日本国の人口減少,高齢化,単身世帯の比率増大という動向の先に展望できる「この国の姿」は「衰退と消滅」

 少子高齢化が加速的に進行する日本社会のなかで,ひたすら没論理に『家族の絆』を求める「明治風の旧民法的な半封建主義・家父長制観」の『家・家族像』を,いまだに信じられる(?)「自民党極右・観念論者たち」の立場は,21世紀の日本社会においては非現実的な「認識状態」であり,現状のごとき日本の窮状の改革に対してなんの役にも立たない。

 

 「生産年齢人口,ピークの95年比13.9%減 国勢調査確定値   生産性改善が急務 規制緩和・DXに活路」日本経済新聞』2021年12月1日朝刊1面(冒頭記事)

 この記事は,われわれの記憶にあるのだが,昨年(2020年)に協力した「国勢調査の結果」をとりまとめ,報告された「その確定値」に関する報道である。以下に引用する。

 f:id:socialsciencereview:20211201124025p:plain

 a) 総務省は〔11月〕30日,2020年国勢調査の確定値を公表した。経済活動の主な担い手となる生産年齢人口(15~64歳)は7508万7865人となり,5年前の前回調査から226万6232人減った。

 〔その〕ピークだった1995年の8716万4721人に比べ13.9%少ない。人口減時代の成長は一人ひとりの能力を高め,規制緩和にも取り組んで生産性をどう押し上げるかにかかる。

 総人口は1億2614万6099人で5年前から94万8646人減った。総人口の減少は2調査連続となる。

 生産年齢人口の減少は日本経済の足かせとなる。現在の生産年齢人口は7580万7317人だった1975年を下回る水準だ。総人口に占める割合も59.5%と1950年以来70年ぶりに6割の大台を割りこんだ。

 補注)「日本の円」の価値もすでに「1970年当時の水準」にまで,その購買力平価の基準では低下したと報告されている。

 b) 2010年代は,景気回復などで女性や高齢者の就労は増え人口減を補った。労働力調査によると,2020年の就業者数は6676万人で10年前より6.0%増えた。

 家電量販大手のノジマは〔2021年〕10月,80歳としていた雇用制限を事実上撤廃した。1年単位の契約とし,ベテラン社員の販売ノウハウを生かす。YKKグループも65歳だった正社員の定年を廃止した。

 こうした女性や高齢者の就労拡大にも限界はある。生産性を高めなければ,いずれ生産年齢人口の減少の影響を補いきれなくなる。

 補注)「女性や高齢者」とひとくくりにして,ここでは言及されているが,非正規労働者としての女性の場合,若年層から高年層まで広くわたって存在している。これに対して男性の場合では,高年層でしかも定年後の再雇用として非正規労働に従事している者が多い。

 「国勢調査の結果」の報告であるから,そうような相違点はひとまず考慮外というあつかいである。しかし,それでいて,いきなり「生産性を高めなければ」という指摘になると,これには引っかかりを感じる。

 生産性の高め方をどのように実現させ展開していくかについては,仕事・職務(業務)の種類・性質によって,基本的に制約されざるをえない要因がある。だが「女性と高齢者の就労拡大」が「生産性を高め」る問題点とは,いったん切りはなしたかたちで報道する考え方が,前段の記事の基本的な文意だとしたら,問題ありである。

 生産性の向上という論点は,人間じたいに関する問題と設備・装置・機械の側に関する問題とがある。この2つの問題に多面的にかかわる論点を,「女性と高齢者の生産性問題」から引き離した議論に聞こえる論調になったら,問題が残すことになるという指摘を,ここではしてみたつもりである。

 以上の指摘が的外れだとしたらそれはそれでいいのだが,生産性の問題をもちだす場合にあっては,この生産性という概念の中身をきちんと概念的に踏まえたうえで議論しないことには,この記事の場合のように,「女性と高齢者」という労働者範疇があたかも,生産性の問題とは縁がないかあるいは薄いかのようにも受けとれる口調になりかねない。その種の疑問を残してしまう。

〔記事に戻る  ↓  〕 

 c) 日本の労働生産性(労働時間あたりベース)の伸び率はアベノミクス下の2012年から2019年まで年平均 1.1%と一定の改善があった。

 それでも2020年時点で1時間あたりに生み出す付加価値は48.1ドルと主要7カ国(G7)でもっとも低い。経済協力開発機構OECD)各国平均の54.0ドルも下回る。

 補注)この記事の2つの段落に関しては,その「アベノミクス下の2012年から2019年まで年平均1.1%と」「日本の労働生産性(労働時間あたりベース)の伸び率は」「一定の改善があった」と,この日経の記事のように文書を書くのは,誤導的だという批判をくわえておかねばならない。

 野口悠紀雄一橋大学名誉教授「〈連載  新しい経済成長の経路を探る〉アベノミクスの『負の遺産』,低生産性と非正規依存の労働市場」『DIAMOND online』2020.9.3 4:45,https://diamond.jp/articles/-/247535 は,以上の日経記事を否定的に読むほかないつぎの解説を与えていた。1年以上前の論及であった。

 安倍晋三首相が退陣を表明したが,アベノミクスの期間に日本経済は停滞したため,日本の国際的地位が顕著に低下した。

 

 企業の利益は増加し,株価が上昇したが,非正規就業者を増やして人件費の伸びを抑制したため,実質賃金は下落した。その結果,「放置された低生産性と,不安定化した労働市場」という負の遺産がもたらされた。

 

 ※ 日本経済の国際的な地位低下が物語るアベノミクスの “幻想” ※

 

 アベノミクスとはなんだったのかを考えるにあたって,一番簡単なのは,アベノミクスが始まった2012年と2019年を比較してみることだ。

 

 第1に見られる変化は,世界経済における日本の地位が顕著に低下しつづけたことだ。

 

 2012年では中国のGDP(国内総生産)は,日本の 1.4倍だった。ところが,2019年,中国のGDPは日本の2.9倍になった。つまり,乖離が2倍以上に拡大した。

 

 ※ 実質賃金は下落,増えたのは非正規雇用(引用終わり)

 つまり,どういうことかといえば,ここでの日本側の事情として「アベノミクスの推進(?)によって,2012年から2019年まで,生産性が年平均 1.1%上昇した」という事実の指摘がなされていても,この上昇したというその比率をさらに国際経済次元において比較することになれば,「日本の生産性は年平均の上昇率 1.1%」という指数は,とてもではないが低く過ぎて,たいした評価ができない。

 それゆえ,日経の記事もつぎのように続けて書いていた。 

〔日経・記事に戻る→〕 内閣府の試算によると,働く人や労働時間が増えたことによる2010年代の平均的な経済成長率(潜在成長率,年平均 0.7%)の押し上げ効果はゼロポイントにとどまる。1980年代には労働による押し上げは年平均で 0.7ポイントあった。

 d) 人工知能(AI)など先端技術の活用やデジタルトランスフォーメーション(DX)を通じて生産性を上げなければ,根本的な成長につながらない。

 海外では徹底した自動化で,人手に頼らないオペレーションへの転換が進む。米小売り大手のウォルマートはロボットを活用した物流設備や無人トラックによる配送などを手がける。

 日本では人口減に対応する無人技術にも制度の壁がある。

 人手不足に悩むコンビニエンスストア業界は,デジタル機器や遠隔で確認する技術の発達を踏まえ,無人店舗で酒やたばこの販売を円滑にできるよう規制緩和を求める。小規模な工事でも現場に管理者を置かねばならない,といった規制も見直しを促す声がある。

 e) 生産性の高い業種に人材をシフトさせる政策も不可欠となる。終身雇用を前提とした制度はなお多い。同じ企業に20年超勤めれば退職一時金をもらうさいに税制優遇が受けられる税制などは,見直しが急務といえる。

 f) 今回の国勢調査少子高齢化もより鮮明になった。

   65歳以上人口は5年前の前回調査に比べ6.6%増で過去最多の3602万6632人。

   14歳以下の人口は5.8%減で過去最少の1503万1602人となった。

   高齢化率も2.0ポイント上昇の28.6%で過去最高を更新した。

 この ① での記事引照は以上であるが,こうした日本社会における人口構成比率がますます高齢化していく事態のなかで,生産性向上の問題を真正面から取り組もうとするさい,いったい,その要因(ヒト・モノ・カネ・情報・管理体制など)のうち,なにをどのように問題にとりだし,これを改善していくかが最重要の関心事となる。

 高齢者は基本的に体力(肉体的な能力)において低下している事実を踏まえたうえで,精神面の潜在力保持という要因も考慮に入れて個別に,その能力差(分布)を管理の対象にする必要がある。

 だが,女性労働者全般に対する待遇全般,その対策が日本ではまだ甘く,女性差別に関した実態面の裏返し的な現象として,日本の労働経済における生産性向上をわざわざ阻害させる基本原因になっていた。

 アベノミクスの施主である安倍晋三とこれに近い極右自民党政治屋たちは,男女雇用機会均等法が大嫌いである事実は,明治的な旧民法の腐朽的精神構造に異様にこだわる人間観を介して,露呈されつづけている。

 少子高齢社会の到来としては先進国として先頭を走ってきた日本が,労働力としての女性をまもに活用できないかぎり,AIやDXといった先端技術をいかに強調し,意識し,その応用を強調したところで,人間の半分を占める女性労働力を活かす基盤がゆがんでいる日本の産業経済のなかでは,いつまでも他国に遅れをとることは不可避である。

 いずれにせよ,現状のごとき日本経済の活動状況では,つぎのように指摘された展望としても,現時点においてなにも変わっていない。

        ◆ 生産性低下問題を考える(前編)◆
    アベノミクス6年間がもたらした「発見」―〔要旨〕
   『富士通総研』2019年5月20日https://www.fujitsu.com/jp/group/fri/knowledge/opinion/er/2019/2019-5-1.html

 

 6年余にわたるアベノミクスの実験的経済政策は,日本経済に関するいくつかの「発見」をもたらした。

 

 そのひとつは,大胆な金融緩和でも物価が上がらなかったことで,物価が期待によってではなく歴史的に形成されるという事実を示している。

 

 もうひとつは長期間の景気拡大に実感が伴わなかったことで,その背後には生産性上昇率の低下があった。日本経済長期低迷の真因は,デフレではなく生産性の低下だったのではないか。

 この『富士通総研』の研究者が語った点,「6年余にわたるアベノミクスの実験的経済政策は,日本経済に関するいくつかの『発見』をもたらした」という形容は,おおげさであった。

 アベノミクスのダメノミクス性は,その「発見」が「失敗=失策」そのものであったがゆえ,いまとなっては「失政の経済政策」であった事実が実証されている。前段の引用は,安倍晋三がまだ首相であった時期内に公表された文章であるせいか,いささかならず「忖度じみた」論調を漂わせていた。

 ともかく,2010年代に鳴り物入りで,喧伝だけはハデになされたアベノミクスであったが,いまとなって振りかえってみるに,「亡国の首相:安倍晋三」なりに「国辱・国恥の政治と経済」を,不必要に進展させてきた点だけは確実であった。

 しかも,その間に日本の産業経済は,先進国と称するには情けないほどに低迷路線にはまりこんた。そしていまでは,その路線から抜けだせないままに,しかもすでに雲散霧消していたアベノミクスじたいが成果を挙げられなかったどころか,「日本を先進国」から脱落させる逆機能ならば,これをみよ(!)といえるくらいにまで発揮させた。

 現在となっては,自国:日本のことを「後進国」と呼ぶ識者はいくらでも存在する。この現状の理解は,アホノミクスの “みっともなさ” と “はしたなさ” を,いまさらのように裏づける言説を意味した。

 さてつぎは,自民党極右がしきりに幻想してきた「日本的な家・家族観」を,根底から突き崩すほかなかった,この国の21世紀的な「イエとファミリー」の実相にかかわる,それも この ① における議論つづく記事を,② にとりあげて,さらに議論したい。

【参考記事】


 「1人暮らし世帯拡大,5年で 14.8%増 高齢者では5人に1人  介護や安全網が課題に」日本経済新聞』2021年12月1日朝刊3面「総合2」

         f:id:socialsciencereview:20211201130241p:plain

 総務省が〔11月〕30日に公表した2020年の国勢調査は,日本全体で世帯の単身化が一段と進む現状を浮き彫りにした。一人暮らしが世帯全体の38.0%を占め,単身高齢者は5年前の前回調査に比べ13.3%増の671万6806人に増えた。中年世代の未婚率も上昇傾向にある。家族のかたちの多様化を踏まえた介護のあり方やまちづくり,セーフティーネットの構築が急務となっている。(1面参照)

 補注)この記事のなかに「中年世代の未婚率も上昇傾向にある」という指摘は,これからも,日本における出生率合計特殊出生率)の減少に対して,さらに拍車がかかるほかない要因に関連した「確かな経過的な事情」を教えている。

 中年の前の人生段階は若年であるが,その時期から結婚していなかった世代が「若年から中年」に移り,しかも未婚である者たちが増大しているという報告である。なお,ここでの話は,事実婚が圧倒的な多数派である日本の婚姻事情を踏まえての話になっている。

 「家族の絆」という観念をやたらに強調したがり,だから日本の家・家族は外国(具体的にどの国々を指すのか不詳だが)より格別にすばらしく,それなり優れて美しいモノがあるのだと,ひたすら一方的に決めつけたい〈絶対比較〉の見地は,自己陶酔の境地以外のなにものでもない。

 その境地じたいだけに関してはたしかに「戦後レジームからの脱却」は済んでいそうであるが,この境地が21世紀にまで引きずりこまれているのだから,始末に悪い連中が自民党内の「右隅側についているドブ川」には,悪臭を放ちながら淀んでいる。

 日本の世帯数は5583万154となり,前回調査に比べて4.5%増えた。1世帯あたりの人員は2.21人で,前回調査から0.12人縮小。単身世帯は全年齢層で2115万1042となり,前回調査から14.8%増えた。3人以上の世帯は減少しており,とくに5人以上の世帯は10%以上減った。

 補注)ここでも途中で寸評を入れる。この5年間隔になる「比率(%)減少率」の進展ぶりがはなはだしいと観るほかない。ここまでもそうした減少が確実に進行してきたがゆえ,単身世帯にも「家族の絆」はその世帯の枠を超えて,親戚関係にまで広がってありうるのだ,などと牽強付会の解釈をくわえたくなるかもしれない。しかし,この種の冗談の部類になる話題であっても,問題の根源を考えるさいには一興でありうる,とみなしておきたい。

〔記事に戻る→〕 65歳以上の一人暮らし世帯の拡大が続いており,高齢者5人のうち1人が一人暮らしとなっている。男女別にみると,男性は230万8171人,女性は440万8635人で,女性が圧倒的に多い。

 補注)それでもってなのか,つぎのような詐欺事件が絶えない日本社会になっている。

       ★ 詐欺の電話で準備の3000万円盗まれる  横浜市南区
     =『Ch. OPEN YOKOHAMA』2021/11/29,https://www.tvk-kaihouku.jp/news_wall/post-9161.php

 藤森克彦・みずほリサーチ&テクノロジーズ主席研究員は「一人暮らしの高齢者は同居家族がいないので,家族以外の支援が重要になる」と指摘する。「財源を確保しつつ介護保険制度を強化し,介護人材を増やす必要がある」と語る。

 単身世帯の増加の背景には「結婚して子供と暮らす」といった標準的な世帯像の変化もある。

 補注)この「標準的な世帯人数(像)の変化」,すなわち「その比率の減少ぶり」にいては,「結婚して子供と暮らす」ために必要となる基本的な条件というものをめぐり,「若者世代」だけでなく,さらにさかのぼっては「中年世代」においてすら,以前(昔:一昔前)から〈結婚難〉に遭遇していた事実があった。

 2021年の一昔まえといったら,2011年で「3・11」東日本大震災および東電福島第1原発事故が発生していた。そして,この翌年2012年12月に第2次安倍政権が発足していた。この政権が謳いあげた経済政策が,あのアベノミクス(アホノミクス・ダメノミクス・ウソノミクス)であった。

 国勢調査は,ほぼ若干の時間差はあれその2回分が実施されたその10年間ということになってもいた。安倍晋三の執権時期,アベノミクスと名のった経済政策が,いったいこの国の産業経済・企業経営に対して,どのような影響を与えたのかと回顧するに,国家政治の大々的な破壊と国民経済の基本からの溶融であった。

〔記事に戻る→〕 45~49歳と50~54歳の未婚率の単純平均を基に「50歳時点の未婚率」を計算すると,男性は28.3%,女性は17.9%となった。2000年のときには男性が12.6%,女性は5.8%だった。この20年間で価値観や家族観の多様化から,中年世代になっても独身というライフスタイルは珍しくなくなった。

 補注)自民党極右のイデオロギーを抱くはずの人たちは,この「20年間の価値観・家族観の多様化」や「生活様式(life cycle)」の基本的な変化を,いったいどのように受けとめ,考え,評価あるいは批判し,それに働きかけ,彼らの立場に合わせて変えさせようとしていたのか。

 関連する政治団体が存在していなかったわけでも,特定の運動を展開するその団体がなかったわけでもないけれども,世間に向けて積極的に「こうだ,ああだ」と確信をもって説ける内実が不在である。

 彼らは,社会問題としてではなく政治問題としてだけ「家・家族の問題」を,それも歴史的に吟味しつつかかげる観点とは無縁なのであったが,それでも歴史的な姿はよそおった(いつわった)自分たちの好みを,前面に押し出して語ってきたに過ぎない。いいかえれば,ただ現存在的にという意味で,そのままただ先験的であるほかありえない,つまり恣意にまみれたその規範像を,日本社会に向けて放散(撒きちらか)してきたに過ぎない。

 だから彼らは,前後で引用している記事がとりあげている「現実における日本社会の家・家族・世帯・家庭の問題」を,まともに論じることができないだけでなく,もともと適切に接近しうる基本概念や方法論を,政治面の運動手法として保持していない。

 したがって,彼らが観念的に信じていたい「日本の美風・習俗としての家・家族観」が,21世紀のいまに現実に生起している日本の家・家族にまつわる諸問題に対面した時,まともに噛み合わせられる議論が展開できなかった。というよりは,そのように対応できる資格が,彼ら側にあってはもとより欠落していた。それだけのことであった。

〔記事に戻る→〕 単身者向けに小分けした商品の開発・販売など新たなビジネスの機会が生まれる面もある。ただ,複数人で暮らすよりも家賃や光熱費の負担比率が高まるほか,1人当たりのごみの排出量などが増え,環境負荷が高まることも考えられる。高齢者であれば孤独死などにつながる懸念もある。

 補注)「高齢者であれば孤独死などにつながる懸念もある」という表現は,たいそうもの足りない。この「高齢者で孤独な日常生活」を過ごしている人たちは「孤独死と同居状態にある」と表現したほうが,より正確・適当ではないか。

 つまり,前段の問題は懸念そのものなどではなく,現在進行中の現実そのものである。このように記述するのは,意識的になのかどうか図りかねるが,その加減した記事の書き方は「現実を報道する新聞社の書く基調」として,迫力不足。

 高齢化とともに単身世帯が増えるなかで,通院や買い物を近場でできるようコンパクトなまちづくりも課題となる。体調を崩したり,介護が必要だったりする高齢者が増えれば社会保障費の膨張にもつながる。単身世帯数の拡大にあわせた社会のあり方を追求していく必要がある。(引用終わり)

 この最後の段落は付けたし的な記事の内容であった。それはそうだという程度の中身ではなかった。

 さて,以上に引照した記事の続きにかかげられていた記事が,つぎの「外国人43%増,最多274万人に」(『日本経済新聞』同上)という見出しをつけられた報道であった。

 総務省が〔11月〕30日に公表した2020年の国勢調査では,外国人の人口が過去最多の274万7137人となり,5年前の前回調査に比べ43.6%増と大きく拡大した。

 

 日本人の人口は1億2339万8962人で1.4%減った。外国人の流入により,少子化による人口減少を一定程度緩和している。新型コロナウイルスの感染が拡大するなかでも,日本に住む外国人は減少に転じなかった。

 

 日本の総人口に占める外国人の割合は2.2%で,5年前の前回調査( 1.5%)から上昇。国連によると2020年に世界各国に住む外国人は3.6%だ。日本でも外国人は増えているが,諸外国に比べるとまだ少ない。

 

 岡三証券グローバルリサーチセンターの高田創理事長は外国人をめぐり「人口対策の現実的な選択肢」としたうえで「就労ビザなど対応を増やしてきた流れの継続が肝要だ」と話す。

 

 国籍別にみると中国が66万7475人と最も多く,外国人全体の27.8%を占めた。

 いまの日本にとっての話題としてだが,「外国人労働者が増えている日本の現状・問題とは?  その実態に迫る」『SPA Labo』2020.10.08,https://spalo.jp/labo/%E5%83%8D%E3%81%8D%E6%96%B9%E6%94%B9%E9%9D%A9/%E4%BB%8A%E8%A9%B1%E9%A1%8C%E3%81%AE%E3%82%A2%E3%83%AC/%E5%A4%96%E5%9B%BD%E4%BA%BA%E5%8A%B4%E5%83%8D%E8%80%85%E3%81%8C%E5%A2%97%E3%81%88%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E7%8F%BE%E7%8A%B6%E3%83%BB%E5%95%8F%E9%A1%8C%E3%81%A8%E3%81%AF/ が,関連する事情をつぎのように語っていた。文意をとって紹介する。

 --外国人労働者とは,日本で働く外国人すべてを指し,大分すると以下のようになる。

     在留資格をもっている人

     就労目的で在留している人

     特定活動で在留している人

     技能実習

     資格外活動

  つまり,外国人労働者とは上記5つの分類に分けられ,国内で働く外国人全般のことを指す。

   外国人労働者を多く採用しているのは,地方の中小企業が多い。少子高齢化は全国的に進んでいるが,地方の深刻化は根深く,人材不足と従業員の高齢化がとくに問題視されている。

 建設業,製造業,農業や漁業などは地方での生産が主流であるが,近年は若い世代の参入が少なく,高齢化が進んでいる。しかも,これらは肉体労働も多い職種である。高齢者の負担が大きく必然的に技能実習生を受け入れることで,人手不足解消の手段として広まってきた。

 現在,コロナウィルス(COVID-19)の流行が世界的に広まり,パンデミック状態といわれている。これによって,海外からの入国規制等から2020年の外国人労働者流入は減少した。

 しかし,日本の人手不足が解消したわけではなく,今後も外国人労働者は増えつづけ,日本の企業の成長に欠かせない存在となる。

 外国人労働者が国内で一番多いのは北海道,つぎに青森,岩手と東北地方が続く。北海道の広大な土地という点もあるが,東北地方は農業や漁業,酪農が盛んである。

 それらの地域は過疎化が進み,若い人材が少ないことからも外国人労働者の受け入れが多い。地方では高齢化がとくに進んでいることから,「介護業」での外国人労働者の受け入れも多い。

 なお,男女比はほぼ同じ比率で若干数女性が上回る結果となりました。(引用終わり)

 最新の話題になるが,11月下旬からは新型コロナウイルスの「オミクロンという変異株」が強力な感染力をもつ感染症として登場している。すでに日本にもその感染者が到着してもいる。2020年初頭から始まったコロナ禍は,依然収束する見通しが付かないでいる。

 前段に紹介した外国人労働者の導入・活用に関した文章は,2020年10月時点におけるものであって,2021年12月の段階に入った現在の状況としては,前段に説明されていた「日本の人手不足」が解消するみこみは,まったく立っていない。

 すなわち,日本国内の諸産業はその基本活動でもとくに裾野の広い分野が,外国人労働者たちの不足によって大きな支障を生じている。現段階はもはや,アベノミクスをウンヌンするいとまなどくらい,コロナ禍がもたらしてきた大きな悪影響の最中に置かれている。

 だから外国人労働者問題に関する現況は,『東京新聞』がつぎのように社説を書くほかない段階にまで至っている。

 

 「〈社説〉入国管理政策   議論の先送りできない」『東京新聞』2021年10月25日, 07時16分,https://www.tokyo-np.co.jp/article/138720

 国際的な人権常識を逸脱した日本の入国管理政策にきびしい目が向けられている。有権者の関心が低い課題だが,人口減少が進むなか,社会の維持に外国人との共生は避けがたい。議論の活性化が必要だ。

 入管行政で問題視されているのは,難民認定や収容送還制度と外国人労働者の受け入れ態勢だ。

 前者は,今〔2021〕年3月に名古屋入管に収容されていたスリランカ人女性が死亡した事件であらためて注目された。「難民鎖国」と呼ばれる低い難民認定率,すべての退去拒否者を無期限に収容する仕組み,難民の認定や収容の可否を出入国在留管理庁が独占して決めている点などが問題とされてきた。

 後者については,労働法令違反が絶えない外国人技能実習制度が代表格だ。建前と異なり,雇用の調整弁と化している

 こうした諸制度は国際社会では非常識とみなされている。収容送還制度については,国連機関が再三,日本も批准する国際人権規約などに抵触すると勧告してきた。

 技能実習制度についても米国務省「人身売買報告書」で「外国人労働者の搾取のために悪用され続けている」と断じ,2020年には日本の評価ランクを下げた。

 国内ではすでに 170万人以上の外国人が働き,事実上,移民社会になっている。だが,政府は排外主義的な意見に配慮し,移民政策を正面から論じることを避けてきた。さらに海外からの人権軽視の批判にも背を向けている。

 自民党も野党も公約では「多文化共生」をかかげている。だが,自民党技能実習制度などの活用促進をかかげている。収容送還問題についても,〔11月〕12日の参院本会議で岸田文雄首相は「改善策実施の最中」と改革姿勢をみせなかった。

 立憲民主党共産党などは,収容についての司法の関与や難民認定の第三者機関の設立を提案。技能実習制度についても見直しや廃止を主張している。ただ,永住・定住外国人地方参政権については,考え方が分かれている。

 コロナ禍による外国人労働者不足で収穫できない農家がある。欧米では移民問題が議論の的だが,日本も先送りすべきではない。そのさい,忘れてならないのは国際社会の目だ。相手あってのことである。独り善がりは通用しない(引用終わり)

 この『東京新聞』社説が触れている外国人労働者問題の本質は,コロナ禍発生以前からのこの問題のなかに現出していた。ところが,この国はこの問題に関して,コロナ禍の襲来に遭ってもまだモタモタしている,としかいいようがないくらい,まだトボケつづけている。

 国家全体の人口が確実に,絶対的に減少していく過程を進行中であるにもかかわらず,以上のように目先の問題処理だけにしか対処する気がないようでは,いつまで経っても「現状のごとき国内における国際的な共生の問題」は,そのなにひとつとして,解決するための展望が開けない。

------------------------------