独立行政法人と称するが,国家機関として通貨の硬貨を鋳造する造幣局が「記念硬貨」を製造販売するという国営商売は,儲かりまっか? 2020東京オリンピック記念硬貨の発行・販売

 国家機関である造幣局が,芸術文化的に付加価値(?)を打刻し,創造するかたちで,2020東京オリンピック用の記念硬貨を製造し,「円」表示額:実価以上の品物として国民たちに販売する商売は,これ,ほんまに,ゴッツ,ええ商売

 お金を造ってこれをさらに「お金(なんとか記念のそれ)」として売って儲ける商売ができる国家側の立場は,貴金属を加工して新製品を生産・販売するという錬金術的営業方法を意味するのか

 さて,一般人が偽金造りをしたら大犯罪人にされるが,国家じたいがその販売価格以下の重さ(金や銀の含有成分)しかない硬貨を造って,芸術品的な付加価値を付けたという大義名分をこめて売りさばき,大儲けできる造幣局側の特権的な事情

   造幣局の社会的使命 ◆

 

 純正画一で偽造されない貨幣を,合理的な価格で安定的かつ確実に供給すること

 

 国の文化を象徴する記念貨幣及び技術やデザインを工夫した収集用貨幣セットを販売し,国民の多様なニーズに応えること

 

 練達した技術により,国家・社会への功績を称えるに相応しい重厚で品格のある勲章や褒章を製造するとともに,精巧で美麗な金属工芸品を製造して国民に魅力的な製品を提供すること

 

 高度で確実な技術により,公的主体として品位証明及び精製・分析のサービスを行うことを通じて,国民の貨幣に対する信頼の維持と国民生活の向上に寄与することを使命とする。

 註記)https://www.mint.go.jp/about/profile/guide_mission.html


 造幣局(ぞうへいきょく)」とは,硬貨の鋳造や貴金属の品位証明をおこなっている「政府の機関」である

 1) 『日本経済新聞』2020年12月28日朝刊15面記事下広告として出ていたのが,つぎの宣伝販売用の画像

f:id:socialsciencereview:20201228092423p:plain

 ご覧のとおりの画像であり,広告・宣伝のための紙面であるが,これは,造幣局で製造(鋳造製作)している「2020東京オリンピック」用の記念硬貨(日本国の正式貨幣)を販売していると謳っている。そのうちの一部に関する広告であった。

 記念硬貨の販売については,造幣局が直接には十分に手がけられない仕事・業務なので,このなかに明示されている会社「フォーラム21」がその販売を受託されているものと思われる。このフォーラム21は,もちろん,この受託販売業務を介して販売手数料を利益としてえる商売をしている。

 その会社の所在地は,〒550-0015 大阪市西区南堀江2-9-20 である。このフォーラム21という会社は,造幣局の貨幣販売以外にも,つぎのような商品をとりあつかい営業しているという。

 補聴器・集音器  コレクション・ホビー・電子ツール 食品・梅干し
 CD・DVD  ガーデニング・インテリア・キッチン  バッグ・ファッション

 もっとも,造幣局自身が記念硬貨を直接販売していないわけではなく,通信販売をおこなっている。このリンクを「埋め込み」方式でつぎに表示しようとしてみたが,このようにしか表出されない。いささか不思議なネット上での反応であるが,このまま掲示しておく。なにかの参考(含意)にはなるかもしれない。クリックすると,それなりにネット広告が掲載されている。

 

 

 2)「独立行政法人 造幣局という政府機関の沿革

 造幣局は,近代国家としての貨幣制度の確立を図るため,明治新政府によって大阪の現在地(大阪市北区)に創設され,明治4〔1871〕年4月4日に創業式を挙行し,当時としては画期的な洋式設備によって貨幣の製造を開始した。

 そのころわが国では,機械力を利用しておこなう生産工業が発達していなかったため,大型の機械設備は輸入するとしても,貨幣製造に必要な各種の機材の多くは自給自足するよりほかなかった。

 そこで,硫酸,ソーダ,石炭ガス,コークスの製造や電信・電話などの設備並びに天秤,時計などの諸機械の製作をすべて局内でおこなっていた。また事務面でも自製インクを使い,わが国はじめての複式簿記を採用し,さらに風俗面では断髪,廃刀,洋服の着用などを率先して実行した。

 このように,造幣局は,明治初年における欧米文化移植の先駆者として,わが国の近代工業および文化の興隆に重要な役割を果たしたので,大阪市が今日わが国商工業の中心として隆盛をみるようになったのも,造幣局に負うところが少なくないといわれている。

 その後,造幣局は,貨幣の製造のほか,時代の要請にこたえて勲章・褒章及び金属工芸品等の製造,地金・鉱物の分析及び試験,貴金属地金の精製,貴金属製品の品位証明(ホールマーク)などの事業もおこなっています。平成15〔2003〕年4月1日から,独立行政法人造幣局となった。

 註記)https://www.mint.go.jp/about/profile/guide_mint-history.html

 3)〔 1)  で言及した〕独立行政法人造幣局オンラインショップ https://www3.mint.go.jp/front/  の「おすすめ商品」の一例を紹介

 東京2020オリンピック競技大会記念千円銀貨幣「ボクシング」 販売価格(税込):9,676円

 

 東京2020オリンピック競技大会記念千円銀貨幣「レスリング」 販売価格(税込):9,676円

 一例として出してみた上の硬貨以外にも「東京2020競技大会記念貨幣」は,「東京2020オリンピック競技大会記念貨幣」として,以下のようになんども発行(とはいっても販売)をおこなってきた

 リオ2016-東京2020 オリンピック競技大会開催引継記念

   第一次発行分
   第二次発行分
   第三次発行分
   第四次発行分

 

 「東京2020パラリンピック競技大会記念貨幣」としてリオ2016-東京2020 パラリンピック競技大会開催引継記念

   第一次発行分
   第二次発行分
    第三次発行分
   第四次発行分

 いまここで,参照しているホームページのなかには金貨,銀貨それぞれについて,製品としての金・銀など成分の含有重量なども明記されている。

 ところで,東京2020 オリンピック競技大会開催引継記念の4回にわたる発行(販売)の期日はこうなっていた。「報道発表」ということは,造幣局側がマスコミ・メディアに対して正式に公表した方法を指すものと受けとれる。

 第一次発行分 2018年2月23日報道発表

 第二次発行分 2018年12月7日報道発表

 第三次発行分 2019年6月18日報道発表

 第四次発行分 2019年11月29日報道発表

 ちなみに,売りにされたこれら硬貨は「消費税も付加されて」販売されてきたが,本日,『日本経済新聞』2020年12月28日という日付に販売された記念硬貨は,2020東京オリンピックが延期された状態のなかで,その予定されていた開催期日7月下旬から8月上旬の時期を疾うに過ぎているいまごろになっても,まだその販売が継続されている事実を教えている。

 その種の事実は,いったいどのように受けとめたらいいのか,やや理解に苦しむほかないが,もしも,コロナ禍のせいで最終的に東京オリンピックパラリンピック)の中止が決定したら,2020東京オリンピックを記念して発行された記念硬貨は,とくに稀少(レア)品ともいえないかたちで,おおげさに表現すると関連する市場に向けて溢れていき,存在(流通?)することになるのか。

 ともかく,いまの段階では「もしも」と留保をつけていわざるをえないが,2020オリンピックを記念する硬貨の発行は,この硬貨に打刻された「2020」(年)という西暦の数字は,後世にまで語り草になりそうな情勢になりつつある。

 f:id:socialsciencereview:20201228094549p:plain

   出所)https://21.forumkaya.co.jp/items/cat-2/732.html

 くだんの販売会社,フォーラム21 の営業広告は,「【造幣局発行】2020年東京オリンピック競技大会記念貨幣 2019年05月10日」として,つぎのように謳いながら,この場合だと「金貨の購入」を誘っていた。

 註記)以下は,https://21.forumkaya.co.jp/items/cat-2/732.html

 延期が決定し,ますます開催が待ち遠しい東京オリンピックパラリンピック。開催記念貨幣の第1次発行分をご案内いたします。

 

 1964年の東京オリンピックといえば,日本初の記念硬貨である「東京オリンピック記念銀貨」があまりに有名です。

 

 発行当時,引換に長蛇の列ができ瞬く間に完売。一大コインブームの火付け役となりました。あれから半世紀以上の時を経て,2018年の7月におこなわれた2020年東京オリンピック記念貨幣の申込みにも全国からの注文が殺到。

 

 抽選での販売となるきわめて入手困難な記念貨幣となりました。このたびは,すでに抽選販売を終了した,この稀少貨幣を数量限定でご用意することができました。是非コレクションにくわえていただけますようご案内いたします。

 

  東京オリンピック記念貨幣としては初の金貨 ◆

 

 本金貨は4万枚の発行に対し,発行枚数を大幅に超える43万件もの応募が殺到しました。

 

 その当選確率はなんと12.1倍を記録(※)。すでに入手困難の金貨であり,オリンピックの開催に向かい,今後さらに注目を集めることが予想されます。この度は圧倒的な当選倍率を突破した,この稀少金貨を確保することができました。

 (※)4万枚発行のうち,3万6千枚が抽選対象。

 

 競技をイメージした日本の伝統紋様が美しい銀価。銀貨の表面は,日本の伝統紋様を取り入れた美しいデザインで,「水泳」には『流水紋様』,「柔道」には『角繋ぎ』を採用しています。

 

 裏面にはそれぞれの大会エンブレムがカラー加工で描かれています。また,東京都の花であるソメイヨシノレリーフの上部には,イチョウの葉が潜像されており,上方向に傾けた場合と下方向に傾けた場合で,イチョウの葉のみえ方が異なる仕様となっています。

 

 ぜひお手に取ってご確認ください。

 

  2020年東京オリンピック競技大会記念一万円金貨
   品番  XO-TCP6
   価格  217,800円(税込)

   (以下は省略)

  以上のなかで触れた記念硬貨(金貨)以外の,ある「ほかの実例での記念硬貨」に関した話となるが,たとえば,金の使用量は 15.6グラムで, 販売価格 122,223円だという記念硬貨もあった。つぎの画像資料がその説明をしていた。

 f:id:socialsciencereview:20201228102210p:plain

 この場合だと,販売された時期との関連も考慮していうと,2019年11月ころの金の相場はだいたい5700円ほどであったと措定しておくが(実際に調達された時期はそれよりも以前であったと仮定して〔とりあえず同年の1~3月ころのそれであれば,当時は5000円くらいとみなしこの価格水準に据えておいてもよい。ただしこの時期以降,金の相場はめだって上昇してきており,2020年12月下旬では7000円を若干下回る水準,製品となったこの金貨の販売価格をそのグラム単位で単に割ってみると,こういう価格になる。

   122,223円 ÷ 15.6 = 9700円

 ということは,金そのものの含有量に即して,このグラム単位あたりの値段に即して計算すれば,前段で例に出してみた記念硬貨の価格はその倍近くの値段に設定されていたことになる。むろん,硬貨製造の原価計算をしたうえで,その「販売価格」の妥当性(適正価格であるか)が吟味される余地がある。

 a) 原価計算としては,まず費目別計算の対象となる原価要素が,以下の項目である。

    材料費(金:純金そのもの調達価格,1グラム当たりの原価など)
    労務
    経 費

 b) それにさらに「製造間接費や,一般管理販売費」などが上乗せされて,最終的な販売価格が設定される。フォーラム21という販社は,造幣局から当該記念金貨の販売を請け負い,上述にあった「販売費」という費目に属する手数料を,自社の儲けとして獲得する会社であった。

 c) 国家機関である造幣局が売りに出す2020五輪用の記念硬貨は,今回,オリンピック関係としては初めて,特別に金貨まで製造販売したというわけだが,ともかく販売に当たっては当然のこと消費税も徴収するというのだから(国営造幣局の商売!),やや「狐につままれた」ような気分にもなる。

 もっとも,本ブログ筆者は,個人的には2020東京オリンピック記念硬貨を購入するという意向は全然ない。そして,この記念硬貨発行(発売)にも関連する事情「1年延期状態にある2020東京オリンピック」について,いまのところにおける情勢判断は,いわせる人にいわせれば中止は確定的だとなっている。

 かといって,2020東京オリンピック用に発売されてきた記念硬貨が,一気に『レアものとして希少価値が出そう』だという展望まで期待できる余地はなさそうである。買う人が大勢いるから造幣局のこの種の商売もなりたち,中間にはいって販売を手伝い儲けを均霑される会社も存在する。本ブログ筆者の個人的な感想をいえば,記念硬貨を買いたがる人びとがたくさんいるらしいが,その気持はいまだによく理解できないでいる。

 それにしても,2020東京オリンピックが1年延期状態されたいまの時期になっても(しかもコロナ禍のせいで中止は決定的だといわれている),こうした事態にさえかこつけたかたちでさらに,この記念硬貨をもっと売りさばこうとする “商魂たくましき精神” が新聞広告(など)に表現されていた。

 もっとも,オリンピックじたいが完全に営利主義・商業化しきっているいまどき,2020東京オリンピックが中止になろうかどうなろうが,ともかく,造幣局もその販売に関係した会社も,記念硬貨の販売だけはしっかりおこない,ちゃんと儲けておかないと……。その意味では,どうというほどもなかったのが「以上の話題」であったか?

------------------------------