原子力村:マフィアの日本的形態は非常識と専横・独断を特性とする安倍晋三(前)政権の基本特質と合致,日本の政治・経済を壟断し,この国を破壊した(1)

        (2011年5月15日,更新 2019年10月10日,再更新  2021年4月22日)

 関西電力の会長や社長たちが現象させた「金品受領事件問題」の「犯罪性」問題は,ある意味では「原子力村・マフィア」の庭にあざとく咲いたあだ花

 

  要点・1 人間の寿命よりもより永くつづく原発事故の後始末作業

  要点・2 原発の《悪魔の火》は「永遠に不滅です」

 

   2006年12月13日「参議院における吉井英勝議員と安倍首相の原発事故防止関連の質疑応答」-専門知を完璧に理解できないまま,相手を愚弄していた安倍晋三の無知蒙昧-
 
 なお,吉井英勝議員〔当時〕(日本共産党)は,京都大学工学部原子核工学科卒の国会議員である。福島第1原発が事故が発生する5年前に〔ここでは2006年のこと〕,以下のごときやりとりが国会内で交わされていた。真剣に対策をとっていれば,「3・11」の原発事故は防げた可能性が高い。

 補注)吉井英勝(よしい・ ひでかつ,1942年生まれは,現在,日本共産党中央委員,原発・エネルギー問題委員長で,衆議院議員を7期,参議院議員を1期務めてきた。

 吉井英勝議員「海外(スウェーデン)では二重のバックアップ電源を喪失した事故もあるが日本は大丈夫なのか」
  安倍晋三首相「海外とは原発の構造が違う。日本の原発で同様の事態が発生するとは考えられない」

 

 吉井議員「冷却系が完全に沈黙した場合の復旧シナリオは考えてあるのか」
  ⇒安倍首相「そうならないよう万全の態勢を整えている」

 

 吉井議員「冷却に失敗し各燃料棒が焼損した(溶け落ちた)場合の想定をしているのか」
  ⇒安倍首相「そうならないよう万全の態勢を整えている」

 

 吉井議員「原子炉が破壊し放射性物質が拡散した場合の被害予測を教えて欲しい」
  ⇒安倍首相「そうならないよう万全の態勢を整えている」

 

 吉井議員「総ての発電設備について,データ偽造が行われた期間と虚偽報告の経過を教えて欲しい」
  ⇒安倍首相「調査,整理等の作業が膨大なものになることから答えることは困難」

 

 吉井議員「これだけデータ偽造が繰り返されているのに、なぜ国はそうしたことを長期にわたって見逃してきたのか」
  ⇒安倍首相「質問の意図が分からないので答えることが困難。とにかくそうならないよう万全の態勢を整えている」

 このように安倍晋三総理大臣(当時)は,こと,原発問題に関していえば「万死に値する」政治屋でしかなかった事実が記録されていた。全然「万全ではない態勢で,国会における吉井英勝議員の質問に,「木で鼻をくくる」という表現よりももっと程度の悪い態度で応じていた。まるで国会は “ヨウチエンのお庭” と化していた。

 2013年9月,アルゼンチンのブエノスアイレスで開催された「第125回国際オリンピック委員会(IOC)総会」において,安倍晋三は,2020年に東京でオリンピック大会を招致するための演説をおこなったなかで,あの有名な大のつくウソを吐いた。

   “ The situation is under control. ” ……だと。

 その後,今日は2021年4月22日であるが,2020年初めから猛威を振るいだしたコロナ禍のために,2020東京オリンピックの開催は1年延期とされていた。また,3カ月あとのこの夏に実施できるかどうかも,あやしい雲行きである。

 前首相の安倍晋三が首相在任中に手に入れられるはずだった,つまりオリンピックを開催させえた場合,日本国総理大臣としてえられたはずに栄誉は立ち消えになった。今夏における2020東京オリンピックの開催は,開催不可能になる可能性が高い。

 「最近の情勢」をうかがっていると,日本国じたいが,五輪中止という「負の遺産(レガシー)」発生に対する覚悟を迫られている。アベのことば「アンダーコントロール」は,「東電福島第1原発事故」と「2020東京オリンピックの開催」を癒着させる,いいかえれば,一体的に溶融させるための〈合いことば〉になっていた。

 いまでは,そのアンダーコントロールという虚偽そのものが,日本の政治の基本特性である「ウソ八百」性を端的に象徴した。東電福島第1原発事故の理解をまともにできない政治屋がいた。

 JOCの前会長だった竹田恒和は,東京はそこから250キロメートルも離れているから,五輪開催にとってなんら支障はないと断言していた。そういって苦もなく,福島県原発事故被害者たちを愚弄する感性を正直に提示していた。

【2021年4月22日の補論】

  「菅首相,宣言出しても『五輪に影響ない』 たびたび示した〔コロナ禍〕感染収束への決意は裏目続きなのに…」『東京新聞』2021年4月22日 06時00分,https://www.tokyo-np.co.jp/article/99616  であったにもかかわらず,この首相はまだ「『ワクチンを前提としなくても安全安心な大会を実現できるよう,感染対策をしっかりおこなっていく』と強調した」と答えた。

 

 菅 義偉は精神論だけはしっかり強弁している。しかし,そうだとなれば,この首相のいうことなどかえって,誰も信用しない。

 

 また,五輪の開催都市の首長である「小池都知事〔は〕『大型連休前にピシッと出すこと必要』〔といって〕 都が3度目緊急事態宣言を要請  状況悪化で前倒し」『東京新聞』2021年4月21日 22時30分,https://www.tokyo-np.co.jp/article/99637 にしてとの方向を示したらしい。

 

 だが,「奇策の応酬」ごっこならば大得意とするこの都知事は,東京都や近隣諸県に及ぼせる混乱惹起に関してならば大いに貢献できていたものの,逆に,地道なコロナ禍対策を講じた実績はない。彼女がただ舌先だけで「ピシッ」と発言したところで,都民や国民に与えうる信頼感はほとんどなくなっている。

 

 そうした情勢のなかで「東京五輪『スパッとやめる』とき? 自民・二階氏も言及,海外から開催見直し求める声」もある『東京新聞』2021年4月19日 18時46,https://www.tokyo-np.co.jp/article/99139分 という報道もあった。

 

 その記事は4月19日の段階においてすでに,新型コロナウイルス感染拡大が「第4波」の襲来を迎えている点や,政府が3度目の緊急事態宣言を発令する方針に触れていた。もっとも,菅 義偉が1カ月前に前回の宣言を解除するさい,「感染拡大を2度と起こしてはいけない」と固い決意を語っていた割には,その結果はまったく出ていなかった。それでも首相は、東京五輪パラリンピックの開催には依然として強いこだわりをみせている。

 

 安倍晋三も首相としてそうであったのと同じかそれ以上に,この現総理大臣の采配ぶりときたら,実体としてはよろめくように右往左往してきたに過ぎない。4月中旬にはまた,アメリカの新大統領に初めて会った外国首脳として菅 義偉は訪米したが,「子どもの使い」にもならない体たらくを露呈させる赤恥を,世界に向けて発信していた。

 

  高浜町の元助役森山栄治の問題:「そもそも,なぜ,元助役はこれだけ広範に金をばらまく必要があったのか」と問う記事,「元助役の死にも疑念『越後屋の小判』怪文書と謎解き〈上〉」『日刊ゲンダイ』2019/10/08,https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/262949
 
 a) この『日刊ゲンダイ』の記事は「『原子力ムラ』でカネがぐるぐる回る」と形容して,つぎのようにまとめていた。

 関西電力の高浜原発を舞台にした原発マネーの還流問題は,永田町を巻きこむ大スキャンダルに発展しそうな様相だ。キーマンとされる福井県高浜町元助役の森山栄治氏が鬼籍に入ったのをいいことに,関電は森山氏の “特異性” にすべてを押しつけ,逃げ切ろうとしている。

 しかし,「死人に口なし」「関電の破廉恥」では終わらない。「越後屋の小判」をめぐる謎と闇は深まる一方である。

 問題発覚の端緒は,2018年1月の金沢国税局による査察だ。森山氏が顧問を務めていた建設会社「吉田開発」(高浜町)に対する税務調査で,同氏に3億円の手数料が支払われていたことが判明。

 6月ごろには森山氏宅から関電幹部への金品提供に関するメモがみつかり,関電は7月に社内調査委員会を設置。9月には調査結果をまとめたが,岩根茂樹社長は「不適切ではあるが,違法性はない」として取締役会に報告せず,秘匿を続けていた。

 b) 事情をしる関係者がマスコミなどに送付した内部告発文書がここへきて出回っているが,腐敗した関電経営陣の総退陣と経営刷新を求めたものの無視されたと明かし,こう記していた。

 もっとも看過できないのは,原発の建設,運転,定期点検,再稼働工事の過程で,工事費等を水増し発注し,お金を地元有力者,および国会議員,県会議員,市長,町長等へ還流させるとともに,原子力事業本部幹部職員が現金(億単位)を受けとっていたことであります。

 指摘どおり,原発マネーは関係先をぐるぐると回っていた。森山氏を通じて吉田開発から関電役員らに渡った金品は,少なくとも計3.2億円。助役退任後の同氏は吉田開発顧問のほか,原発メンテナンス会社(兵庫県高砂市)相談役,警備会社「オーイング」(高浜町)取締役,さらに関電子会社「関電プラント」(大阪市)顧問に就いていた。

 吉田開発とメンテナンス会社は,関電プラントから3年間で計約113億円の工事を受注し,オーイングは関電の原発警備を一手に引き受け,福井県警の天下り先の機能も果たしている。巨額の金品は受注のキックバックなのか。森山氏を起点にあらゆる方面に原発マネーが流れ,原子力ムラに巣くう構造が浮き彫りである。

【参考画像資料】

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 2019年9月27日あたりから報道されだした関西電力最高幹部たちの「金品受領事件問題」の「犯罪性」が,企業統治コンプライアンス)の問題を中心に,今日〔10月10日〕になっても,新聞などで大きく報道されていた。

 c) 関西電力は10月9日,臨時取締役会を開き,元役員ら20人が福井県高浜町の元助役(今〔2018〕年3月に死去)から金品を受領した問題で同社は,八木 誠会長と岩根茂樹社長の辞任を正式に決めた。八木会長は退職金を受けとらないことも判明した。 ただし岩根社長は当面留任し,弁護士4人で新設される第三者委員会の報告後に辞任する意向を示した。

 ここに至るまで関西電力の最高幹部たちは,会長と社長が辞職に追いこまれる事態をかかえこんでいた事情について,たとえば八木会長は,

 「(金品を)もらってはいけないと分かっていたが,いったんお預かりせざるをえなかった。(断ると)原子力運営に多大な影響がある,との思いのなかでやってきた。個人の判断にゆだねて,会社として組織的に毅然と対応する判断ができなかった」と弁解していた。(記事引用終わり)

 だが,仕事がいくら忙しいからといっても,そこには「猫の手を借りたかったような忙しい種類の話」とはまったくわけが違う事情があったはずである。会社役員収賄罪の疑惑を生むような「金品の授受」に関する話が,まるでコインロッカーにモノを預けるみたい語れる(いいのがれようとする)感覚は,理解に苦しむ。

 d) 本日〔2019年10月10日〕の『朝日新聞』社説は,論題を「関電首脳辞任 経営を一新できるのか」と付し,前半の部分でこう批判していた。

 きびしい批判にさらされての,経営首脳らの辞任である。しかし,原発事業に伴う根深い癒着を一掃し,企業統治の不在をただすことができるのか,その見通しがたったとはいえない。

 

 関西電力の八木 誠会長と原子力事業本部にかかわった4人の役員らが辞任し,岩根茂樹社長も辞任の意向を表明した。高浜原発がある福井県高浜町の元助役から巨額の金品を受けとっていた問題で責任をとった。

 

 金貨や商品券などを受領していた八木氏は,問題発覚の直後は「個人的なこと」として説明を拒んだ。その後,1年前にまとめていた社内調査報告書を公表しつつ記者会見に応じたが,引責辞任は否定していた。

 

 社会の常識とのズレに,あらためて驚く。受けとりを強く迫る元助役に対して断われなかったと関電は強調するが,そんな説明は通らない。他の役員も含めて辞任は当然だ。しかし,今回の問題は一部役員の引責で済む話ではない。(以下,後略)

 関西電力幹部たちがここまで世間の常識とは大きくズレて対応する態度を示してきた経過からは,いわゆる原子力村:マフィアを組んでいる仲間たちのうちでも,とくに有力な一員である関電であるゆえか,経営者である八木 誠会長や岩根茂樹社長の発言には「社会を舐めきった気分」が横溢していた。

【関連事情の補足】

 電力会社の業界団体である電気事業連合会電事連)の活動は,豊富な資金力を背景にマスメディアや経済界だけでなく,政界にも大きな力をもっている。しかし,その活動の多くは謎に包まれている。

 

 電事連「歴代の会長」のうち,「3・11」以降を以下に紹介しておく。

 

 電気事業連合会「歴代会長」(2010年,14代以降)

    14代 清水正孝 2010年6月-2011年4月(東京電力社長)
    15代 八木 誠 2011年4月-2016年6月(関西電力社長)
    16代 勝野 哲 2016年6月-2019年6月(中部電力社長)
    17代 岩根茂樹 2019年6月-2019年10月(関西電力社長)
    18代 勝野 哲 2019年10月-2020年3月(中部電力社長
    19代 池辺和弘 2020年3月- 現 在  (九州電力社長)

  付記)九州電力社長が19代会長になったが,電気事業連合会の会長になった九電社長は初めてであった。それまでは,東京電力関西電力中部電力が「2:2:1」ほどの比率・度数で会長になっていた。「3・11」以降は東京電力社長からこの電事連会長に就いた者はまだいない。

 つまり,われわれ一般庶民の立場からすれば,関西電力幹部にだけ限定されうるその「気分」ではない点は,敏感に汲みとっておく余地がある。関西電力を含む原子力村:マフィアが保持する強大な権力性は,かつては,電力会社の筆頭格である東京電力(なぜか関東電力という社名ではない)に一番よく反映されていたように,なにものも寄せつけないほど堅牢であった。

 e) しかし,2011年「3・11」を契機に,原子力村:マフィアの権勢地図は多少変化してきた。電気事業連合会の歴代会長は,東電福島第1原発事故以来,東電の社長を登場させなくなった。それなりに同村:マフィア内では,勢力図絵がいくらか変化した。とはいえ,原子力村:マフィアじたいの社会組織的な本質・本性に,基本の変質が生じたことはなかった。

 そうした一定の背景を控えてもいた事件発覚ではあったが,今回における「原発マネーの還流問題」は,関西電力最高幹部たちの「金品受領事件問題」に関した自己認識のありようまで問われていた。もちろん「犯罪性」の臭いを紛々とバラマキながら発生させていた「出来事」であった。

 いずれにせよ,当初から八木 誠会長や岩根茂樹社長がみせていた態度は「日本の社会を完全に舐めていた」。関西電力幹部たちは,自分たちもが主にかかわってきた「会社役員収賄」(事件)の問題に対して向けられた社会からの批判を,軽くいなせるかのように構えていた。

 つまり,「関電の常識」は「世間の非常識」ではない事実,いいかえれば,その「世間の非常識」を「関電の常識」が認めていなかったところにこそ,彼らに側において固有である「原子力村:マフィア」的な情理の傲慢さが充満していた。

 ② の記述としては以上のとおりであるが,本ブログ「旧(々)版 2011年5月15日におけるある記述」を,つぎの ③ の構成部分として復活させておきたい一文があった。こちらの記述は,今回における「関西電力幹部たちの収賄事件」と指称された事件が,いまごろにもなってやっと浮上してきた事実を踏まえてとなるわけだが,あらためてしかと回顧されるべき「日本原発史」の事情・背景を語っていた。

 以下は主に,いままで長期間(5年以上〔10年ほど〕)退蔵していた旧い記述であるが,読みなおしてみたところ,現在における「日本的な原発事情」に対して,まだまだ有効な議論を展開していると感じた。それゆえ,以下にこの記述を復活させることにした。

 その論題は「日本国が原発を導入した歴史的な理由とその顚末」(本ブログ旧〔々〕版,2011. 5. 15)であった。8年半〔10年〕近く以前の記述であったが,まだ現在に通用する中身として読んでもらえるとしたら,いったい,どのような含意があったかという点を,とくに意識して再掲したつもりである。

 

  被爆国が原発事故で再び被曝している悲劇
       -福島第1原発の終焉が意味するもの- 

 1) 日本の原子力発電所

 世界における原子力発電所設備容量(2008年1月現在,日本原子力産業協会他)は,アメリカが 104基で 10,606万キロワット,フランスが 59基で 6,602万キロワット,そして3番目に日本の 55基〔2011年3月では54基〕で 4,946キロワットであった。

 この発電出力は,日本で2位の電力事業会社である関西電力1社だけの供給電力(総量)が 3,576万キロワットであった事実と比較してみるといい。

 2) アメリカに原発導入を指南された日本

 マル激トーク・オン・ディマンド 第526回(2011年05月14日),『ゴジラ鉄腕アトム田中角栄原発大国への道』でゲストのジャーナリスト武田 徹は,大約つぎのように語っていた。

 --地震国で津波も多く,平地面積も少ない日本は,原子力の恐ろしさを誰よりもしっているはずなのに,なぜ原発大国への道を選んだのか?

 ゴジラ鉄腕アトム から大阪万博を経て,田中角栄電源三法,そして今日の福島〔2011年「3・11」原発事故〕に至る道のりを回顧すれば,どうして今日日本が,54基もの原発を抱える世界有数の原発大国になっていったのか,その道程がみえてくる。

 補注)2021年3月22日時点における原発稼働状況など諸事情。

 

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 被爆国日本は,原子力の威力を痛感させられてきた。日本国憲法の起草の過程でGHQに聞かされた「原子力の日光」が,当時唯一の核保有国だったアメリカの権勢を象徴する一言として,戦後の日本の針路に決定的な影響を与えた。

 日本人にあっては,原子力に対する複雑でアンビバレント(二律背反的)な感情が色濃く反映されていた。政治家として中曽根康弘は,若いころからその点を理解してきたつもりであった。

 原子力の威力も怖さもしっている日本が,最初に原子力開発への第一歩を踏み出したきっかけは,アメリカの意向にあった。

 1951年にサンフランシスコ講和条約が締結され,アメリカのアイゼンハワー大統領が国連演説のなかで「原子力の平和利用」を提唱した1953年,日本では原子炉建造予算2億3500万円が国会で可決している。

 その予算案を改進党の中曽根康弘代議士が提出したのは,アメリカによるビキニ環礁の水爆実験に日本の第五福竜丸被爆した2日後であった。

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 付記)写真は帝国海軍士官時代の中曽根康弘,28歳。
 出所)http://nakasone-family.blog.so-net.ne.jp/2010-05-01-2

 アメリカが日本に原子力発電を奨めた理由は,冷戦下における自由主義陣営に原子力の果実の分け前を与えることで,日本などの同盟国の共産化を防ぐ意図があった。日本では1960年代から続々,原発の建造が始まったが,この段階ですでに原発はさまざまな問題:負の遺産を生みだしていた。

  そして,1972年7月に田中角栄首相が登場すると,原子力政策は決定的な変質を迎える。「日本列島改造論」の一翼を担うかたちで実施された電源三法電源開発促進法,電源開発促進対策特別会計法,発電用施設周辺地域整備法〕は,過疎地への原発の誘致が完全に利権として定着するきっかけを作った。

 自民党衆議院議員河野太郎は,脱原発を明言していた数少ない自民党内の政治家1人であるが,2011年4月30日〔第524回〕のマル激のなかで「自民党原発関係の勉強会や部会には,原発を誘致した地元の議員しか来ていないため,エネルギー政策の議論をついぞしたことがない」と語った。

 要するに,日本の原子力政策は,エネルギー政策という表の顔のほか,地元への利益誘導や過疎地への再分配政策という裏の顔を併せもつかたちで,今日まで推進されてきたのである。
 注記)http://www.videonews.com/asx/marugeki_backnumber_pre/marugeki_526_pre.asx

 補注)河野太郎はその後,第2次安倍晋三政権において閣僚に抜擢されると「脱原発」の立場を豹変させ,完全に棄却した。節操のない本質をみずから暴露していた。河野太郎世襲政治家の3代目である。日本の政治を劣化させてきた代表的な政治屋の1人。

 3) アメリカの過去からの警告

  戦後体制のなかでアメリカ主導のもとに建設されはじめた日本の原子力発電は,いまでは〔ここでは2011年「3・11」より以前の時期〕,世界第3位の原発基数を誇る〈原発大国〉になった。しかも「世界で唯一の被爆国」の体験を有する国として,であった。

 しかし,あの戦争が終結するほんの少しまえの時期を狙い,日本に対してわざわざ2発の原爆を投下したアメリカではあったが,実は「つぎのような戦後の国内事情」をかかえこむようにもなっていた。この事実は,日本の国民が広島・長崎や第五福竜丸被爆記録をよくしっているのに比べ,いまだにほとんどしられていない。

 春名幹男『ヒバクシャ・イン・USA』岩波書店,1985年は,アメリカが国内で実施してきた核開発・核実験のために,各地に放射性物質の汚染が広がっている事実を指摘している。

 戦時中のマンハッタン計画は,広島に投下した濃縮ウラン原爆「リトル・ボーイ」,長崎に落としたプルトニウム原爆「ファット・マン」の開発・製造に成功したことで所期の目的を達成した。しかし,その陰でどれほど大量の核廃棄物が乱暴に捨てられたことか。ナイアガラの滝近くの施設,東部の静かな郊外の住宅街の真ん中,大学の構内……〔など〕。

 戦後も,冷戦の深刻化でアメリカの核兵器開発にはいっそうの拍車がかかった。しかし,マーシャル初頭やネバダなどで繰り広げられた大気圏核実験の陰で,約25万人といわれる原爆復員軍人や,約17万人にのぼるネバダ核実験の風下住民の健康問題が顧みられた事実があるのか。

 核軍備の増強と並行して,原子力の商業利用に向けた発電用の原子炉の開発も戦後,急ピッチで勧められた。……ウラン鉱の需要はますます増大し,それに伴って大量の核廃棄物がはき出された。だが,ウラン鉱の開発に駆り出されたインディアンらの健康や廃棄物の行方は,いったいそれほどの関心が払われたのか。

 アメリカは今後,老朽化した原子力潜水艦の廃棄にもとり組まねばならない。商業用の原子力開発でも,原子炉の欠陥や事故,作業員の被曝,廃棄物の処理など,未解決の多くの深刻な問題を抱えている。

 そして,それはそのまま,戦後欧米から技術を導入して発展してきた日本の原子力産業の問題でもあるのだ。将来にわたって “ヒバクシャ” を出さないために,アメリカの各開発とその裏面の被害という深刻な警告から,私たち日本人はなにを学びとればよいのか。

 注記)春名幹男『ヒバクシャ・イン・USA』はじめに2-3頁。

 廃棄された核兵器の後始末はむろんである。ところが「商業用の原子力発電所から出る低レベルの核廃棄物も,1960年代初め以来,全米6カ所の浅い土中に」「埋設処理されてい」た。

 「このうち最大の処理場は,核再処理工場建設地の南カロライナ州バーンウェル」「その他ハンフォード,ネバダ州ビーティ,ケンタッキー州マキシフラッツ,イリノイ州シェフィールド,ニューヨーク州ウェストバレーにもあ」った。

 「1980年末に成立した『低レベル放射性廃棄物政策法』によって,低レベル廃棄物の処理責任は連邦政府から各州当局に移された」。

 「これにもとづいて北東部,南東部,中部,北西部,ロッキー山岳部の6つのグループが成立,それぞれの地域で自主的に処理する方法が検討されているが,新しい処理場はまだどこにもできていない。どの州も喜んで厄介なものを引き受けたくないから」である。

 「検討が続けられている間にも廃棄物の量はますます増える一方」である。
 注記)春名,前掲書,216頁。

 反原発の立場を貫いてきた広瀬 隆は以前から,2011年3月11日に発生した東日本大震災の大地震・大津波の襲来によって発生した福島第1原子力発電所の原子炉溶融事故などの可能性を指摘し,その 危険性を警告していた。このたび急遽,『福島原発メルトダウンジョン・ウェイン画像-FUKUSHIMA-』朝日新聞出版,2011年5月を執筆・公刊していた。

 広瀬は 『東京に原発を!-新宿一号炉建設計画-』宝島社,1981年や『ジョン・ウェインはなぜ死んだか』文藝春秋,1982年も公刊しており,一貫して「原発の危険性」を警告してきた。

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 付記)写真はジョン・ウェイン。72歳で胃ガンで死んだが,ある映画撮影がネバダ核実験場の100マイル風下でおこなわれたことが,その死因であると考えられている。

 出所)http://hoboart.exblog.jp/13417458/

 4) 原子力空母が攻撃・撃沈され,搭載の原子炉が損壊したら,どうなるか

 アメリカでは原発の新設がこのところ不活発であった。だが軍事方面に目を向けると,アメリカ海軍の保有する原子力空母は,2019年現在では,つぎの艦名のとおりであった。これら以外に建造中である2艦も※-3に付記しておく。

 ※-1ニミッツ級

   ニミッツ
   ドワイト・D・アイゼンハワー
   カール・ヴィンソン
   セオドア・ルーズベルト
   エイブラハム・リンカーン
   ジョージ・ワシントン
   ジョン・C・ステニス
   ハリー・S・トルーマン
   ロナルド・レーガン
   ジョージ・H・W・ブッシュ

 

 ※-2「ジェラルド・R・フォード級

   ジェラルド・R・フォード

 

 ※-3「ジェラルド・R・フォード級」で建造中

   ジョン・F・ケネディ 建造中
   エンタープライズ 建造中

 太平洋戦争開始後,約半年が経過した1942年6月5日(アメリカ標準時6月4日)から7日にかけて,ミッドウェー島をめぐって米日両海軍は海戦をおこなっていた。同島の攻略をめざす日本海軍を,アメリカ海軍が迎え撃つ攻防線であった。

 日本海軍はこの海戦で,機動部隊の中核をなしていた主力航空母艦4艦 〔赤城,加賀,蒼龍,飛龍〕とその艦載機を一挙に喪失した。アメリカ海軍は空母2艦のうちヨークタウンを喪失したが,エンタープラズは確保できた。日本軍はこれ以降,この戦争における主導権を失ってしまった。

 ミッドウェー海戦はいまから70〔80〕年近くも昔の話である。21世紀における現実の海戦を想定する。「原子力空母」への攻撃が「推進方式:動力源」である「原子炉」の破壊となることは,十二分にありうる実際(実戦)的な想定である。アメリカ海軍は,原子力空母各艦の就役を終わらせる時期を,いつか必らず迎えるはずである。

【参考記事】-2021年1月13日-

 そのときどのように,各艦を処理・始末するのか? 原子力問題において解決が困難で深刻な問題が,さらに新しく付加されている。旧ソ連の退役した原子力潜水艦「原子炉」の処理・始末は,いったいどうなっているか?

 原子力艦船は「船の上に原発を搭載している」。前掲「ミッツ級原子力空母1艦の出力は熱出力90万キロワット,発電炉に換算すると約30万キロワットと推定される。これは,関西電力の福井美浜原発1号炉(34.0万キロワット)にも相当する大規模なものである。

 原発安全神話はすでに,事故の多発の実態が明らかになって完全に崩壊している。

 海軍の原子力艦船の原子炉は,陸上に設置された原子力発電所の原子炉と比較して,陸上の原子炉にはない,つぎのような「数多くの原子炉事故」の危険性が非常に大きくある。

  イ)  狭い船体内に設置するために炉心設計に余裕が少ない。
  ロ)  放射能防護のための格納容器が不十分である。

  ハ)  船の上のため絶えず炉心が振動衝撃にさらされている。
  ニ)  海難事故による原子炉や付属設備の破壊・破損がありうる。

  ホ)  寄港や作戦などにより無理な炉の出力調整を強いられる。
  ヘ)  核ミサイルの高性能火薬と同居させられている。

  ト)  交戦による炉の破壊・故障。
  注記)http://www.asyura2.com/0403/genpatu2/msg/112.html

 「原子力推進の艦艇」はいままですでに,最後の ト) 以外の理由・原因などによって「各種の危険な事故」を起こしてきた。これらについて,ここではいちいち触れない。

 ジョージ・ワシントン(上掲画像には,横須賀にアメリカが専有している海軍基地も写っている)の原子炉は,40万キロワットの熱出力をもった原子炉が2基装備されている。実際に運用する発電能力は 熱出力の30%ぐらいであるから,このジョージワシントンは24万キロワットの発電能力をもっている。その電力は30万世帯が消費できる供給能力である。

 補注)その後の話となる。2015年5月18日に,原子力空母ジョージ・ワシントンは日本での任務を終えていた。その代替艦となった原子力空母,ロナルド・レーガンは同年10月1日に,母港(所属基地)となる横須賀に入港した。

 なお,ジョージ・レーガンの機関は「ウェスティングハウス・エレクトリックA4W加圧水型原子炉2基」である。これで「主機の蒸気タービン4基」を作動させ,「スクリュープロペラ4軸」を回転させて推進力とする。

 2021年4月1日現在,横須賀市の推計人口は38万6729人,世帯数は16万7491であるゆえ,ジョージワシントンはらくらく給電できる推進用原子炉を搭載している。

 仮にアメリカ海軍の原子力空母全艦11隻が横須賀に寄港し,給電してくれたら,今夏〔2011年5月15日にこの記述は最初に執筆されていて,当時の状況にたとえに挙げていた〕において,東電管内で不足が予想される500万キロワットの6割ほどは,苦もなくまかなえる計算になる。

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 【断わり】 「本稿(1)」の続編は,明日以降に公開する(復活させる)予定である。できしだいここに(  ↓  )リンクを貼ることにする。

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