従軍慰安婦問題の本質(14)-安倍晋三は「慰安婦問題」について「日本が国ぐるみで性奴隷にしたといういわれなき中傷」だと反撥していたが,これほど「歴史的にデタラメな主張」はない,もともと彼においては歴史をまともに認識する理性が不在

             (2014年10月3日,更新 2021年10月2日)

 かつて「美しい国」だったとされたあの大日本帝国における兵舎物語に関してだが,この旧軍には「軍用・性的奴隷施設」がなかったと思いこみたい,安倍晋三の空想的・盲論的な虚説「観」は,この世襲政治屋3代目の痴的水準を如実に表現していた

 さて,2021年9月29日の自民党総裁選挙で総裁に選出された,これまた世襲議員政治屋の「岸田文雄という幽霊的な人物」が,そのうち国会で首相に選ばれるはずだが,いよいよ亡国への途を加速しはじているかのような「日本の政治状況」なかで,安倍晋三⇒菅 義偉⇒岸田文雄という歴代の「見当違いの総理大臣」では,21世紀におけるこの国の治世:舵取りはにっちもさっちもいかない

 それら亡国の首相たちが闇夜を彷徨するがごとき政治状況を踏まえて「この国に姿に未来はあるのか」と問うのは,実にむなしい発声であった。自民党および公明党の国会議員たちには「俺たちには明日がない」ことに,わずかも気づいていない

 

 🌑 ま え が き  🌑

 a) 不況時代のアメリカ1930年代に実在した男女2人組の強盗,ボニーとクライドの凄絶な生きざまを描いた,アメリカン・ニューシネマの先駆け的作品 “BONNIE AND CLYDE” があった。その粗筋は,「ケチな自動車泥棒だったクライドは,気の強いウェイトレスの娘ボニーと運命的に出会い,コンビを組んで強盗をやりはじめる。2人は順調に犯行を重ねていくが……」となっていた。だいぶ昔にだが,この映画を実際に観た本ブログ筆者は,最後になると警察隊に包囲され蜂の巣のように銃撃されて死んだ場面を記憶している。

 注記)『ボニーとクライド,/ 俺たちに明日はない』1967年の粗筋(途中まで),https://movies.yahoo.co.jp/movie/21600/story/

 いまの日本における自民党政治に「明日はない」ことはますます明々白々となっている。まさに亡霊のごときオンボロ世襲政治屋どもが,わが物顔で・したり顔をしながら,この国の政治・経済・社会を壟断したつもりで,実際には溶融させるばかりであった。

 岸田文雄という幽霊(安倍晋三麻生太郎のいいなりになる気弱でKYのお坊ちゃま議員)が,そのうち日本国の首相に選ばれるが,もはやこの国の「痴的病状としての」国家理性の腐敗・堕落ぶりと来たら,もう手当のしようがないくらい落ちていた。その分だけますます,養老孟司流の「バカの壁」だけはバカ高くなっている。

 b)「落ち目の日本」(21世紀に入ってからその兆候はより明確に進展していた)で,従軍慰安婦問題をすなおに認められない自民党議員たちの存在は,逆説的にいえば,いまや後進国化の過程を,その速度を徐々に増しながら進行させるほかない人びとである。

 しかもそうした現状に呈したこの国のなかにあって,なおもまだ,フランケンシュタイン政治的に錯乱するゾンビ状態をより固定化する方向にしか針路をとりえない政治情勢だとなれば,われわれを囲む事態の深刻度だけが増していくばかりである。

 たとえば,2021年10月1日の『YAHOO!JAPAN ニュース』https://news.yahoo.co.jp/articles/4dcb55c6e2dc26ad701a38f0cea7cf7914690ae3  に転載された『産経新聞』の記事は,日本を代表する有数な大企業である三菱電機を「三菱電機,検査不正で辞任の会長が会見『経営層と現場に断絶』」との見出しで,こう伝えていた。

 三菱電機は〔2021年10月〕1日,鉄道車両用機器などの検査不正を受けて,柵山正樹会長が同日付で辞任したと発表した。不正を防げなかった責任を取る。経団連副会長も退任した。

 

 杉山武史前社長も7月に引責辞任しており,両トップが辞任する事態となった。外部有識者による調査委員会は報告書を同日公表。再発防止に向け「従業員が安心して声を上げることができる企業風土を構築すべきだ」と改革を提言した。

 

  調査委の委員長を務める木目田裕弁護士(西村あさひ法律事務所)は同日,東京都内の三菱電機本社で会見し,「経営層はもっと深く現場に関与していくべきだった」と述べた。

 この記事は,いわゆる大企業「病」として発症した事例のひとつであるが,組織の上層部と現場の労働者層のあいだに救いがたいほどに乖離が生じていた現象,いいかえれば,会社の基本的な機能そのものに上下間において断層が発生しており,その全体的な働きが不全に陥っていた事実を教えている。

 最近における日本の大企業,それも製造業の凋落ぶり(負け犬化現象)は,かつて「製造業・王国」として優秀・強大・猛烈であったこの国工業会の面影を,いまではほとんど失わせつつある。 “ジャパン・アズ・ナンバーワン” は,どうであろう,まさかナンバー・テンにまで落ちたとは思う必要はないにしても,相当にあやしくなっている。

 c) 三菱電機の場合は実業界の症例であったが,対して,政界における現状のごとき自民党「病」,つまり安倍晋三関連の「モリ・かけ・桜・河井事件」に端的に表現されているとおり,これらの諸疾病が新しく首相になる岸田文雄の手によって治療されそうな見通しはない。おそらく,岸田はなにも手を着けられずに,彼自身が自民党政治屋の1人として「無能・無策」である立場:利害状況を,否応なしに強いられるに決まっている。そうならない確率のほうが,かぎりなく小さいはずである。

 三菱電機の今回における問題を報道した『読売新聞』2021/10/02 05:00,https://www.yomiuri.co.jp/economy/20211002-OYT1T50048/  は,「『工場あって会社なし』… 三菱電機調査委 閉鎖的組織 見直し要求」との見出しをかかげていた。この表現を真似ていうとなれば,はたして日本政府の現状はとみるに「自民党あって国家運営なし」という惨状に,以前からなりはてていた。

 『東京新聞』2021年10月2日 06時00分(朝刊),https://www.tokyo-np.co.jp/article/134320  に報道されたある記事は,「自民新執行部は『政治とカネ』再燃の船出 甘利氏,麻生氏,小渕氏…問われる説明責任」という見出しのもと,冒頭をつぎのように書き出していた。

 自民党は〔10月〕1日の臨時総務会で甘利 明幹事長,福田達夫総務会長,高市早苗政調会長遠藤利明選対委員長の党四役を正式決定した。岸田文雄総裁は就任に際して「生まれ変わった自民党を国民に示す」と意気ごんだが,甘利氏は金銭授受問題で閣僚を辞任した経緯があり,他にも問題を抱えた新役員が多い。野党側は甘利氏らを追及し,安倍・菅政治の「政治とカネ」を含む「負の遺産」の清算に後ろ向きな新政権の体質を浮き彫りにする構え。

 

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 もっとも,自民党の連中は「彼らの側なりに抱えている(この種のたくさんある)問題」を,これからであっても自分たちが進んで解明する気など,これぽっちもない。

 いわば『腐敗と堕落の楽園』党である自由民主党は,コロナ過の第6波がこの秋から冬にかけて襲来すると予測されているなかにありがながら,非「国民」的な頑迷政治を維持しつづけ,いまもなお「極楽トンボ」的な精神状態で,国会あたりに蝟集,徘徊するばかりである。

   ◆ 緊急事態,明けた朝に 半年ぶりに友人と食事・特効薬できるまでは… 8月以来の出番を待つ ◆
     =『朝日新聞』2021年10月2日夕刊1面 (後部の4分の1のみ引用)=

 

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  補注)ひとつ「奇妙な基本の疑問」がある。「Go To トラベル」を記入するのであれば,「オリンピックの開催」も記入していなければ〈たいそうおかしく,均衡が取れていない〉作図になる。五輪のスポンサーになった朝日新聞社の記者はこのようにしか図表を作成できないのか? そうだとなれば,奇怪そのもの。

 

 ※「冬に感染の波も,警戒を」 専門家 ※

 国内の感染者数は9月に入り減少傾向が続く。だが,これまでも緊急事態宣言の解除後に再び感染が広がる「いたちごっこ」が繰り返されてきた。昨〔2020〕年度も冬場に大きな感染の波が来ており,専門家は気を緩めることなく,感染予防策を徹底するよう訴える。

 

 国内で初めて感染者が確認されたのは昨年1月15日だった。その後,感染が各地に広がり,「第1波」で初の緊急事態宣言が発出され,その後,全47都道府県に拡大された。

 

 夏の「第2波」,政府の観光支援策「Go To トラベル」を経た冬の「第3波」で感染者は桁違いに増えた。今〔2021〕年1月8日には当時としては最多の7958人に。2回目の宣言が東京都などに出された。

 

 宣言はいったん解除されたが,3月下旬ごろからは関西地方を中心に再び感染者が増えはじめ,「第4波」が到来。4月25日から始まった3回目の宣言では新たに「酒類の提供禁止」が盛りこまれた。

 

 6月下旬までに沖縄県以外は宣言解除となったが,感染者は下がりきらず「第5波」に突入。7月以降に東京都などに4回目の宣言が出されたが,8月20日に過去最多の2万5867人を数えるなど,8月は2万人を超える日々が続いた。

 

 国際医療福祉大の和田耕治教授(公衆衛生学)は「昨年の経験も踏まえれば,冬場にもう一度,感染の波が来るという想定はしておくべきだ」と指摘する。「『解除だ』と一気に警戒を緩めるべきではない」と呼びかける。

 

【参考記事】

 

 前段の形容をもちだせば,新政権はそれこそ「フランケンシュタイン政治的なゾンビ状態」として発足するみこみである。しかも,岸田文雄が統率することになる「次期自民党政権の発足に備えて任命された自民党執行部の面々」の大部分は,「すねに傷をもつ」どころか,むしろ「満身創痍」状態である「ぶざまな姿」を,いまだにろくに洗浄も治療もできずに,みっともなくもさらけだしてきた〈連中〉である。

 その「安倍・菅政治」期の「『政治とカネ』を含む『負の遺産』の清算に後ろ向きな新政権の体質」は,一朝一夕にそう簡単には軌道修正できるはずがない。というよりはその軌道修正を試みる気など,最初からもちあわせない。それが現状まで明確であった自民党的に正直な体質である。

 今日のこの記述に復活させ再掲する従軍慰安婦問題に関する文章は,いまからちょうど7年前に書かれていた本(旧)ブログであった。当時から現在までなにも進歩と発展もみられない自民党の「歴史問題」に対する基本姿勢は,このたびにおける執行部の交代にさいしても,そのまま継続されていく。

 

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  従軍慰安婦問題が「日本を中傷する」?

 本日〔2014年10月3日〕の正午のニュースはこう伝えていた。

      ☆ 朝日報道で「いわれなき中傷が世界に」…首相 ☆
 =『読売新聞』2014年10月03日 11時40分,http://www.yomiuri.co.jp/politics/20141003-OYT1T50079.html

 

 衆院予算委員会は〔2014年10月〕3日午前,安倍首相と全閣僚が出席して基本的質疑をおこなった。

 

 安倍首相は,いわゆる従軍慰安婦に関する朝日新聞の報道が国際社会に与えた影響について,「日本が国ぐるみで性奴隷にしたといういわれなき中傷が世界でおこなわれている。(慰安婦を強制連行したとする吉田清治氏の虚偽証言をめぐる)誤報でそういう状況が生み出されたのも事実だ」との認識を示した。

 

 そのうえで,「これまで以上に戦略的な対外発信の強化が必要だ。いわれなき中傷には『そうではない』と発信することが大事だ」と語った。

 

 質問した自民党の稲田政調会長は,吉田氏の虚偽証言が日本の外交政策や国際社会に与えた影響,政府の対応などを検証する場を,同党に新設する考えを表明した。

 2021年10月2日 補注)この記事で安倍晋三が口にした「国際社会」においてとなれば,日本における従軍慰安婦問題に対してはきびしい「世論」が形成されている。現在もそうであるが,安倍晋三はこのように問題が「国際問題化」することを非常に恐れてきた。

 

 また従軍慰安婦問題をめぐり,吉田清治の虚偽証言があれば,この問題すべてが解消できる(!)みたいに発想していた安倍晋三は,根本から問題のありかを意図的にすり替えるかっこうで,いつでも否定したがっていた。

 

 「いわれなき中傷」を受けたという発言じたいからして,そもそも焦点ボケしていた反応であった。安倍晋三従軍慰安婦問題に関して基本的な学習すらできていない状態で,ただ「この問題はイヤだ,嫌いだ」といった感覚でモノをいうだけであった。それゆえ,まともに知性と理性に根拠づけられ意見を吐けたことがない。

 

 さらに安倍晋三は,吉田清治の提供したフィクション創話に関した問題点に向けるべき批判としては,冷静な議論になっていなかった。ともかく吉田「一点張り」の抗論でもってすれば,従軍慰安婦問題のすべてが否定できるかのように,つまり軽率といわれるそのまた以前での思いこみにもとづいて,非難・攻撃を繰り出してきた。

 以上のごとき安倍晋三発言は,かつてNHKによる従軍慰安婦問題番組に容喙するために圧力をみずからかけてきた当人としては,まったく顧みて他をいうような「盗っ人猛々しい発言」に類するものであった。

 ここでの記述としては,これ以上はくわしく説明せず,本ブログ内で関連する諸記述の参照を願っておく 註記)。従軍(日本軍)慰安婦問題というものは,もとより戦争史をめぐる「歴史問題であるゆえん」を有していた。まさしく,戦時中において「旧日本軍が国ぐるみで」〔とくに朝鮮人女性を〕「軍用物資あつかいの性奴隷にし」てしまったのであった。いいかえると,戦時用の「人的資源」として「彼女らをモノのように浪費してきた」という「問題の由来」があった。

 補注)なお,本ブログの関連する諸記述は「従軍慰安婦問題の本質(このカッコない回数の連番)」との題名をかかげ,連続物として掲載してきた。別途その一覧を列記したブログ記事もつづけて公表しておくつもりである。

 ところが,安倍晋三は『朝日新聞』の吉田清治に発したこの問題「誤報記事」を奇貨として,大日本帝国陸海軍が〈兵站の一部〉であるかのようにも推進してきた「従軍慰安婦問題事業の全体が否定できる」とまで誤信した。それも首相という権力者の立場を利用しながら意図的に,朝日新聞社に反攻をしかけていたなかで,そこまでも意図したのである。

 いまどき(これは当時の2014年時点であっても,いまの2021年時点であってもという意味だが),『朝日新聞』にその誤報問題があったからといって,従軍慰安婦問題のすべてが存在しえなかったかのように,それも得意になって攻撃した安倍晋三の表情は,ドイツの旧ナチズム風の弁説「ウソであっても何回でも繰り返していえば,1回の本当を隠せる」かのように映ってみえていた。実にみぐるしいかぎりである。

【参考画像】 

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 吉見義明編集・解説『従軍慰安婦資料集』はまるごとに旧日本軍の関与を説明している
 
 ここでは,吉見義明編集・解説『従軍慰安婦資料集』大月書店,1992年の内容構成を,あらためて紹介しておく。これをみただけでも,安倍晋三のいうように「日本が国ぐるみで性奴隷にしたといういわれなき」どころか,まさしくそのとおりであったと説明するほかない歴史の展開があったことが理解できる。

 吉田清治の問題性を突破口に従軍慰安婦問題全般を否認したい安倍晋三のもくろみは,あまりにもみえすいた意図があり,話にもならない。しかし,首相である立場から,前段のニュースに報じられているような「強引な虚説」を,必死になって懸命に吐いてきた。

【参考動画資料】-この動画を視聴すると安倍晋三がすなおに従軍慰安婦問題を認めた発言を聴ける-

 

     

 吉見義明編集・解説『従軍慰安婦資料集』の内容は,「最初の資料発見者・吉見教授が,防衛庁所蔵資料にくわえて,外務省・米軍・オーストラリア軍の資料をも合わせて集大成した話題の書」と解説されている。日本国側が関連の資料があっても,いまだに隠しとおそうとしている事実も忘れてはならない。

 同書の目次は,こうなっている。

 従軍慰安婦と日本国家-解説にかえて-

 資  料  篇

   第1部 前史-第一次上海事変以降
   第2部 日本・朝鮮・台湾における従軍慰安婦の徴集と渡航
   第3部 陸軍省軍紀維持・性病対策

   第4部 中国における慰安婦慰安所
   第5部 香港における慰安婦慰安所
   第6部 フィリピンにおける慰安婦慰安所

   第7部 マラヤ,シンガポールにおける慰安婦慰安所
   第8部 インドネシア地域における慰安婦慰安所
   第9部 日本内地における慰安婦慰安所

   第10部 小笠原諸島における慰安婦慰安所
   第11部 沖縄における慰安婦慰安所
   第12部 復員関係
   第13部 連合国軍による調査報告・指令

 安倍晋三はこのような文献・資料に目を通しているのか? そのうえでまだ否認する発言をするならば日本語の読解力において無理があるし,読んでいないのであれば言語道断であって,救いようがない歴史観の持ち主であるというほかない。

 本(旧)ブログは,「2014-09-30」「従軍慰安婦問題に強制『性』の有無を問うてのみ否定する『非歴史的な暴論』の存在理由」のなかで,「満洲事変」直後からすでに陸軍が慰安所を開設していた事実については,外交官の石射猪太郎が『外交官の一生』読売新聞社,1950年が言及していた点をとりあげていた。

 補注)この「2014-09-30」の記述は「本ブログ」内では未公表。石射猪太郎が『外交官の一生』のなかで従軍慰安婦問題に触れた箇所は,209頁にある。ただし,それほどくわしく言及した段落ではなく,ごくわずかだけ言及していた。

 吉見義明の『従軍慰安婦資料集』は,陸軍慰安所の「その創設は1932年はじめということになる」と指摘している(吉見,前掲書,27頁)。石射猪太郎の指摘は,現場で従軍慰安婦施設を目の当たりにしてきた外交官の発言として,「同じ歴史の事実」に言及していた。

 補注)1932年は9月8日に「満洲事変」が開始されていた。

 安倍晋三は「なにもしらない」あるいは「なにもしりたくない」立場から,この従軍慰安婦問題をやみくもに否定し,必死に排除しようとしてきた立場を採っていた。

 「日本が国ぐるみで性奴隷にしていた」従軍慰安婦問題は,昭和期の戦前・戦中が軍国主義国家体制に置かれてきたなかで,「軍のやること」はそのまま「国家のやること」として記録されてきた「歴史の事実」であった。

 「徴兵制が強制でない」とは絶対にいえないか,などと不思議な議論(設問)はしないほうが,まともな論理でありうる。従軍慰安婦の問題も軍が直接と間接とを問わず,まさにまるごと関与しなければありえなかった。この歴史の事実をのっけから無視し,つぎのように強弁していく。

 ※-1 強制「性 」(これは結局,軍の関係によって生じてくる問題以外ではありえない)の「関与や程度,範囲」そのものにまで,無理やり問題を創って拡げては論点を飛躍させるだけでなく,全体として問題を希薄化させておこうと試みており,

 ※-2 さらに,そのある・なしといった「関心の次元」にまで論点をすり替えようとしながら,こちらの地平に論点を移動,着地させてからは,その強制「性」は不確かだとか,「否,なかった」だとかいいたがる。

 ※-3 そうして,従軍慰安婦問題はなかったと強引に短絡したがる盲論・妄説が登場していた。

 戦時体制期(広義では1931年9月18日から1945年9月2日まで)において,大日本帝国の国家体制の枠組のなかに実在してきた従軍慰安婦問題に関連させて,「日本が国ぐるみで彼女らを性奴隷にした」という現実が無視・排除できると「観念できる発想」じたい,実は,安倍晋三のように頭からこの問題を認めたくない「極右政治家の立場」に特有であった「虚偽のイデオロギー」性を正直に物語っていた。

 『朝日新聞』が吉田清治について発現させた誤報問題を契機に,従軍慰安婦問題の全部が存在しなかったかのように屁理屈を唱えてきた安倍晋三は,「自国の恥部」を隠すことに熱心なあまり逆に,「自国全体を恥部化する結果」を招来させた。彼は自分の言動はいかなる結果を招いたかが全然みえていない。

 本日〔2014年10月3日〕の『朝日新聞』朝刊3面には,「慰安婦報道検証,第三者委の委員 朝日新聞社」という記事が出していた。しかしながら,この構成委員のなかには,従軍慰安婦問題そのものを専門の研究対象にしてきた研究者は1人もくわわっていなかった。

 その朝刊1面には「第三者委員会,7氏で検証します 朝日新聞社慰安婦報道」という記事も出ていて,このなかには「また,朝日新聞が8月5,6日付朝刊に掲載した特集『慰安婦問題を考える』でもコメントを寄せていただいた現代史家の秦 郁彦氏(81歳)のほか,神戸大学教授の木村 幹氏(48歳)ら慰安婦問題に詳しい有識者をはじめ,委員会が必要と認めるテーマについて専門家をお招きし,ご意見やご提言をいただきます」と断わっていた。

 だが,秦 郁彦はいつも安倍晋三寄りの見解しか吐かない体制べったり派であり,木村 幹は慰安婦問題そのものを重点に専門にしてきた学究そのものではなく,専門は比較政治学朝鮮半島地域問題の研究家である。その方面に関係する専門家だからいって,韓国・朝鮮問題になると,なにに対してでも発言する大学教員であった。

 ともかくも,以下(以上)の構成委員で誤報問題を吟味し検討するというが,ほかに何人でもいるはずの本当の研究者,当該の専門家,すなわち,本当に深くくわしい学識を有する識者を除外していては,まともな議論・検討ができるはずがなかった。この構成委員に議論させたところで,「人数割る・ナントカ」になる可能性が大きい。なお,年齢は2014年3月当時。

 ・委員長は,元名古屋高裁長官・弁護士  中込秀樹(73歳)

 ・委員は,外交評論家  岡本行夫(68歳)

      国際大学学長  北岡伸一(66歳)

      ジャーナリスト  田原総一朗(80歳)

      筑波大学名誉教授  波多野澄雄(67歳)

      東京大学大学院情報学環教授  林 香里(51歳)

      ノンフィクション作家   保阪正康(74歳)

 この人物たちのなかには,安倍晋三の息のかかったかのごとき人物,北岡伸一がいた。さらに岡本行夫については,正木直人が「嘘の外交を堂々と告白する岡本行夫氏」と決めつけていた。

 正木直人は外務省で外交官を務めていた時,イラク戦争に反対の意見を小泉純一郎首相(当時)に具申したところ,ただちに首を切られた(正確には辞めさせられていた)。その小泉の判断をじかに伝えた外務省の当時の上司が,この岡本行夫であったという。この岡本はテレビなどに映る画像でみたことがあるが,いつも尊大な態度を漂わせる人物であった。 

 以上の2人以外は,まだまともな作家やジャーナリストや学究が委員を構成してはいるものの,あまり期待はできないこれら〈委員の組織〉だという感想を,述べておきたい。朝日新聞社は「2カ月程度をめどに具体的な提言を盛りこんだ報告をまとめていただきます」ということなので,その結果を待つことにしたい。

 補注)この最後の記述の「その結果」はまとめられ公表されていたが,本日の直接言及するところではない。

 2021年10月2日 補注)最近作,金 惠京『未完の革命』明石書店,2021年7月のなかに,つぎの記述があった。有名な歴史小説坂の上の雲』を書いた作家,司馬遼太郎の発言である。

 日露戦争後の日本は周辺国への抑制のタガが外れたとして,「堂々たる数千年の文化をもった,そして数千年も独立してきた国をですね,平然と併合してしまった。併合というかたちで相手の国家を奪ってしまった。こういう愚劣なことが日露戦争のあとに起こるわけであります。(中略)

 

 日露戦争で勝った以上,もうロシアはいったん引っこんだのですから,それ以上の防衛は過剰防衛ですね。おそらく朝鮮人は,あと数千年つづいてもこのことは忘れないでしょう」(247頁)。 

 大日本帝国軍側における従軍慰安婦問題は,そうした韓国・朝鮮側の時代意識を形成させる「日露戦争以後に連なるかたちで発生していた重大な歴史問題」であり,しかも「抹消が不可能な歴史の出来事」を意味していた。

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