東京電力福島第2発電所の廃炉工程はいったいどのくらい時間が費やされていくのか,誰にもまともに答えられない超難問である,厄介ものである原発の後始末に四苦八苦していく未来だけは展望できる

 『東電福島第1原発事故「現場」の窮状』は,廃炉工程そのものに該当する〈後始末作業〉の工事着手にまだ至っていない,そして「3・11」以来,10年以上も停止状態を余儀なくされた「福島第2原発」(事故は起こさなかった)から先に,通常の方式での「廃炉のための作業」が開始された

 けれども,本日のその「報道の内容」は,福島第2原発廃炉作業であっても,これが終了するまでの全行程のうち,最初における〈ほんのわずかの部分〉にしか触れていない,しかしその事実だけを示したかたちであっても,報道機関に大きく報道させる点になんらか特定の意味がこめられている,

 だが要は,それだけのことであって,東電における第1原発の「溶融事故を起こした」「原発3基」の「廃炉問題」そのものが,いまもなお,いちじるしい困難をかかえた状態にあり,おそらく21世紀中においてさえ,その作業を完了できるという保障がない,こうした見通しからわれわれの視線をそらせることはできない

 

  要点・1 東電福島第1原発事故「現場」は,いつになったら,廃炉工程の「入り口」にたどり着けるのか

  要点・2  「3・11」発生時に東電福島第2原発は事故を起こさなかった,けれども,これまで10年間未稼働状態に留めおかれてきたすえ「廃炉処分」となった,東電にとっては初めての,通常の原発廃炉作業を開始する,しかし,いまから具体的に何十何年後に終了できるとは確言しかねる,この点は「原発問題がそもそも抱えていた深刻な今後の技術的課題」であった

  要点・3 「持続可能な開発目標」という標語があるが,原発はその反極に立つ電力生産方式である。

 

  東電の福島第1原発と第2原発

 東電が保有してきた原発は,つぎの一覧のとおりである。ここでは,2019年度末現在のそれである。以下には,出力と営業運転開始の日時のみを記しておく。

 註記)https://www.tepco.co.jp/corporateinfo/illustrated/nuclear-power/nuclear-plants-j.html 参照。

 ※-1 福島第1原子力発電所(2011年「3・11」直後に1・2・3号機が溶融事故を,4号機は爆発事故を発生)

  1号機   46万キロワット   1971.  3.26
  2号機   78.4万キロワット   1974.  7.18
  3号機   78.4万キロワット   1976.  3.27
  4号機   78.4万キロワット   1978.10.12

  5号機   78.4万キロワット   1978.  4.18
  6号機 110万キロワット   1979.10.24

 

 ※-2 福島第2原子力発電所

  1号機 110万キロワット  1982.  4.20
  2号機 110万キロワット  1984.  2.  3
  3号機 110万キロワット  1985.  6.21
  4号機 110万キロワット  1987.  8.25

 

 ※-3 柏崎刈羽原子力発電所

  1号機 110万キロワット  1985.  9.18
  2号機 110万キロワット  1990.  9.28
  3号機 110万キロワット  1993.  8.11
  4号機 110万キロワット  1994.  8.11
  5号機 110万キロワット  1990.  4.10
  6号機 135.6万キロワット  1996.11.  7
  7号機 135.6万キロワット  1997.  7.  2

 以上の合計17基は大部分がそれぞれ,2011年「3・11」以降は未稼働・停止状態を余儀なくされてきた。柏崎刈羽原発の7号機から経過した年月は14年と9カ月である。

 東電側は,この柏崎刈羽原発のうち「6・7号機が再稼働した後5年以内に,1~5号機のうち1基以上について,廃炉も想定したステップを踏んでまいります」と明言していた。

 註記)東京電力ホールディングス株式会社「柏崎刈羽原子力発電所の再稼働および廃炉に関する基本的な考え方」2019年8月26日,https://www.tepco.co.jp/press/release/2019/pdf3/190826j0101.pdf

 およそ2年前のこうした東電側の柏崎刈羽原発のあつかいに関するかなり未練がましい立場は,その後,いくらかの動きを含む経過があったものの,2021年4月になると,東電があるいくつかのみっともない過誤を犯してきたがために,つぎの ② ③ のように報道される事態を招いていた。

【参考資料】

設備利用率(当社 発電所・号機ごと)|数表でみる東京電力|東京電力ホールディングス株式会社

 

 柏崎刈羽原発『運転禁止』を決定 商業炉で初,規制委」『YAHOO!JAPAN ニュース』2021/4/14(水) 11:05 配信,https://news.yahoo.co.jp/articles/0f5fc30dcb6773befc120f0606112efe983d15cc(元記事『共同通信』)

 原子力規制委員会は〔4月〕14日の定例会合で,東京電力柏崎刈羽原発新潟県)の事実上の運転禁止命令を正式決定した。核物質防護不備をめぐり,原子炉等規制法にもとづき同原発での核燃料の移動を禁じる是正措置命令を出す。同日午後,東電幹部を原子力規制庁に呼び,命令書を手渡す。

 「隠しつづける『不都合な事実』繰り返された東電の過ち」。命令によって,東電は同原発への新燃料の搬入や,原子炉への燃料装填などができなくなる。商業炉に対する規制委の措置命令は初めて。同原発の再稼働は当面望めず,福島第1原発廃炉や賠償の枠組みにも影響を与えかねない。

 禁止期間は「事業者の自律的な改善がみこめる状態」になるまでとされる。(引用終わり)

 この2ヵ月後に出ていたが,連続する関連の記事が,つぎの ③ であった。

 

 「東電,柏崎刈羽原発の工事未完了 新たに72カ所発覚」nikkei.com 2021年6月10日 17:10,https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC105090Q1A610C2000000/

 東京電力ホールディングスは〔6月〕10日,再稼働をめざす新潟県柏崎刈羽原子力発電所の不祥事をめぐり,新たに72カ所で工事の未完了が発覚したと発表した。床や壁を貫く配管に対して火災の炎や熱が伝わらないように防護する処理に不備があった。柏崎刈羽原発は相次ぐ不祥事で地元などの反発が強まっており,再稼働がさらに遅れる可能性がある。

 配管が壁や床を貫く約8000カ所のうち72カ所で,火災の対策工事の未完了が発覚した。すでに発覚している未完了の工事と合わせて,同様の不備は76カ所に増えた。防護区画を複数回変更するなか,工事対象の特定や仕様の確認に漏れがあった。東電は図面の擦り合わせなどメーカーとの連携不足も原因に挙げた。

 東電は〔2021年〕1月,柏崎刈羽原発7号機で安全対策工事が完了したと発表した。だが直後に工事の未完了が発覚し,他の部分に問題がないか確認するために総点検をしている。新たな工事の不備は総点検のなかでみつかった。火災防護以外の不備をくわえると,工事の未完了は合計で89カ所にのぼる。

 柏崎刈羽原発では核物質防護設備の機能の一部喪失やIDの不正使用も明らかになっている。原子力規制委員会は東電に対し,9月下旬までに原因分析や改善計画を報告するように通知している。東電は当初,2021年度中の再稼働をめざしていたが,実現する可能性はきわめて低い。

 東電は2021年3月期の経常利益が前の期比28%減の1898億円だった。新型コロナウイルスの感染拡大で電力需要が縮小したほか,2016年の電力小売り自由化で新電力が参入したことで競争も激しい。東電は,2020年度に策定予定だった事業再建計画も公表できていない。柏崎刈羽原発の再稼働の遅れは東電の経営再建にも打撃になる。(引用終わり)

 これが東電(現在の名称は変わっていて,正式には東京電力ホールディングスとなっているが)の本体が,いつもおこなってきた管理状態の実際の様子であった。いってみれば,その経営体質は「3・11」以前とほとんどなにも変わっていないことになる。

 「柏崎刈羽原発の再稼働の遅れは東電の経営再建にも打撃になる」という点は,もしも1基の原発も再稼働できないとなったら,前段に一覧した原発がすべて埋没原価になりはてしまう,という顛末を迎える。

 しかも,廃炉作業がこれからさき,さらに膨大な経費(費用)をじわじわ発生させていく要因となり,加重されてくる。その廃炉の期間は,とりあえず半世紀近くかかると説明されているが,その程度の期限内に収まるという絶対の確証は与えられていない。

 現在,「東日本大震災⇒東電福島第1原発事故」に関する当時の東電幹部3名に対する裁判がなお継続中であるが,新しく報道された関連の記事を引用しておく。昨日の報道である。

  ★ 武藤元副社長,正当性主張 長期評価「新知見でなく意見」-原発事故の東電株主訴訟」★
 =『時事通信』2021年07月06日20時38分,https://www.jiji.com/jc/article?k=2021070601115&g=soc

 

 東京電力福島第1原発事故で,旧経営陣が津波対策を怠ったとして,東電へ22兆円を支払うよう求めた株主代表訴訟の口頭弁論が〔7月〕6日,東京地裁(朝倉佳秀裁判長)であり,武藤 栄元副社長の尋問がおこなわれた。原告側は武藤氏が事故前に津波対策をしなかった不作為を追及したが,「(当時は)社会通念上,安全と確認できていた」などと述べ,対応の正当性を主張した。

 

 政府の地震調査研究推進本部地震本部)は2002年,巨大津波を発生させる地震の可能性を指摘する「長期評価」を公表。東電は長期評価にもとづけば,従来の想定を上回る15メートル超の津波が福島第1原発の敷地を襲うと試算していた。しかし,2008年に報告を受けた武藤氏は土木学会に検討を委ねることを決定。対策がされないまま,2011年の事故が起きた。

 

 武藤氏は尋問で,長期評価について部下から根拠が不明と聞いたと主張。「(長期評価は)新知見ではなく意見だ」と強調した。尋問では,朝倉裁判長が長期評価を軽視した当時の東電の対応を疑問視する質問もあった。

 

 この日は勝俣恒久元会長や清水正孝元社長らの尋問もおこなわれた。いずれも津波対策の必要性について,報告は受けていなかったと主張。長期評価も認識していなかったと訴えた。

 

 勝俣氏は「多くの人に迷惑をかけて深くおわび申し上げる。事故を防げず痛恨の極み」と陳謝。清水氏も謝罪したうえで「結果として事故を防げなかったが,私は設備投資を惜しんだことはない」と述べた。

 なお,清水正孝元社長は勝俣恒久元会長の女婿である。東電ほどの巨大会社のなかでも同族経営的な匂いを感じさせる姻戚関係が最高幹部間に存在していたというのも,興味深い。それはともかく,大地震や大津波に関する「(長期評価は)新知見ではなく意見だ」と強調した東電旧幹部の無責任さ・無識見ぶりは,裁判に挑んでの態度とはいえあまりにもその度合がひどい。

 東日本大震災にさいしては,東北電力女川原発が15メートル前後もの高い津波の襲来に備えていて,実際に津波の被害を防げていた事実にくらべるとき,東電旧幹部たちの発言は無責任のきわみである。東北電力のホームページには関係する事情が,こう説明されている。

    原子力発電所の安全対策東日本大震災女川原子力発電所

 

 ※-1 地震津波の発生時,設計どおり「止める」「冷やす」「閉じ込める」が有効に機能し安全に停止しました。

 ※-2  震災時,地域住民の方々が発電所を頼り避難してきました。

 ※-3 発電所の取り組みが国際的に高い評価をいただきました。


 1) 敷地の高さ14.8m。歴史的調査と専門的知見により検討され,決定された津波対策。

 1号機の設計時(昭和40〔1965〕年代),文献調査や地元の方々への聞き取り調査から津波の高さを3mほど度と想定していました。しかし,専門家を含む社内委員会での「貞観津波(869年)や慶長津波(1611年)などを考えれば津波はもっと大きくなることもあるだろう」等の議論を経て,当社は敷地の高さを14.8mと決定しました。

 

 2) 3m→9.1m→13.6m。津波の高さは最新の知見を反映して想定。

 2号機の建設にあたっては,昔の津波の痕跡を調べるなどして,想定津波をそれまでの3m程度から9.1mに見直し(昭和60〔1985〕年代),建設時には敷地法面が津波で削り取られないように9.7mの高さまで防護工事をおこないました。

 また,3号機が運転開始した2002(平成14)年には,土木学会が最新の知見を踏まえて公表した津波評価手法にもとづき,13.6mと評価しましたが,敷地高さ14.8mを下回っており,あらためて津波に対する敷地の高さの安全性が確認されました。

 

 3) 海水ポンプは深さ12mのくぼみの中へ

 原子炉を冷やすために欠かせない海水ポンプを,津波の影響を受けやすい港湾部ではなく,原子炉建屋と同じ敷地の高さ(14.8m)を掘り下げたところに設置しました。

 また,海底がみえてしまうほど海面が低くなることがある津波の引き波時でも原子炉や使用済燃料プールを冷却する海水を確保できるように,取水路の奥を深く掘る設計としていました。

 これにより,海面が取水口より低くなった場合でも,取水路にたまった海水で約40分間冷却を続けられます。なお,震災時に引き波により,実際に海面が取水口より低くなったのは数分間でした。

 

 4)震災前に実施していた,約6600ヵ所の耐震工事

 2010(平成22)年6月までに,機器や配管をサポートで補強するなど1・2・3号機合わせて約6600ヵ所の耐震工事を実施していました。また,緊急時対策室などがある事務棟の耐震工事(外壁の筋交い)も完了していました。

 

 5)「以上のまとめ」

 2011年3月11日,設計どおり,「止める」「冷やす」「閉じ込める」が有効に機能し,安全停止しました。

 

 「止める」-設計どおり原子炉が自動停止。 地震発生時,1・3号機は通常運転中,2号機は原子炉起動中でしたが,大きな揺れにともない,原子炉3基すべてが設計どおり自動停止しました。

 「冷やす」-冷却機能を確保。 最大約13mの津波で一部の設備に被害はありましたが,発電所の敷地高さを越えることはありませんでした。また,燃料の冷却に必要な外部電源(送電線)1回線が確保されていたほか,建屋内の非常用ディーゼル発電機も使用可能な状態でした。

 「閉じ込める」-放射性物質を閉じ込める。 発電所敷地内に設置してある放射線モニターの値に異常はみられませんでした。

 東北電力にできていた対策であったのに,なにゆえ東電はダメ:不可とされてしまい,21世紀の歴史に残る原発の大事故を発生させたのか? 現在までおこなわれている「東電幹部のうち3名を裁くための裁判」が,その対照性を浮き彫りにしている。東北電力が気づいていた貞観地震津波の被害は,古文書に記録されていた。専門の学者に尋ねれば教えてくれるものであった。

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 東京電力の担当部署幹部たちが,その史実をまったくしらなかったわけではなく,部下たちから関連する報告があったものの,要は,あとはまともに吟味する気がなかったのである。東電は国策的な「地域独占企業形態」「総括原価方式」で十二分な利潤を保障されていながらも,なお営利的な観点ばかりを最優先させてきた結果,東電福島第1原発事故という悲惨で過酷な事故を発生させていた。

 その東電が現時点〔2021年7月上旬現在〕に至っては,所有する原発のほとんどをまともに稼働させえない時期を10年以上もつづけてきた。ある意味では原発なしでも電力会社(大企業の場合だが)の経営が成立しうる事実が,反面から教えられていると説明することができるのだから,皮肉な結果まで随伴させていた。

 ともかく,東電は保有する多数の後始末を,しかも大事故を起こした福島第1原発事故も含めてのみこみとなれば,21世紀中に完全に終えられるという「確実な見通し」はもてるはずもないまま,「廃炉工程管理」の時代をすでに迎えている。「3・11」はその意味でも「日本における原発の時代」に決定的な画期をもたらした。

 

 「福島第2,廃炉作業を公開 建屋内で除染 2064年度に完了目標」朝日新聞』2021年7月7日朝刊3面(通常の廃炉を伝える記事) 

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  註記:出所)記事より。

 a) 東京電力福島第2原発福島県富岡町楢葉町)で進められている廃炉作業について,東電は〔7月奇異6日,報道陣に初公開した。廃炉は44年かかり,2064年度の完了をめざしている。

 補注)ここでの説明,つまり「2064年度の〔廃炉〕完了をめざしている」のであり,この「廃炉は44年かか」るという内容は,基本的にアテにできない。そもそも,東電福島第2原発は事故を起こしていないとしても,そのように断定しておくほかない。

 けれども,1985年から1997年にかけて商業運転を開始していた原発7基を,もしも全基廃炉処分にすることにしたら,その間「3・11」の時期までのように収益への貢献は期待できなくなる。

 東電柏崎刈羽原発の稼働状況については,つぎの柏崎市ホームページが詳しく記録・報告している。 

〔記事に戻る→〕 この日,公開されたのは1号機の原子炉建屋内での除染作業。核分裂の反応を抑える制御棒の引き抜きや挿入をおこなう設備を点検する「CRD補修室」で,防護服姿の東電の社員ら12人が高圧洗浄機を使い,水槽の配管などを除染した。

 廃炉作業は6月23日に始まった。作業は4段階に分かれ,2030年度までの第1段階は施設の除染などが中心で,準備期間と位置づけられる。三嶋隆樹所長は「廃炉をしっかり進めるには地域の皆様の理解,信頼,これが第一。社員一同,しっかりと肝に銘じて安全,着実に作業を進めたい」と述べた。

 第2原発では計9532本の使用済み核燃料を保管し,地元は廃炉完了までに県外への搬出を求めるが,めどはまったく立っていない。また,事故を起こした福島第1原発を含む10基の廃炉を同時に進めることから,作業にあたる人員の育成や確保,災害時の対応などが課題となる。

 補注)いわゆる「トイレのないマンション」状態がここでは指摘されているが,この種の課題に今後どのように対処するのか,その可能性からしてなにも定まっていない。これが「日本の原発事業」の廃炉工程管理問題の現実であった。大手の「原発保有している各電力会社」は,このままだと便秘状態を強いられつづけていくしかないのか。

 b) 廃棄物処分先,決まらぬまま

 東電によると,廃炉作業は,除染などの準備から始まり,原子炉周辺設備,原子炉,建屋のそれぞれの解体・撤去と約10年ごとの4段階で進める計画だ。

 そのさい,使用済み核燃料から生じる「核のごみ」である高レベル放射性廃棄物以外にも,放射能を帯びた低レベル放射性廃棄物が発生する。高レベルと同様に埋設処分が必要で,今後の廃炉作業の大きな課題になる。

 東電の試算では,4基の廃炉作業に伴って発生する廃棄物は約235万トン。このうち約5万2千トン(約2%)が低レベル放射性廃棄物にあたる。原子炉の周辺設備の解体が始まる第2段階以降に増えはじめる。

 低レベル廃棄物は,放射能レベルに応じて3種類(L1~L3)に分類される。原子炉の制御棒など放射能レベルが高いL1は70メートルより深い地中に埋設。原子炉圧力容器の一部などL2は深さ十数メートル,周辺の配管など放射能レベルが低いL3は深さ数メートルの地中に処分する。

 東電は,福島第2でL1が380トン,L2が4360トン,L3が4万6950トン発生すると見積もる。いずれも2064年度の廃炉完了までに処分業者に引き渡すとするが,その間の保管先は未定で,現時点では最終的な処分場所も国内には存在しない。東電は「今後,検討していく」としている。(引用終わり)

 以上の記事を読んでビックリさせられるはずである。廃炉工程の前段にまつわる諸作業が開始されているにもかかわらず,その「計画や予定」は「未定で」,「今後,検討していく」など,実に悠長な話である。

 しかも,この記事のなかで話題になっているのは,低レベル廃棄物に関してだけである。これでは,原発廃炉という問題は冗談にもなりえないほど “厄介で困りものだ” という位置づけを,あらためて深刻に考えなおすうえでの参考記事にしかなっていない。

 c) 原発の基本的な認識に関しては,いまどきになってもまだ性懲りもなく,つぎのようの唱える人びとがいないのではない。

 つまり,エネルギー政策の基本的視点としての『3E+S』,すなわち,

  安全性(Safety)を前提に置き,

   ☆ エネルギー安定供給(Energy Security),

   ☆ 経済効率性の向上(Economic Efficiency)による低コストでのエネルギー供給を実現し,

   ☆ 環境への適合(Environment)を図るため,最大限の取組をおこなう」こと,

 そして「それらのバランスを適切に確保すること」に関して,原発が一番秀でているなどと,その訳もなにも分かっていない自己証明のごとき,つまり「一知半解」以前の「デタラメ原発観」が,いまでも一部の原発推進派の人びとの口を通して高唱されている。

 補注)つぎの記事が参考になる。    

 『原発安全神話』はとくに,チェルノブイリ原発事故(1986年4月)と東電福島第1原発事故(2011年3月)によって,完全に崩壊・溶融していた。こうなっては,エネルギーの安定供給も,経済効率性の向上による低コストの実現も,現実的には完全といっていいくらいむずかしくなった。

 とりわけ,原発の「環境への適合」性をウンヌンする話法は,この論点の設定じたいからして,当初より環境破壊的な意図にまみれていた事実を棚上げしたまま,議論の出発からして過誤と欺瞞に囚われていた。

 たとえば,原発がもたらす核種としてのトリチウムの有害性問題は,原発の反人類性・非人間性如実に現象させている。しかし,原子力村の圏内では原発推進に都合の悪い「この種の事実」は,いい加減に無視されてきた。

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