主要先進国中では最後位に着けた状態で,しかももたつき走っている最近の日本,五輪開催でその後進国性を払拭したいが,コロナ禍への対応問題も絡んで後手後手ばかりを世界に向けて露呈

 男女雇用機会均等法は「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律は,1972年に施行された 男女の雇用の均等及び待遇の確保等を目標とする日本の法律」であったが,

 いままで,さんざん男女間の均等性を嫌ってきたこの国における国家・社会のあり方がそう簡単に変わるわけもなし

 

  要点・1 JOC(公益財団法人日本オリンピック委員会)が21世紀のいまごろにもなって,女性理事を増やさなければいけないと焦ってみたほどに体たらくのニッポン

  要点・2 それも,森 喜朗が大ヘマを犯してくれたからこそ,ようやく女性理事を増やして活用するとかいった話題になっているが,男女雇用機会均等法が志向されてから半世紀が経ついまごろにもなってから,うかつにも,なんとか気づいたのか

 

  Sonai Company for Manufacturing Electrical Appliances 製の家電が SONAI〔ソナイ〕という商標を付して販売されており,SONY 製品と間違いやすい。また,BRAUN という商標を付した模倣家電商品も販売されている。

 註記)この ① の見出し文句は,独立行政法人日本貿易振興機構ドバイ事務所知的財産権部『〈経済産業省委託事業〉エジプトにおける模倣品被害実態調査』2016年5月,https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Reports/02/2016/068abeb41b758509/EGRp_damage_surveyCounterfeit201605.pdf  から。

 それでも,たとえばアフリカの子どもたちは,ソニーの文字(SONY)をみて,「ソノイは中国製かそれとも韓国製か」と聞いてくるという話があった(後述する話題)。そのくらい,日本の製造業は世界経済のなかでは絶対的にも相対的にも影が薄くなってきた。

 ソニーは1カ月前に,つぎの記事に書かれているような話題を提供していた。しかし,世界市場のなかではかつて,日本企業が「電子・電気・OA機器(総合電機)」の商圏を席捲するほどに独断場であった旺盛ぶりは,現在,その面影を失っている。

 ソニーは,以前において低迷していた業績を,最近になって復活させ好調になってきた。往事の姿を取り戻している。

     ソニー,第3四半期決算で純利益が1兆円の大台に ★
  =『BCN+R』2021/02/03 19:05,https://www.bcnretail.com/market/detail/20210203_210908.html


 ソニーは〔2021年〕2月3日,2021年3月期第3四半期の連結決算(2020年4~12月)を発表した。

 

 売上高が6兆7789億円(前年同期比4.1%増),営業利益が9054億円(11.8%増),株主に帰属する四半期純利益が1兆648億円(87.0%増)と増収で大幅な増益。純利益で1兆円の大台に乗せた。

 

 第3四半期(〔2020年〕10~12月)の部門別業績は,ゲーム&ネットワークサービス分野(G&NS分野)の売上高が8832億円(40%増)となり,2511億円の大幅増収となった。ゲームソフトウェアの増収と,PS5の発売に伴うハードウェアの増収が大きかった。

 ところで,日本企業において女性の活用が遅れている事実は,男女雇用機会均等法が当初,ザル法に等しい効果して挙げえていなかったその経歴からも分かるように,日本はいまだに「ジェンダー・ギャップ」(男女間格差)が,経済のみならず,政治・社会のあらゆる面で残存させられており,その撤廃・是正の政策や措置が実質的に大幅に遅滞している。

 とりわけ安倍晋三第2次政権が発足して以降,そうした停頓ぶり,というよりは,頽廃しきった時代錯誤的な「戦後レジュームからの脱却」観念に起因する退行現象が,ますます顕著になるばかりであった。菅 義偉現首相も,そのアベ路線を継承する以上・以外に,なんら自分なりの信念も方針も具体的にもちあわせていない。

 なかんずく,世界経済フォーラムが公表した『ジェンダー・ギャップ指数2020』によれば,2020年における日本の総合スコアにもとづく順位は153か国中 121位(前回は149か国中110位)という〈成績〉であった。その「順位の一番」よりも「最下位の底」のほうに,文句なしに近い順位に着けられていた。これでは,この国を先進国と呼ぶにはふさわしくないほどの〈不名誉な評価づけ〉が公表されていたと受けとめるほかない。

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 先〔2〕月,日本社会のみならず全世界に向けて国辱的な話題を発信させていた五輪組織委員会の森 喜朗(前)会長は,自身が意識的と無意識的とを問わず非常なる女性蔑視観の持主,差別主義者(sexist)である立場を,あからさまに自己顕示しているかのように言動していた。

 しかも森 喜朗は,その自分の態度をいっさい恥じることもないまま,その後も開きなおった言動を重ねて記録してきた。だが,そのきわめて皮肉な結果として生まれたのが,内部組織のあり方じたいについてこびりついていた「森 喜朗」的な弊害を,JOCがみずから分解掃除をする必要であった。

 本日の『朝日新聞』朝刊は,そうした最近日本における話題を受けたつぎのような記事を掲載していた。

 

 〈ThinkGender〉『社会は男性優遇』女性75%・男性54% 電通総研,意識調査」朝日新聞』2021年3月3日朝刊6面「経済」

 〔2020年2月〕8日の国際女性デーを前に,電通総研が実施したジェンダーに関する意識調査で,男女の意識差が浮き彫りになった。社会全体が男女平等になっているかを尋ねたところ「男性の方が優遇されている」「どちらかというと優遇されている」と答えた女性は計75.0%に上ったのに対し,男性は54.1%だった。

 調査は,全国の18~79歳の3千人にインターネットで実施し,項目ごとに男女が平等になっているかなどを尋ねた。「社会全体」については「男性の方が優遇」「どちらかというと優遇」との回答が,男女あわせた全体で64.6%だった。「慣習・しきたり」では64.4%,「職場」では59.6%だった。

 「男性の方が優遇」「どちらかというと優遇」と答えた人の割合は,男女の間で差が目立った。

 「法律・制度」については女性では60.6%に上ったのに対し,男性では32.7%。「職場」については女性70.2%に対し男性48.8%,「家庭」は女性44.0%に対し男性22.7%だった。いずれも20ポイント以上の差が開いた。

 調査にあたった電通総研の中川紗佑里氏は「性別によって経験に差があり,男性と女性で見えている景色に違いがあるようだ」と話した。(引用終わり)

 電通が実施した男女差別問題に関したこの調査結果を紹介したのにつづけて,本日『日本経済新聞』朝刊「スポーツ」欄に掲載されていた囲み記事が,ここまでの話題について多面にわたり関係する中身を書いていた。

      ◆ スポーツの力森氏の失言と日本の停滞 ◆
   =『日本経済新聞』2021年3月3日37面「スポーツ」=

 

 国際体操連盟(FIG)の渡辺守成会長(62歳)から以前,こんな嘆きを聞いたことがある。

 

 FIG会長就任以来,競技普及のため体操が発展途上のアフリカ諸国などをしばしば訪れるようになったが,宿泊ホテルのテレビや冷蔵庫はサムスンかLG製ばかり。SONYの携帯電話を使っていたら,子どもたちがロゴを見て「ソノイは中国のメーカー,それとも韓国?」と聞かれた。「技術大国といわれた日本はどこにいってしまったのかと悲しい気持ちになる」。

 

 同じように感じている同世代の日本人は自分を含めて多いはずだ。日本発の革新的な製品やサービスのニュースはめったに聞かなくなった。職場や学校のデジタル化でも世界から後れを取り,労働生産性は久しく先進国で最下位。新型コロナウイルスの国産ワクチンの開発も進んでいない。

 

 なぜ,こんな状況に陥ったか。理由はいろいろあるのだろうが,東京五輪パラリンピック組織委員会の森 喜朗前会長の失言が騒動になった時,それが少し納得できた気がした。

 

 森氏の発言はジェンダー差別の観点から猛烈に批判されたが,個人的にはほかにも気になることがあった。「会議が長くなるのはいけない」「会議で発言するのはわきまえない者」と受けとれる部分だ。森氏に限らず,この国の大半の組織の意思決定において,当たりまえのように散見する。

 

 大事なことは偉い人たちで決定済み。だから「部外者」は「わきまえて」黙っていなさい。部外者とは女性や若者,障害者,平社員,一般人,名ばかりの役員などいろいろなパターンがある。そんな閉鎖的な組織や社会で人材が育ち,未来を変える革新的なアイデアや斬新なサービスが生まれるはずがない。

 

 昔ならその方がスムーズに物事が進んだこともあった。だが,技術革新とともに無数のアイデアが思わぬかたちで湧き出る現代では変化に対応できない。その結果,日本は世界に比べて進化のスピードが著しく鈍化し,停滞することになったのだと感じる。

 

 コロナ禍によって東京五輪パラリンピックは開催にこぎつけたとしても完全なかたちは望めなくなった。無観客,あるいは海外からの観戦客を制限すれば,経済的な効果も半減する。それでも,五輪・パラリンピックをきっかけにわれわれの社会の課題に多くの気付きが生まれれば,それはそれで意味のあることだと考えたい。編集委員 北川和徳)

 以上の話,内容としてどうしても暗い印象しかもてない。しかし,相手(つぎに登場するその国はカナダだが)によっては,以上のごとき日本の現状に関する話題であっても,それこそ “相手にもされない” 様子までうかがえる。③ に参照する。

 

 「カナダで殆ど報道されず話題にも上らない東京オリンピックパラリンピック『WorldVoice』2021/03/01,https://www.newsweekjapan.jp/worldvoice/m/2021/03/post-5.php

 カナダでは東京オリンピックパラリンピックに対する報道はとても少ない。オリンピック関連のニュースが10あるとすれば,7割は北京オリンピックについて,2割はアスリートについて,1割が東京オリンピックについてという具合だ。

 そもそもオリンピック関連のニュースが少ない。北京オリンピックが話題に上るのは,オリンピックそのものではなく,カナダ議会が中国政府によるウイグル族への弾圧を「ジェノサイド(虐殺)」だと非難する決議を採択しており,北京オリンピック開催地の変更の要求,またはボイコットの検討をしているからだ。

 例の森〔喜朗〕氏の女性蔑視発言の時は頻繁に多岐に渡って報道されていたが,それを除くと,東京オリンピックパラリンピックはカナダではほとんどニュースにならないし話題にも上らない。

 東京オリンピックパラリンピックが報道されない理由は明確である。すべてが uncertain(不確実)であるからである。報道できる確実なものがないので,報道できないのだ。さらに報道してしまい,余計な責任を負いたくないという側面もあると思う。

 なにせ,日本政府もIOCも「開催する」といっておきながら具体案を提示していない。オリンピックが開催されるか否かもわからず,開催か否かを決定づける新規感染者数などの確固たるベンチマークもない。なので「報道しない」というよりは,「不確かなことばかりで報道する価値がない」のだ。

 2月に日本でコロナワクチンのワクチンが開始された時には「日本がコロナワクチンを開始しました。G7では最後の国です。」と報道されていた。『オリンピック開催国なのに最後かよ!』というニュアンスである。

 開催国でありながら行動の遅い日本にいらついている感じはあるものの,開催するリスクもしないリスクも,しょせん,『他国事』である。よって,カナダは東京オリンピックパラリンピックの決定には傍観するつもりでいることが見受けられる。(引用終わり。後略あり)

 日本国内では自国で2度目となる五輪大会を開催するのだと意気ごんできたが,2020東京オリンピックの開催は,新型コロナウイルス感染問題で延期になった。いまは2021年の3月にまで来た時期であるが,聖火リレーを25日に開始予定にしているこの五輪大会が,本当に開催する(できる)のかどうか,すでにその最終決定する時期を迎えている。

 l年延期になった東京五輪の開始時期までは,新型コロナウイルス用のワクチンをきちんと用意してその開催に備えるといっていたはずの日本政府や五輪組織委員会は,いまとなっては口を濁すだけである。そのあげくが,前段のようにカナダでは「日本がコロナワクチンを開始しました。G7では最後の国です」と,それも皮肉ではなく事実として報道されていた。

 本当のところでいえば,『オリンピック開催国なのに最後かよ!』などとはいわれないように,むしろ,世界のなかでも一番最初に,コロナ禍対策用のワクチンを日本の国民たち全員に接種できるようにしておく必要があった。にもかかわらず,いまとなっては,そのようにバカにされても仕方ない始末になっていた。それでもまだ,1年後れになっている東京五輪を開催したいのである。

【参考記事】

 

 そんなこんな話題としてだが,JOCは,森 喜朗・前五輪組織委員会会長が「世界的な話題」(!)を提供した “女性差別的な問題をかかえこんでいた組織体質” を克服するための第1歩として,つぎのような動きを始めた。遅きに失した対応であるが,やらないよりはまし。

   ★ 女性理事12人選任へ  高橋尚子氏ら 五輪・パラ組織委 ★
      =『朝日新聞』2021年3月3日朝刊30面「社会」=

 

 東京五輪パラリンピック大会組織委員会は〔3月〕2日,理事会を開き,新たに12人の女性理事候補を選んだ。複数の大会関係者によると,五輪マラソン金メダリストの高橋尚子パラリンピックアルペンスキー金メダリストの大日方(おびなた)邦子の両氏らで,3日の評議員会で選任される見通し。

 

 森 喜朗前会長が女性蔑視発言で辞任したことに伴う男女平等への取り組みとして,橋本聖子会長は女性理事の割合を40%に引き上げる目標をかかげていた。3日の評議員会で理事定数は35人から45人に増やし,女性理事は現在の7人を含め計19人となる見通しで,女性理事の割合は現在の約20%から40%超に高まり,目標達成となる。理事会ではこのほか,バレーボール五輪金メダリストの荒木田裕子理事を副会長に選んだ。

 

 関係者によると,高橋,大日方両氏以外の新理事候補はつぎの各氏。

 

  芳賀美津枝(登別アシリの会代表)  林いずみ(弁護士)

  日比野暢子(桐蔭横浜大教授)    籾井圭子(日本オリンピック委員会常務理事)

  矢野晴美(国際医療福祉大教授)   來田(らいた)享子(中京大教授)
  斎木尚子(東大公共政策大学院客員教授)   佐々木かをりイー・ウーマン社長)

  白石弥生子(東京都障害者スポーツ協会会長) 白波瀬佐和子(東大大学院教授)

 

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【参考記事】-『日本経済新聞』より-

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 さて,以上の女性理事を増やす措置の核心は「理事定数は35人から45人に増やし,女性理事は現在の7人を含め計19人となる見通し」という点にあった。ただし,男性理事を減らしてその分を女性理事に充てるのではなく,女性理事そのものをさらに増やすやり方であった。

 しかし,そのイジリ方では,理事の定数そのものを「パーキンソンの法則」的に増やすだけのことになり,組織の原理的な性向としては「組織の冗漫性」を提供する種を,わざわざ新しく作ったというほかない。

 要は,さっさと男性理事を一気に減らし,その代替に女性理事を置けないところが,その思い切りの “なさ(判断の悪さ)” を,如実かつ端的に教えている。

 ちなみにパーキンソンの法則とは,つぎのように解説されている。ウィキペディアの文章を借りるが,ともかく意味深長。

 a) パーキンソンの法則」(Parkinson's law)は1958年,英国の歴史学者政治学者シリル・ノースコート・パーキンソン(英語版)の著作『パーキンソンの法則:進歩の追求』,およびそのなかで提唱された法則である。役人の数は,仕事の量とは無関係に増えつけるというもの。具体的には,以下のふたつの法則からなる。

   「第1法則」…… 仕事の量は,完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する。
   「第2法則」…… 支出の額は,収入の額に達するまで膨張する

 パーキンソンの法則は,英国の官僚制を幅広く観察した結果にもとづく。たとえば,イギリス帝国が縮小していたにもかかわらず,殖民地省の職員数は増加していた。パーキンソンによれば,このような結果は,以下のふたつの要因によってもたらされる。

  ▲-1  役人はライバルではなく部下が増えることを望む
  ▲-2  役人は相互に仕事を作りあう

 また,パーキンソンは,官僚制内部の総職員数は,なすべき仕事の量の増減に関係なく,毎年5~7%増加したとも指摘している。

 b) コンピュータへの応用(全文は引用せず,つぎの段落のみ拾って紹介)

 パーキンソンの法則は,より一般的に,「ある資源に対する需要は,その資源が入手可能な量まで膨張する」というかたちで述べることもできる。分かりやすい例を挙げれば,「どんなに大きな冷蔵庫を買っても,必らず満杯になる」。

 c) パーキンソンの法則』で提唱された法則には,(第1・第2法則とは内容の関連が低い)「組織はどうでもいい物事に対して,不釣り合いなほど重点を置く」というものもあるが,こちらは区別してパーキンソンの凡俗法則と呼ばれる。(引用終わり)

 JOCが女性理事を増やしたのはいいが,男性理事を減らすことをしないまま女性理事だけを増やした。こうすると,理事会の人数=規模そのものが増大:膨張させられた事実の意味を,あらためて考えてみる必要が生じる。

 女性理事を増やした利点がもしも生まれるとしても,男性と女性の「理事全数(定員を増加させてみた人数)そのもの」が,理事会の任務遂行や日常運営において,仕事をより円滑化,より能率化させうるか,本来の仕事の達成度を基本からより改善・向上させうるかについては,追々判明するはずである。

 しかし,現時点ではともかく「森 喜朗問題」への事後対応として「女性理事を増やす」という関心だけが先行しているようにしか映らない。こんどは,男女の理事比率の点はさておいてしても,「船頭多くして船山に上る」ごとき現象が理事会内において起きないかという心配が頭をもたげる。

 さて,以上に似たようなというか,通じるかのような話題が『日本経済新聞』朝刊のほうに出ていた。④ として紹介する。


 「東大執行部,女性を過半に 来年度から,多様な視点取り入れ」日本経済新聞』2021年3月3日朝刊38面「社会1」

 東京大学は〔3月〕2日,2021年度からの新執行部の体制で女性を過半数とすることを決めた。学長と副学長,理事計9人のうち5人を女性とするなどし,監事を含む執行部で女性が男性を上回るようにする。意思決定に多様な視点を取り入れ,教育・研究面で国際競争力を高める狙いがある。

 補注)東大理事は総数が9人だとしたら,これは基本的な前提問題として「組織運営のイロハ」で判断するに,機動的な指揮・運営が可能な少人数に,いちおうは収まっていると判断できる。 

 文部科学省などによると,国立の総合大学で執行部の女性比率が5割を超すのは初めてとみられる。東大は2020年10月,現在理事で副学長の藤井輝夫氏が2021年4月1日付で学長に就くことを決定。

 新執行部をめぐっては,大学院総合文化研究科の藤垣裕子教授を学生支援担当の理事・副学長に,大学院情報学環の林香里教授をダイバーシティー(多様性)担当理事・副学長にそれぞれ起用し,非常勤理事に米グーグルの岩村水樹バイスプレジデントを登用する案を固めた。体制案は〔3月〕2日に開いた学内での会議で了承された。

 女性ではこのほか,文科省出身の里見朋香氏と世界銀行などで勤務経験がある石井菜穂子氏が理事,吉田 民氏が監事として続投する。

 監事を含む執行部は計11人で現状,女性は非常勤を含め理事3人,監事1人の計4人。新執行部では6人となり,過半数を占める。藤井氏は次期学長に内定後,日本経済新聞の取材に「社会との連携や産学共創を効果的に進められる組織をつくる」とし,多様な人材の登用を進める方針を示していた。

 東大は20年の学部入試の合格者に占める女子の割合が約19%にとどまり,目標の2割を下回っている。執行部の女性を増やして男女共同参画に積極的な姿勢を示し,学生や教職員に多様な人材を呼びこみたい考えだ。

 国立大の執行部は男性中心の構造が続く。国立大学協会によると,2020年5月時点で国立大の学長,理事,副学長に就く女性は合計で全体の9.4%。目標の12%を下回る。同協会は今〔2021〕年1月,2025年までに2割以上に引き上げる目標をかかげた。

 東大関係者によると,2月時点の旧帝大や指定国立大計11校の執行部で,女性が過半数を占める大学はないという。(引用終わり)

 この記事が伝えている東大執行部・経営陣中の女性理事などの比率増員はさておき,日本の大学,それも頂点校での問題となるが,先進国中では非常に後れている話題があった。それは,記事のなかでも触れていた女子学生の割合のことである。

 東京大学の女子学生比率」『チャリツモ』020.07.16.Thu / update:2020.09.10,https://charitsumo.com/number/19021 という記述から,つぎの段落を引用する。日本の先進国「性」のなかにうかがえる〈後進国性〉のありかが,露骨に現象しているひとつの事例であるもかしれない。なぜ,東大でそうなっているのか,という観方が必要になるはずである。

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 東京大学と同じ旧帝国大学における学部生の女性比率は,北海道大学28.8%,東北大学26.6%,名古屋大学30.3%,京都大学22.3%,大阪大学34.3%,九州大学29.1%と,東京大学よりは女性比率が高いものの,半数に遠くおよびません。

 

 一方,世界のトップ大学の女子学生比率を見てみると,オックスフォード大学(イギリス)46%,ハーバード大学アメリカ)49%,北京大学(中国)46%,シンガポール国立大学シンガポール)51%,シドニー大学(オーストラリア)58%となっており,日本のトップ大学と異なり,女子学生と男子学生の比率はほぼ半数です。

 補注)参考にまでくわえておくと,韓国のトップ大学であるソウル大学の女子学生比率は40%とのこと。

 

 「2020年までに,社会の指導的地位に女性が占める割合を少なくとも30%程度とする」という目標をかかげたのは,2003年の小泉政権時代。しかし,目標年限であった2020年を迎えてもなお目標と程遠い現実を前に,日本政府は2020年中の達成は不可能だと判断。期限を「2020年」から「2030年までの可能な限り早期」に繰り延べする調整をはじめています。

 

 先送りしてもなお「社会の指導的地位に女性が占める割合を少なくとも30%程度」という目標の実現はむずかしいかもしれません。なぜなら,政界・財界・学術界・法曹界や科学の分野で指導的地位につく人材を育成しているはずの東京大学の女性比率が,2003年以降もほとんど改善されていないのですから。(2003年の15.6%から比べるとわずかに増えたものの,2008年の19.3%以降はほぼ横ばいで推移している) 

 東京大学卒業生のエリート意識は最高級である。とくに法学部卒の人間は他学部卒を下にみている。医学部卒はその相手として別格だが,そういう特別な自意識をもっている法学部卒は,同じ東大卒のほかの出身者からみても,鼻持ちならぬ者どもに映るそうである。

 以前,ある家の息子さんが東大法学部を卒業する時期の話であったが,そのお父さんに聞けたことには,就職先は住友銀行に決定していて,銀行側はその息子さんに対して「あなたの将来は特別に待遇するつもりだ」と口頭で保証していたという。

 その話題はともかく,日本のエリート国家官僚のうち,その圧倒的多数をいままで排出してきた東大卒の人びとがおそらく対象にならざるをえない一文が,つぎのコラム記事の内容である。 

   ◆〈経済気象台〉公務員倫理とは何なのか? ◆
    =『朝日新聞』2021年3月3日朝刊10面 =

 

 いま,手元に国家公務員倫理審査会が編集した『国家公務員倫理教本』という30ページほどの小冊子がある。そもそもは,1990年代にあいついで露呈した公務員の不祥事を契機に,1999年に制定された国家公務員倫理法と,2000年制定の国家公務員倫理規程の解説書である。公務員向けの指南書だが,ビジネス社会における倫理問題を考えるさいにも,きわめて有益な代物だ。

 

 20年の歳月を経て,またぞろ総務省農林水産省の複数の幹部らによる倫理違反事案が発覚した。倫理法は「職務の執行の公正さに対する国民の疑惑や不信を招くような行為の防止」を図る目的で制定されており,そこでは,利害関係者との間の規制について,詳細な解説が施されている。

 

 今般,とくに問題になっているのは,許認可権をもつ総務省の管轄下にある放送関連事業者の会社役員による,接待漬けの事案である。同社に勤務する菅 義偉首相の長男が深く関与していた。

 

 思い起こすのは,安倍晋三前首相の時も,獣医学部新設の申請をしていた加計学園の理事長と首相みずから懇意にしていた事実,さらに新設予定の小学校の認可にさいして,安倍昭恵氏との密接な関係が指摘された森友学園の事案とも相通じる。人事権を握られている立場の者には逆らえず,忖度するというのであろうか。

 

 倫理の問題は「疑わしきは避ける」という潔癖な信念と覚悟を保持できているかということである。関係者の国会答弁を聞くにつけ,「当初は利害関係者とは思わなかった」という低レベルの弁解に終始した。まさに,恥を知れといわざるをえない。いまこそすべての公務員が,真に国民全体の奉仕者であるかを謙虚にみつめなおすべきである。(惻隠) 

 そうはいっても,そもそもの話,安倍晋三前首相や菅 義偉首相たちがその「恥を知れ」と諌言されるべき相手としては,まずもって筆頭に挙げられる人物たちであった。最近,菅の息子正剛(正剛)が渦中の人間となって登場する事件が発覚した。そして,さらにそこに登場する国家高級官僚として1人のこの女性もいた。 

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 総務省の幹部が放送事業会社「東北新社」に勤める菅 義偉首相の長男・正剛氏らから接待を受けていた問題で,〔2021年〕2月25日の衆院予算委員会に内閣広報官の山田真貴子氏が参考人として出席した。

 

 総務省は2月24日,国家公務員倫理規定における「利害関係者」から供応接待などを受けたとして,谷脇康彦総務審議官ら11人の処分を発表。一連の問題が明るみになるなか,山田氏も総務審議官だった2019年11月に正剛氏ら東北新社幹部と都内で会食していたことが発覚。国家公務員倫理規定に抵触する接待だと指摘されている。

 

 山田氏は「総務省在職中の国家公務員倫理法違反にあたる行為」と認めたうえで,「公務員の信用を損なうことになったことを深く反省しております。本当に申しわけございませんでした」と謝罪した。

 註記)吉川 慧「山田内閣広報官,菅首相の長男との7万円接待を謝罪。当時の記憶は『曖昧』と答弁」『BUSINESS INSIDER』Feb. 25, 2021, 11:15 AM,https://www.businessinsider.jp/post-230262

 この山田真貴子はその後辞職していたが,国会に招致されるのが怖いのか,それとも菅 義偉側に示唆されてそう決断したのかは判然としていない。こうなるとともかく,国家高級官僚の世界だけではすでに,「男女雇用機会均等法」的な価値基準がしっかりと認知され,実現もしていたとみてよい。

 すなわち,国家高級公務員に向かっては,ことあるたびに「恥を知れ」といわねばならない場面だけはすでに,彼らの男女いかんを問わず「機会を均等に与えられている」「官僚たちの独自の世界」として,常時用意されている。そして,本当にそうだとしたら,それは,ただに「日本の3流政治」的な「風刺漫画の画材」を,豊富に提供していることにもなる。JOCの理事会が女性理事を「パーキンソンの法則」的に増やす予定など,まだかわいくみえる努力ぶりであった。

 それにしても森 喜朗・前五輪組織委員会会長は,あくまで逆説的な評価に過ぎないけれども,とても「イイ,仕事をしてくれた」ものである。

 森君,偉大なる反面教師として,グッ,ジョブ!!

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   パーキンソンの法則』は新本では販売していないらしいので,古書を紹介。