「エセ的な労働組合の単なる連合体」である「連合:日本労働組合総連合会」は,この国の勤労者たち全体のために役に立つ「労働組合の上部組織」ではない

 「日本の全労働者」のために「なにか意義ある任務:仕事をなしえている」とは思えない『労働組合の上部組織』として連合の根本的限界は明らかであり,働く者たち総員のあいだにあっては「上級と下級の階層格差」が明確に発生している


 「連合よ,いまこそ労働者を見よ   存在感を高めるには--日本女子大名誉教授・高木郁朗さんに聞く」朝日新聞』2021年11月22日朝刊23面「生活」:インタビュー記事

 この記事の前文は,こう説明している。

 連合(日本労働組合総連合会)は,加盟組合員が約700万人。働き手の課題を解決に導くパワーを期待されますが,近年なかなか存在感を発揮できません。どうすればよいのか。約30年前に連合が結成された時の経緯にも詳しい日本女子大名誉教授の高木郁朗氏(82歳)に聞きました。

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 この ① の記事すべての内容は,上の画像資料をもって紹介に代える。なお,日本における労働者の全数は,総務省が2021年10月29日に公表した『労働力調査(基本集計)』2021年9月分によれば,つぎのとおりである。

  (1)  就業者数
    就業者数は 6679万人。前年同月に比べ10万人の減少。6か月ぶりの減少。

  (2)  完全失業者数
    完全失業者数は 192万人。前年同月に比べ18万人の減少。3か月連続の減少。

  (3)  完全失業率
       完全失業率(季節調整値)は 2.8%。前月と同率。

 また労働組合への加入率は,厚生労働省が2020年12月16日にまとめた「令和2〔2020〕年6月30日」時点における『労働組合基礎調査』によれば,こうなっていた。

 労働組合員数は1011万5千人(前年比2万8千人増)と6年連続で増加した。推定組織率は17.1%(前年比0.4ポイント増)と11年ぶりに上昇した。

 以上の統計・数値からごく単純に,以下のように計算してみる。

 --「連合」と「そのほかの労働組合」などに加盟する労働者は,それぞれ「700万人 ÷ 1011.5万人」(ここでは割り算する関係にして対置した)であり,これらのうち,連合に所属する労組に入っている労働者の比率は「69.2%」,およそ7割である。

 連合という「労働組合の上部組織」に所属し,それも産業ごとの単位にまとめられてもいる企業別組合の,その会社名を一覧すれば分かるように,一流企業の正規被雇用者がそれらの労組を構成する具体的な主体になっている。

 また「連合加盟労働組合リスト」をのぞくと,構成組織名称:下部組織単位名は,つぎのように一覧されている。連合の当該ホームページにはさらに,これら下部組織労組に所属する個別の会社名が,すべて一覧されている。

 注記)https://www.jtuc-rengo.or.jp/unionsearch/

    UAゼンセン    電機連合    日教組    情報労連    運輸労連

    国公連合    JR総連    ゴム連合    紙パ連合    印刷労連

 

    セラミックス連合    メディア労連    森林労連    労供労連

    自治労連    港運同盟    地方連合会

 

    自治労    JAM    JP労組    電力総連    私鉄総連    損保労連

    交通労連    サービス連合    全国ガス    全自交労連    全銀連合

 

    全労金    全信労連    労済労連    全国ユニオン    日建協

 自動車総連    基幹労連    生保労連    JEC連合    フード連合

 

    JR連合    海員組合    航空連合    全電線    全水道    全国農団労

    ヘルスケア労協    全印刷    全国競馬連合    JA連合    全造幣    日高教

 そして,『連合東京』(日本労働組合総連合会東京都連合会)のホームページのなかには,つぎの記述がみつかる。

 近年,長引く景気低迷により非正規雇用者が増加し,正社員が減少しています。それに伴い正社員で組織された労働組合のなかには,「職場人数の過半数」を確保できない組合も出てきています。

 

 そのような労働組合では今後,非正規雇用者の組織化に注力する必要があります。非正規雇用者を組合員として迎え入れることで,36協定の締結の条件である「職場人数の過半数」を満たし,労働者を守るという役割を担い続けていくことは労働組合の責務といえるでしょう。

 注記)「Union's Dictionary」『連合東京』https://www.rengo-tokyo.gr.jp/glossary/

 以上の説明のなかには「労働組合では今後,非正規雇用者の組織化に注力する必要があります」と書いている段落があるが,さほど新味(親身)さが感じとれない文句である。


 毎日新聞』の報道から

 1)「連合30年『非正規』対応遅れ地盤沈下   若者そっぽ『労働者の代表』険しく」毎日新聞』2019/10/11 21:02,最終更新 10/11 21:24

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 --1989年の結成時に約800万人を数えた連合の組合員数は,長期的にみると減少傾向にある。2007年には665万人に落ちこみ,701万人(今〔2019〕年10月時点)にまで回復したものの,目標の1000万人には遠く及ばない。

 その背景には,パートや派遣など非正規雇用で働く人への対応の遅れがあるとされる。若者を中心に多様な働き方が広がるなか,連合はフリーランス外国人労働者に対する支援も含めた「フェアワーク推進センター」を今大会で発足させた。陰りをみせる存在感を回復できるかどうかが今後問われそうだ。(引用終わり)

  以上のように指摘されていた事実は,2年前の連合をめぐる労働経済問題の一環として報道されていた。『毎日新聞』は,こうした記事を踏まえてだと思われるが,さらに一月ほどあとには,つぎの社説も書いて,連合を批判していた。


  2) 「『連合』結成30年 存在感をどう取り戻すか」毎日新聞』2019年11月18日朝刊「社説」

 主要な労働組合の全国組織,日本労働組合総連合会(連合)が今週,結成30年を迎える。

 この間,バブル経済が崩壊しデフレが長引いた。グローバル化の進展も重なり,雇用環境は激変した。最大の変化は,経済界が求めた規制緩和などを受けた非正規労働者の増加だ。

 2018年に2120万人に上り,働く人に占める割合は30年弱で約2割から約4割に増えた。だが連合は,時代の変化に十分対応できなかった。

 春闘では,雇用が危ぶまれるような状況に,ベースアップ要求さえかかげられない時期があった。一方,安倍政権が経済界に賃上げを要請する異例の対応に乗り出し,連合の存在感が低下した。

 組合員数は発足時の約800万人を下回る約700万人になった。組織率の低下が指摘されている。

 連合は大企業の正社員が主導し,特権的な正社員クラブとも皮肉られてきた。2008年のリーマン・ショック後の「派遣切り」を機に,非正規労働者の加入を進めてはきたが,道半ばだ。

 政治的な影響力も薄れてきている。かつては,連合が支持する非自民勢力による政権交代をめざし,細川連立政権や民主党政権の誕生に一役買った。

 だが,自民党が政権を奪回すると民主党は分裂した。連合傘下の労組の支持は立憲民主党と国民民主党に分かれ,股裂き状態だ。原子力発電などの政策面でも,意見の統一を図れていない部分がある。

 労働組合の意義じたいはいまも変わらない。過労死は続くが,政府主導で成立した働き方改革関連法では,残業時間の上限が過労死の労災認定基準レベルだ。職場内外のハラスメントや若者らのブラックバイトなど,働く人が直面する問題は多い。

 こうした課題に対応できなければ,ますます存在意義を失う

 連合は30周年を機に,非正規にくわえ,フリーランス外国人労働者らの相談に応じる「フェアワーク推進センター」を新設した。関係するNPOなどとの連携も大切だ。

 存在感を取り戻すには,「弱い立場の働く人を守る」という原点に立ち戻り,組合員以外の人も支援する活動を広げなければならない。(引用終わり)

 連合という労働組合の全国的な上部組織に加入できる,主に企業別組合のある会社に勤めている労働者群はさておき,現実には,全労働者のなかには4割近くも存在するそのほかの労働者群が「非正規雇用形態」をもって存在する。

 非正規雇用の立場に置かれている労働者の場合,勤務する会社(それも中小企業)に労働組合があるという例は,ごく少数派である。したがって,こちらの部類の属する労働者たちは,つぎのようにして,別種の労働組合に加入するほかない。

    ◆ 一人でも加入できる合同労組・ユニオンとは? ◆

 

 ※-1 合同労組・ユニオンとは

 労働者が所属している会社を問わず,個人単位で加盟できる労働組合のことをユニオンまたは合同労組といいます。

 ユニオン・合同労組は,一般的な会社別の労働組合とはちがって,複数の会社や異業種の会社の労働者が,その加入員となっています。

 

 ※-2 ユニオン・合同労組の特徴をあげると,つぎの5つの特徴があります。

      職業に関係なく誰でも加入できる

      一人でも加入できる

      会社に労働組合がなくても加入できる

      雇用の種類に関係なく加入できる(正社員,パート,管理職)

      退社後も加入できる

 

 未払残業代などのちょっとした従業員とのトラブルをきっかけに,従業員が合同労組に加入したり,解雇した従業員が合同労組に駆けこんで団体交渉の申入れがあったり,労働組合問題は経営の根幹を揺るがすような大問題に発展することも少なくありません。

 

 ※-3 合同労組・ユニオンの現状

    合同労組・ユニオンは,日本全国にあり,柔軟路線をとる組合からイデオロギー性の強い労使対立路線の組合まで幅広くある。

    労使対立路線の組合のなかにも,落としどころを考える組合とあまり考えない組合がある。

    連合加盟であっても強硬な組合もある。

    組合の交渉担当者によっても経営側への対応が変わってくることがある。

    加入する組合員にも影響を受ける。

 注記「一人でも加入できる合同労組・ユニオンとは?」『山口県下関市社会保険労務士事務所』(〒752-0975 山口県下関市長府中浜町3-17),https://www.6064.jp/article/13633259.html

 こうした合同労組がある一方で,連合がなんとなく申しわけ程度に,「今後,非正規雇用者の組織化に注力する必要があります」といってみたところで,その本気度に関しては疑いが抱かれて当然である。

【参考記事】

 

 労働者を囲む現実社会のつらい世相-連合にかかわる労働者たちがそれなりに「上級市民」の立場に居るように映る事実-

 1)「〈声〉どう支える,弁当に並ぶ人々」『朝日新聞』2021年11月22日朝刊6面「オピニオン」

 この声欄への投書主は「無職  占部邦彦,大阪府 79歳」である。

 生活に困っている人を支援するNPO法人が東京・池袋の公園で無料で弁当を配る様子を伝える,衆院選の企画記事(10月16日付)を読んだ。中高年だけではなく,若者や夫婦連れも弁当を求めて並んでいると書いてあった。

 

 私は2000年に33年間勤めたゼネコン会社を早期退職し,住宅関連会社を起こした。しかし3年で資金がゆきづまった。そんなころ,大阪の淀川べりを散歩していて,ブルーシートのテントや段ボールハウスが並んでいるのをみかけた。

 

 「ここに住んでいる人にも色々な人生があったのだろう」という思いがめぐり,会社がゆきづまったこともあって不安がこみあげてきた。幸い会社を売却し,再就職で生活を維持することができたのだが。

 

 衆院選の前,フィンランドの友人から連絡があった。「日本はいつから後進国なんだ」と聞かれた。日本の退潮は遠く離れた国でも話題になっているらしい。政治家は弁当に並ぶ人びとをどう支えようとしているのだろうか。

 この〈声〉の発言のなかに出ていた「大阪市内で当時みられたブルーシート・テント」については,本ブログ筆者も,2000年よりも数年か前だったが,大阪府に出張した時,よく目にしたものである。その後は美観ウンヌンということで,そこに暮らす人びとが,非難されることもあって,いつかしら「彼らの存在がそこからはひとまず一掃された」と聞いている。

 2)「コロナ打撃の非正規女性,転職活動『半年以上』2割 『希望の求人ない』『不採用に』」『日本経済新聞』2021年11月24日朝刊39面「社会」

 新型コロナウイルス感染拡大の影響でシフトが減り,新しい仕事を探しているパートやアルバイトの女性の2割超が,半年以上転職活動をしていることが野村総合研究所の調査で分かった。約4人に1人に相当し,希望に沿う求人が少なく,応募しても不採用になるなど,きびしい状況が浮き彫りになった。

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 今〔2021〕年8月,パートやアルバイトで働く20~59歳の女性のうち,コロナの影響でシフトが減り転職の意向がある人を対象に調査。全国の2060人から回答をえた。

 このうち実際に仕事を探している女性は31.2%。転職活動期間が「6カ月くらいまたはそれ以上」が23.4%,「4~5カ月くらい」が10.1%,「2~3カ月くらい」が23.1%だった。

 仕事探しの苦労を複数回答で尋ねると「希望する条件に合う求人がみつからない」が70.2%で最多。「新しい仕事を探す意欲を維持するのが難しい」が35.5%,「応募しても採用されない」が26.6%と続いた。

 転職希望はあるものの仕事を探していない女性にその理由を尋ねると,求人の少なさや,収入のない期間が生じると困るなどの回答が上位を占めた。

 野村総研は「雇用移動の円滑化には,資格取得や職業訓練と合わせて,それに対する経済的支援の強化が有効だ」と指摘している。(引用終わり)

 この 2)の記事についてはさらに,その内容として深い関連のある諸記事を掲載してきた「ライフ  貧困に喘ぐ女性の現実」『東洋経済 ONLINE』 https://toyokeizai.net/category/hinkon  を参照しておきたい。

 本日:2021年11月26日の午前10時半ころで,その『東洋経済 ONLINE』に出ていた「単身女性と母子家庭の貧困」の問題に関した記事を,上から10件にかぎるが,「連載されている記事」の「表題(見出し)」のみ紹介しておく。

  ◆-1 「死ぬまで低賃金」を嘆く56歳元専業主婦の貧困」2021年7月26日。この連載では,女性,とくに単身女性と母子家庭の貧困問題を考える……。

  ◆-2「51歳女性『年収200万の正社員』までの険しい道」2021年5月4日。この連載では,女性,とくに単身女性と母子家庭の貧困問題を考える……。

  ◆-3「『暴力の連鎖』を断ち切った20代女性の半生」2020年4月24日。この連載では,女性,とくに単身女性と母子家庭の貧困問題を考える……。

  ◆-4「『母の叱責』で精神病発症した彼女の壮絶人生」2020年3月12日。この連載では,女性,とくに単身女性と母子家庭の貧困問題を考える……。

  ◆-5「17歳少女が『知らない中年男性』と同居する事情」2019年11月26日。「Yahoo! 本屋大賞  2019年ノンフィクション本大賞」にノミネートされるなど,大きな話題……。

  ◆-6「生活保護でも幸せ」を訴える33歳女性の半生」2019年9月4日。 この連載では,女性,とくに単身女性と母子家庭の貧困問題を考える……。

  ◆-7「日本の貧困問題,本当に『自分はまだ大丈夫』か」2019年6月26日。作家やテレビのコメンテーターとして活躍している室井佑月氏は,日本社会に広がる貧困問題について関心を……。

  ◆-8「最底辺から抜け出せない!  准看護師の49歳女性」2019年5月31日。この連載では,女性,とくに単身女性と母子家庭の貧困問題を考える……。

  ◆-9 幼児を放置して「彼氏」に会う42歳女性の悲哀」2019年4月5日。この連載では,女性,とくに単身女性と母子家庭の貧困問題を考える……。

  ◆-10「東京の『生活保護』はまったく機能していない」2019年3月22日。大学卒業後に重くのしかかる奨学金,いくら成果を出しても変わらない派遣の給与,収入が低くても受給できない……。

 以上の話題,「単身女性や母子家庭」のとくに苦しい生活経済状況は,本日の連合という「労働組合の上部組織」の立場・利害・関心にあっては,もしかすると縁遠いた問題の対象になりえないのか?

 この種の深刻な話題は,連合というこの労働組合の上部組織に加盟する「産業別労組⇒企業別労組」にそれぞれ所属する労働者にとって,いかなる現実的な意味をもっているか? はたして,そこからひしひしと伝わってくるはずの「生活関連の苦境に対峙させられている人たち」(ここでは女性たち)に関した「同情的な実感」がもてるかどうか,ということであった。

 『日本経済新聞』2021年11月22日朝刊5面「ビジネス」のコラム「経営の視点」は,編集委員安西 巧が「四半世紀の重電不況   あすには『負け組』競争続く」という話題であったが,日本国籍の重電産業のサバイバル・レースを取りあげていた。

 この重電産業の大手企業に勤めている日本の労働者諸氏,もしかしたら「いつか突如として自分の会社が潰れて仕事がなくなり,放り出される機会がこない」とはかぎらない。一流大手企業に勤務する労働者たちが,そういったたぐいの予見(まさかの悪夢)など全然抱いたことはない,というわけでもあるまい。

 前段までの話題は,連合という「労働組合の上部組織」に加盟している産業ごとの企業別組合の一組合員である人びとにとって,「完全に無縁なモノである」などと自信をもっていえるか? 

 もちろん,リクツとしては誰でもが多分,文句なしに認識できている問題だと思われる。だが「いまの自分の立場」から観て,前段『東洋経済 ONLINE』があれこれとりあげている,とくに「単身女性と母子家庭の貧困問題」がまったくの他人ごとだとみなせる人は,現在的にはそれなりに幸いでいられるのかもしれない。

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