2011年「3・11」東電福島第1原発事故からもうすぐ10年が経つが,溶融した核燃料などのデブリをいまだに取り出だせないまま,いつになったらその作業にとりかかれるのか,いまだに誰も予測・説明できていない

 原発の事故現場の先行き:見通しは基本的に真っ暗闇である,この事実は東電側も重々覚悟している,だが,その事実認識そのものを公にはできないまま,後始末の作業には否応なしに従事していくほかない窮状

 なぜ,東電福島第1原発事故の後始末は,チェルノブイリ原発事故の後始末(石棺化方式)の真似ができず,いつまで経っても到達できそうにない「廃炉工程」の実際作業をめざして,空しい努力を継続していなければならないのか

 

  要点・1 原子力緊急事態宣言は解除されていない

  要点・2 2020東京オリンピックを延期してでも開催し,福島第1原発事故の思い出をなるべく解消させたい国家のたくらみは,コロナ禍対策の足を引っぱり,こちらの問題取り組みを阻害している

  要点・3 福島第1原発事故の現実は「永久に不滅」である

 

 🌑 前  記  🌑

 原子力緊急事態宣言とは,原子力施設で重大な事故が発生したさいに,原子力災害対策特別措置法にもとづいて内閣総理大臣が発出する緊急事態宣言である。2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う福島第1原子力発電所事故で,初めて発令されていた。

 この緊急事態宣言は,原子力事業所の境界付近で毎時500マイクロシーベルト以上の空間放射線量率が検出された場合,臨界事故が発生した場合,原子炉運転中に原子炉冷却材が喪失し,すべての非常用炉心冷却装置(ECCS)の作動に失敗した場合などに発出される。

 内閣総理大臣は,宣言をおこなったのち,内閣府原子力災害対策本部,現地に原子力災害現地対策本部を設置。関係する都道府県知事・市町村長はそれぞれ災害対策本部を設置する。

 また,現地の緊急事態応急対策拠点施設(オフサイトセンター)に原子力災害合同対策協議会が設置され,国・地方公共団体および原子力事業者の間で情報の共有を図り,対策などを協議する。原子力災害が終息し,応急対策を実施する必要なくなると,内閣総理大臣原子力規制委員会の意見をきいて,原子力緊急事態解除宣言をおこなう。

 前述したように,この原子力緊急事態宣言はまだ解除されていない。

 

 「福島第1に高濃度汚染部分 2・3号機 廃炉工程見直しも」朝日新聞』2020年12月30日朝刊3面

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 東京電力福島第1原発の2号機と3号機で,原子炉格納容器の真上にあるふたのような部分がきわめて高濃度に汚染されていることが,原子力規制委員会の調査で判明した。事故時に格納容器から漏れた放射性物質が大量に付着しているらしい。容易に近づくことができず,この部分を動かすのは困難とみられる。規制委は「きわめて深刻」とみており,廃炉工程が見直しを迫られる可能性もある。

 高濃度汚染が判明したのは「シールドプラグ」と呼ばれる円板状の鉄筋コンクリート(直径約12メートル,厚さ約60センチ)の部分。3枚重ねて,原子炉建屋最上階の床面に据え付けられている。普段はふたのように炉心からの放射線を遮っているが,核燃料の入れ替えなどの作業時には一時的に取り外され,格納容器内にアクセスする出入り口となる。

 規制委は現場の線量が下がってきたとして,昨〔2019〕年9月に原発事故の未解明事項の調査を約5年ぶりに再開。これまでの東電などの調査で2,3号機のシールドプラグ付近の線量が異常に高かったことから,現地調査で周辺の線量を詳しく測定し直すなどして,汚染実態の解明を進めてきた。

 その結果,3枚重ねの一番上と真ん中の板の間付近にあると推定されるセシウム137の量は,2号機で約20~40ペタベクレル(ペタは1千兆),3号機で約30ペタベクレルに達した。周辺の線量の測定値から2号機のその部分の線量を推定すると,毎時10シーベルトを超えるレベルになる。1時間もそばにいれば人は死に至る。

 事故前に1~3号機の炉内にあったセシウムの総量は約700ペタベクレル,事故で大気中に放出されたのは約15ペタベクレルとされている。2号機と3号機のシールドプラグは破損が少なかった一方,1号機は建屋の水素爆発の直撃を受けてずれたり変形したりしており,汚染は推定 0.16ペタベクレルにとどまった。

 規制委は,メルトダウン炉心溶融)で格納容器から漏れ出た膨大な放射性物質を,2,3号機のシールドプラグがとらえたことで外部への放出量が抑えられたとみて,年明けにもまとめる事故調査の中間報告書案に盛りこむ。

 シールドプラグが据え付けられた建屋最上階の開口部は,廃炉の最難関工程とされる溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の取り出しでも,2022年以降に延期された試験的取り出しを終えたあとの本格段階での活用が検討されている。

 規制委の更田豊志委員長は12月下旬の会見で,シールドプラグの高濃度汚染について「デブリが高いところにあるようなものととらえてよい。廃炉にとってきわめてインパクトの強い状況だ」と指摘。シールドプラグ撤去作業はきわめてむずかしくなるとの見解を示した。東電は「デブリ取り出しの工法はまだ決まっていない。状況をしっかり把握したい」と話している。(引用終わり)

 

  東電福島第1原発事故の後始末は「永久に不滅?」

 a) 東京電力は,① の記事に関連する「参考資料」として,たとえば「福島第1原子力発電所3号機原子炉建屋1階シールドプラグが移動している要因の推定について(調査結果)」平成27〔2015〕年3月30日,https://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/handouts/2015/images/handouts_150330_04-j.pdf  を公表していた。

 要は,東電福島第1原発事故における「デブリ取り出し作業」,いいかえれば「今後における本格的な廃炉工程」そのものにまで進む以前の段階において,「事故を起こした原発」に対して施しておくほかない,しかも非常に困難であるその「除去作業」に関してであるが,この「原子炉建屋最上階の床面に据え付けられたシールドプラグ」の問題が,新しいひとつの困難としてさらにみつかったことになる。

 現在まで東電福島第1原発事故の後始末は「廃炉工程」という作業段階にまでは到達していない。過酷事故を起こしてしまい,その重大で深刻な現場の状態を,まず廃炉工程と呼べる段階ににまで進むための前提条件をととのえている最中に,今回におけるこの「原子炉建屋最上階の床面に据え付けられたシールドプラグ」の問題が,新たにくわわった。

 今回みつかったこの「原子炉建屋最上階の床面に据え付けられたシールドプラグ」が高度に汚染されている問題は,2011年「3・11」東日本大震災によって惹起された原発事故発生以来,いままで確認できていなかった事故の一部分を意味する。すでに,東電福島第1原発事故が発生してから10年近くが経過してきたが,いまだにこのような未知との遭遇がたびあるごとに起きていた。

 チェルノブイリ原発事故(1986年4月26日)は,爆発事故現場の様子は航空写真によって記録が残されている。だがいまでは,石棺方式(現在は2代目の建物によって覆われている状態)によってともかく,当面させられていた後始末の問題だけは,ネコババ式に済ましたかたちになっている。したがって,デブリ(などを構成するそのほかもろもろの物体)を取り出す作業は,事故直後に決死隊によってなされていた。

 補注)チェルノブイリ原発事故,その「後始末」に送りこまれた元作業員たちの現在」『WIRED』2018. 10. 22  MON  20:00,https://wired.jp/2018/10/22/chernobyl-liquidators-photo-gallery/  は,そのとき起きたソ連内の様子をこう記述している。

 

 1986年4月26日,ウクライナ北部のチェルノブイリ原子力発電所で起こったメルトダウンは,最終的に9,000人以上の命を奪い,数百万の人びとに影響を及ぼした大惨事となった。この事故によって有毒物質汚染が広がり,放射性粒子が大気を満たし,都市や森林,道路に降り注いだ。

 

 事故直後には火災を消火し,がれきを取り除き,汚染廃棄物を地下深くに埋める必要があった。いうまでもないことだが,それは簡単な仕事ではなかった。遠隔操作のブルドーザーやロボットなどは電気回路が放射線で故障してしまうで,この作業にはとても耐えられないことが判明したからだ。

 

 そこで当時のソヴィエト連邦ソ連)は,現地に人間を送りこんだ。なんと600万人もだ。

 

 これらの勇敢な消防士や兵士,用務員,鉱夫といった「リクビダートル(ロシア語で「後始末をする人」の意味)」と呼ばれる人たちが,ありとあらゆる事故処理作業をおこなった。街の通りにホースで水をかけて洗浄することから,汚染された木々の伐採,露出した原子炉の周りにコンクリートの石棺を建設することまでだ。

 

 そして,その間ずっと放射線が彼らの細胞を損ないつづけ,寿命を縮めてしまった。ロンドン在住の写真家であるトム・スキップは,このリクビダートルたちに関して「たとえようもない自己犠牲です」と語る。

 ソ連チェルノブイリ原発事故に関してはこのように解説されているが,それでは,日本の東電福島第1原発事故に関しては,どう報じられていたか? 少しだけ触れておきたい。

 ここではたとえば,「原発事故・7年後の『英雄たち』 1万2000人の作業員が健康調査に応じない理由」『NHK クローズアップ現代』2018年3月12日,https://www.nhk.or.jp/gendai/kiji/084/ という番組の解説(筋書き)を参照する。冒頭のみ引用し,あとは小見出し(※)を拾うだけにしておく。

 7年前,世界最悪レベルの事故を起こした,東京電力福島第1原子力発電所。事故直後,きわめて高い放射線量のもと,命の危険もあるなかで収束作業に当たり,「英雄」と称賛された人たちがいた。その年に作業にあたったのはおよそ2万人。

 

 こうした人たちを対象に,国は健康状態を追跡する調査をおこなってきた。ところが調査に応じていない人が6割を超えていることが分かった。いったいなぜ。取材を進めると,ある元原発作業員がこうつぶやいた。

 

 「私らみたいなのは,切り捨てなんですよ。それで命を懸けていたのかといったら,ほんと情けないですね」。

 

 浮かび上がったのは,「英雄」とはかけ離れた現実だった。

 

  ※-1 相次ぐ  “拒否” 原発作業員2万人の健康調査

  ※-2 「信用できないんですよ,はっきりいって」 元作業員の告発

  ※-3 根深い不信感をどう取り除くのか

 b) 2020東京オリンピックの企画とこの実行は,以上のごとき東電福島第1原発事故の後始末に関連して生まれていた「不都合な真実」から目をそらさせたり,目をつむらせておく目的があった。もっとも,五輪を開催できたら東電福島第1原発事故の後始末が少しでもはかどりうるのかと問われても,これらにはなにも必然的な因果の関係がないと答えるほかない。というよりはむしろ,その妨げになっていたとしかいいようがない。

 ともかくも,東電と国は,東電福島第1原発事故の後始末ができたあと,その「廃炉工程」にまで進みたいという希望だけは抱いている。だが,このもともと不可能にかぎりなく近い作業は,本気でやるとすれば,これから何十年,何百年もかけておこなうことになるかもしれない。

 要は,その後始末にとりかかろうにも,しょせん「賽の河原の石積み」に似たような毎日を,今日まで10年間近くも重ねてきた事実を踏まえてさらに考えねばならない。いってみれば,その作業のひとつひとつがまさしく,事故を起こし破壊された原発4基の現状(未知である実態)を,わずかずつであっても把握していく努力を意味していた。いまだにこの努力をひたすらつづけていくほかない段階に置かれている。

 その後において原発の事故現場の後始末をしてきた経過は,① に引用した本日(2020年12月30日)の新聞記事に報道されてもいたように,この「事故現場におい判明したさらに〈新しいひとつの困難〉」というものが,これからもっとたくさん出現しないとはかぎらず,その覚悟だけはしておく必要がある。

 そもそも,今回における「原子炉建屋最上階の床面に据え付けられたシールドプラグ」の問題発見という件は,原発事故の後始末がまだ終わっていないきびしい現実そのものを,あらためて教えている。

 廃炉(工程,⇒バックヤード)問題が,この原発事故現場に関して,はたしてどのように個別実例的に定義されているのか,正式には具体的に公表されていない。日程面でみればいままでは,常習的にベタ遅れ状態を余儀なくされてきた。そのなかで,原発事故の後始末に関連する作業全体を,「廃炉工程」という概念のなかに入れておこなう説明は,要検討であった。

 サカナにたとえばいうとしたら,尻尾のうちに胴体部分まで含めえたかのような表現になっているからであった。そもそもが事故を起こした「原発の後始末」を「廃炉というコトバの意味」のなかに含みうるかという問題は,本当に考えてみていなかったということになるのか?

 補注)東電は「廃炉に向けたロードマップ」を以前から世間に向けて公表していた。だが,この「福島第1原子力発電所では,廃炉・汚染水対策関係閣僚等会議で決定される『東京電力ホールディングス(株)福島第1原子力発電所1~4号機の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ』に基づいて廃炉作業を進めています。2011年12月に決定した『中長期ロードマップ』は,廃炉作業の進展に伴って明らかになってきた現場の状況などを踏まえて,継続的な見直しをおこなっています」という文書の真意となれば,その「継続的な見直しをおこなってい」く点が未来永劫的に反復されざるをえないところにみいだすほかあるまい。

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 作業の本質的な特性に鑑みれば別物でしかありえない「作業」同士を,ひとくくりにして「廃炉」と総称するのは,間違いである。したがって,本ブログ筆者はいままで一貫して,東電福島第1「原発事故の後始末」と呼称してきたし,「廃炉工程にはまだ到達していない」という解釈を採っていた。

 c) ところで,一般常識向けに解説する「沸騰水型炉(BWR)原子力発電のしくみ」は,図解も添えている。だが,① の記事でのように,それが「原子炉建屋最上階の床面に据え付けられたシールドプラグ」だとして,そしてその写真といっしょに説明されても,まだ理解しにくい点がある。

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 もう1点画像資料として上にかかげたのが,この「沸騰水型炉(BWR)原子力発電のしくみ」から借りた図解である。こちらは東電柏崎刈羽原発に関する例示である。シールドプラグの場所が「格納容器と圧力容器の上部のどの場所」に「部品としてして付いている」かを理解するのに役立つはずである。

 とりあえずは「格納容器シール材の強化」というコトバを手がかりにしてみてほしい(「鍋蓋の断面図」みたいに水平で左右に拡げて弓形に作図されている箇所)。つぎに出てくる画像の部分でもその部分が特定できるはずである。

 補注)原子炉としての軽水炉のうち,炉内で冷却水を沸騰させ,発生した蒸気をそのままタービンに送る直接型サイクルの炉型が「沸騰水型炉(BWR)」と呼ばれる。

 

 東電は,東電福島第1原発事故において,3号機ではないが「1号機原子炉建屋で発生した水素爆発の解析」https://www.tepco.co.jp/decommission/information/accident_unconfirmed/pdf/2017/171225j0119.pdf  という文書を公開している。

 

 このなかにはつぎの図解が添えられていて,こちらをみると素人にも,どの部分がおかしくなっていたかを,より分かりやすく描いている。ただし,この文書は水素爆発の点にのみ記述・解説しており,圧力容器内においてすでに発生していた炉心溶融の問題は言及の範囲内ではない。

 

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 d) ① に引用した記事は,「規制委の更田豊志委員長は12月下旬の会見で,シールドプラグの高濃度汚染について『デブリが高いところにあるようなものととらえてよい。廃炉にとってきわめてインパクトの強い状況だ』と指摘」したと書いているが,

 とくに3号機の場合,ごく小規模であっても核爆発事故に相当する事件になっていたゆえ,そもそも「デブリが高いところにあるようなもの」という説明(解釈)は,圧力容器そのものが破壊されて「天上部分が抜けている」からこそ,「シールドプラグの高濃度汚染」も現象しているとしか理解のしようがない。

 また「廃炉にとってきわめてインパクトの強い状況だ」という表現は意味不明に近い。いわゆる東大話法みたいに感じさせる表現であった。要は「きわめて影響が強く深刻である障害」が「廃炉作業に新しく生じてしまい,さらに困難がひとつくわわった」とでも表現しておけば,少しは分かりやすくなる。

【参考記事】 

【参考画像】

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 「『五輪で福島を忘れさせようと…原子力緊急事態は今も』 小出裕章さんに聞く」東京新聞』2020年6月30日 14時00分,https://www.tokyo-np.co.jp/article/38847

 東京電力福島第1原発で溜まりつづける放射性物質トリチウムを含む水の海洋放出に向けた手続が進められている。経済産業省は〔2020年6月〕30日,消費者団体などから意見聴取する。福島第1の事故前から原発の危険性を唱えていた京都大原子炉実験所(現・複合原子力科学研究所)元助教小出裕章さん(70歳)にどう考えるかを聞いた。

※人物紹介※ 「こいで・ひろあき」は1949年,東京都台東区生まれ,東北大大学院工学研究科修士課程修了(原子核工学)後,京都大原子炉実験所(現・複合原子力科学研究所)に入所。41年にわたり助教を務め,原子力の危険性を世に問う研究に取り組み,2015年に定年退職。現在は長野県松本市で,太陽光発電や野菜の自家栽培による自給自足の生活を送る。

 1)海洋放出は間違い

 処理水をめぐって政府の小委員会は2月に「海洋放出が確実」と提言。政府は各種団体や福島県内の首長らから意見を聞いている。人間に放射能を無毒化する力はないと認めねばならない。自然にもその力はない。自然に浄化作用がないものを環境に捨てるのは間違っている。

 --政府や東電はなぜ,海洋放出にこだわると思うか。

 1~3号機の溶けた炉心から出たトリチウムは200トン。事故がなければ,青森県六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場から海に捨てるはずだったものだ。核燃料サイクル計画では,もともと毎年800トンのトリチウムを六ケ所村で流す予定だった。福島の200トンで大騒ぎしていたら,日本の原子力の総体が動かなくなる。彼らにとっては海洋放出以外の選択肢は絶対にないのだろう。

 2) 原子力村の常とう手段

 --東京五輪が来年に延期になった。これまで,福島の事故が収束しないなかでの開催を批判してきた。

 2011年3月11日に発令された「原子力緊急事態宣言」はいまも解除されていない。強制避難させられた地域の外側にも,本来なら放射線管理区域にしなければいけない汚染地帯が残る。

 不都合なことを忘れさせようとするとき,昔から取られてきた手段は,お祭り騒ぎに人々を引きずりこむことだ。原子力ムラにとって,それが東京五輪なのだろう。福島を忘れさせるための五輪の利用には徹底的に抵抗していく。

 3) 延長せず40年で止めるのが賢明

 --日本原子力発電東海第2原発茨城県東海村)は,原則40年の運転期間の延長が認められ,再稼働に向けた動きが進む。

 古い原発で相対的に危険が多いのは争えない事実だ。ポンプや配管などの部品は不具合があれば取りかえられるが,原子炉圧力容器だけは交換できない。その寿命は40年くらいだろうということで始めているのだから,40年でやめるのが賢明な選択だ。(引用終わり)

 アメリカはスリーマイル島原発の事故発生(1979年3月28日」のせいで,原発の積極的な導入にはへっぴり腰にならざるをえなくなった。核兵器の開発・利用(軍事的なその意向)はさておいた話題であるが,そのように路線を変更せざるをえなくなった。

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 ロシア(旧ソ連)はチェルノブイリ原発事故でまだ残っていた隣接の原発はそのまま稼働させてきた。このロシアは採算の問題は棚上げしてでも,外交・軍事面に利用できる(商品としての兵器)として,外国への原発輸出をおこなっている。中国も同じである。

 だが,日本においては,原子力規制委員会の指導にしたがう状況のなかで,営利原則にはまともにかなわない水準まで原発の製造費が高騰してしまい,いままで米欧の原発事業を「ババ抜き」の要領で引いてしまって(買収して)いた結果,当初は原発の製造・販売で大儲けするつもりが大失敗し,関係する主な会社(東芝日立製作所三菱重工など)は,とんだ貧乏くじを引く結果となった。

 原発は国家支配層や大企業体制(総じて「原子力ムラ」と称される一群)には利用価値があっても,一般庶民・大衆にとっては害悪以外のなにものでもない。しかもこの原発はいまでは “完全に時代後れの発電方法” になっている。

 この地球上において今後,チェルノブイリ原発事故や東電福島第1原発事故並みの大事故が起きたとしたら,世界各国が意思を統一させて原発の利用そのものを禁止にせざるをえなくなるかもしれない。3度目の失敗を転じる正直として……。

 原発止めますか,それとも,人類,滅亡させますか?

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