学校法人日本大学,田中英寿前理事長,日大の同窓会「校友会」などに関する吟味(その1)

 学校法人として教育事業に対する統治は,いかにあるべきか? その反面教師となる好適事例を提供しつづけてきた日本大学は,日本で一番大きい教育機関として恥をさらしつづけてきた。

 学校法人の運営管理体制を適切に構築し,これを円滑に機能させることは至難である。かといって,日大の場合のようにワンマン的な独占の支配体制では,その逆効果がもたらされるだけとなりがち,しかも弊害しか生まない。


  日本大学ホームページ https://www.nihon-u.ac.jp/alumni/about/information/ は,校友会についてつぎのように説明している。

 ◆ 交友会とは ◆

 

 母校日本大学は明治22〔1989〕年の創立以来,130年の歴史を誇るわが国最大の私立大学であります。卒業生数は122万人を超えました。

 

 歴史と伝統を誇る日本大学校友会は,現在,全国に65の都道府県支部,18の学部別部会,5つの職域別部会,74桜門会,さらに米,韓国など9つの海外特別支部から構成されています。

 

 各支部・部会の総会には,大学から理事長,学長や大学執行部の役員が出席し,大学の近況を報告するなど,大学と校友のパートナーシップを深めています。

 

 校友会本部正会員制度を導入し,会員を広く募集しています。そして正会員が15人以上集まれば,本部公認の桜門会を設立できるようになり,校友会のさらなる活性化をはかっています。

 このなかに出ている文字「パートナーシップ」とは,日本語に源を有する表現ではないので,校友会に関してこの partnership といわれてみたところで,いささかピンとこないコトバだと感じる。日本語としては,卒業生だとか同期生だといったコトバや,同窓生という別によく使われる名称もある。それでも,カタカナ語を当てて語ってみたほうが,なかにカッコがよくつきそうな文意:雰囲気を醸せる,と考えているのかもしれない。

 追記)なお,この記述を公表したあとになって「校友会」を「同友会」と誤記した箇所に気づき,翌日〔12月8日〕に訂正(更新)した。

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 とはいえ,最近,世間を大いに騒がせている学校法人日本大学の「田中英寿(前)理事長」に発した諸問題は,日本における教育制度としての私立(わたしくりつ)の学校,それもとくに大学のあり方について,重大な論点を投じた。それは,学校法人の経営問題そのものについてであり,さらに教育機関としての法人運営,いいかえればその統治や社会的責務の基本を,あらためて問う契機を提供した。

 今回の日大問題を契機に(奇貨として),私大経営のあり方を根幹が変質させ,もしかすると(多分だが),文部科学省関係者を主場として国家官僚たちが新しい「天下り先」の創造・確保(ある意味での利権化「構想」の実現)を狙っているのかもしれない。
       
 「私立大学の団体 専門家会議のガバナンスの提言に懸念の声明」『NHK NEWS WEB』2021年12月6日 17時47分,https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211206/k10013376851000.html

 日本大学の前理事長が逮捕されるなど,私立大学のガバナンスが問われるなか,国の専門家会議が,学校法人の最高機関を学外のメンバーだけで構成する提言をまとめたことを受け,私立大学の団体が〔12月〕6日「学生本位の教育環境が破壊される」などとする声明を出し,懸念を表明しました。

 

 私立大学をめぐっては,日本大学の元理事が2件の背任事件で逮捕・起訴され,前理事長が所得税法違反の疑いで逮捕されていますが,過去にも私立大学の不適切な管理運営の問題があったことから,文部科学省の専門家会議が,学校法人の統治・ガバナンスについて,今〔12〕月3日に提言をまとめました。

 

 このなかでは「評議員会」を監督や議決の最高機関に位置づけたうえで,学外のメンバーだけで構成し,理事の選任や解任など権限を強化するとしています。

 

 これを受け6日,私立の大学や短期大学の団体が「教育現場の声を反映させずに議論が進められ,大きな懸念を抱く」とする声明を出しました。

 

 声明では,学外の評議員だけでは教育研究の責任は取れず,提言は学生の視点が完全に欠落しているとしたうえで「学生本位の教育環境は破壊され,評議員会が暴走しても止められない」として,評議員会と理事会が相互に監視して暴走を止める仕組みの構築を提案しています。

 

 文部科学省は,提言や声明などを踏まえ,学校法人の運営に関する法律の改正に向け,検討することにしています。

 最近公刊されていた書物,ジェレミー・ブレーデン ロジャー・グッドマン,石澤麻子訳『日本の私立大学はなぜ生き残るのか-人口減少社会と同族経営:1992-2030』中央公論新社,2021年9月は,以上のごとき文部科学省側の発想(企図)になると,私立大学側からとしては,相当に頑強な抵抗が発生せざるをえない「日本の大学教育界」側におけるひとつの顕著な特徴を指摘している。

 この『日本の私立大学はなぜ生き残るのか-人口減少社会と同族経営:1992-2030』の分析・評価が,日本の大学問題の全舞台に妥当するという事実はない。けれども,会社経営の場合になぞらえて表現すると,それも「家業:同族による経営支配」が確立しているのではないかとみなしていい〈大学運営〉の実態が,それもとくに家業的に同族が代々にわたり統制する経営体となってもいる「私立大学の運営実態」に対してなのだが,それなりに理解ある態度で接して解釈する「論」を,同書は展開している。

 ここ10年内の出来事であったが,文部科学省は「高等教育機関をまるで営利企業経営管理体制と同じ具合に駆り立てる」ごとき文教行政を推進してきた。そのせいで,このごろの日本の大学に対して教育産業であっても,「選択と集中」といった用語に表現されるごとき〈企業戦略の視点・方策〉が,無理やりにでも盛んに押しつけられる「業界事情」が生まれていた。

 だがその結果としては,日本の高等教育機関は疲弊しつくし,ガタガタでボロボロの組織体質になってしまう事態を余儀なくされてきた。しかも,このまずい状態に関して,誰がどのように事後の責任をとり,さらに治癒し,再生させるのかといったたぐいの問題はそっちのけにされたままとなれば,その無責任さは深刻な様相を呈していた。

 そんなことやあんなことなどたくさんの雑務を,日本の大学における教職員たちが追加的な負担として迫られつづけてきた結果,大学業界の内部では教育・研究の両面ともに疲弊・徒労が加重され昂進するばかりであった。例の「改革疲れ」という症状は,その経緯を正直に物語る現象であった。

 もっとも,2021年に公表された「THE」(イギリスの高等教育専門誌『Times Higher Education』)の世界大学ランキングによれば,東大が過去最高の35位タイ,京大は61位」という評価が出ていた。とはいっても,この格付け全体は日本の大学が,とくにアジアのなかでは相対的に低落傾向にあるが,各報道はその事実にはあまり触れたがらない記事を書いていた。

【参考記事】

 しかし,日本の大学・大学院は一部の国立系大学とごく一部の私立系大学をのぞき,教育・研究領域において活力を喪失した状況に追いこまれている。なかでも21世紀になってからというもの,大学院に進学する学生の絶対数が減少してきたという「先進国のなかでもまれな事例」を記録しているとなれば,なにをかいわんやの深刻な情勢を意味していた。

 補注)前段のTHEに関する東大,京大の世界ランキングの説明方法は非常に分かりにくいので,世界のなかでの「日本の大学」に関するランキングについては,つぎの記述を参照したい。前段に参照した記事とはまた別の印象をもつかもしれない。

【参考記事】

 以上のごとき話題にくわえて文部科学省はもしかすると,こんど〔の日大関係の事件発生〕にさいしてもまた,「自省に得になる利権」が〈なにか〉みいだせないかという目線でしか対処していないように映る。

 そのあたりに示唆される現実的な利害状況に頭を突っこんだつもりだったのか,いささかならず,おっちょこちょいにも,大学問題への容喙を図ったかのようにして,ある意味では日本の高等教育機関を半壊状態にさせるのに多大な貢献を果たした当事者の1人,冨山和彦・経営共創基盤グループ会長が,いまだにつぎのように “オダを挙げて叫んでいる姿” は,コッケイにしかみえない。

 つまり,たとえば「〈冨山和彦の『破壊王になれ!』〉『合格歴』人材はもういらない 大学を破壊的に改造せよ」『〈毎日新聞社〉経済プレミアム』2020年11月30日,https://mainichi.jp/premier/business/articles/20201126/biz/00m/020/026000c  という記事は,その後に〈いま〉の段階に至っての発言なのだが,次段のように言及していた。

 すなわち,この冨山和彦は,自分こそが日本の大学をぶっ壊してきた(しかも中途半端に!)のだという「事実=その結果」についてとなると,なぜか自慢話をしたくてしかたがない人物であった。こう述べていたのである。

 5年余り前,文部科学省専門職大学の設置を検討する会議で,世界トップレベルをめざ指す研究や教育をおこなうG(グローバル)型大学と,地域社会で役に立つ実務的な教育をおこなうL(ローカル)型とにはっきり分けた方がいいと提言したら大炎上。

 

 主に社会人文系の先生方から「全大学人の敵」というありがたい呼称をいただいた。しかしその後も大学経営が改善する兆しはなく,世界のなかでの日本の大学の地位低下も止まらない。

 この冨山和彦の指摘・批判は,自説の提言の方途にしたがわなかった日本の大学は「世界のなかでの」「地位低下」を結果した,といったふうに自慢話をしたい語り口であった。だが,文部科学省の大学関連の行政に対してこの冨山は,実際的・具体的には自身の指導力コンサルタント・力)が及ぼせる範囲に関しては中途半端に終わっており,全体的・長期的な観点においては結局,なにも完遂できていなかった。

 それどころか,世界全体のなかで占める日本の大学の「総合力」そのものが,「高等教育機関」として絶対的にも相対的にもその「実力を低下させてきた傾向」に対してとなると,それへの確実な歯止めとなる助力は適切に提供できていなかった。

 こちらの事象に関してならば,確かに関係したはずの「自分の力量」の「度合:有効度」に対する自己点検は,そっちのけにしたまま,そしてまた,じっくりと振りかえってみることもせずに,自分が大学人のあいだに「大炎上させる1件」を惹起させた事実についてのみは,いくらか自慢話風にであっても嘆いてみせた。

 冨山和彦もそうであったが,実業界の人たちに共通する「大学問題」に関した基本での認識不足は,高等教育機関の本来的な使命に対する思想なり哲学が不在であった事実に淵源している。その結果としてさらには,自分が示唆できる方針なりその具体策が,当然のこと,不定形的・未完成的にしか「自身の発想や言論」として提案できていなかった。

 前段の『〈毎日新聞社〉経済プレミアム』のなかには,冨山和彦が自説を解説するための図解 注記)に挿入するもの が出されていたが,これは

   「高校段階と大学教育」の,あるいは

   「専門学校と大学」の,さらには

   「一流大学と非一流大学」のそれぞれ基本的な識別が,

まったくできていないで(あるいはしようとも意図していなかった),単に鼻先だけにぶら下げられる程度での「稚拙な区分」になっていた。

 多少,分かりやすくいうとしたら,要はクソミソ的な発想であった。塗料にたとえてばいうとしたら「灰色の塗料」しか材料しては要らない,なぜなら「白色」と「黒色」の顔料がそれにはいっしょに入っている,混ぜられているから,といった理屈に酷似していた。しかし,そうしていたら,黒色と白色を別々にペンキ塗りする作業はできないのだが……。

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 要は,冨山和彦は当初から,大学問題に対しては見当違いの議論を出立させており,その途中ではさらに時代はずれ的な,つまりトンチンカンの花盛りを演技するだけのお爺さんの役目を果たしていた。別言すると,お門違いの謬見を得意げに披瀝してきた。しかも,いまだに,そうありつづけている。

 注記)ここでは,「〈異見交論〉43 国立大への税金投下に『正当性なし』冨山和彦氏(経営共創基盤 代表取締役CEO)  」『〈読売新聞〉教育ネットワーク』2018年4月 4日 14:04,』https://kyoiku.yomiuri.co.jp/rensai/contents/43-ceo.php

 冨山和彦がそのように自説をぶち上げ,これを日本の大学の研究・教育体制に向けて突きつけるかっこうになっていた。ところが,冨山のいいぶんに即して,こちら(大学)側がいいとこ取り的な要領(?  企業戦略の観点からする「選択と集中」)を実践していくうちに,実は,大学側における研究・教育の全般にわたる現場の教育力はどんどん劣化・凋落してきた。

 冨山の議論は結局,その方向性からして根本的に間違えていた。目の付けどこが完全にズレていたのである。近視だとか斜視だとかいったたぐりのそのズレ(焦点ボケ)などではなく,視線を向けるべき対象そのものに関した認識が錯乱していた。

 企業経営向けであれば有能だったコンサル人材が,闇雲に「オレが指導をすれば日本の大学(しかしその一部のかぎられた大学のことだが)も,世界レベルにまで発展・成長できる」という自信のほどについてだけは,これじたいはこれでよろしい。

 だが,それ以前に日本の大学「全体」が抱えている “もろもろの課題” は,蹴散らし,すっ飛ばしての提言だったのだから,それでは日本の大学の改革など根本からできるわけがなかった。

 それでも冨山和彦のいいぶんによれば,自分が「全大学人の敵」などではなくして,日本の大学を「創造的に破壊できる者」(イノベーター?)としての役目を果たしうるのだという具合に,おおげさに力説してもいた。ともかく結果をもって評価をするとしたら,冨山の日本の大学「全体」に対するコンサル的な貢献はいただけなかった。

 

 「マンモス大,改革の行方は 日大前理事長なお影響力  私大運営,透明化に課題」『日本経済新聞』2021年12月7日朝刊47面「社会2」 

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 日本大学前理事長の田中英寿容疑者(75歳)が脱税容疑で逮捕されて〔12月〕6日で1週間。日大の理事会はこの間に田中前理事長の理事解任を決議したが,日本有数のマンモス大に13年「君臨」した前理事長の力はなお強い。私大運営には外部のチェックが働きにくいと指摘されており,日大のガバナンス(統治)改革の行方は見通せない。

 「前理事長の功績も考慮したうえで,解任ではなく辞任扱いとすべきだ」。〔12月〕3日午後に日大本部(東京・千代田)で開かれた理事会で,「理事たるにふさわしくない重大な非行があった」として田中前理事長の解任案が提出されると,ある理事が声を上げた。

 1) 解任めぐり理事会紛糾

 「大学としての姿勢を鮮明にすべきだ」などと解任を訴える理事との間で議論は紛糾。複数の日大関係者によると,理事33人による採決は賛成27票,反対6票だった。日大の規約によると,理事の解任には4分の3以上の賛成が必要で,あと3人反対に回っていたら不成立だった。

 理事も全員が辞表を提出し,文部科学省の幹部は「一応のけじめはつけた」としているが「長年蓄積されてきた大学の風土を変えるのは簡単ではない」と懐疑の言葉も漏れた。

 前理事長の解任に反対の票を投じたのは122万人に上る日大卒業生らの同窓会組織「校友会」が推薦した理事たちだった。規約は理事27~36人のうち6~8人は校友会から選出するとしており,田中前理事長は校友会会長職にとどまっている。「このままでは,前理事長の影響を受けた理事たちがまた送りこまれる可能性がある」と日大OBは話す。

 理事会による大学運営をチェックする評議員会に,日大では120人超の評議員がいる。理事全員が評議員を兼任しており,今後,評議員会も一新されるのか,大学はなにも公表していない。別の日大OBは「評議員にも前理事長の影響力が及ぶ人たちが少なからずいる」と指摘する。

 補注)問題は,田中英寿「前」理事長が校友会の理事長にはまだ残っている事実を,どう評価するかである。本来であればかつ常識的に判断すれば,田中自身がみずから進んで,校友会の理事長も辞任するのが筋であり,当然である。

 だが,田中英寿がその椅子にまだしがみついたまま,事後の復活に備えるのかという構図が,学校法人日本大学のなかから進んで解消できないようでは,この大学は田中の物理的な寿命が絶えるまでその影響力を懸念しつづけなければならない。

 もっとも,校友会内部で田中英寿は理事長の座からはみずから去るべきだという意見が湧いてこないほど,これまでの田中による日大支配の絶大さの余韻がまだ残っているらしい。そうであるならばそうで,今回における大学の自治の問題,いいかえれば,学校法人日本大学における統治の問題にまつわる深刻さは,もとより一筋縄ではなかった事実をきわだたせていることになる。

 校友会じたいは,学校法人日本大学のなかで自分たちが田中英寿を理事長(校友会の)にもいただくかたちであれば,この同窓会組織の運営に当たっては,なにかと有利にモノゴトを運べていたものと推理する。

 しかし,ここまで田中英寿理事長(学校法人の)が,いわば犯罪的だとまで疑惑をかけられている諸問題(刑法・税法の被疑者として逮捕・拘留中)を起こしていても,校友会の立場のなかには依然,田中英寿を擁護しておいたほうがまだ得策と考えたい「理事会の理事たち」が存在している。

〔記事に戻る→〕 田中前理事長は1969年に日大経済学部を卒業したのち,保健体育事務局などを経て1999年に理事に就任。2008年に校友会の支持などを背景に理事長職に就き,5期にわたって再任を続けた。

 この間,13年に教職員による選挙で選出する「総長」のポストを廃止。代わりに教育研究のみを管轄する「学長」を設け,運営面での実権を理事長に集約させた。

 私立学校法は大学運営を担う理事とチェック役の評議員の兼任を認めており,理事の選び方も各大学の判断に任せている。

 ガバナンスに詳しい国広正弁護士は「社外取締役などを取り入れる株式会社に比べ,大学は理事長への権限集中を防ぐ制度が整っていない」と断じる。「一定割合の経済的・精神的に独立した多様な人物が運営に参画することで,透明性を確保すべきだ」。

 補注)だからといって,株式会社形態をそのまま真似た学校法人形態を採用するわけには “とうてい” いくまい。学校法人の理念や目的は営利企業とはまったく異質であるゆえ,両者のあいだには,それ相応に大きく異なる運営方法のために必要となる規約作成や制度整備が必要である。この点はいまさら強調して断わるべき事項でもないくらい,明白な前提条件である。

 先述に登場した冨山和彦は,大学の事業も会社の事業もまったく同類・同質とみなす発想を抱いていた。ましてや,研究のなんたるや,あるいは教育はどうしたらいいかなどについても,営利追求的な観点しか感じさせえないでいた人物であった。そうだとなれば,教育分野の問題に対しては「初めから〈眉ツバ〉の人物」である立場からの発言しかなしえていなかった。

 その人物が「大学人は一般経営管理(general administration)というものが全然判っていない」みたいに大声で批判する発言をおこない,しかも,かなり押しつけがましく自分の意見を開陳していた。ということであればただちに,この冨山和彦は向けて「主に社会人文系の先生方から」「全大学人の敵」とみなされたのは,当然であった。文系学部は要らないなどという政治家が登場する背景には,冨山のごとき経営コンサルが存在がいて,強力な援軍になっていたからである。

〔記事に戻る→〕 文科省の専門家会議は〔12月〕3日,ガバナンス改革に向けた学校法人の評議員会の権限強化などを盛りこんだ提言をまとめた。評議員は原則として学外者を起用し,理事や教職員との兼職を禁止。理事の選任・解任権を与え,チェック機能を持たせるとしている。

 大学の自治にかかわるとして私大団体などに反対論もあり,議論の行方は見通せない。

 補注)大学自治・統治の問題として,そこまで文部科学省側が立ち入るつもりならば,日本の私立大学もすべて国立大学(あつかい:待遇・措置)にしておくべきであって,もしもそうとなれば,日本の大学群「全体」を「文部科学省が〈煮て食おうと焼いて食おうと〉勝手にすればよい」指導体制に変更できることにもなる。

 だが,そもそも高等教育機関の整備や充実については,私立大学に対しても口やかましく行政指導してきた過去の歴史を有する文部科学省側が,はたしてそこまで口出ししていいものか,まだまだ議論の余地がある。

 私立大学の補助金私学助成金)は合憲性に関して問題ありなのであり,違憲だとみなす見解,つまり「税金の使い方として不適切だ」という法理的な考え方もあった。というのは,憲法89条の「公金その他の公の財産は,宗教上の組織若しくは団体の使用,便益若しくは維持のため,又は公の支配に属しない慈善,教育若しくは博愛の事業に対し,これを支出し,又はその利用に供してはならない。」という規定に違反するとも指摘されてきたのである。

 この憲法関連の議論までを踏まえて考えるならば,文部科学省はまず補助金はいっさい廃止にしたうえで,私立大学の法人的な運営方法にいっさい口出しをしない,という無関与の方法もありうる。しかし,現実はそうはなっていないし,いくつかはある私大関係の認証団体は,アメリカ並みの大学に対する品質保証を,まだ社会に向けて提供できていない。

 日大の背任事件的な疑惑で田中英寿理事長が法人から追放(解任)されたのは,当然であった。だが,校友会から理事会への通路を介して,田中が今後においてもまだ日大の組織と重要な関連を有する糸口的な場所:地位を占めつづけるかぎり,なお一定の影響力を残すという危惧が懸念されている。

 このさい,まともな同窓会組織でありたい日大の校友会ならば,こちらの理事会なりに臨時の会議でも開催し,田中英寿理事長を解任すべきである。しかし,そこまでにはまだ至っていない。これでは,日大全体の組織体質を観察するに当たっては,まだまだ腐朽している部分があると批判されて当然である。

【参考記事】 

 「日大背任事件の本質」『BLOGOS』2021年12月06日 11:52

 ⇒  http:// https://blogos.com/article/573093/

〔記事に戻る  ↓  〕 
 2)「内部通報の体制を」 大学経営に詳しい東京大の両角亜希子教授は「学外者は学内の情報を入手しにくい。仮に学外者だけでつくる評議員会の権限を強化しても,不祥事の存在じたいに気付けない恐れがある」と指摘。「まずは学内者が声を上げられる内部通報の仕組みなどを整えることが重要だ」と話す。

 補注)この指摘は,株式会社の場合だといくらでも発症する事例を指している。最近の事例としては,2010年代後半における東芝の「悪い見本として適例」が実在した。社外取締役監査役たちの無能ぶりときたら,それはまことに最悪であって,まさに報酬ドロボウである彼らを彷彿させた。なかには経営学学者でそれも元一橋大学の教授で,現在は某国際大学で学長職に就いている人物もいた。まったくもって笑止そのものの風景になっていた。

 田中前理事長は11月29日,2018年と2020年に日大の取引業者から受け取ったリベートなどの現金約1億1800万円を隠し,所得税約5300万円を免れた所得税法違反(脱税)の疑いで逮捕された。前理事長は特捜部の調べに現金授受や脱税容疑を否認しているという。

 特捜部は脱税事件の関係先として,前理事長の自宅や日大本部,前理事長の妻が経営するちゃんこ料理店の従業員宅など約20カ所を家宅捜索し,前理事長への資金提供の流れなどについて,裏付け捜査を進めている。(引用終わり)

【参考動画記事】

 補注)この動画については最後部の3分だけ,16:00 あたりから視聴してもらえれば,要点はつかめるはずである。

 

 田中英寿の反社勢力との関係
   -この ③ 以下の記述は「本稿(その2)」へ続く-

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【「本稿(その2)」】は出来しだい,ここにその住所(リンク)を貼っておく。

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