新型コロナウイルス用ワクチンの接種状況ときたら現在までほんの少し(気持)だけに留まり,「1日100万回接種」には届いていない,菅 義偉為政のもと「コロナ禍の災厄線路」はどこまでつづくのか

 後進国となりつつあるだけでなく,あまつさえ衰退もしているこの日本におけるワクチン接種状況は,それなりに遅々としている,もしかするとコロナ禍が通りすぎるころにならないと「間に合わないのか」などと,苦しまぎれでブラック・ユーモア的に考えてもみる,このみっともなさ

 

  要点・1 ワクチン接種状況に観る無能・無知,無為・無策である国家指導者をいただく国民たち・市民たちの不幸・不運といったら,単なる悲劇的な様相の「以上に落ちこむほかない実情

  要点・2  「オラ  こんなとこ  やだー」と叫ばねばならない「この国」にでもなってしまったのか? それでもまだ,五輪を開催する気か?(気がしれぬ)

 

  本日『朝日新聞』朝刊14面「オピニホン」欄の『朝日川柳』(西木空人選)は,新型コロナウイルス感染問題とボッタクリ男爵が会長を務めるIOC開催五輪をとりあげた句ばかり〔を集めていた〕

  安全で安心詐欺の芸のなさ(東京都 上田耕作)

  人事権取ったらこの人何も無し(福島県 菅野はるか)

  ブレーキとアクセルずっと踏み違え(東京都 三神玲子)

  持ってます予約できない予約券(大阪府 小倉三歩)

  予約券マスク争奪思い出し(千葉県 片柳雅博)

  池江さんに五輪中止の筋違い(東京都 島立たかお)

 不要不急のバッハ会長(東京都 岡本誠二郎)

 

   ◆選者の寸評◆ 一,二句,昨日国会中継首相答弁寸感。

           三句,ちょと手直しし緊急事態延長。

           四,五句,パンク防止へ通信各社が制限。

           六句,選手悲痛。七句,来日見送りへ。

 そういえばわが家の該当者あてにも届いていた「ワクチン接種通知の案内」であったが,実際に申しこみのために連絡をしたところ,みごと空振りになっていた。つまり,いつになったら「この予防注射をしてもらえるのか」「さっぱり分かりえない状況」にある。

 もっとも,1週間後(5月17日月曜日)には,また受け付けることになっているともしらされているが,はたしてどうなるか,つまりすんなりその予約ができるのか心配である。このあたりの状況に関してだが,いままで,どのような事情が発生していたのかについては,本日の朝刊全体に目を通してみるとその様子がだいたい分かってきた。

 前段に紹介した朝日川柳のうち,「持ってます予約できない予約券」との指摘は,どうやら全国的な事象を表現していると思われる。そのような感想が湧いてきたわけだが,川柳が掲載されていたつぎの面を開くと,この本日の朝刊は宝島社の全面広告(見開きで2面全体を充てた広告)を出稿していた。これは『日本経済新聞』にも出ていた。

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【参考記事】-早速,2021年05月11日 12時02分 に出ていた関連する記事-

 この全面広告を紹介してみたところで以前,閲覧したことのあった中野晃一のつぎのツイートを思いだした。2021年4月8日発信のものであった。

 中野晃一  Koichi Nakano @knakano1970

   はー,支援もねえ,ワクチンもねえ
   検査もそれほどやってねえ

   朝起きてマスクして
   二時間ちょっとの満員電車

   スペースねえ,換気もねえ
   聖火ランナーぐーるぐる

   オラこんなとこやだー
   オラこんなとこやだー

    (わかったあなたは昭和を知ってる人だね)

    4:23 PM · Apr 8, 2021·Twitter for iPhone


 「65~74歳の接種券,発送を1カ月延期   埼玉・川越朝日新聞』2021年5月11日朝刊21面「埼玉」(圏版)

 埼玉県の「新型コロナウイルス」関係の記事である。① に紹介した川柳が登場する実際の状況が説明されている。

 埼玉県川越市は,新型コロナウイルスのワクチン接種で,65歳以上74歳以下の約5万人に向けた接種券の発送を約1カ月延期した。今月6日に約4万8千人いる75歳以上の予約を受け付け,上限となって締め切ったが,まだ4万人以上が予約できていないため。

 

 市によると,75歳以上には4月23日に接種券を発送したが,接種する医師の人数や接種にかかる時間,届いたワクチンの数などから,今月6日の予約受け付け上限を約6200人とした。「ワクチンの到着が遅れ気味で,接種券発送後も医療機関などと調整を続けたが,当初見込みより接種可能な人数を減らさざるをえなかった」という。

 

 次回の受け付けは〔5月〕21日で65歳以上の受け付けも始める予定だったが,まず75歳以上を優先することにした。それでも予約可能な上限は6日の倍に満たないといい,75歳以上の接種が終わるめどはたっていない。

 

 6日は委託したコールセンターがパンクし,市役所に電話が殺到して混乱した。21日に向けて市は,コールセンターの人数を倍増し,ネットサーバーの容量も5倍にすることにしている。市は「サーバーダウンを防ぐためには接続制限せざるをえず,NTT出版も通話制限したら,『つながらない』問題が解決できる保証はない」としている。

 本日のこの『朝日新聞』朝刊1面の冒頭記事の見出しは,「ワクチン予約,電話制限 NTT,複数自治体でパンク警戒」とかかげていた。記事の本文では最初に,こう報道されていた。

 高齢者を対象にした新型コロナウイルスのワクチン接種の受け付けが本格化している。〔5月〕10日は多くの自治体で予約の電話がつながりにくくなり,異例の通信制限もおこなわれた。市民が役所に詰めかけたところもあり,全国的に混乱がみられた。政府は接種を急ぐとしているが,受け付け方法の見直しが求められそうだ。

(▼2面=1日100万回の道筋は,4面=大規模接種に懸念,31面=役所混雑)

 「早い者順で殺到」という小見出しも目に入ってきたが,なぜ,このように混乱が生じるほかない受付方法をわざわざしていたのか,不思議・不可解に感じる。

 埼玉県川越市の場合,「約4万8千人いる75歳以上の予約を受け付け,上限となって締め切ったが,まだ4万人以上が予約できていない」という経過が生じる可能性は,事前に分かっていないほうがおかしい。

 そうであるならば,より高齢者のほうから順番にワクチン接種を受けてもらうようにするとかなんとか工夫の余地もあったはずである。だが,それにしても混乱が起きるのが必然であったかのような経過を聞かされて,呆れるほかない。

【参考記事】

 さて,『朝日新聞』朝刊2面の記事「〈時時刻刻〉『1日100万回」道筋は 7月完了目標,焦る首相 高齢者ワクチン」は,実に頼りない,この国首相のワクチン接種対策に言及している。

 高齢者向けの新型コロナワクチンについて,菅 義偉首相は「1日100万回接種」との目標を新たにかかげた。ただ,4月中旬のスタートからこれまでに終えた高齢者の接種は34万回余り。劇的にスピードを加速させ,首相が約束した7月末までに接種を終えることはできるのか。接種を担う自治体や医療の現場からは,戸惑いの声も上がる。(▼1面参照)

 

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  補注)「高齢者約3600万人」の接種状況の%は,なんという低さか。もっともその1%であっても「36万人という数値」である。

 

 「本当にいまの取り組みで十分なのか,よくよく精緻(せいち)に検討してほしい」。公明党の国重 徹氏は「1日100万回接種」について,10日の衆院予算委員会でこう語り,首相に「一日も早い供給の実現を」と求めた。首相は「ワクチンは感染対策の決め手だという意識だ」と応じたが,どのように目標を達成するのか,具体的には語らなかった。

 前述でも言及してみたが,本ブログ筆者宅の高齢者に対しても通知が来ていたワクチン接種の案内は,4月28日から申しこみをしてほしい,という内容であった。29日の休日をはさんで,いささかのんびりと30日朝に連絡しようとして,パソコンでネットからその窓口をのぞいてみたところ,すでに受付は終了したと広報されていたわけである。

 しかし,本日のここまでの記述をしつつ思いかえすと,受付開始の2日後に申しこむなどというのは,それこそ「明後日でも大丈夫だ」といった気分で行動していた〈のんびり〉的な対応を意味したことになる。それでは,予約などがとれるわけがなかった。後手後手の対応は,菅 義偉君1人だけにしておけ,それでもう十分だ,下々の者はもっと緊張感をもって役所仕事に向かっては,より迅速に誠意をもって対処しなければならない,ということになりそうである。


  コロナ禍:大阪府の現状など

 1)「重症,最多更新1152人  新型コロナ」朝日新聞』2021年5月11日朝刊30面

 新型コロナウイルスの国内感染者は〔5月〕10日午後10時現在,新たに4940人が確認された。死者は71人だった。9日時点での重症者数は過去最多だった前日を8人上回る1152人で,2日連続で最多を更新した。重症者が1千人を上回るのは10日連続となった。

 東京都の新規感染者は573人で,年代別では20代が148人と最も多く,30代が103人,40代が102人と続いた。「人工呼吸器か体外式膜型人工肺(ECMO〈エクモ〉)を使用」とする都基準の重症者数は78人で前日より5人多かった。

 この日の感染者数は,1週間前の大型連休中の3日(708人)より少なかったものの,2週間前の4月26日(425人)より35%増えた。10日までの1週間平均の感染者数は779.1人で前週比は89.2%だった。

 大阪府では新たに668人の感染が確認され,15人が亡くなった。

 2) 「感染者が自宅で死亡,大阪18人 3月以降急増,17人 新型コロナ」『朝日新聞』同上面

 大阪府は〔5月〕10日,自宅で亡くなった新型コロナウイルス患者が計18人にのぼると発表した。うち17人は3月以降の「第4波」の時期で,病院で治療を受ける前に亡くなる患者が相次いでいる。病床逼迫(ひっぱく)が全国でもっともきびしい大阪府では自宅療養者が急増しており,今回,府が初めて集計した。

 公表されたのは,医療の管理下になく,自宅や宿泊施設で亡くなった患者の合計人数のほか,年代や性別,療養状況。酸素投与や投薬治療を受けていた場合は除かれる。

 府の10日までの死者は1730人。そのうち,自宅で亡くなったのは第3波(2020年10月~2021年2月)は1人,3月以降の第4波では17人に急増した(5月7日現在)。今回,高齢者や障害者施設,宿泊施設で亡くなった患者はいないという。

 3)「ワクチン予約,シニア混乱 『電話30回かけたのに』役所も混雑」『朝日新聞』同上,31面「社会」

 新型コロナウイルスの高齢者向けワクチン接種の電話予約をめぐり,混乱が続いている。NTT東日本は固定電話網がパンクするのを避けるため,〔5月〕10日に一部地域で通信を制限。この日予約を受け付けた自治体では,高齢者が役所に集まる一幕も。「いつ予約できるのか」との訴えが広がっている。(▼1面参照)

 

 日本経済新聞論説委員編集委員秋田浩之の指摘・批判

 日経の本日(2021年5月11日朝刊7面「オピニオン」)は,コロナ戦線との闘いではいつも敗退ばかり体験してきた日本の医療体制について,戦時・有事の問題とからめたて解説(問題点の指摘や批判)を披露していた。

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 ① で紹介した〈宝島社の全面広告〉は,竹槍ならぬ木製の代用なぎなたでもってコロナ菌に立ち向かう “女子生徒のりりしい姿” を素材に利用していたが,昨今の日本におけるコロナ禍対策がもっぱら竹槍精神でのみ突き進む実態であった点は,多くの人たちから「B29を竹槍で突き落とそうとするかのごとき〈闘い方〉」だと非難・嘲笑されてきたとおりである。

 ここで1年前に,当時の安倍晋三首相が大本営的な発言をしていた事実を,あらためて想起してみたい。『首相官邸』のホームページにまだ掲載されている安倍の発言は,いまとなって読むのは恥ずかしいかぎりである。この全部が外れ(実質的に大ウソ)であった。

     新型コロナウイルス感染症に関する安倍内閣総理大臣記者会見 ◆
  =『首相官邸』令和2〔2020〕年5月25日,https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/statement/2020/0525kaiken.html

 安倍総理冒頭発言】より,適宜に引用)

 

 本日,緊急事態宣言を全国において解除いたします。〔2020年〕3月以降,欧米では,爆発的な感染拡大が発生しました。世界では,いまなお,日々10万人を超える新規の感染者が確認され,2か月以上にわたり,ロックダウンなど,強制措置が講じられている国もあります。

 

 わが国では,緊急事態を宣言しても,罰則を伴う強制的な外出規制などを実施することはできません。それでも,そうした日本ならではのやり方で,わずか1か月半で,今回の流行をほぼ収束させることができました。まさに,日本モデルの力を示したと思います。

 

 すべての国民の皆様の御協力,ここまで根気よく辛抱してくださった皆様に,心より感謝申し上げます。

 

 感染リスクと背中合わせの過酷な環境のもとで,強い使命感をもって全力を尽くしてくださった医師,看護師,看護助手の皆さん,臨床工学技士の皆さん,そして保健所や臨床検査技師の皆さん,すべての医療従事者の皆様に,心からの敬意を表します。

 

 日本の感染症への対応は,世界において卓越した模範である。先週金曜日,グテーレス国連事務総長は,わが国の取組について,こう評価してくださいました。

 

 わが国では,人口当たりの感染者数や死亡者数を,G7主要先進国のなかでも,圧倒的に少なく抑えこむことができています。これまでの私たちの取組は確実に成果を挙げており,世界の期待と注目を集めています。

 補注)安倍晋三はしかし,東アジア諸国の関連する実態とは比較していなかった。まともに比較することにしたら,このような発言が妥当していない事実は明らかになっていた。

 

 そして本日,ここから緊急事態宣言全面解除後のつぎなるステージへ,国民の皆様とともに力強い一歩を踏み出します。めざすは,新たな日常をつくり上げることです。ここから先は発想を変えていきましょう。

 補注)その「つぎなるステージ」,つまり2021年の5月になった時点での「日本におけるコロナ禍の現状」は,それとは似て非なる「つぎなるステージ」であった。これ以上,あれこれ申すまでもなくなった事態に,いまの日本は置かれている。

 先日,菅 義偉は「人流」のことを「人口」と間違えて口走っていても,当人自身はその間違いに気づかないでいられた。この首相はもしかすると,安倍晋三よりも日本語・漢字の読解力水準が悪かったのかもしれない。

 それはともかく,つづいてはさらに,秋田浩之の「〈Deep Insight〉80年間,なぜ変わらない」〔のか,この日本は?〕という「日経の論説」(2069文字)も紹介してみたい。一部だけの引用とする。

 --新型コロナウイルスへの対応に,日本は苦しんでいる。〔2021年〕5月11日までだった東京,大阪,京都,兵庫の4都府県への緊急事態宣言は結局,延長になった。人口千人当たりの病床数は先進国で最多なのに,日本の医療は逼迫している。ワクチン接種率でも先進国中,最下位のレベルだ。

 コロナが世界を襲ってから約1年間。このありさまは医療や衛生体制にとどまらず,日本の国家体制に欠点があるということだ。その欠点とは平時を前提にした体制しかなく,準有事になってもスイッチを切り替えられないことである。日本という列車は単線であり,複線になっていない。

 補注)この「単線と複線」のたとえ方は,多少分かりづらい。「複線と複々線」だと形容するならばまだ理解できそうだが,単線だけの路線で運営される鉄道会社では「片道切符しか売らない」かのようにも聞こえるたとえ方は,まだ疑問を残す。

 米国や英国は当初,対応が鈍く,多くの死者を出した。だが,その後は緊急時の体制をとり,ワクチン接種で先をいく。日ごろから準有事にあるイスラエルでは,ワクチンの確保に軍が動いた。同様の台湾では,携帯電話の情報から感染者の行動を追跡するシステムもある。

 一方,日本の仕組みはあらゆる面で準有事の立て付けが乏しい。法的な強制力はなく,外出自粛や休業を行政が国民に「お願い」するしかない現状は,その象徴だ。日本は戦後,米軍に守られていることもあって平和が続き,平時体制でやってこられた。先の戦争への強い反省から,国家が権力をもちすぎないよう努めてきた。

 補注)しかし,安倍晋三や菅 義偉の政権は,また別のかたちで「国家が権力をもちすぎた」悪例の代表ではないのか? もちろん,最初から問題の論じ方,その分析の方向において異同がありうるわけだが,安倍や菅のダメ指導ぶりのためにこそ,この国におけるコロナ禍が “異常なまで混沌化した事情” が生まれていたはずである。

 それに,いままでの日本が情報社会(IT化体制)そのものの構築に出遅れていた事実もみのがせない。この重要な要因に関する問題性にむすびつけて,いきなり「平時と戦時の区別」という認識問題に論点をズラして語る方法は,おおげさ加減に関して違和感を感じさせる。要は,無理強い(コジツケ的)になる批判が先行している論調であった。

 前段に氏名が出ていた「2名の首相」は,そもそもの話として「先の戦争への強い反省から,国家が権力をもちすぎないよう努めてきた」精神などとは,まったく無縁であって,その付近に関する政治的な知覚からして,もともとなにももちあわせていない。現状のごときコロナ禍に関してもちだされ,比較の材料に充てられる「敗戦した日本」の風景は,安倍晋三や菅 義偉たちの無能・無知ぶりを語らせる材料としては,必らずしも適切ではない。

〔記事に戻る→〕 今後もこれで乗り切れるなら,それに越したことはない。だが,残念ながら,コロナ危機は日本モデルのもろさを映している。だからといって,緊急時に私権を制限し,国家が統制を強められる体制づくりを急ぐべきだと主張するわけではない。むしろ,逆だ。根本的な欠点を改めずに政府に統制の道具だけ与えても,危機対応力は高まらないからだ。

 「近現代史の研究者」が指摘する「戦前・戦中と現状の国家運営には少なくとも3つ,共通の欠点がある」。

   第1の欠点は,戦略の優先順位をはっきりさせず,泥縄式に対応してしまう体質だ。時代背景はちがうが,コロナ対策にも重なる面がある。「感染封じこめ,経済の維持,東京五輪……。なにを最優先するのか不明確なので緊急事態宣言は惰性となり,国民も従わなくなってきている」(井上寿一氏)。

   第2の欠点は,すでにいわれて久しい縦割り組織の弊害だ。ワクチン接種やPCR検査,コロナ病床の確保が滞る事情はさまざまだが,「元凶のひとつが省庁間や中央と自治体の連携が乏しいことだ」(政府関係者)。

   第3の欠点が,「なんとかなる」という根拠なき楽観思考である。日本はなぜか,最悪の備えに弱い。戦時中でいえば,勝ち目が薄い戦争を米国に仕かけておきながら,明確な終戦シナリオを用意していなかった。

 真珠湾攻撃から今年で80年。コロナ危機は日本が引きずってきた体制の欠点をあらわにした。いま改善しなければ,将来,取り返しのつかない深手を負いかねない。(引用終わり)

 政治の舵取りがひどく下手な為政者たちのおかげで,日本の経済・社会のこのごろは「将来,取り返しのつかない深手」を確実に受けつつある。この『日本経済新聞』朝刊も,つぎの ⑤ で紹介するように社会面においては別個にまた,コロナ禍の状況を報じていた。

 

  一橋大学准教授・高久玲音「〈やさしい経済学〉コロナが問う医療提供の課題  (3)  患者集約が危機回避の道」日本経済新聞』朝刊28面「経済教室」

 この寄稿は,いまの時点ではすでに十二分に分かりきっている「日本における医療体制の大欠陥」が,ひととおりに指摘されていた。いささかヌルい表現になっている点が気になるが,最低限必要な前提条件は語っている。

 --新型コロナ患者の受け入れが病院経営に直結する一方で,わが国では多くの病院に病床の提供が要請されています。2021年2月24日時点で,1036病院が専用病院化や病棟を設定する医療機関(重点医療機関)に指定され,8病院に1つでコロナ患者受け入れが可能な計算です。

 しかし,病院あたりのコロナ病床数は非常に少なく,もっとも患者を受け入れている病院の1つ,東京医科歯科大学病院(753床)でも約50床(2021年4月時点)です。約1200床の大規模病院である東大病院は,受け入れ患者数の少なさが指摘されています

 国際的にみると,こうした受け入れ態勢はやや特異に思われます。たとえば,英国では感染の拡大時期(2021年1月)に,10の「NHSトラスト(病院群)」で合計5000人程度の入院患者がいました。

 約1800床と大規模なバーツNHSトラストには,ピーク時で800人ものコロナ患者が入院していました。また,受け入れ患者数が2番目に多かったキングスカレッジNHSトラスト(約1400床)は,患者数が700人以上に上り,病床の半分を上回りました。

 補注)この段落の指摘を受けたところで,日本の対・コロナ禍に関する病院側の態勢がまったくなっていない事実は,明確に浮上するはずである。外国にできて日本にできていない,こうした医療態勢じたいの問題がいまだに改善される兆しさえない。なぜか?

 いわゆる感染症村(原子力村をもじっていわれていることば)が,その反動的な勢力となって,日本のコロナ禍対策を大幅に萎縮させている。その村の構成員たちは,コロナ禍にさいなまれている患者を助けることよりも,自分の私利我欲,私物化行政(当面の研究費確保,そして退職後の天下り先確保)にしか興味がない人たちである。

〔記事に戻る→〕 一方,東京の重点医療機関数は2021年2月24日時点で114。合計4108床が確保されています。東京の医療提供態勢が英国と同等であれば,114ではなく10以下の病院群で対応可能だったということです。

 これはコロナの治療に伴い,通常医療が大きな影響を受けたことを考えると重要なポイントです。第1波では感染者の拡大傾向が見通せず,通常医療の延期は既定路線とされましたが,患者を集約すれば全体として通常医療との両立は十分可能だったはずです。

 コロナ患者を集約化すれば,多くの病院が経営上の危機を回避でき,政府からの補填の方向性も透明化されたでしょう。もっとも,欧州各国は平時においても公的病院の役割が大きいのに対し,日本では歴史的に民間の開業医が病床をもつことで病院群が形成されてきました。単純な「是非」の比較はできませんが,日本の病床確保政策はきわめて「分権的」だったと考えてよいでしょう。(引用終わり)

 この最後の表現,「日本の病床確保政策はきわめて『分権的』だ」という事情のために,そう簡単には医療崩壊にまで至るはずもない日本が,新型コロナウイルス感染拡大「問題」のために,経済・社会が大混乱と大打撃を受けている。

 つまり,日本の医療体制は,一国単位として病院組織の「抜本的な構造改革:その整理と再編成」を怠ってきた「いままでの国家行政の自堕落ぶり」に災いされて,昨年来のコロナ禍対策におけるドタバタ劇を連続させてきた。

 尾身 茂が理事長を務める大規模病院経営体(「地域医療機能推進機構」)は,傘下の各病院をもって,新型コロナ・ウイルス感染者をどのくらい受けいれていたのか?

 尾身はいままで3千人を受け入れてきたというが,いくつもある病院を併せて過去400日の期間にならして平均するとしたら,わずかの数にしかならないのではないか。大規模の病院を1院充てれば,そして常時 150名の感染者を受け入れていれば,これで満たせる人数が,その延べ「3千人を受け入れてきた」という返事の中身になる。

 関連する記述はネット上にも書かれている。しかし,そのやりとりよりもさらに重要な問題は,日本の医療体制そのものがコロナ禍に対してまともな備えを措置していなかった点にあった。この日本なりに特有な問題は,いってみれば「後進国」的な手抜かり油断であったと形容できる。

 

  高橋洋一という「ふざけた内閣官房参与」のたわけた発言

 この発言に関した報道はたとえば,『読売新聞 オンライン』2021/05/11 05:58,https://www.yomiuri.co.jp/politics/20210510-OYT1T50144/ が「内閣官房参与,日本の感染者数は『さざ波』」…『これで五輪中止とかいうと笑笑』と投稿」との見出しで報道されていた。

 内閣官房参与高橋洋一・嘉悦大教授は〔5月〕9日,自身のツイッターで,日本と世界各国の新型コロナウイルス感染者数の推移を示したグラフを引用し,「日本はこの程度の『さざ波』。これで五輪中止とかいうと笑笑」と投稿した。

 

 これに対し,10日の参院予算委員会共産党の山添拓氏は「亡くなる方がいるなかで,こうした認識の人が(参与として)政策決定に関与していることが大問題だ」と批判した。菅首相は「個人の主張に答弁することは控える」と述べるにとどめた。

 高橋洋一によるこのツイッターへの投稿「内容」は,一知半解どころか無知に近い「日本におけるコロナ禍の現状理解」を,みずから露呈させていた。菅 義偉の答弁ぶりもあいかわらずであって,内閣官房参与の地位に居る人物の「組織の地位」の問題と「個人の発言」との有機的な関係性を,ハナから無視した,それもいつもどおりに粗雑さをムキだしにする応答をしていた。

【参考記事】-本日の『日本経済新聞』から-

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 適菜 収が『日刊ゲンダイ』に定期的に寄稿している文章,《それでもバカとは戦え》という題名を付した連載のなかには,こういう内容の記述もあった。「自民党はまるで『粗忽長屋』 死に絶えてしまった政府の知性」2021/05/08 06:00,https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/288840   これを引用しておく。

 いまの内閣,落語に登場するような粗忽な人たちが多いが,一番の問題は「笑えない」ところだ。

 

 つい先日も,官房長官加藤勝信が,定例会見で「ヨセキを含む劇場等に対し無観客開催を要請していると承知している」と発言。原稿に書いてある【寄席】を「ヨセキ」と読んだわけだが,「落語ファン」とされる加藤の正体が無残にも明らかになった。

 

 揚げ足をとりたいのではない。誰でも読み間違えはある。しかし,事前に原稿のチェックをしないのは世の中をナメているし,伝統文化や日本語に対する尊崇の念もない。母国語を大切にしない人間が,母国を大切にするはずもない。

 

 受験勉強はできたが,教養がまったくないやつは多い。もっともいまの自民党はそれ以前の話。義務教育レベルの漢字を読むことができない「お山の大将系」が多い。麻生太郎が典型だが,ふんぞり返っているので周辺から間違いを指摘してくれる人がいなくなる。

 

 【踏襲】ふしゅう,  【詳細】ようさい,【頻繁】はんざつ,

 【未曽有】みぞうゆう,【措置】しょち, 【怪我】かいが,

 【完遂】かんつい,  【焦眉】しゅうび,【低迷】ていまい,

 【物見遊山】ものみゆうざん, B【前場】まえば, 【有無】ゆうむ……。

 

 にわかには信じがたい誤読の数々だが,財務大臣が【前場】を読めないのはさすがに危ない。

 

 菅 義偉も日本語が大の苦手。

 

 【改定】かいせい,【貧困対策】ひんこんせたい,【被災者】ひがいしゃ,

 【伊方原発】いよくげんぱつ,【枚方市】まいかたし……。

 

 これでは【市井】を「しい」,【云々】を「でんでん」,【背後】を「せご」と読んだ安倍晋三と同レベル。もっとも元高校教師で元文部科学副大臣義家弘介が,国会で【便宜】を「びんせん」,【出自】を「でじ」と読む時代なので学力崩壊は行き着くところまで行ったということだろう。

 こうした痴的水準に低迷していた日本の国家最高指導者たちが,コロナ禍との闘いがまだ始まったばかりのころ,すでに「日本モデル」によって日本は新型コロナウイルス感染拡大「問題」に勝利したみたいに,これ以上ない勘違いにもとづく勝利宣言をしていた。

 コロナ禍の事態進行と五輪開催の問題とは,ひとまずまったくに別問題である。にもかかわらず,五輪が開催できれば「わが国がコロナ禍に打ち勝った証しになる」などいった,解釈のしようがない,そして愚にもつかない迷セリフを吐いていた。

 一事が万事。

 ところで,『東京新聞』2021年5月11日 06時00分,https://www.tokyo-np.co.jp/article/103355  は,「うめき声に囲まれ,友人は逃げて… コロナ病棟消毒・清掃 過酷な現場にも『やるしかない』作業員の決意」と見出しをつけた記事を報じていた。前文とその後に段落記述に付けられた小見出しのみ紹介しておく。,

 新型コロナウイルス感染の再拡大が止まらず,患者を受け入れる病院や感染者が確認された事業所などの消毒・清掃作業の需要が高まっている。長時間,防護服を着用しての業務は過酷で,人手は不足気味。差別や偏見にも直面するが,作業員たちは「誰かがやらなければ」と日々,作業を続けている。

 

  ◆ 13の病室に集中治療室など7時間1人で

  ◆ 苦しむ人を目の前に

  ◆ 感謝の声を励みに

 この記事の下には,こういう【関連記事】のリンクが張られていた。

 ⇒「ワクチン予約 ネットはわずか25分で上限,電話は『つながらない』…横浜市」。

 ということで,最初にとりあげた話題に還帰したことになる。

 なお,高橋洋一は菅 義偉の腰巾着らしい……。まことにもって,とても笑笑な男である。現状のごとき「コロナ禍」に原因する日本の経済・社会における悪影響も,高橋にいわせれば,「さざ波」程度だということになるわけか?

 それでも,この「さざ波」のために,2020年からのこの国は,いったいどのくらい強烈な打撃を受けてきたか?

【参考記事】

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