「トイレのないマンション」に溜まっていく原発廃棄物は,昔風にいえば肥溜め同然の風景,だが後者は十分に発酵させてから再利用(リサイクル)できる肥やし,原発廃棄物の処理は人類にとって未来永劫に大きな負担

 大手電力会社の原発維持「方針」は「再生エネルギーの導入・利用」を阻害・遅滞させる基本要因であり,日本全体のエネルギー政策に対して,手かせ・足かせになっている

 原発は老朽化する以前から厄介ものである宿命を背負っていた,現状において廃炉にした原発も含めて60基も原発をかかえる 日本は,21世紀から22世紀にまでかけて,この原発の後始末に大きな負担を強いられていく宿命にある

 原発廃炉が40~50年の工程内で片付くと考えるのは幻想,東電福島第1原発事故の後始末ついては「その終わりを予言できる占い師」すらいない

 

  要点:1  「トイレのないマンション」である原発と昔風の農地肥料用「肥溜め」とのあいだに「天地の差」があって,その害悪性の程度では「前者が圧巻的にモノスゴイ」が,後者は「誤ってハマって」全身が臭くなる程度でのご愛敬に留まる

  要点:2  もしかすると,東電福島第1原発事故も含めての話となるが,日本の「原発廃炉」問題は,とくにギリシャ神話に登場するイカロスを想起させる

  要点・3 オンボロ原発を無理やり稼働させれば,事故を起こす確率が高くなるのは,どの装置・機械であれその技術的な特性からみて必然的な事情,原発に失敗,つまり,とくに大事故など発生させるわけにはいかない,

  にもかかわらず,使用期間が40年に近づいている原発のみならず,その期間を過ぎた原発でもさらに20年稼働させたいとする「資本の論理」は,東電福島第1原発事故が現在までどのくらい「国民と国家」の日常生活に悪影響を与えつづけてきているかをみていない

【参考記事】

 

 「老朽原発交付金,拡充 再稼働巡り最大25億円」朝日新聞』2021年4月7日朝刊2面

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 運転開始から40年を超える老朽原発の再稼働をめぐり,経済産業省は〔4月〕6日,交付金を拡充し,1原発につき最大25億円を立地県に新たに支払う支援策を示した。老朽原発3基の再稼働への同意を議論している福井県の杉本達治知事はこの交付金を県議会に伝え,議論を進めるよう求めた。

 福井県内で関西電力が再稼働をめざすのは高浜1,2号機(高浜町)と美浜3号機(美浜町)。再稼働での県への交付金は計50億円になる。2町はすでに再稼働に同意し,県議会と知事の判断が焦点になっている。

 経産省福井県に示した6日付の資料では,「交付金の拡充については,40年超運転という新たな課題に対応する立地県に対し,特別に予算の範囲内で1発電所につき最大で25億円を交付する」とした。

 同省資源エネルギー庁によると,交付金は5年間で最大25億円となるみこみ。福井県だけでなく,40年超の運転を控える原発をもつ他の地域にも交付予定だ。

 福井県によると,新たな交付金は,老朽原発に関して県が国に対し,地域振興策の一つとして電源三法交付金の見直し拡充を求めたことへの回答として示された。県は立地2町と協議して配分を決める。

 2021年度の県一般会計当初予算の歳入で,電源三法交付金は 109億円。

 杉本知事は〔4月〕6日,畑孝幸県議長と面談。報道陣に,国や関電の対応について「一定程度の前進があった」と述べた。知事は2月に県議会に議論を求めたが,「(地域振興策など)結論を出す材料がそろっていない」などの指摘が議会側から出て,判断を見送っていた。

 原子力規制委員会に40年超運転が認可された原発は高浜1,2号,美浜3号のほかに日本原子力発電東海第二(茨城県東海村)がある。廃炉が決まった原発以外に,全国で5基が運転開始から35年を超えている。(引用終わり)

 経済産業省・エネルギー資源庁は原発推進の立場から国政に関与する官庁である。原発が事故を起こしたときの問題として最近において一番関心を惹いているのは,地域住民の避難経路などの問題であった。

 その点を配慮してなのか,原発が立地している地元の自治体に対して,経済産業省・エネルギー資源庁が国家政策の立場から与えられる鼻薬的な対策が「銅臭作戦」であった。自治体の首長・議会・市民(住民)たちを黙らせるために採られたその方法が,このニュースにおける要点である。

 東電福島第1原発事故においては,大地震にともなって発生した大津波の襲来によって水没した原発が停止状態に追いこまれた,と解釈されている。しかし,その大地震そのものが,原発のまわりを構造としてたくさん配管されている部品の一部を破壊したにちがいない推理する指摘(これは科学的な根拠が十分ありうる推定として)がなされている。

 ただし大津波の襲来によってその跡は確認しづらくなった。あるいは,確認できる痕跡があってもこれを東電側が認めるわけもないゆえ,大地震の揺れそのものによって破損が発生したという事実があったか否かは,事実として確認のしようがない問題になっていた。

 以上に示唆した問題は,すべて大津波のなかに巻きこまれざるをえなかった関連の要因として,闇のなかに一括的にしまいこまれたと解釈しておく。そういっても,けっしていいすぎではない。ほかの原発では,地震によって配管が破壊(外れる・ズレるなど)されている事実は,実際にいくつも記録されてきた。

 さらにいえば,配管そのもの経年劣化現象にもはなはだしく,その肉厚が異常なまで薄くなって強度不足を起こしていた事例は,あちこちの原発でこれまた,いくらでもみつかっている。けれども,こちらの問題が本格的にとりあげられて議論されていない。とくにわれわれ素人に対しては,その種の話題が提供されることは少ない。

 補注)木村俊雄『原発亡国論-3・11と東京電力と私-』駒草出版,2021年3月には,こう記述されている(以下は,112-113頁から引用)。

 「福島第1の事故後に,私は独自に『事故の解析』をおこなうために,八方手を尽くして,東京電力が隠蔽していた生データを出させることに成功した」。「その生データとは,『過渡現象記録装置』と呼ばれる計算機による記録で,私が注目したのは,燃料の中を流れる冷却水の流量を記録したデータだった」。

 

 「私は,過渡現象記録装置によるデータをもとに,事故原因は津波ではなく,地震の揺れであったとする『地震損傷説』をまとめた」。「この生データとの出会いは,その後の私の人生を大きく揺る動かすこととなった」。

 

 「3月11日の地震の揺れが到達した1分20秒後に冷却水の流れが止まり,燃料を冷やせない状態に陥っていることを示していたのだ」。「一般にも公開されている東京電力の資料によれば,福島第1原発津波が襲来したのは,第1波が15時27分ころ,第2波が15時36分ころのこととされている」。

 

 「地震が発生したのは,14時46分18秒のことだから,福島第1原発津波が襲ったのは,本震の揺れから40分以上もあとのことだ」。「つまり,福島第1の事故原因は津波ではなく,地震の揺れである可能性が高いこととなる」。

 この ① の記事に即してあらためて考えたい論点があった。とくに老朽原発については,慎重に再考する必要があった。つぎの ② は,原発問題についてその廃絶を主張する論調で一環している『東京新聞』の記事から引用する。

 経済産業省・エネルギー資源庁の政策にうかがえる基本路線は,とりわけ大手電力会社の利害を優先する立場を明示しており,再生エネルギーの導入・利用の問題はあとまわしであるか,たいした関心もないように映る。

 

 「古い石炭火力や原発に巨額援助  電気代値上げで負担増の懸念」東京新聞』2020年10月05日,https://genpatsu.tokyo-np.co.jp/page/detail/1697

 発電所をもつ電力会社を援助するため,電気を仕入れて家庭や企業に売る小売会社などが,巨額資金を毎年徴収される制度がスタートした。初年となる2024年度分だけで援助総額は約1兆6000億円に上り,小売会社は電気料金に転嫁しないと電力会社への支払いを工面できない可能性もある。電力業界を支える名目で,国民負担が重くなる懸念が強まる。

 1)   1.6兆円,国の想定大きく超え  新電力に重荷

 制度は火力発電所などを維持・更新し,電力不足を防ぐ目的で経済産業省が主導。翌年度以降も恒久的に援助を続ける。再生可能エネルギーの普及などで電力価格が下がり,主力の火力の収益は低下。しかし火力が減少すれば天候しだいで増減する再エネを補えず,緊急事態に対応できないというのが政府の考えだ。

 補注)再生可能エネルギーの領域だけでは「火力が減少すれば天候しだいで増減する再エネを補えず,緊急事態に対応できないというのが政府の考え」は,エネルギー観としては時代遅れになっている。このような基本姿勢を構える経済産業省・エネルギー資源庁には,21世紀における日本のエネルギー政策は任せられない。

 同省・同庁は,一国単位としての日本が今後においてどのようにエネルギー源を確保していけばよいのかという大事な基本政策に関して,まともな理念・方針や方法論・具体策をもちあわせていない。ヨーロッパ各国において再生エネルギーの活用が進み,スマートグリッド体系網を整備しつつある実際とは,まるで無縁というほかない「視野狭窄の独善観」が,島国日本のなかではまかり通っている。

〔記事に戻る→〕 同省などは援助額を決めるために,4年後に必要な国内の総発電能力を推計。電力会社に提供可能な発電能力と希望する代金を入札方式で提出させる「容量市場」の仕組を導入した。だが,7月の初入札で援助総額が想定を上回る1兆6000億円に膨らんだことが先月発表され,小売会社が「受け入れがたい」と批判する事態に陥っている。

 小売業界に新規参入した「新電力」と呼ばれる小規模の数百社にはとくに重荷だ。再エネ電力を中心に販売する「みんな電力」(東京)は「電気代を1割上げないと経営できないレベルだ」と強調する。再エネ志向で新電力に切り替えた消費者にも負担が跳ね返る。

 2)   専門家「容量市場は企業の競争を妨げる」と批判

 一方,傘下に小売会社と発電会社の両方を抱える東京電力など大手電力は,小売部門で負担は増えるが,発電部門では大きな増収がみこめる。原発も含め 100万キロワットの発電所があれば平均で年間90億円前後のお金が入る。再エネ発電事業者の多くは援助制度の対象外のため,お金は入らない。

 NPO法人原子力資料情報室の松久保肇氏は「原発や古い石炭火力の延命につながる」と批判する。すでに元を取った発電所でも大金が入るため,環境に配慮した発電所を新設するより,原発や石炭火力を長持ちさせた方がもうかる可能性があるという。

 エネルギー政策に詳しい都留文科大の高橋 洋教授は「容量市場は企業の競争を妨げ,気候変動対策に反し,消費者負担を増やす」と指摘している。

 3)   再生エネ普及のブレーキにも  新設の「容量市場」

  なぜ発電所をもつ電力会社を援助するのですか。

   再エネ発電の拡大などで最近は電力の市場価格が下がり,主力の火力発電の採算が合いにくくなりました。しかし,雨が降ると出力が低下する太陽光など,再エネは天候によって変動しやすい面もあります。このため経産省は,発電量を比較的調節しやすい火力でバックアップする必要があるとして,火力の維持・建設などを補うことにしました。電気を販売する小売会社が,電力会社を援助する仕組にしたのです。

 

 Q 援助総額はどう決まるのですか。

  A 政府が決めると批判を招くので入札で決めます。国内で4年後に必要な電気の「供給力」を示し,電力会社がそれぞれ「この程度の設備で供給力を維持するから,この金額がほしい」と提示するかたちです。「容量市場」と呼びますが,入札は原則年1回で,株式のように毎日の取引はありません。援助総額が巨額になった一因は,需要ピーク時を1割も上回る供給力を求めたこと。また一部の会社が高額を提示し全体の価格がつり上がりました。

 

 Q 海外はどんな状況ですか。

  A 日本のような制度は米国の北東部などに限られます。ドイツはこの制度を導入せず,電力供給に余裕がない緊急時のみ一部の発電所を動かします。巨大な蓄電池で電力不足に備えようとしている地域もあります。原発や石炭火力まで「棚からぼた餅」でお金が入る日本式は国民負担の増加や再エネ普及の遅れといった弊害が懸念されます。

 要は,日本政府の電力政策は「東電福島第1原発事故」を起こしてしまい,その後10年が経過した現在にあっても,その現場の後始末さえままならず,ましてや廃炉工程にいつになった進めるか分からないといった「まことに悲惨というべきかミットモナイ国内原発事故事情」を抱えている事実にもめげずに,火力発電とともに老朽原発の維持・活用に重点を置くといった,いいかえれば時代錯誤的な迷走ぶりを恥ずかしげもなく披露している。

 日本の経済産業省・エネルギー資源庁は,スマートグリッド方式による電力の発電・給電・配電に関して総合的なエネルギー政策に関心がないわけではないものの,当面する問題を「大手電力会社の利害」を優先させる立場しか念頭にない。これでは,日本はますます再生エネルギーの導入・利用には遅れを取るほかなくなる。

 そもそも一国の最高指導者が示しているエネルギー観からして,時代錯誤を代表する見地を明示している。となれば,話題の進むところ(「お里」)はしれている。菅 義偉首相が原発問題について特別の知識(初歩的な理解でもいいそれ)があるようにはうかがえない。それでも首相としてつぎの ③ のような采配はしていた。

 

 原発新増設狙いか… 温暖化ガス『ゼロ』宣言  菅首相の所信表明」東京新聞』2020年10月27日 06時00分,https://www.tokyo-np.co.jp/article/64429

 菅 義偉首相が宣言した温室効果ガス実質ゼロの実現を理由に,前面に出そうなのが原発の推進だ。石炭火力発電の削減という優先課題に対処せず,東京電力福島第1原発事故後,政府が表立って議論してこなかった原発の新増設へ動きだしかねない。

 ◆-1 省エネ,再生エネとともに強調

 首相が原発に触れたのはわずか15文字だった。それでも,「安全最優先で原子力政策を進める」という表明に,大手電力会社の幹部はわずかな変化を感じとった。「省エネ,再生エネ,原発の3つを強調した。いよいよ原発の新増設を視野に入れているのでは」と話す。

 補注)この「省エネ,再生エネ,原発」というのは,分かりやすく端的に表現するならば,「善,善,悪」の呉越同舟的な表現である。前述したとおり,東電福島第1原発事故の廃炉工程にすらまだ到達できていない〈現場の惨状〉を横目にして,原発の再稼働をさらに推進させたいかのような見地は,程度が悪すぎる。

 2011年「3月11日」に発生した東日本大震災と東電福島第1原発事故に関した話題となるが,たとえば,当時たまたま稼働していなかった4号機においては,「使用済み核燃料」などを移動させて保管していた「燃料プール」から冷却水が完全に喪失した状態になったと,当初断定していたのはアメリカ側の関係当局であった。

 しかし,原発の大事故発生に遭遇した最中にあっても,非常に偶然的な幸運が生じていた。その燃料プールにおいて冷却に必要かつ十分であった水量が,大地震の影響を受けて他所に溜めてあったものから(事故の一環としてであったが)流れこみ,湛えられていた事態が生じていた。この偶然に起きた現象がなければ,4号機ではムキだし状態になった大量の核燃料が数時間後には溶融してしまい,東日本は壊滅状態になる危険性があった。

〔記事に戻る→〕 前の安倍政権は,原発を「脱炭素化の選択肢」という表現にとどめていた。再稼働と小型原子炉など新技術の開発支援を進めてきたが,原発の新増設への言及を避けつづけた。しかし菅政権が原発を脱炭素化の「柱」に据えれば,くすぶってきた新増設が現実味を帯びる。

 補注)ここの表現「脱炭素化」というものは,完全にまやかしの概念であった。原発の利用は,炭素化そのものの増大なしであっても,地球環境を直接に温暖化させてきた。原発また,間接的にも,炭酸ガスを大いに発生させる発電装置・機械である。この点は,原子力工学者のほとんど触れたがらない真実である。「原発⇒脱炭素化」という表現は,基本から錯誤しており,その本性を指摘すればウソになる。

 今月開かれた国のエネルギー政策を議論する有識者会議では「再生エネだけでは脱炭素化はできない」と,原発新増設の必要性を訴える発言も出た。加藤勝信官房長官青森県との会合で,原発の使用済み核燃料を繰り返し使う核燃料サイクルの推進を表明した。

 しかし,核燃料サイクル政策は破綻しており,核のごみの処分先も決まっていない。原発事故の発生から9年半が過ぎても3万人以上が避難を続けている。温暖化対策を盾に,原発の負の側面を無視すれば,そのツケは大きくなる。

 補注)なにゆ,えこの種の「基本から錯誤した原発観」があいもかわらず,空念仏のように反復されるのか不思議である。そもそも,この記事も書いていることだが,「原発の使用済み核燃料を繰り返し使う核燃料サイクルの推進」は,すでに「破綻して」いた計画である。これは過去形でいわれるべき事実であった。

 それを加藤勝信官房長官はもうすぐにでも可能であるかのごとく語っている。加藤の発言は,マヤカシのリクツである以上に,現実をみないで幻想を口走っていた。長官の発言には耳を疑うほかない。

 ◆-2 脱・石炭には電力会社反発

 一方で,政府は,欧州で進む石炭火力発電の削減には本腰を入れてこなかった。日本の温室効果ガスの約4割は発電所などが排出源。2030年までにめざす「非効率石炭火力の段階的休廃止」に関して,電力会社などの反発を抑える抜本策を打ち出していない。

 製鉄所内に建てられた石炭火力の廃止もむずかしい。鉄をつくるさいに排出される石炭由来のガスを燃料に再利用しており,日本鉄鋼連盟特別顧問の小野 透氏は「鉄鋼生産と一体化しているため,発電所だけ止められない」と訴える。

 政府は,電力会社の新設・建て替え計画など石炭火力の温存を容認している。NPO法人気候ネットワーク東京事務所の桃井貴子氏は「欧州など34カ国は脱石炭火力を宣言した。日本も段階的に廃止するべきだ」と政策転換を求めた。(引用終わり)

 要するに,最近における日本の電力事情は,先進国の仲間から脱落している様子を物語っている。経済産業省・エネルギー資源庁の立場は,発電というものに対して抱いている電源「観」が旧態依然のままである。

 しかも,その姿勢に安住していられるつもりであって,そこには別種の危機感が暗示されている。要は,日本政府・経済産業省・エネルギー資源庁は「3・11」以前であれば3割に達していた「原発の電源比率」を,いまだに郷愁している。

 「3・11」以前における日本は,将来における原発の比率を5割までもっていく意向をもっていた。だが,東電福島第1原発事故によってその方向性は完全に阻止されることになった。しかし,この「3・11」の “怪我の功名的な効果” が,事後における日本のエネルギー政策にまともに活かされず,その方向性から外れていた事実もすなおに認められない頑迷固陋を維持したまま,現在まで来ている。

 「火力発電(原発を含めない場合)のその代替電源」に「原発を利用する」という発想は,エネルギー政策の実践としてはかぎりなく邪道である。邪道である理由は,つぎの ④ の記事を借りながら議論する。こちらでは,原発関連の廃棄物をどこへ処分したらいいのかという問題が書かれている。

 

 「〈真相深層〉核のごみ 縦割りの壁 最終処分場の選定進まず 先送りの連鎖,廃炉に影」日本経済新聞』2021年4月7日朝刊2面「総合1」

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【参考記事】-すでにかかげたことのある画像資料であるが,ここにも出しておきたい。上の画像と同じ場所ではない地域のものと思われる。袋の色が全然異なる。

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 原子力発電所などから出るさまざま々な放射性廃棄物の最終処分場が決まらない。東京電力福島第1原発の敷地内や周辺には,汚染された土壌やがれきが行き場なく「中間貯蔵」されている。全国の商用原発廃炉するさいに出る廃棄物の処分場も決まっていない。同じ放射性廃棄物でも処分場の官庁など選定主体も異なる。将来世代に負担を残さないためにも早急な解決が必要だ。

 補注)この「中間貯蔵」とか「最終処分場」というコトバ:表現は,原発問題とくに東電福島第1原発の「終わりなき顛末」を示唆している。放射性廃棄物を「最終処分をしておく場」がみつからない状況は,これまでもあれこれ議論されてきた問題であるが,おそらく今後もおなじように対応していくほかない問題である。

 福島第1原発では廃炉作業が進む。2月に訪れるといまでも1号機の骨組が露出し,がれきが撤去されず折り重なって残っていた。東電担当者は敷地北側の空き地を指して「敷地内の廃棄物などを集める処分施設を作る」と説明した。

 福島第1では2030年ごろまでに約77万立方メートルの廃棄物が出ると東電は試算する。経済産業省や東電によると,敷地内に保管や処分の施設を2021年から建設するという。将来は最終処分場に移す考えだが場所は未定だ。東電は「国と東電,福島県などが協議して決める」と語るが議論は進んでいない。

 1) 期限は2045年まで

 原発事故による放射性廃棄物原発敷地外にもある。飛散した放射性物質によって汚染された土壌やがれきだ。処理を担う環境省は,福島第1周辺の1600ヘクタールの敷地を中間貯蔵施設とする。最終的には約1400万立方メートルにもなる。2045年までに福島県外に運ぶ約束だが,最終処分場は決まっていない。

 補注)「期限は2045年」だと説明されているが,今年(2021年)から24年先のことをいっている。ところで業種はまったく異なるが,帝国ホテルが自社ビルを建て替える計画を発表していた。

 〈東京大改造〉帝国ホテル東京が建て替えへ,2030年代見据えた最大級再開発『内幸町1丁目街区』」『日経XTEC』2021.03.30,https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00110/00218/ が,おおよそつぎのように説明していた。

 

 2030年代に向けて,東京都心部における最大級の再開発が始まる。場所は皇居の近く,日比谷公園に隣接する「内幸町1丁目街区(東京都千代田区内幸町1丁目)」だ。注目は「帝国ホテル東京」の建て替え。2024年度から順次建て替え,2036年度の完成をめざす。総事業費は2000億~2500億円程度をみこむ。

 

 帝国ホテル東京の本館とタワー館をはじめ,築30年以上が経過した建物が複数立っている。帝国ホテル東京は2020年11月に130周年を迎え,3代目となる既存の本館は1970年の竣工から約50年がたつ。既存のタワー館も同38年が経過し,いずれも老朽化が進んでいた。

 

 帝国ホテルは,「コロナ禍で経営環境はきびしく,先行きが不透明ではあるものの,日本を代表するホテルとしての社会的使命を引きつづきまっとうしていくべく,アフターコロナを見据えた将来性のある企業価値向上への取り組みとして,建て替え計画の実施方針を決定した」とコメントを発表した。

 

 今後,帝国ホテルは既存のタワー館を解体したのち,敷地を分筆。土地の共有持ち分の一部を三井不動産に譲渡して,共同で新タワー館を建設する計画だ。同じく既存本館も解体し,ホテル用途の新本館を建設し,所有・運営していく。

 

 2024年度から先にタワー館の建て替えを進めて,2030年度の完成を目標とする。敷地面積は約1.1万m2 で,新タワー館の用途はオフィスや商業施設,サービスアパートメントなどを想定している。

 

 一方,新本館の敷地面積は約1.2万m2 。用途はグランドホテルで,建て替えの実施時期は2031年度から2036年度を予定する。建て替え後も「日本の迎賓館」としての役割を果たす施設となることをめざす。

 この日本を代表する老舗の大ホテルがビル建て替え計画を地域一画のなかで推進することを公表していた。ところが,一方の東電福島第1原発事故はとみれば,その後始末だけでも当初は40~50年かかるといっていたもののが,実際にはいったい,どのくらい先にまでその期間が延びるかさえ,いまだにさっぱり見通しがついていない。

 それどころか,原発事故現場から出る放射性廃棄物などの始末に関してからして,2045年までとかウンヌンされているけれどもその年限で終わるという保証は,まったくないと断わっておく必要もあった。一体全体に,分からないことだらけなのである。

〔記事に戻る→〕 国は2021年度から全国各地で対話集会を開くなど,県外もち出しに向けた活動を強化する方針だ。小泉進次郎環境相は「期限に向けて理解をえられるよう全力を注ぎたい」と語る。福島県の内堀雅雄知事は「県外最終処分の約束を守っていただく」と繰り返し,これまで先送りされてきた問題が動くのか注視している。

 全国の商用原発も同じだ。コンクリートやがれき,使用済み制御棒といった放射性廃棄物が生じる。2020年10月に北海道の寿都町などが文献調査に応募した最終処分場は,使用済み核燃料を再処理したさいに生じる「ガラス固化体」を埋めるためのものだ。原発の解体時に出る放射性廃棄物などほとんどは対象外だ。電力会社は別に最終処分場を探さなければならない。

 廃炉を決めた原発や検討中のものは福島第1を除いて18基ある。日本原子力発電東海原発茨城県),関西電力美浜原発1,2号機(福井県)や四国電力伊方原発1号機(愛媛県)などだ。

 廃炉作業がもっとも進むのは1998年に運転を止めた東海原発だ。低レベルの廃棄物約1万6千トンについて敷地内に埋める計画を原子力規制委員会に申請した。だがそれ以外の放射性廃棄物の処分場は決まっていない。ほかの電力会社も明確に示せないでいる。

 ほかにも大学や研究施設から出る放射性廃棄物については文科省などが所管する。関係官庁が放射性廃棄物の処分で協力する様子はみえない。

 処分が進まなければ予期せぬトラブルを生む。2017年,茨城県大洗町日本原子力研究開発機構の施設では,核燃料物質を入れた袋の破裂事故が起きた。処分先がみつからず長年放置していたことが要因との見方もある。

 2)地元が設置反発

 最終処分場の設置には地元の反発がある。文献調査に応募した寿都町では3月8日に町議会が開かれ,つぎの段階の「概要調査」に進む前に住民投票をおこなう条例を町議会で可決した。住民の不安は大きく,十分な説明や配慮が必要だ。

 「廃炉は大量の廃棄物が発生する。処分地を確保しなければ廃止措置そのものに影響を与えてしまう」。国の原子力委員会が2017年7月,報告書で警鐘を鳴らしてから約4年になるが,先送りの連鎖もあって進捗はない。

 国は脱炭素電源として原子力を活用する方針をかかげ,エネルギー基本計画の議論を進めている。原子力は国策で進んだ。放射性廃棄物の処分地について,国が電力会社と協力し,一元的に責任をもって議論した方が効率的なはずだ。現状のままでは,将来世代に大きな負担を残すことになるだけだ。(引用終わり)

 原発関連で必要性に迫られている「核のごみ」をしまいこんでおくための最終処分場がみつからないでいる。以上の記述をしていて頭に浮かんだのが,リヒャルト・ワーグナー作曲のオペラ『さまよえるオランダ人』(1843年初演)である。

 ※『さまよえるオランダ人(er fliegende Holländer)の「概要」は,こうである。

 

 神罰によって,この世と煉獄のあいだを彷徨いつづけているオランダ人の幽霊船があり,喜望峰近海で目撃されるという伝説(フライング・ダッチマン)を元にした,ドイツの詩人ハインリヒ・ハイネの『フォン・シュナーベレヴォプスキー氏の回想記』(Aus den Memoiren des Herren von Schnabelewopski,1834年)にワーグナーが着想を得て再構成し,1842年に完成し,1843年に初演された。

 原発が絶えず吐き出している最終廃棄物,とくに放射性物質で高度に汚染されているそれは,まさに「さまよえる廃棄物」化している。歌曲である「さまよえるオランダ人」はさておき,こちらの「核のごみ」としての深刻な問題は,本当にこの「地球上をさまよいつづける物質」であるほかない現状を呈している。

 昔の日本,この国土の田んぼや畑にはよくあった肥溜めなかに,その近所で遊んでいた子どもがドボンとハマってしまい,それはもう臭い目に遭ったという話は,いまではそれこそ「〈日本昔話〉の一幕」になっている。若い世代には聞いたこともない〈現実の話〉であったが。

 さて,原発関連の廃棄物問題は,現実的に切迫していて解決を迫られている困難な,つまり「トイレのないマンション」状態を連想させてやまない。それでも日本は,老朽化しつつある原発も含めて,大手電力会社の利害得失の観点にのみ大事するせいか,これからも原発を大いに稼働させたいと希望している。

 「日本の原発問題」はまさしく「さまよえるヤマト人の無理難題」になっている。この現状は,これからも長く未決状態を余儀なくされていく。この解決のために支援できる人材がいないわけではない。だが,これまでは彼らをさんざん阻害させいじめぬいてきた。それゆえか,原発推進派の人びとは,彼らに対してすなおにモノを頼めないのかもしれない。

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