東日本大震災「3・11」原発事故などなんのその,いまだに,原発再稼働に執心する原発推進派の国家・政権側人士たち

              (2015年4月1日,更新 2021年4月5日)
 いまだに 〈悪魔の火〉に炙られていながら,その業火に囚われている「魔法使いの弟子たち」が跳梁跋扈する日本国 の惨状
 山名 元(現在,原子力損害賠償・廃炉等支援機構理事長)という「原発神話」の伝道師が,いまなお健在であり,再稼働のための屁理屈だけはりっぱに説いてきた

 

  【要  点】  いまどき,原発推進を強力に推進させよと唱える自民党の政治家集団がいる,その時代錯誤もはなはだしい「エネルギー問題に関して百%オンチである」彼らは,原発の本質問題を理解できていない

 

 🌑 前   言  🌑

 ◆ 本日  2021年5月5日に書く原発問題の留意点 ◆

 「自民議連が原発の増設・建て替え提言  脱炭素目標は『渡りに船』の声も」『東京新聞』2021年4月23日 18時50分,https://www.tokyo-np.co.jp/article/100070

 自民党の電力安定供給推進議員連盟は〔2021年4月〕23日,将来的な原発の新増設や建て替え(リプレース)を,今夏に改定される国のエネルギー基本計画に盛りこむよう求める提言を政府に提出した。菅 義偉首相が温室効果ガス排出量を2030年度に2013年度比46%削減させる目標を表明したことを受け,党内では原発推進派による巻き返しの動きが活発化している。

 補注)原発が脱炭酸ガスを稼働中〔にかぎって?〕は出さず,地球温暖化に貢献しうる電源であるという理解は,完全な過ちであった。いまごろになってもまだ,この程度の理解すらもちあわせない自民党原発推進派は,盛んに新増設をおこなえと要求する。

 だが,そこまでいうならば,その前に「東電福島第1原発事故」の「後始末から廃炉工程に向けた」今後における「一連の対応」を,最低限は充足させてから,その種の原発利用推進をしたらどうだと感じる。

 だが,稲田朋美という網タイツファッション・大好きオバサン議員をマスコット・ガール的に先頭に立てたこの自民党原発推進派の面々は,フクシマの現状などそれこそ〈屁のカッパ〉あつかいらしく,原発という《悪魔の火》を焚いて電力をえるという理工の技術方式が,いかに有害無益であるかについての,基本的な認識をもちあわせていない。

〔記事に戻る→〕 議連には原発立地地域の選出議員など148人が参加。提言はエネルギー基本計画がかかげる「原発依存度の可能なかぎりの低減」との表現をみなおし,「原発をゼロエミ(ゼロエミッション,二酸化炭素排出を実質ゼロ)電源として最大限活用」と明記することを求めた。政府が進める再稼働にくわえ「安全性,経済性をより高めた発電所のリプレース・新増設」も促した。

 補注)原発が「二酸化炭素排出を実質ゼロ」などと幻想するのは,無知の,そのまた以前の,素人の理解にもなっていな原発「感」である。たとえば,本日の『日本経済新聞』朝刊7面「オピニオン」には,「〈FINANCIAL TIMES〉脱炭素,途上国を巻き込め」という論説を,米国版エディター・アット・ラージ ジリアン・テットが執筆しているが,このテットの文章は2452文字を費やしていながら,「原発の〈げの字〉」さえ出していない。

 「炭酸ガスの排出」が地球温暖化の原因になっている説については,猛烈にその無知さ加減を批判する識者がいた。原発廃絶派ではたいそう有名人である広瀬 隆がその人である。

 『AERA dot.』2019.8.21 16:00,https://dot.asahi.com/wa/2019082100001.html  に掲載された広瀬 隆「二酸化炭素温暖化説の嘘が警告する地球の危機」は,原発の関連に深く関連するこの論点をめぐり,以下のように批判する見地を語っていた。

 ※-1「地球の自然に関して二酸化炭素温暖化説が科学的に間違えている,というテーマで,みなさんの頭に一撃をくわえてみよう。『二酸化炭素温暖化説が警告する地球の危機』ではなく,それが大嘘だという話なので,間違えないように」。

 「2018年の夏は異常な猛暑だった。災害の原因は地球温暖化である」と口にした。彼ら彼女らは,「地球温暖化は,もはや議論する必要もない」とまで,いいたそうであった」。

 「ところが彼ら彼女らは,ただの1人も『二酸化炭素(CO2 )の放出によって地球の温暖化が加速している』という自分たちの簡単な主張を,科学的に実証しようとはしなかった。どうも日本人は,他人の噂話に惑わされやすく,子供でもわかる科学を議論することが苦手なようだ」。

 註記)広瀬,前掲稿,2019082100001.html?page=1

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 ※-2 「『2020年には海水面が60~120メートルも上昇し,ロンドンもニューヨークも水没している』と予測して,CO2 温暖化説を煽ったのだからたまげる。2020年とは,来年である〔今年は2021年だが〕。120メートルというのは,新幹線5輌分の長さを縦に立てた高さである。来年に東京オリンピックを開催している時に,天を見上げるほどの海水でロンドンもニューヨークも水没している,と信じるのは,もはや新興宗教である」。

 「1998年をピークとして,それ以後10年間も地球の気温が上昇せず,むしろ温度が下がる期間が続いた。その間に,驚異的な経済成長を続ける中国でもインドでも,CO2 の排出量が猛烈に増えつづけて,地球の大気中のCO2 濃度の最高値が毎年更新されていたのである。したがって,CO2 が増加しても地球は温暖化しないことが,誰の目にも明らかとなった。CO2 温暖化説は科学的に崩壊したのである」。

 註記)同上,2019082100001.html?page=2

 「気温上昇が続いた1998年まで『CO2 地球温暖化説の誤り』に気づかない人間が多かったことは仕方ないにしても,2010年になってもその過ちを認めなかったので,現在のように虚構の地球科学が横行しているのである」。

 「 つまり『1900年代の20世紀に入って,工業界のCO2 放出量が急増したので,地球が急激に温暖化した』と主張していたIPCCは,『ホッケースティックの図』が真っ赤な嘘だと認めたのである」。

 註記)同上,2019082100001.html?page=3

 補注)IPCCとは「国連気候変動に関する政府間パネル,Intergovernmental Panel on Climate Change」の略。

 広瀬 隆は体制(原子力村)側からは蛇蝎のように嫌われてきた反原発論者であり,「3・11」が発生した2011年の前年8月,『原子炉時限爆弾』という著作をダイヤモンド社から公刊していた。いってみれば広瀬は,その「3・11」東日本大震災による東電福島第1原発事故が起きる7月前に,この自著を公表し,その発生の可能性をあらためて警告していた。ところが,これがドンピシャリに的中してしまった。

 そもそも広瀬 隆は,1986年8月に『東京に原発を!』を集英社文庫として公刊していた。この本は,同年4月26日発生していたチェルノブイリ原発事故に触発されて出した本だと推測しておく。

 また,1961-1971年に東電社長を務めた木川田一隆が,早くから「原発悪魔と呼んだ男」と指称されていた事実も,ここでは併せて挙げておく価値がある。しかし,木川田はその後,自身の立場を豹変させ,原発を導入していた。

 福島第1原子力発電所において1号機の運転が開始したのは,1971年3月であった。それからちょうど40年後になったが,2011年「3・11」東日本大震災直後に発生した東電福島第1原発事故は,その第1号機から第4号機まで全基を破壊し,21世紀の記録に残る原発災害となった。

〔記事に戻る→〕 会長の細田博之元幹事長は記者会見で,太陽光発電など再生可能エネルギーは天候に左右され,安定供給に課題があると指摘。温室効果ガス排出量の大幅削減は「原発を活用しなければ実現不可能」と主張した。

 補注)再生エネの特徴をこのように,再生エネは「天候に左右され,安定供給に課題がある」などと,一知半解にも到達できていない生半可な,自民党政治屋のエネルギー問題に関する理解がある。もちろん,その再生エネによる電力需給体制が,スマートグリッドの方途として,どのように構築・活用されているかなにもしらない。日本における電力事情の概論的な知見すらもちあわせない自民党議員たちは,恥ずかしいくらいに無知・暗愚であった自分たちのその理解度を,わざわざ暴露させていた。

 党内では,脱炭素化に向けた政府の方針を「渡りに船」(党幹部)と原発推進派が攻勢を強めている。今月上旬には最新型原子力リプレース推進議員連盟も発足し,会長の稲田朋美元防衛相が「新たな技術で安全性を高めた新型炉のリプレースを進めていくことが鍵だ」などと訴えた。

 自民党内の動きを,共産党小池晃書記局長は〔4月〕19日の記者会見で「福島の苦しみが続いている時,新増設に突き進んでいくやり方は許されない」と批判した。(引用終わり)

 以上のごとき「稲田朋美の発言」,つまり「新たな技術で安全性を高めた新型炉のリプレースを進めていくことが鍵だ」といった原発理解は,小学生以下の水準に留まっていた。原発の「安全性」という社会工学的な基本の問題は,ほかの諸技術を利用した発電装置と比較しただけでも分かるように,まったく異質の次元に属した問題を意味する。

 稲田朋美らは「3・11」直後に爆発を起こしていた東電福島第1原発事故の「恐怖」を,それじたいとして理解するための基礎知識や社会常識からして,頭のなかには明確に存在していない。

 実際に事故を起こした東電福島第1「原発事故の後始末」の状況を観れば,一目瞭然であるのが『核事故の恐怖』である。またその「新型だという原発」の技術・仕様は,ただ従来型の原発に毛が生えた程度の〈進歩:改良〉である。この事実を,はたして稲田朋美は少しでもまともに理解したうえで,以上のごとき発言をしていたのか。その稚拙さには初歩的な疑問が残っていた。

【参考記事】


 原発・石炭・水力で電源6割 30年構成,安定確保へ経産省案  震災前水準を目安に」日本経済新聞』2015年3月31日朝刊「経済」

 経済産業省は〔2015年3月〕30日,2030年時点の望ましい電源構成について,安定的に発電できる原子力,石炭火力,水力などで全体の6割を確保する必要があるとの考えを示した。液化天然ガス(LNG)や石油など燃料の調達コストの高い電源への依存を減らし,電力料金の引き下げにつなげる。原子力の活用には慎重論も根強く,経産省は温暖化対策などを念頭に,比率を検討する方針だ。

 補注)ここで,ベースロード電源に関する説明をしておく。「ベースロード電源」とは発電コストが安く,1日を通して安定的に発電できる電源のことである。

 

 政府が2014年4月に閣議決定した新たなエネルギー基本計画で定義し,地熱,水力,原子力,石炭の4つの電源を指す。電力需要の動向に応じて発電出力を調整する液化天然ガス(LNG)や石油による火力発電,発電が不安定な太陽光や風力などは含まない」。

 

 しかし,この政府の説明(議論)からして欺瞞的と形容するのがふさわしい。まず原発は「発電コストが安く」ない。廃炉費用などバックヤードまでの総経費,さらには,将来において廃炉関連で発生が間違いなく予想される「使用済み核燃料」の「未来永劫的」な保管問題などを計算(加算)したら,いったいどのくらい「原発による発電コスト」が上昇するかといえば,恐ろしいほどになるという形容がふさわしい。

 

 しかも,当面は,未来的には確実に計上が迫られる諸費用を度外視しておいた,以上の主張なのである。要するに,発コスト安価「論」のマユツバ度は並みのモノではない。

 

 さらに石炭については安価だといっても「二酸化炭素の排出→地球温暖化」に与える影響度が高い化石燃料である。原発二酸化炭素は直接排出しないが,熱効率である約3分の1以外の残り(3分の2の熱量)は,冷却水に乗せて沿岸に排出して〔捨てて,ふんだんい温めて〕いる。

 

 原発の場合,この熱回路からするエネルギー放出・拡散の結果が地球温暖化に与えている影響は,重大かつ深刻である。にもかかわらず,この原発の温暖化要因という事実を完全に無視した議論が,いままでと同じに平然と通用している。

 

 水力のうちとくに,揚水発電という非常に効率の悪い発電方式(下図の説明も参照)に注意しておく必要がある。原発は原則的には恒常的に「100%操業度による稼働」しかしない〈でくの坊〉の機械・装置である。

 

 それがために,夜間,電力需要が少ない時間帯は,原発の余した電力相当分を揚水に利用しておき,これを,需要が増える昼間の時間帯に水力発電のための水力として再利用する。いうなれば,二重手間,非常にムダの多い,効率の悪い発電方式が,原発のために組みこまれてもいる。
 

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 この図解に即していうと,ベース供給力として位置づけられている「水力」部分が,実は,電力需給関係の応じて調整するための電力部分として利用されている点は,看過できない。


 というのは,原発を稼働を維持させるために水力発電が利用されている。これは,水力発電本来の稼働のさせられ方ではなくて,原発に従属した関係のなかに嵌めこまれている。こうした,矛盾した性格を背負わされた電力の「生産(水力によるそれ)と消費(原発によるそれ)の各局面」が,あくまで原発を主軸に,そして水力発電が補完するという関係を構成している。

 

 この原発水力発電の〈不幸な契り〉を視野の外に置いたままでする,しかも,その核心においてなりふりかまわぬ「原発推進のために説かれる理屈」は,原発そのものの木偶の坊「性」,電力需要の変動に対して稼働率を柔軟に適応させえない問題「性」を,都合よく無視しきっている。 

〔記事に戻る→〕 経産省が〔3月〕30日に開いた総合資源エネルギー調査会経産相の諮問機関)の長期エネルギー需給見通し小委員会で方針を示した。東日本大震災前の2005年度時点の電源構成は,ベースロード電源とされる原子力が31%,石炭が26%,水力が8%で6割以上を占め,残りの4割弱がLNGと石油による火力発電などだった。

 補注)2005年時点という時期に注意したい。この2005年は,電源別の構成内容において,原発の比率が当時の前後に比較しても「相対的に一番高くなっていた時期」であった。それも,その最後の数値であった。 
 

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 さらにそのつぎの図表もみたい。これをみれば,この2005年における電源構成が参照(の基準)にされた事由についてはすぐに察しがつくはずである。


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〔記事に戻る→〕 震災後の原発の停止で,2013年度は原子力の比率が1%に下落。石炭は30%,水力は9%で安定電源の比率は4割に下落した。石油やLNGによる発電が増え,日本の家庭向け電気料金は震災前に比べて約2割,企業向けは約3割上昇した。

 経産省はフランスやドイツ,米国,中国など主要各国でベースロード電源の割合が6割を超えているとして「低廉で安定的なベースロード電源を国際的に遜色ない水準で確保することが重要」との認識を示した。6割という割合は震災前の水準に戻すことを意味する。

 補注)「フランスやドイツ,米国,中国など主要各国でベースロード電源の割合が6割を超えている」というけれども,ここに挙げられた各国ではそれぞれに,電源別構成内容に関しては顕著な,それも質的な差があった。

 

 フランスは原発の比率が一番高い。だが,こういう事情の推移があった。2014年6月20日時点の記述から引用する。「仏エネルギー相のロワイヤル氏。施設の閉鎖については今後確定するとした(18日,パリ)=ロイター=」という見出しの記事であった。

 

 各紙の報道によると,フランスは原子力発電依存度を大幅に引き下げる方針を決めた。総発電量に占める原発比率は現在は先進国最高の約75%だが,これを2050年までに50%に引き下げる。代わりに再生可能エネルギー発電を2025年までに発電量の40%に引き上げるなどして,最適な ”エネルギーミックス” を実現する。

 註記)http://financegreenwatch.org/jp/?p=44722

 

 このフランスの電源構成における比率変更への方向は,原発が占める絶対的・相対的な比率を減少させつつも,再生可能エネルギー発電のその比率は増大させようとしている。ドイツはすでに,2022年末までに現有の原発17基すべてを廃炉にする予定を組んでいる〔し,実際にもその予定どおりに進行させてきた〕。

 

  アメリカは,少数だが原発の新設計画をもっているが,現在は中断させている。アメリカは,原水爆実験のみならず国内に多基ある原発が,地球環境の全体,そして自国の自然環境に対して深刻な放射性物質汚染を発生させてきた事実を,実は,相当に隠蔽しながらも重々に承知している。福島原発事故が,アメリカにおける原発の新設計画を中断させた主要な理由であることは,いうまでもない。

 

 このように,原発を最大限に稼働させてきたフランスであっても, 「3・11」の福島原発事故を契機に,国民から議論が起こっていた。その結論は,原発政策を拡大から縮小へ向かわせている。イタリアもやはり福島原発事故を契機に,国民投票をおこなった。その結果は「全原発廃止」を決定していた。

 

 とりわけヨーロッパの各国は,過去にチェルノブイリ事故を経験しており,放射能災害の恐ろしさを知悉する。くわえて,福島原発事故を契機に原発を利用・稼働する比率を縮小させてきたり,あるいは全面的に廃止したりする方向は,21世紀における決定的な動向になっている。

 

  それなのに,日本政府経済産業省は,2015年4月1日現在において全基が停止している原発を,今後において可能なかぎり再稼働させようともくろんでいる。この事実は「きわめて愚かな選択」を意味している。

 

 この決定はもとより「日本国民過半数の意志」に反してもいる。原発をいまさら稼働させ,それも「ムダのより多い」電力生産方法にあえて回帰するというのだから,これはエネルギー電源政策としては〈時代錯誤〉を犯している。

〔記事に戻る→〕 経産省は今後,2030年時点の望ましい電源構成の議論で,ベースロード電源比率を6割とすることを前提としたい考え。同省の試算では,2030年時点の総発電量を全体で1兆キロワット時ほどと仮定した場合,水力と地熱で約1割を確保する。単純計算だと,残り5割ほどは石炭と原子力で分け合うことになる。

 ベースロード以外の電源にはLNGや石油を燃料とする火力発電のほかに,発電が不安定な太陽光と風力などがある。ただコスト面に課題があるとされ,経産省は2030年時点で約4割ほどに抑える意向である。

 補注)このあたりの議論も支離滅裂の感がある。ベースロードに充当されるという水力は揚水発電に使用される容量も大きいのだから,その分,原発の発電とは相殺されるべき比率である〔しかもかなり割高の発電部分でもある〕にもかかわらず,これを無視したかのような奇妙な議論をしている。

 

 ベースロードを確保するために「残りの,残り5割ほどは石炭と原子力で分け合うことになる」という説明もおかしい。LNGを燃料とする発電単位も大容量化している(100万キロワット時以上の能力があり,性能:熱交換比率も非常に高い水準を達成している)のだから,こちらでベースロード用の電力確保も配慮してもいいはずである。

 

 ところが,経産省の説明(議論)は,自分たちに都合の悪い説明はせず,議論もしないで,ただしきりに逃げまわっている。いつも・なんども指摘する点であるが,原発の熱効率は約3分の1しかない。最新鋭のLNGを燃料に使用する火力発電は熱効率6割を達成している。ほぼ2倍も熱効率に差がある。

 

 その理由だけを採っても,原発を稼働させる能率(効率)の悪さ=不利(→採算性での不利)は顕著である。ところが,経産省はただただ,ともかくも「原発原発原発……,その稼働・稼働・稼働」と,なんとかのひとつ覚えの要領で主張するばかりであった。

 

 さらには,つぎの二酸化炭素に関する議論(説明)も同様に問題があり過ぎて,合理性・説得力をまったく欠いている。

 2030年時点の望ましい電源構成は,年末の第21回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)に向け,政府が二酸化炭素(CO2 )など温暖化ガスの削減目標を決める前提になる。経産省は同日〔2015年3月30日〕の会議では明示しなかったが,CO2 排出量が少ない原子力で15~25%は確保する必要があるとみている。

 経産省はCO2 排出量の削減に向け,石炭火力発電の高効率化をめざす方針も打ち出した。発電効率に一定の基準を設け,新設の発電所については基準以上の発電設備の設置を求める方針だ。

 補注)ここの議論(説明)に関して,本ブログは既述である。原発が稼働時は二酸化炭素を直接排出しない発電装置だからといって,地球温暖化になにも関係していないのではない。

 

 本当は完全にその逆である。原発は電力生産には利用できず,外部に廃棄する熱量がその約3分の2もあり,この熱量は冷却用の海水で処理している。当然,原発周辺海域の水温はその分上昇する。原発は,地球温暖化に大きく加担している。これを称して,原発は「海温め装置」。

 

 この事実関係,いいかえれば,原発は稼働中においては原子炉から二酸化炭素を直接出さないが,冷却に使用した海水分に応じて,莫大な熱量を海のなかに放散させている。このことを無視した「原発二酸化炭素の無関係」に関する議論はナンセンスである。

  

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 ただベースロード電源のあり方には異論も多い。会合では有識者から「原子力にも安定供給のリスクがある」など,原子力で一定の比率を確保することに慎重な意見があった。「LNGもベースロード電源に含めるべきだ」との声もあった。経産省は温暖化対策なども念頭に石炭と原子力の比率を検討する方針である。

 補注)ここでは「LNGもベースロード電源に含めるべきだ」という意見もあったと指摘されている。だが,最新鋭の火力発電機械・装置である「LNGを燃料とする電力生産」のもつ「ベースロード」性は,原発に執着する電力会社側からは徹底して軽視されている。   

 

  関連記事「使用済み燃料,現地貯蔵 関電,美浜の廃炉工程案」  出所は ① に同じ『日本経済新聞』2015年3月31日朝刊「経済」

 関西電力美浜原子力発電所1,2号機(福井県)の廃炉工程案が明らかになった。2016年度に作業を始め,23年間かけて施設を更地に戻す。使用済み核燃料や低レベル放射性廃棄物は敷地内に新設する専用設備に貯蔵する。費用は2基で670億円をみこむ。福井県との調整に入り,早期の作業着手をめざす。

 補注)いまからいっておく。その廃炉工程「案」にもとづく23年間で,現地が更地になるという保証はない。費用も2基で670億円で収まるかどうか,いまから疑問を突きつけておいたほうが順当な予見である。

 

 東電福島第1原発は〈事故現場〉であるから,いままでもすでに途方もないほど,処理工程の長期間化を覚悟させられつつ後始末に追われている。事故を起こしていないからといっても,原発関連工事ではまだ十分に経験のない廃炉工程作業であるゆえ,その計画どおりに順調にいく保証はない。

 

 むしろ,各種各様の予期せぬ困難や障害のために,時間的にも経費的にも大幅に遅延・増額を強いられる可能性が大きい。

〔記事に戻る→〕 作業開始から13年程度を配管や原子炉格納容器に付着した放射性物質をとり除く「系統除染」,汚染状況の調査,原子炉領域の放射能を減らす安全貯蔵期間に充てる。その後,10年程度かけて原子炉の解体にとり組む。

 原子炉を解体するまでに使用済み核燃料の保管建屋を敷地内に建てる。特殊容器に入れ,空気の循環で冷やしながら保管する「乾式貯蔵」を採用する。プールで冷やす湿式より保管費用が安く,安全性が高いとされる。

 補注)これらの「系統除染」「原子炉の解体」「乾式貯蔵」という一連の廃炉工程は,以上に書かれている年数では「13年程度と10年程度」=「23年程度」となるけれども,この年数内で収まるという保証は,いままでの経験に照らしても,おそらく不可能である。

 

 30年から40年,そしていつの間にか半世紀・1世紀も年月を費やす工程作業になる可能性すらある。こちらの予測のほうが現実的な観方である。

 

 原発廃炉工程は,他の機械・装置の解体工程とは完全に異質の作業を含む。その一連の工事は,不可避の至難性に対面させられる。しかも,放射性物質の残存を踏まえての,きわめて危険性も高いそれである。

 

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 廃炉の工程はまさしく,人類・人間が触れてはいけなかった《悪魔の火》をもてあそんだがために,これからは当分,ひどい苦労を背負おわされた〈人間の側の姿〉が記録されていくのである。

 敷地内保存には福井県が慎重な姿勢をみせている。関電は想定される地震の強さを試算し,早急に建屋の詳細な設計に入る。安全対策を拡充し福井県の理解をえる考え。低レベル放射性廃棄物を保管する施設も別に造る。

 関電は使用済み核燃料の敷地内保管を「一時的な措置」(幹部)とする。福井県と県外に中間貯蔵施設を建てる約束を交わしているが,安全性を不安視する自治体との協議が難航している。

 

 原発2割程度の計算 2030年の電源構成,経産省方針 有識者会議」朝日新聞』2015年3月31日朝刊7面「経済」

 この記事は ① の日本経済新聞がとりあげたものと同じ内容であるが,朝日新聞の記事としてあらためて紹介する。同旨の内容については議論をせず,新しい中身に注目し,論及する-

 2030年の電源構成(エネルギーミックス)をめぐり,経済産業省は〔3月〕30日の有識者会議で,原発や石炭火力などの「ベースロード電源」の割合を6割以上にすることをめざす方針を示した。この場合,原発は少なくとも2割程度は残る可能性が高い。複数の委員が「もっと減らすべきだ」などと反発し,議論は難航しそうだ。

 補注)重ねての指摘となる。原発稼働率は前掲の図表にも表現されていたように,だいたい6割台である。ベースロード電源用に原発を2割程度「残る可能性」とは,その発電能力容量じたいはその1.5倍を備えておく必要がある。

 それゆえ,単純さを恐れずにいえば,ベースロード電源用の「原発は少なくとも3割」程度は,電源別生産能力として残しておくべきだ,という理屈になる。ともかく,原発再稼働・原発の「有効」利用のみを考慮しているように聞こえる。

 原発を電源エネルギーに使用する不利や難点は,既述のなかで指摘してきたとおりである。けれども,以上の見解はそれを蚊帳の外に放りだしてしまい,みてみぬ振りをしている。

〔記事に戻る→〕 政府は「原発」「石炭火力」「水力」「地熱」の4つの電源を,発電コストが安く,昼夜を問わずに動かす「ベースロード電源」と位置づけ,重視している。この日の「長期エネルギー需給見通し小委員会」でも,事務局の経産省は,欧米の主要国で原子力・水力・石炭火力の割合が全体の6~9割ほどあることを強調。「ベースロード電源を国際的にも遜色ない水準で確保することが重要だ」とし,「6割以上」をめざす方針を示した。

 補注)この段落の「批判されるべき・みのがしがたい問題点」も,①  ② で関説したとおりであるので,ここではとくに指摘せず,そちらに任せる。「3・11」の東電福島第1原発事故など「どこの国の話か」といった風情で,政府・経済産業省・エネルギー資源庁は以上の立場を示していた。

 ただ,2013年度の電源構成をみると,原発1%,石炭火力30%,水力・地熱9%で,ベースロード電源の割合は4割。石炭火力は二酸化炭素の排出量が多く,あまり増やせない。水力も大規模なダムをつくるのはむずかしい。地熱も環境影響評価(環境アセスメント)で急には増えないみこみだ。ベースロード電源を6割以上とするには,原発の割合を2割程度は維持しないと実現できない計算になる。

 補注)前掲のとおり,原発稼働率に関する各年の稼働率は,この1年半ほどゼロである〔その「時点」での記述であった,2015年8月には再び原発再稼働の運びになっていたが〕。しかし,この状態,原発の稼働基ゼロ状態は「完全におかしい,間違っている,不条理がある,あるいはムダがある」などの事由などが,十全に明示もされないまま,ひたすら問答無用的に「原発再稼働を至上命題とする」議論(説明?)が,独走(狂走?)していた。

 経産省は同日,原発の発電能力が今後,どう減っていくのか,複数の試算を公表した。原発稼働率などが東日本大震災前の水準と同じだと仮定すると,建設中の原発も含めてすべてを運転開始から40年で止めれば,原発比率は約15%になる。60年間動かすと約28%となり,2010年度の約29%とほぼ同じになる。

 補注)原発というきわめて危険でとりあつかいにくい〈核燃料を使用する発電機〉について,40年の耐用年数(これでさえ長すぎるのに)を超えさせて,60年もの寿命にまで伸長させるというのは,それこそ狂気の沙汰といっても過言ではない。

 とくに「地震大国である日本」となれば,その沙汰は狂気などではなく,もとより “正気における次元のものであったのか” と,疑ってかかる必要があった。

【参考記事】

 

 ほかのもろもろの機械・装置とは物理・化学的な性質を根本的にならせる原発を,そこまで耐用年数を引っ張っていき,使いきりたいという「営利の論理」は,「3・11」で体験させられた原発事故の恐ろしさなど,まさしく「喉元過ぎれば熱さを忘れる」の実例であった。

 それどころか,健忘症ともいえないような,とりわけ科学全般に対する「認知症的な欲ぼけ」に囚われた「原発狂信の精神症状」が,原子力村界隈では発症している。どうやら「恐れをしらぬ」原子力村の勢力が,まだまだ日本国の電力界中枢部を占拠している様子である。   

〔記事に戻る→〕 会合では複数の委員から反発の声が出た。

 橘川武郎一橋大学大学院教授(当時,現在は国際大学勤務)は「震災後,ベースロード電源には液化天然ガス(LNG)も入っている」と指摘。ベースロード電源の定義を広げることで,原発比率を15%程度に下げることをめざすべきだと主張した。

 高村ゆかり・名古屋大学大学院教授は「災害や事故が発生すると原子力は止まり,出力は一定どころか急激に下がる」とし,長期停止のリスクをみこむむべきだとした。 

 補注)こちらの2名の発言のほうがより現実的な,原発という機械・装置に対する認識を提示しているが,まだ甘い。

 橘川武郎の関連する見解は,本(旧)ブログ,2015年03月17日「現状是認の原発依存率を提唱する事実ベッタリ論の資源学者,『未来のエネルギー問題』を真正面から観ない立論-橘川武郎原発利用論」批判-」,「提唱してもしなくても同じである原発現状肯定論の無意味さ」,「革新性のない原発技術に関する議論の消極的な閉塞性」にくわしく,批判的な議論をしてある。

 また,この橘川武郎原発維持論とは違い,「3・11」以前と寸毫も変わらぬ「原発推進」論を堂々と弁じている,つまり,いまだに古風な「原発は安全だ神話」の信者がいる(たとえば,つぎの記事の引用中に出てくる人物)。この学者の見解は,まさしく笑止千万であるが,観念を先行させただけの,極度に恣意性の強い原発擁護論者の立場である。

 脱原発論者の立場を感情的と非難してきたこの学者は,以前より「安全神話」論者としてめだつ1人であった。いまとなって,この人物の話に聞く耳をもつ者がいるとすれば,同類の識者(似非学者)しかいない。

〔記事に戻る→〕 一方で,「原子力は安定的に長期で使えば,海外に(燃料調達の)お金を払わないでいい電源。事故で感情的になって,否定的に見過ぎるのは間違いだ」山名 元・京大原子炉実験所教授〔当時〕)という意見もあった。経産省は6月までにエネルギーミックスを決めたい考えだ。

 補注)この山名 元のいいぶんは,再生エネルギー電源の本質問題を,意図して逆に「否定的に見過ぎる学者」側の,典型的な発想を露出させていた。反原発派である人びとは,ただ「感情的」になって主観的に原発否定を考えているわけでも,あるいは「採算を単純に無視するエネルギー観」に走っているわけでもない。反原発派の人びとは,原発そのもの危険性を客観的に観察しているし,さらにまたその将来性のなさをひどく懸念しているのである。

 先述したように,原発の熱効率は最新鋭のLNG火力発電に比べて半分の熱効率しかない。石炭火力でも2020年時点になると,50%近い熱効率を達成しつつある。それなのに,なぜ,原発(33%の熱効率しかない)を,これからも必死になって維持しなければならないのか?

 管理会計的な見地での採算・収支の計算を徹底させて考えてもみるに,将来性において明るいみとおしのもてない原発に変にこだわっている。これは,あまりにも現状そのものに埋没した,盲目的なエネルギー資源観である。


  またもや値上げの電気料金
 

 「再生エネ分増額,電力10社値上げ 5月,ガスは値下げ」という記事が,こう報道していた(『朝日新聞』2015年3月31日朝刊)。

 電力10社と都市ガス大手4社は〔3月〕30日,5月の電気・ガス料金を発表した。電気料金は,原油安が続き,輸入燃料費は下落したが,電気料金に上乗せされる再生可能エネルギーの賦課金が増額されるため,電力10社で値上げとなった。ガス料金は4社が値下げする。

 

 輸入する燃料費の変動を自動的に毎月の電気・ガス料金に反映させる制度によるもの。5月の電気料金で参考にする原油価格は,4月とくらべ14.5%下落。電力10社の示す平均的な家庭で,93~223円の下落要因となった。一方,太陽光発電などが増えたことから,再エネの賦課金が平均的な家庭で215~249円増額された。

 さて「3・11」以降,庶民の家庭・世帯の電気代は,3割以上も上昇してきた。だが,それでも文句はいわない。それよりも,原発「停めろ(止めろ)!」なのである。原発廃炉作業は,福島第1原発のような事故を起こさなかった原発の後始末であっても,いまのところ,相当に控えめに「30年から40年」はかかると予測されている。

 使用済み核燃料の最終処分だと表現はされているけれども,この核の有毒なゴミは半永久的どころが未来永劫に子孫に託することになった,いわば「負の資産」である。それでも「原発を稼働させろ」と,やかましくいいたてる経済学者や原子力工学研究者がいる。この人たちの神経が疑われる。自分の世代だけよければ,子孫のための発生する自然環境を破壊していく問題は “どうでもよい” とでも考えているのか?(それとも,考えてすらいないのか?)

 《悪魔の火:原子力をもてあそぶヤカラとなりさがった識者・学究たちは,この地球を破壊する行為にみずから進んで荷担している。それでいながら,主観的にはもっぱら経済社会のために善いおこないをしているかのごとき表情をとりつくろっている。その意味では,欺瞞に充ち満ちた人びとがいる。

 すなわち,地球・自然・環境に対する破壊者の役割を,彼らは存分に果たしつつある。彼らは,お金の問題や経済計算の論理では割り切れない諸問題が,この地上にはいくたもある事実(真実)に目を向けない。

 「どくろ」と呼ばれている所に来ると,そこで彼らは,イエスと犯罪人とを十字架につけた。犯罪人のひとりは右に,ひとりは左に。そのとき,イエスはこういわれた。「父よ。彼らをお赦しください。彼らは,なにをしているのか自分でわからないのです」(『新訳聖書』「ルカ伝」23章33〜34節)。

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