されています。東京には,いかなる悪影響にしろ,これまで及ぼしたことはなく,今後とも,及ぼすことはありません。

 

 さらに申し上げます。ほかの,どんな競技場とも似ていない真新しいスタジアムから,確かな財政措置に至るまで,2020年東京大会は,その確実な実行が,確証されたものとなります。

 

 けれども私は本日,もっとはるかに重要な,あるメッセージを携えてまいりました。


 それは,私ども日本人こそは,オリンピック運動を,真に信奉する者たちだということであります。

 註記)「平成25〔2013〕年9月7日  IOC総会における安倍総理プレゼンテーション」『首相官邸https://www.kantei.go.jp/jp/96_abe/statement/2013/0907ioc_presentation.html

 元来,森羅万象に関してもそうなのであったが,ウソしかいわない(いえない)日本国の前首相の発言であったがゆえ,以上のように虚言を吐いた安倍晋三発言であっても,いまとなっては誰も特別に驚くことはない。

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 いずれにせよ今年の夏,東京での五輪開催はコロナ禍のために変更された。この変更は延期の措置にされているとはいえ,1年あとに確実に開催される保証はない。前段の発言のなかで安倍晋三は,英語版で引用するとつぎのように,東電福島第1原発事故の現場について騙っていた。この点が,一番の大問題になっていた。いまさら指摘するまでもないが,これは “ウソもきわめた発言” になっていた。

 Some may have concerns about Fukushima.  Let me assure you, the situation is under control.  It has never done and will never do any damage to Tokyo.

 日本においてエネルギー問題の一角を占める原発利用の虚実は,こうした安倍晋三のウソ発言を尊重してきたかのような「経済産業省エネルギー資源庁の立場・方針・政策」の履歴からも読みとれないわけではない。

 本日の記述は今週後半に,『日本経済新聞』と『朝日新聞』に報道されていたエネルギー問題関連のうち,原発のあり方に関して日本経済新聞がみせている報道姿勢の問題や,東電福島第1原発事故の後始末としていまだに着手できていないデブリ取り出しの問題を,日本経済新聞朝日新聞の両紙を介して考えてみたい。

 補注)本日の記述では『日本経済新聞』の記事しかとりあつかえない。明日以降に朝日新聞の記事をとりあげ議論する予定である。

 

 「脱炭素 2050年へ政府計画 洋上風力4500万キロワットに / 原発新型炉を開発」日本経済新聞』2020年12月24日朝刊1面

 1) 前置

 このクリスマスイヴの日付『日本経済新聞』朝刊1面の記事は,原発の問題にはさらりと触れるだけにしていながら,それでいて「小型原発の開発」に言及しつつも,「現在の原子炉と比べ安全性が高いとされる」観点から報道していた。

 いまや用なし・能なしどころか,害に関してだけなら大いに発生させており,その実績となればすでにタップリ記録している原発の利用を諦めきれていないところが,日本経済(財界)新聞のつらい立場かもしれない。だが,それにしても煮え切らない報道姿勢がみえみえである。

 つまり,再生可能エネルギーの導入の妨害要因にしかなっていない原発の存在を,日本経済新聞はなぜ,早く廃絶する見地を採れないでいるのか? 発電装置・機械としての原発はその熱交換比率(3割からせいぜい3分の1)じたいからして,同じ火力のLNG発電(最新鋭型)のほぼ半分でしかない。小型原発の開発・利用であっても,放射性物質の危険性は同様であるにもかかわらず,どうしてそこまで原発の延命にこだわるのか不可解である。

 とりわけ,日本の重工業会社で原発を「営利のために生産・販売できる企業」は,いまはで1社もない。東芝日立製作所三菱重工業,この主要3社が,皆しかりなのである。いうところの小型原発ではたして,これらの会社は競争できる生産技術と国際競争に打ち勝てる販売力を有しているのか? その点を正面から報じた日本経済新聞の記事に,筆者はまだ接したことがない。

 原発の商売に関する事項になると,なぜか奇妙に経済新聞が「経済の論理」から脱線したかのようなあつかいになる。現在における日本の原発「問題」がさらけ出している「技術経済的な難点と採算性の不利性」および「社会経済に関する害悪発生」の問題は,この原発が発電するための機械・装置としてすでに,完全に不適あるいは不可,落第である事実を,この国なりに実証してきた。

 以上のごとき日本におけるエネルギー問題の現状を踏まえたうえで,この『日本経済新聞』12月24日(クリスマスイヴ)朝刊1面冒頭記事の内容を読んでみたい。

 2)「脱炭素 2050年へ政府計画  洋上風力4500万キロワットに / 原発新型炉を開発」

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 2050年の脱炭素社会の実現に向けた政府計画の原案が分かった。洋上風力や水素など14の重点分野を設定し,電気自動車(EV)はコスト全体でガソリン車並みをめざす。原子力発電は小型新型炉の開発を進める。政府が明確に中長期の目標や支援策を示し,民間企業が投資を進めやすい環境を整えて高い目標の達成につなげる。(関連記事経済面に)

 補注)なお,結局「計画は予定にして未定」ということ。

〔記事に戻る→〕  〔12月〕25日にも「グリーン成長戦略」として発表する。政府がかかげる50年の温暖化ガス排出量実質ゼロ(総合2面きょうのことば)に向けた工程表と位置づけ,各分野の具体的な計画を盛りこんだ。

 補注)「グリーン成長戦略」のなかに「小型原発」までも放りこんでいる点にはビックリさせられるが,味噌もクソもいっしょにした,実にいい加減なエネルギー観(電源に関する見解)である。経済産業省エネルギー庁は多分,その程度の事実は,百も承知でそのように裁いたうえで,その「原案」を作成したものと推測しておく。が,それにしてもその「みそ・糞」度の高い文案作りには,ウンザリさせられるほど呆れかえるほかない。

〔記事に戻る→〕 自動車では2030年代半ばまでに軽自動車も含めた新車販売をEVやハイブリッド車(HV)といった電動車にする。電動車の普及の課題はコストをどう抑えるかだ。

 EVは一般的にガソリン車より100万円ほど価格が高い。計画ではコスト増の主な要因である蓄電池の価格を2030年までに1キロワット時あたり1万円以下に下げることを目標にする。現在は1万円台半ばから2万円程度とされる。

 充電にかかるコストなども下げEV利用者の負担をガソリン車並みに抑える。大型のバスやトラックなど商用車はさらに電動化のコストがかさむ。今回は目標設定を見送り,来〔2021〕年夏ごろをめどにあらためて目標を示す。

 エネルギーではとくに洋上風力に重点を置く。国内は欧州に比べて普及が遅れており,潜在的な拡大余地が大きい。2040年までに最大4500万キロワットと原発45基分にあたる量をめざす。国の技術審査の期間短縮や効率的な送電方式の導入など,新エネルギー事業者が参入しやすい環境を整備する。

 補注1)ここではわざわざ,洋上風力発電の開発・利用について「2040年までに最大4500万キロワットと原発45基分にあたる量をめざす」と断わっている。ところで,現在(2020年)の時点で稼働している原発は9基までになっていたが,そして2011年「3・11」以後の一時期(2年間ほど)は原発の稼働ゼロにもなっていたが,それでもこのように今後において「2040年までに最大4500万キロワットと原発45基分にあたる量をめざす」のが,風力発電による発電量の目標だと説明されている。

 補注2) なお『本日の運転状況』http://www.genanshin.jp/db/fm/plantstatusN.php?x=d によれば,「(2020年12月23日 8時00分 更新)運転中(発電中):3基 停止中:30基」である。

 再生可能エネルギーは計画で「最大限の導入を図る」と明記した。電動化の拡大などで2050年には電力需要が現状より3~5割増えるとみこむ。今後の議論の参考値として,電源に占める再生エネの割合は2050年に5~6割と現状の3倍前後,二酸化炭素の回収をセットにした火力と原子力は計3~4割,水素とアンモニアで計1割とした。

 補注)ここで日本経済新聞は「電動化の拡大などで2050年には電力需要が現状より3~5割増えるとみこむ」などと,エネルギー問題をまともに理解している識者であれば,とうてい口に出さない,記事には表わせないような迷論を吐いていた。つぎの2年半前の記事を紹介しておく。この記事は『JAIF 日本原子力産業協会』(JAPAN ATOMIC INDUSTRIAL FORUM.INC)が伝えているものである。

     日本総研,2050年の電力消費は2016年比で2割減との試算 ◆
  =『JAIF 日本原子力産業協会』2018年5月22日,https://www.jaif.or.jp/180522-1


 日本総合研究所はこのほど,2050年の電力消費は7268億kWh,2016年比で23.5%減と,1990年代初めを下回る水準まで減少するとの試算結果を発表した。

 

 同研究所調査部副主任研究員・藤山光雄氏の調査・分析によるもので,人口減少や省エネの進展が電力消費を大きく下押しするなどと予測し,「わが国は『電力需要減少社会』に向かうという大きな転換点を迎えている」と述べている。

 

 最近のエネルギー白書によると,日本の電力消費は,高度経済成長期を経て石油ショックの1973年度以降も着実に増加してきたが,2008年度から世界的金融危機の影響で生産が低迷し,企業向けを中心に減少傾向を見せている。

 

 今回の調査報告では,人口動態やさらなる省エネ余地などを踏まえ,2050年にかけての電力消費について,(1)  製造業,(2)  業務(第三次産業など),(3)  家庭,(4)  運輸の部門ごとに分析した。

 

 まず,近年の電力消費の減少傾向については

 

   (1)  総人口が2008年をピークに減少に転じた,

   (2)  地球温暖化対策の強化を契機に電気機器の省エネへの取組が進んだ

 

という経済・社会環境の変化をあげている。そのうえで,部門ごとの電力消費について,製造業では電力小消費型業種へのシフトが続き,おおむね横ばいの推移がみこまれる一方,業務部門と家庭部門では人口・世帯数の減少や省エネ機器の幅広い浸透から大幅に減少するなどと予測した。

 

 たとえば,家庭部門で世帯当たりの電力消費は,現在のエアコンと冷蔵庫がすべて最新の省エネ機器に置きかわった場合,エアコンで2~4%,冷蔵庫で10%程度,照明については,すべてLEDに置きかわれば5%程度の削減がみこまれ,世帯数の減少と相まって,2050年の電力消費は2016年比で31.4%減となるとしている。

 

 資源エネルギー庁では今夏の最終決定に向け,2050年を見据えたエネルギー基本計画の素案を取りまとめたところだ。藤山氏は,調査報告のなかで,長期的なエネルギー政策の検討においては,原子力発電の位置付けや再生可能エネルギーの導入目標など,「電力供給のあり方に注目が集まりやすい」としたうえで,供給サイドに偏ることなく,電力需要見通しをめぐる議論も活発におこなわれるべきと指摘している。

 

 新たなエネルギー基本計画の素案で,原子力は「長期的なエネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源」と位置づけられた。ちなみに,既存の原子力発電プラント(建設中は除く)がすべて2060年まで運転期間を延長し,新増設がなく,設備利用率70%で運転するとした場合,2050年の原子力発電による総発電電力量はおよそ1300億kWhとなる。

 補注)この2050年時における原発発電量:1300億kWhに関した最後の段落における説明は蛇足的に聞こえ,不可解な記述になっている。原発がいまどきまだ「長期的なエネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源」と位置づけられると,説明する点じたいが,すでに大間違いである電力需給事情に関した理解である点は,高橋 洋(現・都留文科大学教授)の批判・議論に俟つまでもない。

 

 ここの段落は,② として『日本経済新聞』の記事をとりあげている途中であり,しかも「補注中での記述」であるが,この高橋 洋が公表していた「関連する見解」を,次段からあえてしばらく参照していく。重要な論点が指摘されている。  

 さて,高橋 洋の執筆した最新の関連する文章は「エネルギー基本計画の改定への期待」自然エネルギー財団』2020年10月28日,https://www.renewable-ei.org/activities/column/REupdate/20201028.php である。この寄稿は重要な議論をしているので,やや長文であるが,全体を引用する。

 前段まで引用中の日本経済新聞記事が「電動化の拡大などで2050年には電力需要が現状より3~5割増えるとみこむなどと,「ウソ同然の主旨」を平然と記事に書ける「神経を疑う」と断わっておいた(「釘を刺した」)うえで,つぎに,前段の「高橋の寄稿」を紹介する。再度断わっておくと,日本経済新聞の記事はいったん中断する前後関係になるので,この点は留意されたい。

 --政府のエネルギー基本計画の改定の議論が,2020年10月13日から始まった。エネルギー基本計画は,3年に1度の改定が義務付けられており,今回は2018年5月以来の改定になる。1年後をめどに議論が進むと思われるが,今回の改定は日本のエネルギー政策にとって決定的に重要である。それは,日本がエネルギー転換を世界に表明する最後のチャンスになるからである。

 1) 2018年のエネルギー基本計画

 まず,2018年の現行エネルギー基本計画について整理しておきたい。結論からいえば,筆者〔高橋 洋〕はこれを評価していない。それは,2014年のエネルギー基本計画と本質的に同じ内容だからである。

 2014年版は,2011年の東京電力福島第1原子力発電所の過酷事故(以後,福島原発事故)後の初めてのエネルギー基本計画であり,経済産業省にとっては2011年以来の原発をめぐる対立を落ち着かせる意味があった。その内容は,原子力を旧来と同じ「重要なベースロード電源」と位置付けるなど,筆者の考えとは大きく異なるが,エネルギー政策の振り子を事故前に戻すことを最優先したのであろう。

 2018年版は,これから4年が経過し,原発の再稼働が困難な状況がみえてきた一方で,再生可能エネルギー(以後,再エネ)は世界的に大量導入が進み,また2015年には気候変動枠組条約のパリ協定が締結され,脱炭素化の要請が強まっていた。

 2014年版では記入できなかった2030年の電源ミックスの数値目標は,2015年の長期エネルギー需給見通しで,再エネ:22-24%,原子力:20-22%,石炭:26%と決定された。この間の内外の環境が大きく変わったのだから,一度旧来型に戻したエネルギー基本計画は,こんどこそ転換すべきだったが,2018年版ではそうしなかったのである。

 当時の審議会の議論ではエネルギーミックスを変えないことが前提となっていたように,経産省は当初から基本方針を変えるつもりはなかった。再生可能エネルギーの主力電源化」といった語句を入れた一方で,原子力や石炭火力の位置付けは変えなかった

 2050年の展望についても議論したが,将来は不確実だからという理由で,具体的な方向性を明示しなかった。原子力の電源ミックスなど,1つでもいじると全体のバランスが崩れるため,課題を先送りしたのであろう。

 2) 世界のエネルギーの状況

 その後の世界のエネルギーの状況は,日本の現行エネルギー基本計画とは大きく異なる方向に動いている

 第1に,再エネの大量導入である。風力や太陽光といった変動性再エネは,劇的な低コスト化とともに更に導入が進んでいる。最先端にあるドイツでは,再エネの電源ミックスが42%を超え(2019年,BMWi),OECD欧州では31.1%(2018年,IEA)に達している。16.9%の日本は明らかに遅れを取っている。

 第2に日本で論争の的となってきた原子力については,ドイツのような期限を定めた脱原発は多数派でなく,先進国では既設を使いつづける国が多い。これは,気候変動対策としての評価があるからだが,一方で原発の新増設を政府が主導する国は少なく,イギリスでは日立を含む事業者の撤退が起きている。

 補注)ここで高橋 洋が「気候変動対策としての評価がある」という意見を採用した点については疑問符を付しておく。原子力工学を専門にし,反原発の立場から批判する識者たちはそうはいっておらず,「気候変動対策」に原発がいかほど有効かという論点については,さらに詰めた議論をおこなったうえで,高橋の判断が示される余地がある。

 安全基準の強化に伴って高コスト・高リスクになっており,再エネとは対照的に事業性がいちじるしく下がっているからである。欧州では,変動性再エネの増加とともに電力システムの「柔軟性」の重要性が認識され,これと相容れないベースロード電源の不要論すら起きている。

 補注)ここで高橋 洋は原発に関してだが,電源として「ベースロード電源」性を認めるような記述(修辞の使用)をおこなってているが,実際にはこの原発「ベースロード」観は一貫して否定してきたので,付言しておく。

 第3に,とくに日本の異質性がきわだつのが,石炭火力である。2015年のイギリス政府の表明を皮切りに,脱石炭火力政策が先進各国に波及しており,イギリスは2024年,フランスは2022年,産炭国のドイツですら2038年までの脱石炭火力を決めた。脱石炭火力連盟には,欧州諸国やカナダ,メキシコなど,34カ国政府が加盟している。

 3) 日本のエネルギーの状況

 ひるがえって日本の状況をみれば,これもまた別の意味で,2018年のエネルギー基本計画の想定どおりには進んでいない。原子力については,再稼働が政府の期待どおりに進まず,2018年度の電源ミックスは6%に止まっている。再稼働した9機のなかには,テロ対策施設の不備で停止しているものもあり,今後も10%を超えるめどは立っていない。

 一方で再エネについては,遅れていた日本でも太陽光の導入が進み,2018年度の電源ミックスは16.9%に達している。22-24%の目標は,欧州と比べてもともと低すぎるが,新型コロナ感染症により電力需要が低迷している今〔2020〕年度中にも達成する可能性がある。その反面,系統接続の問題が表面化し,九州では出力抑制もおこなわれており,今後のさらなる上積みには規制改革が求められる。

 石炭火力については,大手電力会社などが原子力を補うかたちで新増設を進めたこともあり,2018年度に31.6%と2030年の目標値(26%)を上回っている。石炭火力を新たに運開すれば,40年程度の運転がみこまれるため,パリ協定に逆行するとして国際的な批判を集めている。それが,2019年末の COP25 における「化石賞」の受賞につながった。

 補注1)「COP 25」とは「国連気候変動枠組条約第25回締約国会議(COP25)」, “the 25th session of the Conference of the Parties to the United Nations Framework Convention on Climate Change「COP 25」” のこと。

 補注2)2019年12月3日であったが,日本は COP25 期間中では初となる化石賞を受賞した。授賞したといってもこの化石賞は,地球温暖化問題に取り組む世界120か国の1300を超えるNGOのネットーワークであるCANインターナショナルが,温暖化対策に消極的な国に与える不名誉な賞なのである。

 以上をまとめれば(下表),再エネの主力電源化と脱石炭火力は先進国の共通理解であり,これらにくわえて省エネを徹底する政策が,「エネルギー転換」である。米国ではトランプ政権が石炭産業を振興し,パリ協定からの離脱を進めているが,州政府は異なる方針のところも多く,バイデン大統領が誕生すればエネルギー転換政策が推進されるだろう。

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  付記)主要国・地域の電源ミックス目標値。
  出所)『エネルギー白書』2019,  2020,各国・州政府資料を基に筆者(高橋 洋)作成。

 要するに主要先進国のなかで日本だけが,エネルギー転換政策に背を向けてきた。石炭火力も原子力も将来性に乏しい電源であり,日本は石炭資源にもウラン資源にも恵まれていない。日本こそ,エネルギー転換からもっとも恩恵を受ける国であるにもかかわらず,これら衰退産業に固執してきたのである。

 4)梶山経産大臣の非効率石炭フェードアウト菅総理のカーボン・ニュートラ

 そのようななかで,2020年7月3日の梶山弘志経産大臣による発表は,エネルギー転換への変化を期待させるものであった。これは,直接的には日本の石炭火力重視への批判に応え,「非効率石炭火力フェードアウト」を資源エネルギー庁に指示したというものである。高効率石炭火力は維持するという意味でもあり,電源ミックス目標の26%も変更しないとのことではあるが,変化の兆しと受け止めたい。

 これに合わせて梶山大臣は,再エネ導入を加速化するための「基幹送電線の利用ルールの抜本見直し」も表明した。これは,日本における再エネ導入の障壁となってきた,先着優先の系統接続の問題の改善に繋がる第1歩であり,詳細の制度設計はこれからであるものの,やはり評価したい。

 このように過去の改定と比べれば,今回こそ日本も再エネを重視し,エネルギー転換に本格的に取り組むことが期待される。一方でそれは,日本のエネルギー政策が国際標準から大きく外れるなかで,政策転換の最後の機会に追いこまれているともいえる。

 ESG投資の高まりのなかでの金融業界の危機感や,RE100 の取り組みにおける電力消費企業の焦燥感に押された面もあろう。エネルギー基本計画を議論する第1回基本政策分科会(10月13日)で,梶山大臣は「日本のエネルギー政策は重要な岐路に立たされている」と表明した。「脱炭素社会の実現が重要なテーマ」であり,一方で原発の新増設は想定していないとも発言している。

 補注)RE100 とは “Renewable Energy 100%” のことで,企業が利用するエネルギーを再生可能エネルギー100%に転換・推進するための実践的な指標を意味する。

 そして10月26日には,菅 義偉総理が国会の所信表明演説において,2050年までのカーボン・ニュートラルを宣言した。欧州諸国は以前から同様の目標をかかげており,中国は先月に2060年までのカーボン・ニュートラルを国際公約した。日本にこれ以上の遅れが許されないなかで,新たなエネルギー基本計画は,総理の所信表明と整合性のある内容にしなければならない。既存産業界などからの反対も予想されるなかで,エネルギー基本計画に対して以下の点を提言したい。

 a) エネルギー基本計画改定への提言

  第1に,再エネの電源ミックスを50%やそれ以上へ高めることは,もはや先進国では常識といってよい(前掲表・参照)。出力変動対策は欧州などで確立されており,国際送電を含めて日本が応用できるものは多数ある。

 再エネ電力が50%を超える局面では,運輸部門や産業部門の電化が不可欠になり,エネルギーシステムとしての統合(セクターカップリング)が進む。その過程では,再エネ電力に由来する水素が補完的エネルギーとして期待されており,日本の産業界にもチャンスがある。

  第2に,脱石炭火力も国際的な標準になりつつある。2050年にカーボン・ニュートラルを実現するには,現状の「非効率石炭フェードアウト」では不十分である。2050年よりできる限り早い時期に(CCSがない)すべての石炭火力を撤廃せざるをえない。

 補注)CCS(Carbon capture and storage,または  carbon capture and sequestration または carbon control and sequestration)とは,日本語で二酸化炭素回収・貯留と訳している。

 通常,セメント工場やバイオマス発電所などの大規模な汚染点源からの廃棄物である二酸化炭素(CO2)を回収し,貯留場所に輸送し,大気の影響のない場所,通常は地下の地層に堆積させるプロセスである。

 その目的は,重工業により大気中に大量のCO2 が放出されるのを防ぐことである。さらに,源業や暖房からの二酸化炭素排出の地球温暖化や海洋酸性化への影響を緩和するための潜在的な手段となる。

 CO2 は数十年前から石油の回収強化などさまざまな目的で地層に注入されてきたが,CO2 の長期貯留は比較的新しい概念である。

  第3に原子力については,筆者はかねてより10~20年かけた撤廃を提案してきた。政府が脱原発を決定できないとすれば,既設を使いつづける(が期限を明確にしない)方針を採ることになる。梶山大臣の発言もこのあたりを想定しているようだが,多くの再稼働が期待できないなかで,原子力の電源ミックスは限定的に止まるだろう。

 以上から,筆者(高橋)が2030年の電源ミックスの目標値を提案するとすれば,

   再エネ: 45%,
   原子力:   5%,
   石炭火力:  5%

程度であろう。残りは天然ガス火力で,省エネを徹底することになる。

 経産省は,再エネ:30%,原子力:15%,石炭火力:20%のあたりを落とし所としていると推測するが,経済同友会も再エネ40%を提言しており,筆者の提案はそれほど極端ではない。明確にエネルギー転換の方向性を打ち出すべきであろう。

 b) もうひとつ重要なのは,2030年以降の展望を明らかにすることである

 2018年版のエネルギー基本計画で2050年の展望を具体化しなかったのは,原子力や石炭火力の可能性を残す理由が大きかったと思われる。ゼロといい切るのは,産業界との関係でむずかしいかもしれないが,将来の展望を示さなければ,産業界にとってもマイナスの側面が大きい。

 セクターカップリングや電気自動車,水素エネルギーといった新たな産業分野に集中投資するためにも,政府が大きな政策目標を示すことは重要である。筆者の提案は,2050年〔における電源ミックスの目標値を提案するとすれば〕

   再エネ:  80%,
   原子力:  ゼロ,
   石炭火力: ゼロ

で,電力輸入や水素エネルギーも一定の役割を果たすことになる。

 c) 2021年は,福島原発事故から10年の節目の年である。原子力か再エネかの議論には終止符を打ち,原子力も石炭火力もいかにして減らすかの実行に集中すべき時期に来ている菅内閣は,安倍内閣を継承するとのことだが,規制改革やデジタル化などの特徴を積極的に打ち出している。そのような観点からも,2050年のカーボン・ニュートラルを実現すべく,経済社会全体を見据えたエネルギー転換政策を推進してもらいたい。(高橋 洋・引用終わり)

〔ここで②の『日本経済新聞』記事に戻る ↓ 〕

 水素とアンモニアは火力発電の燃料として活用する。水素の消費量は2050年までに年2000万トン程度と,単純計算で国内全体の設備容量の2割程度にする。アンモニアは2030年までに火力発電の20%で使う方針だ。

 原子力東日本大震災後の再稼働が少数にとどまる。計画では現在の原子炉と比べ安全性が高いとされる小型原発の開発で国際連携を進めるとし,2050年に向けて利用を継続する方針を示した。

 補注)『日本経済新聞』記事の,それでも「小型原発の開発」をあえて推進させたいかのような報道は,仮定の話としてであっても,つまり「現在の原子炉と比べ安全性が高いとされる小型原発の開発」の可能性として語られているかぎりでも,現状においてすでに主流となりつつある再生可能エネルギーの利用状況に照らしてみて,完全に時代後れの発想だといわざるをえない。

 仮定でしかない関連の前提条件を置いたうえでの小型原発の利用提言は,その本当の意図が別の次元にあると受けとるほかない。この小型原発は,安全性がンヌンされていても,さらにまた熱効率の改善・向上が言及されていても,いまのところはあくまで,その実現可能性が主に説かれている段階に留まっている。

〔記事に戻る→〕 住宅や建築物は新築平均で2030年度までに排出量ゼロをめざす。EVなどで電力を効率よく動力に変換するパワー半導体の消費電力は2030年に向けて現在の半分に減らす。

 温暖化ガスの排出量を実質ゼロにする目標は欧州や中国なども打ち出しており,日本も菅 義偉首相が2050年までに達成する目標を打ち出した。実現には官民で年10兆円超の投資が必要との試算もある。民間の活発な投資を引き出してコストを下げ,新技術の普及を通して企業の収益拡大や経済成長につなげられるかが焦点になる。(引用終わり)

 エネルギー生産方法としての原発は,時代の趨勢からはもちろんのこと,その主流からもはずれており,完全に取り残された発電方式である。この事実は「採算性・安全性」といった「経済的な計算や社会的な配慮」に諮っても,明々白々になっている。それにもかかわらず,いつまでもぐずぐずと「原発の再稼働」じたいばかりにこだわってきた。経済産業省エネルギー庁は不要になっている,環境庁にその仕事・任務を代わりに果たさせたらよい。日本は世界のエネルギー事情がいちじるしく推移してきたなかで,まるで「孤児」であるかのように映る。

 高橋 洋はこう言及していたと解釈できる。

 「2030年の電源ミックスの目標値」を「経産省は,再エネ:30%,原子力:15%,石炭火力:20%のあたりを落とし所としている」けれども,2030年時点において原発にまだ15%も依存するという考え方そのものが,現有の稼働可能な原発と新設予定があった原発などの耐用年数を計算に入れた数値と思われるとはいえ,エネルギー生産方法をめぐる世界の潮流からは故意にはずれていく『これからの立場』を,あえて採った愚かな方途である,という具合に……。

 なお,日本経済新聞の記事は最後で「民間の活発な投資を引き出してコストを下げ,新技術の普及を通して企業の収益拡大や経済成長につなげられるかが焦点になる」と断わっていた。

 けれども,そこでいわれた「焦点というもの」が,いわゆるグリーン経済の発想方式,再生可能エネルギーの積極的展開という課題からは大きくズラされている。その基本の認識のありようからして,現代におけるエネルギーの最新事情「進展ぶり」を捕捉するために必要な「整合性ある論理」をもちあわせていない。あるいは,初めから齟齬した立場,あるいは矛盾がはらまれている論点を残置したままである。 

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